以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図3は、本発明のバイポーラ電池の好ましい一実施形態(本明細書中「第1形態」とも称する)を示す概略断面図である。図1は、本発明の第1形態のバイポーラ電池を示す平面図である。図2は、本発明の第1形態のバイポーラ電池を示す概略断面図である。図3は、本発明の第1形態のバイポーラ電池を構成する単電池(セル)の拡大概略断面図である。なお、図1の平面図は、最前面に集電体が配置された積層体の平面図であり、図2における電池外装体33、正極タブ29および負極タブ31が省略されている。また、図1〜図3は説明の都合上、各構成要素を誇張した形で記載されており、各構成要素間の比率は、実際とは異なる。これらは、以下の図においても同様である。
図2に示すように、バイポーラ電池11は、一枚の集電体13の片面に正極層15を有し、前記集電体13の他方の面に負極層17を有するバイポーラ電極が、電解質層19を介して複数積層されることで、複数の単電池(セル)21が直列に積層された構造をもつ積層体23を有する。前記積層体23において、正極側の最外層に配置される正極用最外層集電体25は正極層15のみを有し、負極側の最外層に配置される負極用最外層集電体27は負極層17のみを有する。なお、図2に示されるバイポーラ電池11において、積層体23の有する単電池(セル)21およびシール層35の数は6個であるが、単電池(セル)21およびシール層35の数がこの形態のみに制限されないのは勿論である。前記積層体23は、電池外装材33に収容されている。さらに前記最外層集電体25,27は、その一辺が延長されて、電流を外部に取り出すための正極用タブ29および負極用タブ31として前記電池外装材33の外部に取り出されている。
図1〜図3に示すように、本発明のバイポーラ電池の第1形態においては、前記積層体23が電池外装材33に収容されたバイポーラ電池11において、正極層15、負極層17、およびこれらにより挟持される電解質層19からなる単電池(セル)21の周囲を取り囲むように、集電体13の間にシール層35が設けられている。また、前記シール層35が、バイポーラ電池11の平面図において前記集電体13の外部へ突出している。さらには、隣接する前記シール層35が互いに接着している。
すなわち、本発明の第1は、単電池の周囲を取り囲み、集電体の間に設けられたシール層を有し、バイポーラ電池の平面図において前記シール層が前記集電体の外部へ突出し、さらに隣接する前記シール層が互いに接着してなる、バイポーラ電池である。また、図1〜図3に示す最良の形態を詳細に言い換えれば、本発明は、一の集電体の一面に正極層を設け、他方の面に負極層を設けたバイポーラ電極と、前記正極層と前記負極層との間に挟まれた電解質層と、前記正極層、前記電解質層、および前記負極層により構成された単電池の周囲を取り囲み前記集電体の間に設けられたシール層と、を有し、バイポーラ電池の平面図において前記シール層が前記集電体の外部へ突出し、さらに隣接する前記シール層が互いに接着してなる、バイポーラ電池であるということもできる。なお、図1〜図3において、シール層は、正極層15、電解質層19、および負極層17からなる単電池(セル)21と接するように記載されているが、これに制限されず、シール層35と単電池(セル)21との間に空隙が設けられてもよい。
以下、本発明の第1により得られる効果をより詳細に説明する。
従来、バイポーラ電池において、液体電解質またはゲル電解質を電解質層に用いる場合には、電解質層由来の電解液により正極層と負極層との間での短絡(液絡)が発生する虞があった。ここで「短絡(液絡)」とは、電解質層に用いられる電解液が単電池(セル)の外部へ漏れ出し、この漏れ出した電解液を介して、異なる単電池(セル)に属する正極層と負極層との間で電流が流れる現象をいう。この短絡(液絡)が発生すると、電池の漏液などにより電池性能が著しく低下する虞がある。よって、この短絡(液絡)を防止する目的で、単電池(セル)の周囲に、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂や、ゴムなどの絶縁物を用いて、隣接する集電体の間に、単電池(セル)を取り囲むようにシール層を設ける必要が生じていた(前記特許文献1を参照)。
ここで、本発明者らは、前記文献1に記載のような絶縁物によるシール層を設けたとしても、バイポーラ電池における単電池(セル)の数が増加すると、シール層のシール性能が低下する場合があることを見出した。特に、シール層のシーリングを熱加圧により行う場合に、単電池(セル)数が多いと、熱加圧によるシーリング時の熱が単電池(セル)の積層中心まで充分に到達せず、上記のようにシール性能が低下する場合があることを見出した。なお、「熱加圧」とは、高温条件下で加圧することをいい、「ホットプレス」とも称される。
これに対し、本発明者らは、本発明の第1を完成させることにより、上記のようなシール性能の低下という問題を解決した。
すなわち、本発明の第1によれば、図1〜図3に示すように、単電池(セル)21の周囲に設けられるシール層35が、バイポーラ電池11の平面図において前記集電体13の外部へ突出しており、さらに、隣接する前記シール層35が互いに接着していることで、シール層35のシール性能が向上しうる。これは、前記文献1に記載の絶縁物にみられるような集電体13−シール層35間の接着に加えて、一般に金属−樹脂間の接着よりも強い樹脂−樹脂間の接着であるシール層35同士の接着が生じるためであると推測される。
以上より、本発明の第1によれば、シール層35のシール性能が向上したバイポーラ電池11が提供される。これにより、電極間の短絡(液絡)が効率よく防止されうる。このため、本発明のバイポーラ電池11は、電池性能を低下させることなく長期間にわたって高出力密度を維持することが求められる車両等に搭載される場合に特に有用である。また、外部から電池内部への水分等の浸入が防止され、バイポーラ電池の剛性も向上しうる。
以下、本発明のバイポーラ電池11において、単電池(セル)21の周囲を取り囲み、集電体13の間に設けられたシール層35の好ましい実施形態について説明する。また、本発明の技術的範囲は、以下の形態のみに限定されることはない。
本発明において、「シール層」とは、単電池(セル)21の周囲に設けられ、上下に存在する集電体13によって挟持される絶縁性の層であって、正極層15と負極層17との間の短絡(液絡)を防止しうる層を意味する。
本発明においては、図1に示すように、前記シール層35が、バイポーラ電池11の平面図において集電体13の外部へ突出(本明細書中、単に「突出」とも称する)している。また、図2および図3に示すように、隣接するシール層35は、互いに接着している。ここで、「接着している」とは、同種または異種の固体の面と面が貼り合わされて一体化している状態をいう。本発明において「接着」のメカニズムは特に制限されず、化学的な力および/または物理的な力のいずれによってもよい。その他の形態は特に制限されない。なお、シール層35が「隣接する」とは、2つのシール層35が、それぞれ隣接する単電池(セル)21の周囲に設けられていることを意味する。
バイポーラ電池11は通常、単電池(セル)21が積層されてなる積層構造を有する。このため、前記シール層35も各単電池(セル)21についてそれぞれ設けられるのが通常である。以下の説明においては、全ての単電池(セル)21の周囲にそれぞれシール層35が設けられる形態について説明するが、本発明のバイポーラ電池11においては、各シール層35がそれぞれ突出しており、隣接するシール層35と互いに接着していればよく、その他の形態は特に制限されない。なお、図2に示す形態において、最外層に位置する単電池(セル)21’の周囲に設けられるシール層35’は、上層または下層のいずれか一方のみが他のシール層35と隣接しており、他方は隣接してしない。このため、前記シール層35’については、突出していることに加えて、上層または下層のいずれか一方のみが他の隣接するシール層35と接着していればよい。
前記シール層35が、図1に示すようにバイポーラ電池11の平面図において集電体13の外部へ突出する際の幅L0(本明細書中、「突出幅」とも称する)は、隣接するシール層が接着しうるのであれば特に制限されない。前記突出幅は、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1〜5mmである。
また、前記シール層35の突出幅は、各単電池(セル)21の周囲に設けられる各シール層35間で異なっていてもよく、同一であってもよい。
ここで、バイポーラ電池11においては、電極反応の進行に伴って電極15,17や電解質層19からは気体が発生し、単電池(セル)21の内圧が上昇する場合がある。また、バイポーラ電池11においては、積層中心に向かうに従って、熱がこもるために温度が上昇し、電極反応も進行しやすい。よって、この気体の発生に伴う内圧の上昇は積層中心に近いほど起こりやすく、シール層35の剥離も積層中心に近いほど発生しやすいと考えられる。また、本発明者らは、シール層のシーリングを熱加圧により行う場合に、単電池(セル)21の数が多いと、熱加圧によるシーリング時の熱が単電池(セル)21の積層中心まで充分に到達せず、積層中心付近のシール層35のシール性能が低下する場合があることを見出した。
かかる観点から、本発明のバイポーラ電池11において、複数の単電池(セル)21が積層される場合、前記シール層35の突出幅は、図4および図5に示すように、前記単電池(セル)21の積層中心から外側に向かうに従って減少することが好ましい。ここで図4は、本発明におけるシール層の好ましい一実施形態を示す平面図である。また、図5は、本発明におけるシール層の好ましい一実施形態を示す概略断面図である。かかる形態によれば、バイポーラ電池11の全てのシール層35におけるシール性能が向上しうる。また、バイポーラ電池11作製時のシーリング工程も容易に行われうる。なお、「積層中心」とは、図5に示すような、単電池(セル)21の積層により形成される積層体23の中心に位置する層23’を意味する。積層される単電池(セル)21の数が奇数である場合には、積層中心23’は1層であり、偶数である場合には、積層中心23’は2層である。
前記シール層35の外縁部の形状としては、例えば、図1および図4に示すような矩形状が挙げられるが、これに制限されない。前記シール層35は、例えば、図6〜図8に示す形状1〜形状3のような矩形状以外の形状であってもよい。なお、図6〜図8も例示のためのものであり、これらの図に示した形態のみに制限されるものではない。図6に示す形態において、前記シール層35は、周期の短い正弦波により囲まれた形状である。図7に示す形態において、前記シール層35は、周期の長い正弦波により囲まれた形状である。図8に示す形態において、前記シール層35は、鋸歯線により囲まれた形状である。シール層35の外縁部が図6〜図8に示すような矩形状以外の形状である場合において、「突出幅」とは、集電体からの垂直方向の最大幅と最小幅との平均値をいうものとする。すなわち、図6〜図8に示すように、最大幅をLa、最小幅をLbとした場合には、突出幅Lは、下記式:
で表される。また、図6〜図8においては、全てのシール層35の外縁部が相似形である形態が示されているが、必ずしもそうである必要はなく、各シール層35の外縁部の形状は異なっていてもよい。
後述する実施例において示されるように、本発明のバイポーラ電池11のシール層35が熱加圧により形成される場合、シール層35の外縁部が図6〜図8に示す形状1〜形状3のような矩形状以外の形状であると、シール層35のシール性能が向上する。このメカニズムについては明らかではないが、シール層35の外縁部をかような形状とすることで、熱加圧の際の熱の伝導性が向上するためではないかと推測される。かかるメカニズムはあくまでも推測に過ぎず、上記以外のメカニズムにより本発明の効果が得られたとしても、特許請求の範囲の要件を具備する限り、本発明の技術的範囲に含まれると解釈すべきである。
本発明の要件を満たしている限り、本発明のバイポーラ電池11に用いられるシール層35の材質等の具体的形態は特に制限されない。しかし、集電体13との接着性、およびシール層35同士の接着性に優れ、さらに製造が容易である点で、シール層35の材質は樹脂であることが好ましい。前記樹脂は、特に制限されないが、例えば熱加圧によりシール層35が形成される場合には、融点等を考慮して適宜選択されうる。前記樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテロラフルオロエチレン、シリコーン、ウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド等が例示される。なお、シール層35の材質は、各シール層35間で異なっていてもよく、同一であってもよい。
また、ある1つのシール層35中に、複数の材質が用いられてもよい。例えば、あるシール層35が、異なる材質の複数の層からなっていてもよい。さらに、前記シール層35に用いられる材質の融点についても、特に制限されない。ここで好ましくは、図9に示すように、シール層35は、集電体13側に位置するように設けられた第1の樹脂36と、前記第1の樹脂により挟持され、前記第1の樹脂36より融点の高い第2の樹脂37とからなる。
例えば、シール層35が単一の樹脂からなる場合、熱加圧によってシール層35を溶融させ、集電体13または隣接するシール層35と接着させる方法を用いてバイポーラ電池11を製造すると、場合によっては、シール層35の樹脂全体が溶融し、さらに加圧プレスされることによって、隣接する集電体13同士が接触し、短絡が起こる危険性がないとは言えない。これに対し、図9に示す形態によれば、より融点の高い樹脂(第2の樹脂37)がシール層35の内側に存在することで、上記のような隣接する集電体13間の短絡の危険性が低下しうる。
シール層35が第1の樹脂36および第2の樹脂37からなる図9に示す形態において、前記第1の樹脂36の融点は、図10に示すように、単電池(セル)21の積層中心23’から外側に向かうに従って上昇することが好ましい。かかる形態によれば、各シール層35を形成する第1の樹脂36において、積層中心23’に近い低融点の層は、より低温で溶融しうる。したがって、例えば熱加圧によりシール層35のシーリングが行われる際に、積層中心23’まで到達する熱が外側と比較して少ない場合であっても、積層中心23’付近のシール層35中の第1の樹脂36が溶融することで、隣接するシール層35の第1の樹脂36同士が充分に接着しうる。その結果、バイポーラ電池11におけるシール層35のシール性能が向上し、電極間の短絡(液絡)の危険性が低下しうる。なお、図10は、図9に示す形態のバイポーラ電池を構成する単電池(セル)の好ましい形態であって、後述する実施例において採用される一実施形態を示す拡大概略断面図である。本発明において、第1の樹脂36および第2の樹脂37の融点等の具体的形態が図10に示される形態のみに制限されないことは勿論である。
以上より、本発明のバイポーラ電池の最も好ましい形態の1つは、図11に示すような形態が例示される。図11に示す形態において、シール層35は集電体13の外部へ突出し、さらに隣接する前記シール層35が互いに接着している。また、前記シール層の前記集電体の外部へ突出した部分の幅は、前記単電池の積層中心から外側に向かうに従って減少している。さらに、前記シール層は、前記集電体側に位置するように設けられた第1の樹脂と、前記第1の樹脂により挟持され、前記第1の樹脂より融点の高い第2の樹脂とからなっており、前記第1の樹脂の融点は、前記単電池の積層中心から外側に向かうに従って上昇している。
以下、本発明のバイポーラ電池に用いられる電解質層19、正極層15、負極層17、集電体13およびタブ29,31の好ましい一実施形態について順に説明する。
まず、電解質層19について説明する。
バイポーラ電極を積層して積層体を形成するための電解質層に用いられる電解質としては、一般に、液体電解質または高分子電解質が挙げられる。前記高分子電解質には、全固体高分子電解質および高分子ゲル電解質が含まれる。ここで本発明は、電解質層において用いられる電解液の漏れ出しによる短絡(液絡)を防止するためのシール層に特徴を有する。このため、本発明においては、電解質として、高分子ゲル電解質または液体電解質が用いられる。なかでも、電解液が漏れ出す危険性がより低下し、バイポーラ電池の安全性が向上しうる点で、高分子ゲル電解質がより好ましく用いられる。すなわち、本発明のバイポーラ電池は、ゲルポリマー電池であることが好ましい。
ここで一般に、高分子電解質は、イオン導伝性を有する高分子から構成される。特に、優れた機械的強度を発現させることが可能である点で、高分子電解質形成用の重合性ポリマーを熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合により架橋構造を形成することにより作製されるものが好適に用いられる。
高分子ゲル電解質とは、一般に、イオン導伝性を有する全固体高分子電解質に、電解液を保持させたものをいう。なお、本願では、リチウムイオン導伝性を有しない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも、前記高分子ゲル電解質に含まれるものとする。以下、前記リチウムイオン導伝性を有する全固体高分子電解質および前記リチウムイオン導伝性を有しない高分子を総称して、「ホストポリマー」とも称する。
高分子ゲル電解質に含まれる電解液(電解質塩および可塑剤)は、通常のバイポーラ電池で用いられるものであればよい。具体的には、特に制限されないが、例えば、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiTaF6、LiAlCl4、Li2B10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩(電解質塩)を含み、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる1種または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒(可塑剤)等が挙げられる。
高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を有しない高分子は、特に制限されない。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が例示される。なお、PANおよびPMMA等は、イオン導伝性をほとんど有しないがわずかに有する部類に入るため、上記イオン伝導性を有する高分子としても分類されうるが、ここでは高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を有しない高分子として例示した。
高分子ゲル電解質中のホストポリマーと電解液との含有量の比(質量比)は、使用目的等に応じて適宜決定されうるが、通常、2:98〜90:10の範囲である。
高分子電解質は、当該電解質層のほか、正極層、および負極層にも含まれうる。この際、同一の高分子電解質が含まれてもよく、それぞれ異なる高分子電解質が含まれてもよい。しかし、電解質層に高分子ゲル電解質を用いた場合、正極層および負極層にも高分子ゲル電解質を用いて、ゲルポリマー電池とすることが好ましい。
また、電解質層が高分子ゲル電解質からなる場合、前記電解質層は、高分子ゲル原料溶液を不織布などのセパレータに含浸させた後、上記の種々の方法を用いて重合することにより形成されたものであってもよい。セパレータを用いることにより、電解液の充填量を高めることができるとともに、電池内部の熱伝導性が確保される。
上記電解質層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5〜25μm程度である。電解質層の厚さの下限値は、コンパクトなバイポーラ電池を得る上で、電解質層としての機能が確保できる範囲で極力薄くしうる値である。なお、ここでいう電解質層の厚さは、正極と負極との間に設けられる電解質層の厚さをいう。したがって、当該電解質層の形成方法によっては、厚さの同じまたは異なる複数のポリマー電解質膜を貼り合せるなどして形成されることもありうるが、こうした場合でも上記に規定する電解質層の厚さは、これら複数のポリマー電解質膜を貼り合せるなどして形成される電解質層の厚さである。
ところで、現在好ましく使用される重合性ポリマーは、PEO、PPOのようなポリエーテル系高分子である。このため、高温条件下における正極側での耐酸化性が弱い。従って、溶液系のバイポーラ電池で一般に使用される、酸化還元電位の高い正極剤を使用する場合には、負極の容量が、電解質層を介して対向する正極の容量より少ないことが好ましい。負極の容量が対向する正極の容量より少ないと、充電末期に正極電位が上がり過ぎることを防止できる。なお、正極および負極の容量は、正極および負極を製造する際の理論容量として、製造条件から求めることができる。完成品の容量を測定装置で直接測定してもよい。ただし、負極の容量が対向する正極の容量と比べて少ないと、負極電位が下がりすぎて電池の耐久性が損なわれる虞があるので充放電電圧に注意する必要がある。例えば、一つの単電池(セル)の平均充電電圧を使用する正極活物質の酸化還元電位に対して適切な値に設定して、耐久性が低下しないように注意する。
上述したように、本発明において電解質層に用いられる電解質は、液体電解質であってもよい。前記液体電解質としては、上記で高分子ゲル電解質に含まれる電解液(電解質塩および可塑剤)として説明したものが好ましく用いられうるため、ここでは説明を省略する。
次に、正極層15について説明する。
正極層は、正極活物質を含有する。また、必要に応じて、導電助剤、バインダ、リチウム塩、電解質等のその他の成分をも含有しうる。
正極活物質としては、遷移金属とリチウムとの複合酸化物であるリチウム−遷移金属複合酸化物が好適に用いられうる。正極活物質として、具体的には、LiCoO2などのLi・Co系複合酸化物、LiNiO2などのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMn2O4などのLi・Mn系複合酸化物、LiFeO2などのLi・Fe系複合酸化物およびこれらの遷移金属の一部を他の元素により置換したもの等が挙げられる。これらリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れる材料であり、低コストである。したがって、これらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成しうる。この他の正極活物質としては、LiFePO4などの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V2O5、MnO2、TiS2、MoS2、MoO3などの遷移金属酸化物や硫化物;PbO2、AgO、NiOOHなどが挙げられる。
正極層における正極活物質の粒径は、特に限定されない。電極抵抗を低減する観点から、前記粒径は、好ましくは数μm〜300μm、より好ましくは5〜100μmである。また、正極活物質の使用量は、正極層における正極材料の全量に対して、好ましくは80〜95質量%程度である。
導電助剤としては、特に制限されないが、アセチレンブラック、カーボンブラック、およびグラファイト等が挙げられる。導電助剤の使用量は、正極層における正極活物質の全量に対して、好ましくは3〜15質量%程度である。
バインダとしては、特に制限されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、SBR、およびポリイミド等が挙げられる。バインダの使用量は、正極層における正極活物質の全量に対して、好ましくは1〜10質量%程度である。
リチウム塩としては、特に制限されないが、正極活物質に対して安定であって、リチウムイオンが正極活物質と電極反応を行うために移動し得る非水系物質であればよい。例えば、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(C2F5SO2)2N)、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)またはこれらの混合物等が挙げられる。
電解質層に高分子電解質が用いられる場合には、正極層も高分子電解質を含有することが望ましい。正極層における正極活物質間の空隙に高分子電解質を充填することによって、正極層におけるイオン伝導がスムーズになり、その結果、バイポーラ電池全体としての出力密度および安全性が向上しうる。
正極層における高分子電解質の配合量は、少なすぎると電極層内でのイオン伝導抵抗やイオン拡散抵抗が大きくなり電池性能が低下してしまう。一方、正極層における高分子電解質の配合量が多すぎると、電池のエネルギー密度が低下してしまう。従って、これらの要因を考慮して、目的に合致した高分子電解質量が決定されうる。なお、本発明によれば、シール層の存在により、正極層の外周部からの電解液の漏れ出しについても効果的に抑制されうる。
正極層は、電池容量を向上させるには厚い方が望ましく、高レート充放電に特化させるには薄い方が望ましい。かような観点から、正極層の厚さは、20〜200μm、好ましくは30〜150μmとするのがよい。
次に、負極層17について説明する。
負極層は、負極活物質を含有する。また、必要に応じて、導電助剤、バインダ、リチウム塩、電解質等のその他の成分をも含有しうる。
負極活物質以外の成分としては、基本的に上述の正極層と同様であるため、ここではその説明を省略する。
負極活物質としては、各種の天然黒鉛や人造黒鉛、例えば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛類、および各種のリチウム合金類が好適に用いられる。具体的には、カーボン、グラファイト、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物等が用いられうる。好ましくは、カーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物が用いられる。これらは、反応性、サイクル耐久性に優れる材料であり、低コストである。そのため、これらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池が形成されうる。なお、リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、Li4Ti5O12などのリチウム−チタン複合酸化物等が挙げられる。また、カーボンとしては、例えば、黒鉛(グラファイト)、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。負極活物質の使用量は、負極層における負極材料の全量に対して、好ましくは80〜96質量%程度である。
また、負極層に含まれる電解質は、被膜形成材を含有しうる。これにより、電池サイクルに伴う容量低下が抑制されうる。被膜形成材としては、特に限定されないが、例えば、特開2000−123880号公報に記載の被膜形成材等の従来公知のものが挙げられる。
負極層の厚さは、正極層と同様に、20〜200μm、好ましくは30〜150μmとするのがよい。
次に、集電体13について説明する。
集電体は、特に限定されず、従来のバイポーラ電池に用いられている集電体が用いられうる。集電体としては、例えば、アルミニウム箔、ステンレス(SUS)箔、チタン箔、ニッケルおよびアルミニウムのクラッド材、銅およびアルミニウムのクラッド材、SUSおよびアルミニウムのクラッド材、またはこれらの金属の組み合わせのめっき材等が好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムを被覆させた集電体、特開2000−100471号公報に記載の複合集電体等も本発明の集電体として用いられうる。
単電池(セル)に用いられる集電体の厚さは、通常と同様でよく、1〜100μm程度である。また、集電体の長さおよび幅、集電体の形状等は、使用目的に応じて適宜決定されうる。
本発明のバイポーラ電池は、上述した電解質層19、正極層15、負極層17および集電体13を用いて、一枚の集電体13の片面に正極層15を設け、前記集電体13の他方の面に負極層17を設けてバイポーラ電極とし、これが電解質層19を介して複数積層されてなる積層体23を含む。かかる積層体23中には、正極層/電解質層/負極層がこの順に積層されてなる単電池(セル)21が形成される。本発明のバイポーラ電池は、隣接するシール層が互いに接着している点に特徴を有している。このため、積層体23中に形成される単電池(セル)の数は少なくとも2以上であり、電池の使用用途に合わせて積層数を変化させることが好ましく、例えば、自動車に搭載される場合には200V以上の電圧が必要とされるため、4.2Vの単電池(セル)を50〜100層以上積層すればよい。また、12Vや42Vの電圧を有する積層体を一つの単位とし、それらを組み合わせて使用してもよい。なお、正極用最外層集電体25には正極層15のみを有する電極が接続され、負極用最外層集電体27には負極層17のみを有する電極が接続されている。
最外層集電体として、具体的には、単電池(セル)21において用いられる集電体13と同じものが挙げられるため、ここではその説明を省略する。
次に、本発明のバイポーラ電池は、各単電池(セル)21の周囲に設けられたシール層35を有する。本発明において、前記シール層35は、バイポーラ電池の平面図において集電体の外部へ突出しており、さらに隣接するシール層同士は互いに接着している。その他シール層35の好ましい形態については上述したため、ここでは説明を省略する。
次に、タブについて説明する。
バイポーラ電池においては、電流を取り出す目的で、タブ29,31が最外層集電体25,27に接合される。タブ29,31の材質は、特に制限されず、従来バイポーラ電池に用いられている公知の材質が用いられうる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等が例示される。なかでも、耐食性、作り易さ、経済性などの観点から、アルミニウム、銅が好ましく用いられうる。また、正極用タブ29と負極用タブ31とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。タブ29,31の厚さは、1〜1000μm、好ましくは10〜500μm程度である。
最外層集電体25,27に接合されたタブ29,31は、耐熱絶縁性の熱収縮チューブ等の絶縁材により被覆されることが好ましい。これによれば、タブが周辺機器や配線等に接触して漏電することにより製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に及ぼされる悪影響が防止されうる。前記絶縁材の材質は特に制限されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等が例示される。
本発明のバイポーラ電池において、接合されたタブ29,31を介して電気を外部に取り出す形態は特に制限されず、任意の形態が採用されうる。例えば、タブをそのまま延長し、直接外部に取り出してもよい。また、接合されたタブ29にリードを接続し、外部に取り出してもよい。この際、前記リードは、上記で説明した絶縁材により被覆されていることが好ましい。
リードが用いられる場合、用いられるリードは特に制限されず、従来用いられている公知のリードが用いられうる。リードの材質としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、およびこれらの合金等が例示される。正極リードおよび負極リードの材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、正極リードおよび負極リードは、材質の異なるものを多層に積層したものであってもよい。
本発明のバイポーラ電池においては、使用時の外部からの衝撃や環境劣化を防止するために、電池本体である積層体23は、好ましくは電池ケース等の電池外装材37に収容される。前記電池外装材37としては、特に制限されず従来公知の外装材が用いられうる。なかでも、軽量化の観点から、アルミニウム、ステンレス、ニッケルもしくは銅等の金属またはこれらの合金の両面をポリプロピレンフィルム等の絶縁体(好ましくは耐熱性の絶縁体)で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルム(例えば、ポリプロピレン−アルミニウム複合ラミネートフィルム;単にアルミラミネートフィルムともいう)等が用いられうる。かかる電池外装材に前記積層体を収容するには、前記外装材の周辺部の一部または全部を熱融着にて接合することにより、前記積層体を密封状態で収容することが好ましい。この際、タブは、前記熱融着により接合された部位に挟まれて前記外装材の外部に露出される構造とすればよい。自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を迅速に電池動作温度まで加熱しうる点で、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートフィルム等が特に好ましく用いられうる。
さらに、本発明のバイポーラ電池は、複数個連結されて組電池を形成しうる。すなわち、本発明の第2は、本発明のバイポーラ電池が、並列接続、直列接続、並列−直列接続または直列−並列接続により、複数個接続されてなる、組電池を提供する。これにより、種々の車両用ごとの容量および電圧の要望に対して、基本のバイポーラ電池を様々に組み合わせることで対応することが可能となる。その結果、必要なエネルギーおよび出力を設計することが容易になる。そのため種々の車両用ごとに異なるバイポーラ電池を設計、生産する必要がなく、基本となるバイポーラ電池の大量生産が可能となり、量産化によるコスト削減が可能となる。
また、本発明の組電池は、本発明のバイポーラ電池と、前記バイポーラ電池と正負極電極材料が同一であって、前記バイポーラ電池の構成単位数直列接続されることにより電圧が同一とされた電池(好ましくはバイポーラ型でないリチウムイオン二次電池(本明細書中、「一般リチウムイオン二次電池」とも称する))と、を並列に接続したものであってもよい。すなわち、本発明の組電池を形成する電池には、本発明のバイポーラ電池と一般リチウムイオン二次電池等とが混在していても良い。これにより、出力重視のバイポーラ電池と、エネルギー重視の一般リチウムイオン二次電池との組み合わせで、お互いの弱点を補う組電池が形成され、組電池の軽量化およびコンパクト化が図られる。それぞれのバイポーラ電池と一般リチウムイオン二次電池とをどの程度の割合で混在させるかは、組電池として要求される安全性能、出力性能に応じて適宜決定されうる。以下、かかる形態につき、図面を用いて詳細に説明する。
図12にバイポーラ電池A(42V、50mAh)と一般リチウムイオン二次電池B(4.2V、1Ah)10直(42V)とを並列に連結した組電池を示す。一般リチウムイオン二次電池Bとバイポーラ電池Aは電圧が等しくなり、その部分で並列接続を形成している。この組電池50は、出力の分担をバイポーラ電池Aが有し、エネルギーの分担を一般リチウムイオン二次電池Bが有する構造である。これは、出力とエネルギーを両立することが困難な組電池において、非常に有効な手段である。この組電池50でも、並列部分および図の横方向に隣り合う一般リチウムイオン二次電池B間を直列接続する部分のタブは銅のバスバー56で接続し、図の縦方向に隣り合う一般電池B間を直列接続する部分はタブ29,31同士を振動溶着して接続した。一般リチウムイオン二次電池Bとバイポーラ電池Aを並列接続している部分の端部を端子44、46に接続して、正負の端子を構成している。バイポーラ電池Aの両側には、バイポーラ電池Aの各層の電圧を検知する検知タブ48を取り出し、それらの検知線(図示せず)を組電池50の前部に取り出している。詳しくは、図12に示す組電池50を形成するには、一般リチウムイオン二次電池B10枚を端から順番にバスバー56に振動溶着させて直列に接続する。さらに、バイポーラ電池Aと直列接続された両端の一般リチウムイオン二次電池Bとをそれぞれバスバー56で並列に接続して金属製の組電池ケース55に収納する。このように、バイポーラ電池Aを任意の個数直並列に接続することによって、所望の電流、電圧および容量に対応しうる組電池50が提供される。前記組電池50にも、正極端子44、負極端子46が金属製の組電池ケース55の側面前部に形成されており、電池A、Bを直並列に接続後、例えば、各バスバー56と各正極端子44、負極端子46とが端子リード59で接続されている。また、前記組電池50には、電池電圧(バイポーラ電池Aの各単電池層、さらにはバイポーラ電池Aおよび一般リチウムイオン二次電池Bの端子間電圧)を監視するために検知タブ端子54が金属製の組電池ケース55の正極端子44および負極端子46が設けられている側面前部に設置されている。そして、各バイポーラ電池A(さらには一般リチウムイオン二次電池B)の検知タブ48が全て検知線(図示せず)を介して検知タブ端子54に接続されている。また、組電池ケース55の低部には、外部弾性体52が取り付けられており、組電池50を複数積層して複合組電池を形成するような場合に、組電池50間の距離を保ち、防振性、耐衝撃性、絶縁性、放熱性などを向上させうる。
また本発明においては、さらに上記のバイポーラ電池を直並列接続して第1組電池ユニットを形成するとともに、この第1組電池ユニットの端子間電圧と電圧を同一にするバイポーラ電池以外の二次電池が直並列接続されてなる第2組電池ユニットを形成し、この第1組電池ユニットと第2組電池ユニットを並列接続することによって組電池としてもよい。
さらに、上記の組電池を少なくとも2以上直列、並列、または直列と並列の複合接続することで、複合組電池を形成してもよい。これにより、新たに組電池を作製することなく、使用目的ごとの電池容量や出力に対する要求に比較的安価に対応することが可能となる。また、組電池が複数直並列接続されてなる複合組電池は、一部の電池、組電池が故障しても、その故障部分を交換するのみで修理が完了しうる。
なお、本発明の組電池および複合組電池のその他の構成および製造方法等の具体的形態は、何ら制限されず、従来公知の一般リチウムイオン二次電池を用いた組電池および複合組電池の構成および製造方法等と同様の形態が適宜適用されうる。例えば、特開2003−303583号公報に記載されているような、従来公知の組電池および複合組電池の構成および製造方法が利用されうる。
上記のバイポーラ電池、組電池、複合組電池は、例えば、電気自動車(EV)、シリーズまたはパラレルハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車、ハイブリッド燃料電池自動車等に搭載され、高エネルギー密度、高出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源として好適に利用されうる。すなわち、本発明の第3は、本発明のバイポーラ電池、組電池、および/または複合組電池を搭載した車両である。前記バイポーラ電池、組電池、複合組電池のうち少なくとも1つが車両に搭載される場合には、特に制限されないが、車両中央部の座席下、車両の床下、トランクルーム、エンジンルーム、屋根、ボンネットフード内等に設置されうる。
本願は、本発明のバイポーラ電池の好ましい製造方法をも提供する。本発明の製造方法は、シール層のシーリングを熱加圧によってまとめて行う点に特徴を有する。詳細には、シール層と集電体との接着、および隣接するシール層同士の接着を、熱加圧の手段を用いて一度にまとめて行う。これにより、バイポーラ電池を製造する際の作業時間が著しく短縮されうる。
すなわち、本発明の第4は、集電体、正極層、電解質層および負極層を、前記電解質層が前記正極層および前記負極層により挟持されてなる単電池が2以上形成され、前記単電池が2つの集電体により挟持されるように積層する工程(1)と、前記単電池の周囲を取り囲むシール層を、隣接する前記集電体の間に、バイポーラ電池の平面図において前記集電体の外部へ突出するように配置する工程(2)と、前記シール層の両側に位置する集電体と前記シール層とを、および、隣接するシール層同士を、熱加圧により互いに接着させる工程(3)と、を有する、バイポーラ電池の製造方法である。
以下、本発明の製造方法の各工程の好ましい実施形態について説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されない。
まず、工程(1)について説明する。
工程(1)においては、集電体、正極層、電解質層および負極層を積層する。これらの積層の際には、図2に示すように、電解質層19が正極層15および負極層17により挟持されてなる単電池21を有する積層体23が形成される。また、前記積層体23に含まれる単電池21は、2つの集電体13により挟持される。以下、この工程(1)について、より詳細に説明する。なお、電解質層19に含まれる電解質としては高分子ゲル電解質を例に挙げて説明する。しかし、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されず、上記の本発明の第1のバイポーラ電池の構成の欄において説明した他の形態も同様に用いられうる。
正極層/電解質層/負極層がこの順に積層してなる単電池(セル)を形成する形態としては、例えば、一の集電体の一面に正極層を有し、他方の面に負極層を有するバイポーラ電極と、電解質層とを順次積層する形態が挙げられる。以下、この形態を例に挙げて説明するが、この形態のみには制限されない。例えば、正極層/電解質層/負極層がこの順に積層してなる単電池(セル)を予め形成しておき、前記単電池(セル)と集電体とを順次積層する形態もまた採用されうる。
集電体の一面に正極層を形成する段階においては、例えば、正極用組成物を調製し、その後に、集電体の一面上に前記正極用組成物を塗布し、乾燥および重合させることによって、正極層が形成されうる。以下、より詳細に説明する。なお、この工程(1)において用いられる集電体、正極層、および負極層の具体的形態は特に制限されず、本発明の第1において好ましい形態として説明した形態が例示される。このため、ここでは説明を省略する。
<正極用組成物の調製>
正極用組成物は通常はスラリー(正極用スラリー)として得られ、集電体(正極用最外層集電体を含む)の一方の面に塗布される。
正極用スラリーは、正極活物質を含む溶液である。また、正極用スラリーは、正極活物質および溶媒の他にも、必要であれば、導電助剤、バインダ、重合開始剤、高分子ゲル電解質の高分子原料(ホストポリマー)、およびリチウム塩等を含んでもよい。正極用スラリーは、例えば、正極活物質を含む溶媒中に、バインダ、導電助剤を添加し、ホモミキサー等で攪拌することによって調製されうる。
正極活物質、導電助剤、バインダ、高分子ゲル電解質の高分子原料(ホストポリマー)、およびリチウム塩に関しては、基本的に本発明のバイポーラ電池の構成要件である正極層の項で説明した内容と同様の形態が用いられうるため、ここでは説明を省略する。
溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、n−ピロリドン等のスラリー粘度調整用溶媒が挙げられ、正極用スラリーの種類に応じて適宜選択されうる。
正極活物質、リチウム塩、導電助剤等の添加量は、得られるバイポーラ電池が所定の関係を満たすように適宜決定されうる。
<正極層の形成>
上記で調製された正極用スラリーを集電体上に塗布した後、乾燥させて、含まれる溶媒を除去する。
正極用スラリーを集電体上に塗布するには、例えば、得られる正極層の厚さが20〜200μmとなるように、コーター、スクリーン印刷法等の従来公知の方法が用いられうる。
集電体上に塗布された正極用スラリーを乾燥させるには、真空乾燥機等の従来公知の装置が用いられうる。この際の乾燥条件は、塗布された正極用スラリーの性質に応じて適宜決定されうる。
形成された正極層は、表面の平滑性および厚さの均一性を向上させるためにプレス操作によりプレスされることが好ましい。プレス操作は冷間でプレスロールする方法または熱間でプレスロールする方法のいずれの方法であってもよい。熱間でプレスロールする場合は、電解質支持塩や重合性ポリマーが分解する温度以下で行うことが望ましい。プレス圧力は線圧で200〜1000kg/cmで行うことが望ましい。
次に、集電体の正極層が作製された面の他方の面に負極層を形成する。この際には、例えば、上記で説明した正極層の形成と同様に、負極用組成物を調製した後に、前記負極用組成物を集電体上に塗布し、乾燥させることによって、負極層が形成されうる。以下、より詳細に説明する。
<負極用組成物の調製>
負極用組成物は通常はスラリー(負極用スラリー)として得られ、集電体(負極集電体を含む)の正極層が作製された面とは反対の面に塗布される。
負極用スラリーは、負極活物質を含む溶液である。また、負極用スラリーは、負極活物質および溶媒の他にも、必要であれば、導電助剤、バインダ、重合開始剤、高分子ゲル電解質の高分子原料(ホストポリマー)、およびリチウム塩等を含んでもよい。使用される原料や添加量については、「正極用組成物の調製」において説明したものと同様の形態が用いられるため、ここでは説明を省略する。
<負極層の形成>
上記で調製された負極用スラリーを集電体に塗布した後、乾燥させて、含まれる溶媒を除去する。塗布方法、乾燥条件等については、「正極層の作製」において説明したものと同様の形態が用いられるため、ここでの説明は省略する。
また、上記「正極層の作製」において説明したプレス操作は、例えば、集電体の片面に正極層を形成し、他面に負極層を形成した後に、正極層および負極層をまとめて行ってもよい。また、集電体の片面に正極層を形成した後にプレス操作してもよいし、集電体の片面に負極層を形成した後にプレス操作してもよいなど、プレス操作の対象や時期等の形態は、必要に応じて適宜選択されうる。また、プレス条件については、正極層または負極層の場合でも、正極層および負極層をまとめて行う場合であっても、上記「正極層の作製」の項で説明した範囲内において適宜選択されうる。
<電解質層を介した複数のバイポーラ電極の積層>
続いて、上記で作製されたバイポーラ電極を所望のサイズに切り出し、セパレータを介して複数積層させて、単電池(セル)を形成させる。その後、これにゲル原料溶液を含浸させ、重合させて、バイポーラ電池を作製する。なお、本発明の製造方法により製造されるバイポーラ電池は、本発明の第1においても説明したように、隣接するシール層が互いに接着している点に特徴を有している。従って、本発明の製造方法の工程(1)においても、単電池(セル)の数が少なくとも2以上となるようにバイポーラ電極および電解質層が積層される。なお、この工程(1)において用いられる電解質層の具体的な好ましい形態は特に制限されず、本発明の第1において好ましい形態として説明した形態が例示される。
電解質層に用いられるセパレータとしては、厚みが5〜25μm程度の微孔性ポリエチレンフィルム、微孔性ポリプロピレンフィルム、微孔性エチレン−プロピレン−コポリマーフィルムなど一般的に用いられているものが挙げられる。バイポーラ電極の積層数は、バイポーラ電池に求める電池特性を考慮することにより、適宜決定されうる。
積層体に含浸させるゲル原料溶液は、高分子ゲル電解質の原料高分子(ホストポリマー)、リチウム塩、重合開始剤等を溶媒に溶解させて調製した溶液である。ホストポリマー、リチウム塩等は、本発明のバイポーラ電池の正極層の説明において説明したものと同様の形態が用いられるため、ここではその説明を省略する。
重合開始剤は、重合方法(熱重合法、紫外線重合法、放射線重合法、電子線重合法など)や重合させる化合物に応じて適宜選択されうる。特に制限されないが、例えば、紫外線重合開始剤としてベンジルジメチルケタール、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。また、溶媒としては、特に制限されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、およびn−ピロリドンなどのスラリー粘度調整用溶媒等が挙げられる。重合開始剤の添加量は、ホストポリマーに含まれる架橋性官能基の数に応じて適宜決定されうる。通常は、上記ホストポリマーに対して0.01〜1質量%程度である。
ゲル原料溶液の含浸は、例えば、バイポーラ電極をセパレータを介して複数積層し、積層体を作製した後に、作製された積層体をゲル溶液に浸漬することにより、またはゲル原料溶液を注入することにより行われうる。ゲル原料溶液は、まだゲル状になっていないため、電極およびセパレータに浸透しうる。また、前記含浸には、アプリケーターやコーター等を用いることで微量の供給も可能である。
その後、ゲル原料溶液を含浸させた積層体に含まれるホストポリマーを、熱、紫外線、放射線、電子線等により重合(架橋)させる。なかでも、簡便かつ確実に重合を行うことができる点で、好ましくは熱重合が行われうる。乾燥および熱重合の際には、真空乾燥機等の従来公知の装置が用いられうる。乾燥および熱重合の条件はゲル原料溶液の性質に応じて適宜決定されうる。得られる電解質層の幅は、単電池(セル)の集電体の電極形成部サイズよりも若干小さくすることが一般的であるが、特に制限されない。
なお、積層体の作製は、電池内部に水分等が混入するのを防止する観点から、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
次に、工程(2)について説明する。
工程(2)においては、シール層を、前記工程(1)において形成された単電池(セル)の周囲を取り囲むように、かつ、バイポーラ電池の平面図において前記集電体の外部へ突出するように、隣接するバイポーラ電極の集電体の間に配置する。以下、この工程(2)について、より詳細に説明する。
この工程(2)において配置されるシール層の具体的形態は特に制限されず、本発明の第1において好ましい形態として説明した形態が例示される。このため、ここでは説明を省略する。なお、「集電体の間に配置する」とは、隣接するバイポーラ電極の集電体によって挟まれるようにシール層が配置されることを意味する。この際シール層は、両側に位置する集電体と接着していない。前記シール層と前記集電体との接着は、後述する工程(3)において行われる。
また、この工程(2)においてシール層を配置する具体的な方法も特には制限されない。例えば、矩形状の単電池(セル)の周囲に配置される場合、帯状のシール層を前記矩形の1辺毎に順に配置してもよく、例えば矩形状のシール層の内部をさらに矩形状に型抜きし、この型抜き部に単電池(セル)を嵌め込むようにしてシール層を配置してもよい。
この工程(2)は、前記工程(1)の終了後に行われうる。しかし、必ずしも前記工程(1)の終了後に行われる必要はなく、前記工程(1)と同時に行われてもよい。すなわち、前記工程(1)においてバイポーラ電極と電解質層とを積層して単電池(セル)を形成する際、例えば電解質層を積層後に集電体の露出部分にシール層を配置し、次いで上層のバイポーラ電極を積層してもよい。かかる方法によっても単電池(セル)が積層された積層構造は得られる。
工程(2)において、シール層の配置は、手動の手段により行われてもよく、半自動または全自動の手段により行われてもよい。
続いて、工程(3)について説明する。
工程(3)においては、前記工程(2)において配置されたシール層の両側に位置する集電体と前記シール層とを、および、隣接するシール層同士を、熱加圧により互いに接着させる。本発明において、シール層は、この工程(3)において、熱加圧の手段により、両側に位置する集電体と、および隣接するシール層と、初めて互いに接着する。このように、シール層と集電体との接着、および隣接するシール層同士の接着を、熱加圧の手段を用いて一度にまとめて行うことにより、バイポーラ電池を製造する際の作業時間が著しく短縮されうる。以下、この工程(3)について、より詳細に説明する。
熱加圧に用いられる装置や操作条件等の具体的形態は、特に制限されず、シール層と集電体とが互いに接着し、さらに隣接するシール層同士が互いに接着しうるのであればよい。
熱加圧は、手動の手段により行われてもよく、半自動または全自動の手段により行われてもよい。例えば、市販のホットプレス機のような装置を用いることにより行われうる。かかる形態としては、例えば、図13および図14に示す形態が例示される。図13は、この工程(3)において熱加圧を行う際の好ましい形態を示す平面図である。図14は、前記形態の断面図である。なお、図13および図14に示す形態において、ホットプレス機60は、積層体23のうち、シール層35を含む一部のみに接しているが、この形態に制限されず、例えば積層体23の全体がプレスされる形態等も採用されうる。
熱加圧の際の温度条件および圧力条件は、特に制限されないが、温度条件は、通常100〜250℃程度であり、圧力条件は、通常0.1〜0.5MPa程度である。
本願は、さらに、本発明のバイポーラ電池の他の好ましい製造方法をも提供する。この製造方法は、積層体を形成する際に、シール層の一面を集電体に予め接着させておく点に特徴を有する。詳細には、予めシール層が接着した集電体を用いて積層体を形成し、さらにシール層のシーリングを行う。これにより、全ての単電池(セル)についてより均一にシールすることが可能となる。その結果、電解質層において用いられる電解液の漏れ出しが抑制され、電極間の短絡(液絡)が効率よく防止されうる。
すなわち、本発明の第5は、集電体に、単電池の周囲を取り囲むシール層を、バイポーラ電池の平面図における前記集電体の外部へ突出するように接着させる工程(1)と、電解質層が正極層および負極層により挟持されてなる単電池が2以上形成され、さらに前記単電池が2つの集電体により挟持されるように、前記集電体、正極層、電解質層および負極層が積層されてなる積層体を形成する工程(2)と、前記シール層の両側に位置する集電体のうち前記シール層と接着していない集電体と前記シール層とを、および、隣接するシール層同士を、熱加圧により互いに接着させる工程(3)と、を有する、バイポーラ電池の製造方法である。
以下、本発明の製造方法の各工程の好ましい実施形態について説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されない。
まず、工程(1)について説明する。
工程(1)においては、集電体に、シール層を接着させる。この工程において、前記シール層が接着する前記集電体の位置は、単電池(セル)の周囲を取り囲むような位置であって、バイポーラ電池の平面図において前記集電体の外部へ突出するような位置である。ここで、「単電池(セル)の周囲を取り囲む」および「バイポーラ電池の平面図において集電体の外部へ突出する」の意義については、本発明の第1のバイポーラ電池の説明における記載を参照することにより解釈されうる。以下、この工程(1)について、より詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されず、上記の本発明の第1のバイポーラ電池の構成の欄において説明した他の形態も同様に用いられうる。
この工程(1)において用いられる集電体およびシール層の具体的形態は特に制限されず、本発明の第1において好ましい形態として説明した形態が例示される。このため、ここでは説明を省略する。
工程(1)において、集電体にシール層を接着させる形態としては、例えば、図15〜図17に示す形態が例示される。図15は、この工程(1)において集電体にシール層を接着させる好ましい形態を示す平面図である。図16は、前記形態の正面図である。図17は、図15に示す形態の概略断面図である。なお、図15〜図17に示す形態においては、集電体の一方の面に正極層15が設けられ、他方の面に負極層17が設けられている。また、図15〜図17には、集電体の一方の面にのみシール層を接着させた形態が示されているが、例えば、図18および図19に示すように、集電体の両面にシール層を接着させる形態が採用されてもよい。
集電体にシール層を接着させる具体的な方法は特に制限されない。例えば、本発明の第4の工程(3)において説明したような熱加圧により接着させる方法が例示される。その他の方法が用いられてもよい。
次に、工程(2)について説明する。
工程(2)においては、前記工程(1)においてシール層が接着された集電体と、正極層と、電解質層と、負極層とが積層してなる積層体を形成する。前記積層体の形成は、電解質層が正極層および負極層により挟持されてなる単電池が2以上形成され、さらに前記単電池が2つの集電体により挟持されるように行う。
ここで、この工程(2)において用いられる正極層、電解質層、および負極層の具体的な構成や製造方法は特に制限されず、本発明の第1および第4において好ましい形態として説明した形態が例示される。このため、ここでは説明を省略する。
工程(2)において、積層体を形成する際の積層の順序は特に制限されない。例えば、図20および図21に示す形態が例示される。図20および図21は、工程(2)において積層体を形成する際の積層の順序を示す概略断面図であり、積層体の各構成要素の断面が示されている。図20および図21に示すように、シール層が接着している集電体の一方の面(この面にシール層が接着している場合にはシール層が接着している部分以外の部分)に正極層を形成し、他方の面(この面にシール層が接着している場合にはシール層が接着している部分以外の部分)に負極層を形成してバイポーラ電極を作製し、前記バイポーラ電極と電解質層とを積層することによって、積層体を形成してもよい。また、図20に示す形態においては、図15〜図17に示すような、集電体の一方の面にシール層が接着されたバイポーラ電極が用いられている。さらに、図21に示す形態においては、図18および図19に示すような、集電体の両面にシール層が接着されたバイポーラ電極が用いられている。なお、図20および図21に示す形態において、最外層に配置される集電体は正極層または負極層のいずれかのみを有しており、バイポーラ電極を形成しない。工程(2)において積層体を形成する場合、その具体的な方法は特に制限されず、本発明の第4において説明したような形態が例示される。
また、工程(1)においてシール層の接着された集電体と、正極層と、電解質層と、負極層とを別個に作製し、これらを順次積層して、これらがこの順に積層してなる積層体を形成してもよい。さらに、正極層/電解質層/負極層がこの順に積層してなる単電池(セル)を予め形成しておき、前記単電池(セル)と集電体とを順次積層する形態もまた採用されうる。
正極層、電解質層、および負極層が別個に作製され、積層される場合、これらを作製する具体的な方法は特に制限されず、従来公知のバイポーラ電池の製造方法において用いられている方法が適宜採用されうる。
この工程(2)は、前記工程(1)の終了後に行われうる。しかし、必ずしも前記工程(1)の終了後に行われる必要はなく、前記工程(1)と同時に行われてもよい。すなわち、この工程(2)において積層により単電池(セル)を形成する際、例えば、バイポーラ電極(または集電体)を積層後、前記バイポーラ電極(または集電体)にシール層を接着させ、その後前記バイポーラ電極(または集電体)に電解質層(または正極層もしくは負極層)を積層してもよい。かかる方法によっても単電池(セル)が積層された積層構造は得られる。
工程(2)において、シール層の積層は、手動の手段により行われてもよく、半自動または全自動の手段により行われてもよい。
続いて、工程(3)について説明する。
工程(3)においては、シール層の両側に位置する集電体のうち前記工程(1)において前記シール層と接着されていない集電体と前記シール層とを、および、隣接するシール層同士を、熱加圧により互いに接着させる。本発明において、シール層は、前記工程(1)において、両側に存在する集電体の片方と接着されている。この工程(3)において、シール層は、熱加圧の手段により、両側に位置する集電体のうち前記工程(1)において接着されていない集電体と、および隣接するシール層と、接着される。このように、予め片方の集電体とシール層とを接着させておき、残りのシーリングを後で行うことにより、全ての単電池(セル)についてより均一にシールすることが可能となる。その結果、電解質層において用いられる電解液の漏れ出しが抑制され、電極間の短絡(液絡)が効率よく防止されうる。
この工程(3)において行われる熱加圧の具体的な形態は、特に制限されず、本発明の第4の工程(3)において説明したような形態が例示されるため、ここでは説明を省略する。
以下、本発明の第4および第5の製造方法のより好ましい形態について説明する。
本発明の第4または第5の製造方法において用いられるシール層は、図9に示すように、集電体側に位置するように設けられた第1の樹脂と、前記第1の樹脂により挟持され、前記第1の樹脂より融点の高い第2の樹脂とからなることが好ましい。前記第1の樹脂および前記第2の樹脂の具体的な形態としては、本発明の第1において説明した形態が採用されうるため、ここでは説明を省略する。
本発明の第1において説明したように、シール層が上記のような第1の樹脂および第2の樹脂からなる構成とすることによって、熱加圧によりシーリングが行われる際の、隣接する集電体間の短絡の危険性が低下しうる。
ここで、シール層が上記のような構成を有する場合、本発明の第4または第5の製造方法の工程(3)において、熱加圧は、前記第1の樹脂の融点と前記第2の樹脂の融点との間の温度で行われることが好ましい。かような方法によれば、シール層を構成する第2の樹脂を溶融させることなく、前記第2の樹脂を挟持する第1の樹脂のみを溶融させうる。その結果、製造されるバイポーラ電池においては、溶融しない第2の樹脂によりシール層の絶縁性が確保される。また、第1の樹脂が溶融することによって、シール層と集電体との接着性、および隣接するシール層(具体的には隣接するシール層の第1の樹脂)同士の接着性が向上しうる。
本発明の製造方法は、上記の積層体にタブを接合させ、タブの接合した積層体を電池外装材で封止する工程をさらに有していてもよい。以下、かかる工程の好ましい形態について説明するが、下記の形態のみには制限されない。
<タブの接合>
積層体の正極側および負極側の最外層集電体上にそれぞれ、正極用タブ、負極用タブを接合させる。
正極用タブおよび負極用タブを最外層集電体に接合させる方法は、特に制限されず従来公知の溶接接続等の接続方法が用いられうる。溶接接続としては、例えば、超音波溶接、スポット溶接等が用いられうる。なかでも、超音波溶接が好ましく用いられる。超音波溶接は、接合される部分に高周波振動を与えることによって金属の原子を拡散させ、再結晶させることによって機械的な接合を行う方法である。このため、同種、異種の金属の重ね溶接に対して非常に効果的である。また、接合時に高い温度に達することなく、接合面の最高温度は融点の35〜50%程度に抑えられるため、高温溶接時の母材の溶融やもろい鋳造組織の形成等の問題が生じない。
<パッキング(電池の完成)>
積層体全体を電池ケース等の電池外装材で封止することにより、バイポーラ電池の完成としてもよい。これにより、外部からの衝撃に対する耐性が向上し、環境劣化が防止される。封止の際には、正極用タブ、負極用タブの一部が電池外部に取り出される。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、以下の実施例は本発明の最良の形態を例示するためのものであり、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには限定されない。
実施例1.1
<電池作成例>
以下の方法により、本発明のバイポーラ電池を作製した。
まず、ステンテス(SUS)製の集電体(厚さ:20μm)を準備した。
次いで、正極活物質としてLiMn2O4(平均粒子径:20μm)、導電助剤としてアセチレンブラック、およびバインダとしてポリフッ化ビニリデン(以下、「PVDF」と略す)を、スラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に添加し、ホモジナイザーでよく撹拌混合して、正極用スラリーを調製した。前記正極用スラリーを脱泡機により脱泡し、コーターを用いて前記集電体上に塗布して、正極層を形成させた。正極活物質、導電助剤およびバインダの添加量の質量比(正極活物質:導電助剤:バインダ)は、85:5:10であり、スラリー粘度調整溶媒は、前記正極活物質、導電助剤およびバインダの混合物に対して等質量使用した。
次に、負極活物質としてハードカーボン(平均粒子径:20μm)、およびバインダとしてPVDFを用いて、前記正極層と同様の方法および装置により、前記集電体の正極層を形成させた面と反対の面上に、負極層を形成させ、バイポーラ電極を作製した。負極活物質およびバインダの添加量の質量比(負極活物質:バインダ)は、90:10であった。
正極層および負極層はロールプレスにより軽くプレスし、それぞれ25μmと30μmの厚さとした。また、このバイポーラ電極を70mm×120mmの矩形に切断した後、正極層および負極層ともに、外周部を10mmの幅で剥離し、集電体であるステンレス(SUS)の表面を露出させた。
また、プロピレンカーボネート(以下、「PC」と略す)とエチレンカーボネート(以下、「EC」と略す)との等容積混合液を用意し、これにリチウム塩としてLiN(SO2C2F5)2(LiBETI)を1.0Mとなるように添加して電解液とした。これらにイオン導伝性高分子としてポリエチレンオキシド(以下、「PEO」と略す)とポリプロピレンオキシド(以下、「PPO」と略す)との共重合体(平均分子量:7500〜9000)、および重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(BDK)をさらに添加して、プレゲル溶液を調製した。なお、前記プレゲル溶液中の、PCおよびECの等容積混合液と、PEOおよびPPOの共重合体との質量比(PC+EC:PEO+PPO)は、95:5であった。
前記プレゲル溶液を、セパレータであるポリプロピレン(以下、「PP」と略す)製不織布(厚さ:50μm、大きさ:75mm×125mm)に浸漬させ、石英ガラス板により挟持し、紫外線を15分間照射することにより架橋させて、ゲル高分子電解質層を調製した。
一方、変性ポリプロピレン樹脂(融点:102℃、厚さ:20μm)(第1の樹脂)により、ポリアミド系樹脂であるナイロン(登録商標)(融点:200℃、厚さ:30μm)(第2の樹脂)を挟み、シール層を作製した。なお、変性ポリプロピレンは、重合度の異なるポリプロピレンであり、様々な融点を有する第2の樹脂を得るために用いた(以下同様)。
上記で作製したバイポーラ電極の正極上に、前記ゲル高分子電解質層を載置し、次いで、前記電解質層上に新たなバイポーラ電極をさらに載置し、単電池(正極層+電解質層+負極層)が24層形成されるように上記の操作を繰り返して、積層体を形成した。なお、前記積層体を形成する際には、ステンレス(SUS)表面の露出した集電体の間に、単電池の周囲を取り囲むようにして前記シール層を設けた。この際、前記シール層は、集電体の外部に突出させた。前記シール層の突出幅は、下層から1層目および24層目においては5mm、2層目および23層目においては6mmとした。以下同様に、積層中心に向かうに従って1mmずつ増加させ、積層中心である12層目および13層目においては16mmとした。
その後、前記積層体の周縁部を180℃の温度で熱加圧することにより、シール層および集電体、並びに隣接するシール層同士を接着させた。
さらに、熱加圧後の積層体をラミネートパック中に入れて真空密封し、正極タブおよび負極タブを外部に露出させて、バイポーラ電池を完成させた。
実施例1.2
前記シール層の外縁部の形状を、図6に示す形状1としたこと以外は、前記実施例1.1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。ここで、前記シール層の突出幅は、図6に示すL1である。
実施例1.3
前記シール層の外縁部の形状を、図7に示す形状2としたこと以外は、前記実施例1.1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。ここで、前記シール層の突出幅は、図7に示すL2である。
実施例1.4
前記シール層の外縁部の形状を、図8に示す形状3としたこと以外は、前記実施例1.1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。ここで、前記シール層の突出幅は、図8に示すL3である。
比較例1.1
前記シール層を、前記集電体の外部に突出させず、さらに、積層体形成後に熱加圧による接着を行わなかったこと以外は、前記実施例1.1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
実施例2.1
前記単電池(正極層+電解質層+負極層)の数を5層とし、さらに、前記シール層の突出幅を全て10mmとしたこと以外は、実施例1.1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
実施例2.2
前記シール層の突出幅を、下層から1層目および5層目においては5mm、2層目および4層目においては10mm、並びに3層目においては15mmとしたこと以外は、実施例2.1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
実施例2.3
前記シール層の形成に用いられる第1の樹脂である変性ポリプロピレン樹脂の融点を、下層から1層目および5層目においては102℃、2層目および4層目においては94℃、並びに3層目においては88℃としたこと以外は、実施例2.1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
実施例2.4
前記シール層の外縁部の形状を、図6に示す形状1としたこと以外は、前記実施例2.2と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。ここで、前記シール層の突出幅は、図6に示すL1である。
実施例2.5
前記シール層の外縁部の形状を、図7に示す形状2としたこと以外は、前記実施例2.2と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。ここで、前記シール層の突出幅は、図7に示すL2である。
実施例2.6
前記シール層の外縁部の形状を、図8に示す形状3としたこと以外は、前記実施例2.2と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。ここで、前記シール層の突出幅は、図8に示すL3である。
比較例2.1
前記シール層を、前記集電体の外部に突出させなかったこと以外は、実施例2.1と同様の方法および装置を用いて、バイポーラ電池を作製した。
試験例1
<バイポーラ電池の充放電試験>
上記の実施例1.1〜1.4、および比較例1.1で作製したバイポーラ電池を用いて、下記の条件により充放電試験を行った。
1.充電:1.0Cの電流で100Vまで充電した(CC)。
2.休止:10分間休止した。
3.放電:1.0Cの電流で60Vまで放電した。
4.休止:10分間休止した。
ここで、1Cとは、その電流値で1時間充電すると、ちょうどその電池が満充電(100%充電)状態になる電流値をいう。例えば、2Cとは1Cの2倍の電流値であり、30分で電池が満充電状態になる電流値である。
上記の充電および放電条件を1サイクルとして、50℃の温度条件下で充放電サイクル試験を行い、電解液の漏れ出しによる短絡(液絡)の発生の有無を確認した。結果を表1に示す。
表1からわかるように、本発明のバイポーラ電池は、単電池の周囲に存在するシール層が隣接するシール層と互いに接着していることにより、バイポーラ電池における電極間の短絡(液絡)が防止される。なお、実施例1.1〜1.4のバイポーラ電池では、300サイクルを超える充放電でも電極間の短絡(液絡)は認められなかった。一方、比較例1.1のバイポーラ電池における短絡(液絡)は、充放電サイクル試験の132サイクル目において発生し、電池の電圧が大きく低下した。
試験例2
<接着強度試験>
上記実施例2.1〜2.6、および比較例2.1で作製したバイポーラ電池を用い、下記の条件によりシール接着部分の接着強度試験を行った。
バイポーラ電池の端部を幅25mm奥行き40mmで切り取って、両側の集電体の部分を取っ手として用い、剥離接着強さ(N/25mm)を測定した。結果を表2に示す。なお、本実施例における測定は、取っ手部分に用いた集電体間に複数の接着部分が存在するため、完全にJIS K 6854−2に準拠するものではない。
1.180度剥離接着強さ試験法(JIS K6854−2(1999年度))
2.試験温度:25℃
3.引っ張り速度:200mm/min
実施例2.1〜2.6と比較例2.1との比較により、単電池の周囲に設けられるシール層が、集電体の外部へ突出していると、シール性能が向上することが示される。
また、実施例2.2と実施例2.1との比較により、前記シール層の突出幅が、単電池の積層中心から外側に向かうに従って減少していると、シール性能が向上することが示される。
さらに、実施例2.3と実施例2.1との比較により、シール層において集電体側に配置される第1の樹脂の融点が、単電池の積層中心から外側に向かうに従って上昇していると、シール性能が向上することが示される。
また、実施例2.4〜2.6と実施例2.2との比較により、集電体の外部に突出したシール層の外縁部の形状が、図6〜図8に示すように、矩形状以外の形状であると、シール性能が向上することが示される。
上記の結果より、本発明のバイポーラ電池は、電池性能を低下させることなく長期間にわたって高出力密度を維持しうることが期待される。このため、車両等に搭載される場合に特に有用である。