JP5374885B2 - リチウムイオン電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池および組電池、並びにこれらを搭載する車両に関する。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
リチウムイオン二次電池の容量特性および出力特性などの特性の向上には、各活物質層を構成する活物質の選定が極めて重要な意味を持つ。
かかる要請により、リチウムイオン電池の負極活物質には、従来、リチウム金属またはリチウム合金が用いられていたが、充電時にリチウムのデンドライトが生成するために内部短絡を起こしやすく安全性に欠けるという問題があった。そのため現状では、リチウム金属やリチウム合金に代えて、コークスや黒鉛などの炭素材料が負極活物質として用いられている。しかし、このような炭素材料は、初期数サイクルの間に5〜30%の不可逆特性を示す。このような不可逆容量は、電池のエネルギー密度面で不利に作用する。即ち、負極の初期の不可逆容量が増大して、そのままでは容量の小さい高価な正極を浪費するだけでなく、電池の容量もごく小さなものになってしまう問題があった。
また、最近では、高容量負極活物質として、Liと合金化可能なシリコン(Si)、スズ(Sn)などが研究されている。Liと合金化可能なシリコンやスズを負極活物質として用いるリチウムイオン電池は、容量を非常に大きくできるが、この負極活物質は劣化しやすく、不可逆特性が炭素材料よりもさらに大きいことが問題である。即ち、Liと合金化可能なSiやSn等の負極活物質は、充電に伴い、Liとの合金化により活物質中のリチウム量の増加によってその体積が数倍(3〜4倍程度)にも膨張する。放電時には逆に大きく体積種収縮する。そのためSiやSn等の負極活物質を用いた電池では、充放電サイクルを繰り返すにつれてSi等の負極活物質粒子の微粉化による劣化が起こり、電池の安全性やサイクル特性(耐久性)にとって大きな阻害要因となっている。
この問題を解決するために、例えば、特許文献1では、リチウム−シリコン合金と炭素から構成される材料として、炭素をシリコン粒子に被覆した材料を負極活物質として用いたリチウムイオン電池が開示されている。
特開2002−352797号公報
しかしながら、特許文献1では、正極容量に対してSi負極の容量を1.3〜3倍の範囲で使用されている。ここで正極容量は、単位面積あたりの正極の放電容量(表1の正極容量密度(mAh/cm)であり、Si負極の容量は、負極の放電容量(表1の正極容量密度(mAh/cm)である。このように正極に対して負極の容量を大過剰に使用すると、負極の初期容量ロスが大きくなり、容量の小さい正極をロスする。また、Si負極の表面保護被膜(シリコン粒子に被覆した炭素保護被膜)は、モータ駆動用二次電池用途のような、電池の過酷な使用条件下では、徐々に崩壊して、これを再生するためにSi負極の容量が消費され、そのために電池の容量が低下する。
そこで、本発明は、シリコン等の容量の非常に大きな負極を用いて、耐久性がよく、たとえ負極が劣化しても電池の容量が減少しにくいリチウムイオン電池を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、シリコン等の容量の非常に大きな負極を用いて電池を作製する場合、安定な正極を用いて、負極容量の10〜32%のみを使用するような構成で電池を組み、予め負極のみを、負極の初期容量ロスを超えてさらに深く充電しておくことにしたものである。これらによって、たとえ負極が容量劣化しても電池の容量は減少しない耐久性のよい電池を構成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、負極活物質がSi、Ge、Snから選ばれ、単位面積当たりの正極の放電容量が負極の放電容量に対して0.1〜0.32で、尚且つ電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にされているリチウムイオン電池である。
本発明によれば、容量が大きく低コストのSi等を負極活物質に使用できて、このSi負極活物質が劣化しても電池の容量が劣化しにくく、耐久性のよいリチウムイオン電池を構成できる。その結果、電池全体の容量特性の低下が効果的に防止され、高エネルギー密度のリチウムイオン電池を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、充放電でリチウムイオンを吸蔵放出できる正極と負極を、セパレータを介して対向させ、空隙部分にリチウムイオンを含む電解質を満たした構造のリチウムイオン電池において、負極活物質がシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)から選ばれるものであり、正極と負極の電気容量において、単位面積あたりの正極の放電容量が負極の放電容量に対して、0.1以上0.32以下であり、尚且つ電池使用前に負極のみがあらかじめ初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にされていることを特徴とするものである。
以下、図面を参照しながら、本発明のリチウムイオン電池の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
まず、本発明に係るリチウムイオン電池は、容量が大きく低コストのSi等の負極活物質が劣化しても電池の容量が劣化しにくく、耐久性に優れることから、車両の駆動電源用等として好適に利用できる。この他にも、小型で高容量化が強く求められる携帯電話やノート型パソコンなどの携帯・モバイル機器向けのリチウムイオン電池にも十分に適用可能である。
本発明の対象となるリチウムイオン電池は、例えば、形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など、従来公知のいずれの形態・構造にも適用し得るものである。積層型(扁平型)電池構造を採用することで簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点では有利である。
また、リチウムイオン電池内の電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、双極型でない(内部並列接続タイプ)電池および双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用し得るものである。
リチウムイオン電池内の電解質の種類で区別した場合には、電解質に非水系の電解液等の溶液電解質を用いた溶液電解質型電池、電解質に高分子電解質を用いたポリマー電池など従来公知のいずれの電解質のタイプにも適用し得るものである。該ポリマー電池は、更に高分子ゲル電解質(単にゲル電解質ともいう)を用いたゲル電解質型電池、高分子固体電解質(単にポリマー電解質ともいう)を用いた固体高分子(全固体)型電池に分けられる。このうち、ポリマー電池、なかでも固体高分子(全固体)型電池は、液漏れが生じないので、液絡の問題が無く信頼性が高く、かつ簡易な構成で出力特性に優れた電池を形成することができる点で有利である。
以下の説明では、本発明の双極型でない(内部並列接続タイプ)リチウムイオン電池及び双極型(内部直列接続タイプ)のリチウムイオン電池につき図面を用いて説明するが、決してこれらに制限されるべきものではない。
図1は、本発明のリチウムイオン電池の代表的な一実施形態である、双極型でない積層型のリチウムイオン二次電池(以下、単にリチウムイオン電池ともいう)の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の電池要素(発電要素)17が、電池外装材22であるラミネートシートの内部に封止された構造を有する。詳しくは、電池外装材22であるラミネートフィルムに高分子−金属複合ラミネートフィルムを用いて、その周辺部の全部を熱融着にて接合することにより、電池要素(発電要素)17を収納し密封した構成を有している。
発電要素17は、正極集電体11の両面に正極(正極活物質層)12が形成された正極板、電解質層13、および負極集電体14の両面(発電要素の最下層及び最上層用は片面)に負極(負極活物質層)15が形成された負極板を積層した構成を有している。この際、一つの正極板片面の正極12と前記一の正極板に隣接する一つの負極板片面の負極15とが電解質層13を介して対向するようにして、正極板、電解質層13、負極板の順に複数積層されている。
これにより、隣接する正極12、電解質層13および負極15は、一つの単電池層16を構成する。従って、本実施形態のリチウムイオン電池10は、単電池層16が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。また、単電池層16の外周には、隣接する正極集電体11と負極集電体14間を絶縁するためのシール部(絶縁層)(図示せず;図2の符号43を参照)が設けられていてもよい。発電要素17の両最外層に位置する最外層正極集電体11aには、いずれも片面のみに正極12が形成されている。なお、図1と正極板と負極板の配置を変えることで、発電要素17の両最外層に最外層負極集電体が位置するようにし、該最外層負極集電体の場合にも片面のみに負極が形成されているようにしてもよい。
また、上記の各電極板(正極板及び負極板)と導通される正極タブ18および負極タブ19が、各電極板の正極集電体11及び負極集電体14に取り付けられ、上記熱融着部に挟まれて上記の電池外装材22の外部に露出される構造を有している。正極タブ18および負極タブ19は、必要に応じて正極端子リード20および負極端子リード21を介して、各電極板の正極集電体11及び負極集電体14に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい(図1では本形態を示す)。但し、各電極板の正極集電体11が延長されて正極タブ18とされ、電池外装材22から導出されていてもよい。同様に、各電極板の負極集電体14が延長されて負極タブ19とされ、同様に電池外装材22から導出される構造としてもよい。
図2は、本発明のリチウムイオン電池の他の代表的な他の一実施形態である双極型の積層型リチウムイオン二次電池(以下、単に双極型リチウムイオン電池とも称する)の全体構造を模式的に表わした概略断面図である。
図2に示すように、双極型リチウムイオン電池30は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素(電池要素;積層体)37が、電池外装材42の内部に封止された構造を有する。双極型リチウムイオン電池30の発電要素37は、1枚または2枚以上で構成される双極型電極34で電解質層35を挟み、隣合う双極型電極34の正極(正極活物質層)32と負極(負極活物質層)33とが対向するようになっている。ここで、双極型電極34は、集電体31の片面に正極32を設け、もう一方の面に負極33を設けた構造を有している。すなわち、双極型リチウムイオン電池30では、集電体31の片方の面上に正極32を有し、他方の面上に負極33を有する双極型電極34を、電解質層35を介して複数枚積層した構造の発電要素37を具備してなるものである。
隣接する正極32、電解質層35および負極33は、一つの単電池層(=電池単位ないし単セル)36を構成する。従って、双極型リチウムイオン電池30は、単電池層36が積層されてなる構成を有するともいえる。また、電解質層35からの電解液の漏れによる液絡を防止するために単電池層36の周辺部にはシール部(絶縁層)43が配置されている。該シール部43を設けることで隣接する集電体31間を絶縁し、隣接する電極(正極32及び負極33)間の接触による短絡を防止することもできる。
なお、発電要素37の最外層に位置する正極側電極34a及び負極側電極34bは、双極型電極構造でなくてもよく、集電体31a、31b(または端子板)に必要な片面のみの正極32または負極33を配置した構造としてもよい。発電要素37の最外層に位置する正極側の最外層集電体31aには、片面のみに正極32が形成されているようにしてもよい。同様に、発電要素37の最外層に位置する負極側の最外層集電体31bには、片面のみに負極33が形成されているようにしてもよい。また、双極型リチウムイオン電池30では、上下両端の正極側最外層集電体31a及び負極側最外層集電体31bにそれぞれ正極タブ38および負極タブ39が、必要に応じて正極端子リード40及び負極端子リード41を介して接合されている。但し、正極側最外層集電体31aが延長されて正極タブ38とされ、電池外装材42であるラミネートシートから導出されていてもよい。同様に、負極側最外層集電体31bが延長されて負極タブ39とされ、同様に電池外装材42であるラミネートシートから導出される構造としてもよい。
なお、双極型電極34(電極34a、34bを含む)の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。また、双極型リチウムイオン二次電池30では、電池の厚みを極力薄くしても十分な出力が確保できれば、双極型電極34の積層回数を少なくしてもよい。双極型リチウムイオン電池30でも、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、発電要素37部分を電池外装材(外装パッケージ)42に減圧封入し、正極タブ38及び負極タブ39を電池外装材42の外部に取り出した構造とするのがよい。この双極型リチウムイオン電池30の基本構成は、複数積層した単電池層36が直列に接続された構成ともいえるものである。
リチウムイオン電池10と双極型リチウムイオン電池30の各構成要件および製造方法に関しては、双方の電池内の電気的な接続形態(電極構造)が異なることを除いては、基本的には同様である。よって、上記したリチウムイオン電池10の各構成要件を中心に、以下説明する。ただし、双極型リチウムイオン電池30の各構成要件および製造方法に関しても、同様の構成要件及び製造方法を適宜利用して構成ないし製造することができることは言うまでもない。また、本発明のリチウムイオン電池10および/または双極型リチウムイオン電池30を用いて、組電池や車両を構成することもできる。
以下、本発明の特徴的な構成について、詳細に説明する。本発明の特徴的な構成要件としては、(1)〜(3)の構成要件を具備するものである。
(1)前記負極を構成する主要成分である、負極活物質がシリコン、ゲルマニウム、スズから選ばれるものである。
(2)前記正極と前記負極の電気容量において、単位面積あたりの前記正極の放電容量が負極の放電容量に対して、0.1以上0.32以下である。
(3)電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分を超えて充電状態(部分的充電状態)にされているものである。
上記(1)〜(3)の構成要件を具備することにより、たとえ負極が劣化しても電池の容量が減少しにくい耐久性のよい電池を製造できる。以下、上記(1)〜(3)の要件につき説明する。
(1)の要件について
本発明に用いられる負極活物質は、シリコン、ゲルマニウム、スズから選ばれるものである。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。コスト面を更に考慮すれば、シリコンが最も安価で望ましく、次にスズ、ゲルマニウムの順である。これらの負極活物質は、本来的に容量が非常に大きく、安価に入手できる材料である。そのため、これら材料の持つ充放電に伴う膨張収縮による負極劣化問題を解消することで、高容量化された電池の容量を長期間安定に保持でき、耐久性に優れた電池を提供できるものである。その結果、たとえ負極が劣化しても電池の容量が減少しにくい耐久性のよい高エネルギー密度のリチウムイオン電池を製造できる点で優れている。なお、負極が劣化する機構は、後述する結晶状態にあることによる膨張収縮による体積変化以外にも、アモルファス状態のみで使われていても、負極活物質粒子表面に形成されている被膜が壊れると、また被膜を作る為に容量が費やされることになり、劣化していく。特に高温になると表面被膜が壊れやすく、自らの容量を犠牲にして被膜を形成するため、充放電サイクルを経るにしたがって容量劣化することになる。
従って、前記負極活物質は、シリコンを主成分、具体的にはシリコンの含有量を50質量%以上、好ましく70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%とすることが望ましい。上記に規定するように負極活物質の組成として、シリコンを主成分、とりわけシリコンの含有量を100質量%とすることにより、容量が非常に大きくできるので、サイクル耐久性がよく電池容量が劣化しにくく、高容量の電池を構成できる点で優れている。またシリコンは、半導体産業等の原料として量産化されており、安定的かつ安価に入手できるため、低コストに電池を提供できる利点でも優れている。
(2)及び(3)の要件について
本発明では、正極と負極の電気容量において、単位面積あたりの正極の放電容量が負極の放電容量に対して、0.1以上0.32以下であり、尚且つ電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にされていることを特徴とする。図4を用いて、従来例の電池と対比して説明する。図4は、本発明の効果が得られるメカニズムを説明するための模式図であって、本発明の電池と従来の電池での、正極とシリコンを負極活物質に用いた負極(図中、Si負極)の充放電状態の変化を示す模式図である。図4(a)は、プレ充電処理を行った負極を用いた本発明の電池での正極と負極の充放電状態の様子を示す模式図であり、図4(b)は、プレ充電処理しない負極を用いた従来の電池での正極と負極の充放電状態の様子を示す模式図である。尚、図4のSi負極に示される符号E:「不安定領域」とは、後述する図3でも説明しているが、簡単に言えば、Si負極が、充電に伴い活物質中のLiが増えて、Li15Si組成の充電量(3580mAh/g)を超えた充電領域をいう。かかる組成を超えなければアモルファス状態であり体積変化が少ないが、この組成を超えてLiが増大すると結晶化してそれにより粒子の崩壊がおこるようになる。一方、Si負極に示される符号C:「安定領域」とは、Li15Si組成の充電量(3580mAh/g)を超えないアモルファス状態の充電領域を言う。
まず、リチウムイオン電池において、正極容量に比べて負極の容量をわずかに過剰に(通常1.2倍程度)に使用して、負極でのリチウム析出を防ごうとするのは、公知のことである。更に、正極に対してSi負極の容量を1.3〜3倍の範囲で過剰に使用するということも既に特許文献1で開示されている。図4(b)に示すように、このSi負極の容量(図4(b)の符号D:「負極総容量」部分に相当)は極めて大きいので、この3倍を超える容量を使用しなくとも容量は十分である。さらにこの3倍を超えないように負極の使用割合を下げれば問題の充放電に伴う膨張収縮も減少してより安定になる。即ち、図4(b)の「電池容量」が、Si負極の符号E:「不安定領域」部分の充電領域まで使用されないので、膨張収縮も減少してより安定になる。こうすることによって、負極の使用割合に占める負極の初期の不可逆容量(符号F:「初期不可逆容量」)が増大して、そのままでは容量の小さい高価な正極を浪費する(「正極ロス容量」が増える)だけでなく、電池容量もごく小さなものになってしまう(図4(b)参照)。この問題を解決するために、本発明者らは、図4(a)に示すように、負極を電池の充放電に先立ち予め十分深く初期の不可逆容量を超えて充電しておくこと(図4(a)の符号A:「プレ充電処理(容量)」)によってこの問題は解決できることを新たに見出したものである。即ち、図4(a)に示すように、電池の充放電の際には、既に負極の初期不可逆容量(符号F)が除去されている。その為、電池の充放電により、容量の小さい高価な正極の浪費がなく(「正極ロス容量」が解消できる)だけでなく、電池容量も設計通りの容量を確保できるものである(図4(a)と(b)を対比参照のこと)。また、正極に対するSi負極の容量(符号D:「負極総容量」)が極めて大きいので、図4(b)で説明したと同様に、問題の充放電に伴う膨張収縮も解消してより安定にできる。即ち、図4(a)の「電池容量」でも、Si負極の符号E:「不安定領域」部分の充電領域まで使用されないので、膨張収縮も解消してより安定になる。なお、正極に対してシリコン負極の容量を3倍を超える容量が、本要件(2)で規定する0.32以下に相当する。
つまり、このシリコン等の高容量負極の容量の32%以下を使用する構成として、尚且つ、負極のみをその初期の不可逆容量を超えて充電状態(部分的充電状態という)にすることにより、負極が劣化しても電池全体としては容量劣化しない電池を構成できる。ここで、負極の利用量を10%より小さくすると、電池としては安定になるが、電池の容量が小さくなりより大きな電気エネルギーを必要とする電気自動車等への応用は魅力が少なくなってしまう。かかる観点から、単位面積あたりの正極の放電容量が負極の放電容量に対して、0.1以上0.32以下であることを要件したものである。単位面積あたりの正極の放電容量が負極の放電容量に対して、好ましくは0.2以上0.32以下である。
上記単位面積あたりの正極の放電容量及び負極の放電容量は、以下に示す低速での充放電の条件により、実際に充放電を行って求めた放電容量の値を用いるものとする。
低速での充放電の方法:理論容量換算で0.1C(10時間で反応しきる電流値)での充放電を行い算出する。以下に、負極活物質としてシリコン(Si)を用いた例にとり詳しく説明する。
Siの場合には、Si原子1個当たりの吸蔵・放出が可能なリチウムイオンは4.4個であることから、Siの単位重量当たりの理論容量は4200mAh/g(Li4.4Si)となる。この理論容量を用いて、単位面積当たりの電極に含まれるSi量(負極活物質含有量)に対応する負極の理論容量を算出する。この負極の理論容量に対して、0.1Cの電流値にて定電流にて5mV(リチウム対極に対して)まで充電し、その後5mVの定電位で合計15時間充電して、その後0.1Cの電流値で2Vまで放電する。かかる充放電結果より、単位面積あたりの放電容量を算出したものを「単位面積あたりの負極の放電容量」とする。本要件(2)の「単位面積あたりの負極の放電容量」は、上記要件(3)のように、電池使用前に予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にした負極を用いるのではなく、予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にする前の負極を用いるものとする。
同様に、正極活物質としてスピネル型リチウムマンガン複合酸化物(LiMn)を用いた例にとり詳しく説明する。
LiMnの反応を詳しく述べると、LiMn→Li+e+Mnで表され、その単位重量当たりの理論容量は148mAh/gとなる。この理論容量を用いて、単位面積当たりの電極に含まれるLiMn量(正極活物質含有量)に対応する正極の理論容量を算出する。この正極の理論容量に対して、0.1Cの電流値にて定電流にて4.3V(リチウム対極に対して)まで充電し、その後4.3Vの定電位で合計15時間充電して、その後0.1Cの電流値で3.5Vまで放電する。かかる充放電結果より、単位面積あたりの放電容量を算出したものを「単位面積あたりの正極の放電容量」とする。
次に、本要件(3)に規定する電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にされているように、負極のみを初期に充電する方法としては、以下に示すようないくつか可能な方法が例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。
a)一つは、電極を着脱可能なセルに組んで、リチウム対極にて充放電を行った後に、充電状態の電極を使用して電池を作製する方法である。かかる充放電条件としては、特に制限されるものではなく、例えば、実施例に示す充放電条件が1例として挙げられるが、本要件の目的を損なわない範囲内であれば、これらの条件に何ら制限されるものではない。低い電流(低速)の方が望ましいが、必ずしも制限されない。また、実施例のように初期の充放電によるロス容量を除去するだけでなく、初期からある程度は充放電サイクルによってもロス分が発生し易いようであれば、更に充放電を行って不可逆容量分を除去した後に、可逆容量分を充電してもよい(部分的充電状態とする)。これは、負極が、正極に比して非常に大きな容量を持つため、ある程度の充放電を予め実施しても、電池性能や耐久性に大きな影響を与えない為である。また、不可逆容量分が分かっていれば、初期充電のみを実施して、不可逆容量分の除去と所定量の可逆容量分の充電を実施することも可能である。従って、初期放電は必ずしも必要ではない。本方法a)は、充放電条件による充放電量の制御(管理)が容易であり、正確な充電量を保持させることができる点で優れている。
b)また、セルを組む段階で、負極(負極活物質層)とセパレータとの間に、極薄いリチウム薄膜を挿入してセルを構成してから、電解液(あるいはゲルや固体電解質含有溶液またはプレゲルや固体電解質含有溶液など)をしみ込ませる方法である。かかる方法(構成及び操作)により、リチウム薄膜と負極の間で、酸化還元反応がおこり、負極がリチウム薄膜によって還元(充電)される。本方法b)〜d)については、予め予備実験などを行って、最適なリチウム薄膜の膜厚、リチウム金属粉末の塗布量、塗布厚、塗布液中のリチウム金属粉末濃度、リチウム金属の蒸着厚さや蒸着条件などを適宜決定するのが望ましい。量産化に当たっては、これらの方法が比較的簡単である為である。
c)また、上記b)のリチウム薄膜の代わりに、リチウムの粉末を負極表面に塗布し、乾燥してから電解液(あるいはゲルや固体電解質含有溶液またはプレゲルや固体電解質含有溶液など)をしみ込ませる方法である。かかる方法(構成及び操作)により、このリチウム金属粉末により負極を還元(充電)できる。
d)さらに、上記b)、c)のほか、負極の表面にリチウム金属を蒸着などの方法で付着させてセルを構成してから、電解液(あるいはゲルや固体電解質含有溶液またはプレゲルや固体電解質含有溶液など)をしみ込ませる方法を用いてもよい。上記b)、c)と同様に、かかる方法(構成及び操作)によっても、適当な方法で付着されたリチウム金属により負極を還元(充電)できる。
なお、負極の初期の不可逆容量分は、実施例に示す条件により充放電したときの充放電容量の差をいうものとする。
即ち、負極の初期不可逆容量分を算出にするための充放電の方法は、電極に着脱可能なコインサイズのセルを用意し、該セルの試験電極(負極)に本発明の負極を用い、対極(正極)にリチウム金属を用いて実施する。該セルにおいて、単位面積当たり0.5mAの定電流にて12時間充電を実施する。これにより、負極を満充電状態にする。その後10分間の休止時間をおいて、単位面積当たり1.0mAの定電流にて、カットオフ電圧1.5Vまで放電する。このときの充放電容量の差を負極の初期の不可逆容量分とする。なお、ここでの負極には、上記(2)の要件の「単位面積あたりの負極の放電容量」と同様に、予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にする前の負極を用いる。
また、上記(3)の要件において、電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にするときの充電度合いが、正極の容量の20%以上であることが望ましい。初期の不可逆容量を超えて充電する部分が、正極容量の20%以上あれば電池の容量が劣化しにくい電池を構成できる。その結果、たとえ負極が劣化しても電池の容量が減少しにくい耐久性のよい電池を製造できるためである。こうした観点から、電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にするときの充電度合いは、好ましくは正極の容量の20〜100%である。なお、ここでいう正極の容量とは、いわゆる可逆容量といえるものであるが、正極は容量ロスが殆どないことから、請求項1に規定する正極の放電容量と同義と考えてよい。
また負極活物質にSiを用いた場合、負極の不可逆容量を超えて充電される容量と正極の充電容量の和が、単位面積あたりの正極の最大の充電容量が負極を充電した場合に充電量でLi15Si組成(平均組成)を超えないような容量比にしてなることが望ましい。即ち、前記負極を充電する場合に、負極活物質をアモルファス状態でのみ使うことが望ましい。これは、シリコンはLi15Si組成を超えなければ、アモルファス状態(等方的な膨脹収縮になる)であり、このアモルファス状態を超えてリチウムが増大して結晶化しなければ粒子の崩壊がおこる恐れを格段に抑えることができるためである。なお、ここでいう負極を充電する場合には、電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にする際に充電(還元)する場合を含むことはいうまでもない。また、負極活物質が、アモルファス状態のみか、結晶状態のものを含むかは、電池を解体して適当量の負極活物質のサンプルをX線回折により分析することで判別することができる。
より好ましくは上記Li15Si組成(平均組成)の0.9倍を超えないような容量比にしてなることが望ましい。これは、平均組成がLi15Si組成の場合、粒子表面の一部が条件によっては結晶化してしまうおそれがあり、安全性を考慮して、Li15Si組成(平均組成)の0.9倍を超えないような容量比としたものである。具体的には、後述する実施例で説明してあるように、表1中の「負極の充電レベルがLi15Si組成の0.9倍に対する容量比」と同義であり、その求め方は以下の通りである。即ち、Siの理論容量を4200mAh/g(Li4.4Si)とし、Li15Siの理論容量を3580mAh/gとして、この90%の容量(3220mAh/g)を超えているかどうかで判定する。つまり、Si負極において、電池使用前に予め部分的充電状態にした際の充電容量と、電池使用時に充電状態にした際の充電量が、Li15Siの理論容量の90%の容量(3220mAh/g)を超えていなければ、当該要件を満足するものといえる。具体的には、当該Siの充電状態が0.765(0.9×3580/4200)を超えていなければ、当該要件を満足するものといえる。
これは、シリコンはLi15Si組成を超えなければ、アモルファス状態(等方的な膨脹収縮になる)であるが、この組成を超えてリチウムが増大すると結晶化してそれにより粒子の崩壊がおこる恐れがあるためである。すなわち、上記組成を超えて結晶化すると、膨張収縮が異方的になり、変化の大きい方向とそうでない方向ができ、変化の大きい方向ではより破壊されやすくなると考えられる。そこで、電池を充電した際に、負極の充電状態をLi15Si組成(平均組成)の0.9倍を超えない範囲に抑えれば、負極活物質組成の濃度分極により、平均組成より多少リチウムリッチになっても、部分的にLi15Si組成を大幅に超えないようにできる。その結果、たとえ負極が劣化しても電池の容量が減少しにくい耐久性のよい高エネルギー密度のリチウムイオン電池を製造できる点で優れている。
上記要件につき、図3を用いて説明する。図3は、本発明の効果が得られるメカニズムを説明するための模式図であって、本発明の電池の劣化前後での正極とシリコンを負極活物質に用いた負極(図中、合金負極)の充放電状態の変化を示す模式図である。図3(a)は、本発明の電池の劣化前での正極と負極の充放電状態の様子を示す模式図であり、図3(b)は、本発明の電池の劣化後での正極と負極の充放電状態の様子を示す模式図である。
まず、上記要件のうち、「負極の不可逆容量を超えて充電される容量」とは、電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にしたときの容量(図3(a)のプレ充電処理容量A)をいう。即ち、電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分(図3(a)の初期不可逆容量F)とこれを超えて充電された容量(図3(a)の可逆容量G)をいう。また、「正極の充電容量」とは、図3(a)に示す正極容量Bをいう。従って、「負極の不可逆容量を超えて充電される容量と正極の充電容量の和」とは、図3(a)に示すプレ充電処理容量A+正極容量Bとなる。即ち、Si負極において、電池使用前に予め部分的充電状態にした際の充電容量と、電池使用時に満充電状態にした際の充電量の和=電池を満充電したときのSi負極の充電状態の総容量(図3(a)の負極充電総容量(A+B)、図3(b)の「負極充電総容量」)になる。
また、「単位面積あたりの正極の最大の充電容量」は、正極容量Bであり、電池容量を意味する。即ち、本発明では、上記要件(2)で説明したように、正極容量に比べて負極の容量を3倍を超えることを必須の要件としており、図3(a)に示す初期の不可逆容量Fが予め除去されているとはいえ、なお、正極容量Bに比べて負極の容量Dが大過剰であることに変わりない。そのため、図3(a)に示すように、電池の充放電は、いずれも正極容量Bにより制限されることになる。したがって、「単位面積あたりの正極の最大の充電容量」とは正極、即ち電池を充電状態(満充電状態)にしたときの電池容量(=正極容量B)となる。このとき、負極は、図3(a)に示すように、正極容量Bと同じだけの充電量が蓄えられることになる。図3(a)のプレ充電処理容量Aの充電状態(放電状態b)の位置から充電状態aの位置まで充電される。
また「負極を充電した場合に充電量でLi15Si組成(平均組成)を超えない」とは、図3(a)に示すように、負極を充電した場合に充電量で安定領域Cを超えないという意味内容である。なお、Li15Si組成(平均組成)を超えているか否かは、負極の電位から判別できるし、更に充電を行ってみても判断できる。
ここで、図3(a)のプレ充電処理容量A(初期不可逆容量Fは一定の為、主として可逆容量G)を更に増やしていくと、放電状態aと充電状態bで挟まれる電池の充放電領域が図面の下方にシフトしていき、充電状態bが安定領域Cを超えて不安定領域Eに達する。即ち、放電状態aと充電状態bで挟まれる電池の充放電領域が図の下方(充電量が増加する方向)にシフトすれば、「単位面積あたりの正極の最大の充電容量」である正極容量B(電池容量)及び対応する負極の充電量も不安定領域Eに達するようになる。
よって、上記要件の「単位面積あたりの正極の最大の充電容量」が、「負極を充電した場合に充電量でLi15Si組成(平均組成)を超えない」とは、図3に示す電池の充電状態b及び対応するSi負極の充電量(充電状態)が、不安定領域Eに達しないという意味内容である。
なお、負極活物質のSiは、充電に伴い、Liとの合金化により活物質中のリチウム量の増加によって組成変化し、Li15Si組成までは、いわゆるアモルファス状態であり、体積変化が比較的小さく、安定領域Cである。更に充電がなされると、Li15Si組成を超えてリチウムが増大しアモルファス状態から結晶状態に変化し、不安定領域Eに達し、その際に大幅な体積の膨張が生じる(放電時には、逆に大きな体積の収縮が生じる)。こうした膨脹収縮により粒子の崩壊(微細化)が起こり、電極の劣化が進行することになる。即ち、膨脹収縮による活物質粒子の崩壊により、活物質の一部が集電体への電子の流れから切断されるため電池反応に寄与し得なくなる。その結果、電極が劣化することになる。
更に、上記要件の「容量比にした」とは、図3に示すプレ充電処理容量Aと正極容量Bの和(Siの充電状態)が、Si負極の理論容量に対して充電量で安定領域Cを超えないような容量比にすることを意味する。具体的には、上記Siの充電状態が、0.765(1.0×3580/4200)を超えないようにすることを意味する。好ましくはSi負極の理論容量に対して充電量で安定領域Cの0.9倍を超えないような容量比、具体的にはSiの充電状態が0.765(0.9×3580/4200)を超えないようにするのが望ましい(後述する実施例を参照のこと)。
即ち、本発明では、図3(b)に示すように、負極の劣化を大幅に抑制することはできても、充放電時の温度環境などにより劣化を完全になくすことはできない為、長期間、充放電を繰り返すことにより、負極の容量劣化は進行する。そうした負極の容量劣化後でも、電池使用前に予め負極に余分に充電されて蓄えられていた可逆容量G(図3(a)参照)を利用して、正極容量Bに相当する電池容量を確保することができるものである。したがって、図3(b)に示す可逆容量Gの残容量G’が残っている間は、たとえ負極が容量劣化しても電池の容量は減少しない電池を提供できるものである。
かかる観点から、図3(a)に示すプレ充電処理容量A、特に可逆容量Gをより大きくとっておくことで、より長期間安定した電池容量を確保し、耐久性に優れた電池を提供できる。しかしながら、可逆容量Gの更なる極大化を目指して、図3(a)に示す電池充電状態bでの負極充電総容量=プレ充電処理容量A(=F+G)+正極容量Bが、不安定領域Eに達するようになると、充放電に伴う膨張収縮が顕在化するようになる。
従って、充電状態bの負極充電総容量(F+G+B)が、充電量で安定領域Cを超えない範囲(F+G+B≧C)で、適切な電池容量(=正極容量B)を確保し、可逆容量Gがより大きくなるような容量比とするのが望ましい。好ましくは充電量で安定領域Cの0.9倍を超えない範囲で、適切な電池容量(正極容量B)を確保し、可逆容量Gがより大きくなるような容量比とするのが特に望ましいものである。
なお、本発明では、充放電を繰り返すことによりSi負極が劣化することで、図3(b)に示すように、劣化前の充放電状態a,bに比して、劣化後の充放電状態a’、b’は、充放電領域が図の上方(充電量が減少する方向)にシフトしていく。即ち、予めSi負極に蓄えていた可逆容量Gを徐々に消費しながら劣化するようになるため、電池容量(正極容量)のロス容量を生じさせることなく、長期間、安定した電池容量を確保することができるものである。
以上が、上記した(1)〜(3)の本発明の特徴的な構成要件に関する説明である。以上のように、本発明の電池によれば、シリコン等の容量の非常に大きな負極を用いて、耐久性がよく、たとえ負極が劣化しても電池の容量が減少しにくい耐久性のよいリチウムイオン電池を提供することができる。
以下、本発明のリチウムイオン電池を構成する部材について簡単に説明するが、下記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の形態が同様に採用されうる。
[集電体(最外層集電体を含む)](図1、2参照のこと)
集電体は、リチウムイオン電池及び双極型リチウムイオン電池のいずれに関しても、特に制限されるものではない。具体的には、集電体として、鉄、クロム、ニッケル、マンガン、チタン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、アルミニウム、銅、銀、金、白金およびカーボンよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種類の導電性に優れた材料で構成された集電体を用いることができる。具体的には、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス(SUS)箔などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。また本発明では、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、あるいはこれらの集電体材料の組み合わせのめっき材なども好ましく使える。また、上記集電体材料である金属(アルミニウムを除く)表面に、他の集電体材料であるアルミニウムを被覆させた集電体であってもよい。また、場合によっては、2つ以上の上記集電体材料である金属箔を張り合わせた集電体を用いてもよい。集電体の厚さは、特に限定されないが、通常は1〜100μm程度、好ましくは1〜30μmである。ただし、この範囲を外れる厚さの集電体を用いてもよい。集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。大型の電池に用いられる大型の電極を作製するのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。小型の電極を作製するのであれば、面積の小さな集電体が用いられる。
[電極(正極及び負極)]
正極(正極活物質層)および負極(負極活物質層)の構成は、リチウムイオン電池及び双極型リチウムイオン電池のいずれに関しても、上記した本発明の特徴的構成要件を具備してなるものであればよい。そのほかの構成に関しては、特に限定されず、公知の電極が適用可能である。電極には、電極が正極であれば正極活物質、負極であれば負極活物質が含まれる。正極活物質および負極活物質は、電池の種類に応じて適宜選択すればよい。
正極活物質の材料(材質)としては、本発明のリチウムイオン電池の特徴的な構成要件を具備するものであればよく、特に制限されるものではなく、電池の種類に応じて適宜選択すればよい。具体的には、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物、LiFeOなどのLi・Fe系複合酸化物などが挙げられる。この他、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOHなどが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。容量、出力特性に優れた電池を構成できることから、正極活物質として遷移金属とリチウムとの複合酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物)やリチウムと遷移金属の燐酸化合物を用いるのが望ましい。なかでも、LiFePO、LiMn、LiTi12から選ばれるものであることが望ましい。これは、安定な正極活物質を用いれば、相対的に正極の容量劣化はほぼ無視できるようになり、非常に耐久性のよい容量劣化しない高エネルギー密度のリチウムイオン電池を構成できるためである。LiCoOのように、充電上限電位を正確に規制しなければならない正極活物質よりも、上記の正極活物質のようにそれ自体には多少の過電圧が印加されても問題がない系の方が、システムとして使用する場合には制御しやすいためである。即ち、上記正極活物質の方が他の正極活物質よりも、電池を組み合わせて使用する場合には、シリコン等の劣化に伴う負極のわずかの充電電位の変化、しいては電池の電位のわずかな変化を吸収できるので、システムとして使用する場合には制御しやすいためである。上記の正極活物質の中でも特にLiFePOは非常に安定で高温、高電位でも劣化しない点で特に優れている。LiMnも高電位でも安定である点で優れている。
正極活物質の平均粒子径は、特に制限されるものではなく0.1〜50μm程度の範囲であるとよいが、電極抵抗を低減する観点からはより小さいものを使用するとよい。具体的には、0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。
正極(正極活物質層:片面)の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、通常1〜500μm程度、好ましくは20〜200μm程度である。
負極活物質に関しては、本発明の特徴的構成である上記(1)〜(3)の要件を満足する負極活物質を用いていればよく、これらに関しては既に説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
本発明の負極活物質では、上記した(1)〜(3)の特徴的な構成要件に加え、更に負極活物質の平均粒子径が0.005μm以上5μm以下であることが望ましい。これは、シリコン等の負極活物質の粒径が大きくなければ、濃度分極によって要件(3)の組成(即ち、単位面積あたりの正極の最大の充電容量が、負極を充電した場合に充電量でLi15Si組成(平均組成)の0.9倍)を超えにくくなる。そのため、負極のより深い充電レベルまで使用できるので、より高容量の電池を構成できる。その結果、耐久性のよい高エネルギー密度のリチウムイオン電池を製造できるためである。なお、活物質中でのイオンの拡散距離は、L〜(D・t)1/2で定義される。ここで、Dはイオンの拡散係数、tは時間である。よって、最適な負極活物質の平均粒子径は、かかる関係式を参考にして、電池を使用するレートとの関係を考えて決定すればよい。該平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定やレーザー回折/動的光散乱式粒度分布測定などにより測定することができる。以下に示す各種の厚さや平均粒子径についても、ここに述べた測定方法を用いて測定することができる。
負極(負極活物質層:片面)の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、通常1〜500μm、好ましくは30〜200μm程度である。
正極(正極活物質層:片面)12及び負極(負極活物質層)15は、いずれも通常のスラリーを塗布(コーティング)する方法のほか、スパッタ、蒸着、CVD、PVD、イオンプレーティングおよび溶射のいずれかの方法によっても形成することができる。
電極(正極12および負極15)は、電子伝導性を高めるための導電助材、バインダ、リチウム塩を含む電解質(全固体ポリマー、ゲル、電解液など)が含まれ得る。
電極(正極および負極)は、充放電でリチウムイオンを放出・吸蔵できる正極と、充放電でリチウムイオンを吸蔵・放出できる負極とからなるものである。さらにこれらの電極内の空隙部分に電解質が充填され得る。この正極及び負極は、いずれも活物質、リチウム塩を含む電解質(全固体ポリマー、ゲル、電解液など)を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。具体的には、電子伝導性を高めるための導電助剤、バインダなどが含まれ得る。
上記導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維などが挙げられる。導電助剤を含ませることによって、電極で発生した電子の伝導性を高めて、電池性能を向上させることができる。
上記バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム、ポリイミド、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
全固体ポリマー電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、それらの共重合体などのリチウム塩を含むイオン伝導性ポリマー(固体高分子電解質)などが挙げられる。また、イオン伝導性ポリマーが含まれる場合には、前記ポリマーを重合させるための重合開始剤が含まれてもよい。重合開始剤は、イオン伝導性ポリマーの架橋性基に作用して、架橋反応を進行させるために配合される。重合開始剤として作用させるための外的要因に応じて、光重合開始剤、熱重合開始剤などに分類される。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や、光重合開始剤であるベンジルジメチルケタール(BDK)等が挙げられる。
電解液の溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどから選ばれる非水溶媒が用いられるが、これらに限られるわけではない。また、種々の添加剤が用いられてもよい。
ゲル電解質は、PEOやPVdFなどのマトリックスポリマーに前述の電解液を含ませたものなどが利用できるがこれらに限られるわけではない。
使用されるリチウム塩は、電池の種類に応じて選択すればよい。電解質支持塩(リチウム塩)としては、無機酸陰イオン塩、有機酸陰イオン塩、またはこれらの混合物などが使用できる。上記無機酸陰イオン塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等が挙げられる。有機酸陰イオン塩としては、例えば、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON(LiBETIともいう)等が挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。本発明では、これらを1種又は2種以上を併用してもよい。
正極及び負極に含まれる各成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、リチウムイオン電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。即ち、活物質、導電助剤、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性高分子、電解液など)、リチウム塩などの電極の構成材料の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定することが好ましい。ただし、負極活物質の含有量は、上記した要件(2)を満足するように設定される必要がある。
[電解質層]
本発明の電解質層は、正極と負極をセパレータを介して対向させ、該セパレータの空隙部分に電解質を満たしたものである。ただし、本発明では、電解質層に、セパレータを用いることなく、固体高分子電解質やゲル電解質により、当該セパレータの機能を代替させてなるものも含むものとする。
ここで、「空隙部分に電解質を満たした」とは、必ずしも空隙部分全てに電解質が満たされている必要はない。特にゲル電解質や固体電解質においては、例えば、空隙部分の一部に他の添加剤、あるいはシール材やスペーサ等が充填・保持されていてもよいし、一部の空隙部分が残存するように電解質が充填されていてもよいことはいうまでもない。
上記電解質層を構成する電解質としては、一般に、液体電解質またはポリマー電解質が挙げられる。ポリマー電解質を用いる場合には、電解質などの液漏れが防止され、電池の安全性が向上しうる。また、液体電解質を用いる場合には、相対的に高いイオン伝導性に優れた電解質層を形成することができる。
ポリマー電解質は、イオン伝導性ポリマーから構成され、イオン伝導性を示すのであれば材料は限定されない。優れた機械的強度を発現させることが可能である点で、重合性のイオン伝導性ポリマーが、熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などにより架橋されてなるものが好適に用いられる。かかる架橋ポリマーを用いることで電池の信頼性が向上し、かつ簡易な構成で出力特性に優れた電池が作製される。
ポリマー電解質としては、真性ポリマー電解質、およびゲルポリマー電解質が挙げられる。
真性ポリマー電解質としては、特に限定されないが、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系高分子には、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。また、これらの高分子は、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。
また、ゲルポリマー電解質とは、一般的に、イオン伝導性を有する全固体高分子電解質に、電解液を保持させたものをいう。なお、本願では、リチウムイオン伝導性を有しない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも、ゲルポリマー電解質に含まれるものとする。用いられる電解液(電解質塩および可塑剤)の種類は特に制限されない。電解質塩としては、例えば、LiBETI、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO等のリチウム塩が例示される。また、可塑剤としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどのカーボネート類などが例示される。
電解質層がゲルポリマー電解質を含む場合、電解質層は、ゲルポリマー原料溶液を不織布などのセパレータに含浸させた後、上記の種々の方法を用いて重合することにより形成されたものであってもよい。セパレータを用いることにより、電解液の充填量を高めることができるとともに、電池内部の熱伝導性が確保されうる。
上記セパレータとしては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、上記電解質(特に電解液)を吸収保持ないし担持するポリマーからなる多孔性シートセパレータ、不織布セパレータなどを用いることができる。多孔性シートセパレータとしては、例えば、ポリオレフィン系微多孔質セパレータのようなポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミドなどが挙げられる。不織布セパレータの材質としては、例えば、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを用いることができる。
[シール部(絶縁層)]
シール部(シーラントないし周辺絶縁層とも称されている)は、電解質層からの電解液の漏れを防止するために単電池層の周辺部に配置されている。この他にも隣り合う集電体同士が接触したり、積層された電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こったりするのを防止することもできる。該シール部としては、例えば、PE、PPなどのポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、ポリイミドなどが使用でき、耐蝕性、耐薬品性、製膜性、経済性などの観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ただし、これらに何ら制限されるものではない。
[タブ]
リチウムイオン電池においては、電池外部に電流を取り出す目的で、各集電体あるいは最外層集電体に電気的に接続された電流取り出し用の高導電性タブ(正極タブおよび負極タブ)が電池外装材の外部に取り出されている(図1、2参照)。具体的には、集電体に直接または端子板やリードを介して電気的に接続された正極及び負極タブが、電池外装材の外部に取り出される。
タブを構成する材料は特に制限されず、従来用いられている公知の材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等が例示される。なお、正極タブと負極タブとでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。また、集電体の一部を延長することによりタブとしてもよいし、別途準備したタブを層集電体に接続してもよい。
[正極および負極端子板]
正極および負極端子板(図示せず)は、必要に応じて使用する。例えば、集電体から正極タブ及び負極タブを直接取り出す場合には、正極および負極端子板は用いなくてもよい。
正極および負極端子板の材料は、従来公知のリチウムイオン電池で用いられる材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、これらの合金を利用することができる。耐蝕性、作り易さ、経済性などの観点からは、アルミニウムを用いることが好ましい。さらに、端子部での内部抵抗を抑える観点から、正極および負極端子板の厚さは、通常、0.1〜2mm程度が望ましい。
[正極および負極リード]
正極および負極リードに関しても、必要に応じて使用する。例えば、集電体からタブを直接取り出す場合には、正極および負極リードは用いなくてもよい。
正極および負極リードの材料は、公知のリチウムイオン電池で用いられるリードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。タブ、端子板、リードはいずれも、超音波溶接などの溶接またはアルミペーストなどの導電性ペースト(接着剤)で接続することができる。
[電池外装材]
電池外装材としては、外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電池要素全体を電池外装材に収容するとよい。電池外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができほか、アルミニウムなど金属箔と合成樹脂膜からなるラミネートフィルムを用いた電池要素を覆うことができる袋状のケースを用いることができる。軽量化の観点から、金属箔を合成樹脂膜(高分子絶縁体フィルム)で被覆したラミネートパックなどの高分子−金属複合ラミネートフィルム(単に、ラミネートフィルムとも称する)が好ましい。
上記ラミネートフィルムとしては、特に制限されるべきものではなく、合成樹脂膜(高分子絶縁体フィルム)間に金属箔を配置し全体を積層一体化してなる従来公知のものを使用することができる。具体例としては、例えば、合成樹脂膜(高分子フィルム)からなる外装保護層(ラミネート最外層)、金属箔層、合成樹脂膜(高分子フィルム)からなる熱融着層(ラミネート最内層)のように配置し全体を積層一体化してなるものが挙げられる。詳しくは、外装材に用いられるラミネートフィルムは、上記金属箔の両面に、合成樹脂膜(高分子フィルム)として、まず耐熱絶縁樹脂フィルムを形成し、少なくとも片面側の耐熱絶縁樹脂フィルム上に熱融着絶縁性フィルムが積層されたものである。かかるラミネートフィルムは、適当な方法にて熱融着させることにより、熱融着絶縁性フィルム部分が融着して接合し熱融着部が形成される。上記金属箔としては、アルミニウム箔等が例示できる。また、上記絶縁性樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテトラフタレートフィルム(耐熱絶縁性フィルム)、ナイロンフィルム(耐熱絶縁性フィルム)、ポリエチレンフィルム(熱融着絶縁性フィルム)、ポリプロピレンフィルム(熱融着絶縁性フィルム)等が例示できる。ただし、本発明の外装材は、これらに制限されるべきものではない。
こうしたラミネートフィルムでは、超音波溶着等により熱融着絶縁性フィルムを利用して1対ないし1枚(袋状)のラミネートフィルムの熱融着による接合を、容易かつ確実に行うことができる。よって、本発明では、こうしたラミネートフィルムを用いて、その周辺部の一部または全部を熱融着にて接合することにより、電池要素を収納し密封した構成とするのが好ましい。
電池外装材にラミネートフィルムを用いる場合、上記タブ、端子板、リードなどは、上記熱融着部(封止部)に挟まれて電池外装材の外部に取り出される構造とすればよい。
[リチウムイオン二次電池の外観構成]
図5は、本発明に係るリチウムイオン電池の代表的な実施形態である積層型の扁平なリチウムイオン電池の外観を表した斜視図である。
図5に示すように、積層型の扁平なリチウムイオン電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ58、負極タブ59が引き出されている。発電要素(電池要素)57は、リチウムイオン電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素57は、正極タブ58及び負極タブ59を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素57は、先に説明した図1、2に示すリチウムイオン電池10、30の発電要素17、37に相当するものであり、正極12、32、電解質層13、35および負極15、33で構成される単電池層16、36が複数積層されたものである。
なお、本発明のリチウムイオン電池は、図1、2に示すような積層型の扁平な形状のものに制限されるものではない。巻回型のリチウムイオン電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。
また、図5に示すタブ58、59の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極タブ58と負極タブ59とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ58と負極タブ59をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図5に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
本発明のリチウムイオン電池は、電気自動車やハイブリッド自動車や燃料電池車などの大容量電源として、高容量で高体積エネルギー密度、高体積出力密度に優れ、耐久性が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
(製造方法)
本発明のリチウムイオン電池の製造方法については、上記要件(3)で説明したa)〜d)等に代表される負極のみを初期に充電する方法を行うことを除いては、特に制限はなく、電池の製造分野において従来公知の知見を参照して、製造されうる。以下、本発明のリチウムイオン電池の製造方法を、簡単に説明する。
まず、活物質を含むスラリーを集電体に塗布し、乾燥させて、電極を作製する。ここで、正極活物質を含むスラリーを調製する際には、LiFePO、LiMn、LiTi12等の正極活物質を、当該スラリー中に添加する。負極活物質を含むスラリーを調製する際には、Si、Ge、Snから選ばれる正極活物質を、当該スラリー中に添加する。この際、正極と負極の電気容量において、単位面積あたりの正極の放電容量が負極の放電容量に対して、0.1以上0.32以下となるように活物質の添加量や塗布厚さなどを適当に調整する。
次に、本発明では、得られた負極のみを上記要件(3)で説明したa)〜d)等に代表される負極のみを初期に充電する方法を用いて、電池使用前に負極のみがあらかじめ初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にされているようにする。
その後、上記で作製した正極及び負極と、セパレータ(電解質層)とを積層して、電池要素を作製する。電解質層の作製方法も特に制限されず、従来公知の手法により作製が可能である。特に、ゲルや固体電解質を含む場合には、予めセパレータにこれらの電解質を塗布、更には乾燥・加熱するなどして電解質層を形成しておいてもよい。
続いて、得られた電池要素の各集電体にそれぞれリードを接合し、これらの正極ないし負極リードを、まとめて正極ないし負極タブに接合し、正極及び負極タブが電池外部に露出するように、電池要素をラミネートシート中に入れ、真空に封止する。なお、電解質層が電解液を含む場合、すなわち、電解質層が液体電解質またはゲル電解質を含む場合には、ラミネートシートの封止前に、電解液を注液すればよい。これにより空隙部に電解質を満たすことができる。
以上の工程により、複数の単電池層を有する本実施形態のリチウムイオン電池が構成する。こ
[組電池]
本発明の組電池は、本発明のリチウムイオン二次電池を複数個接続して構成した物である。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。なお、本発明の組電池では、本発明の非双極型リチウムイオン二次電池と双極型リチウムイオン二次電池を用いて、これらを直列に、並列に、または直列と並列とに、複数個組み合わせて、組電池を構成することもできる。
また、図6は、本発明に係る組電池の代表的な実施形態の外観図であって、図6Aは組電池の平面図であり、図6Bは組電池の正面図であり、図6Cは組電池の側面図である。
図6に示すように、本発明に係る組電池300は、本発明のリチウムイオン二次電池が複数、直列に又は並列に接続して装脱着可能な小型の組電池250を形成し、この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列に又は並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池300を形成することもできる。図6Aは、組電池の平面図、図6Bは正面図、図6Cは側面図を示しているが、作成した装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続し、この組電池250は接続治具310を用いて複数段積層される。何個の非双極型ないし双極型のリチウムイオン二次電池を接続して組電池250を作成するか、また、何段の組電池250を積層して組電池300を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
[車両]
本発明の車両は、本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を搭載したことを特徴とするものである。本発明のリチウムイオン電池を用いれば、電池のエネルギー密度が高くサイクル耐久性がよいので、電気自動車の航続距離を拡張でき、プラグインハイブリッド電気自動車の積載電池量を削減でき、ハイブリッド電気自動車の更なる高性能化が可能となる。言い換えれば、本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池は、車両の駆動用電源として極めて好適に用いられうる。本発明の車両としては、自動車ならばハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いることができる。高寿命で耐久性、信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、ハイブリッド電車などの駆動電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
図7は、本発明のリチウムイオン電池または該リチウムイオン電池を組み合わせた組電池を搭載した車両の概念図である。
図7に示したように、組電池300を電気自動車400のような車両に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は高い耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。さらに、燃費、走行性能に優れた電気自動車、ハイブリッド自動車を提供できる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
以下には、本発明の実施例と比較例を説明する。
まず、正極活物質LiFePOは、Deracourtらの方法により合成して使用した(Electrochemical Solid−State Letters,9(2006) A355.)。合成したLiFePOの平均粒径は5μmであった。負極活物質には平均粒子径1.4μmのシリコン粉末を用いた。バインダには、PVdFを用い、導電助剤としてアセチレンブラックを用いた。正極集電体には、厚さ20μmのアルミニウム箔を用い、負極集電体には厚さ15μmの銅箔を用いた。電解液としては、1M LiPF EC:DEC(3:7vol%)(ここで、ECはエチレンカーボネー、DECはジエチルカーボネートである。)を用いた。また、セパレータには25μm厚のポリプロピレンの微孔膜を使用した。電池の充放電試験にはコインセルを用い、負極の初期不可逆容量除去と負極を充電状態にするための過剰充電処理には、電極を着脱可能なコインサイズのセルを用い、対極にリチウム金属を用いて実施した。
<正極の作製>
正極の作製は、電極組成比(質量比)が、活物質LiFePO:アセチレンブラック:PVdF=86:7:7になるようにした。まず、活物質LiFePO、アセチレンブラックとPVdFを計量し、これに適量のNMP(N−メチルー2−ピロリドン)を加えてホモジナイザーの容器に入れ、よく撹拌・混合してスラリーを調製した。その後、ダイコーターを用いてこのスラリーをアルミニウム箔の片面に一定量塗布して乾燥し、ロールプレスにてプレスをかけた。この電極から、直径15mmの大きさで打ち抜いて、真空下100℃にて6時間加熱乾燥した。このようにして作製した正極の容量面密度(請求項1に規定する単位面積あたりの正極の放電容量)は、本明細書において規定した上記「低速での充放電の方法」で測定した結果、3.1mAh/cmであった。正極(正極活物質層)の厚さ(片面)は、出来上り時点で、155μmだった。
<負極の作製>
シリコン負極の作製は、電極組成比(質量比)が、活物質Si:アセチレンブラック:CMC(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩)=75:15:10になるようにした。まず、活物質Si、アセチレンブラックとCMCを計量し、これに適量のイオン交換水を加えてホモジナイザイーの容器に入れ、よく撹拌・混合してスラリーを調製した。その後、コーターを用いてこのスラリーを銅箔の片面に塗布して乾燥し、ロールプレスをかけた。なお、塗布量をいろいろ変えて負極を作製し、直径16mmの大きさで打ち抜いて、真空下100℃にて24時間加熱乾燥した。このようにして作製した塗布量の異なる負極を、それぞれ表1の実施例と比較例のための負極とした。このようにして作製した負極の容量面密度(請求項1に規定する単位面積あたりの負極の放電容量)についても、本明細書において規定した上記「低速での充放電の方法」で測定した結果を下記表1に示す。
<負極の初期不可逆容量除去と負極を充電状態にするため(=電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にするため)の過剰充電処理>
負極の初期不可逆容量除去と負極を充電状態にするための過剰充電処理には、電極に着脱可能なコインサイズのセルを用い、該セルの試験電極(負極)に上記「負極の作製」で得られた負極を用い、対極(正極)にリチウム金属を用いて実施した。まず、不可逆容量除去のために、すべての実施例のセルにおいて、単位面積当たり0.5mAの定電流にて12時間充電を実施した。その後10分間の休止時間をおいて、単位面積当たり1.0mAの定電流にて、カットオフ電圧1.5まで放電した(これにより、図3(a)の不可逆容量Fを除去できる)。その後それぞれの実施例において表1に示す所定の過剰充電量(図3(a)の可逆容量Gに相当)だけ単位面積当たり0.5mAの定電流にて充電して、電池構成のための負極とした。
なお、不可逆容量は、本明細書において規定した上記「低速での充放電の方法」で測定した結果、いずれの実施例についても、放電容量の約15%であった。
<試験用セルの作製>
以上のようにして作製した過剰充電シリコン負極と、先に作製した正極を用いて試験用のコインセルを作製した。即ち、コインセル容器内に過剰充電シリコン負極と正極を微孔膜セパレータを介して対向させ、真空乾燥機にて1日真空乾燥し、電解液を注入し、上蓋をして試験用コインセルとした。
<充放電電サイクル耐久試験>
上記で作製された試験用のコインセルを以下の充放電サイクル耐久試験に供した。
まず、試験用のコインセルの充放電は、温度50℃の恒温槽中にて行い、6.2mAの定電流にて、充電3.6Vカットオフ、放電2.0Vカットオフにて30サイクル実施して、それぞれのセルの容量維持率を表1に示した。なお、表1の比較例1と2においては、実施例にて行った初期不可逆容量除去とそれに続く過剰充電処理をせずにコインセルを組んで、実施例と同じ条件下で充放電サイクル耐久試験を実施して、結果を表1に加えた。なお、セルの容量維持率は、第一回目のサイクルの放電容量に対する30サイクル後の放電容量の比として算出した。
Figure 0005374885
上記表中の「負極の充電レベルがLi15Si組成の0.9倍に対する容量比」の求め方は以下の通りである。
Siの理論容量を4200mAh/g(Li4.4Si)とし、Li15Siの理論容量を3580mAh/gとして、この90%の容量(3220mAh/g)を超えているかどうかで判定する。つまり、Siの充電状態が0.765(0.9×3580/4200)を超えているかどうかで決める。表の中では、判定しやすいようにこの0.765に対する比を示した。
表1の結果からわかるように、単位面積あたりのシリコン負極容量に対する正極容量の比を小さくして、尚且つ負極の初期不可逆容量を超えて更に負極のみを過剰充電した構成にてセルを作製すると、シリコン負極で問題であったサイクル耐久性が大幅に改善される。
本発明のリチウムイオン電池の代表的な一実施形態である積層型の扁平な非双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明のリチウムイオン電池の代表的な他の一実施形態である積層型の扁平な双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明の効果が得られるメカニズムを説明するための模式図であって、本発明の電池の劣化前後での正極とシリコンを負極活物質に用いた負極(図中、合金負極)の充放電状態の変化を示す模式図である。図3(a)は、本発明の電池の劣化前での正極と負極の充放電状態の様子を示す模式図であり、図3(b)は、本発明の電池の劣化後での正極と負極の充放電状態の様子を示す模式図である。 本発明の効果が得られるメカニズムを説明するための模式図であって、本発明の電池と従来の電池での、正極とシリコンを負極活物質に用いた負極(図中、Si負極)の充放電状態の変化を示す模式図である。図4(a)は、プレ充電処理を行った負極を用いた本発明の電池での正極と負極の充放電状態の様子を示す模式図であり、図4(b)は、プレ充電処理しない負極を用いた従来の電池での正極と負極の充放電状態の様子を示す模式図である。 本発明に係るリチウムイオン電池の代表的な実施形態である積層型の扁平なリチウムイオン二次電池の外観を模式的に表した斜視図である。 本発明に係る組電池の代表的な実施形態を模式的に表した外観図であって、図6Aは組電池の平面図であり、図6Bは組電池の正面図であり、図6Cは組電池の側面図である。 本発明の組電池を搭載した車両の概念図である。
符号の説明
10 リチウムイオン二次電池、
11 正極集電体、
11a 最外層正極集電体、
12、32 正極(正極活物質層)、
13、35 電解質層、
14 負極集電体、
15、33 負極(負極活物質層)、
16、36 単電池層(=電池単位ないし単セル)、
17、37、57 発電要素(電池要素;積層体)、
18、38、58 正極タブ、
19、39、59 負極タブ、
20、40 正極端子リード、
21、41 負極端子リード、
22、42、52 電池外装材(たとえばラミネートフィルム)、
30 双極型リチウムイオン電池、
31 集電体、
31a 正極側の最外層集電体、
31b 負極側の最外層集電体、
34 双極型電極、
34a、34b 最外層に位置する電極、
43 シール部(絶縁層)、
50 リチウムイオン電池、
250 小型の組電池、
300 組電池、
310 接続治具、
400 電気自動車
A プレ充電処理容量、
B 正極容量、
A+B 劣化前の負極充電総容量、
C 安定領域、
D 負極総容量、
E 不安定領域、
F 初期不可逆容量、
G 可逆容量、
G’ 可逆容量の残容量、
a 劣化前の放電状態、
a’ 劣化後の放電状態、
b 劣化前の充電状態、
b’ 劣化後の充電状態。

Claims (7)

  1. 充放電でリチウムイオンを吸蔵放出できる正極と負極を、セパレータを介して対向させ、空隙部分にリチウムイオンを含む電解質を満たした構造の積層型のリチウムイオン電池において、
    負極活物質がシリコン、ゲルマニウム、スズから選ばれるものであり、
    正極と負極の電気容量において、単位面積あたりの正極の放電容量が負極の放電容量に対して、0.1以上0.28以下であり、尚且つ電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にされていることを特徴とする積層型のリチウムイオン電池。
  2. 電池使用前に負極のみが予め初期の不可逆容量分を超えて部分的充電状態にするときの充電度合いが、正極の容量の20%以上であることを特徴とする請求項に記載の積層型のリチウムイオン電池。
  3. 負極の不可逆容量を超えて充電される容量と正極の充電容量の和が、単位面積あたりの正極の最大の充電容量が負極を充電した場合に充電量でLi15Si組成(平均組成)の0.9倍を超えないような容量比にしたことを特徴とする請求項またはに記載の積層型のリチウムイオン電池。
  4. 前記負極活物質が、シリコンであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層型のリチウムイオン電池。
  5. 前記負極を充電する場合に、負極活物質をアモルファス状態でのみ使うことを特徴とする請求項に記載の積層型のリチウムイオン電池。
  6. 負極活物質の平均粒子径が、0.005μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層型のリチウムイオン電池。
  7. 正極活物質が、LiFePO、LiMn、LiTi12から選ばれるものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層型のリチウムイオン電池。
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