JP4529432B2 - リチウムイオン電池用正極材料およびこれを用いた電池 - Google Patents

リチウムイオン電池用正極材料およびこれを用いた電池 Download PDF

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Description

本発明は、正極材料の活物質の電子伝導性を高めるための導電材を用いてなるリチウムイオン電池用正極材料およびこれを用いたリチウムイオン電池に関するものである。
近年、環境保護運動の高まりを背景として電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、燃料電池車(FCV)の導入を促進すべく、これらのモータ駆動用電源やハイブリッド用補助用電源等の開発が行われている。こうした用途では、繰り返し充放電可能なリチウムイオン二次電池が使用されている。EV、HEV、FCVのモータ駆動等のような高出力及び高エネルギー密度が要求される用途では、単一の大型電池は事実上作れず、複数個の電池を直列に接続して構成した組電池を使用することが一般的である。このような組電池を構成する一個のリチウムイオン電池では、正極活物質には、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料であることがら、遷移金属とリチウムとの複合酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物)が好適に使用されている。これら正極活物質には電子伝導性を高めるための導電助剤が使われていた。特にこうした高出力を要求される電池においては、大量の導電材、具体的には正極活物質層の全質量の5〜6質量%程度のグラファイトや黒鉛等の導電材を用いていた(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開平09−092258号公報(段落0014) 特開2003−249210号公報(段落0029)
しかしながら、上記特許文献1、2に開示されている導電材量は、活物質粒子表面に導電材粉末を付着(詳しくはバインダで結着)できるだけ付着(結着)させた、いわば飽和状態にしていた。すなわち、従来の高出力を要求される電池においては、活物質と導電材との質量比の関係においては、最適な条件(関係式)を規定したものは何ら見出されておらず、通常、活物質量に対していわば飽和状態とするのに必要な大量の導電材を用いているのが現状である。こうした大量の導電材を用いることによって、活物質へのリチウムイオンの脱挿入は妨げられ、さらに、電極内で空孔を減らすことにつながり、結果として、得られる出力は小さくなっており、所望の高出力及び高容量の電池を提供することはできていなかった。
そこで、本発明は、上記の従来技術の課題に着目されたものであり、活物質と導電材との関係において、最適(必要最低限)な導電材量で高出力、高容量のリチウムイオン電池用正極材料およびこれを用いた電池、該電池を複数接続した組電池並びにこれらを搭載した車両を提供することを目的とする。
本発明は、活物質、導電材を含有するリチウムイオン電池用正極材料において、
導電材の配合量が、正極材料全量に対して0.2質量%以下であり、
導電材の平均粒径が、0.025μm以下であることを特徴とするリチウムイオン電池用正極材料により達成される。
本発明のリチウムイオン電池用正極材料によれば、正極活物質層の決められた体積内に電池容量に関与しない導電材量を飽和状態になるように大量に添加しなくとも、最適化して必要最低限に抑えることができる。これにより、従来においては電極内で本来活物質が入るためのスペースに導電材が入ってしまっていたため容量が減ってしまっていたが、こうしたスペースに導電材が入っていないので容量をアップでき電池の高容量化が図れる。また、大量の導電材により活物質粒子表面を覆ってしまうとリチウムイオンの出入りの妨げになっており高出力が取り出せない問題があったが、該導電材量を最適化(必要最小限に少量化)することで、活物質粒子表面を覆ってしまわないため、リチウムイオンの出入りが妨げられず、高出力化が図れる。
発明に係るリチウムイオン電池用正極材料は、活物質、導電材を含有するリチウムイオン電池用正極材料において、導電材の配合量が正極材料全量に対して0.2質量%以下であり、導電材の平均粒径が0.025μm以下であることを特徴とするものである。これにより、正極活物質層の決められた体積内に電池容量に関与しない導電材量を飽和状態になるように大量に添加しなくとも、最適化して必要最低限に抑えることができる。これにより、従来においては電極内で本来活物質が入るためのスペースに導電材が入ってしまっていたため容量が減ってしまっていたが、こうしたスペースに導電材が入っていないので容量をアップでき電池の高容量化が図れる。また、大量の導電材により活物質粒子表面を覆ってしまうとリチウムイオンの出入りの妨げになっており高出力が取り出せない問題があったが、該導電材量を最適化(必要最小限に少量化)することで、活物質粒子表面を覆ってしまわないため、リチウムイオンの出入りが妨げられず、高出力化が図れる。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
図1は、活物質表面に導電材が付着(結着)した様子を模式的に表した概略図である。
本発明の正極材料において上記式1は、活物質と導電材の粒径、密度から最適な活物質と導電材の比を求める方法を見出し規定したものである。即ち、上記式1は、図1に示すような所定の平均粒径を持つ活物質11の周り(表面)に、ある平均粒径を持った導電材13を付着(バインダにて結着)していった場合に、適切(最適)な導電材の量Weが質量としてどれぐらい必要となるかを求めることができ、その最適な範囲が上記式1の範囲として示されている。
以下、本発明の正極材料につき説明する。
まず、本発明が適用し得る正極材料としては、活物質及び導電材を含有するリチウムイオン電池用正極材料であれば、いずれにも適用可能である。正極材料では、通常、正極活物質として好適に使用される遷移金属とリチウムとの複合酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物)自体は電子伝導性を有するものでないことから、電子伝導性を有する導電材が用いられる。
本発明の正極材料に用いることのできる正極活物質としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のリチウムイオン電池で使用される正極活物質を用いることができる。具体的には、リチウム−遷移金属複合酸化物を好適に使用できる。例えば、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物、LiCr、LiCrOなどのLi・Cr系複合酸化物など、LiFeOなどのLi・Fe系複合酸化物およびこれらの遷移金属の一部を他の元素により置換したものなどが併用できるなど、Li金属酸化物から選択し使用できるが、これらの材料に限定されるものではない。これらリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料である。そのためこれらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することができる。この他にも、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOHなどが併用できる。
上記正極活物質の平均粒径Raとしては、その製造方法にもよるが、正極活物質の高容量化、反応性、サイクル耐久性の観点からは、0.1〜30μm、好ましくは1〜10μmの範囲であるのが望ましいといえるが、本発明の上記式1の要件を満足するものであれば、必ずしもこれらの範囲に制限されるものではない。なお、該正極活物質が2次粒子である場合には該2次粒子を構成する1次粒子の平均粒径は、特に制限されるものではないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μmの範囲であるのが望ましい。ただし、製造方法にもよるが、正極活物質が凝集、塊状などにより2次粒子化したものでなくても良いことはいうまでもない。かかる正極活物質の平均粒径Raおよび1次粒子の粒径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)により測定することができる。
また、正極活物質の形状は、その種類や製造方法等によって取り得る形状が異なり、例えば、球状(粉末状)、塊状、凝集体状などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、いずれの形状であれ問題なく使用できる。好ましくは、充放電特性などの電池特性を向上し得る最適の形状を適宜選択するのが望ましい。なお、上記でいう正極活物質の平均粒径Raを測定する際には、粒子の形状が一様でないこともあることから、絶対最大長で表すものとし、篩い分けする場合には篩い目(メッシュスルーサイズまたはメッシュパスサイズ)を用いてもよい。ここで、絶対最大長とは、図8に示すように、粒子91の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の長さLをとるものをいう。
また、上記正極活物質の密度Daは、正極活物質の種類(組成)や形状(構造)等によって決定されるものであり、例えば、ピクノメータにより測定することができる。
上記正極活物質量Waとしては、特に制限されるべきものではなく、使用用途(出力重視、エネルギー重視など)やイオン伝導性を考慮して適宜決定されるものである。同様に正極材料全量に対する正極活物質の配合量も、使用用途(出力重視、エネルギー重視など)やイオン伝導性を考慮して適宜決定されるものである。特に上記式1により最適な活物質と導電材量の比を求めることにより、他の正極材料の配合量にもよるが、93〜95
質量%、好ましくは94〜95質量%の範囲とすることも可能である。
本発明の正極材料に用いることのできる導電材としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のリチウムイオン電池で使用される導電材を用いることができる。具体的には、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボンファイバー(VGCF)、金属粉末材料等が挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。特に本発明では、特許文献1、2など従来一般に使われているグラファイトや黒鉛よりも、後述するメカノフュージョン法などを用いて、上記式1を用いて求めた最適比の活物質と導電材を混合することで、より一層効率よく最適条件に混合できることから、軽くて柔らかい、アセチレンブラック、カーボンブラックなどが望ましい。このことは、以下に説明する導電材の平均粒径Reとも関係するものであるが、従来一般に使われているグラファイトや黒鉛の平均粒径は、グラファイト等の構造などから、少なくとも1μm程度、通常数μm(比較例3、4参照のこと)のものが一般的である。一方、アセチレンブラック、カーボンブラックでは、1次粒子がナノサイズまたはそれ以下であり、これを造粒して得られる導電材の平均粒径Reは、0.1μm以下、好ましくは1nm〜0.1μm、より好ましくは1〜50nm程度に簡単に調整できる。そのため上記式1の要件の1つであるRe≦0.1μmを満足し得る点で望ましいといえる。ただし、本発明では、導電材量が1質量%以下であれば、従来に比して高出力化が図れるため、既存のグラファイトや黒鉛でも利用可能であるし、また製造条件によっては導電材の平均粒径Reが0.1μm以下を満足することもあるため、本発明の技術範囲に含まれるものといえる。
導電材の平均粒径Reは、少なくとも導電材の配合量が正極材料全量に対して1質量%以下であれば従来に比して高出力化が図れることから(後述する実施例3(=0.47質量%)と比較例1(4.5質量%)を対比参照のこと)、特に制限されるべきものではない。より一層の高出力化、高容量化を達成するには、上記式1の規定するように0.1μm以下である必要がある。なお下限値に関しては特に規定されないが、製造容易性などの点から、1nm以上とするのがよい。よって、Reとして好ましくは1nm〜0.1μmであり、取り扱い容易性の観点からは25〜50nm程度がの範囲である。かかる範囲内では、後述する実施例1(Re=0.1μm)、2(Re=25nm)の結果からわかるように、Reの小さいものを選択することで、最適なWeの範囲も低位側にシフトできる(小さくできる)ため、体積効率、重量効率を高めることができ、より一層の高出力化、高容量化を実現できるものである(表2の実施例1、2を対比参照のこと)であるが、上記式1の要件を満足するものであれば、必ずしもこれらの範囲に制限されるものではない。かかる導電材の平均粒径Reは、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)
により測定することができる。
また、導電材の形状は、その種類や製造方法等によって取り得る形状が異なり、例えば、球状(粉末状)、塊状、凝集体状などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、いずれの形状であれ問題なく使用できる。好ましくは、充放電特性などの電池特性を向上し得る最適の形状を適宜選択するのが望ましい。なお、上記でいう導電材の平均粒径Reを測定する際には、粒子の形状が一様でないこともあることから、絶対最大長で表すものとし、篩い分けする場合には篩い目(メッシュスルーサイズまたはメッシュパスサイズ)を用いてもよい。
また、上記導電材の密度Deは、導電材の種類(組成)や形状(構造)等によって決定されるものであり、例えば、ピクノメータにより測定することができる。
上記導電材量Weは、上記式1を用いて求めた最適比の活物質と導電材量となるように決定される。同様に、導電材の配合量も、上記式1を用いて求めた最適比の活物質と導電材量となるように決定されるものといえるが、本発明では、従来の大量の導電材(5〜6質量%)に比して高出力化が図れることから、正極材料全量に対して1質量%以下であればよいといえる。
また、本発明では、上記式1を用いて求めた最適比の活物質と導電材を、適当な混合法、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、コスモス(川崎重工業製)、メカノフュージョン(ホソカワミクロン製)、サーフュージングシステム(日本ニューマチック工業製)、メカノミル・スピードニーダー・スピードミル・スピラコーター(岡田精工製)などのいずれの公知の方法を用いて混合してもよいが、好ましくはメカノフュージョン法ないしはこれと同様な効果を奏する混合法を用いて均一に混合することで、効率よく最適条件に混合できるものである。これは、従来のように、いわば飽和状態となるような大量の導電材を用いる場合には、特にその混合法に左右されるものではないが、本発明のように必要最小限の少量の導電材量にて活物質と効率よく均一に混合するには、以下に説明するメカノフュージョン法ないしはこれと同様な効果を奏する混合法を採用するのが好ましいためである。これは少量の導電材量を用いる場合には、従来と違い一部導電材が偏在化して混合されても、電極内の電子伝導性に影響するおそれがあるためである。メカノフュージョン法と同様な効果が得られる混合法としては、例えば、ハイブリダイゼーション法、シータコンポーザ法などの混合法が挙げられるが、これらに制限されるものではない。ここで、メカノフュージョン(表面融合)とは、複数の異なる素材粒子にある種の機械的エネルギー(メカニカルエネルギー)を加えて、メカノケミカル的な反応を起こさせ、新しい素材を創造する技術(乾式機械的複合化技術)である。粒子の組合せには無限の可能性があり、材料高機能化のための粒子設計、粒子加工に利用されている技術である。この機械的手法は、湿式法などの他の粒子複合化手法に比べてプロセスがシンプルであり、組合せの幅が格段に広いことが特長であることが広く知られている。そのため、このメカノフュージョンシステムは表面融合による固体粒子の複合化のみでなく、粒子の形状をコントロールしたり、従来の粉体混合機に比べてはるかに混合度の高い粉体融合に利用されている。即ち、メカノフュージョン法とは、機械的粒子複合法のひとつであり、還元、酸化、不活性など多様な複合雰囲気を選択できるため、金属、セラミックス、高分子など多様な組み合わせの複合化をはかることができる。その上、多層被覆や多元分散被覆層を形成できる可能性も持っている。また、角状粒子を球状化して流動性向上をはかるなどの目的にも使用することができることが知られている。具体的には、ホソカワミクロン社製のメカノフュージョンAMS−Lab(ラボ型)、メカノフュージョンAMS−60F、メカノフュージョンAMS−100F、メカノフュージョンAMS−Mini−GMP、メカノフュージョンAMS−Lab−GMPなどの表面融合装置(機械式乾式粒子複合化装置、雰囲気変換型粒子複合化装置ないしメカノフュージョン装置ともいう)を用いておこなうことができる。また、上記ハイブリダイゼーション法を行うには、例えば、奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムを用いることができる。
以上が、正極材料のうち、上記式1の要件に関係する正極活物質及び導電材の説明であるが、本発明では、この他に、必要に応じて、他の正極材料を任意に含有することができる。これらに関しては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを幅広く適用することができるものである。以下、これらに関して説明する。
本発明のリチウムイオン電池用正極材料に用いることのできる他の正極材料としては、バインダ、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)、高分子ゲルないし固体電解質(ホストポリマー、電解液など)などが含まれ得る。電池電解質層に高分子ゲル電解質を用いる場合には、従来公知のバインダ、電子伝導性を高めるための導電材などが含まれていればよく、高分子電解質の原料のホストポリマー、電解液やリチウム塩などは含まれていなくても良い。電池電解質層に溶液電解質を用いる場合にも、正極材料には高分子電解質の原料のホストポリマー、電解液やリチウム塩などは含まれていなくてもよい。
上記バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、SBR、ポリイミドなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
上記高分子ゲル電解質は、イオン導伝性を有する固体高分子電解質に、従来公知の非水電解質リチウムイオン電池で用いられる電解液を含んだものであるが、さらに、リチウムイオン導伝性を持たない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも含まれるものである。
ここで、高分子ゲル電解質に含まれる電解液(電解質支持塩および可塑剤)としては、特に制限されるべきものではなく、従来既知の各種電解液を適宜使用することができるものである。例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩(電解質支持塩)を含み、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから1種類または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の可塑剤(有機溶媒)を用いたものなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
イオン導伝性を有する固体高分子電解質としては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体のような公知の固体高分子電解質が挙げられる。
高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たない高分子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。なお、PAN、PMMAなどは、どちらかと言うとイオン伝導性がほとんどない部類に入るものであるため、上記イオン伝導性を有する高分子とすることもできるが、ここでは高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たない高分子として例示したものである。
上記イオン伝導性を高めるための電解質支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
高分子ゲル電解質中のホストポリマーと電解液との比率(質量比)は、使用目的などに応じて決定すればよいが、2:98〜90:10の範囲である。
本発明の正極材料における、活物質及び導電材以外のバインダ、高分子電解質(ホストポリマー、電解液など)、リチウム塩等の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。
次に、本発明に係る正極材料は、リチウムイオン電池用正極およびリチウムイオン電池に幅広く適用できるものである。リチウムイオン電池では、膨脹収縮が小さく、上記要件を満足する少量の導電材で十分な作用効果を奏することができるものである。また、リチウムイオン電池用正極は、以下に説明するリチウムイオン電池を構成する集電体と正極活物質層とからなるものであるため、以下のリチウムイオン電池の説明の中で、これらにつき説明する。ただし、バイポーラ型のリチウムイオン電池の場合には、上記リチウムイオン用正極はバイポーラ電極をいうものとする。
即ち、本発明の正極材料を適用し得る電池としては、高出力、高容量化が期待できるリチウムイオン電池である。かかる電池は、高エネルギー密度、高出力密度が達成でき、車両の駆動電源用等として好適に利用できるほか、携帯電話などの携帯機器向けのリチウムイオン電池にも十分に適用可能である。したがって、以下の説明では、本発明の正極材料を用いてなるリチウムイオン電池につき説明するが、これらに何ら制限されるべきものではない。
すなわち、本発明の対象となるリチウムイオン電池は、上述した本発明の正極材料を用いたリチウムイオン電池であればよく、他の構成要件に関しては、何ら制限されるべきものではない。例えば、上記リチウムイオン電池を使用形態で区別する場合には、1次電池および2次電池のいずれの使用形態にも適用し得るものである。上記リチウムイオン電池を形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など、従来公知のいずれの形態・構造にも適用し得るものである。また、リチウムイオン電池内の電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、上述したバイポーラ型ではない(内部並列接続タイプ)電池およびバイポーラ型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用し得るものである。バイポーラ型電池では、通常の電池に比べて単電池の電圧が高く、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。ポリマー電池は液漏れが生じないので、液絡の問題が無く信頼性が高く、かつ簡易な構成で出力特性に優れた非水電池を形成することができる点では有利である。また、積層型(扁平型)電池構造を採用することで簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点では有利である。
したがって、以下の説明では、本発明の正極材料を用いてなるバイポーラ型でない非水電解質リチウムイオン二次電池及びバイポーラ型の非水電解質リチウムイオン二次電池につき図面を用いてごく簡単に説明するが、決してこれらに制限されるべきものではない。すなわち、上述した電極材料以外の構成要件に関しては何ら制限されるべきものではない。
図2に、バイポーラ型でない扁平型(積層型)の非水電解質リチウムイオン二次電池の断面概略図を示す。図2に示すリチウムイオン二次電池31では、電池外装材32に高分子−金属を複合したラミネートフィルムを用いて、その周辺部の全部を熱融着にて接合することにより、正極集電体33の両面に正極活物質層34が形成された正極板、電解質層35、および負極集電体36の両面(発電要素の最下層および最上層用は片面)に負極活物質層37が形成された負極板を積層した発電要素38を収納し密封した構成を有している。また、上記の各電極板(正極板及び負極板)と導通される正極(端子)リード39および負極(端子)リード40が、各電極板の正極集電体33及び負極集電体36に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられ、上記熱融着部に挟まれて上記の電池外装材32の外部に露出される構造を有している。
図3に、バイポーラ型の非水電解質リチウムイオン二次電池(以下、単にバイポーラ電池とも称する)の全体構造を模式的に表わした概略断面図を示す。図3に示したように、バイポーラ電池41では、1枚または2枚以上で構成される集電体42の片面に正極活物質層43を設け、もう一方の面に本発明の負極活物質層44を設けたバイポーラ電極45を、電解質層46を挟み隣合うバイポーラ電極45の正極活物質43と負極活物質層44とが対向するようになっている。すなわち、バイポーラ電池41では、集電体42の片方の面上に正極活物質層43を有し、他方の面上に負極活物質層44を有するバイポーラ電極45を、電解質層46を介して複数枚積層した構造の電極積層体(バイポーラ電池本体)47からなるものである。また、こうしたバイポーラ電極45等を複数枚積層した電極積層体47の最上層と最下層の電極45a、45bは、バイポーラ電極構造でなくてもよく、集電体42(または端子板)に必要な片面のみの正極活物質層43または負極活物質層44を配置した構造としてもよい。また、バイポーラ電池41では、上下両端の集電体42にそれぞれ正極および負極リード48、49が接合されている。
なお、バイポーラ電極45(電極45a、45bを含む)の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。また、バイポーラ電池41では、電池の厚みを極力薄くしても十分な出力が確保できれば、バイポーラ電極45の積層回数を少なくしてもよい。また、本発明のバイポーラ電池41では、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電極積層体47部分を電池外装材(外装パッケージ)50に減圧封入し、電極リード48、49を電池外装材50の外部に取り出した構造とするのがよい。このバイポーラ電池41の基本構成は、複数積層した単電池層(単セル)が直列に接続された構成ともいえるものである。このバイポーラ型の非水電解質リチウムイオン二次電池は、その電極構造が異なることを除いては、基本的には上述したバイポーラ型でない非水電解質リチウムイオン二次電池と同様であるため、各構成要素につき以下にまとめて説明する。
[集電体]
本発明で用いることのできる集電体としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを利用することができる。例えば、アルミニウム箔、ステンレス(SUS)箔、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、SUSとアルミニウムのクラッド材あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく使える。また、金属表面に、アルミニウムを被覆させた集電体であってもよい。また、場合によっては、2つ以上の金属箔を張り合わせた集電体を用いてもよい。複合集電体を用いる場合、正極集電体の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、SUS、チタンなどの導電性金属を用いることができるが、アルミニウムが特に好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀、SUSなどの導電性金属を用いることができるが、SUS及びニッケル等が特に好ましい。また、複合集電体においては、正極集電体と負極集電体とは、互いに直接あるいは第三の材料からなる導電性を有する中間層を介して電気的に接続していれば良い。また、正極集電体及び負極集電体には、平板(箔)のほか、ラスプレート、すなわちプレートに切目を入れたものをエキスパンドすることにより網目空間が形成されるプレートにより構成されているものを用いることもできる。
集電体の厚さは、特に限定されないが、通常は1〜100μm程度である。
[正極活物質層]
ここで、正極活物質層の構成材料としては、本発明の正極材料を用いることを特徴とするものであり、既に説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
正極活物質層の厚さは、特に限定するものではなく、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。一般的な正極活物質層の厚さは1〜500μm程度であり、この範囲であれば本発明でも十分に利用可能である。
[負極活物質層]
負極活物質層に関しては、負極材料活物質を含む。この他にも、電子伝導性を高めるための導電助剤、バインダ、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)、高分子ゲルないし固体電解質(ホストポリマー、電解液など)などが含まれ得る。負極活物質の種類以外は、基本的に本発明の「リチウムイオン電池用正極材料」として既に説明した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
負極活物質としては、従来公知の溶液系のリチウムイオン電池でも使用される負極活物質を用いることができる。具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛、アモルファスカーボン、コークスおよびメソフェーズピッチ系炭素繊維、グラファイト、非晶質炭素であるハードカーボンなどの炭素材料から選ばれてなる少なくとも1種を主材料とする負極活物質を用いることが望ましいが、特に限定されない。この他にも金属酸化物(特に遷移金属酸化物、具体的にはチタン酸化物)、金属(特に遷移金属、具体的にはチタン)とリチウムとの複合酸化物などを用いることもできる。
さらに、負極活物質層に含まれる電解質には、被膜形成材が含まれていてもよい。これにより、電池の充放電サイクルに伴う容量低下を抑制することができる。被膜形成材としては、特に限定されず、例えば、特開2000−123880号公報に記載されているような被膜形成材など従来公知のものを用いることができる。
負極活物質層の厚さは、特に限定するものではなく、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。一般的な負極活物質層の厚さは1〜500μm程度であり、この範囲であれば本発明でも十分に利用可能である。
[電解質層]
本発明では、その使用目的に応じて、(a)電解液を染み込ませたセパレータ、(b)高分子ゲル電解質、(c)高分子固体電解質のいずれにも適用し得るものである。
(a)電解液を染み込ませたセパレータ
セパレータに染み込ませることのできる電解液としては、既に説明した本発明の「非水電解質リチウムイオン電池用正極材料」の項の高分子ゲル電解質に含まれる電解液(電解質塩および可塑剤)と同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略するが、電解液の好適な1例を示せば、電解質として、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBOB、LiCFSOおよびLi(CFSOの少なくとも1種類を用い、溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランおよびγ−ブチルラクトンよりなるエーテル類から少なくとも1種類を用い、前記電解質を前記溶媒に溶解させることにより、電解質の濃度が0.5〜2モル/リットルに調整されているものであるが、本発明はこれらに何ら制限されるべきものではない。
上記セパレータとしては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを用いることができるものであり、例えば、上記電解液を吸収保持するポリマーからなる多孔性シート(例えば、ポリオレフィン系微多孔質セパレータなど)、不織布セパレータなどを用いることができる。有機溶媒に対して化学的に安定であるという性質を持つ上記ポリオレフィン系微多孔質セパレータは、電解質(電解液)との反応性を低く抑えることができるという優れた効果を有するものである。
上記ポリオレフィン系微多孔質セパレータなどの多孔性シートの材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミドなどが挙げられる。
不織布セパレータの材質としては、例えば、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを用いることができ、使用目的(電解質層に要求される機械強度など)に応じて、単独または混合して用いる。
また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性を得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。すなわち、あまり不織布のかさ密度が大きすぎると、電解質層中の非電解質材料が占める割合が大きくなりすぎ、電解質層におけるイオン伝導度などを損なうおそれがあるためである。
上記セパレータ(不織布セパレータを含む)の厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできないが、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、5〜200μmであることが望ましい。セパレータの厚さが、かかる範囲にあることで、保持性、抵抗が増大するのを抑制することができる。また、セパレータに微粒が食い込むことによって発生する短絡の防止と、高出力のために電極間を狭くすることが望ましいという理由から、厚さ方向の機械的強度と高出力性の確保という効果がある。また電池を複数接続する場合には、電極面積が増大することから、電池の信頼性を高めるために上記範囲のなかでも厚形のセパレータを用いることが望ましい。
上記セパレータ(ポリオレフィン系微多孔質セパレータなど)の微細孔の径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)であることが望ましい。セパレータの微細孔の平均径が、上記範囲にあることで熱によってセパレータが溶融して微細孔が閉じる「シャットダウン現象」が速やかに起きるという理由から、異常時信頼性が上がり、その結果として耐熱性が向上するという効果がある。すなわち、過充電で電池温度が上昇していったとき(異常時)に、セパレータが溶融して微細孔が閉じる「シャットダウン現象」が速やかに起きることで、電池(電極)の正極(+)から負極(−)側にLiイオンが通れなくなり、それ以上は充電できなくなる。そのため過充電できなくなり、過充電が解消する。その結果、電池の耐熱性(安全性)が向上するほか、ガスがでて電池外装材の熱融着部(シール部)が開くのを防止できる。ここでセパレータの微細孔の平均径は、セパレータを走査電子顕微鏡等で観察し、その写真をイメージアナライザ等で統計的に処理した平均径として算出される。
上記セパレータ(ポリオレフィン系微多孔質セパレータなど)の空孔率は20〜50%であることが望ましい。セパレータの空孔率が、上記範囲にあることで電解質(電解液)の抵抗による出力低下の防止と、微粒がセパレータの空孔(微細孔)を貫くことによる短絡の防止という理由から出力と信頼性の両方を確保するという効果がある。ここでセパレータの空孔率とは、原材料レジンの密度と最終製品のセパレータの密度から体積比として求められる値である。
また不織布セパレータの空孔率は50〜90%であることが好ましい。空孔率が50%未満では、電解質の保持性が悪化し、90%超では強度が不足する。
上記セパレータへの電解液の含浸量は、セパレータの保液能力範囲まで含浸させればよいが、当該保液能力範囲を超えて含浸させてもよい。これは、電解質シール部に樹脂を注入して電解質層からの電解液の染み出しを防止できるため、該電解質層に保液できる範囲であれば含浸可能である。該電解液は、真空注液法などにより注液した後、完全にシールすることができるなど、従来公知の方法でセパレータに電解液を含浸させることができる。
(b)高分子ゲル電解質及び(c)高分子固体電解質
高分子ゲル電解質および高分子固体電解質としては、既に説明した本発明の「非水電解質リチウムイオン電池用正極材料」の項の高分子ゲル電解質および高分子固体電解質と同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
なお、上記(a)〜(c)の電解質層は、1つの電池の中で併用してもよい。
また、高分子電解質は、高分子ゲル電解質層、正極活物質層、負極活物質層に含まれ得るが、同一の高分子電解質を使用してもよく、層によって異なる高分子電解質を用いてもよい。
ところで、現在好ましく使用される高分子ゲル電解質用のホストポリマーは、PEO、PPOのようなポリエーテル系高分子である。このため、高温条件下における正極側での耐酸化性が弱い。従って、酸化還元電位の高い正極材料を使用する場合には、負極活物質層の容量が、高分子ゲル電解質層を介して対向する正極活物質層の容量より少ないことが好ましい。負極活物質層の容量が対向する正極活物質層の容量より少ないと、充電末期に正極電位が上がり過ぎることを防止できる。なお、正極活物質層および負極活物質層の容量は、正極活物質層および負極活物質層を製造する際の理論容量として、製造条件から求めることができる。完成品の容量を測定装置で直接測定してもよい。ただし、負極活物質層の容量を対向する正極活物質層の容量と比べて少ないと、負極電位が下がりすぎて電池の耐久性が損なわれる恐れがあるので充放電電圧に注意する必要がある。例えば、一のセル(単電池層)の平均充電電圧を使用する正極活物質の酸化還元電位に対して適切な値に設定して、耐久性が低下しないように注意する。
電池を構成する電解質層の厚さは、特に限定するものではない。しかしながら、コンパクトな電池を得るためには、電解質としての機能が確保できる範囲で極力薄くすることが好まく、電解質層の厚さは5〜200μmであることが望ましい。
[絶縁層]
絶縁層は、主にバイポーラ型電池の場合に用いられる。この絶縁層は、電池内で隣り合う集電体同士が接触したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こるのを防止する目的で、各電極の周囲に形成されてなるものである。本発明では、必要に応じて、電極の周囲に絶縁層を設けてもよい。これは、車両駆動用ないし補助用電源として利用するような場合には、電解液による短絡(液落)を完全に防止する必要がある。さらに、電池への振動や衝撃が長期にわたり負荷される。そのため、電池寿命の長期化の観点からは、絶縁層を設置することがより長期間の信頼性、安全性を確保する上で望ましく、高品質の大容量電源を提供できる点で望ましいためである。
該絶縁層としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、例えば、エポキシ樹脂、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドなどが使用できるが、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点からは、エポキシ樹脂が好ましい。
[正極および負極端子板]
正極および負極端子板は、必要に応じて使用すればよい。例えば、バイポーラ型のリチウムイオン電池の場合では、積層(ないし巻回)構造によっては、最外部の集電体から電極端子を直接取り出しても良く、この場合には正極および負極端子板は用いなくとも良い(図3参照のこと)。
正極および負極端子板を用いる場合には、端子としての機能を有するほか、薄型化の観点からは極力薄い方がよいが、積層されてなる電極、電解質および集電体はいずれも機械的強度が弱いため、これらを両側から挟示し支持するだけの強度を持たせることが望ましい。さらに、端子部での内部抵抗を抑える観点から、正極および負極端子板の厚さは、通常0.1〜2mm程度が望ましいといえる。
正極および負極端子板の材質は、従来公知のリチウムイオン電池で用いられる材質を用いることができる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金などを利用することができる。耐蝕性、作り易さ、経済性などの観点からは、アルミニウムを用いることが好ましい。
正極端子板と負極端子板との材質は、同一の材質を用いてもよいし、異なる材質のものを用いてもよい。さらに、これら正極および負極端子板は、材質の異なるものを多層に積層したものであってもよい。
[正極および負極リード]
正極および負極リードに関しては、バイポーラ型に限らず、バイポーラ型ではない従来公知のリチウムイオン電池で用いられるリードと同様のものを用いることができる。なお、電池外装材(電池ケース)から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆しておくのが好ましい。
[電池外装材(電池ケース)]
バイポーラ型に限らず、リチウムイオン電池では、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電池本体である電池積層体ないし電池巻回体全体を電池外装材ないし電池ケースに収容するのが望ましい。軽量化の観点からは、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)の両面をポリプロピレンフィルム等の絶縁体(好ましく耐熱性の絶縁体)で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルムなど、従来公知の電池外装材を用いて、その周辺部の一部または全部を熱融着にて接合することにより、電池積層体を収納し密封した構成とするのが好ましい。この場合、上記正極および負極リードは、上記熱融着部に挟まれて上記電池外装材の外部に露出される構造とすればよい。また熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートフィルムなどを用いることが、自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を電池動作温度まですばやく加熱することができる点で好ましい。高分子−金属複合ラミネートフィルムとしては、特に制限されるべきものではなく、高分子フィルム間に金属フィルムを配置し全体を積層一体化してなる従来公知のものを使用することができる。具体例としては、例えば、高分子フィルムからなる外装保護層(ラミネート最外層)、金属フィルム層、高分子フィルムからなる熱融着層(ラミネート最内層)のように配置し全体を積層一体化してなるものが挙げられる。詳しくは、外装材に用いられる高分子−金属複合ラミネートフィルムは、上記金属フィルムの両面に、高分子フィルムとして、まず耐熱絶縁樹脂フィルムを形成し、少なくとも片面側の耐熱絶縁樹脂フィルム上に熱融着絶縁性フィルムが積層されたものである。かかるラミネートフィルムは、適当な方法にて熱融着させることにより、熱融着絶縁性フィルム部分が融着して接合し熱融着部が形成される。上記金属フィルムとしては、アルミニウムフィルム等が例示できる。また、上記絶縁性樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテトラフタレートフィルム(耐熱絶縁性フィルム)、ナイロンフィルム(耐熱絶縁性フィルム)、ポリエチレンフィルム(熱融着絶縁性フィルム)、ポリプロピレンフィルム(熱融着絶縁性フィルム)等が例示できる。ただし、本発明の外装材は、これらに制限されるべきものではない。こうしたラミネートフィルムでは、超音波溶着等により熱融着絶縁性フィルムを利用して1対ないし1枚(袋状)のラミネートフィルムの熱融着による接合を、容易かつ確実に行うことができる。なお、電池の長期信頼性を最大限高めるためには、ラミネートシートの構成要素である金属フィルム同士を直接接合してもよい。金属フィルム間にある熱融着性樹脂を除去もしくは破壊して金属フィルム同士を接合するには超音波溶着を用いることができる。
次に、本発明のリチウムイオン二次電池の用途としては、例えば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)や燃料電池自動車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高エネルギー密度、高出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。この場合には、本発明のリチウムイオン電池を複数個接続して構成した組電池とすることが望ましい。すなわち、本発明では、上記リチウムイオン二次を複数個、並列接続または直列接続または並列−直列接続または直列−並列接続の少なくとも一つを用いて組電池(車両用サブモジュール)とすることができる。これにより、種々の車両用ごとの容量・電圧の要望を基本の電池の組み合わせで対応が可能になる。その結果、必要エネルギー、出力の設計選択性を容易にすることが可能になる。そのため種々の車両用ごとに異なる電池を設計、生産する必要がなく、基本となる電池の大量生産が可能となり、量産化によるコスト削減が可能となる。以下に、当該組電池(車両用サブモジュール)の代表的な実施形態につき、図面を用いて簡単に説明する。
図4に本発明のバイポーラ電池(24V、50mAh)を2直20並に接続した組電池(42V1Ah)の模式図を示す。並列部分のタブは銅のバスバー56、58で接続し、直列部分はタブ48、49同士を振動溶着して接続した。直列部分の端部を端子62、64に接続して、正負の端子を構成している。電池の両側には、バイポーラ電池41の各層の電圧を検知する検知タブ60を取り出し、それらの検知線53を組電池51の前部に取り出している。詳しくは、図4に示す組電池51を形成するには、バイポーラ電池41を5枚並列にバスバー56で接続し、5枚並列にしたバイポーラ電池41をさらに電極タブ同士を接続して2枚直列にし、これらを4層積層して並列にバスバー58で接続して金属製の組電池ケース55に収納する。このように、バイポーラ電池41を任意の個数直並列に接続することによって、所望の電流、電圧、容量に対応できる組電池51を提供することができる。該組電池51には、正極端子62、負極端子64が金属製の組電池ケース55の側面前部に形成されており、電池を直並列に接続後、例えば、各バスバー56と各正極端子62、負極端子64とが端子リード59で接続されている。また、該組電池51には、電池電圧(各単電池層、更にはバイポーラ電池の端子間電圧)を監視するために検知タブ端子54が金属製の組電池ケース55の正極端子62及び負極端子64が設けられている側面前部に設置されている。そして、各バイポーラ電池41の電圧検知タブ60が全て検知線53を介して検知タブ端子54に接続されている。また、組電池ケース55の底部には、外部弾性体52が取り付けられており、組電池51を複数積層して複合組電池を形成するような場合に、組電池51間距離を保ち、防振性、耐衝撃性、絶縁性、放熱性などを向上することができる。
また、この組電池51には、使用用途に応じて、上記検知タブ端子54以外にも各種計測機器や制御機器類を設けてもよい。さらにバイポーラ電池1の電極タブ(48、49)同士や検知タブ60と検知線53とを連結するためには、超音波溶接、熱溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により、または、リベットのようなバスバー56、58を用いて、またはカシメの手法を用いて、連結するようにしてもよい。さらにバスバー56、58と端子リード59等とを連結するためにも、超音波溶接、熱溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。
上記外部弾性体52にも、本発明の電池で用いた樹脂群と同様の材料を用いることができるが、これらに制限されるものではない。
また、本発明の組電池では、本発明のバイポーラ型のリチウムイオン電池(以下、単にバイポーラ電池ともいう)と、該バイポーラ電池と正負極電極材料を同一とし該バイポーラ電池の構成単位数を直列することにより電圧を同一にした本発明のリチウムイオン二次電池(以下、単にバイポーラ型でない電池ともいう)と、を並列に接続したものであってもよい。すなわち、組電池を形成する電池は、本発明のバイポーラ電池とバイポーラ型ではない電池(但し、全ての電池が必ずしも本発明の電池でなくともよい)とを混在させても良い。これにより、出力重視のバイポーラ電池と、エネルギー重視のバイポーラ型でない電池の組み合わせでお互いの弱点を補う組電池ができ、組電池の重量・サイズを小さくすることができる。それぞれのバイポーラ電池とバイポーラ型でない電池をどの程度の割合で混在させるかは、組電池として要求される安全性能、出力性能に応じて決める。
また、図5にバイポーラ電池A(42V、50mAh)とバイポーラ型でない電池B(4.2V、1Ah)10直(42V)を並列に連結した組電池を示す。バイポーラ型でない電池Bとバイポーラ電池Aは電圧が等しくなり、その部分で並列接続を形成している。この組電池51’は、出力の分担をバイポーラ電池Aが有し、エネルギーの分担をバイポーラ型でない電池Bが有する構造である。これは、出力とエネルギーを両立することが困難な組電池において、非常に有効な手段である。この組電池51’でも、並列部分及び図の横方向に隣り合うバイポーラ型でない電池B間を直列接続する部分のタブは銅のバスバー56で接続し、図の縦方向に隣り合う一般電池B間を直列接続する部分はタブ39、40同士を振動溶着して接続した。バイポーラ型でない電池Bとバイポーラ電池Aを並列接続している部分の端部を端子62、64に接続して、正負の端子を構成している。バイポーラ電池Aの両側には、バイポーラ電池Aの各層の電圧を検知する検知タブ60を取り出し、それらの検知線(図示せず)を組電池51’の前部に取り出している以外は、図4の組電池51と同様であるので、同じ部材には同じ符号を付した。詳しくは、図5に示す組電池51’を形成するには、バイポーラ型でない電池B10枚を端から順番にバスバー56および振動溶着して直列に接続した。さらに、バイポーラ電池Aと直列接続された両端のバイポーラ型でない電池Bとをそれぞれバスバー56で並列に接続して金属製の組電池ケース55に収納する。このように、バイポーラ電池Aを任意の個数直並列に接続することによって、所望の電流、電圧、容量に対応できる組電池51’を提供することができる。該組電池50’にも、正極端子62、負極端子64が金属製の組電池ケース55の側面前部に形成されており、電池A、Bを直並列に接続後、例えば、各バスバー56と各正極端子62、負極端子64とが端子リード59で接続されている。また、該組電池51’には、電池電圧(バイポーラ電池Aの各単電池層、更にはバイポーラ電池A及びバイポーラ型でない電池Bの端子間電圧)を監視するために検知タブ端子54が金属製の組電池ケース55の正極端子62及び負極端子64が設けられている側面前部に設置されている。そして、各バイポーラ電池A(更にはバイポーラ型でない電池B)の検知タブ60が全て検知線(図示せず)を介して検知タブ端子54に接続されている。また、組電池ケース55の低部には、外部弾性体52が取り付けられており、組電池51’を複数積層して複合組電池を形成するような場合に、組電池51’間距離を保ち、防振性、耐衝撃性、絶縁性、放熱性などを向上することができる。
また本発明の組電池では、更に上記のバイポーラ電池を直並列接続して第1組電池ユニットを形成するとともに、この第1組電池ユニットの端子間電圧と電圧を同一にするバイポーラ電池以外の二次電池が直並列接続されてなる第2組電池ユニットを形成し、この第1組電池ユニットと第2組電池ユニットを並列接続することによって組電池としても良いなど、特に制限されるものではない。
なお、組電池の他の構成要件に関しては、何ら制限されるべきものではなく、既存のバイポーラ型でないリチウムイオン二次電池を用いた組電池の構成要件と同様のものが適宜適用することができるものであり、従来公知の組電池用の構成部材および製造技術が利用できるため、ここでの説明は省略する。
次に、上記の組電池(車両用サブモジュール)を少なくとも2以上直列、並列、または直列と並列の複合接続した複合組電池(車両用組電池)とすることで、使用目的ごとの電池容量や出力に対する要求に、新たに組電池を作製することなく、比較的安価に対応することが可能になる。すなわち、本発明の複合組電池は、組電池(本発明のバイポーラ電池ないしバイポーラ型でない電池だけで構成したもの、本発明のバイポーラ電池とバイポーラ型でない電池とで構成したものなど)を少なくとも2以上直列、並列、または直列と並列の複合接続したことを特徴とするものであり、基準の組電池を製造し、それを組み合わせて複合組電池とすることで、組電池の仕様をチューニングできる。これにより、仕様の異なる沢山の組電池種を製造しなくてよいため、複合組電池コストを減少することができる。
複合組電池としては、例えば、図4に記載のバイポーラ電池を用いた組電池(42V、1Ah)6並に接続した複合組電池(42V、6Ah)の模式図が図6である。複合組電池を構成する各組電池は連結版と固定ねじにより一体化し、組電池の間に弾性体を設置して防振構造を形成している。また、組電池のタブは板状のバスバーで連結している。すなわち、図6に示したように、上記の組電池51を6組並列に接続して複合組電池70とするには、各組電池ケース55の蓋体に設けられた組電池51のタブ(正極端子62および負極端子64)を、板状のバスバーである外部正極端子部、外部負極端子部を有する組電池正極端子連結板72、組電池負極端子連結板74を用いてそれぞれ電気的に接続する。また、各組電池ケース55の両側面に設けられた各ネジ孔部(図示せず)に、該固定ネジ孔部に対応する開口部を有する連結板76を固定ネジ77で固定し、各組電池51同士を連結する。また、各組電池51の正極端子62および負極端子64は、それぞれ正極および負極絶縁カバーにより保護され、適当な色、例えば、赤色と青色に色分けすることで識別されている。また、組電池51の間、詳しくは組電池ケース55の底部に外部弾性体52を設置して防振構造を形成している。
また、上記複合組電池では、これを構成する複数の組電池をそれぞれ脱着可能に接続しておくのが望ましい。このように、組電池を複数直並列接続されてなる複合組電池では、一部の電池、組電池が故障しても、その故障部分を交換するだけで修理が可能となるためである。
また、本発明の車両は、上記組電池および/または上記複合組電池を搭載することを特徴とするものである。これにより、軽く小さい電池にすることでスペース要望の大きな車両要望に合致できる。電池のスペースを小さくすることで、車両の軽量化も達成できる。
図7に示したように、複合組電池70を、車両(例えば、電気自動車等)に搭載するには、電気自動車80の車体中央部の座席(シート)下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、電池を搭載する場所は、座席下に限らず、車両の床下、シートバック裏、後部トランクルームの下部でも良いし、車両前方のエンジンルームでも良い。
なお、本発明では、複合組電池だけではなく、使用用途によっては、組電池を車両に搭載するようにしてもよいし、これら複合組電池と組電池を組み合わせて搭載するようにしてもよい。また、本発明の複合組電池または組電池を駆動用電源や補助電源として搭載することのできる車両としては、上記の電気自動車、燃料電池自動車やこれらのハイブリッドカーが好ましいが、これらに制限されるものではない。また、本発明の組電池および/または複合組電池を、例えば、駆動用電源や補助電源等として搭載することのできる車両としては、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド燃料電池自動車等が好ましいが、これらに制限されるものではない。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の内容を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1) 正極の作製
平均粒径10μm、密度4.2g/ccの正極活物質(LiMn)1000gと平均粒径0.1μm、密度1.9g/ccの導電材(カーボンブラック)10gを量り取り、ホソカワミクロン社製メカノフュージョン装置(AMS−Lab)を用い、混合を行った。上記混合物にバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を50g加え、ミキサーで混合を行った。更に、粘度が7000cPになるように溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量加え、真空混合してスラリーを調整した。
上記のように作製したスラリーを用い、これを正極集電体のアルミ箔(厚さ20μm)上にアプリケーターにて塗布して、真空乾燥機にて80℃程度で加熱乾燥した後、プレスを行い、電極を直径15mmに打ち抜き、90℃にて高真空にて6時間乾燥した。打ち抜いた正極活物質層の厚さは40μm(片面)であった。
(2) 負極の作製
負極活物質粉末としてハードカーボン90質量%、バインダとしてPVdF10質量%に、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えて撹拌してスラリーを調整して、アプリケーターにて、負極集電体の銅箔(厚さ20μm)の上に塗布して、真空乾燥機にて80℃程度で加熱乾燥した後、プレスを行い、電極を直径16mmに打ち抜き、90℃にて高真空にて6時間乾燥した。打ち抜いた負極の厚さ(負極活物質層)は40μm(片面)であった。
(3) 電池の作製と評価
上記で作製した正極及び負極を組み合わせて電池(単セル)を構成した。詳しくは、セパレータにはポリプロピレン(PP)系微多孔質セパレータ(厚さ25μm)を用い、非水系電解液には1.0MのLiPFのEC+DEC溶液を用いて、電池を組んだ。正負極の容量バランスは正極支配とした。
電池作製後、正極の換算で0.2Cにて4.2Vまで充電し、0.2Cにて2.5Vまで放電を行い、電池容量及び電池出力を測定した。得られた結果を表2に示す。またRa:活物質の平均粒径[μm]、Re:導電材の平均粒径[μm]、Da:活物質密度[g/cc]、De:導電材密度[g/cc]、Wa:活物質量[g]、及びWe:導電材量[g](実導電材量及び式1から求めた上限値及び下限値)を表1にまとめた。
実施例2
平均粒径10μm、密度4.2g/ccの正極活物質(LiMn)1000gと平均粒径0.025μm、密度1.9g/ccの導電材(カーボンブラック)2gを量り取り、ホソカワミクロン社製メカノフュージョン装置(AMS−Lab)を用い、混合を行った。上記混合物にバインダとしてPVdFを50g加え、ミキサーで混合を行った。更に、粘度が7000cPになるようにNMPを適量加え、真空混合してスラリーを調整した以外は、実施例1同様にして電池を作製し、評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例3
平均粒径10μm、密度4.2g/ccの正極活物質(LiMn)1000gと平均粒径0.1μm、密度1.9g/ccの導電材(カーボンブラック)5gを量り取り、ホソカワミクロン社製メカノフュージョン装置(AMS−Lab)を用い、混合を行った。上記混合物にバインダとしてPVdFを50g加え、ミキサーで混合を行った。更に、粘度が7000cPになるようにNMPを適量加え、真空混合してスラリーを調整した以外は、実施例1同様にして電池を作製し、評価を行った。結果を表1、2に示す。
比較例1
平均粒径10μm、密度4.2g/ccの正極活物質(LiMn)1000gと平均粒径0.1μm、密度1.9g/ccの導電材(カーボンブラック)50gを量り取り、ホソカワミクロン社製メカノフュージョン装置(AMS−Lab)を用い、混合を行った。上記混合物にバインダとしてPVdFを50g加え、ミキサーで混合を行った。更に、粘度が7000cPになるようにNMPを適量加え、真空混合してスラリーを調整した以外は、実施例1同様にして電池を作製し、評価を行った。結果を表1、2に示す。
比較例2
平均粒径10μm、密度4.2g/ccの正極活物質(LiMn)1000gと平均粒径6μm、密度2.1g/ccの導電材(グラファイト)50gを量り取り、ホソカワミクロン社製メカノフュージョン装置(AMS−Lab)を用い、混合を行った。上記混合物にバインダとしてPVdFを50g加え、ミキサーで混合を行った。更に、粘度が7000cPになるようにNMPを適量加え、真空混合してスラリーを調整した以外は、実施例1同様にして電池を作製し、評価を行った。結果を表1、2に示す。
比較例3
平均粒径10μm、密度4.2g/ccの正極活物質(LiMn)1000gと平均粒径6μm、密度2.1g/ccの導電材(グラファイト)20gを量り取り、ホソカワミクロン社製メカノフュージョン装置(AMS−Lab)を用い、混合を行った。上記混合物にバインダとしてPVdFを50g加え、ミキサーで混合を行った。更に、粘度が7000cPになるようにNMPを適量加え、真空混合してスラリーを調整した以外は、実施例1同様にして電池を作製し、評価を行った。結果を表1、2に示す。
(注)比較例2、3では、上記式1の要件であるRe≦0.1μmを満足していないため、式1によるWeの上限値及び下限値は求めていない。
(注)実施例1の容量及び出力を100としたときの値を表す。
上記表1、2の結果から、本発明により最適な電池活物質(ここでは正極活物質)と導電材の粒径、密度から最適な活物質、導電材比を求めることができ、必要最低限の導電材量で高出力、高容量の電池を作製することができることが確認できた。
特に、実施例(本発明例)では、比較例(従来例)に比して導電材量を1質量%以下と少なくすることで、従来のように大量に導電材を用いた電池よりも高出力、高容量の電池を作製することができる。かかる少量の導電材量とするには、導電材の平均粒径を0.1μm以下とするのが有効であることがわかる。更に、本発明の中でも特に、上記式1を満足する場合には、導電材量を少なく抑えた上で、より一層の高出力、高容量の電池を作製することができることがわかる(実施例1、2と実施例3、比較例1とを対比参照のこと。)。また、従来技術で説明したように、従来では、高出力を要求される電池においては、大量(具体的には5〜6質量%程度:比較例2)の導電材を用いた方が少量(例えば、2質量%程度:比較例3)の導電材を用いるよりも高出力化が達成できていたことは、上記実験結果でも確認された。これら比較例では、低レートだと容量は出るが、体積が導電材により食われてしまうので活物質の量が減っているので容量及び出力が少なくなっているものと思われる。
本発明に用いられる電極材料の活物質表面に導電材が付着(結着)した様子を模式的に表した概略図である。 バイポーラ型でない扁平型(積層型)の非水電解質リチウムイオン二次電池の断面概略図を示す。 バイポーラ型の非水電解質リチウムイオン二次電池の全体構造を模式的に表わした概略断面図を示す。 本発明のバイポーラ電池を2直20並に接続した組電池の一例を示す模式図である。図4(a)は組電池の平面図であり、図4(b)は組電池の正面図であり、図4(c)は組電池の右側面図であって、これら図4(a)〜(c)では、いずれもバイポーラ電池を直列と並列の混合に接続した様子がわかるように外部ケースを透過して組電池内部を表わしたものである。 本発明のバイポーラ電池Aと本発明のバイポーラ型でないリチウムイオン二次電池B10直を並列に連結した組電池の一例を示す図である。図5(a)は組電池の平面図であり、図5(b)は組電池の正面図であり、図5(c)は組電池の右側面図であって、これら図5(a)〜(c)では、いずれもバイポーラ電池Aおよびバイポーラ型でないリチウムイオン二次電池Bを直列と並列の混合に接続した様子がわかるように外部ケースを透過して組電池内部を表わしたものである。 本発明の複合組電池の一例を示す図である。図6(a)は複合組電池の平面図であり、図6(b)は複合組電池の正面図であり、図6(c)は複合組電池の右側面図である。 複合組電池を搭載した状態の電気自動車を示す模式図である。 粒子の粒径を測定する際に用いる絶対最大長を説明した解説図である。
符号の説明
11 活物質粒子、
13 導電材粒子、
31 バイポーラ型でない非水電解質リチウムイオン二次電池、
32 電池外装材、
33 正極集電体、
34 正極活物質層、
35 電解質層、
36 負極集電体、
37 負極活物質層、
38 発電要素、
39 正極(端子)リード、
40 負極(端子)リード、
41 バイポーラ型の非水電解質リチウムイオン二次電池(バイポーラ電池)、
42 集電体、
43 正極活物質層、
44 負極活物質層、
45 バイポーラ電極、
45a 電極積層体の最上層の電極、
45b 電極積層体の最下層の電極、
46 電解質層、
47 電極積層体(バイポーラ電池本体)、
48 正極リード、
49 負極リード、
50 電池外装材(外装パッケージ)、
51、51’ 組電池、
52 外部弾性体、
53 検知線、
54 検知タブ端子、
55 組電池ケース、
56、58 バスバー、
59 端子リード、
62 正極端子、
64 負極端子、
70 複合組電池、
72 複合組電池正極端子連結板、
74 複合組電池負極端子連結板、
76 連結板、
77 固定ネジ、
80 電気自動車、
91 粒子(不定形粒子を含む)
L 最大の長さ。

Claims (7)

  1. 活物質、導電材を含有するリチウムイオン電池用正極材料において、
    導電材の配合量が、正極材料全量に対して0.2質量%以下であり、
    導電材の平均粒径が、0.025μm以下であることを特徴とするリチウムイオン電池用正極材料。
  2. 請求項1に記載の正極材料を用いてなることを特徴とするリチウムイオン電池用正極。
  3. 請求項1に記載の正極材料ないし請求項に記載の正極を用いてなることを特徴とするリチウムイオン電池。
  4. 請求項3のリチウムイオン電池が、並列−直列、直列−並列、直列または並列に接続されて設置されていることを特徴とした組電池。
  5. 請求項の組電池が、直列および/または並列に接続されて設置されていることを特徴とした複合組電池。
  6. 組電池を各々脱着可能としたことを特徴とする請求項に記載の複合組電池。
  7. 請求項の組電池、請求項および/またはの複合組電池を用いたことを特徴とする車両。
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