JP5379553B2 - 重荷重用ラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ビードコアとビードエーペックスゴムとを圧着してプリアッセンブルする際の両者の接合外れを抑制でき、生タイヤ成形工程における工程不良及び生産性を改善しうる重荷重用ラジアルタイヤに関する
重荷重用ラジアルタイヤにおいて、例えば図7に示すように、ビードエーペックスゴムaを、高弾性のゴムからなる半径方向内側の下エーペックス部bと、低弾性のゴムからなる半径方向外側の上エーペックス部cとで形成するとともに、この下エーペックス部bを、ビードコアdのタイヤ半径方向外面に隣接しタイヤ軸方向にのびる底片部b1と、そのタイヤ軸方向内端から立ち上がりカーカスeのプライ本体部e1に隣接して半径方向にのびる立片部b2とからなる断面L字状とすることが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
このものは、高弾性の下エーペックス部bが断面L字状をなすことによってボリューム減となる分、低弾性の上エーペックス部cのボリュームを増加しうる。これにより、プライ折返し部e1の外端部e1aに作用する剪断歪みの緩和効果を高めることができ、ビード耐久性を向上しうるという利点がある。
特開2007−230400号公報 特開2008−037314号公報
他方、タイヤを製造する場合、ビードコアとビードエーペックスゴムとを圧着し、両者を一体に接合させたビードコアとビードエーペックスゴムとの組立体を予め形成した後、このプリアッセンブルされた組立体を、生タイヤの成形工程に投入している。
しかしながら、高弾性のゴムは、未加硫状態において粘着性に劣るという特性を有する。従って、ビードエーペックスゴムaが前記構造を有する場合、粘着性に劣る下エーペックス部bがビードコアdに広範囲で接触するため、ビードエーペックスゴムaとビードコアdとの粘着強度が十分に確保できない。そのため、前記プリアッセンブル工程、或いは組立体の投入時において粘着剥がれを招くなど工程不良や生産性の低下を招くという問題がある。特に前記構造は、低弾性の上エーペックス部cのボリューム比率が高く、生のビードエーペックスゴム自体が柔らかく倒れやすいため、前記粘着剥がれの傾向は高くなる。
本発明は、ビードエーペックスゴムにおける高弾性の下エーペックス部を断面L字状で形成したタイヤが有する前記利点を確保しながら、ビードエーペックスゴムとビードコアとの粘着強度を高めることができ、粘着剥がれに起因する工程不良や生産性の低下を抑制しうる重荷重用ラジアルタイヤを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部と、このプライ本体部に連なり前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部とを有するカーカスプライからなるカーカス、
及び前記ビードコアから半径方向外方にのびる断面略三角形状のビードエーペックスゴムを具える重荷重用ラジアルタイヤであって、
前記ビードエーペックスゴムは、低弾性のゴムからなるエーペックス本体と、このエーペックス本体よりも高弾性のゴムからなりかつ前記エーペックス本体の内部に形成される高弾性ゴム部とからなり、
しかも前記高弾性ゴム部は、前記ビードコアの半径方向外面に近接してタイヤ軸方向にのびる底片部と、この底片部のタイヤ軸方向内端から立ち上がり前記プライ本体部に近接して半径方向外側にのびる立片部とからなる断面L字状をなすとともに、
前記エーペックス本体は、前記底片部とビードコアの半径方向外面との間に介在して該底片部を被覆する厚さ0.5〜2.0mmの下被覆部分と、前記立片部と前記プライ本体部との間に介在して該立片部を被覆する厚さ0.5〜2.0mmの側被覆部分とを含み、
かつ前記ビードコアの断面中心Gから前記立片部の半径方向外端部までの半径方向高さh1を、前記断面中心Gから前記ビードエーペックスゴムの半径方向外端部までの半径方向高さH1の1/3〜2/3の範囲としたことを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記立片部の厚さは、タイヤ半径方向外側に向かって漸減するとともに、ビードベースラインから半径方向外方に25mmの距離を隔たるビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向外側面上の点P1から該外側面に直交してのびる基準線X1上における前記立片部の厚さT1は1〜4mm、かつ基準線X1上におけるビードエーペックスゴムの全厚さT0の10%以下としたことを特徴としている。
又請求項3の発明は、請求項1又は2記載の重荷重用ラジアルタイヤであって、
前記底辺部の長さ方向中間位置における厚さtが、前記下被覆部分の厚さtaよりも大きいことを特徴とする。
なお本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法等は、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した状態にて特定される値とする。
又前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"を意味する。
本発明は叙上の如く、ビードエーペックスゴムを、低弾性のゴムからなるエーペックス本体と、高弾性のゴムからなりかつ前記エーペックス本体の内部に形成される高弾性ゴム部とで形成するとともに、この高弾性ゴム部を、底片部と、そのタイヤ軸方向内端から立ち上がる立片部とからなる断面L字状に形成している。このように高弾性ゴム部を断面L字状としてゴムボリュームを減じているため、その分、低弾性のエーペックス本体のゴムボリュームを増加することができ、カーカスのプライ折返し部の外端部に作用する剪断歪みの緩和効果を高め、ビード耐久性を向上しうる。
又前記エーペックス本体は、前記底片部とビードコアとの間に介在する薄い下被覆部分を少なくとも具えるため、プリアッセンブルにおいてビードエーペックスゴムとビードコアとの粘着強度を高めうる。従って、プリアッセンブル時および組立体の投入時において粘着剥がれを抑制でき、工程不良を減じかつ生産性を向上しうる。又前記エーペックス本体は、前記立片部を被覆する薄い側被覆部分も有する。そのため、生タイヤ形成工程において、ビードエーペックスゴムとプライ本体部との間の粘着性を高く確保でき、生産性の更なる向上を図りうる。
本発明の重荷重用ラジアルタイヤの一実施例を示す断面図である。 そのビード部を拡大した断面図である。 図2のビード部をさらに拡大した断面図である。 ビードコアとビードエーペックスゴムとの組立体を示す端面図である。 (A)、(B)はプリアッセンブル工程説明する端面図である。 プリアッセンブル工程に用いるドラムの機能を略示する斜視図である。 従来のビード構造を説明する断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の重荷重用ラジアルタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るトロイド状のカーカス6と、前記ビードコア5からタイヤ半径方向外方にのびる断面略三角形状のビードエーペックスゴム8とを具え、本例では、前記重荷重用ラジアルタイヤ1が、15°テーパリムRに装着されるチューブレスタイヤである場合が例示されている。
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道Cに対して例えば80〜90°の角度で配列したカーカスプライ6Aから形成される。このカーカスプライ6Aは、ビードコア5、5間を跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返されたプライ折返し部6bを一連に具える。なお前記ビードコア5の断面中心Gから、前記プライ折返し部6bのタイヤ半径方向外端部6beまでの半径方向高さH2(便宜上、折返し高さH2と呼ぶ場合がある。)は、特に限定されるものではないが、小さすぎるとビード部4の曲げ剛性が低下する他、カーカスプライのいわゆる吹き抜けが生じやすくなる。しかし、逆に大きすぎると、乗り心地の悪化を招くほか、前記外端部6beが、走行時に歪が大となるタイヤ最大巾位置Mに近づくため耐久性を高めることができなくなる。このような観点より、前記折返し高さH2は、その下限が、断面中心Gからのタイヤ断面高さHの8%以上、さらには10%以上が好ましく、また上限は、25%以下、さらには20%以下が好ましい。
又前記カーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内部には、ベルト層7が配される。このベルト層7は、スチール製のベルトコードを用いた複数枚のベルトプライから形成される。本例では、ベルトコードをタイヤ赤道Cに対して例えば60±10°程度の角度で配列した最も内側のベルトプライ7Aと、その外側に順次配されかつベルトコードをタイヤ赤道Cに対して15〜35°程度の小角度で配列したベルトプライ7B、7C及び7Dとの4層構造をなすものが例示される。このベルト層7は、前記ベルトコードがプライ間で互いに交差する箇所を1箇所以上設けることによりベルト剛性を高め、トレッド部2のほぼ全巾を強固に補強する。
又前記ビードコア5は、図2に示すように、偏平横長の断面六角形状をなし、又そのタイヤ半径方向外面5Sを、タイヤ軸方向に対して12〜18°の角度θで傾斜させることにより、リムRとの間の嵌合力を広範囲に亘って高めている。
又本例では、前記ビード部4に、ビード補強コード層9を設けている。該ビード補強コード層9は、前記ビードコア5のタイヤ半径方向内側を通る基部9aの両側に、前記プライ本体部6aのタイヤ軸方向内側面に沿う内の巻上げ部9iと、前記プライ折返し部6bのタイヤ軸方向外側面に沿う外の巻上げ部9oとを設けた断面U字状に形成される。このビード補強コード層9は、スチール製の補強コードをタイヤ周方向に対して30〜60゜の角度で配列したビード補強プライからなり、ビード部4を補強する。
なお前記内外の巻上げ部9i、9oの前記断面中心Gからの半径方向高さHi、Hoは、それぞれ前記断面中心Gからのリムフランジ高さHfより大、かつ前記折返し高さH2よりも小に設定される。リムフランジ高さHf以下の場合には、補強効果が十分に発揮されず、逆に折返し高さH2以上の場合、前記巻上げ部9i、9oの半径方向外端部9ie、9oeに応力が集中して損傷の起点となる。又前記外の巻上げ部9oの外端部9oeが、プライ折返し部6bの外端部6beに接近し過ぎると、剛性段差となって、前記外端部6beに応力が集中する。そのため前記高さの差(H2−Ho)は、5mm以上、さらには7mm以上、さらに8mm以上であるのが好ましい。
次に、前記ビードエーペックスゴム8は、前記プライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間を通って、前記ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびる断面三角形状をなす。このビードエーペックスゴム8は、低弾性のゴムからなるエーペックス本体12と、このエーペックス本体12よりも高弾性のゴムからなりかつ前記エーペックス本体12の内部に形成される高弾性ゴム部13とから形成される。
又前記高弾性ゴム部13は、前記ビードコア5の半径方向外面5Sに近接してタイヤ軸方向にのびる底片部13aと、この底片部13aのタイヤ軸方向内端から立ち上がり前記プライ本体部6aに近接して半径方向外側にのびる立片部13bとからなる断面L字状をなす。なお前記底片部13aは、タイヤ軸方向外側に向かって厚さが漸減し、かつエーペックス本体12内で途切れる。なお底片部13aは、その長さ方向中間位置における厚さt(図3に示す)が、例えば0.5〜3.0mm程度が好ましい。また前記立片部11bは、半径方向外側に向かって厚さが漸減するとともに、その半径方向外端部13beの前記断面中心Gからの半径方向高さh1(便宜上、立片高さh1と呼ぶ場合がある)を、前記断面中心Gから前記ビードエーペックスゴム8の半径方向外端部8eまでの半径方向高さH1(便宜上、エーペックス高さH1と呼ぶ場合がある)の1/3〜2/3の範囲としている。なお前記立片高さh1は前記折返し高さH2よりも大である。
このようなビードエーペックスゴム8は、高弾性ゴム部13の前記立片部13bが、プライ本体部6aに近接してタイヤ半径方向外側にのびるため、カーカスコードと協働してビード部4の曲げ剛性を高め得る。しかも前記立片高さh1を折返し高さH2より大としているため、前記プライ折返し部6bの外端部6beへの歪の集中を緩和させうる。又立片部13bは、その厚さがタイヤ半径方向外側に向かって漸減するため、その外端部13be自体に歪が集中するのを抑制できる。又高弾性ゴム部13が断面L字状をなすため、ビードエーペックスゴム8の全厚さに占める、低弾性ゴムからなるエーペックス本体12の厚さの比率が高まる。従って、ビード変形に伴うプライ折返し部6b側の圧縮歪に対して、このエーペックス本体12が柔軟に変形し、カーカスコードに作用する剪断応力を緩和吸収しうる。
なお前記立片高さh1がエーペックス高さH1の1/3未満では、剛性が不足しビード変形が大となってビード耐久性の低下を招く。逆に立片高さh1がエーペックス高さH1の2/3を越えると、ビード変形自体は減少するものの、プライ折返し部6bの外端部6beに作用する剪断歪みの緩和効果が減じるため、この場合もビード耐久性の低下を招く。
又図3に示すように、前記断面中心Gから半径方向外方に5mmの距離を隔たるビードエーペックスゴム8のタイヤ軸方向外側面上の点P1から該外側面に直交してのびる基準線X1上における前記立片部13bの厚さT1を、1〜4mmの範囲、かつ前記基準線X1上におけるビードエーペックスゴム8の全厚さT0の10%以下であることも好ましい。前記厚さT1が1mm未満では、ビード変形が大となってビード耐久性の低下を招き、逆に前記厚さT1が4mmより大、及び全厚さT0の10%より大となった場合には、剪断歪みの緩和効果が減じてビード耐久性の低下を招く。
又本実施形態のビードエーペックスゴム8は、前記エーペックス本体12が、前記底片部13aとビードコア5の半径方向外面5Sとの間に介在して該底片部13aを被覆する厚さtaが0.5〜2.0mmの下被覆部分12aと、前記立片部13bと前記プライ本体部6aとの間に介在して該立片部13bを被覆する厚さtbが0.5〜2.0mmの側被覆部分12bとを含んで構成されている。
この下被覆部分12aおよび側被覆部分12bは、生タイヤ成形時には、ビードエーペックスゴム8とビードコア5との間、及びビードエーペックスゴム8とプライ本体部6aとの間の粘着強度を高め、粘着剥がれを防止することにより、生タイヤ成形時において工程不良を減じかつ生産性を向上しうる。又加硫後のタイヤにおいては、前記粘着剥がれに起因する加硫接着力の低下を抑制でき、耐久性を向上しうる。なお前記厚さta、tbが0.5mm未満では、粘着強度を十分に高めることができない。逆に前記厚さta、tbが2.0mmを越えると、高弾性ゴム部13とプライ本体部6aとの間、及び高弾性ゴム部13とビードコア5との間で歪みを招くため、高弾性ゴム部13とプライ本体部6aとビードコア5とが一体となってビード剛性を高める効果が十分に発揮されなくなる。即ちビード変形が大となって、ビード耐久性を損ねる結果を招く。
ここで、前記高弾性ゴム部13の複素弾性率E1は、30.0〜90.0MPaの範囲、又エーペックス本体12の複素弾性率E2は、2.0〜15.0MPaの範囲が好ましい。もし前記高弾性ゴム部13の複素弾性率E1が30.0MPaを下回ると、ビード変形が大となって剪断歪みの増大を招き、逆に90.0MPaを越えるとエーペックス本体12による剪断歪みの緩和吸収効果を阻害する傾向となる。又前記エーペックス本体12の複素弾性率E2が2.0MPaを下回ると、ビード剛性が不充分となって剪断歪みの増大を招き、逆に15.0MPaを越えると剪断歪みの緩和吸収効果が低下する傾向となる。このような観点から、前記複素弾性率E1は、その下限が50.0MPa以上が好ましく、又上限は80.0MPa以下が好ましい。又複素弾性率E2は、その下限が3.0MPa以上が好ましく、又上限は10.0MPa以下が好ましい。又前記高弾性ゴム部13の複素弾性率E1と、エーペックス本体12の複素弾性率E2との差(E1−E2)が大きすぎると、両者間の界面に歪が集中しやすく、逆に小さすぎると、上述のビード部4の曲げの抑制と剪断歪の緩和吸収作用とが十分に得られないおそれがある。このような観点より、前記複素弾性率の差(E1−E2)は、下限が40.0MPa以上、さらには50.0MPa以上が好ましく、また上限は85.0MPa以下、さらには80.0MPa以下が好ましい。
なお前記複素弾性率Eは、JIS−K6394の規定に準じ、(株)岩本製作所製粘弾性スペクトロメータを用い、初期歪(10%)、振幅(±1.0%)、周波数(10Hz)、温度(70℃)の条件にて測定された値とする。
なお、本例では、エーペックス本体12には、前記プライ折返し部6bの外端部に隣接するエッジカバーゴム部12cが含まれる。このエッジカバーゴム部12cは、プライ折返し部6bの外端部6beを中心としてタイヤ半径方向内外に、例えば0.5〜2.0mm程度の小厚さでのびる。このエッジカバーゴム部12cの複素弾性率は、前述の複素弾性率E2(2.0〜15.0MPa)の範囲内であるが、エーペックス本体12におけるエッジカバーゴム部12c以外の部分の複素弾性率よりも小さく設定することにより、コードルースをさらに効果的に抑制できる。
また、本例では、プライ折返し部6bと、ビード補強コード層9の外の巻上げ部9oとの間に、インスレーションゴム14が配される。これにより、プライ折返し部6bと外の巻上げ部9oとのコード間距離を、タイヤ半径方向外側に向かって漸増する。これによりプライ折返し部6bと外の巻上げ部9oとの間でのコードのフレッティング損傷を防止する。
次に、前記重荷重用ラジアルタイヤ1の製造方法について説明する。この製造方法は、未加硫の生タイヤを形成する生タイヤ成形工程と、この生タイヤを加硫する加硫工程とを含む。又生タイヤ成形工程では、図4に示すように、生のビードコア5Nの半径方向外面5Sに、生のビードエーペックスゴム8Nの下被覆部分12aを圧接することにより、生のビードコア5と生のビードエーペックスゴム8Nとの組立体20を予め形成するプリアッセンブル工程Sを含み、このプリアッセンブルされた前記組立体20を生タイヤ成形工程に投入している。
なお前記製造方法では、前記プリアッセンブル工程S以外は、従来と同様の工程が採用される。従って、以下に、プリアッセンブル工程Sのみを説明する。
前記プリアッセンブル工程Sでは、ビードエーペックスゴム8形成用のゴム材として、2層押出し機によりエーペックス本体12と高弾性ゴム部13とが一体に押し出される断面三角形状の一体押出成形体21(図5(A)に示す。)が使用される。
そしてプリアッセンブル工程Sでは、巻回ステップS1と、展開ステップS2と、圧接ステップS3とが行われる。前記巻回ステップS1では、前記図5(A)に示すように、前記一体押出成形体21を、ドラム22上にて、前記ビードエーペックスゴム8のタイヤ軸方向内側面8Si(図2に示す)をなす該一体押出成形体21の一側面21Siを半径方向内側として一周巻きする。これにより、一体押出成形体21を横向きとした円筒状体23を形成する。
次に前記展開ステップS2では、図5(B)に示すように、前記円筒状体23を、前記一体押出成形体21の一側面21Siが半径方向となる円盤状に展開することにより、前記一体押出成形体21を縦向きとした生のビードエーペックスゴム8Nを形成する。なお前記ドラム22は、例えば図6に略示するように、周方向分割される複数のセグメント22Aを具え、各セグメント22Aが、その一側縁を支点として起立可能に枢支されることにより、円筒状から円盤状に展開しうる。
又前記圧接ステップS3では、前記生のビードエーペックスゴム8Nの下被覆部分12aを、生のビードコア5Nの半径方向外面5Sに圧接することにより生のビードコア5Nと生のビードエーペックスゴム8Nとの組立体20を形成する。この圧接は、前記半径方向外面5Sが角度θで傾斜しているため、生のビードコア5Nの平行移動によって行うことができる。なお生のビードコア5Nを圧接位置で待機させ、生のビードエーペックスゴム8Nの円筒状から円盤状への展開(展開ステップS2)と同時に、圧接させることもできる。
ここで、前記生のビードエーペックスゴム8Nは、底片部13aを被覆する薄い下被覆部分12aを具える。この下被覆部分12aは粘着性が高いため、圧接ステップS3によって組立体20を形成する際、およびこの組立体20を生タイヤ成形工程に投入する際において、粘着剥がれを抑制でき、工程不良を減じかつ生産性を向上させることができる。
以上、本発明の特に好ましい形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施できる。
図2に示すビード構造を有する重荷重用ラジアルタイヤを、本発明の製造方法に基づいて表1の仕様にて試作するとともに、そのときの工程不良率、生産性、及び形成されたタイヤのビード耐久性について互いに比較した。何れのタイヤも、ビードエーペックスゴムの高弾性ゴム部は断面L字状をなし、又表1に記載されたパラメータ以外は、各例とも実質的に同一とした。なお、主な共通仕様は次の通りである。
・タイヤサイズ :11R22.5
・タイヤ断面高さH :239.8mm
・リムサイズ:22.5×7.50、リムフランジ高さHf :12.7mm
・内圧 :800kPa
・カーカス
プライ数 :1枚
コード材料 :スチール
コードの配列角度 :88度(対タイヤ赤道)
・ベルト層
プライ数 :4枚
コード材料 :スチール
コードの配列角度 :右50度/右18度/左18度/左18度(対タイヤ赤道)
(内側のプライから外側のプライの順であり、「右」は平面視右上がりを示し、「左」は平面視左上がりを示す)
・ビード補強コード層(U字状)
プライ数 :1枚
コード材料 :スチール
コードの配列角度 :25度(対タイヤ赤道)
・ビードエーペックスゴムの高さH1 :75mm
・カーカスのプライ折返し部の高さH2 :32mm
・ビード補強コード層の外の巻上げ部の高さHo :22mm
の内片部の高さHi :22mm
・高弾性ゴム部の複素弾性率E1 :75.0MPa
・エーペックス本体の複素弾性率E2 :5.0MPa
<ビード耐久性>
ドラム試験機を用い、縦荷重(47.4kN:規格荷重の2倍)の条件下で、ドラム上を速度20km/hで走行させ、ビード部に損傷が発生するまでの走行時間が測定された。評価は、従来例の走行時間を100とした指数で表示した。数値が大きいほどビード耐久性に優れていることを示す。
<工程不良率>
タイヤ100本を製造し、ビードコアとビードエーペックスゴムとの組立体における粘着剥がれに起因した工程不良の発生率を算出し従来例を100とした指数で表示した。数値が小なほど工程不良が少なく優れている。
<生産性>
組立体を200本形成するときの工程時間(プリアッセンブル工程の工程時間)を測定し、その逆数を従来例を100とした指数で表示した。数値が大なほど生産性に優れている。
Figure 0005379553
テストの結果、実施例のタイヤは、粘着剥がれを抑制でき、それに起因する工程不良や生産性の低下を抑制しうる。
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A カーカスプライ
6a プライ本体部
6b プライ折返し部
8 ビードエーペックスゴム
12 エーペックス本体
12a 下被覆部分
12b 側被覆部分
13 高弾性ゴム部
13a 底片部
13b 立片部
20 組立体
21 一体押出成形体
23 円筒状体
S プリアッセンブル工程
S1 巻回ステップ
S2 展開ステップ
S3 圧接ステップ

Claims (3)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部と、このプライ本体部に連なり前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部とを有するカーカスプライからなるカーカス、
    及び前記ビードコアから半径方向外方にのびる断面略三角形状のビードエーペックスゴムを具える重荷重用ラジアルタイヤであって、
    前記ビードエーペックスゴムは、低弾性のゴムからなるエーペックス本体と、このエーペックス本体よりも高弾性のゴムからなりかつ前記エーペックス本体の内部に形成される高弾性ゴム部とからなり、
    しかも前記高弾性ゴム部は、前記ビードコアの半径方向外面に近接してタイヤ軸方向にのびる底片部と、この底片部のタイヤ軸方向内端から立ち上がり前記プライ本体部に近接して半径方向外側にのびる立片部とからなる断面L字状をなすとともに、
    前記エーペックス本体は、前記底片部とビードコアの半径方向外面との間に介在して該底片部を被覆する厚さ0.5〜2.0mmの下被覆部分と、前記立片部と前記プライ本体部との間に介在して該立片部を被覆する厚さ0.5〜2.0mmの側被覆部分とを含み、
    かつ前記ビードコアの断面中心Gから前記立片部の半径方向外端部までの半径方向高さh1を、前記断面中心Gから前記ビードエーペックスゴムの半径方向外端部までの半径方向高さH1の1/3〜2/3の範囲としたことを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤ。
  2. 前記立片部の厚さは、タイヤ半径方向外側に向かって漸減するとともに、断面中心Gから半径方向外方に25mmの距離を隔たるビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向外側面上の点P1から該外側面に直交してのびる基準線X1上における前記立片部の厚さT1は1〜4mm、かつ基準線X1上におけるビードエーペックスゴムの全厚さT0の10%以下としたことを特徴とする請求項1記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
  3. 前記底辺部の長さ方向中間位置における厚さtが、前記下被覆部分の厚さtaよりも大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
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