JP4433783B2 - バイポーラ電池 - Google Patents

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Description

本発明は、バイポーラ電池に関する。詳細には、本発明は、バイポーラ電池の各電極間の短絡を防止するための絶縁層の改良に関する。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
前記リチウムイオン二次電池の1種として、一枚の集電体の片面に正極層が形成され、他方の面に負極層が形成された単電池(セル)を、電解質層を介して複数積層してなるバイポーラ型リチウムイオン二次電池(本明細書中、単に「バイポーラ電池」とも称する)が提案され(例えば、特許文献1を参照)、近年特に注目を集めている。前記バイポーラ電池においては、集電体を介して縦方向に電流が流れる。また、単電池(セル)間の接続部は内部抵抗が無視されうるほど短い。このため、前記バイポーラ電池は、出力密度を向上させる手段として有用である。
このバイポーラ電池においても、従来のリチウムイオン二次電池と同様に、電解質層を形成する電解質としては、液体電解質、ゲル電解質および固体電解質が用いられうる。
電解質として液体電解質またはゲル電解質を用いる場合には、電解質層に由来する電解液が漏れ出すことにより、異なる単電池(セル)の電極間で短絡(液絡)が発生する虞がある。このため、かかる場合には、前記文献1に記載のように、各単電池(セル)の周囲に絶縁部を設けることで、電極間の短絡(液絡)を防止する必要がある。
しかしながら、リチウムイオン二次電池(バイポーラ型を含む)では、充放電の際に、電解質層からわずかではあるが気体が発生することが知られている。この際、単電池が複数積層されたバイポーラ電池において、前記文献1に記載の絶縁物のような絶縁層が設けられることにより各単電池(セル)が密封されている場合には、単電池(セル)の内圧が上昇する。その結果、単電池(セル)を構成する電極層、電解質層および集電体等の積層構造が影響を受け、サイクル特性等の電池性能が著しく低下するという問題があった。
したがって、バイポーラ電池における電極間の短絡(液絡)を防止する一方で、電解質層より発生する気体を効率よく単電池(セル)の外部に放出させうる手段の開発が求められている。
特開平11−204136号公報
よって、本発明の目的は、バイポーラ電池における電極間の短絡(液絡)を防止する一方で、電解質層より発生する気体を効率よく単電池(セル)の外部に放出させうる手段を提供することである。
本発明は、単電池の周囲に設けられる絶縁層の少なくとも一部に、絶縁性の多孔質体を含み、絶縁層の内側から外側に向かうに従って、多孔質体の空隙立が増加する、バイポーラ電池である。
本発明によれば、バイポーラ電池における電極間の短絡(液絡)が防止されるとともに、電解質層より発生する気体が効率よく単電池(セル)の外部に放出されうる。このため、本発明のバイポーラ電池は、電池性能を低下させることなく長期間にわたって高出力密度を維持することが求められる車両等に搭載される場合に特に有用である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図3は、本発明のバイポーラ電池の最良の形態の1つ(本明細書中「第1形態」とも称する)を示す図である。図1は、本発明の第1形態の平面図であり、図2は、図1に示すA−A線に沿った、本発明の第1形態の概略断面図であり、図3は、図1に示すA−A線に沿った、本発明の第1形態の単電池(セル)21および絶縁層35の部分を拡大した概略断面図である。なお、図1の平面図においては、図2における電池外装体33および正極側の正極用最外層集電体25が省略されている。また、図1〜図3は説明の都合上、各構成要素を誇張した形で記載されており、各構成要素間の比率は、実際とは異なる。これらは、以下の図4〜図14においても同様である。
図2に示すように、バイポーラ電池11は、一枚の集電体13の片面に正極層15を有し、前記集電体13の他方の面に負極層17を有するバイポーラ電極が、電解質層19を介して複数積層されることで、複数の単電池(セル)21が直列に積層された構造をもつ積層体23を有する。前記積層体23において、正極側の最外層に配置される正極用最外層集電体25は正極層15のみを有し、負極側の最外層に配置される負極用最外層集電体27は負極層17のみを有する。また、前記積層体23は、電池外装材33に収容されている。さらに前記最外層集電体25,27は、その一辺が延長されて、電流を外部に取り出すための正極用タブ29および負極用タブ31として前記電池外装材33の外部に取り出されている。
図2および図3に示すように、本発明のバイポーラ電池の第1形態においては、前記積層体23が電池外装材33に収容されたバイポーラ電池11において、正極層15、負極層17、およびこれらにより挟持される電解質層19からなる単電池(セル)21の周囲に、絶縁性の多孔質体36からなる絶縁層35が設けられている。
すなわち、本発明の第1は、単電池の周囲に設けられる絶縁層の少なくとも一部に、絶縁性の多孔質体を含む、バイポーラ電池である。
以下、本発明の第1により得られる効果をより詳細に説明する。
従来、バイポーラ電池において、液体電解質またはゲル電解質を電解質層に用いる場合には、電解質層由来の電解液により正極層と負極層との間での短絡(液絡)が発生する虞があった。ここで「短絡(液絡)」とは、電解質層に用いられる電解液が単電池(セル)の外部へ漏れ出し、この漏れ出した電解液を介して、異なる単電池(セル)に属する正極層と負極層との間で電流が流れる現象をいう。この短絡(液絡)が発生すると、電池の漏液などにより著しい性能の低下が発生する虞がある。よって、この短絡(液絡)を防止する目的で、単電池(セル)の周囲に、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂や、ゴム、などからなる絶縁層を設けるのが一般的であった(前記特許文献1を参照)。かような絶縁層を形成する材料の空隙率は、ほぼ0%である。その結果、前記文献1のような従来のバイポーラ電池においては、前記単電池(セル)は密封されることになる。
一方、バイポーラ型を含むリチウムイオン二次電池では、メカニズムは明らかとはなっていないものの、充放電の際に電解質層より気体が発生する。この気体には、酸素、水素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素、フッ素化合物、電解液などに用いられる有機溶媒等の有機物(PC、EC、DEC、DMC、DME等)の揮発物または分解物等が含まれることが知られている。
これらの気体は充電または放電の進行により徐々に発生することから、単電池(セル)が密封されている場合には、充放電の進行に伴ってこれらの気体が単電池(セル)の内部に蓄積する。これにより、単電池(セル)の内部の圧力が上昇し、単電池(セル)を構成する電極層、電解質層および集電体等の積層構造が影響を受け、サイクル特性等の電池性能が著しく低下するという問題があった。
これに対し、本発明の第1によれば、図2および図3に示すように、単電池(セル)21の周囲に、絶縁性の多孔質体36を含む絶縁層35が設けられることによって、サイクル特性等の電池性能が向上しうる。これは、絶縁層35が絶縁性の多孔質体36を含むことにより、電解質層19より発生する気体が単電池(セル)21の外部に効率よく放出されるためである。なお、本発明によっても、従来の絶縁層を有するバイポーラ電池と同様に、バイポーラ電池11における電極15,17間の短絡(液絡)が防止され、また、外部からの水分等の浸入を防ぐことでバイポーラ電池全体の剛性が確保されることは勿論である。
以上より、本発明の第1によれば、サイクル特性等の電池性能が向上したバイポーラ電池が提供される。このため、本発明のバイポーラ電池は、電池性能を低下させることなく長期間にわたって高出力密度を維持することが求められる車両等に搭載される場合に特に有用である。
以下、本発明のバイポーラ電池11において、単電池(セル)21の周囲に設けられる絶縁層35が絶縁性の多孔質体を含む好ましい一実施態様について説明する。また、本発明の技術的範囲は、以下の態様のみに限定されることはない。
本発明は、単電池(セル)21の周囲に設けられる絶縁層35が、その少なくとも一部に、絶縁性の多孔質体(本明細書中、単に「多孔質体」とも称する)36を含む点に特徴がある。
本発明において、「絶縁層」とは、単電池(セル)21の周囲に設けられ、上下に存在する集電体13によって挟持される絶縁性の層であって、正極層15と負極層17との間の短絡(液絡)を防止しうる層を意味する。なお、本発明において、絶縁層35と隣接する集電体13とを接着する目的で、前記絶縁層35の上下に図示しない熱融着性ホットメルト等の接着層が存在する場合もある。
本発明では、前記絶縁層35が、少なくとも一部に多孔質体36を含んでいればよく、その他の態様は特に制限されない。バイポーラ電池11は通常、単電池(セル)21が積層されてなる積層構造を有する。このため、前記絶縁層35も各単電池(セル)21についてそれぞれ設けられるのが通常である。以下の説明においては、全ての単電池(セル)21の周囲にそれぞれ絶縁層35が設けられる態様について説明するが、本発明のバイポーラ電池においては、各絶縁層35のそれぞれが少なくとも一部に多孔質体36を含んでいればよく、各絶縁層35の態様は同一であっても異なっていてもよい。なお、均一な電池性能を発揮し、また製造が容易となる点で、各絶縁層35は同一の態様であることが好ましい。よって以下、ある1つの絶縁層35の態様についてのみ説明する。
本発明において、「多孔質体」とは、その内部に大小さまざまの孔を有する固体を意味する。また、前記多孔質体は、特に制限されないが、好ましくは織布または不織布である。多孔質体として織布または不織布を用いると、空隙率の調節やシート状への加工が容易である。さらに、多孔質体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、シリコン、プライマーおよびウレタンからなる群から選択される1種または2種以上の樹脂が例示される。また、新たに開発された多孔質体が用いられてもよい。電解質層19において用いられる電解液の漏れ出しを確実に防止する観点から、多孔質体の材質としては、前記電解液に対してなじみにくいもの、すなわち、接触する電解液に対して濡れにくいものが好ましい。よって、多孔質体の材質は、電解質層19において用いられる電解液の種類等を考慮して選択されることが好ましい。
前記多孔質体の空隙率は、特に制限されないが、好ましくは1〜20%、より好ましくは5〜20%、特に好ましくは10〜20%である。前記多孔質体の空隙率が1%未満では、発生した気体が充分に単電池(セル)の外部へ放出されない虞がある。一方、前記多孔質体の空隙率が20%を超えると、電解液が漏れ出し、電極間の短絡(液絡)が起こる虞がある。なお、多孔質体の空隙率は、例えば、多孔質体の一定容量の重量測定と原材料の本来の密度を比較する方法により測定されうる。
本発明は、絶縁層35が、その少なくとも一部に多孔質体36を含む点に特徴を有する。「絶縁層35が多孔質体36を含む」とは、絶縁層35の少なくとも一部に、単電池(セル)21側(内側)から積層体23外部(外側)にわたって貫通する多孔質体36が存在することを意味する。かような多孔質体36が絶縁層35の少なくとも一部に含まれることで、単電池(セル)21において発生した気体が外部に放出される通路が確保される。その結果、単電池(セル)21内の圧力の上昇が防止され、充放電時のサイクル特性等の電池性能の低下が抑えられる。なお、絶縁層35がその一部にのみ多孔質体36を含む場合、前記絶縁層35の多孔質体36以外の部分の材質としては、特に制限されないが、従来絶縁層を形成するために用いられている公知の樹脂等が挙げられる。
絶縁層35全体に占める多孔質体36の割合(体積比)は、特に制限されないが、好ましくは50〜100%、より好ましくは80〜100%、特に好ましくは100%である。ここで、絶縁層35全体に占める多孔質体36の割合(体積比)が30%未満であると、単電池(セル)21内で発生した気体が充分に外部に放出されない虞がある。
本発明においては、上記のように、絶縁層35の少なくとも一部に、単電池(セル)21側(本明細書中、「内側」とも称する)から積層体23外部(本明細書中、「外側」とも称する)にわたって貫通する多孔質体36が存在していればよく、かような多孔質体36が存在していれば、絶縁層35内に多孔質体36が存在する態様は特に制限されない。例えば、絶縁層35全体に占める多孔質体36の割合(体積比)が50%である場合、多孔質体36の存在する態様としては図4〜7に示すものが挙げられる。図4〜図6は、本発明における絶縁層35の好ましい一実施態様を示す平面図であり、図7は、図4に示すA−A線に沿った、単電池(セル)21および絶縁層35部分を拡大した概略断面図である。図4および図7に示す態様においては、絶縁層35が上層および下層からなる二層構造を有しており、上層が多孔質体36からなり、下層は従来絶縁層に用いられている樹脂37からなる。また、図5に示す態様においては、矩形の単電池(セル)21の周囲に存在する絶縁層35において、前記矩形の隣接する2辺に対応する部分が多孔質体36からなり、他の2辺に対応する部分が従来絶縁層に用いられている樹脂37からなる。さらに、図6に示す態様においては、正方形の単電池(セル)21の周囲に存在する絶縁層35において、前記正方形の対向する2辺に対応する部分が多孔質体36からなり、他の2辺に対応する部分が従来絶縁層に用いられている樹脂37からなる。
また、単電池(セル)21の形状が矩形である場合には、図8に示すような態様も採用されうる。図8は、本発明における絶縁層35の好ましい一実施態様を示す平面図である。図8に示す態様においては、絶縁層35のうち前記矩形の1辺に対応する部分のみが多孔質体36からなり、前記矩形の他の3辺に対応する部分が従来絶縁層に用いられている樹脂37からなる。かような絶縁層35により包囲される矩形の単電池(セル)21の積層により、バイポーラ電池11における積層体23が形成される場合、多孔質体36により形成される絶縁層35が存在する辺の位置は、隣接する単電池(セル)21間で異なっていてもよい。かかる態様としては、例えば、図9〜図11に示す態様が例示される。図9は、本発明のバイポーラ電池における積層構造の好ましい一実施態様を示す概略断面図であり、図10は、図9に示す態様の概略斜視図であり、図11は、本発明のバイポーラ電池における積層構造の他の好ましい一実施態様を示す概略斜視図である。なお、図10および図11の概略斜視図においては、単電池(セル)層21および多孔質体36からなる絶縁層35のみが示されており、従来絶縁層に用いられている樹脂37からなる絶縁層35の他、バイポーラ電池のその他の構成要素は省略されている。
図9および図10に示す態様においては、単電池(セル)21が積層されるのに従って、多孔質体36からなる絶縁層35の存在する辺の位置が、単電池(セル)21に対応する矩形の対向する1組の辺に交互に存在している。また、図11に示す態様においては、単電池(セル)21が積層されるのに従って、多孔質体36からなる絶縁層35の存在する辺の位置が、単電池(セル)21に対応する矩形の隣接する辺に移動し、多孔質体36からなる絶縁層35は螺旋状に存在している。かかる態様によれば、万が一多孔質体36を経由して電解液が漏れ出した場合にも、電極間の短絡(液絡)の危険性が低減されうる。
上記のように、前記絶縁層35は、その全体が多孔質体36からなることが特に好ましい。これにより、単電池(セル)21の内部で発生した気体が単電池(セル)21の外部へ放出される効率が格段に向上し、また絶縁層35の作製も容易となる。よって以下、絶縁層35の全体が多孔質体36からなる態様を例に挙げて説明するが、本発明の技術的範囲は下記の態様のみに制限されない。
絶縁層35の大きさは、特に制限されない。絶縁層35の厚さは、通常、単電池(セル)21の厚さと同程度であり、通常は60〜200μmである。絶縁層35の幅は、絶縁層35に用いられる多孔質体36の種類、空隙率、電解質層19に用いられる電解液の種類等に応じて適宜決定されうる。絶縁層35の幅は、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1〜5mmである。ここで、絶縁層35の幅は、短すぎると電解質層19において用いられる電解液が単電池(セル)21の外部へ漏れ出し、電極間の短絡(液絡)が発生する虞がある。一方、長すぎると単電池(セル)21の内部で発生した気体が充分に単電池(セル)21の外部へ放出されない虞があり、さらに、長すぎるとその部分で体積が大きくなるため電池の出力密度、エネルギー密度が低下する虞がある。
絶縁層35は、1種の均一な多孔質体36のみにより形成されてもよく、異なる2種以上の多孔質体36により形成されてもよい。ここで、異なる2種以上の多孔質体36の空隙率は、異なっていてもよく、同一であってもよい。また、異なる2種以上の多孔質体36により形成される場合、前記2種以上の多孔質体36は、内側から外側の方向に層状に存在してもよく、上下の方向に層状に存在してもよい。かかる場合に、2種以上の各多孔質体36の幅または厚さは、特に制限されず、それぞれの多孔質体36間で異なっていてもよく、同一であってもよい。
前記絶縁層35において、異なる2種以上の多孔質体36が内側から外側の方向に層状に存在する場合には、内側から外側に向かうに従って、前記多孔質体36の空隙率は増加することが好ましい。すなわち、絶縁層35がn種の多孔質体36からなる場合、内側からn番目に存在する多孔質体36の空隙率をεとすれば、下記式(1):
が成立することが好ましい。かかる態様によれば、絶縁層35の内側に空隙率の小さい多孔質体36が存在することにより、電解質層19に用いられる電解液の漏れ出しが効率よく抑制されうる。一方、絶縁層35の外側に空隙率の大きい多孔質体36が存在することにより、単電池(セル)21の内部で発生した気体が効率よく外部へ放出されうる。
なお、上記の態様には、2種以上の異なる多孔質体36が並んで存在する態様のほか、絶縁層35の内側から外側に向かうに従って、空隙率が徐々に増加するような空隙を有する1種の多孔質体36が設けられる態様を含む。かかる態様は、上記式(1)において、nが無限大である場合に相当する。
また、前記絶縁層35において、異なる2種以上の多孔質体36が上下の方向に層状に存在する場合には、下層から上層に向かうに従って、前記多孔質体36の空隙率は増加することが好ましい。すなわち、絶縁層35がn種の多孔質体36からなる場合、下層からn番目に存在する多孔質体36の空隙率をεとすれば、下記式(1):
が成立することが好ましい。かかる態様によれば、絶縁層35の下層に空隙率の小さい多孔質体36が存在することにより、単電池(セル)21の下部に溜まりやすい電解液の漏れ出しが効率よく抑制されうる。一方、絶縁層35の上層に空隙率の大きい多孔質体36が存在することにより、単電池(セル)21の下部に溜まりやすい電解液が外部に漏れ出すことなく、発生した気体のみが効率よく外部へ放出されうる。
なお、上記の態様には、2種以上の異なる多孔質体36が層状に存在する態様のほか、絶縁層35の下層から上層に向かうに従って、空隙率が徐々に増加するような空隙を有する1種の多孔質体36が設けられる場合を含む。かかる態様は、上記式(1)において、nが無限大である場合に相当する。
上記のように、絶縁層35の内側から外側に向かうに従って、または下層から上層に向かうに従って、多孔質体36の空隙率が増加することは、例えば、絶縁層35の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認されうる。
以下、絶縁層35として異なる2種以上の多孔質体36が用いられる態様につき、2種の異なる多孔質体36が内側から外側に向かう方向に存在する場合を例にとって説明するが、本発明の技術的範囲は下記の態様のみには限定されない。
かかる場合には、上述したように、絶縁層35の外側に存在する多孔質体36の空隙率は、前記絶縁層35の内側に存在する多孔質体36の空隙率よりも大きいことが好ましい。より好ましくは、絶縁層35の外側に存在する多孔質体36の空隙率は、前記絶縁層35の内側に存在する多孔質体36の空隙率の2倍以上、特に好ましくは4倍以上である。この態様の一例を図12および図13に示す。図12は、本発明における絶縁層35の好ましい一実施態様を示す平面図であり、図13は、図12に示すA−A線に沿った、単電池(セル)21および絶縁層35部分を拡大した概略断面図である。図12および図13に示す態様においては、絶縁層35の内側には、多孔質体36aが存在し、前記絶縁層35の外側には、前記多孔質体36aの2倍以上の空隙率を有する多孔質体36bが存在している。かかる態様によれば、絶縁層35に到達した気体がより一層効率的に外部へ放出されうる。
以下、本発明のバイポーラ電池に用いられる電解質層19、正極層15、負極層17、集電体13およびタブ29,31の好ましい一態様について順に説明する。
まず、電解質層19について説明する。
バイポーラ電極を積層して積層体を形成するための電解質層に用いられる電解質としては、一般に、液体電解質または高分子電解質が挙げられる。前記高分子電解質には、全固体高分子電解質および高分子ゲル電解質が含まれる。ここで本発明は、電解質層において用いられる電解液の漏れ出しによる短絡(液絡)を防止するための絶縁層に特徴を有する。このため、本発明においては、電解質として、高分子ゲル電解質または液体電解質が用いられる。なかでも、電解液が漏れ出す危険性がより低下し、バイポーラ電池の安全性が向上しうる点で、高分子ゲル電解質がより好ましく用いられる。すなわち、本発明のバイポーラ電池は、ゲルポリマー電池であることが好ましい。
ここで一般に、高分子電解質は、イオン導伝性を有する高分子から構成される。特に、優れた機械的強度を発現させることが可能である点で、高分子電解質形成用の重合性ポリマーを熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合により架橋構造を形成することにより作製されるものが好適に用いられる。
高分子ゲル電解質とは、一般に、イオン導伝性を有する全固体高分子電解質に、電解液を保持させたものをいう。なお、本願では、リチウムイオン導伝性を有しない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも、前記高分子ゲル電解質に含まれるものとする。以下、前記リチウムイオン導伝性を有する全固体高分子電解質および前記リチウムイオン導伝性を有しない高分子を総称して、「ホストポリマー」とも称する。
高分子ゲル電解質に含まれる電解液(電解質塩および可塑剤)は、通常のバイポーラ電池で用いられるものであればよい。具体的には、特に制限されないが、例えば、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩(電解質塩)を含み、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる1種または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒(可塑剤)等が挙げられる。
高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を有しない高分子としては、特に制限されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられる。なお、PANおよびPMMA等は、イオン導伝性をほとんど有しないがわずかに有する部類に入るため、上記イオン伝導性を有する高分子としても分類されうるが、ここでは高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を有しない高分子として例示した。
高分子ゲル電解質中のホストポリマーと電解液との含有量の比(質量比)は、使用目的等に応じて適宜決定されうるが、通常、2:98〜90:10の範囲である。
高分子電解質は、当該電解質層のほか、正極層、および負極層にも含まれうる。この際、同一の高分子電解質が含まれてもよく、それぞれ異なる高分子電解質が含まれてもよい。しかし、電解質層に高分子ゲル電解質を用いた場合、正極層および負極層にも高分子ゲル電解質を用いて、ゲルポリマー電池とすることが好ましい。
また、電解質層が高分子ゲル電解質からなる場合、前記電解質層は、高分子ゲル原料溶液を不織布などのセパレータに含浸させた後、上記の種々の方法を用いて重合することにより形成されたものであってもよい。セパレータを用いることにより、電解液の充填量を高めることができるとともに、電池内部の熱伝導性が確保される。
上記電解質層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5〜25μm程度である。電解質層の厚さの下限値は、コンパクトなバイポーラ電池を得る上で、電解質層としての機能が確保できる範囲で極力薄くしうる値である。なお、ここでいう電解質層の厚さは、正極と負極との間に設けられる電解質層の厚さをいう。したがって、当該電解質層の形成方法によっては、厚さの同じまたは異なる複数のポリマー電解質膜を貼り合せるなどして形成されることもありうるが、こうした場合でも上記に規定する電解質層の厚さは、これら複数のポリマー電解質膜を貼り合せるなどして形成される電解質層の厚さである。
ところで、現在好ましく使用される重合性ポリマーは、PEO、PPOのようなポリエーテル系高分子である。このため、高温条件下における正極側での耐酸化性が弱い。従って、溶液系のバイポーラ電池で一般に使用される、酸化還元電位の高い正極剤を使用する場合には、負極の容量が、電解質層を介して対向する正極の容量より少ないことが好ましい。負極の容量が対向する正極の容量より少ないと、充電末期に正極電位が上がり過ぎることを防止できる。なお、正極および負極の容量は、正極および負極を製造する際の理論容量として、製造条件から求めることができる。完成品の容量を測定装置で直接測定してもよい。ただし、負極の容量が対向する正極の容量と比べて少ないと、負極電位が下がりすぎて電池の耐久性が損なわれる虞があるので充放電電圧に注意する必要がある。例えば、一つの単電池(セル)の平均充電電圧を使用する正極活物質の酸化還元電位に対して適切な値に設定して、耐久性が低下しないように注意する。
上述したように、本発明において電解質層に用いられる電解質は、液体電解質であってもよい。前記液体電解質としては、上記で高分子ゲル電解質に含まれる電解液(電解質塩および可塑剤)として説明したものが好ましく用いられうるため、ここでは説明を省略する。
次に、正極層15について説明する。
正極層は、正極活物質を含有する。また、必要に応じて、導電助剤、バインダ、リチウム塩、電解質等のその他の成分をも含有しうる。
正極活物質としては、遷移金属とリチウムとの複合酸化物であるリチウム−遷移金属複合酸化物が好適に用いられうる。正極活物質として、具体的には、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物、LiFeOなどのLi・Fe系複合酸化物およびこれらの遷移金属の一部を他の元素により置換したもの等が挙げられる。これらリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れる材料であり、低コストである。したがって、これらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成しうる。この他の正極活物質としては、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOHなどが挙げられる。
正極層における正極活物質の粒径は、特に限定されない。電極抵抗を低減する観点から、前記粒径は、好ましくは数μm〜300μm、より好ましくは0.5〜100μmである。また、正極活物質の使用量は、正極層における正極材料の全量に対して、好ましくは80〜95質量%程度である。
導電助剤としては、特に制限されないが、アセチレンブラック、カーボンブラック、およびグラファイト等が挙げられる。導電助剤の使用量は、正極層における正極活物質の全量に対して、好ましくは3〜15質量%程度である。
バインダとしては、特に制限されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、SBR、およびポリイミド等が挙げられる。バインダの使用量は、正極層における正極活物質の全量に対して、好ましくは1〜10質量%程度である。
リチウム塩としては、特に制限されないが、正極活物質に対して安定であって、リチウムイオンが正極活物質と電極反応を行うために移動し得る非水系物質であればよい。例えば、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSON)、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)またはこれらの混合物等が挙げられる。
電解質層に高分子電解質が用いられる場合には、正極層も高分子電解質を含有することが望ましい。正極層における正極活物質間の空隙に高分子電解質を充填することによって、正極層におけるイオン伝導がスムーズになり、その結果、バイポーラ電池全体としての出力密度および安全性が向上しうる。
正極層における高分子電解質の配合量は、少なすぎると電極層内でのイオン伝導抵抗やイオン拡散抵抗が大きくなり電池性能が低下してしまう。一方、正極層における高分子電解質の配合量が多すぎると、電池のエネルギー密度が低下してしまう。従って、これらの要因を考慮して、目的に合致した高分子電解質量が決定されうる。なお、本発明によれば、絶縁層の存在により、正極層の外周部からの電解液の漏れ出しについても効果的に抑制されうる。
正極層は、電池容量を向上させるには厚い方が望ましく、高レート充放電に特化させるには薄い方が望ましい。かような観点から、正極層の厚さは、5〜200μm、好ましくは10〜150μmとするのがよい。
次に、負極層17について説明する。.
負極層は、負極活物質を含有する。また、必要に応じて、導電助剤、バインダ、リチウム塩、電解質等のその他の成分をも含有しうる。
負極活物質以外の成分としては、基本的に上述の正極層と同様であるため、ここではその説明を省略する。
負極活物質としては、各種の天然黒鉛や人造黒鉛、例えば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛類、および各種のリチウム合金類が好適に用いられる。具体的には、カーボン、グラファイト、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物等が用いられうる。好ましくは、カーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物が用いられる。これらは、反応性、サイクル耐久性に優れる材料であり、低コストである。そのため、これらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池が形成されうる。なお、リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiTi12などのリチウム−チタン複合酸化物等が挙げられる。また、カーボンとしては、例えば、黒鉛(グラファイト)、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。負極活物質の使用量は、負極層における負極材料の全量に対して、好ましくは80〜96質量%程度である。
また、負極層に含まれる電解質は、被膜形成材を含有しうる。これにより、電池サイクルに伴う容量低下が抑制されうる。被膜形成材としては、特に限定されないが、例えば、特開2000−123880号公報に記載の被膜形成材等の従来公知のものが挙げられる。
負極層の厚さは、正極層と同様に、5〜200μm、好ましくは10〜150μmとするのがよい。
次に、集電体13について説明する。
集電体は、特に限定されず、従来のバイポーラ電池に用いられている集電体が用いられうる。集電体としては、例えば、アルミニウム箔、ステンレス(SUS)箔、チタン箔、ニッケルおよびアルミニウムのクラッド材、銅およびアルミニウムのクラッド材、SUSおよびアルミニウムのクラッド材、またはこれらの金属の組み合わせのめっき材等が好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムを被覆させた集電体、特開2000−100471号公報に記載の複合集電体等も本発明の集電体として用いられうる。
単電池(セル)に用いられる集電体の厚さは、通常と同様でよく、1〜100μ程度である。また、集電体の長さおよび幅、集電体の形状等は、使用目的に応じて適宜決定されうる。
本発明のバイポーラ電池は、上述した電解質層19、正極層15、負極層17および集電体13を用いて、一枚の集電体13の片面に正極層15を設け、前記集電体13の他方の面に負極層17を設けてバイポーラ電極とし、これが電解質層19を介して複数積層されてなる積層体23を含む。また、正極用最外層集電体25には正極層15のみを有する電極が接続され、負極用最外層集電体27には負極層17のみを有する電極が接続されている。なお、積層体23において積層される単電池(セル)23の層の数は、特に制限されない。電池の使用用途に合わせて積層数を変化させることが好ましく、例えば、自動車に搭載されて200V以上の電圧が必要とされる場合には、4.2Vの単電池(セル)を50層以上積層すればよい。また、12Vや42Vの電圧を有する積層体を一つの単位とし、それらを組み合わせて使用してもよい。
最外層集電体として、具体的には、単電池(セル)21において用いられる集電体13と同じものが挙げられるため、ここではその説明を省略する。
次に、本発明のバイポーラ電池は、各単電池(セル)21の周囲に設けられた絶縁層35を有する。本発明において、前記絶縁層35は、その少なくとも一部に絶縁性の多孔質体36を含む。その他絶縁層35の好ましい態様については上述したため、ここでは説明を省略する。
次に、タブ29,31について説明する。
バイポーラ電池においては、電流を取り出す目的で、タブ29,31が最外層集電体25,27に接合される。タブ29,31の材質は、特に制限されず、従来バイポーラ電池に用いられている公知の材質が用いられうる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等が例示される。なかでも、耐食性、作り易さ、経済性などの観点から、アルミニウム、銅が好ましく用いられうる。また、正極用タブ29と負極用タブ31とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。タブ29,31の厚さは、1〜1000μm、好ましくは10〜500μm程度である。
最外層集電体25,27に接合されたタブ29,31は、耐熱絶縁性の熱収縮チューブ等の絶縁材により被覆されることが好ましい。これによれば、タブが周辺機器や配線等に接触して漏電することにより製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に及ぼされる悪影響が防止されうる。前記絶縁材の材質は特に制限されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等が例示される。
本発明のバイポーラ電池において、接合されたタブ29,31を介して電気を外部に取り出す態様は特に制限されず、任意の態様が採用されうる。例えば、タブをそのまま延長し、直接外部に取り出してもよい。また、接合されたタブ29にリードを接続し、外部に取り出してもよい。この際、前記リードは、上記で説明した絶縁材により被覆されていることが好ましい。
リードが用いられる場合、用いられるリードは特に制限されず、従来用いられている公知のリードが用いられうる。リードの材質としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、およびこれらの合金等が例示される。正極リードおよび負極リードの材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、正極リードおよび負極リードは、材質の異なるものを多層に積層したものであってもよい。
本発明のバイポーラ電池においては、使用時の外部からの衝撃や環境劣化を防止するために、電池本体である積層体23は、好ましくは電池ケース等の電池外装材37に収容される。前記電池外装材37としては、特に制限されず従来公知の外装材が用いられうる。なかでも、軽量化の観点から、アルミニウム、ステンレス、ニッケルもしくは銅等の金属またはこれらの合金の両面をポリプロピレンフィルム等の絶縁体(好ましくは耐熱性の絶縁体)で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルム(例えば、ポリプロピレン−アルミニウム複合ラミネートフィルム;単にアルミラミネートフィルムともいう)等が用いられうる。かかる電池外装材に前記積層体を収容するには、前記外装材の周辺部の一部または全部を熱融着にて接合することにより、前記積層体を密封状態で収容することが好ましい。この際、タブは、前記熱融着により接合された部位に挟まれて前記外装材の外部に露出される構造とすればよい。自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を迅速に電池動作温度まで加熱しうる点で、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートフィルム等が特に好ましく用いられうる。
さらに、本発明のバイポーラ電池は、複数個連結されて組電池を形成しうる。すなわち、本発明の第2は、本発明のバイポーラ電池が、並列接続、直列接続、並列−直列接続または直列−並列接続により、複数個接続されてなる、組電池を提供する。これにより、種々の車両用ごとの容量および電圧の要望に対して、基本のバイポーラ電池を様々に組み合わせることで対応することが可能となる。その結果、必要なエネルギーおよび出力を設計することが容易になる。そのため種々の車両用ごとに異なるバイポーラ電池を設計、生産する必要がなく、基本となるバイポーラ電池の大量生産が可能となり、量産化によるコスト削減が可能となる。
また、本発明の組電池は、本発明のバイポーラ電池と、前記バイポーラ電池と正負極電極材料が同一であって、前記バイポーラ電池の構成単位数直列接続されることにより電圧が同一とされた電池(好ましくはバイポーラ型でないリチウムイオン二次電池(本明細書中、「一般リチウムイオン二次電池」とも称する))と、を並列に接続したものであってもよい。すなわち、本発明の組電池を形成する電池には、本発明のバイポーラ電池と一般リチウムイオン二次電池等とが混在していても良い。これにより、出力重視のバイポーラ電池と、エネルギー重視の一般リチウムイオン二次電池との組み合わせで、お互いの弱点を補う組電池が形成され、組電池の軽量化およびコンパクト化が図られる。それぞれのバイポーラ電池と一般リチウムイオン二次電池とをどの程度の割合で混在させるかは、組電池として要求される安全性能、出力性能に応じて適宜決定されうる。以下、かかる態様につき、図面を用いて詳細に説明する。
図14にバイポーラ電池A(42V、50mAh)と一般リチウムイオン二次電池B(4.2V、1Ah)10直(42V)とを並列に連結した組電池を示す。一般リチウムイオン二次電池Bとバイポーラ電池Aは電圧が等しくなり、その部分で並列接続を形成している。この組電池50は、出力の分担をバイポーラ電池Aが有し、エネルギーの分担を一般リチウムイオン二次電池Bが有する構造である。これは、出力とエネルギーを両立することが困難な組電池において、非常に有効な手段である。この組電池50でも、並列部分および図の横方向に隣り合う一般リチウムイオン二次電池B間を直列接続する部分のタブは銅のバスバー56で接続し、図の縦方向に隣り合う一般電池B間を直列接続する部分はタブ29,31同士を振動溶着して接続した。一般リチウムイオン二次電池Bとバイポーラ電池Aを並列接続している部分の端部を端子44、46に接続して、正負の端子を構成している。バイポーラ電池Aの両側には、バイポーラ電池Aの各層の電圧を検知する検知タブ48を取り出し、それらの検知線(図示せず)を組電池50の前部に取り出している。詳しくは、図14に示す組電池50を形成するには、一般リチウムイオン二次電池B10枚を端から順番にバスバー56に振動溶着させて直列に接続する。さらに、バイポーラ電池Aと直列接続された両端の一般リチウムイオン二次電池Bとをそれぞれバスバー56で並列に接続して金属製の組電池ケース55に収納する。このように、バイポーラ電池Aを任意の個数直並列に接続することによって、所望の電流、電圧および容量に対応しうる組電池50が提供される。前記組電池50にも、正極端子44、負極端子46が金属製の組電池ケース55の側面前部に形成されており、電池A、Bを直並列に接続後、例えば、各バスバー56と各正極端子44、負極端子46とが端子リード59で接続されている。また、前記組電池50には、電池電圧(バイポーラ電池Aの各単電池層、さらにはバイポーラ電池Aおよび一般リチウムイオン二次電池Bの端子間電圧)を監視するために検知タブ端子54が金属製の組電池ケース55の正極端子44および負極端子46が設けられている側面前部に設置されている。そして、各バイポーラ電池A(さらには一般リチウムイオン二次電池B)の検知タブ48が全て検知線(図示せず)を介して検知タブ端子54に接続されている。また、組電池ケース55の低部には、外部弾性体52が取り付けられており、組電池50を複数積層して複合組電池を形成するような場合に、組電池50間の距離を保ち、防振性、耐衝撃性、絶縁性、放熱性などを向上させうる。
また本発明においては、さらに上記のバイポーラ電池を直並列接続して第1組電池ユニットを形成するとともに、この第1組電池ユニットの端子間電圧と電圧を同一にするバイポーラ電池以外の二次電池が直並列接続されてなる第2組電池ユニットを形成し、この第1組電池ユニットと第2組電池ユニットを並列接続することによって組電池としてもよい。
さらに、上記の組電池を少なくとも2以上直列、並列、または直列と並列の複合接続することで、複合組電池を形成してもよい。これにより、新たに組電池を作製することなく、使用目的ごとの電池容量や出力に対する要求に比較的安価に対応することが可能となる。また、組電池が複数直並列接続されてなる複合組電池は、一部の電池、組電池が故障しても、その故障部分を交換するのみで修理が完了しうる。
なお、本発明の組電池および複合組電池のその他の構成および製造方法等の具体的態様は、何ら制限されず、従来公知の一般リチウムイオン二次電池を用いた組電池および複合組電池の構成および製造方法等と同様の態様が適宜適用されうる。例えば、特開2003−303583号公報に記載されているような、従来公知の組電池および複合組電池の構成および製造方法が利用されうる。
上記のバイポーラ電池、組電池、複合組電池は、例えば、電気自動車(EV)、シリーズまたはパラレルハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車、ハイブリッド燃料電池自動車等に搭載され、高エネルギー密度、高出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源として好適に利用されうる。すなわち、本発明の第3は、本発明のバイポーラ電池、組電池、および/または複合組電池を搭載した車両である。前記バイポーラ電池、組電池、複合組電池のうち少なくとも1つが車両に搭載される場合には、特に制限されないが、車両中央部の座席下、車両の床下、トランクルーム、エンジンルーム、屋根、ボンネットフード内等に設置されうる。
以下、本発明のバイポーラ電池の製造方法の好ましい一実施態様について、電解質層に高分子ゲル電解質を用いてなるバイポーラ電池の製造方法を例にとって説明するが、本発明の技術的範囲は下記の態様のみには制限されない。
まず、集電体の片面に正極層を作製し、集電体の正極層が作製された面と他方の面に負極層を作製することにより、バイポーラ電極を作製する。次に、前記バイポーラ電極を電解質層を介して複数積層し、積層体とする。この際、正極側の最外層集電体には正極層のみが形成され、負極側の最外層集電体に負極層のみが形成される。その後、各最外層集電体からタブを取り出し、電池外装材等に収容することによってバイポーラ電池を作製する。
集電体の片面に正極層を作製する段階では、正極用組成物を調製した後に、集電体上に前記正極用組成物を塗布し、乾燥および重合させて、正極層を作製する。
(1)正極用組成物の調製
正極用組成物は通常はスラリー(正極用スラリー)として得られ、集電体(正極用最外層集電体を含む)の一方の面に塗布される。
正極用スラリーは、正極活物質を含む溶液である。また、正極用スラリーは、正極活物質および溶媒の他にも、必要であれば、導電助剤、バインダ、重合開始剤、高分子ゲル電解質の高分子原料(ホストポリマー)、およびリチウム塩等を含んでもよい。正極用スラリーは、例えば、正極活物質を含む溶媒中に、バインダ、導電助剤を添加し、ホモミキサー等で攪拌することによって調製されうる。
正極活物質、導電助剤、バインダ、高分子ゲル電解質の高分子原料(ホストポリマー)、およびリチウム塩に関しては、基本的に本発明のバイポーラ電池の構成要件である正極層の項で説明した内容と同様の態様が用いられうるため、ここでは説明を省略する。
溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、n−ピロリドン等のスラリー粘度調整用溶媒が挙げられ、正極用スラリーの種類に応じて適宜選択されうる。
正極活物質、リチウム塩、導電助剤等の添加量は、得られるバイポーラ電池が所定の関係を満たすように適宜決定されうる。
(2)正極層の作製
上記で調製された正極用スラリーを集電体上に塗布した後、乾燥させて、含まれる溶媒を除去する。
正極用スラリーを集電体上に塗布するには、例えば、得られる正極層の厚さが20〜200μmとなるように、コーター、スクリーン印刷法等の従来公知の方法が用いられうる。
集電体上に塗布された正極用スラリーを乾燥させるには、真空乾燥機等の従来公知の装置が用いられうる。この際の乾燥条件は、塗布された正極用スラリーの性質に応じて適宜決定されうる。
作製した正極層は、表面の平滑性および厚さの均一性を向上させるためにプレス操作によりプレスされることが好ましい。プレス操作は冷間でプレスロールする方法または熱間でプレスロールする方法のいずれの方法であってもよい。熱間でプレスロールする場合は、電解質支持塩や重合性ポリマーが分解する温度以下で行うことが望ましい。プレス圧力は線圧で200〜1000kg/cmで行うことが望ましい。
次に、集電体の正極層が作製された面の反対の面に負極層を作製するには、例えば、上記で説明した正極層と同様にして、負極用組成物を調製した後、前記組成物を集電体上に塗布して、乾燥させればよい。
(3)負極用組成物の調製
負極用組成物は通常はスラリー(負極用スラリー)として得られ、集電体(負極集電体を含む)の正極層が作製された面とは反対の面に塗布される。
負極用スラリーは、負極活物質を含む溶液である。また、負極用スラリーは、負極活物質および溶媒の他にも、必要であれば、導電助剤、バインダ、重合開始剤、高分子ゲル電解質の高分子原料(ホストポリマー)、およびリチウム塩等を含んでもよい。使用される原料や添加量については、「(1)正極用組成物の調製」において説明したものと同様の態様が用いられるため、ここでは説明を省略する。
(4)負極層の作製
上記で調製された負極用スラリーを集電体に塗布した後、乾燥させて、含まれる溶媒を除去する。塗布方法、乾燥条件等については、「(2)正極層の作製」において説明したものと同様の態様が用いられるため、ここでの説明は省略する。
また、上記「(2)正極層の作製」において説明したプレス操作は、例えば、集電体の片面に正極層を形成し、他面に負極層を形成した後に、正極層および負極層をまとめて行ってもよい。また、集電体の片面に正極層を形成した後にプレス操作してもよいし、集電体の片面に負極層を形成した後にプレス操作してもよいなど、プレス操作の対象や時期等の態様は、必要に応じて適宜選択されうる。また、プレス条件については、正極層または負極層の場合でも、正極層および負極層をまとめて行う場合であっても、上記「(2)正極層の作製」の項で説明した範囲内において適宜選択されうる。
(5)電解質層を介した複数のバイポーラ電極の積層
上記で作製されたバイポーラ電極を所望のサイズに切り出し、セパレータを介して複数積層させて、積層体を作製する。その後、これにゲル原料溶液を含浸させ、重合させて、バイポーラ電池を作製する。
セパレータとしては、厚みが5〜50μm程度の微孔性ポリエチレンフィルム、微孔性ポリプロピレンフィルム、微孔性エチレン−プロピレン−コポリマーフィルムなど一般的に用いられているものが挙げられる。バイポーラ電極の積層数は、バイポーラ電池に求める電池特性を考慮することにより、適宜決定されうる。
また、積層体において、正極側の最外層集電体上には、正極層のみが形成された電極が接続される。また、負極側の最外層集電体上には、負極層のみが形成された電極が接続される。
積層体に含浸させるゲル原料溶液は、高分子ゲル電解質の原料高分子(ホストポリマー)、リチウム塩、重合開始剤等を溶媒に溶解させて調製した溶液である。ホストポリマー、リチウム塩等は、本発明のバイポーラ電池の正極層の説明において説明したものと同様の態様が用いられるため、ここではその説明を省略する。
重合開始剤は、重合方法(熱重合法、紫外線重合法、放射線重合法、電子線重合法など)や重合させる化合物に応じて適宜選択されうる。特に制限されないが、例えば、紫外線重合開始剤としてベンジルジメチルケタール、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。また、溶媒としては、特に制限されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、およびn−ピロリドンなどのスラリー粘度調整用溶媒等が挙げられる。重合開始剤の添加量は、ホストポリマーに含まれる架橋性官能基の数に応じて適宜決定されうる。通常は、上記ホストポリマーに対して0.01〜1質量%程度である。
ゲル原料溶液の含浸は、例えば、バイポーラ電極をセパレータを介して複数積層し、積層体を作製した後に、作製された積層体をゲル溶液に浸漬することにより、またはゲル原料溶液を注入することにより行われうる。ゲル原料溶液は、まだゲル状になっていないため、電極およびセパレータに浸透しうる。また、前記含浸には、アプリケーターやコーター等を用いることで微量の供給も可能である。
その後、ゲル原料溶液を含浸させた積層体に含まれるホストポリマーを、熱、紫外線、放射線、電子線等により重合(架橋)させる。なかでも、簡便かつ確実に重合を行うことができる点で、好ましくは熱重合が行われうる。乾燥および熱重合の際には、真空乾燥機等の従来公知の装置が用いられうる。乾燥および熱重合の条件はゲル原料溶液の性質に応じて適宜決定されうる。得られる電解質層の幅は、単電池(セル)の集電体の電極形成部サイズよりも若干小さくすることが一般的であるが、特に制限されない。
なお、積層体の作製は、電池内部に水分等が混入するのを防止する観点から、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明において、電解質層は、好ましくはゲル溶液をセパレータに含浸させて重合(架橋)させることにより作製される。これは、セパレータを用いることにより、電解液の充填量を高めうるとともに、熱伝導性が確保されうるためである。しかし、本発明の電解質層は、かような構成に限定されない。
(6)絶縁層の形成
絶縁層の形成は、例えば、単電池(セル)の周囲部に、所定の幅で織布や不織布等の多孔質体を配置することにより行われうる。この際、前記多孔質体の上部および下部に存在する集電体との境界面に、予め熱融着性ホットメルトを配置しておき、ホットプレスにより熱融着させることで、前記多孔質体を隣接する集電体に固定することができる。また、多孔質体自体の融点が低い場合には、多孔質体自体を熱融着性ホットメルトとして機能させてもよい。さらに、その上部および下部に粘着層を設けてなる両面粘着部材を多孔質体として用い、前記多孔質体を隣接する集電体に固定させてもよい。
(7)タブの接合
積層体の正極側および負極側の最外層集電体上にそれぞれ、正極用タブ、負極用タブを接合させる。
正極用タブおよび負極用タブを最外層集電体に接合させる方法は、特に制限されず従来公知の溶接接続等の接続方法が用いられうる。溶接接続としては、例えば、超音波溶接、スポット溶接等が用いられうる。なかでも、超音波溶接が好ましく用いられる。超音波溶接は、接合される部分に高周波振動を与えることによって金属の原子を拡散させ、再結晶させることによって機械的な接合を行う方法である。このため、同種、異種の金属の重ね溶接に対して非常に効果的である。また、接合時に高い温度に達することなく、接合面の最高温度は融点の35〜50%程度に抑えられるため、高温溶接時の母材の溶融やもろい鋳造組織の形成等の問題が生じない。
(8)パッキング(電池の完成)
最後に、積層体全体を電池ケース等の電池外装材で封止し、バイポーラ電池を完成させる。これにより、外部からの衝撃に対する耐性が向上し、環境劣化が防止される。封止の際には、正極用タブ、負極用タブの一部が電池外部に取り出される。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、以下の実施例は本発明の最良の形態を例示するためのものであり、本発明の技術的範囲は下記の態様のみには限定されない。
<電池作成例>
参考例1
以下の方法により、本発明のバイポーラ電池を作製した。
まず、ステンテス(SUS)製の集電体(厚さ:20μm)を準備した。
次いで、正極活物質としてLiMn(平均粒子径:20μm)、導電助剤としてアセチレンブラック、およびバインダとしてポリフッ化ビニリデン(以下、「PVDF」と略す)を、スラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に添加し、ホモジナイザーでよく撹拌混合して、正極用スラリーを調製した。前記正極用スラリーを脱泡機により脱泡し、コーターを用いて前記集電体上に塗布して、正極層を形成させた。正極活物質、導電助剤およびバインダの添加量の質量比(正極活物質:導電助剤:バインダ)は、85:5:10であり、スラリー粘度調整溶媒は、前記正極活物質、導電助剤およびバインダの混合物に対して等質量使用した。
次に、負極活物質としてハードカーボン(平均粒子径:20μm)、およびバインダとしてPVDFを用いて、前記正極層と同様の方法および装置により、前記集電体の正極層を形成させた面と反対の面上に、負極層を形成させ、バイポーラ電極を作製した。負極活物質およびバインダの添加量の質量比(負極活物質:バインダ)は、90:10であった。
正極層および負極層はロールプレスにより軽くプレスし、それぞれ25μmと30μmの厚さとした。また、このバイポーラ電極を130mm×80mmの矩形に切断した後、正極層および負極層ともに、外周部を10mmの幅で剥離し、集電体であるステンレス(SUS)の表面を露出させた。
また、プロピレンカーボネート(以下、「PC」と略す)とエチレンカーボネート(以下、「EC」と略す)との等容積混合液を用意し、これにリチウム塩としてLiN(SO(LiBETI)を1.0Mとなるように添加して電解液とした。これらにイオン導伝性高分子としてポリエチレンオキシド(以下、「PEO」と略す)とポリプロピレンオキシド(以下、「PPO」と略す)との共重合体(平均分子量:7500〜9000)、および重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(BDK)をさらに添加して、プレゲル溶液を調製した。なお、前記プレゲル溶液中の、PCおよびECの等容積混合液と、PEOおよびPPOの共重合体との質量比(PC+EC:PEO+PPO)は、95:5であった。
前記プレゲル溶液を、セパレータであるポリプロピレン(以下、「PP」と略す)製不織布(厚さ:50μm、大きさ:110mm×60mm)に浸漬させ、石英ガラス板により挟持し、紫外線を15分間照射することにより架橋させて、ゲル高分子電解質層を調製した。
上記で調製したバイポーラ電極の正極上に、前記ゲル高分子電解質層を載置し、露出している集電体上には、絶縁層として、ポリプロピレン製不織布(幅:10mm、厚さ:70μm、空隙率:20%)を、正極層または負極層の周囲を取り囲むように載置した。なお、前記不織布の上部および下部の、集電体と接する面には、熱融着性ホットメルトであるフィルム製ホットメルト(厚さ:20μm、空隙率:0%、融点:90℃)を載置した。
前記電解質層上に新たなバイポーラ電極をさらに載置し、単電池(正極層+電解質層+負極層)が5セルとなるように上記の操作を繰り返して、積層体を形成した。なお、積層する際、前記絶縁層としての不織布と集電体との接触部には、シート状の熱融着性ホットメルトを挟持させた。また、両最外層のバイポーラ電極の外側の面には電極を形成させず、集電体表面が露出した状態とした。
その後、前記積層体をホットプレスすることにより、絶縁層としての不織布と集電体とを融着させた。
さらに、ホットプレス後の積層体をラミネートパック中に入れて真空密封し、正極タブおよび負極タブを外部に露出させて、バイポーラ電池を完成させた。
参考例2
前記絶縁層として、空隙率18%のポリプロピレン製不織布を載置したこと以外は、前記参考例1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
参考例3
前記絶縁層として、空隙率13%のポリプロピレン製不織布を載置したこと以外は、前記参考例1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
参考例4
前記絶縁層として、空隙率8%のポリプロピレン製不織布を載置したこと以外は、前記参考例1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
実施例5
前記絶縁層として、内側には、幅5mmおよび空隙率8%のポリプロピレン製不織布を載置し、外側には、幅5mmおよび空隙率28%のポリプロピレン製不織布を載置したこと以外は、前記参考例1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
実施例6
前記絶縁層として、内側には、幅5mmおよび空隙率8%のポリプロピレン製不織布を載置し、外側には、幅5mmおよび空隙率20%のポリプロピレン製不織布を載置したこと以外は、前記参考例1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
実施例7
前記絶縁層として、内側には、幅5mmおよび空隙率8%のポリプロピレン製不織布を載置し、外側には、幅5mmおよび空隙率15%のポリプロピレン製不織布を載置したこと以外は、前記参考例1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
比較例1
前記絶縁層として、熱融着性ホットメルトである、中心にナイロン非溶融層(融点:200℃)を有し、その上下にポリオレフィン融着層(融点:98℃)を配置した三層構造ホットメルトフィルム(厚さ:90μm、空隙率:0%)を載置したこと以外は、前記参考例1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
<バイポーラ電池の充放電試験>
上記で作製したバイポーラ電池について、下記の条件により充放電試験を行った。
1.充電:0.5Cの電流で21Vまで充電した(CC)。その後は21Vで充電した(CV)。充電時間は計5時間とした。
2.休止:10分間休止した。
3.放電:0.5Cの電流で12.5Vまで放電した。
4.休止:10分間休止した。
ここで、1Cとは、その電流値で1時間充電すると、ちょうどその電池が満充電(100%充電)状態になる電流値をいう。例えば、2Cとは1Cの2倍の電流値であり、30分で電池が満充電状態になる電流値である。
上記の充電および放電条件を1サイクルとして、60℃の温度条件下で100サイクルの充放電サイクル試験を行い、100サイクル後の容量維持率(初回放電時の放電容量に対する100サイクル後の放電容量の百分率)を算出した。結果を表1に示す。
表1からわかるように、本発明のバイポーラ電池は、単電池の周囲に絶縁性の多孔質体からなる絶縁層が存在することにより、充放電時のサイクル特性に優れる。これは、バイポーラ電池における電極間の短絡(液絡)が防止され、かつ、電解質層より発生する気体が効率よく電池外部に放出されるためであると考えられる。なお、充放電試験後の各バイポーラ電池を解体して観察したところ、実施例〜7においては、特に変化は見られなかった。一方、比較例1においては、バイポーラ電池の電極と電解質層との界面部分において気泡の発生が観察された。
また、本実施例においては絶縁層の幅を10mmに固定して試験を行ったため、一概には言えないが、絶縁層の空隙率が大きいほど高い容量維持率が得られる傾向が見られた。また、絶縁層の内側に空隙率の小さい多孔質体を配置し、外側に空隙率の大きい、特に内側の多孔質体の空隙率よりも2倍以上大きい多孔質体を配置することで、より一層容量維持率が向上しうることが示された。
上記のように、本発明のバイポーラ電池は、電池性能を低下させることなく長期間にわたって高出力密度を維持しうる。このため、車両等に搭載される場合に特に有用である。
図1は、本発明のバイポーラ電池の最良の形態の1つ(第1形態)を示す平面図である。 図2は、図1に示すA−A線に沿った、本発明の第1形態の概略断面図である。 図3は、図1に示すA−A線に沿った、本発明の第1形態の単電池(セル)21および絶縁層35の部分を拡大した概略断面図である。 図4は、本発明における絶縁層の好ましい一実施態様を示す平面図である。 図5は、本発明における絶縁層の他の好ましい一実施態様を示す平面図である。 図6は、本発明における絶縁層のさらに他の好ましい一実施態様を示す平面図である。 図7は、図4に示すA−A線に沿った、単電池(セル)21および絶縁層35部分を拡大した概略断面図である。 図8は、本発明における絶縁層のさらに他の好ましい一実施態様を示す平面図である。 図9は、本発明のバイポーラ電池における積層構造の好ましい一実施態様を示す概略断面図である。 図10は、図9に示す態様の概略斜視図である。 図11は、本発明のバイポーラ電池における積層構造の他の好ましい一実施態様を示す概略斜視図である。 図12は、本発明における絶縁層のさらに他の好ましい一実施態様を示す平面図である。 図13は、図12に示すA−A線に沿った、単電池(セル)21および絶縁層35部分を拡大した概略断面図である。 図14は、本発明のバイポーラ電池Aと一般リチウムイオン二次電池B10直とを並列に連結した組電池の一例を示す図である。図14(a)は、組電池の平面図であり、図14(b)は、組電池の正面図であり、図14(c)は、組電池の右側面図であって、これら図14(a)〜(c)では、いずれもバイポーラ電池Aおよび一般リチウムイオン二次電池Bを直列と並列との混合に接続した様子がわかるように、外部ケースを透過して組電池内部を表している。
符号の説明
11 バイポーラ電池、
13 集電体、
15 正極層、
17 負極層、
19 電解質層、
21 単電池(セル)、
23 積層体、
25 正極用最外層集電体、
27 負極用最外層集電体、
29 正極用タブ、
31 負極用タブ、
33 電池外装材、
35 絶縁層、
36,36a,36b 多孔質体、
37 樹脂、
44 正極端子、
46 負極端子、
48 検知タブ、
50 組電池、
52 外部弾性体、
55 組電池ケース、
56 バスバー、
59 端子リード。

Claims (8)

  1. 単電池の周囲に設けられる絶縁層の少なくとも一部に、絶縁性の多孔質体を含み、前記
    絶縁層の内側から外側に向かうに従って、前記多孔質体の空隙率は増加する、バイポーラ
    電池。
  2. 前記絶縁層は、絶縁性の多孔質体のみからなる、請求項1に記載のバイポーラ電池。
  3. 前記多孔質体の空隙率は1〜28%である、請求項1または2に記載のバイポーラ電池
  4. 前記多孔質体の空隙率は18〜28%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパ
    イポーラ電池。
  5. 前記絶縁層は、空隙率の異なる2つの多孔質体からなり、絶縁層の外側に存在する多孔
    質体の空隙率は、前記絶縁層の内側に存在する多孔質体の空隙率の2倍以上である、請求
    項1〜のいずれか1項に記載のバイポーラ電池。
  6. 前記多孔質体は、織布または不織布からなる、請求項1〜のいずれか1項に記載のバ
    イポーラ電池。
  7. 前記多孔質体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ
    エステル、ポリアミド、ポリイミド、シリコン、プライマーおよびウレタンからなる群か
    ら選択される1種または2種以上の樹脂からなる、請求項1〜のいずれか1項に記載の
    バイポーラ電池。
  8. ゲルポリマー電池である、請求項1〜のいずれか1項に記載のバイポーラ電池。
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