JP2001185218A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池

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JP2001185218A JP2000310596A JP2000310596A JP2001185218A JP 2001185218 A JP2001185218 A JP 2001185218A JP 2000310596 A JP2000310596 A JP 2000310596A JP 2000310596 A JP2000310596 A JP 2000310596A JP 2001185218 A JP2001185218 A JP 2001185218A
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正治 鎌内
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Mitsuhiro Asano
光洋 浅野
Takeshi Moriuchi
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Kazuyuki Tateishi
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Itaru Gosho
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極低温領域における放電初期の放電電圧の降
下を抑制し得るリチウムイオン二次電池を提供する。 【解決手段】 正極活物質として、式〔7≦20/(比
表面積×平均粒径)≦9〕を満たすLi−Co系複合酸
化物の粒状物を用い、更に正極活物質と一緒に正極に配
合する正極用の導電材として、サイズの大きい導電材と
サイズの小さい導電材との混合物を用いて、−20℃の
環境下で1C放電を行って得られる放電曲線(横軸:放
電容量率〔%〕、縦軸:放電電圧〔V〕)が極小値を有
しない右下がりの曲線となるようにリチウムイオン二次
電池を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリチウムイオン二次
電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウムイオン二次電池は、ニッカド電
池等に比べ高エネルギー密度、高電圧であるため、近
年、携帯電話やノート型パソコンといった携帯機器の駆
動源として、急速に採用が進んでいる。さらに、将来に
おいては、採用機器の範囲が広がるものと考えられる。
【0003】一般にリチウムイオン二次電池は、電解液
を含浸させたセパレータをシート状の正極とシート状の
負極とで挟み込んでなる構造を有している。正極および
負極は、正極活物質または負極活物質に導電材やバイン
ダー等を混合させてなる正極活物質層または負極活物質
層を、金属箔などの集電体上に設けて形成される。正極
活物質および負極活物質としては粒状物が用いられてい
る。
【0004】また、リチウムイオン二次電池において
は、金属リチウムが水と反応し易いため、非水タイプの
電解液が用いられている。このため、リチウムイオン二
次電池は、0℃以下の温度領域でも放電が可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、−20
℃以下の極低温領域となると、従来のリチウムイオン二
次電池においては、放電初期の段階で放電電圧が急激に
降下するという特性がある。即ち、通常、低温下におい
てリチウムイオン二次電池の放電曲線(横軸:放電容量
率〔%〕、縦軸:放電電圧〔V〕)は、放電容量率の増
加方向に順に極小値と極大値とを有するものとなるが、
例えば−20℃の環境下では極小値と極大値との差は
0.3〔V〕〜0.5〔V〕程度、極小値と放電容量率
0%のときの放電電圧との差は0.5〔V〕〜1.0
〔V〕程度あり、放電初期の段階で大きな電圧降下が生
じている。
【0006】そのため、場合によっては放電電圧が機器
に設定された停止電圧を下回り、機器を停止させ、実用
上使用できなくしてしまうことがある。さらに、この特
性は、観測機器、通信機器、電気自動車、電力貯蔵機器
といった極寒地でも使用されることがある機器への適用
を妨げ、将来の適用範囲を狭めてしまう。
【0007】一方、電池位置の工夫や、加熱用のヒータ
ーの取り付けといった機器側での改良によって、電池の
温度が一定以下とならないようにすることも可能である
が、機器のコストアップ等につながるため、電池側での
改良が望まれている。
【0008】本発明の課題は、上記問題を解決し、極低
温領域における放電初期の放電電圧の降下を抑制し得る
リチウムイオン二次電池を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のリチウムイオン
二次電池は、次の特徴を有するものである。 (1) 横軸が20℃の環境下で1C放電を行なったと
きの放電容量を100%とする放電容量率、縦軸が放電
電圧である放電曲線であって、−20℃の環境下で1C
放電を行なって得られたものが、極小値を有しない右下
がりの曲線となり、上記−20℃の環境下での放電によ
る放電容量が、上記20℃の環境下での放電による放電
容量の60%以上であることを特徴とするリチウムイオ
ン二次電池。
【0010】(2) 横軸が20℃の環境下で1C放電
を行なったときの放電容量を100%とする放電容量
率、縦軸が放電電圧である放電曲線であって、−20℃
の環境下で1C放電を行なって得られたものが、放電容
量率の増加方向に順に極小値と極大値とを有するもので
あり、極小値と極大値との差は0.1V以下、極小値と
放電容量率0%のときの放電電圧との差は0.3V以下
となっており、上記−20℃の環境下での放電による放
電容量が、上記20℃の環境下での放電による放電容量
の60%以上であることを特徴とするリチウムイオン二
次電池。
【0011】(3) 横軸が20℃の環境下で1C放電
を行なったときの放電容量を100%とする放電容量
率、縦軸が放電電圧である放電曲線であって、−20℃
の環境下で1C放電を行なって得られたものが、放電容
量率の増加方向に順に第一の極大値、極小値、第二の極
大値を有するものであり、極小値と第二の極大値との差
は0.1V以下、極小値と放電容量率0%のときの放電
電圧との差は0.3V以下となっており、上記−20℃
の環境下での放電による放電容量が、上記20℃の環境
下での放電による放電容量の60%以上であることを特
徴とするリチウムイオン二次電池。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明のリチウムイオン二
次電池を詳細に説明する。図1〜図3は、本発明のリチ
ウムイオン二次電池の放電曲線の一例をそれぞれ示して
いる。図1〜3において横軸は放電容量率〔%〕、縦軸
は放電電圧〔V〕を示している。各放電曲線は、−20
℃の環境下で1C放電を行って得られたものである。横
軸の放電容量率〔%〕は、20℃の環境下で1C放電を
行なったときの放電容量〔mAh〕を100%として算
出したものであり、該放電容量に対する割合を示してい
る。なお、放電時にカットオフ電圧を設定している場合
においては、該放電容量はカットオフ電圧に達したとき
の放電容量とすれば良い。図1〜図3の例では、カット
オフ電圧がVFに設定されている。
【0013】図1の例では、放電曲線は極小値を有しな
い右下がりの曲線となっており、放電初期の急激な電圧
降下は抑制されている。図2の例では、放電曲線は放電
容量率の増加方向に順に極小値と極大値とを有してお
り、従来と同様に放電初期の段階で電圧降下が発生して
いる。しかし、極小値と極大値との差ΔV1 は0.1
〔V〕以下、極小値と放電容量率が0%のときの放電電
圧との差ΔV2 は0.3〔V〕以下となっており、電
圧降下の程度は従来に比べて小さいといえる。図3の例
では、放電曲線は放電容量率の増加方向に順に第一の極
大値、極小値、第二の極大値を有している。この場合に
おいても従来と同様に放電初期の段階で電圧降下が発生
している。しかし、極小値と第二の極大値との差ΔV1
は0.1〔V〕以下、放電容量率が0%のときの放電電
圧と極小値との差ΔV2は0.3〔V〕以下となってお
り、この場合も電圧降下の程度は従来に比べて小さいと
いえる。
【0014】このように、本発明のリチウムイオン二次
電池を用いれば、極低温領域における放電初期の急激な
電圧降下を抑制できる。さらに図1〜図3に示すよう
に、−20℃の環境下での1C放電による放電容量〔m
Ah〕は、20℃の環境下での1C放電による放電容量
〔mAh〕の60%以上になっており、極低温領域にお
ける放電容量の低下も小さいといえる。
【0015】図1〜3に示す放電曲線をもつ本発明のリ
チウムイオン二次電池は、例えば正極活物質として、比
表面積と平均粒径との積が下記の式(1)を満たすLi
−Co系複合酸化物の粒状物を用い、正極活物質と一緒
に正極に配合する正極用の導電材として、サイズの大き
い導電材とサイズの小さい導電材との混合物を用いるこ
とによって得ることができる。本発明においても正極
は、正極活物質に正極用の導電材やバインダーを混合さ
せてなる正極活物質層を、集電体上に設けて得ることが
できる。 7≦〔20/(比表面積×平均粒径)〕≦9 (式1)
【0016】本発明のリチウムイオン二次電池におい
て、正極活物質に用いられるLi−Co系複合酸化物と
しては、LiCoO2 や、LiA Co1-X MeX 2
示されるものが好ましく用いられる。なお、後者におい
て、Aは0.05〜1.5、特には0.1〜1.1とす
るのが好ましい。Xは0.01〜0.5、特には0.0
2〜0.2とするのが好ましい。元素Meとしては、Z
r、V、Cr、Mo、Mn、Fe、Ni等の周期率表の
3〜10族元素や、B、Al、Ge、Pb、Sn、Sb
等の13〜15族元素が挙げられる。
【0017】本発明のリチウムイオン二次電池を提供す
るため、正極活物質となるLi−Co系複合酸化物とし
ては、上述したように、比表面積と平均粒径との積が上
記の式(1)を満足する粒状物が用いられる。これは、
20/(比表面積×平均粒径)の値が、7未満であった
り、9より大きいと、電極、特に正極に起因する電気抵
抗が増加し、放電初期の急激な電圧降下を助長してしま
うからである。
【0018】なお、比表面積および平均粒径の値は、本
発明のリチウムイオン二次電池においては、平均粒径は
10μm〜25μm、特には14μm〜22μmとする
のが好ましく、比表面積は0.1m2 /g〜0.3m2
/g、特には0.15m2 /g〜0.25m2 /gとす
るのが好ましい。これは、平均粒径が10μm未満であ
ると、異常な電池反応を起こしやすく、安全性が損なわ
れる虞れがあるからである。また25μmを越えると電
気抵抗が大きくなって、リチウムイオン二次電池の単位
体積当たりのエネルギー密度を低減させるからである。
また、比表面積が0.1m2 /g未満であったり、0.
3m2 /gを越えると、リチウムイオン二次電池の充放
電のサイクル特性を低下させるからである。
【0019】Li−Co系複合酸化物の粒状物の平均粒
径の測定は以下の方法により行うことができる。最初
に、測定対象となる粒状物を、水やエタノールなどの有
機液体に投入し、35kHz〜40kHz程度の超音波
を付与して約2分間分散処理を行う。なお、測定対象と
なる粒状物の量は、分散処理後の分散液のレーザ透過率
(入射光量に対する出力光量の比)が70%〜95%と
なる量とする。次に、この分散液をマイクロトラック粒
度分析計にかけ、レーザー光の散乱により個々の粒子の
粒径(D1 、D2 、D3 ・・)、および各粒径毎の存在
個数(N1 、N2、N3 ・・・)を計測する。
【0020】なお、マイクロトラック粒度分析計では、
観測された散乱強度分布に最も近い理論強度になる球形
粒子群の粒径分布を算出している。即ち、粒子は、レー
ザー光の照射によって得られる投影像と同面積の断面円
を持つ球体と想定され、この断面円の直径(球相当径)
が粒径として計測される。
【0021】平均粒径(μm)は、上記で得られた個々
の粒子の粒径(D)と各粒径毎の存在個数(N)とか
ら、下記の式(2)にて算出される。 平均粒径(μm)=(ΣND3 /ΣN) 1/ 3 (式2)
【0022】また、Li−Co系複合酸化物の粒状物の
比表面積は、「粉体の材料化学」〔荒井康夫著、初版第
9刷、培風館(東京)発行、1995年〕の第178頁
〜第184頁に記載された吸着法のうち、窒素を吸着体
とする気相吸着法(一点法)により行うことができる。
【0023】上記の式(1)を満たすLi−Co系複合
酸化物の作製方法は、特に限定されないが、具体的には
以下の方法が挙げられる。一の方法としては、出発原料
となるリチウム化合物とコバルト化合物とを、コバルト
とリチウムとの原子比が1:1〜0.8:1となるよう
に混合し、その混合物を温度700℃〜1200℃の大
気雰囲気下で、3時間〜5時間加熱する等して反応さ
せ、さらに反応して出来たものを粉砕して粒状物とし、
その中から上記の式(1)を満たすもののみを採取する
といった方法が挙げられる。
【0024】他の方法としては、上記の粉砕して得られ
た粒状物をさらに熱処理する方法、例えば、粒状物を4
00℃〜750℃、特には450℃〜700℃程度の温
度下で0.5時間〜50時間、特には1時間〜20時間
程度加熱する方法が挙げられる。なお、このとき粒状物
としては平均粒径が10μm〜25μmの範囲内にある
ものを用いるのが好ましい。このように、粒状物に熱処
理を行なった場合は、粒状物の平均粒径を殆ど変化させ
ずに比表面積を減少させることができるので、上記の式
(1)を満たすLi−Co系複合酸化物を容易に得るこ
とができる。
【0025】また、この粒状物の熱処理は、どのような
雰囲気下でも行うことができ、例えば、大気雰囲気下
や、窒素又はアルゴンといった不活性ガス雰囲気下で行
うことができる。但し、雰囲気中に炭酸ガスが存在する
と、炭酸リチウムが生じて不純物の含有量が増大するお
それがあるため、炭酸ガスの分圧が10mmHg程度以
下の雰囲気下で行うのが好ましい。
【0026】出発原料となるリチウム化合物としては、
酸化リチウム、水酸化リチウム、ハロゲン化リチウム、
硝酸リチウム、しゅう酸リチウム、炭酸リチウム等や、
これらの混合物が挙げられる。コバルト化合物として
は、酸化コバルト、水酸化コバルト、ハロゲン化コバル
ト、硝酸コバルト、しゅう酸コバルト、炭酸コバルト等
や、これらの混合物が挙げられる。なお、LiA Co
1-X MeX 2 で示されるLi−Co系複合酸化物を製
造するのであれば、リチウム化合物とコバルト化合物と
の混合物に、置換元素の化合物を必要量添加すれば良
い。
【0027】本発明のリチウムイオン二次電池を提供す
るため、正極用の導電材としては、上述したようにサイ
ズの大きい導電材と小さい導電材との混合物が用いられ
る。この場合、サイズの小さい導電材は正極活物質の粒
子表面に集合して該表面を導電性とし、サイズの大きい
導電材は導電化された正極活物質の粒子間に入り、該粒
子間を電気的に接続する。このため、導電性を示さない
はずのセラミックス材料で形成された正極活物質が導電
性を示すことになり、正極の抵抗成分を低減させる。よ
って、放電初期の急激な電圧降下の抑制を図ることがで
きるようになる。
【0028】本発明で用いられる正極用の導電材には、
サイズの小さい導電材の形状の違いにより二つの態様が
ある。第一の態様は、粒状のサイズの大きい導電材(以
下、「第一の導電材」という。)と、粒状のサイズの小
さい導電材(以下、「第二の導電材」という。)との混
合物である。第二の態様は、粒状のサイズの大きい導電
材(以下、「第一の導電材」という。)と、繊維状のサ
イズの小さい導電材(以下、「第三の導電材」とい
う。)との混合物である。なお、本発明でいう「粒状」
には、鱗片状、球状、擬似球状、塊状、ウィスカー状な
どが含まれるが、特に限定するものではない。
【0029】第一の導電材としては、従来よりリチウム
イオン二次電池で使用されている炭素材料を用いること
ができる。例えば、人造または天然の黒鉛類;アセチレ
ン・ブラック、オイルファーネス・ブラック、イクスト
ラコンダクティブファーネス・ブラックなどのカーボン
ブラック類等が挙げられる。これらの炭素材料のうち、
第一の導電材においては、黒鉛類、特に結晶格子の面間
距離(d002 )が0.34nm以下、c軸方向の結晶子
寸法(Lc)が10nm以上の黒鉛化炭素が好ましく用
いられる。
【0030】なお、結晶格子の面間距離(d002 )およ
びc軸方向の結晶子寸法(Lc)は、日本学術振興会法
により測定することができる。以下に具体的に説明す
る。最初に、X線標準用高純度シリコンをメノウ乳鉢で
325メッシュ標準篩以下に粉砕して標準物質を作製
し、この標準物質と被測定試料の黒鉛化炭素とをメノウ
乳鉢で混合(黒鉛化炭素100重量%に対して標準物質
10重量%)してX線用試料を作製する。このX線用試
料は、X線回析装置(理学電機社製RINT2000、
X線源:CuKα線)の試料板に均一に充填する。次
に、X線管球への印加電圧を40kV、印加電流を50
mAに設定し、更に走査範囲を2θ=23.5度〜2
9.5度、スキャンスピードを0.25度/minとし
て、炭素の002ピークおよび標準物質の111ピーク
を測定する。続いて、得られたピーク位置およびその半
値幅から、上記のX線回析装置に付属の黒鉛化度計算用
ソフトを用いて、結晶格子の面間距離(d002 )および
c軸方向の結晶子寸法(Lc)を算出する。
【0031】第一の導電材は、正極活物質の粒子同士の
電気的接続を良好とするためのものであり、そのため小
さすぎるとこの電気的接続の達成が難しくなる。一方、
第一の導電材は大きすぎると正極活物質の最密充填を妨
げてしまう。従って、第一の導電材としては、粒径が3
μm以上のものを用いる必要があり、5μm〜25μm
のものを用いるのが好ましい。さらに、比表面積におい
て、20m2 /g以下、特に1m2 /g〜10m2 /g
のものを用いるのが好ましい。
【0032】なお、本発明でいう第一の導電材の粒径と
は、第一の導電材を構成する粒子を球体と想定したとき
の断面円の直径(球相当径)をいい、上述のLi−Co
系複合酸化物の場合と同様にマイクロトラック粒度分析
計を用いて測定できる。
【0033】第二の導電材としても、上記の第一の導電
材と同様に、人造または天然の黒鉛類;アセチレン・ブ
ラック、オイルファーネス・ブラック、イクストラコン
ダクティブファーネス・ブラックなどのカーボンブラッ
ク類等といった炭素材料を用いることができる。
【0034】第二の導電材は、正極活物質の粒子の表面
を導電化するためのものであり、そのため大きすぎると
このような作用が乏しくなる。従って、第二の導電材と
しては、粒径が2μm以下のものを用いる必要があり、
特には1μm以下のものを用いるのが好ましい。さら
に、比表面積において、10m2 /g以上、特に15m
2 /g以上のものを用いるのが好ましい。
【0035】なお、本発明でいう第二の導電材の粒径
も、第二の導電材を構成する粒子を球体と想定したとき
の断面円の直径(球相当径)である。第二の導電材の粒
径の測定も、第一の導電材の場合と同様に、マイクロト
ラック粒度分析計を用いて測定できる。但し、粒径が1
μm未満となると分散液中で粒子の凝集が生じてしまう
傾向がある。このため、粒径が1μm未満の場合は、電
子顕微鏡を用いるのが良い。具体的には、最初に視野に
粒子が20個以上入るよう倍率を設定して電子顕微鏡写
真を撮影する。次に、写真に写った各粒子の像の面積を
算出し、さらにこの算出された面積から同面積を持つ円
の直径を算出する。第二の導電材を構成する粒子は、こ
の直径の断面円をもつ球体と想定し、この直径が第二の
導電材の粒径となる。
【0036】第一の導電材および第二の導電材の比表面
積の測定は、上述のLi−Co系複合酸化物の場合と同
様に、窒素を吸着体とする気相吸着法(一点)により行
うことができる。
【0037】第三の導電材としては、各種炭素繊維を用
いることができる。具体的には、気相成長法などにて製
造した炭素繊維類、メソフェーズ系黒鉛化炭素などの黒
鉛化炭素繊維類などが挙げられる。なお炭素繊維は、直
線状のものであっても良いし、ループ状、螺旋状、その
他の形状にカールしたものであっても良い。
【0038】第三の導電材も、第二の導電材と同様に、
正極活物質の粒子の表面を導電化するためのものであ
り、そのため大きすぎるとこのような作用が乏しくな
る。従って、第三の導電材としては、アスペクト比(繊
維長/繊維径)が3以上、好ましくは10〜50、繊維
径が2μm以下、好ましくは1μm以下のものが用いら
れる。
【0039】第三の導電材のアスペクト比および繊維径
の測定は、粒径が1μm以下の第二の導電材と同様に、
電子顕微鏡を利用して行うことができる。具体的には、
視野に繊維が20本以上入るよう倍率を設定して電子顕
微鏡写真を撮影し、写真に写った各繊維の繊維径および
繊維長をノギス等で測定することで行うことができる。
なお、繊維長の測定は、繊維が直線状の場合であれば、
一端と他端との最短距離を測定することにより行えば良
い。但し、繊維がカール等している場合であれば、繊維
上に最も互いに離れる任意の二点を取り、この二点間の
距離を測定し、これを繊維長とすれば良い。
【0040】第一の導電材と、第二の導電材又は第三の
導電材との混合比は、どちらか一方の比率が大きすぎた
り、小さすぎたりすると、放電初期の急激な放電降下を
助長させてしまう場合がある。従って、本発明において
は、第二の導電材または第三の導電材は、第一の導電材
100重量部に対し、1重量部〜200重量部であるの
が好ましい。なお、導電性および安全性の向上を図り得
る点からは、5重量部〜100重量部、特には10重量
部〜50重量部であるのが好ましい。
【0041】第一の導電材と第二の導電材又は第三の導
電材との合計使用量は、従来と同様に、例えばLi−C
o系複合酸化物100重量部に対し、3重量部〜15重
量部程度とするれば良い。但し、本発明においては、サ
イズの異なる二種類の導電材を併用しているため、従来
よりも少ない使用量、例えばLi−Co系複合酸化物1
00重量部に対し、3重量部〜10重量部程度でも、正
極活物質の粒子間に十分な電気的接続を付与できる。こ
のため、Li−Co系複合酸化物の増量化を図ることが
でき、電池容量の増大を図ることができる。
【0042】なお、正極活物質層を形成するためのバイ
ンダーとしては、従来と同様のものが利用できる。例え
ば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン系ポ
リマー等が挙げられる。また、集電体としても、従来と
同様のものが利用できる。例えば、アルミニウム、アル
ミニウム合金、チタン等で形成された箔やエキスパンド
メタル等が挙げられる。
【0043】本発明のリチウムイオン二次電池において
負極は、特に限定されるものではなく、従来と同様のも
のが利用できる。従って、本発明においても負極は、負
極活物質にバインダーや必要に応じて導電材を混合させ
てなる負極活物質層を、集電体上に設けて得ることがで
きる。
【0044】具体的には、負極活物質としては、従来よ
り用いられている黒鉛化炭素や炭素繊維が挙げられる。
負極活物質層を形成するためのバインダーとしては、ポ
リテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン系ポリマー
等が挙げられる。必要に応じて混合させる導電材として
は、平均粒径が5μm以下の天然黒鉛、人造黒鉛、カー
ボンブラック等が挙げられる。集電体としては、銅、ニ
ッケル、銀、ステンレス等で形成された箔やエキスパン
ドメタルが挙げられる。
【0045】本発明のリチウムイオン電池において、電
解液は特に限定されないが、通常、塩類を有機溶媒に溶
解させたものが使用される。塩類としては、LiClO
4 、LiBF4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiAl
Cl4 およびLi(CF3 SO2 2 N等が好ましく、
これらは、いずれか一種または二種以上を併用して用い
ることができる。有機溶媒としては、エチレンカーボネ
ート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネー
ト、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラ
クトン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチル
ホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソ
ラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテ
ルなどが例示され、これらはいずれか一種または二種以
上を混合して用いることができる。そのうちでも、ジエ
チルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートから
選ばれる少なくとも一種を含み、さらにエチレンカーボ
ネートと、プロピレンカーボネートと、ジメチルカーボ
ネートとを含む混合物が好ましく、該混合物を構成する
各成分の混合比は、ジエチルカーボネートおよびエチル
メチルカーボネートから選ばれる少なくとも一種におい
ては、25体積%〜50体積%であるのが好ましく、3
0体積%〜35体積%であるのがより好ましい。エチレ
ンカーボネートにおいては混合比が4体積%〜20体積
%であるのが好ましく、6体積%〜18体積%であるの
がより好ましい。プロピレンカーボネートにおいては、
混合比が3体積%〜17体積%であるのが好ましく、5
体積%〜15体積%であるのがより好ましい。また、ジ
メチルカーボネートにおいては混合比が40体積%を超
えて60体積%以下であるのが好ましく、45体積%〜
55体積%であるのがより好ましい。なお、ジエチルカ
ーボネートとエチルメチルカーボネートの両方を使用す
る場合、これらの合計量が上記混合比を満たすものとす
る。なお、電解液中における塩類の濃度は、0.1〜3
モル/リットル程度が適当である。
【0046】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示
す。実際に、本発明のリチウムイオン二次電池の作製を
行なった。
【0047】実施例1 〔正極の作製〕正極活物質となるLiCoO2 (平均粒
径18μm(島津製作所製SALD−3000Jで測
定)、比表面積0.14m2 /g、20/(平均粒径×
比表面積):7.9)91重量部と、導電材となる粒径
6μmの球状黒鉛化炭素(MCMB 6−28)5重量
部と、同じく粒径0.1μm以下のカーボンブラック
(ケッチェンブラック)1重量部と、バインダーとなる
ポリフッ化ビニリデン(PVdF)3重量部とを、N−
メチル−2−ピロリドン中に均一に分散してスラリーと
した。このスラリーを集電体となるアルミニウム箔(厚
さ20μm)の両面上に塗布し、乾燥させ、ついで圧延
処理し、アルミニウム箔の片面あたり20mg/cm2
のLiCoO2 を有する正極を作製した。
【0048】〔負極の作製〕負極活物質となる繊維状黒
鉛化炭素(メルプロンミルド FM−14)95重量部
と、負極バインダーとなるポリフッ化ビニリデン(PV
dF)5重量部と、N−メチル−2−ピロリドン50重
量部とを混合してスラリー化し、このスラリーを集電体
となる銅箔(厚み14μm)の両面に塗布し、乾燥させ
た。次に、この銅箔に圧延処理を行い、負極を得た。
【0049】〔電解液の調製〕電解液は、エチレンカー
ボート(EC)11体積%、プロピレンカーボネート
(PC)9体積%、ジエチルカーボネート(DEC)4
体積%、エチルメチルカーボネート(EMC)29体積
%およびジメチルカーボネート(DMC)47体積%の
混合溶媒に、LiPF6 を濃度が1mol/Lとなるよ
うに溶解させて調製した。
【0050】〔リチウムイオン二次電池の組立〕上記で
作製した正極と負極とを、多孔質のポリエチレン−ポリ
プロピレン複合セパレータを介して捲巻し、これを円筒
型の電池缶(外径18mm、高さ65mm)に収容し
た。さらに、上記で得た電解液をセパレータに含浸さ
せ、本発明のリチウムイオン二次電池を得た。
【0051】〔放電試験〕上記で得られたリチウムイオ
ン二次電池について室温で充電を行なった。なお、16
00mAの定電流で電圧が4.2Vまで充電を行なった
後、続いて4.2V定電圧で充電を行い、全充電時間が
3.5時間になったところで充電終了とした。その後、
これを−20℃の大気雰囲気中に24時間放置した。次
に、この−20℃の大気雰囲気中で1.0C(1600
mAh)/2.5Vカットオフで放電を行い、その時の
放電容量率〔%〕と放電電圧〔V〕とを測定し、横軸を
放電容量率〔%〕、縦軸を放電電圧〔V〕としてグラフ
化した。その結果、グラフ(放電曲線)は図1と同様の
極小値をもたない右下がりのグラフとなり、急激な電圧
降下は確認されなかった。
【0052】なお、放電容量率〔%〕は、20℃の温度
下で1C放電をカットオフ電圧2.5Vで行なったとき
の放電容量を100%としている。また、放電容量変化
率〔%〕および中間電圧〔V〕についても算出したとこ
ろ結果は表1に示す通りとなった。放電容量変化率
〔%〕は、−20℃での1C放電におけるカットオフ電
圧(2.5V)に到達した時の放電容量〔mAh〕を、
20℃での1C放電におけるカットオフ電圧(2.5
V)に到達した時の放電容量〔mAh〕で割って求めて
いる。中間電圧は、−20℃での1.0C放電における
カットオフ電圧(2.5V)に到達したときの放電容量
〔mAh〕の50%に達したときの放電容量〔mAh〕
と、そのときの放電エネルギー〔mWh〕とから求めて
いる。
【0053】実施例2 正極活物質に、平均粒径が17μm、比表面積が0.1
6m2/g、20/(平均粒径×比表面積)が7.4の
LiCoO2を用い、その他は実施例1と同様にして正
極を作製した。そして、この正極を用いること以外は実
施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を組み立て
た。
【0054】上記のリチウムイオン二次電池について、
実施例1と同様の条件で放電試験を行い、横軸を放電容
量率〔%〕、縦軸を放電電圧〔V〕としてグラフ化し
た。その結果、グラフ(放電曲線)は図1と同様の極小
値をもたない右下がりのグラフとなり、急激な電圧降下
は確認されなかった。また、実施例1と同様にして、放
電容量変化率〔%〕と中間電圧〔V〕についても算出し
たところ、結果は表1に示す通りであった。
【0055】実施例3 導電材として、粒径8μmの球状黒鉛化炭素5重量部
と、粒径0.05μm以下のカーボンブラック1重量部
とを用い、その他は実施例1と同様にして正極を作製し
た。そして、この正極を用いること以外は実施例1と同
様にしてリチウムイオン二次電池を組み立てた。
【0056】上記のリチウムイオン二次電池について、
実施例1と同様の条件で放電試験を行い、横軸を放電容
量率〔%〕、縦軸を放電電圧〔V〕としてグラフ化し
た。その結果、グラフ(放電曲線)は図2と同様の放電
容量率の増加方向に順に極小値(3.77〔V〕)と極
大値(3.85〔V〕)とを有するが、極小値と極大値
との差ΔV1は0.1〔V〕以下、極小値と放電容量率
0%のときの放電電圧との差ΔV2は0.3〔V〕以下
のグラフとなり、急激な電圧降下は確認されなかった。
なお、上記ΔV1とΔV2を表1に示す。また、実施例
1と同様にして、放電容量変化率〔%〕と中間電圧
〔V〕についても算出したところ、結果は表1に示す通
りであった。
【0057】実施例4 負極活物質となる繊維状黒鉛化炭素(メルプロンミルド
FM−14)を92重量部に、負極バインダーとなる
ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を8重量部に変更し
た以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。そ
して、この負極を用いること以外は実施例1と同様にし
てリチウムイオン二次電池を組み立てた。
【0058】上記のリチウムイオン二次電池について、
実施例1と同様の条件で放電試験を行い、横軸を放電容
量率〔%〕、縦軸を放電電圧〔V〕としてグラフ化し
た。その結果、グラフ(放電曲線)は図2と同様の放電
容量率の増加方向に順に極小値(3.81〔V〕)と極
大値(3.88〔V〕)とを有するが、極小値と極大値
との差ΔV1は0.1〔V〕以下、極小値と放電容量率
0%のときの放電電圧との差は0.3〔V〕以下のグラ
フとなり、急激な電圧降下は確認されなかった。なお、
上記ΔV1とΔV2を表1に示す。また、実施例1と同
様にして、放電容量変化率〔%〕と中間電圧〔V〕につ
いても算出したところ、結果は表1に示す通りであっ
た。
【0059】実施例5 正極活物質に、平均粒径が15μm、比表面積が0.1
5m2/g、20/(平均粒径×比表面積)が8.9の
LiCoO2を用い、導電材に、粒径4μmの球状黒鉛
化炭素5重量部と、粒径0.08μm以下のカーボンブ
ラック1重量部とを用い、その他は実施例1と同様にし
て正極を作製した。また、負極活物質となる繊維状黒鉛
化炭素(メルプロンミルド FM−14)を93重量部
に、負極バインダーとなるポリフッ化ビニリデン(PV
dF)を7重量部に変更した以外は、実施例1と同様に
して、負極を作製した。そして、この正極および負極を
用い、他は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電
池を組み立てた。
【0060】上記のリチウムイオン二次電池について、
実施例1と同様の条件で放電試験を行い、横軸を放電容
量率〔%〕、縦軸を放電電圧〔V〕としてグラフ化し
た。その結果、グラフ(放電曲線)は図3と同様の放電
容量率の増加方向に順に第一の極大値(3.95
〔V〕)、極小値(3.82〔V〕)、第二の極大値
(3.88〔V〕)を有するが、極小値と第二の極大値
との差ΔV1は0.1〔V〕以下、放電容量率が0%の
ときの放電電圧と極小値との差ΔV2は0.3〔V〕以
下のグラフとなり、急激な電圧降下は確認されなかっ
た。なお、上記ΔV1とΔV2を表1に示す。また、実
施例1と同様にして、放電容量変化率〔%〕と中間電圧
〔V〕についても算出したところ、結果は表1に示す通
りであった。
【0061】比較例1 正極用の導電材として粒径3μmの球状黒鉛化炭素(6
重量部)のみを用いて正極を作製した以外は、実施例1
と同様にしてリチウムイオン二次電池の作製を行なっ
た。この得られたリチウムイオン二次電池についても実
施例1と同様の条件で放電を行い、横軸を放電容量率
〔%〕、縦軸を放電電圧〔V〕としてグラフ化を行なっ
た。結果、放電容量率〔%〕の増加方向に順に極小値と
極大値とを有するグラフとなった。極小値と極大値との
差ΔV1は表1に示すように0.33〔V〕であった。
また、極小値は2.80〔V〕、放電容量率が0%のと
きの放電電圧と極小値との差ΔV2は0.30〔V〕と
なっており、急激な電圧降下が確認された。なお、放電
容量変化率〔%〕および中間電圧〔V〕についても、実
施例1と同様に算出した(表1)。
【0062】比較例2 正極用の導電材として粒径0.1μmのカーボンブラッ
ク(1重量部)のみを用いて正極を作製した以外は、実
施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池の作製を行
なった。この得られたリチウムイオン二次電池について
も実施例1と同様の条件で放電を行い、横軸を放電容量
率〔%〕、縦軸を放電電圧〔V〕としてグラフ化を行な
った。結果、比較例1と同様の放電容量率〔%〕の増加
方向に順に極小値と極大値とを有するグラフとなった。
極小値と極大値との差ΔV1は表1に示すように0.2
8〔V〕であった。また、極小値は2.90〔V〕、放
電容積率が0%のときの放電電圧と極小値との差ΔV2
は0.60〔V〕となっており、比較例1と同様に急激
な電圧降下が確認された。なお、放電容量変化率〔%〕
および中間電圧〔V〕についても、実施例1と同様に算
出した(表1)。
【0063】比較例3 正極活物質としてLiCoO2 系活物質(平均粒径18
μm、比表面積0.20m2 /g(島津製作所製SAL
D−3000Jで測定)、20/(平均粒径×比表面
積):5.6)91重量部を用いて正極を作製した以外
は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池の作
製を行なった。この得られたリチウムイオン二次電池に
ついても実施例1と同様の条件で放電を行ったが、本例
のリチウムイオン二次電池については放電できず、グラ
フ化は出来なかった。
【0064】
【表1】
【0065】上記表1の結果から、実施例のリチウムイ
オン二次電池を用いれば、比較例のリチウムイオン二次
電池に比べ、極低温時の放電電圧の急激な降下を抑制で
きることが分かる。さらに、放電容量〔mAh〕や中間
電圧の低下も抑制できることが分かる。
【0066】
【発明の効果】このように本発明のリチウム二次電池を
用いれば、従来のリチウムイオン二次電池に比べ、極低
温時の放電電圧を安定化させることができる。よって、
機器側の改良を行うことなく、低温下で用いられる機器
の駆動源としても使用できる。本発明により、リチウム
イオン二次電池の適用範囲の拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウムイオン二次電池の放電曲線の
一例を示す図である。
【図2】本発明のリチウムイオン二次電池の放電曲線の
他の例を示す図である。
【図3】本発明のリチウムイオン二次電池の放電曲線の
他の例を示す図である。
【符号の説明】
ΔV1 極小値と極大値(第二の極大値)との差 ΔV2 極小値と放電容量率0%のときの放電電圧との
差 VF カットオフ電圧
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木津 賢一 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 浅野 光洋 愛知県安城市住吉町1丁目4番1号 三菱 電線工業株式会社中部支店内 (72)発明者 森内 健 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 立石 和幸 兵庫県尼崎市東向島西之町8番地 三菱電 線工業株式会社内 (72)発明者 御書 至 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 5H029 AJ03 AK03 AL06 AM03 AM04 AM05 AM07 HJ14 HJ17 HJ18 HJ19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横軸が20℃の環境下で1C放電を行な
    ったときの放電容量を100%とする放電容量率、縦軸
    が放電電圧である放電曲線であって、−20℃の環境下
    で1C放電を行なって得られたものが、極小値を有しな
    い右下がりの曲線となり、 上記−20℃の環境下での放電による放電容量が、上記
    20℃の環境下での放電による放電容量の60%以上で
    あることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 【請求項2】 横軸が20℃の環境下で1C放電を行な
    ったときの放電容量を100%とする放電容量率、縦軸
    が放電電圧である放電曲線であって、−20℃の環境下
    で1C放電を行なって得られたものが、放電容量率の増
    加方向に順に極小値と極大値とを有するものであり、 極小値と極大値との差は0.1V以下、極小値と放電容
    量率0%のときの放電電圧との差は0.3V以下となっ
    ており、 上記−20℃の環境下での放電による放電容量が、上記
    20℃の環境下での放電による放電容量の60%以上で
    あることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  3. 【請求項3】 横軸が20℃の環境下で1C放電を行な
    ったときの放電容量を100%とする放電容量率、縦軸
    が放電電圧である放電曲線であって、−20℃の環境下
    で1C放電を行なって得られたものが、放電容量率の増
    加方向に順に第一の極大値、極小値、第二の極大値を有
    するものであり、 極小値と第二の極大値との差は0.1V以下、極小値と
    放電容量率0%のときの放電電圧との差は0.3V以下
    となっており、 上記−20℃の環境下での放電による放電容量が、上記
    20℃の環境下での放電による放電容量の60%以上で
    あることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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