JP5370171B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5370171B2
JP5370171B2 JP2010008648A JP2010008648A JP5370171B2 JP 5370171 B2 JP5370171 B2 JP 5370171B2 JP 2010008648 A JP2010008648 A JP 2010008648A JP 2010008648 A JP2010008648 A JP 2010008648A JP 5370171 B2 JP5370171 B2 JP 5370171B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractory
immersion nozzle
zro
mass
alumina
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010008648A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011147940A (ja
Inventor
友一 塚口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2010008648A priority Critical patent/JP5370171B2/ja
Publication of JP2011147940A publication Critical patent/JP2011147940A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5370171B2 publication Critical patent/JP5370171B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)

Description

本発明は、鋼を連続鋳造する際に、アルミナ等の高融点脱酸生成物が浸漬ノズルの内壁に付着するのを低減し、浸漬ノズルの閉塞の防止を図った鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造において、溶鋼は取鍋から中間容器のタンディッシュを介し鋳型内に注入される。このとき、タンディッシュの底部には浸漬ノズルが設けられ、この浸漬ノズルの下部が鋳型内の溶鋼中に浸漬されていることから、溶鋼は浸漬ノズルを通じ大気から遮断された状態で注入される。
浸漬ノズルとしては、アルミナとグラファイトを主成分とし、その他にシリカ等を含むアルミナ−グラファイト質のものが広く用いられている。また、溶鋼流により浸漬ノズルの内壁の損耗が危惧される場合には、アルミナを主成分とするアルミナ質や、グラファイトに相当するカーボンの含有率を低く抑えたアルミナ−グラファイト質の耐火物を用いることもある。連続鋳造の際、浸漬ノズルの内壁には、溶鋼中の脱酸元素であるアルミニウムの酸化物(アルミナ)が付着し、これが堆積するのに伴い浸漬ノズルが閉塞する、いわゆるノズル詰まりが発生しやすい。このノズル詰まりを防止するため、従来から数多くの対策がなされている。
例えば、浸漬ノズルを構成する耐火物の材質に関する対策として、特許文献1、2には、ライム(CaO)を多く含むジルコニア−ライム質の耐火物を用いた浸漬ノズルが開示されている。また、特許文献3、4には、マグネシア−ライム質の耐火物を用いた浸漬ノズルが開示されている。これらの特許文献1〜4に開示された浸漬ノズルは、いずれも、ノズルの内壁に付着したアルミナをライムとの反応によって低融点化し、これによりアルミナの付着抑制を図ったものである。
これらの浸漬ノズルは自溶性ノズルと称され、アルミナの付着抑制には高い効果を発揮する。しかし、溶鋼中のアルミナ濃度が高い場合や、浸漬ノズル内で溶鋼流速が速い場合は、耐火物の溶損が著しく、これに起因して鋳型内に多くの介在物が流出してしまう。このため、要求される品質レベルが高い鋼種には、特許文献1〜4に開示の浸漬ノズルを適用するのは難しい。
また、特許文献5には、浸漬ノズルの内壁面を平滑に保ち、かつ溶鋼との濡れ性に優れたチタニア(TiO2)を内壁面にコーティングすることによって、アルミナの付着抑制を図った浸漬ノズルが開示されている。同文献に開示された浸漬ノズルは、アルミナの付着抑制に一定の効果を発揮するが、ノズル内壁面に施したコーティング層の耐久性に問題があり、安定してその効果を発揮することができない。
特許第2542585号 特開平4−158962号公報 特開2005−270987号公報 特開2006−68799号公報 特開2005−205474号公報
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、浸漬ノズルの内壁面にアルミナが付着するのを効果的に抑制するとともに、その効果を安定して維持し、浸漬ノズルの閉塞を防止することができる鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、浸漬ノズルの内壁面へのアルミナの付着を低減できる連続鋳造方法について、種々の視点から検討を重ね、その結果、下記の(a)〜(d)の知見を得た。
(a)従来、アルミナを主成分とする耐火物で構成される浸漬ノズルにおいて、その耐火物にライム(CaO)を含有させることは、耐火物を構成するアルミナの融点が低下して耐火性が損なわれるという理由から、禁忌事項であった。しかし、耐火物に含有させるライム量を制限することにより、浸漬ノズルの内壁を構成し溶鋼と接する耐火物面に、限定的に半溶融状態のガラス層を形成することができ、耐火物そのものの耐火性も十分に確保できることを見出した。
連続鋳造の際に、浸漬ノズルの内壁面、すなわち耐火物面に半溶融状態のガラス層が形成されている場合、ガラス層が形成されていない場合に比べて、耐火物面と溶鋼との濡れ性が良好になり、溶鋼中のアルミナが耐火物面に付着するのを軽減することができる。通常、溶鋼中のアルミナは溶鋼と濡れ性が悪いため、溶鋼との濡れ性が同様に悪い耐火物面に排斥されるが、溶鋼と耐火物との濡れ性が良好な場合は、その排斥作用が抑制されるため、アルミナが耐火物面に付着しにくくなることによる。
これに加え、耐火物面に半溶融状態のガラス層が形成されていると、耐火物面が平滑化されることから、溶鋼流動の乱れが小さくなり、アルミナの付着を軽減する効果が増大する。
(b)浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物にZrO2を含有させた場合、そのZrO2は、溶鋼と接する耐火物面に形成されるガラス層中に拡散し、さらに、ガラス層の表面にアルミナ等の介在物が付着した際には付着介在物層中に拡散し、それらの層の見掛け粘性を高める。このため、浸漬ノズル内で溶鋼の流速が速い場合には、ZrO2は、ガラス層の流失を防止する機能を果たし、ガラス層の安定した保持に寄与する。一方、溶鋼の流速が遅い場合には、ガラス層が流失するよりもガラス層の表面に介在物の付着が生じやすくなる。このとき、耐火物中のZrO2含有率が高いと、ZrO2が付着介在物層にまで拡散して付着介在物層の見掛け粘性を高め、付着介在物層を洗い流され難くするので、ZrO2含有率を高くし過ぎるのは好ましくない。
(c)浸漬ノズルとその内部を通過する溶鋼との間に通電回路を構成し、浸漬ノズルの内壁において、瞬時の電位をある期間にわたって平均した時間平均電位が負となるように電圧を印加し、適正な電流密度で通電を行うことにより、ノズルの内壁を構成する耐火物の溶損が防止され、耐火物面のガラス層を安定して維持することができる。
自溶性ノズルでは、溶鋼と接する耐火物面が溶け出し、溶け出した耐火物と介在物との混合物が鋳片に取り込まれて介在物性の欠陥が発生し易い。このため、適正な電流密度で通電を行って、耐火物の溶損を抑制し耐火物面を健全な状態に維持することは、鋳片における介在物欠陥の発生を防止するのにも役立つ。すなわち、適正な電流密度の通電は、耐火物の溶損とアルミナの付着をともに抑制することを実現する上で有用である。
(d)耐火物中のグラファイト(カーボン)は、通電を行うためには欠かせない。その一方、耐火物の耐損耗性を十分に確保する観点から、カーボン含有率を低減せざるを得ない場合がある。このような事情から上記(c)の知見による通電を行えない場合には、耐火物中のカーボン含有率の低減に伴って耐火物そのものの表面が平滑に保たれることを利用し、上記(a)の知見によるガラス層の平滑化形成との相乗効果により、ある程度のアルミナ付着抑制を図ることができる。この方法は、上記(c)の知見による通電を行えない場合に、耐火物の溶損とアルミナの付着を同時に抑制する次善の策として有用である。
本発明は、上記(a)〜(d)の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)および(2)に示す鋼の連続鋳造方法にある。
(1)タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルを通じて鋳型に供給し連続鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、浸漬ノズルの少なくとも内壁を、主成分としてアルミナを50〜80質量%およびカーボンを11〜40質量%で含有し、CaOを1質量%以上5質量%未満およびZrO2を10質量%未満(0質量%を含む)で含有するアルミナ−グラファイト質の耐火物で構成し、前記浸漬ノズルが負極で前記溶鋼が正極となる電圧を印加して、前記浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が0.5〜20mA(ミリアンペア)/cm2となる通電を行いながら、前記耐火物中のZrO2含有率[ZrO2]と前記浸漬ノズル内の溶鋼平均流速Vとが下記(i)または(ii)を満足する条件で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法(以下、「第1発明」ともいう)。
Vが1.8m/s未満の場合、[ZrO2]が7質量%未満 …(i)
Vが1.8m/s以上の場合、[ZrO2]が2質量%以上10質量%未満 …(ii)
(2)タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルを通じて鋳型に供給し連続鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、浸漬ノズルの少なくとも内壁を、主成分としてアルミナを50〜95質量%およびカーボンを10質量%未満(0質量%を含む)で含有し、CaOを1〜8質量%およびZrO2を8質量%未満(0質量%を含む)で含有するアルミナ−グラファイト質またはアルミナ質の耐火物で構成し、前記耐火物中のZrO2含有率[ZrO2]と前記浸漬ノズル内の溶鋼平均流速Vとが下記(iii)または(iv)を満足する条件で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法(以下、「第2発明」ともいう)。
Vが1.8m/s未満の場合、[ZrO2]が5質量%未満 …(iii)
Vが1.8m/s以上の場合、[ZrO2]が1質量%以上8質量%未満 …(iv)

本発明において、「平均電流密度」とは、電圧を印加したときに浸漬ノズルと溶鋼との間に流れる平均電流値を、溶鋼と接するノズル壁面の総面積で除して得られる電流密度を意味する。ここでいう「平均電流値」は、電流値が一定でない場合には、浸漬ノズルと溶鋼との間に流れる電流の瞬時値を対象期間について時間平均して求められる電流値とする。
本発明の鋼の連続鋳造方法によれば、浸漬ノズルの内壁面にガラス層を安定して形成することが可能であり、このガラス層により、浸漬ノズルの内壁面へのアルミナ付着を効果的に抑制し、さらにその効果を安定に維持して、浸漬ノズルの閉塞を防止することができる。これと同時に、第1発明での通電作用や、第2発明でのカーボン含有率低減作用により、浸漬ノズルの溶損を抑制し、浸漬ノズル内壁の溶損に起因する鋳片の介在物欠陥を防止することができる。これにより、鋳片品質に優れた連続鋳造の安定操業が可能になる。
本発明の連続鋳造方法を実施するために用いる装置構成の一例を模式的に示す図である。
上述の通り、本発明は、CaOを1質量%以上5質量%未満およびZrO2を10質量%未満で含有するアルミナ−グラファイト質の耐火物を少なくとも内壁に有する浸漬ノズルを用い、浸漬ノズルが負極で溶鋼が正極となる電圧を印加して、浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が所定範囲となる通電を行いながら、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物中のZrO2含有率と浸漬ノズル内を流れる溶鋼の平均流速とが所定の条件を満足するように管理して、タンディッシュ内の溶鋼を鋳型内へ供給し、連続鋳造を行う鋼の連続鋳造方法(第1発明)である。
また、本発明は、CaOを1〜8質量%およびZrO2を8質量%未満で含有し、カーボン含有率が低いアルミナ−グラファイト質またはアルミナ質の耐火物を少なくとも内壁に有する浸漬ノズルを用い、通電を行うことなく、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物中のZrO2含有率と浸漬ノズル内を流れる溶鋼の平均流速とが所定の条件を満足するように管理して、タンディッシュ内の溶鋼を鋳型内へ供給し、連続鋳造を行う鋼の連続鋳造方法(第2発明)である。この第2発明は、耐火物の耐損耗性等を確保する要求から、耐火物中のカーボン含有率を低減する場合に適する。
以下に、図面を参照して、本発明を前記の通り規定した理由を説明する。なお、以下の説明において、特に断らない限り、浸漬ノズルを構成する耐火物、および溶鋼の成分組成を表す「%」は「質量%」を意味する。
図1は、本発明の連続鋳造方法を実施するために用いる装置構成の一例を模式的に示す図である。同図に示すように、取鍋1からの溶鋼2を収容するタンディッシュ4は、底部に上ノズル3が設けられ、この上ノズル3の下部に、流量制御機構としてスライディングゲート5と、円筒状の浸漬ノズル6が順に連なって設けられている。
さらに、浸漬ノズル6と溶鋼2との間に通電回路を構成する場合、すなわち第1発明の場合に対応するため、浸漬ノズル6に一方の電極7が接続され、その電極7の対極となる他方の電極(以下、「対極」ともいう)8がタンディッシュ4内の溶鋼2に浸漬され、それぞれ配線9a、9bにより電源装置10と接続されている。電極7および対極8は、いずれも導電性を有するアルミナ−グラファイト質の耐火物からなる。また、電極7が接続された浸漬ノズル6は、絶縁用耐火物11によってタンディッシュ4と電気的に絶縁され、溶鋼2に浸漬する対極8は、これを支持する絶縁用耐火物12によりタンディッシュ4から絶縁されている。絶縁用耐火物11、12は、いずれもカーボンを含まないアルミナ質の耐火物である。
本発明の連続鋳造方法では、図1に例示した構成を具備する連続鋳造装置を用いて鋳造を行う。すなわち、取鍋1からタンディッシュ4に供給された溶鋼2は、上ノズル3、スライディングゲート5、および浸漬ノズル6を通じた後、浸漬ノズル6のノズル吐出孔13から鋳型14内に注入される。このとき、浸漬ノズル6の内部を通過する溶鋼は、スライディングゲート5の開閉度合いにより、その流量が調整される。第1発明では、電源装置10の駆動により、電極7と対極8とを介し、浸漬ノズル6と溶鋼2との間に、浸漬ノズル6を負極とし溶鋼2を正極として、浸漬ノズル6の平均電位が負となる所定の電圧を印加する。
鋳型14に供給された溶鋼2は、湯面に散布されたモールドパウダー17により大気と遮断されながら、鋳型14からの抜熱作用により鋳型14との接触部から凝固殻15を形成し、下方に引き抜かれて鋳片16となる。
1.第1発明
第1発明は、浸漬ノズルの少なくとも内壁を、主成分としてアルミナを50〜80%およびカーボンを11〜40%で含有し、CaOを1%以上5%未満およびZrO2を10%未満で含有するアルミナ−グラファイト質の耐火物で構成し、浸漬ノズルが負極で溶鋼が正極となる電圧を印加して、浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が0.5〜20mA/cm2となる通電を行いながら、耐火物中のZrO2含有率[ZrO2]と浸漬ノズル内の溶鋼平均流速Vとが下記(i)または(ii)を満足する条件で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法である。
Vが1.8m/s未満の場合、[ZrO2]が7%未満 …(i)
Vが1.8m/s以上の場合、[ZrO2]が2%以上10%未満 …(ii)
第1発明において、浸漬ノズルは、最も広く用いられているアルミナ−グラファイト質の耐火物、具体的には、アルミナの含有率が50〜80%で、グラファイトに相当するカーボンの含有率が11〜40%である耐火物を基本構成とし、これに、CaO(ライム)およびZrO2(ジルコニア)を含有させて、それらの含有率を前記の通りに規定するものである。
アルミナ−グラファイト質の耐火物は、強度、耐食性および耐熱衝撃性といった諸特性とコストとのバランスから、浸漬ノズル本体として最も適しており、広く適用されている。また、この耐火物に含まれるカーボンは、通電を行う上でも必要な成分である。
第1発明の浸漬ノズルを構成するアルミナ−グラファイト質の耐火物において、アルミナの含有率を50〜80%とするのは、アルミナ含有率が50%未満では、強度や耐食性が低下するからである。一方、アルミナ含有率が80%を超えると、耐熱衝撃性が低下するからである。
また、その耐火物において、カーボンの含有率を11〜40%とするのは、カーボン含有率が11%未満では、電気抵抗が増して通電に適しなくなる上、耐熱衝撃性も低下するからである。一方、カーボン含有率が40%を超えると、強度や耐損耗性が低下する上、後述するガラス層を形成することが難しくなるからである。
第1発明の浸漬ノズルを構成する耐火物にCaOを1%以上5%未満で含有させるのは、CaOの含有率が1%未満では、浸漬ノズルの内壁面となる耐火物面にガラス層が形成されにくく、5%以上になると、耐火物の溶損が顕著になり、いわゆる従来の自溶性ノズルと同等の状態になってしまうからである。CaO含有率のより好ましい範囲は、3%以上5%未満である。
CaOの原料としては、吸湿性が問題となるCaO単体ではなく、例えば、ライムシリケート(CaO・SiO2)を使用することが、安価でガラス層形成を実現できる点から好ましい。その他に、ライム安定化ジルコニアやライムアルミネート(CaO・Al23)もCaO原料となり得るが、ガラス層形成の安定性や介在物の付着防止の点で、ライムシリケートに比べて劣る。
また、第1発明で耐火物中のZrO2含有率を10%未満とするのは、後述する溶鋼流速との関係から規定される。ZrO2含有率は、溶鋼流速との関係で上記(i)または(ii)の条件を満たす範囲であれば0%でも構わないが、より好ましくは0%を超えること、具体的には0.1%以上であると良い。耐火物中にZrO2を10%以上含有させるのは避ける。ZrO2含有率が10%以上であると、コストが増大するし、高融点のZrO2がガラス層の形成作用を阻害するからである。
また、第1発明において、連続鋳造時に、浸漬ノズルが負極で溶鋼が正極となる電圧を印加して、浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が0.5〜20mA/cm2となる通電を行うのは、通電により、アルミナ−グラファイト質耐火物の溶損反応である脱炭(COガス発生)反応の抑制を図るためである。この脱炭反応は、下記の(a)式で表され、自由電子を生じることから負極中では進行が抑制される。
C+O2- → CO+2e- …(a)
浸漬ノズルが正極であると上記の脱炭反応がかえって促進され、浸漬ノズルが負極であっても平均電流密度の絶対値が0.5mA/cm2未満であった場合、脱炭反応を抑制する効果が不十分となる。また、浸漬ノズルが負極であり平均電流密度の絶対値が20mA/cm2を超えるほどの大電流密度は、安定した通電が難しい上、陰イオンである酸素イオンの溶鋼側への移動を引き起こして溶鋼中のAlが酸化されアルミナが生成するので望ましくない。浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値のより望ましい範囲は、1.0〜15.0mA/cm2である。
上記の通電により、耐火物の溶損を抑制できると、結果的に、耐火物面に形成されたガラス層が安定して維持される。浸漬ノズルの電位が正となったときの反応によってノズル耐火物の溶損が進行するため、その逆の負の電位に浸漬ノズルを保つことが、耐火物の溶損抑制とガラス層の安定保持に有効である。また、上記の通電により、耐火物の脱炭反応に伴うCOガスの発生を抑制できると、COガスによる溶鋼中のAlの酸化に伴うアルミナ介在物の生成を防止できるため、上記の通電は介在物の付着防止にも有効である。
第1発明においては、連続鋳造に際し、上述した耐火物組成および通電状態を保った上で、浸漬ノズルを構成する耐火物中のZrO2含有率[ZrO2](%)と浸漬ノズル内の溶鋼平均流速V(m/s)との関係が、上記(i)または(ii)の条件を満たすことが求められる。すなわち、Vが1.8m/s未満で連続鋳造を行う場合には、[ZrO2]が7%未満の浸漬ノズルを使用し、Vが1.8m/s以上で連続鋳造を行う場合には、[ZrO2]が2%以上10%未満の浸漬ノズルを使用することとする。
これは、溶鋼流速に対して耐火物中のZrO2含有率が規定した上限値よりも高いと、ZrO2がガラス層からさらにアルミナ等の付着物層中にまで拡散し、付着物層中に拡散したZrO2が付着物層の見掛け粘性を高めるため、付着物層が洗い流され難くなり、ノズル詰まりを助長してしまうからである。ここで、溶鋼流速が速いほど付着物を洗い流す作用は強まるので、ZrO2含有率の上限値も高まる。また、溶鋼流速が1.8m/s以上の場合は、ZrO2含有率が規定の下限値よりも低いと、耐火物面に形成されたガラス層が流失しやすくなるからである。このように、ZrO2はガラス層の流失を抑制する役割を果たすが、その含有率が高すぎると付着介在物の固着性を高めてしまう。
上述した耐火物中のZrO2含有率の規定は、種々の条件で行った試作と実験の結果により、経験的に特定したものである。特に、浸漬ノズル内の溶鋼平均流速が1.8m/s以上の高流速領域において、浸漬ノズルの内壁面が物理的に損耗する現象が生じやすいとの知見に基づき、上記(i)、(ii)の条件の通りに、1.8m/sを境界として区分し、各条件ごとにZrO2含有率の適正範囲を規定している。ここで、浸漬ノズル内の溶鋼平均流速Vは、タンディッシュから鋳型に注入される単位時間あたりの溶鋼流量を浸漬ノズルの横断面積で除して求められる。
また、浸漬ノズルを構成する耐火物において、アルミナ、グラファイト(カーボン)、CaOおよびZrO2の他に、SiO2、Na2O、B23、TiO2などの成分(不純物を含む)を含有しても構わない。それらの他の成分は、微妙な物性の調整や原料配合上で含まれる成分であり、第1発明の効果を維持する観点から、SiO2の含有率は10%未満に、SiO2を除く他の成分の合計含有率は10%以下にそれぞれ制限することが望ましい。
前記図1に示す浸漬ノズルでは、ノズル全体を、上述のように成分組成を規定したアルミナ−グラファイト質の耐火物で構成しているが、その耐火物を浸漬ノズルの内壁のみに配置してもよい。その場合、耐久性や製造性を考慮して、その厚さを3〜10mmとするのが望ましい。
第1発明の連続鋳造方法によれば、連続鋳造の際に、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物面に半溶融状態のガラス層が形成され、さらに形成されたガラス層が維持される。これに伴って、耐火物面と溶鋼との濡れ性が良好になり、しかも耐火物面が平滑化されるため、溶鋼中のアルミナが耐火物面に付着し難くなる。さらに、通電作用によって耐火物の溶損(脱炭)も抑制されるので、アルミナの付着と浸漬ノズルの溶損を同時に防止する理想的な操業を実現することができる。
厳密には、耐火物面におけるガラス層の形成は、浸漬ノズル内を通過する溶鋼の温度、すなわち耐火物面の温度の影響を受ける。しかし、通常の鋼の連続鋳造においては、溶鋼温度が1500℃〜1580℃程度の範囲内に安定しており、耐火物面におけるガラス層の形成に及ぼす影響はほとんどない。
2.第2発明
第2発明は、耐火物中のカーボン含有率を低減する場合に採用する発明である。すなわち、浸漬ノズルの少なくとも内壁を、主成分としてアルミナを50〜95%およびカーボンを10%未満(0%を含む)で含有し、CaOを1〜8%およびZrO2を8%未満で含有するアルミナ−グラファイト質またはアルミナ質の耐火物で構成し、耐火物中のZrO2含有率[ZrO2]と浸漬ノズル内の溶鋼平均流速Vとが下記(iii)または(iv)を満足する条件で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法である。
Vが1.8m/s未満の場合、[ZrO2]が5%未満 …(iii)
Vが1.8m/s以上の場合、[ZrO2]が1%以上8%未満 …(iv)
第2発明において、浸漬ノズルの少なくとも内壁には、グラファイトに相当するカーボンの含有率が低いアルミナ−グラファイト質の耐火物、またはカーボンを含まないアルミナ質の耐火物を配置する。具体的には、浸漬ノズルの少なくとも内壁は、アルミナの含有率が50〜95%で、カーボンの含有率が0または10%未満である耐火物を基本構成とし、これに、CaOおよびZrO2を含有させて、それらの含有率を前記の通りに規定するものである。
アルミナ−グラファイト質の耐火物は、強度、耐食性および耐熱衝撃性といった諸特性とコストとのバランスから、浸漬ノズル本体として最も適しているが、耐損耗性が要求される場合には、カーボン含有率を10%未満に低減するか、またはカーボンを含まないアルミナ質のものに変更することが多い。このような場合、カーボンの低減に伴って電気抵抗が高まり、通電が難しくなる。
第2発明において、耐火物中のアルミナの含有率を50〜95%とするのは、アルミナ含有率が50%未満では、耐火物の融点が低下し耐食性が低下するからである。一方、アルミナ含有率が95%を超えると、耐熱衝撃性が低下するからである。
また、その耐火物において、カーボンの含有率を0または10%未満とするのは、カーボン含有率が10%以上になると、要求される耐損耗性を確保することが困難になるからである。カーボンの含有率は、1%未満の不可避不純分のみであることが最も好ましい。
第2発明の浸漬ノズルを構成する耐火物にCaOを1〜8%で含有させるのは、CaOの含有率が1%未満では、浸漬ノズルの内壁面となる耐火物面にガラス層が形成されにくく、8%を超えると、耐火物の溶損が顕著になり、いわゆる従来の自溶性ノズルと同等の状態になってしまうからである。CaO含有率のより好ましい上限は、5%未満である。
CaOの原料としては、吸湿性が問題となるCaO単体ではなく、例えば、ライムシリケートを使用することが、安価でガラス層形成を実現できる点から好ましい。その他に、ライム安定化ジルコニアやライムアルミネートもCaO原料となり得るが、ガラス層形成の安定性や介在物の付着防止の点で、ライムシリケートに比べて劣る。
また、第2発明で耐火物中のZrO2含有率を8%未満とするのは、後述する溶鋼流速との関係から規定される。ZrO2含有率は、溶鋼流速との関係で上記(iii)または(iv)の条件を満たす範囲であれば0%でも構わないが、10%以上含有させるのは避ける。ZrO2含有率が8%以上であると、コストが増大するし、高融点のZrO2がガラス層の形成作用を阻害するからである。
第2発明においては、連続鋳造に際し、上述した耐火物組成を保った上で、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物中のZrO2含有率[ZrO2](%)と浸漬ノズル内の溶鋼平均流速V(m/s)との関係が、上記(iii)または(iv)の条件を満たすことが求められる。すなわち、Vが1.8m/s未満で連続鋳造を行う場合には、[ZrO2]が5%未満の浸漬ノズルを使用し、Vが1.8m/s以上で連続鋳造を行う場合には、[ZrO2]が1%以上8%未満の浸漬ノズルを使用することとする。
これは、溶鋼流速に対して耐火物中のZrO2含有率が規定した上限値よりも高いと、ZrO2がガラス層からさらにアルミナ等の付着物層中にまで拡散し、付着物層中に拡散したZrO2が付着物層の見掛け粘性を高めるため、付着物層が洗い流され難くなり、ノズル詰まりを助長してしまうからである。これに加えて、高融点のZrO2がガラス層の形成を妨げるおそれがあるからである。また、溶鋼流速が1.8m/s以上の場合は、ZrO2含有率が規定の下限値よりも低いと、耐火物面に形成されたガラス層が流失しやすくなるからである。このように、ZrO2はガラス層の流失を抑制する役割を果たすが、その含有率が高すぎると付着介在物の固着性を高めてしまう。
上述した耐火物中のZrO2含有率の規定は、種々の条件で行った試作と実験の結果により、経験的に特定したものである。特に、浸漬ノズル内の溶鋼平均流速が1.8m/s以上の高流速領域において、浸漬ノズルの内壁面が物理的に損耗する現象が生じやすいとの知見に基づき、上記(iii)、(iv)の条件の通りに、1.8m/sを境界として区分し、各条件ごとにZrO2含有率の適正範囲を規定している。
ここで、浸漬ノズル内の溶鋼平均流速Vは、第1発明と同様に、タンディッシュから鋳型に注入される単位時間あたりの溶鋼流量を浸漬ノズルの横断面積で除して求められる。
また、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物において、アルミナ、含有させる場合にはグラファイト(カーボン)、CaOおよびZrO2の他に、SiO2、Na2O、B23、TiO2などの成分(不純物を含む)を含有しても構わない。それらの他の成分は、微妙な物性の調整や原料配合上で含まれる成分であり、第2発明の効果を維持する観点から、SiO2の含有率は20%未満に、SiO2を除く他の成分の合計含有率は10%以下にそれぞれ制限することが望ましい。
第2発明では、上述した組成を有するアルミナ−グラファイト質またはアルミナ質の耐火物を浸漬ノズルの内壁のみに配置した構成にしてもよいが、その耐火物でノズル全体を構成しても構わない。その耐火物を浸漬ノズルの内壁のみに配置する場合、耐久性や製造性を考慮して、その厚さを3〜10mmとするのが望ましい。
第2発明の連続鋳造方法によれば、第1発明と同様に、連続鋳造の際に、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物面に半溶融状態のガラス層が形成され、さらに形成されたガラス層が維持される。これに伴って、耐火物面と溶鋼との濡れ性が良好になり、しかも耐火物面が平滑化され、さらに、耐火物中のカーボン含有率の低減に伴って耐火物そのものの表面が平滑化されるため、通電を行えない場合であっても、溶鋼中のアルミナが耐火物面に付着し難くなる。さらに、耐火物のカーボン含有率を低減することによって耐火物の溶損も抑制されるので、アルミナの付着と浸漬ノズルの溶損を同時に防止することができる。
上述した第1、第2発明の連続鋳造方法は、sol.Alの含有率が0.01%以上、Cの含有率が0.4%以下のアルミキルド鋼の連続鋳造で、その効果を有効に発揮する。その組成のアルミキルド鋼の連続鋳造では、高融点のアルミナが脱酸生成物として溶鋼中に多く生成し、浸漬ノズルにノズル詰まりが発生しやすく、本発明の必要性が高まるからである。sol.Al含有率の上限は特に定めないが、アルミキルド鋼では、通常、3%程度が上限となる。また、C含有率の下限値も特に規定しないが、通常、10ppm程度が工業的に生産できる下限値である。
本発明の連続鋳造法の効果を確認するため、以下に示す試験を実施して、その結果を評価した。
前記図1に示す連続鋳造装置を用い、成分組成が質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.1〜0.4%、Mn:0.4〜1.2%、P:0.01〜0.02%、S:0.01〜0.03%、sol.Al:0.010〜0.045%、トータル酸素濃度:9〜13ppmの普通鋼の溶鋼を採用し、連続鋳造を行った。試験時のタンディッシュ内の溶鋼温度は、1515〜1560℃の範囲内であった。
<実施例1>
表1に、実施例1の鋳造試験で使用した浸漬ノズルを構成する耐火物の成分組成、鋳造条件、および浸漬ノズルの内壁面への介在物(アルミナ)付着速度指数をまとめて示す。表1および後述する表2に示す「介在物付着速度指数」は、鋳造後の浸漬ノズルの縦断面において、スラグラインの上下各100mmの内壁面における介在物付着厚さを10点以上測定し、その平均値を求め、この平均介在物付着厚さを鋳造時間で除して求めた介在物付着速度を、通常のアルミナ−グラファイト質の耐火物からなる浸漬ノズルを使用し、通電を行わなかった比較例である試験番号Mの場合を10(基準)として指数化したものである。
Figure 0005370171
表1において、試験番号A〜Fは、第1発明で規定する条件をすべて満たす本発明例であり、試験番号G〜Mは、その規定条件のいずれかを満たさない比較例である。試験番号A〜Fでは、第1発明の規定条件をすべて満足する適正な状態で連続鋳造を行ったので、介在物付着速度指数がいずれにおいても4と小さく、比較例に比べて浸漬ノズル内壁面へのアルミナ介在物の付着が効果的に抑制された。
試験番号Gは、浸漬ノズル内の溶鋼平均流速Vとの関係で、耐火物中のZrO2含有率が低すぎる比較例である。このため、試験番号Gでは、他の条件が適正であるにもかかわらず、耐火物面におけるガラス層の維持に不利であり、介在物付着速度指数が6と、本発明例に比べて浸漬ノズル内壁面への介在物の付着量が増えた。
試験番号HおよびIは、溶鋼平均流速Vとの関係で、耐火物中のZrO2含有率が過剰であった比較例である。これらの試験番号HおよびIでは、過剰なZrO2が耐火物面におけるガラス層の形成を妨げ、さらに付着した介在物の見掛け粘性が上昇して、付着介在物が洗い流され難くなるので、他の条件が適正であるにもかかわらず、介在物の付着低減効果が損なわれ、介在物付着速度指数が8となった。
試験番号Jは、試験番号Cに対し、通電を行わない比較例である。この試験番号Jでは、通電による効果が得られないので、試験番号Cに対して介在物の付着量が増えた。
試験番号Kは、本発明例Bに対し、通電の正負の極性を逆にした比較例である。通電の極性が逆であると、耐火物の脱炭が促進され、発生したCOガスが溶鋼中のAlと反応してアルミナ介在物が生じるので、試験番号Kでは、介在物の付着量が著しく増えた。また、試験番号Kでは、脱炭の進行に伴い耐火物が溶損するので、溶損して溶鋼中に混入した耐火物が鋼の欠陥を発生させたことが確認できた。
試験番号Lは、本発明例Cに対し、CaOを含まない通常のアルミナ−グラファイト質の耐火物を用い、通電を行った比較例である。試験番号Lでは、耐火物がCaOを含まないことから、CaOによる耐火物面へのガラス層形成作用が生じることなく、介在物の付着防止効果が得られなかった。
試験番号Mは、本発明例Cに対し、CaOを含まない耐火物を用い、さらに通電を行わなかった通常の連続鋳造方法を示す比較例である。試験番号Mでは、CaOの作用も通電の作用も生じないので、通常発生する程度の介在物付着量を示した。試験番号Lにおいて、試験番号Mよりも介在物付着速度指数が若干小さいのは、適正な通電を行ったことにより、耐火物の脱炭反応に伴うCOガスの発生が抑制され、COガスが溶鋼中のAlを酸化してアルミナ介在物を生じる反応を防止できたためと考えられる。
<実施例2>
表2に、実施例2の鋳造試験で使用した浸漬ノズルを構成する耐火物の成分組成、鋳造条件、および浸漬ノズルの内壁面への介在物付着速度指数をまとめて示す。
Figure 0005370171
表2に示す試験番号N〜Sは、通電を行うことなく、第2発明で規定する条件をすべて満たす本発明例であり、試験番号T〜Wは、その規定条件のいずれかを満たさない比較例である。
試験番号N〜Sでは、第2発明の規定条件をすべて満足する適正な状態で連続鋳造を行ったので、通電を行った上記実施例1の本発明例A〜Fに比べると若干劣るものの、介在物付着速度指数がいずれにおいても5と小さく、比較例に比べて浸漬ノズル内壁面へのアルミナ介在物の付着が抑制された。
なお、試験番号N〜P、RおよびSにおいて、耐火物中で含有率が1%未満のカーボンは、耐火物のバインダー中に含まれる不可避な不純分であり、グラファイト等のカーボン原料を意図的に添加したものではない。これに対し、試験番号Qでは、耐火物に不可避不純分の他に少量のグラファイトを添加しているが、その耐火物は、カーボン含有率が低く電気抵抗が高いので、通電には適していない。
試験番号Tは、浸漬ノズル内の溶鋼平均流速Vとの関係で、耐火物中のZrO2含有率が低すぎる比較例である。そのため、試験番号Tでは、他の条件が適正であるにもかかわらず、耐火物面におけるガラス層の維持に不利であり、介在物付着速度指数が7と、本発明例に比べて浸漬ノズル内壁面への介在物の付着量が増えた。
試験番号UおよびVは、溶鋼平均流速Vとの関係で、耐火物中のZrO2含有率が過剰であった比較例である。これらの試験番号UおよびVでは、過剰なZrO2が耐火物面におけるガラス層の形成を妨げ、さらに付着した介在物の見掛け粘性が上昇して、付着介在物が洗い流され難くなるので、他の条件が適正であるにもかかわらず、介在物の付着低減効果が損なわれ、介在物付着速度指数が9となった。
試験番号Wは、CaOを含まない通常のアルミナ質の耐火物を用いた比較例である。試験番号Wでは、耐火物がCaOを含まないことから、CaOによる耐火物面へのガラス層形成作用が生じることなく、介在物の付着防止効果が得られなかった。
本発明の鋼の連続鋳造方法によれば、ノズル内壁面へのアルミナの付着を効果的に抑制し、同時に耐火物の溶損を抑制し、浸漬ノズルの内壁面を閉塞も損耗も無い健全な状態に維持することができる。したがって、本発明の連続鋳造方法は、浸漬ノズルの閉塞と溶損に起因する操業上および鋳片品質上の問題を同時に防止し得る極めて有用な技術である。
1:取鍋、 2:溶鋼、 3:上ノズル、 4:タンディッシュ、
5:スライディングゲート、 6:浸漬ノズル、 7:一方の電極、
8:他方の電極(対極)、 9a、9b:配線、 10:電源装置、
11、12:絶縁用耐火物、 13:ノズル吐出孔、 14:鋳型、
15:凝固殻、 16:鋳片、 17:モールドパウダー

Claims (2)

  1. タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルを通じて鋳型に供給し連続鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、
    浸漬ノズルの少なくとも内壁を、主成分としてアルミナを50〜80質量%およびカーボンを11〜40質量%で含有し、CaOを1質量%以上5質量%未満およびZrO2を10質量%未満(0質量%を含む)で含有するアルミナ−グラファイト質の耐火物で構成し、
    前記浸漬ノズルが負極で前記溶鋼が正極となる電圧を印加して、前記浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が0.5〜20mA(ミリアンペア)/cm2となる通電を行いながら、
    前記耐火物中のZrO2含有率[ZrO2]と前記浸漬ノズル内の溶鋼平均流速Vとが下記(i)または(ii)を満足する条件で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    Vが1.8m/s未満の場合、[ZrO2]が7質量%未満 …(i)
    Vが1.8m/s以上の場合、[ZrO2]が2質量%以上10質量%未満 …(ii)
  2. タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルを通じて鋳型に供給し連続鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、
    浸漬ノズルの少なくとも内壁を、主成分としてアルミナを50〜95質量%およびカーボンを10質量%未満(0質量%を含む)で含有し、CaOを1〜8質量%およびZrO2を8質量%未満(0質量%を含む)で含有するアルミナ−グラファイト質またはアルミナ質の耐火物で構成し、
    前記耐火物中のZrO2含有率[ZrO2]と前記浸漬ノズル内の溶鋼平均流速Vとが下記(iii)または(iv)を満足する条件で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    Vが1.8m/s未満の場合、[ZrO2]が5質量%未満 …(iii)
    Vが1.8m/s以上の場合、[ZrO2]が1質量%以上8質量%未満 …(iv)
JP2010008648A 2010-01-19 2010-01-19 鋼の連続鋳造方法 Expired - Fee Related JP5370171B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010008648A JP5370171B2 (ja) 2010-01-19 2010-01-19 鋼の連続鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010008648A JP5370171B2 (ja) 2010-01-19 2010-01-19 鋼の連続鋳造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011147940A JP2011147940A (ja) 2011-08-04
JP5370171B2 true JP5370171B2 (ja) 2013-12-18

Family

ID=44535440

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010008648A Expired - Fee Related JP5370171B2 (ja) 2010-01-19 2010-01-19 鋼の連続鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5370171B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6167778B2 (ja) * 2013-09-09 2017-07-26 新日鐵住金株式会社 鋼の連続鋳造方法
KR101489377B1 (ko) 2013-12-06 2015-02-03 주식회사 포스코 용강 처리 장치 및 용강 처리 방법
CN109732072B (zh) * 2019-03-19 2021-05-25 东北大学 一种施加同性电荷以抑制浸入式水口内壁结瘤的方法
CN111230086A (zh) * 2020-03-17 2020-06-05 辽宁科技大学 一种利用电位消除法抑制连铸水口侵蚀的方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0723250B2 (ja) * 1986-06-24 1995-03-15 東芝セラミツクス株式会社 連続鋳造ノズル用耐火物
JP2542585B2 (ja) * 1986-08-08 1996-10-09 東芝セラミツクス株式会社 連続鋳造用浸漬ノズル
JPH04158962A (ja) * 1990-10-19 1992-06-02 Nippon Steel Corp 連続鋳造用ノズル
JPH05237610A (ja) * 1992-02-29 1993-09-17 Kurosaki Refract Co Ltd 連続鋳造ノズル内孔体
JPH1034295A (ja) * 1996-07-25 1998-02-10 Nippon Steel Corp 連続鋳造用ノズル内孔体
JP2001179406A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Nippon Steel Corp 連続鋳造用ノズルおよび連続鋳造方法
JP3747848B2 (ja) * 2000-12-25 2006-02-22 住友金属工業株式会社 連続鋳造方法
JP4118058B2 (ja) * 2001-08-30 2008-07-16 黒崎播磨株式会社 鋳造用浸漬ノズル
JP2004331462A (ja) * 2003-05-08 2004-11-25 Shinagawa Refract Co Ltd 鋼の連続鋳造ノズル用耐火物および鋼の連続鋳造用ノズル
JP2004330256A (ja) * 2003-05-08 2004-11-25 Sumitomo Metal Ind Ltd 鋼の連続鋳造方法
JP4218515B2 (ja) * 2003-12-12 2009-02-04 住友金属工業株式会社 鋼の連続鋳造方法
JP4207785B2 (ja) * 2004-01-26 2009-01-14 住友金属工業株式会社 鋼の連続鋳造方法
JP4315847B2 (ja) * 2004-03-23 2009-08-19 新日本製鐵株式会社 難付着性の良好な連続鋳造用浸漬ノズル
JP4533052B2 (ja) * 2004-09-06 2010-08-25 黒崎播磨株式会社 難付着性連続鋳造ノズル
JP5316328B2 (ja) * 2009-09-07 2013-10-16 新日鐵住金株式会社 鋼の連続鋳造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011147940A (ja) 2011-08-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5316327B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP2014184491A (ja) Alキルド鋼の連続鋳造方法
JP5370171B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP5316328B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP4207785B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP5088400B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP5803851B2 (ja) 希土類金属含有鋼の連続鋳造方法
JP5869748B2 (ja) Alキルド鋼の連続鋳造方法
JP4296787B2 (ja) 鋼の連続鋳造用浸漬ノズルおよび鋼の連続鋳造方法
KR910006897B1 (ko) 주조 장치의 용융 금속 배출 노즐
JP2012210647A (ja) 連続鋳造用浸漬ノズルおよびこれを用いた連続鋳造方法
JP5102683B2 (ja) 希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造方法
JP5768773B2 (ja) 浸漬ノズルを用いた連続鋳造方法
JP5304716B2 (ja) 希土類金属含有鋼の連続鋳造方法
JP6167778B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP6680320B2 (ja) 鋼の製造方法および溶鋼を収納した容器への添加用フラックス
JP2009274079A (ja) 浸漬ノズルの詰まり防止方法
JP7393638B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP5707945B2 (ja) ジルコニウム含有鋼の連続鋳造方法
JP5708163B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP3610871B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JPH0751819A (ja) 連続鋳造用浸漬ノズル
JP2004188421A (ja) 連続鋳造用浸漬ノズルおよび連続鋳造方法
JP2005060128A (ja) 耐火物
JP4244009B2 (ja) 連続鋳造用浸漬ノズル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120402

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121011

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20121011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130618

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20130729

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130820

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130902

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5370171

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees