JP2005149893A - バイポーラ電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高エネルギー密度と高出力密度とを兼ね備えたモータ駆動用二次電池に最適なバイポーラ電池を提供する。
【解決手段】集電体101の片面に正極層103が形成され、他方の片面に負極層102が形成されてなるバイポーラ電極100を、電解質層106を介して複数積層したバイポーラ電池において、前記正極層および前記負極層の少なくとも一方の最外部に、厚さ2.0〜50μmの高反応性活物質層104、105を有するバイポーラ電池。
【選択図】図2
【解決手段】集電体101の片面に正極層103が形成され、他方の片面に負極層102が形成されてなるバイポーラ電極100を、電解質層106を介して複数積層したバイポーラ電池において、前記正極層および前記負極層の少なくとも一方の最外部に、厚さ2.0〜50μmの高反応性活物質層104、105を有するバイポーラ電池。
【選択図】図2
Description
本発明は、バイポーラ電池に関し、好ましくはゲル電解質型バイポーラ電池に関するものである。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。モータ駆動用二次電池には、自動車の走行エネルギーを貯蔵するための高エネルギー密度と、自動車の大きな加速性を示すための高出力密度と、の基本特性が必要とされる。
モータ駆動用二次電池としては、全ての実用電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が急速に開発が進められている。リチウムイオン二次電池の基本的な構成としては、正極活物質および導電助剤などをバインダを用いてアルミニウム集電体に塗布した正極と、カーボン微粒子などをバインダを用いて銅集電体に塗布した負極と、を多孔質膜セパレータを介して配置し、これに非水電解液を満たした構成となっている。
かような構成を有する単電池(セル)は高いエネルギー密度を得るために、多数直列接続して電池モジュールとし、さらに、電池モジュールを直列接続して組電池として用いられていた。しかし、かような組電池では、単電池(セル)間の接続および電池モジュール間の接続による抵抗が加算されるため、充放電時の組電池全体の内部抵抗が高まり、高出力密度が得られない問題があった。
かような問題に対して、特許文献1には、集電体を隔壁として一側面に正極活物質を、他側面に負極活物質をそれぞれ付着してなる集電体を、電解質層を挟んで積層してなる積層型のバイポーラ電池が開示されている。かようなバイポーラ電池は、単電池(セル)間および電池モジュール間の接続がないため、内部抵抗を大幅に低減することができ、電池の出力密度を向上させる試みがなされている。
実公平4−54148号公報
モータ駆動用二次電池は、自動車に搭載するには搭載スペースが限られるため小型であることが必要とされる。しかしながら、特許文献1のバイポーラ電池は、エネルギー密度の増大をすることができるものの、モータ駆動用二次電池としては電池面積が限られるため十分な出力密度を得ることができず、更なる改善が必要とされる。
従って、本発明が目的とするところは、高エネルギー密度と高出力密度とを兼ね備えたモータ駆動用二次電池に最適なバイポーラ電池を提供することである。
本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意検討を行った結果、正極層および負極層の少なくとも一方の最外部に高反応性活物質層を形成することにより、エネルギー密度だけでなく出力密度にも特化したバイポーラ電池が得られることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、集電体の片面に正極層が形成され、他方の片面に負極層が形成されてなるバイポーラ電極を、電解質層を介して複数積層したバイポーラ電池において、前記正極層または前記負極層の少なくとも一方の最外部に、厚さ2.0〜50μmの高反応性活物質層を有するバイポーラ電池である。
本発明のバイポーラ電池は、正極層および負極層の少なくとも一方の最外部に、厚さ2.0〜50μmの高反応性活物質層を有する。薄膜の前記高反応性活物質層により、電極を厚くしてエネルギー密度を向上させるだけでなく、出力密度にも特化したバイポーラ電池が得られる。
本発明の第一は、集電体の片面に正極層が形成され、他方の片面に負極層が形成されてなるバイポーラ電極を、電解質層を介して複数積層したバイポーラ電池において、前記正極層または前記負極層の少なくとも一方の最外部に、厚さ2.0〜50μmの高反応性活物質層を有するバイポーラ電池である。
一般的なバイポーラ電池において、高電流レートで充放電を行った場合、電極層内部に存在するリチウムイオンが急激に活物質に吸蔵・放出される。これによる電極層内のリチウムイオンの濃度の変化に伴い、電解質層を介してリチウムイオンが移動するとともに、導電助剤を通して電子が集電体へ移動して外部回路へと流れる。
かようなバイポーラ電池のエネルギー密度は、活物質や電極の構成が同一ならば、電池内に占める電極の体積の割合に大きく依存する。電極の体積を増加させる方法としては、電極を厚くする方法と、電極の面積を広くする方法と、がある。
しかし、電極を厚くする方法を用いた場合、図1に示すように電極が厚くなるほど、高電流レート時の放電率が低下する。これは、厚い電極からなる電池を高電流レートで充放電すると、電解質層側の電極層内部の活物質しか反応できず、集電体側に存在する電極層内部の電極活物質は反応に寄与し難いためである。そのため、電極を厚くすることによりバイポーラ電池のエネルギー密度を向上させるには限界がある。
従って、バイポーラ電池のエネルギー密度を向上させるためには、電極面積を広くする方法が用いられていた。電極面積を広くすることにより、電極を薄くすることができるため、高電流レートの充放電にも特化した電池が得られるのである。しかし、自動車などに搭載するためには、搭載スペースが制限されるため、電極面積を広げるにも限界がある。
これに対し、本発明のバイポーラ電池では、負極層または正極層の少なくとも一方の最外部に高反応性活物質層を有する。かような構成を有するバイポーラ電池では、前記高反応性活物質層により自動車の加速時などに特化した高い出力特性が得られる。また、高反応性活物質層を有することで正極層および/または負極層を厚くすることができ、高いエネルギー密度を有する電池とすることができる。従って、本発明のバイポーラ電池は、エネルギー密度と出力密度の双方に優れた設計を有する電池とすることができる。
図2に本発明のバイポーラ電池に用いられるバイポーラ電極100の模式断面図を示す。図2において、集電体101の片面に負極層102が形成され、集電体101の他方の片面に正極層103が形成されている。負極層102および正極層103のそれぞれの最外部には、さらに高反応性負極活物質層104および高反応性正極活物質層105が形成されている。かような構成を有するバイポーラ電極100を、図3の本発明のバイポーラ電池の模式断面図に示すように、電解質層106を介して複数積層して絶縁層107を設けた構成とすることにより、電池面積が小さくともエネルギー密度および出力密度に優れた電池とすることができる。なお、図2および図3は、本発明の一実施形態を模式的に示したに過ぎず、本発明はこれらに限定されない。
以下に、本発明のバイポーラ電池における集電体、正極層、負極層、高反応性活物質層、電解質層、絶縁層について順に説明する。
集電体としては、特に限定されず、従来のバイポーラ電池に用いられている集電体を用いればよい。集電体として、例えば、アルミニウム箔、ステンレス(SUS)箔、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、SUSとアルミニウムのクラッド材あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく使える。また、金属表面に、アルミニウムを被覆させた集電体であってもよい。また、場合によっては、特開2000−100471号公報に記載の複合集電体を用いてもよい。
集電体の厚さとしては、通常通りでよく、1〜100μ程度でよい。また、集電体の長さ、形状などは、使用目的に応じて適宜決定するとよい。
正極層は、正極活物質の他に、必要に応じて導電助材、バインダ、リチウム塩、電解質などの正極材料が含まれ得る。
正極活物質としては、遷移金属とリチウムとの複合酸化物であるリチウム−遷移金属複合酸化物が好適に使用できる。正極活物質として、具体的には、LiCoO2などのLi・Co系複合酸化物、LiNiO2などのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMn2O4などのLi・Mn系複合酸化物、LiFeO2などのLi・Fe系複合酸化物およびこれらの遷移金属の一部を他の元素により置換したものなどが使用できる。これらリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料である。そのためこれらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することができる点で有利である。この他、LiFePO4などの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V2O5、MnO2、TiS2、MoS2、MoO3などの遷移金属酸化物や硫化物;PbO2、AgO、NiOOHなどが挙げられる。
正極層における正極活物質の粒径は、特に限定されるものではなく、電極抵抗を低減するために、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmとするのがよい。また、正極活物質の使用量は、正極層における正極材料の全量に対して80〜95質量%程度となるようにするのがよい。
導電助材としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。導電助剤の使用量としては、正極層における正極活物質の全量に対して3〜15質量%程度とするのがよい。
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、PVdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体、SBR、ポリイミドなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。バインダの使用量は、特に限定されないが、正極層における正極活物質の全量に対して1〜10質量%程度とするのがよい。
リチウム塩としては、正極活物質に対して安定であって、リチウムイオンが正極活物質と電極反応を行うために移動し得る非水物質であれば特に限定されず、BETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(C2F5SO2)2Nとも記載)、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)またはこれらの混合物などが使用できる。
電解質としては、電解質層に高分子電解質を用いる場合には、正極層にも高分子電解質が含まれていることが望ましい。正極層における正極活物質間の空隙に高分子電解質を充填することによって、正極層におけるイオン伝導がスムーズになり、バイポーラ電池全体としての出力密度および安全性の向上が図れるためである。
前記高分子電解質としては、本発明において、高分子電解質とリチウム塩などの支持塩のみで構成される全固体高分子電解質と、高分子に電解液を保持させたゲル電解質と、が挙げられる。
全固体高分子電解質としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体などが挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBETI、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2などのリチウム塩をよく溶解しうる。また、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度が発現する。本発明において全固体高分子電解質は、電極特性をより向上させるために、正極層および負極層の双方に含まれることが好適である。
また、ゲル電解質としては、イオン導伝性を有する全固体高分子電解質に、電解液を含んだものであるが、さらに、リチウムイオン導伝性を持たない高分子(ホストポリマー)の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも含まれる。
ここで、ゲル電解質に含まれる電解液(電解質塩および可塑剤)としては、通常のバイポーラ電池で用いられるものであればよく、例えば、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiTaF6、LiAlCl4、Li2B10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩(電解質塩)を含み、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから1種類または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒(可塑剤)を用いたものなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たない高分子としては、とくに限定されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが使用できる。なお、PAN、PMMAなどは、どちらかと言うとイオン伝導性がほとんどない部類に入るものであるため、上記イオン伝導性を有する高分子とすることもできるが、ここではゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たない高分子として例示したものである。
ゲル電解質中のホストポリマーと電解液との比率(質量比)は、使用目的などに応じて決定すればよいが、2:98〜90:10の範囲である。すなわち、正極層の外周部からの電解液の染み出しについても、絶縁層や絶縁処理部を設けることで効果的にシールすることができる。そのため、ゲル電解質中のホストポリマーと電解液との上記比率に関しても、比較的電池特性を優先したものとすることができる。
正極層における高分子電解質の配合量は、少なすぎると電極層内でのイオン伝導抵抗やイオン拡散抵抗が大きくなり電池性能が低下してしまう。一方、正極層における高分子電解質の配合量が多すぎると、電池のエネルギー密度が低下してしまう。従って、これらの要因を考慮して、目的に合致した高分子(ゲル)電解質量を決定する。
本発明では、後述する電解質層にゲル電解質を好ましく用いるため、正極層にもゲル電解質が含まれていることが好ましい。正極層における正極活物質間の空隙にゲル電解質を充填することによって、イオン伝導がスムーズになり、バイポーラ電池全体としての出力密度の向上が図れるためである。
上述した通り、集電体上に形成されてなる正極層は、正極活物質の他に、必要に応じて導電助材、バインダ、リチウム塩、電解質などの正極材料が含まれ得る。かような正極層の厚さとしては、好ましくは50〜500μm、より好ましくは50〜200μmとするのがよい。このように、本発明のバイポーラ電池は高反応性活物質層を有することにより、正極層を厚くすることができる。これにより電極を複数積層するバイポーラ電池の構造的なメリットを活かして、十分に高いエネルギー密度を保持したバイポーラ電池を得ることができる。しかし、正極層が厚くなりすぎると集電体からの電子伝導抵抗が大きくなり高反応性活物質層の出力密度向上効果が得られなくなる。従って、正極層の厚さは上記範囲とするのが好ましい。なお、ここでいう正極層とは、図2および3に示す正極層103を意味し、高反応性正極活物質層105は含まないものとする。
次に、負極層は、負極活物質の他に、必要に応じて導電助材、バインダ、リチウム塩、電解質などの負極材料が含まれ得る。
負極活物質の種類以外は、基本的に上述の正極層と同様であるため、ここではその説明を省略する。
負極活物質としては、カーボン、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物などを用いることができるが、好ましくはカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物である。これらカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料である。そのため、これらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することができる。なお、リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、Li4Ti5O12などのリチウム−チタン複合酸化物などを用いることができる。また、カーボンとしては、例えば、黒鉛(グラファイト)、ハードカーボン、ソフトカーボンなどを用いることができる。負極活物質の使用量としては、負極層に含まれる負極材料の全量に対して、80〜96質量%程度とするがよい。
また、負極層の電解質は、被膜形成材を含んでいてもよい。これにより、電池サイクルに伴う容量低下を抑制することができる。被膜形成材としては、特に限定されず、特開2000−123880号公報に記載されている被膜形成材など従来公知のものを用いればよい。
負極層の厚さとしては、正極層と同様にして、好ましくは50〜500μm、より好ましくは50〜200μmとするのがよい。なお、負極層とは、図2および3に示す負極層102を意味し、高反応性負極活物質層104は含まないものとする。
本発明のバイポーラ電池において、上述した負極層または正極層の少なくとも一方の最外部には、高反応性活物質層が形成される。
高反応性活物質層が高レート充放電時の出力特性に特化した特性を有するためには、薄膜であることが望ましい。前記高反応性活物質層の厚さとして、具体的には、2〜50μm、好ましくは5〜30μmである。前記高反応性活物質層の厚さは、薄すぎると逆に出力密度が低下する恐れがあるため、上記範囲とするのがよい。
正極層または負極層の最外部に形成される高反応性活物質層は、電極活物質の他に、必要に応じて導電助材、バインダ、リチウム塩、電解質などの電極材料が含まれ得る。
高反応性活物質層において高い電極反応性を得るには、それ自体の電極反応速度の速い活物質を用いるのが良いのは当然だが、電極活物質の粒子径を小さくするのが好ましい。電極活物質表面の電子移動速度は速くない。そのため、図4に示すように電極活物質の平均粒子径が大きくなるほど電極抵抗が高くなる。従って、電極活物質の粒子径を小さくすることで、電極反応面積を増加させることで電極抵抗を下げることができる。しかし、電極活物質の粒子径が小さすぎると、電極内の電子ネットワークを形成し難くなる恐れがある。従って、前記高反応性活物質層に含まれる電極活物質の平均粒子径は、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.1〜3μmとするのがよい。
高反応性活物質層と、正極層または負極層との膜厚の比は、得られる電池の特性を考慮して決定すればよい。例えば、高出力の特性を指向する電池とする場合には、高反応性活物質層と正極層または負極層とが1:1、好ましくは1:2程度とするのがよい。また、高エネルギーの特性を有する電池とする場合には、高反応性活物質層と正極層または負極層とが1:5、好ましくは1:10程度とするのがよい。
高反応性活物質層における電極活物質の使用量は、高反応性活物質層に含まれる電極材料の全量に対して50〜90質量%、好ましくは70〜80質量%とするのがよい。
高反応性活物質層における導電助材の使用量としては、特に限定されないが、電極活物質の全量に対して3〜30質量%程度とするのが好ましい。また、高反応性活物質層におけるバインダの使用量としては、電極活物質に対して5〜20質量%程度とするのがよい。
高反応性活物質層が正極層の最外部に形成された場合における電極活物質としては、正極層の説明で列挙した正極活物質を用いればよい。これと同様にして、高反応性活物質層が負極層の最外部に形成された場合には、負極層の説明で列挙した負極活物質が挙げられる。なお、導電助材、バインダ、リチウム塩、電解質などについても上述したものと同様のものが用いられるため、ここではその説明を省略する。
電解質層としては、電解質中のリチウムイオン伝導度およびリチウムイオン拡散係数が大きいゲル電解質を用いるのが好ましい。これにより、正極層または負極層を厚くしても、エネルギー密度および出力密度の双方を向上させ得る。
ゲル電解質は、当該電解質層、正極層、負極層、および高反応性活物質層に含まれ得るが、同一のゲル電解質を使用してもよく、それぞれ異なるゲル電解質を用いてもよい。また、ゲル電解質からなる電解質層は、ゲル電解質原料を不織布などのセパレータに含浸させた後、上記重合することによりゲル化されてなるものであってもよい。これにより、電解液の充填量を高めることができるとともに、電池内部の熱伝導性を確保することができる。
上記電解質層の厚さは、特に限定されないが、5〜200μm程度とするのが好ましい。電解質層の厚さの下限値は、コンパクトなバイポーラ電池を得る上で、電解質層としての機能が確保できる範囲で極力薄くし得る値である。なお、ここでいう電解質層の厚さは、正極と負極との間に設けられる電解質層の厚さをいう。したがって、当該電解質層の形成方法によっては、厚さの同じまたは異なる複数のポリマー電解質膜を貼り合せるなどして形成されることもあり得るが、こうした場合でも上記に規定する電解質層の厚さは、これら複数のポリマー電解質膜を貼り合せるなどして形成される電解質層の厚さである。
次に、電流を取り出すための電極端子は、バイポーラ電池の積層構造によっては、最外部の集電体から直接取り出しても良く、この場合には正極および負極端子板は用いなくとも良い。従って、正極および負極端子板は必要に応じて用いる。
正極および負極端子板を用いる場合には、端子としての機能を有するほか、薄型化の観点からは極力薄い方がよいが、積層されてなる電極、電解質および集電体はいずれも機械的強度が弱いため、これらを両側から挟示し支持するだけの強度を持たせることが望ましい。さらに、端子部での内部抵抗を抑える観点から、正極および負極端子板の厚さは、通常0.1〜2mm程度が望ましいといえる。
正極および負極端子板の材質は、通常のバイポーラ電池で用いられる材質を用いることができる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金などを利用することができる。
正極端子板と負極端子板との材質は、同一の材質を用いてもよいし、異なる材質のものを用いてもよい。さらに、これら正極および負極端子板は、材質の異なるものを多層に積層したものであってもよい。
また、正極および負極リードに関しては、公知のリードを用いることができる。なお、電池外装材(電池ケース)から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆しておくのが好ましい。
バイポーラ電池は、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電池本体である電池積層体を電池外装材ないし電池ケースに収容するのが望ましい。軽量化の観点からは、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)の両面をポリプロピレンフィルム等の絶縁体(好ましく耐熱性の絶縁体)で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルム(例えば、ポリプロピレン−アルミニウム複合ラミネートフィルム;単にアルミラミネートフィルムともいう)など、従来公知の電池外装材を用いて、その周辺部の一部または全部を熱融着にて接合することにより、電池積層体を収納し密封した構成とするのが好ましい。この場合、上記正極および負極リードは、上記熱融着部に挟まれて上記電池外装材の外部に露出される構造とすればよい。また熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートフィルムなどを用いることが、自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を電池動作温度まですばやく加熱することができる点で好ましい。
本発明のバイポーラ電池の用途としては、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車、ハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高エネルギー密度、高出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。この場合には、本発明のバイポーラ電池を複数個接続して構成した組電池として用いてもよい。すなわち、本発明のバイポーラ電池を少なくとも2個以上を用いて直列および/または並列に接続して構成し構成し組電池化することにより、高容量、高出力の電池モジュールを形成することが出来る。そのため、使用目的ごとの電池容量や出力に対する要求に、比較的安価に対応することが可能になる。また、組電池には使用用途に応じて各種計測機器や制御機器類を設けてもよく、例えば、電池電圧を監視するための電圧計測用コネクタなどを設けていてもよい。
本発明のバイポーラ電池を車両に搭載するには、車両中央部の座席下、車両の床下、トランクルーム、エンジンルーム、屋根、ボンネットフード内などに設置することができる。
以下に、本発明のバイポーラ電池の製造方法の好適な態様の1つである、電解質層にゲル電解質を用いてなるバイポーラ電池の製造方法を例にとり説明するが、本発明のバイポーラ電池の製造方法が下記方法に何ら制限されるべきものでない。
まず、集電体の片面に正極層を作製し、集電体の正極層が作製された面と他方の面に負極層を作製した後、作製した正極層または負極層のうち少なくとも一方の最外部に高反応性活物質層を作製することにより、バイポーラ電極とする。次に、作製したバイポーラ電極を電解質層を介して複数積層して電極積層体とした後、最外部の集電体から電極端子(リード端子)を取り出し、電池ケースなどに収容することによりバイポーラ電池を作製する。
集電体の片面に正極層を作製する段階では、正極用組成物を調製した後、集電体上に塗布して乾燥および重合することにより正極層を作製する。
(1)正極用組成物の調製
正極用組成物は通常はスラリー(正極用スラリー)として得られ、集電体(正極集電体を含む)の一方の面に塗布される。
正極用組成物は通常はスラリー(正極用スラリー)として得られ、集電体(正極集電体を含む)の一方の面に塗布される。
正極用スラリーは、正極活物質を含む溶液である。他成分として、導電助剤、バインダ、重合開始剤、ゲル電解質の原料であるホストポリマーおよびリチウム塩などが任意で含まれる。例えば、正極用スラリーは、正極活物質を含む溶媒中に、バインダ、導電助剤を添加し、ホモミキサー等で攪拌することで得られる。
正極活物質、導電助剤、バインダ、リチウム塩、ゲル電解質の高分子原料(ホストポリマー)に関しては、基本的に本発明のバイポーラ電池の構成要件である正極層の項で記載した内容と同様であるため、ここでの説明を省略する。
溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのスラリー粘度調製用溶媒が挙げられ、正極用スラリーの種類に応じて適宜選択して用いる。
正極活物質、導電助剤の添加量は、得られるバイポーラ電池が所定の関係を満たすように適宜決定すればよい。
(2)正極層の作製
調製した正極用スラリーを集電体上に塗布した後、乾燥して含まれる溶媒を除去する。
調製した正極用スラリーを集電体上に塗布した後、乾燥して含まれる溶媒を除去する。
正極スラリーを集電体上に塗布するには、得られる正極層が50〜500μmの厚さとなるように、コーター、スクリーン印刷法など公知の方法により行えばよい。
塗布した正極スラリーを乾燥するには、コーターでの熱風乾燥など従来公知の装置を用いることができる。乾燥条件は塗布した正極用スラリーに応じて決定すればよい。
作製した正極層は、表面の平滑性および厚さの均一性を向上させるためにプレス操作を行うのがよい。プレス操作は冷間でプレスロールする方法または熱間でプレスロールする方法のいずれの方法でも良い。熱間でプレスロールする方法の場合は、電解質支持塩や重合性ポリマーが分解する温度以下で行うのが望ましい。プレス圧力は線圧で200〜1000kg/cmで行うことが望ましい。
(3)負極用組成物の調製
次に、集電体の正極層が作製された面と他方の面に負極層を作製するには、正極層と同様にして、負極用組成物を調製した後、集電体上に塗布して乾燥することにより負極層を作製する。
次に、集電体の正極層が作製された面と他方の面に負極層を作製するには、正極層と同様にして、負極用組成物を調製した後、集電体上に塗布して乾燥することにより負極層を作製する。
負極用組成物は通常はスラリー(負極用スラリー)として得られ、集電体(負極集電体を含む)の上に塗布される。負極用スラリーは、負極活物質を含む分散溶液である。他成分として、導電助剤、バインダ、重合開始剤、ゲル電解質の高分子原料およびリチウム塩などが任意で含まれる。使用される原料や添加量については、「(1)正極用組成物の調製」における説明と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(4)負極層の作製
調製した負極用スラリーを集電体に塗布した後乾燥して、含まれる溶媒を除去する。塗布方法、乾燥条件などに関しては、「(2)正極層の作製」における説明したのと同様であるためここでの説明は省略する。
調製した負極用スラリーを集電体に塗布した後乾燥して、含まれる溶媒を除去する。塗布方法、乾燥条件などに関しては、「(2)正極層の作製」における説明したのと同様であるためここでの説明は省略する。
また、上記「(2)正極層の作製」の項で説明したプレス操作は、例えば、集電体の片面に正極層を形成し、他面に負極層を形成した後に、正極層および負極層をまとめて行っても良い。また、正極集電体の片面に正極層を形成した後にプレス操作してもよいし、負極集電体の片面に負極層を形成した後にプレス操作してもよい。さらに、正極集電体上に形成した正極層と負極集電体上に負極層とを貼り合せた後にまとめてプレス操作してもよいなど、該プレス操作の対象や時期については、必要に応じて適宜選択すればよい。また、プレス条件については、正極層または負極層の場合でも、正極層及び負極層をまとめて行う場合であっても、上記「(2)正極層の作製」の項で説明した範囲内において調製することができる。
次に、作製した正極層または負極層のうち少なくとも一方の最外部に高反応性活物質層を作製する段階では、高反応性活物質組成物を調製した後、正極層および/または負極層上に塗布して乾燥および重合することにより高反応性活物質層を作製する。
(5)高反応性活物質組成物の調製
高反応性活物質組成物は、正極組成物などと同様にして通常はスラリー(高反応性活物質スラリー)として得られ、正極層および/または負極層の最外部に塗布される。
高反応性活物質組成物は、正極組成物などと同様にして通常はスラリー(高反応性活物質スラリー)として得られ、正極層および/または負極層の最外部に塗布される。
高反応性活物質スラリーは、電極活物質を含む溶液である。他成分として、導電助剤、バインダ、重合開始剤、ゲル電解質の原料であるホストポリマーおよびリチウム塩などが任意で含まれる。例えば、高反応性活物質スラリーは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのスラリー粘度調製用溶媒に電極活物質の他に、バインダ、導電助材を添加し、ホモミキサー等で攪拌することで得られる。
高反応性活物質層に含まれる電極活物質の平均粒子径は、上述した通り、0.05〜5μm、好ましくは0.1〜3μmとするのがよい。
電極活物質の添加量としては、特に限定されないが、溶媒の全量に対して50〜90質量%程度となるように添加すればよい。その他、リチウム塩、バインダ、導電助材、ゲル電解質の高分子原料(ホストポリマー)などの添加量は、得られる高反応性活物質層が所望の特性を有するように適宜決定すればよい。
正極層上に作製される高反応性活物質層に含まれる電極活物質としては、正極層の説明で列挙した正極活物質が挙げられる。正極層と高反応性活物質層とでは、同じ正極活物質を用いてもよく、異なる正極活物質を用いてもよく、所望のバイポーラ電池が得られるように適宜選択して用いるとよい。
また、負極層上に形成される高反応性活物質層に含まれる電極活物質としては、負極層の説明で列挙した負極活物質が挙げられる。負極層と高反応性活物質層とで用いる負極活物質は同じであっても、異なっていてもよい。
なお、導電助剤、バインダ、リチウム塩、ゲル電解質の高分子原料(ホストポリマー)などに関しては、基本的に本発明のバイポーラ電池の構成要件である高反応性活物質層の項で記載した内容と同様であるため、ここでの説明を省略する。
(6)高反応性活物質層の作製
調製した高反応性活物質組成物を、正極層または負極層のいずれかの最外部に塗布した後、乾燥させて溶媒を除去する。高反応性活物質組成物の塗布に際しては、コーター、スクリーン印刷法などの公知の方法を用いて、得られる高反応性活物質層が2〜50μm、好ましくは5〜30μmとなるように塗布する。
調製した高反応性活物質組成物を、正極層または負極層のいずれかの最外部に塗布した後、乾燥させて溶媒を除去する。高反応性活物質組成物の塗布に際しては、コーター、スクリーン印刷法などの公知の方法を用いて、得られる高反応性活物質層が2〜50μm、好ましくは5〜30μmとなるように塗布する。
高反応性活物質層は、正極層または負極層の少なくともいずれか一方に作製してもよく、正極層および負極層の双方に作製してもよい。得られるバイポーラ電池のエネルギー密度、出力密度などを考慮して、高反応性活物質層を作製すればよい。
上述したバイポーラ電極の製造工程の順序は、集電体の片面に正極層を作製して他方の面に負極層を作製した後、正極層または負極層の少なくともいずれかに高反応性活物質層を作製する順序であったが、特にこれに限定されない。すなわち、集電体の片面に負極層を作製して他方の面に正極層を作製した後、正極層または負極層の少なくともいずれかに高反応性活物質層を作製する順序であってもよい。また、集電体の片面に正極層を作製し、正極層上に高反応性活物質層を作製した後、集電体の他の面に負極層を作製してもよい。製造工程の順序は、所望のバイポーラ電極が得られるように、適宜決定すればよい。
(7)バイポーラ電極を電解質層を介して複数積層する。
作製したバイポーラ電極を所望のサイズに切り出し、セパレータを介して複数積層した後、ゲル原料溶液を含浸させ、重合させ、バイポーラ電池の作製を行う。
セパレータとしては、厚みが5〜200μm程度の微孔性ポリエチレンフィルム、微孔性ポリプロピレンフィルム、微孔性エチレン−プロピレン−コポリマーフィルムなど一般的に用いられているものが挙げられる。バイポーラ電極の積層数は、バイポーラ電池に求める電池特性を考慮して決定される。また、正極側の最外層には、集電体上に正極層のみを形成した電極を配置する。負極側の最外層には、集電体上に負極層のみを形成した電極を配置する。
ゲル原料溶液とは、ゲル電解質の原料高分子(ホストポリマー)、リチウム塩、重合開始剤等を溶媒に溶解させて調製した溶液を意味する。ホストポリマー、リチウム塩などは、バイポーラ電池の正極層において記載した説明を同様であるため、ここではその説明を省略する。
重合開始剤としては適切な重合条件の熱重合開始剤を用いるのがよく、例えばt−ヘキシルパーオキシピバレートなどを用いるのがよい。
ゲル原料溶液の含浸は、バイポーラ電極をセパレータを介して複数積層した後、作製した積層体をゲル溶液に浸漬またはゲル原料溶液を注入することにより行う。ゲル原料溶液は、まだゲル状になっていないため、電極およびセパレータに浸透していく。また、前記含浸には、アプリケーターやコーターなどを用いれば微量の供給も可能である。
その後、ゲル原料溶液を含浸させた積層体に含まれるホストポリマーを、熱などにより重合(架橋)する。熱重合は、オーブンなど従来公知の装置を用いることができる。乾燥ないし熱重合の条件はゲル原料溶液などに応じて適宜決定すればよい。
なお、電極積層体を作製する際には、電池内部に水分等が混入するのを防止する観点から、十分除湿されたアルゴン、窒素などの不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
(8)リード端子の接続
電極積層体の両最外層上にそれぞれ、正極端子板、負極端子板を設置し、該正極端子板、負極端子板に、さらに正極リード、負極リードを接合する。正極リードおよび負極リードの接合方法としては、接合温度の低い超音波溶接等が好適に利用し得るものであるが、これに限定されるべきものではなく、従来公知の接合方法を適宜利用することができる。
電極積層体の両最外層上にそれぞれ、正極端子板、負極端子板を設置し、該正極端子板、負極端子板に、さらに正極リード、負極リードを接合する。正極リードおよび負極リードの接合方法としては、接合温度の低い超音波溶接等が好適に利用し得るものであるが、これに限定されるべきものではなく、従来公知の接合方法を適宜利用することができる。
(9)パッキング(電池の完成)
最後に、電極積層体全体を、外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電池外装材ないし電池ケースで封止し、バイポーラ電池を完成させる。封止の際には、正極リード、負極リードの一部を電池外部に取り出す。電池外装材(電池ケース)の材質は、内面がポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆された金属(アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅など)が好適である。
最後に、電極積層体全体を、外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電池外装材ないし電池ケースで封止し、バイポーラ電池を完成させる。封止の際には、正極リード、負極リードの一部を電池外部に取り出す。電池外装材(電池ケース)の材質は、内面がポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆された金属(アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅など)が好適である。
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明の一実施形態を示したに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
<実施例1>
ステンレス箔(SUS316L、厚さ20μm)の集電体に、シール部分を残して電極部分が8cmx8cmのパターン電極を以下のようにして構成した。
ステンレス箔(SUS316L、厚さ20μm)の集電体に、シール部分を残して電極部分が8cmx8cmのパターン電極を以下のようにして構成した。
第一の内側の負極層は、負極活物質としてハードカーボン(平均粒子径20μm)およびバインダとしてPVdFをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)の溶媒に加えてホモジナイザーでよく攪拌混合し負極スラリーを調整し、これを脱泡機を用いて脱泡した後、前記集電体上にコーターで塗布することにより作製した。ハードカーボンおよびPVdFは、質量比で9:1とした。
前記集電体の負極層を塗布した面に対応する反対側の面に、第一の内側の負極層と同様にして、正極活物質としてスピネルのマンガン酸リチウム(LiMn2O4、平均粒子径20μm)、導電助材としてアセチレンブラック、バインダとしてPVdF、およびNMP溶媒を用いて第一の内側の正極層を作製した。LiMn2O4、アセチレンブラック、およびPVdFは質量比で90:5:5とした。
第一の負極層および第一の正極層の厚さは、それぞれ90μmと100μmとした。第一の負極層および第一の正極層にロールプレスで軽くプレスをかけて、さらにこの上にそれぞれ次の電極層を形成させた。
第二の負極層(高反応性活物質層)は、負極活物質としてハードカーボン(平均粒子径1.0μm)、導電助剤としてアセチレンブラック、バインダとしてフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(P(VdF+HFP))を質量比で80:15:5として、ジメチルカーボネートの溶媒に加え、ホモジナイザーで撹拌混合してスラリーを調整し、脱泡機により脱泡して、第一の負極層上に塗布・乾燥して作製した。
次に、第二の正極層(高反応性活物質層)は、正極活物質としてLiMn2O4(平均粒子径0.8μm)、導電助剤としてアセチレンブラック、バインダとしてP(VdF+HFP)を75:10:15として、ジメチルカーボネートの溶媒に加え、ホモジナイザーで撹拌混合してスラリーを調整し、脱泡機により脱泡して、第一の正極層上に塗布・乾燥して作製した。第二の負極層及び正極層の厚さはそれぞれ20μmと25μmであった。
以上のようにして作製したバイポーラ電極を、厚さ50μmのポリプロピレンの不織布を挟んで、正極層と負極層が向かい合うようにして5セル分積層してバイポーラ電池の形を作り、ゲル原料溶液の注入のための部分を残して周辺部をヒートシールしてバイポーラ電池構造体を得た。また、バイポーラー電池構造体内の両端の電極は、それぞれ正極層のみ、負極層のみを形成した。このバイポ−ラー電池構造体を高真空下90℃で1日乾燥した。
ゲル原料溶液の調整を、以下のように行った。
まず、前記架橋性ゲル電解質マトリックス高分子原料としては、文献(J. Electrochem. Soc., 145 (1998) 1521.)の方法に従って合成したポリエーテル形のネットワーク高分子原料を用いた。なお、得られた前記架橋性ゲル電解質マトリックス高分子原料は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(P(VdF+HFP))であった。また、前記電解液としては、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネート(体積比1:1)の混合溶媒に1.0MのBETIを溶解したものを用いた。
前記電解液に前記架橋性ゲル電解質マトリックス高分子原料を質量比で7%加え、さらに熱重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレートを5000ppm添加して、よく撹拌して均一溶液としてゲル原料溶液を調整した。このゲル原料溶液を先に製造したバイポ−ラー電池構造体の各セルに注入して、減圧下にて各セルの残りのシール部分をシールして、50℃のオーブンにて3時間加熱してゲル原料溶液を架橋することによりゲル電解質バイポーラー電池を製造した。
<実施例2>
実施例1において、第一の負極層と第一の正極層の厚さをそれぞれ110μm、120μmとした以外は実施例1と同様にしてバイポーラ電池を構成した。
実施例1において、第一の負極層と第一の正極層の厚さをそれぞれ110μm、120μmとした以外は実施例1と同様にしてバイポーラ電池を構成した。
<比較例1>
実施例1において第一の負極層と第一の正極層を除いて第二の負極層と第二の正極層を直接集電体上に塗布した以外は実施例1と同様にしてゲル電解質バイポーラ電池を構成した。
実施例1において第一の負極層と第一の正極層を除いて第二の負極層と第二の正極層を直接集電体上に塗布した以外は実施例1と同様にしてゲル電解質バイポーラ電池を構成した。
<比較例2>
実施例1において、第二の負極層と第二の正極層を除いて、第一の負極層と第一の正極層の厚さをそれぞれ110μmと125μmとした以外は、実施例1と同様にしてゲル電解質バイポーラ電池を構成した。
実施例1において、第二の負極層と第二の正極層を除いて、第一の負極層と第一の正極層の厚さをそれぞれ110μmと125μmとした以外は、実施例1と同様にしてゲル電解質バイポーラ電池を構成した。
<比較例3>
実施例1において、第二の負極層と第二の正極層の厚さをそれぞれ60μmと75μmにした以外は、実施例1と同様にしてゲル電解質バイポーラ電池を構成した。
実施例1において、第二の負極層と第二の正極層の厚さをそれぞれ60μmと75μmにした以外は、実施例1と同様にしてゲル電解質バイポーラ電池を構成した。
<評価>
上記実施例および比較例で作製したバイポーラ電池性能の評価を以下のように行った。
上記実施例および比較例で作製したバイポーラ電池性能の評価を以下のように行った。
充放電は室温で行い、充電は正極基準で0.1Cの定電流−定電圧モードにて21Vまで合計12時間行い、放電レートを0.1Cとしてカットオフ電圧12Vまで定電流放電を行って放電容量を測定して、体積あたりのエネルギー密度を下記方法により算出して、実施例1の電池の値に対する比を計算して表1にまとめた。また、同様にして充電したあと、電流値を変えて定電流パルス放電を行い、5秒目の電圧を測定して、この電圧が12.5Vになるときの電流値から体積あたりの出力密度を下記方法により算出した。各電池の出力密度は、表1に実施例1の値に対する比をもって示した。
・エネルギー密度(Wh/リットル)の算出方法
電池を1C放電したときの電気容量(Q)Ahを求め、これに電池の平均電圧(Eav)を乗じて、これを正極および負極における第一および第二の電極層の体積(Vc+Va)、電解質層(Vs)、集電体(Vcu)の体積の総和(Vt)にて除する。これを各電池について計算し、比較しやすいように実施例1に対する比とした。
電池を1C放電したときの電気容量(Q)Ahを求め、これに電池の平均電圧(Eav)を乗じて、これを正極および負極における第一および第二の電極層の体積(Vc+Va)、電解質層(Vs)、集電体(Vcu)の体積の総和(Vt)にて除する。これを各電池について計算し、比較しやすいように実施例1に対する比とした。
・出力密度(W/リットル)の算出方法
電池を満充電状態から定電流パルス放電して、5秒目の電圧が下限電圧(Elimit=12.5V)になるときの電流値(Imax)を乗じて、これを上記の体積の総和(Vt)で除する。これを各電池について計算し、比較しやすいように実施例1に対する比とした。
電池を満充電状態から定電流パルス放電して、5秒目の電圧が下限電圧(Elimit=12.5V)になるときの電流値(Imax)を乗じて、これを上記の体積の総和(Vt)で除する。これを各電池について計算し、比較しやすいように実施例1に対する比とした。
100…バイポーラ電極、101…集電体、102…負極層、103…正極層、104…高反応性負極活物質層、105…高反応性正極活物質層、106…電解質層、107…絶縁層。
Claims (5)
- 集電体の片面に正極層が形成され、他方の片面に負極層が形成されてなるバイポーラ電極を、電解質層を介して複数積層したバイポーラ電池において、
前記正極層または前記負極層の少なくとも一方の最外部に、厚さ2.0〜50μmの高反応性活物質層を有するバイポーラ電池。 - 前記高反応性活物質層は、平均粒子径0.05〜5.0μmの活物質を含む請求項1記載のバイポーラ電池。
- 前記正極層および前記負極層の厚さは、50〜500μmである請求項1または2記載のバイポーラ電池。
- 前記電解質は、ゲル状電解質である請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイポーラ電池。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイポーラ電池が搭載されてなる車両。
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US7955728B2 (en) | 2006-12-21 | 2011-06-07 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Electrical storage device |
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WO2015118988A1 (ja) * | 2014-02-06 | 2015-08-13 | 日産自動車株式会社 | 非水電解質二次電池 |
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2003
- 2003-11-14 JP JP2003385197A patent/JP2005149893A/ja active Pending
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