JP5376131B2 - 樹脂組成物および樹脂相溶化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物および樹脂相溶化剤に関するものであり、さらに詳しくは、自動車、電気・電子機器等で用いられる絶縁電線の絶縁被覆材として好適な樹脂組成物および樹脂相溶化剤に関するものである。
従来より、異なる種類の樹脂をブレンドすることにより、所望の物性のバランスに優れた樹脂組成物を構築することが試みられている。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンと、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルとをブレンドすることにより、成形性、耐薬品性、耐熱性、機械的強度等に優れた、実用性の高い樹脂組成物を構築することが試みられている。
しかしながら、異なる種類の樹脂は、互いに混ざりにくいことが多い。例えば、ポリオレフィンとポリエステルとは、ポリオレフィンが炭化水素系の無極性高分子であるのに対し、ポリエステルがカルボニル基や水酸基などの極性基を有する極性高分子であるなどの理由から、互いに混ざりにくい。
したがって、異なる種類の樹脂をブレンドすることにより得られる、良好な複合材料を構築するためには、異なる種類の樹脂の相溶性を向上させることが求められる。相溶性を向上させる方法としては、相溶化剤を添加する方法などがある。
相溶化剤の特性としては、1)ブレンドする樹脂のいずれにも溶解性を示す、2)ブレンドする樹脂のいずれにも反応性を示す、3)ブレンドする樹脂のうちの一部の樹脂には溶解性を示すとともに他の樹脂には反応性を示す、の3つの特性が考えられる。
特性1)は、ブレンドする樹脂との反応を全く伴わないものであるため、比較的、相溶性の向上効果が低い。また、特性2)は、ポリオレフィンとポリエステルとをブレンドする場合においては、ポリオレフィンには反応活性な官能基を有しないものもあるため、適用性に欠ける場合がある。したがって、ポリオレフィンとポリエステルとをブレンドする場合においては、特性3)が最も適する。よって、この場合には、ポリオレフィンには溶解性を示し、ポリエステルには反応性を示す相溶化剤が、相溶化剤として最も高い効果が期待できる。
このような相溶化剤を用いた例として、例えば特許文献1には、ポリエステル樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、エポキシ基含有エチレン共重合体とを溶融混練してなる樹脂組成物が開示されている。
特開2000−129099号公報
しかしながら、従来の樹脂組成物では、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性が十分ではなかった。そのため、得られた樹脂組成物は、耐摩耗性等の機械的特性が十分ではなかった。これは、エポキシ基含有エチレン共重合体では、ポリエステルに対する反応性が高いため、ポリエステルに対する相溶性が高くなりすぎてポリエステル側に偏在し、ポリオレフィンに対する相溶性が十分に発揮できないためと推察される。
本発明が解決しようとする課題は、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性に優れる樹脂組成物を提供することにある。また、他の課題としては、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性を向上させることが可能な樹脂相溶化剤を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、樹脂相溶化剤のポリエステルに対する反応性とポリオレフィンに対する相溶性とのバランスが重要であるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するため本発明に係る樹脂組成物は、(A)ポリオレフィンおよびポリエステルを含む樹脂成分、(B)前記ポリオレフィンと相溶可能な高分子で樹脂成分のポリオレフィンと同種のポリオレフィンよりなる高分子鎖と、前記高分子鎖に導入された、マレイン酸基およびマレイン酸塩基から選択される1種または2種以上の官能基と、を有する樹脂相溶化剤、とを含有し、(A)成分のポリオレフィンとポリエステルの配合比が、質量比で、ポリオレフィン/ポリエステル=80/20〜50/50の範囲内であることを要旨とするものである。
この際、前記(B)成分の官能基の含有量は0.1〜20質量%の範囲内にあることが望ましい。また、前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分は0.1〜40質量部の範囲内にあることが望ましい。そして、前記(A)成分のポリエステルは、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合物であると良い。
本発明に係る樹脂組成物によれば、ポリオレフィンおよびポリエステルを含む樹脂成分に、ポリオレフィンと相溶可能な高分子よりなる高分子鎖にカルボン酸基あるいはカルボン酸塩基が導入された樹脂相溶化剤を添加しているため、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性が向上し、耐摩耗性等の機械的特性に優れる。
これは、樹脂相溶化剤の官能基をカルボン酸基あるいはカルボン酸塩基としたことにより、官能基のポリエステルに対する反応性が、ポリエステルを変性させない程度に緩和され、その結果、樹脂相溶化剤のポリエステルに対する反応性とポリオレフィンに対する相溶性とのバランスが良くなったためと推察される。
この際、(B)成分の官能基の含有量が特定範囲内にある場合には、特に、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性に優れる。また、(A)成分と(B)成分との配合比が特定範囲内にある場合には、特に、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性に優れる。また、(B)成分の高分子鎖がポリオレフィンよりなる場合には、(A)成分中のポリオレフィンに対する相溶性に優れるため、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性がさらに向上する。
そして、本発明に係る樹脂相溶化剤によれば、ポリオレフィンと相溶可能な高分子よりなる高分子鎖にカルボン酸基あるいはカルボン酸塩基が導入された構造をしているため、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性を向上できる。これにより、耐摩耗性等の機械的特性に優れるポリオレフィン−ポリエステル系樹脂組成物を得ることができる。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明に係る樹脂組成物は、ポリオレフィンとポリエステルとをブレンドするものであり、ポリオレフィンとポリエステルとを含む樹脂成分と、特定の樹脂相溶化剤とを含有するものである。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系ゴム等が挙げられる。
ポリエチレンとしては、高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン重合ポリエチレン等が挙げられる。ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等が挙げられる。
エチレン−αオレフィン共重合体のαオレフィンとしては、炭素数3〜20程度のαオレフィン等が挙げられる。より具体的には、αオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1テトラデセン等が挙げられる。
エチレン−ビニルエステル共重合体のビニルエステルとしては、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等が挙げられる。
エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体のα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル等が挙げられる。
オレフィン系ゴムとしては、エチレンプロピレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴムなどが挙げられる。
エチレンプロピレン系ゴムとしては、エチレンおよびプロピレンを主成分とするランダム共重合体、および第3成分としてジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等のジエンモノマーを加えたものを主成分とするランダム共重合体等が挙げられる。
ブタジエン系ゴムとしては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体およびその水添または部分水添誘導体であるスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、1,2−ポリブタジエン、無水マレイン酸変性のスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、コアシェル構造を有する変性ブタジエンゴム等が挙げられる。
イソプレン系ゴムとしては、スチレン−イソプレンブロック共重合体およびその水添または部分水添誘導体であるスチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体、無水マレイン酸変性のスチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体、コアシェル構造を有する変性イソプレンゴム等が挙げられる。
ポリエステルとしては、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、多価カルボン酸と多価アルコールとヒドロキシカルボン酸との重縮合物などが挙げられる。ポリエステルが3価以上のカルボン酸あるいは3価以上のアルコールを含む重縮合物よりなる場合には、3次元構造を有するポリエステルを得ることができる。
ポリエステルとしては、より具体的には、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリ1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート(PCT)等が挙げられる。
ポリオレフィンとポリエステルの配合比は、所望の物性に応じて適宜選択すれば良いが、好ましくは、質量比で、ポリオレフィン/ポリエステル=20/80〜80/20の範囲内である。
本発明の樹脂相溶化剤は、樹脂成分のポリオレフィンと相溶可能な高分子よりなる高分子鎖と、この高分子鎖に導入された特定の官能基とを有するものである。本発明の樹脂相溶化剤は、この特定の官能基が樹脂成分のポリエステルと反応することにより、ポリエステルに対して相溶性を発揮するものである。この際、ポリエステルに対する反応性が高すぎると、樹脂相溶化剤がポリエステル側に偏在して、樹脂相溶化剤のポリエステルに対する反応性とポリオレフィンに対する相溶性のバランスが悪くなり、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性が悪化することが判明したため、本発明においては、樹脂相溶化剤に導入される官能基と樹脂成分のポリエステルとの反応性に着目し、ポリエステルを変性させない程度にポリエステルと反応する特定の官能基を導入している。
樹脂相溶化剤のポリエステルに対する反応性は、ポリオレフィンおよびポリエステルを含む樹脂成分と樹脂相溶化剤とを混練した樹脂組成物について熱分析(DSC測定)を行なうことにより判断できる。すなわち、樹脂相溶化剤のポリエステルに対する反応性が低い場合には、熱分析(DSC測定)において、ポリエステルの結晶化ピーク温度がほとんど変化しない。また、樹脂相溶化剤がポリエステル変性剤として作用し、ポリエステル自体の物性を変化させる場合には、熱分析(DSC測定)において、ポリエステルの結晶化ピーク温度が大きく変化する。したがって、樹脂相溶化剤のポリエステルに対する反応性は、熱分析(DSC測定)において、ポリエステルの結晶化ピーク温度の変化に注目すれば良い。
一方、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性も、上記樹脂組成物について熱分析(DSC測定)を行なうことにより判断できる。すなわち、独立して存在するポリオレフィンとポリエステルとの間に相互作用が生じる場合には、ポリエステルの結晶化ピークの大きさ(結晶化エネルギー)が減少するため、ポリエステルの結晶化ピークの大きさの変化に注目すれば良い。
そして、ポリエステルの結晶化ピーク温度の変化と、ポリエステルの結晶化ピークの大きさの変化との関係から、樹脂相溶化剤のポリエステルに対する反応性が、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性に影響を与えていることが分かる。そして、樹脂相溶化剤がポリエステルを変性させない程度にポリエステルと反応することにより、樹脂相溶化剤のポリエステルに対する反応性とポリオレフィンに対する相溶性がバランス良くなり、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性が向上する。
上述するように、ポリエステルに対する反応性の観点から、特定の官能基(以下、単に官能基とする。)は、カルボン酸基、カルボン酸塩基であり、酸無水物基は除かれる。官能基は、これらのうちの1種であっても良いし、2種以上の組み合わせであっても良い。官能基は、高分子鎖の末端にあっても良いし、高分子鎖の側鎖にあっても良いし、高分子鎖の末端と側鎖の両方にあっても良い。官能基は、高分子鎖の炭素に直接結合することにより高分子鎖に導入されていても良いし、炭素数1〜50のアルキル鎖、分子量100〜1000000の他の高分子鎖、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、あるいはこれらの組み合わせ等を介して導入されていても良い。
官能基の高分子鎖への導入方法としては、グラフト法や共重合法などがある。グラフト法においては、ポリオレフィンに、ポリアクリル酸等の、官能基を有するポリマーを導入することもできるし、ポリオレフィンに、ビニルカルボン酸等の、官能基を有するモノマーを導入することもできる。共重合法においては、ビニルカルボン酸等の、官能基を有するモノマーとオレフィンモノマーとを共重合することができる。
また、グラフト法や共重合法のいずれの方法においても、無水マレイン酸等の酸無水物構造を有するモノマーあるいはポリマーをポリオレフィンに導入後、酸無水物基を加水分解して、カルボン酸基あるいはカルボン酸塩基を生じさせるようにしても良い。
グラフト法において導入するポリマーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、またはそれらを共重合させたポリマーなどを挙げることができる。また、グラフト法あるいは共重合法において導入するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などを挙げることができる。
樹脂相溶化剤の分子構造中における官能基の量は、特に限定されるものではないが、0.1〜20質量%の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、0.5〜10質量%の範囲内である。官能基の量が0.1質量%未満では、樹脂成分のポリエステルと反応する反応部位が少なすぎるため、ポリエステルに対する相溶性が低くなりやすい。一方、官能基の量が20質量%を超えると、官能基の量が多すぎるため、樹脂成分のポリオレフィンに対する相溶性が低下しやすい。そのため、相溶効果が低くなりやすい。
樹脂組成物中における樹脂相溶化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂成分100質量部に対して0.1〜40質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは樹脂成分100質量部に対して1〜30質量部の範囲内、さらに好ましくは樹脂成分100質量部に対して5〜20質量部の範囲内である。樹脂相溶化剤の含有量が0.1質量部未満では、樹脂相溶化剤の含有量が少なすぎるため、相溶効果が低くなりやすい。一方、樹脂相溶化剤の含有量が40質量部を超えると、樹脂相溶化剤の含有量が多すぎるため、所望の物性のポリオレフィン−ポリエステル樹脂組成物が得られにくい。樹脂相溶化剤の含有量が1〜30質量部の範囲内、特に5〜20質量部の範囲内である場合には、より一層、相溶効果に優れる。
樹脂相溶化剤の高分子鎖を構成する高分子としては、好ましくはポリオレフィンである。樹脂相溶化剤の高分子鎖を構成するポリオレフィンとしては、樹脂成分のポリオレフィンにおいて示した上記ポリオレフィンと同様のものを挙げることができる。特に、樹脂成分のポリオレフィンと同種のポリオレフィンが好ましい。
本発明に係る樹脂相溶化剤の構造を化学構造式で表わすと、例えば以下の式1のようになる。
(式1)
R1−R2−R3
式1中、R1はポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンを示す。R2は炭素数1〜50のアルキル基、または分子量100〜1000000の高分子を示す。アルキル基または高分子中には、水酸基、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基を含んでいても良い。R3はカルボン酸基、またはその塩を示す。
本発明に係る樹脂相溶化剤として好適な化合物の具体例としては、例えば、プロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン、(メタ)アクリル酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレンなどが挙げられる。
本発明においては、その特性を阻害しない範囲で、他の樹脂成分や、添加剤を配合することができる。添加剤としては、金属水和物等の難燃剤、酸化防止剤、金属不活性化剤(銅害防止剤)、紫外線吸収剤、紫外線隠蔽剤、難燃助剤、加工助剤(滑剤、ワックス等)、充填剤、カーボンやその他の着色用顔料等、一般的に樹脂成形材料に使用される添加剤が挙げられる。また本発明の樹脂組成物は、必要に応じて架橋させても良い。架橋の手段は、過酸化物架橋、シラン架橋、電子線架橋などが挙げられるがその手法は問わない。
本発明に係る樹脂組成物は、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、樹脂相溶化剤、任意の樹脂成分、任意の添加成分をバンバリミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸混練押出機、ロール等の通常の混練機で溶融混練して均一に分散することで調製することができる。
このように、本発明においては、樹脂相溶化剤が、樹脂成分のポリオレフィンと相溶可能な高分子よりなる高分子鎖と、この高分子鎖に導入された特定の官能基とを有することにより、樹脂相溶化剤のポリエステルに対する反応性が、ポリエステルを変性させない程度に抑えられる。その結果、高分子鎖のポリオレフィンに対する相溶性との関係で、樹脂相溶化剤のポリエステル側への偏在が抑えられ、樹脂相溶化剤のポリエステルに対する反応性とポリオレフィンに対する相溶性のバランスに優れる。これにより、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性が向上する。
本発明に係る樹脂組成物は、一般のプラスチック材料をはじめとして、内外装材、保護材、電気絶縁体等を目的とした樹脂、それらのマスターバッチ、例えば自動車の内外装用樹脂や保護材、絶縁電線や光通信用ファイバーの被覆材等に好適に用いることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない(ただし、実施例2は、参考例2とする)
(樹脂相溶化剤の合成)
<化合物Aの合成>
無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成社製、ユーメックス1010)100gを熱キシレン1Lに溶解し、そこに1%水酸化ナトリウム溶液を1L加えた。2相に分離させたまま、80℃で一晩攪拌した。その後室温まで冷却し、1mol/L塩酸にて水相をpH2に調整した。分液ロートにて、キシレン相を分離し、純水1Lで2回洗浄後、キシレン相を2Lのメタノール中に攪拌しながら投入し、結晶化させた。結晶化物をろ取し、純水で2回洗浄した後、乾燥させ、黄色ポリマー90gを得た。
<化合物Bの合成>
無水マレイン酸変性ポリプロピレンに代えて、無水マレイン酸変性ポリエチレン(アルドリッチ社製)を用いた以外は化合物Aと同様の操作にて、合成を行なった。
(予備検討)
熱分析法により、各種樹脂相溶化剤のポリエステルに対する反応性について検討した。具体的には、ポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロE150GK)60質量部、PBT(東レ社製、トレコン1401X06)40質量部よりなる樹脂成分に対し、樹脂相溶化剤を10質量部加え、二軸混練機で混合した。得られた各樹脂組成物について、DSC測定によりPBTの結晶化ピーク温度と結晶化エネルギーを測定した。DSC測定は、サンプル片5mgを一旦300℃で融解し、10℃/minの速度で降温する条件で行なった。結果は、表1の通りである。
Figure 0005376131
DSC測定の結果から、エポキシ基含有PE(GMA−PE)を用いた場合には、PBTの結晶化ピーク温度が大きく変化しており、PBT自体の物性を変化させている(PBTを変性している)ものと推察される。このとき、PBTの結晶化エネルギーはほとんど変化していないことから、ポリプロピレンとPBTとを相溶する相溶効果はそれほど大きくないものと推察される。したがって、エポキシ基含有PEを用いた場合には、ポリエステルとの反応性が高いことから、ポリエステルとの相溶性が高くなりすぎて、ポリオレフィンとの相溶性が低下するため、ポリオレフィンとポリエステルとを相溶する本来の相溶効果が十分でないものと推察される。
無水マレイン酸変性PP(MAH−PP)を用いた場合には、PBTの結晶化ピーク温度はほとんど変化しておらず、PBTの変性は起きていないが、PBTに対する反応性も低いものと推察される。このとき、PBTの結晶化エネルギーはそれほど変化していないことから、無水マレイン酸変性PPを用いた場合には、PBTに対する反応性が低い結果、ポリプロピレンとPBTとを相溶する相溶効果はそれほど大きくないものと推察される。
マレイン酸変性PP(化合物A)、マレイン酸変性PE(化合物B)、アクリル酸変性PP(AA−PP)を用いた場合には、それぞれにおいて、PBTの結晶化ピーク温度は若干変化しており、PBTを変性させない程度にPBTと反応しているものと推察される。このとき、PBTの結晶化エネルギーは大きく減少しており、ポリプロピレンとPBTとを相溶する相溶効果が大きいものと推察される。
(実施例1〜10)
表2に記載の成分組成(質量部)となるように、樹脂成分と、樹脂相溶化剤と、添加剤とを、二軸混練機を用いて任意の温度で混合した後、ペレタイザーにてペレット状に成形して樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを押出成形機により、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅撚線の導体(断面積:0.5mm)の外周に0.2mm厚で押出して、樹脂組成物からなる絶縁材により導体が被覆された絶縁電線を得た。
(比較例1〜12)
表3に記載の成分組成(質量部)とした以外は、実施例と同様にして、比較例に係る絶縁電線を得た。
実施例及び比較例で得られた絶縁電線を用いて、物性評価の一例として耐摩耗性試験を行った。試験の結果を表2および表3に示す。耐摩耗性試験方法は下記の通りである。
〔耐摩耗性試験方法〕
JASO D611−94に準拠して、ブレード往復法により試験を行った。具体的には、絶縁電線を750mmの長さに切り出して試験片とし、試験片を台上に固定した後、25℃の室温下で、試験片の被覆材表面を軸方向に10mmの長さにわたって毎分50回の速さで荷重7Nでブレードを往復させ、導体に接するまでの往復回数を測定した。この操作を、軸方向に100mm、時計方向に90°回転させたところと、さらに軸方向に100mm、時計方向に90°回転させたところで繰返し、同一試験片について合計3回、往復回数を測定した。その結果、3回の平均往復回数(摩耗回数)が500回を超えた場合を合格とした。
Figure 0005376131
Figure 0005376131
(樹脂成分)
・ポリプロピレン(PP):プライムポリマー社製、「プライムポリプロE−150GK」
・ポリエチレン(PE):プライムポリマー社製、「ハイゼックス5000S」
・エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):三井デュポンポリケミカル社製、「エバフレックスEV360」
・ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO):プライムポリマー社製、「T310E」
・ポリブチレンテレフタレート(PBT):東レ社製、「トレコン1401X06」
・ポリエチレンテレフタレート(PET):帝人化成社製、「TR8550T」
(樹脂相溶化剤)
・マレイン酸変性ポリプロピレン(MA−PP):化合物A
・マレイン酸変性ポリエチレン(MA−PE):化合物B
・アクリル酸変性ポリプロピレン(AA−PP):ケムチュラ社製、「ポリボンド1002」
・無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAH−PP):三洋化成社製、「ユーメックス1010」
・エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(GMA−PE):アルドリッチ社製、エポキシ基含有エチレン系共重合体(エポキシ系添加剤)
(添加剤)
・金属水和物:マーチンスベルグ社製、「マグニフィンH10」
・メラミンシアヌレート:DSMジャパン社製、「melapurMC15」
・縮合リン酸エステル:ADEKA社製、「アデカスタブFP−700」
・クレー:白石カルシウム社製、「オプチホワイト」
・炭酸カルシウム:白石カルシウム社製、「白艶華CCR」
・酸化防止剤:チバスペシャリティケミカルズ社製、「イルガノックス1010」
・金属不活性化剤:チバスペシャリティケミカルズ社製、「イルガノックスMD1024」
表2の実施例1〜10と表3の比較例1〜10から、本発明に係る樹脂相溶化剤を用いることにより、種々のポリオレフィン−ポリエステル樹脂組成物の耐摩耗性が格段に向上することが確認できた。また、表3の比較例11および比較例12から、無水マレイン酸変性ポリプロピレンやエポキシ基含有エチレン系共重合体を用いた場合では、ポリオレフィン−ポリエステル樹脂組成物の耐摩耗性向上効果が小さいことが確認できた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、上記実施例においては、一例として、本発明に係る樹脂組成物を用いて絶縁電線を作製し、絶縁電線の耐摩耗性に関する物性評価を行なったが、樹脂組成物の相溶性に影響される成形性、耐薬品性、耐熱性、機械的強度などの他の物性に関しても、同様に向上効果を奏することは容易に推察される。

Claims (3)

  1. 下記(A)(B)を含有し、(A)成分のポリオレフィンとポリエステルの配合比が、質量比で、ポリオレフィン/ポリエステル=80/20〜50/50の範囲内であることを特徴とする樹脂組成物。
    (A)ポリオレフィンおよびポリブチレンテレフタレートよりなるポリエステルを含む樹脂成分
    (B)前記ポリオレフィンと相溶可能な高分子で樹脂成分のポリオレフィンと構成単位が同一のポリオレフィンよりなる高分子鎖と、前記高分子鎖に導入された、マレイン酸基およびマレイン酸塩基から選択される1種または2種以上の官能基と、を有する樹脂相溶化剤(カルボジイミド基を有するものを除く)
  2. 前記(B)成分の官能基の含有量は、0.1〜20質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分は0.1〜40質量部の範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
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