JP4533052B2 - 難付着性連続鋳造ノズル - Google Patents

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本発明は、連続鋳造においてタンディッシュからモールドに注入する際に使用する浸漬ノズル、ロングノズル、下部ノズル、上部ノズル、SNプレート、オープンノズル等の連続鋳造ノズル、とくに、溶鋼と接触する部位にアルミナ付着防止機能を有するドロマイトクリンカーを配合した耐火物を配置した連続鋳造ノズルに関する。
連続鋳造に使用するノズルの内孔面には、溶鋼中のアルミナ介在物が付着し、これが合体して大型の介在物になり、溶鋼流と共に鋳片内に取り込まれて鋳片の欠陥となり品質を低下させる。とくに、このアルミナの付着は、アルミニウムで脱酸されたアルミキルド鋼の連続鋳造においてはとくには顕著である。
近年、とくに薄板等の高級鋼は鋼材品質の厳格化に伴い、連続鋳造ノズルのアルミナ付着を防止することに多くの努力が払われている。
その対策の一つは、ノズルの内孔面からアルゴンガスを溶鋼中に吹き込んで物理的にアルミナの付着を防止することである。しかし、この方法はアルゴンガスの吹き込み量が多すぎると気泡が鋳片内に取り込まれてピンホールとなり欠陥となる。従って、ガスの吹き込み量には制約があるためアルミナの付着防止には必ずしも十分な対策とはなり得ない。
また、ノズルを構成する耐火物にCaOを含有せしめて、付着したアルミナとの反応によってCaO−Al系の低融物を生成させるという耐火物にアルミナ付着防止機能を持たせる手法もある。しかしながら、CaOの含有はノズル全体の熱膨張が大きくなり、割れ易くなったり、また、CaO消化の問題がある。
このアルミナ付着防止機能を持たせた耐火物の欠点を抑え、そのアルミナ付着防止機能を生かすために、この耐火物をノズルの溶鋼と接する面のみに配置することも提案された。例えば、浸漬ノズルの内孔にCaOを含有する耐火物を配置する方法が良く知られている。この内孔へ配置する方法としては、浸漬ノズル本体の成形と同時に一体成形する方法、ノズル本体のみを成形した後、ノズル本体の内孔の表面にコーティングしたり流し込み成形する方法、さらには、内孔体を別に製造しておき、モルタル等を介してノズル本体に配置する方法等さまざまな方法がある。
また、アルミナ付着防止機能を有するCaO含有材料としては、石灰クリンカー、ドロマイトクリンカー、カルシウムジルコネート等がある。例えば、特許文献1には、湯道表層部が20〜97質量%の石灰クリンカーおよび3〜80質量%の炭素質からなり、外層が50〜95質量%のアルミナ質、5〜50質量%の炭素質からなる溶鋼鋳造用ノズルが開示されている。また、石灰クリンカーの一部をドロマイトクリンカーあるいはCaOを20質量%以上含有するカルシウムジルコニアクリンカーなどで置換できることも開示されている。しかしながら、このようなノズルを適用した場合、長時間鋳造の場合や溶鋼中に懸濁したアルミナの量が多い場合には、鋼中のAlとの反応によって耐火物中のCaOが低融点物を生成し溶出することによる溶損が大きくなり、つまりは耐食性に問題が生じる。
また、特許文献2には、内孔壁にCaOを50〜100質量%含有する石灰材質で所定の厚さのコーティング層を形成した連続鋳造ノズルが開示され、また、そのコーティング層としてドロマイトクリンカー80質量%とマグネシアクリンカー20質量%から形成されたものも開示されている。このコーティング層の適用によって溶損量は低減しているが、使用面ではまだ溶損量をより低減する必要がある。
このように、ドロマイトクリンカーのようなCaOを含有するアルミナ付着防止機能に優れた耐火物は、溶損に対する耐食性との両立が難しい問題があり、ほとんど実用化されていないのが現状である。
特開昭61−53150号公報 特開昭63−132755号公報
本発明の目的は、ドロマイトクリンカーを配合した耐火物を溶鋼と接する面に配置した連続鋳造ノズルにおいて、溶鋼の長時間の鋳造における溶鋼中のアルミナの稼動面へのアルミナ付着を防止するとともに、耐食性を改善することにある。
本発明者等は、連続鋳造ノズルの少なくとも溶鋼と接する部位の耐火物としてCaO源としてドロマイトクリンカーを使用した場合、使用中にドロマイトクリンカー中のCaOは付着したAlと反応して消費されるが、ドロマイトクリンカー中のMgOは稼働面に残留して濃縮し、MgO含有量が50%質量以上のMgOリッチな層を形成し、この層が形成されることによって耐食性が改善されることを知見した。そして、ここにピッチまたはタールを含浸するとアルミナ付着防止機能には悪影響を及ぼさず、しかも耐用性が向上することを知見した。
以下、添付の図1によって、上記知見を浸漬ノズルの内孔体として適用した場合に推定される機構を説明する。
図1において、(a)〜(e)は、浸漬ノズルの内孔へ配置した内孔体中のドロマイトクリンカー粒子の変化の様子を示すものである。
図1の(a)においては、ドロマイトクリンカーは、CaOの結晶中に、MgO粒子が散在した状態になっている。内孔体の内側に溶鋼を通過させた場合、溶鋼中のAlは内孔体の稼動面に付着する。稼動面に付着したAlはドロマイトクリンカーより十分小さいため、ドロマイトクリンカー中のCaOと反応し、CaO−Al系化合物を生成しドロマイトクリンカー中へ吸収される。
図1の(b)においては、引き続きAlの付着が繰り返され、ドロマイトクリンカー中のAl成分が増えてくると、ドロマイトクリンカーの表面にAlを多く含む図中Aとして示すCaO−Al反応層が形成される。このCaO−Al反応層において、稼動面付近ほどAlの濃度が高い状態となり、CaO−Al系液層になっている。この液層はCaOの飽和濃度組成になるまでドロマイトクリンカー中のCaO成分を継続して溶解させていく。その結果、ドロマイトクリンカーの稼動面側には、低融化し流動性が向上したCaO−Al系液層が形成されることになる。
そのため図1の(c)に示すように、CaO−Al系液相は、粘性が低下して溶鋼の流れにより、MgO粒子を残して稼動面から流出する。ドロマイトクリンカー中のMgO粒子はもともとクラスター状に繋がっている部分もあると考えられ、周囲が液相になっても凝集力のためにあまり流出しないと推定される。つまり、稼動面とは反対側に存在するMgO粒子によって引き付けられているので、粘性の低いCaO−Al系液相のみ流出し、MgO粒子は、稼動面から離れる方向へ移動してゆくと考えられる。しかも、MgO粒子はCaO−Al反応層中での移動と凝集が繰り返されることにより粗大化する。このため、稼動面にMgOリッチな層(図中B)が連続して形成される。なお、形成されるCaO−Al反応層の厚みは、ドロマイトクリンカー中のAlの侵入距離により支配されると解される。
さらに、図1の(d)に示すように、MgOリッチな層を含む液相には、頻繁にAlが付着するためCaOの濃度が低下してくるが、MgOリッチな層の背部に存在する反応層中においては、ドロマイトクリンカー中のCaOがMgOリッチな層を介して稼動面側へ拡散することでCaOが供給される。このためドロマイトクリンカーの稼動面にはCaO−Al系液相がほぼ連続して形成されるようになる。このため、溶鋼中のAlが稼動面に付着するのが防止される。さらには、稼動面側にはMgOリッチな層が形成されることで、CaOはMgO粒子間を通っての移動となるため、過剰なCaOの溶出を防止することで稼動面側の溶出は防止され、耐食性が向上することになる。
図1の(e)とその検鏡写真を示す図2は、使用後の浸漬ノズルを回収して得られた内孔体の稼動面の組織を示す。これらの 図1の(e)と図2に見られるように、稼動面と平行方向にMgO粒子が凝集し、この凝集したMgO粒子の周囲にCaO−Al化合物が形成された組織状態が観察される。
それぞれのドロマイトクリンカー粒子中では上記の反応層が形成されるが、稼動面においては、それぞれの粒子どうしは一体化し連続した反応層を形成してゆき、内孔全面に広がって行くものと考えられる。従って、鋳造中にこの反応層を安定して長時間存在させることが重要になってくる。
そこで、この内孔体(溶鋼と接触する部位の耐火物)にピッチまたはタールが含浸されることで、前記の連続した反応層の形成を促進する効果が得られる。耐火物にピッチまたはタールを含浸することによって耐火物の気孔にピッチまたはタールが充填される。連続鋳造用ノズルは一般的に600℃〜1200℃程度で予熱された後に使用されるため、その間に含浸されたピッチまたはタールは炭化して耐火物中にカーボンボンドを形成する。このカーボンボンドは、耐火物の気孔を埋めるように広く、深く構成原料の表面を覆いつつ空隙を充填するように形成されるので、あらゆる方向に対して網目状に構成原料を固定する。
この複雑に形成したカーボンボンドによるクリンカーの機械的保持機能によって、CaOと付着したアルミナとの反応ないし溶出による、または溶鋼流の機械的侵食によるドロマイトクリンカーその他のクリンカーの脱落・流失を防止することができる。特に鋳造初期の、各クリンカー相互の反応や焼結による強度発現が少なくてクリンカー相互の保持機能が弱い段階で、この効果は顕著である。
したがって、MgOリッチ層が耐食性に寄与する程度に形成するまでに必要な時間、稼働面のドロマイトクリンカーが溶鋼流によって脱落あるいは流出するのが防止される。結果的に、MgOリッチ層の形成を促進し、より強固なMgOリッチ層が形成され、アルミナ付着を防止し、しかも飛躍的に耐食性が向上するものと考えられる。
本発明の溶鋼と接する部位に配置する耐火物中の炭素成分の含有量は、含浸したピッチまたはタールの残留炭素分を含0.5〜10質量%である必要がある。炭素成分としては、含浸したピッチまたはタールの残留炭素分以外に、フェノール樹脂の炭化物、カーボンブラック等の耐火物に一般的に使用される炭素がある。炭素成分の含有全量が10質量%を超えると溶損が大きくなり、所望の耐食性を得ることが困難になる。
ピッチまたはタールの含浸は、耐火物中の揮発分を除去して気孔率を増大させたところに施す方がピッチまたはタールがより内部まで滲入するため、あらかじめ500℃以上で熱処理を施した耐火物に実施する
また、ピッチまたはタールを含浸した後には、再度500℃以上で熱処理を施す連続鋳造用ノズルは前述したように600℃〜1200℃で予熱されるが、その際に急激に昇温させられると、ピッチまたはタール中の揮発分によって膨れや割れを生じる可能性があるからである。
本発明で使用するドロマイトクリンカーは、CaOとMgOとを主成分とする耐火原料であって、一般的にドロマイト系れんが等の耐火物の原料として使用されている原料であれば問題なく使用することができる。例えば、天然のドロマイトを熱処理したドロマイトクリンカー、人工原料によって任意の組成に調合した合成ドロマイトクリンカーも使用可能である。また、CaOによる消化防止のために表面処理したもの、例えば表面に燐酸カルシウムを形成させた原料等も使用可能である。
本発明で使用するマグネシアクリンカーは、耐火物原料として一般的に使用されている例えば、焼結マグネシアクリンカー、電融マグネシアクリンカー等を使用することができる。
また、本発明で使用するバインダーとしては、一般的に耐火物として使用される無機バインダーや有機バインダーを使用することができるが、より好ましくは有機バインダーである。有機バインダーは、炭素ボンドを形成するために使用し、熱硬化性有機樹脂、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂等を使用することができる。炭素ボンドは、熱間強度に優れるため内孔体などの溶鋼と接触する部位に適用すると耐用性が向上する。
本発明の溶鋼と接する部位に配置する耐火物は、耐火原料として、基本的にドロマイトクリンカーのみ、あるいはドロマイトクリンカーとマグネシアクリンカーとから成るが、これら以外の原料でも悪影響を与えない範囲であれば、それぞれの原料特有の効果を期待して使用することが可能である。例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、カーボンブラック、ピッチ、タール、黒鉛等の耐火原料、Al、Si等の金属粉、B4Cのような酸化防止剤、及び/またはフリット類等は少量であれば使用可能である。
本発明の溶鋼と接する部位に配置する耐火物は、耐火原料を配合した配合物にバインダーを添加して、混練、成形、熱処理して得られるが、その配合中のCaOの含有量W1とMgO成分の含有量W2との質量比W1/W2が、0.33〜3.0であることが好ましい。このCaOとMgOの比をコントロールするためには、使用するドロマイトクリンカー中のMgOとCaO含有量、あるいはドロマイトクリンカーとマグネシアクリンカーの使用割合を調整することによって行なうことができる。W1/W2の比が0.33未満では、稼動面に供給されるCaO量が不足して十分なCaO−Al系液相が形成されない。このため、稼動面側にアルミナ系介在物が付着し易くなる。
さらに、内孔体中のMgO量が多くなり過ぎると、スポーリングや割れ等が発生し易くなる。また、W1/W2の比が3.0を超えると、稼動面に供給されるCaO量が過多になって過剰なCaO−Al系液相が形成されて、保護層となり得るMgOリッチな層の形成が阻害されるために溶損が激しくなる。さらには、液相成分や、溶損により脱落した内孔体の骨材が溶鋼中に混入して鋳片の品質を低下させることになる。
一方、本発明のドロマイトクリンカーを配合した耐火物において、炭素質原料の中でも鱗状黒鉛等の黒鉛質原料を使用しない場合には耐用性が向上する効果が得られる。従って、耐用性をより重視する場合には黒鉛質原料については使用しないかあるいは3質量%以下の添加量であることがより好ましい。
本発明の連続鋳造ノズルの鋼と接触する部位への耐火物の配置方法としては、成形時に連続鋳造用ノズルの内孔へ一体的に成形する方法、内孔に吹き付ける方法、内孔に鋳込む方法、別に内孔体として製造する方法等があり、いずれの方法でも良い。
しかし、この中でも別に内孔体として製造した耐火物を、連続鋳造ノズルの内孔に配置する方法がより好ましい。連続鋳造ノズル、なかでも浸漬ノズルの場合、一般に耐食性や耐スポーリング性の面からアルミナ−カーボン系材料が広く使用されており、CaOを多く含む材料を内孔に一体的に成形したり、吹き付けたり、鋳込む方法は、内孔体との膨張差によってノズル本体が割れたり、あるいはノズル本体のAlと内孔体のCaO成分が反応して耐用性が低下する問題がある。
このため、別途、内孔体を製造しておき、MgO等のモルタル等及び/または空間を介して配置する方法がより適している。このように内孔体を連続鋳造ノズルの内孔に配置することで、モルタル等によって内孔体の膨張代を確保できるのでノズル本体の割れを防止でき、さらにモルタルの介在によって内孔体と本体の反応を抑制することができ、耐用性が向上するのである。
さらに、内孔体の場合には肉厚が薄いためタールやピッチが中心部まで充分含浸されるのでより耐食性が向上する効果が得られる。
さらには、内孔体の製造方法において、鋳込み成形するタイプとプレス等で加圧成形するタイプがあり、基本的にはどちらでも可能である。内孔体は肉厚が薄いため、より耐食性を向上させるには、緻密で高強度な加圧成形タイプにすれば良い。この内孔体は、配合物にバインダーを添加して混練し、成形、熱処理することで得られる。成形後には、使用しているバインダー等に応じて、適切な温度で熱処理する。例えば、バインダーとして熱硬化性有機樹脂を使用する場合には、150℃以上で十分である。また、焼結タイプは1700℃以下の温度で焼成することも可能である。
ピッチまたはタールを含浸する方法としては、公知の方法を問題なく使用することができる。内孔体の場合には内孔体のみへ含浸することができる。連続鋳造用ノズルの溶鋼と接触する面に一体的に配置した場合には、連続鋳造ノズルごと含浸できる。
溶鋼と接触する面にドロマイトクリンカーを使用した耐火物を配置した連続鋳造ノズルの耐食性を向上することができるため、アルミナ付着を防止し、しかも連続鋳造ノズルの寿命を著しく延長することができ、このため連続鋳造ノズル自体及び連続鋳造ノズルの交換に要するコストを大幅に低減することも可能になる。また、鋼の品質も向上する。
本発明の実施の形態を実施例によって説明する。
ピッチまたはタールの含浸による耐食性向上の効果を調べた。
表1は、供試材の配合割合を示す。同表において、実施例1と2はピッチ又はタールを含浸した例を、比較例1は、ピッチとタールの何れも含浸しない例を示す。
ドロマイトクリンカーとしては、CaOの含有量が60質量%、MgOの含有量が40質量%からなるものを使用し、適量のフェノールレジンを添加し、均一に混練したはい土をプレス成形した。
得られた成形体を800℃で熱処理した後、実施例1ではピッチを含浸し、実施例2ではタールを含浸した。含浸したサンプルについては含浸後700℃にて熱処理を行った。これらのサンプルを供試体として耐食性の調査を行った。
耐食性の調査は高周波炉に低炭素アルミキルド鋼を1550℃に溶解し、供試体を回転させることによって1.5m/secの周速を与えながら溶鋼中に浸漬し、所定の時間後に引き上げて溶損速度を測定した。溶損速度は比較例1を100とした指数で表示した。指数は小さいほど耐食性が良好であることを示す。
耐食性を評価した結果、ピッチまたはタールを含浸した供試体は耐食性が改善されていることが明らかである。
表2は、ドロマイトクリンカーとマグネシアクリンカーを併用した耐火物の場合のピッチまたはタールの含浸による耐食性向上の効果を調べた結果を示す。同表において、実施例3と4はピッチまたはタールを含浸した例を、比較例2は使用しない例を示す。
ドロマイトクリンカーとして、CaOの含有量が60質量%、MgOの含有量が40質量%からなるものを70質量%使用し、MgOクリンカーを30質量%使用し、カーボンブラックに適量のフェノールレジンを添加し、均一に混練したはい土をプレス成形した。得られた成形体から実施例1と同様の製造方法によって供試体を作製し、同様の方法にて耐食性の評価を実施した。
耐食性を評価した結果は同表に示す。ピッチまたはタールを含浸した供試体は耐食性が改善されていることが明らかである。
上記両実施例から、本発明の耐火物は、浸漬ノズルの内孔体として優れた耐食性を示すことは明かである。
表2に示す配合組成を有するはい土を使用して、厚さ10mm、長さ500mmの円筒状スリーブを成形し、800℃で熱処理した後、含浸無しの内孔体とピッチを含浸後700℃にて熱処理を実施した内孔体を作製し、それぞれ浸漬ノズルの内孔に配置した。
これらの浸漬ノズルを、アルミキルド鋼の鋳造に適用した。鋳造条件は、鍋容量が250ton、TD容量が45ton、鋳片の引き抜き速度は1.0〜1.3m/分、鋳造時間は約160分であった。
鋳造が終わった後に浸漬ノズルをカットして断面を観察した結果、両ノズル共アルミナの付着は非常に軽微で良好な結果となった。溶損については、ピッチ含浸を実施した内孔体の溶損が1mm未満であったのに対して、含浸を行っていない比較例によって作成した内孔体は、部分的に4mm程度溶損した。この結果から、明らかにピッチ含浸を実施した内孔体を適用したノズルの方が、ピッチ含浸を行っていない内孔体を適用した比較例のノズルよりも溶損が小さかった。
本発明は連続鋳造ノズルの中でも浸漬ノズルへの適用が最も有効である。とくに、浸漬ノズルは上ノズルやスライディングノズルプレート等と異なり拘束されていないため、本発明の耐火物を内孔へ配置した場合に使用中の膨張による押し割りに弱い問題がある。このため、本発明の耐火物を内孔体として別に製造し、浸漬ノズルの吐出口を含む内孔へ配置することが最も有効である。
本発明を浸漬ノズルの内孔体として適用した場合に推定される機構の説明図である。 使用後の浸漬ノズルの内孔体の稼動面組織の検鏡写真を示す。

Claims (3)

  1. ドロマイトクリンカーのみ、または、ドロマイトクリンカーとマグネシアクリンカーとからなり、CaO成分の含有量W1とMgO成分の含有量W2との質量比W1/W2が0.33〜3.0になるように配合してなる配合物に、バインダーを添加して混練、成形後、500℃以上で熱処理した後にピッチまたはタールを含浸後、さらに500℃以上で熱処理した耐火物であって、
    炭素成分の含有量は、含浸したピッチまたはタールの残留炭素分を含む0.5〜10質量%である前記耐火物を少なくとも溶鋼と接する部位に配置した難付着性連続鋳造ノズル。
  2. ドロマイトクリンカーのみ、または、ドロマイトクリンカーとマグネシアクリンカーとからなり、CaO成分の含有量W1とMgO成分の含有量W2との質量比W1/W2が0.33〜3.0になるように配合してなる配合物に、バインダーを添加して混練、成形、熱処理後、ピッチまたはタールを含浸し、さらに、500℃以上で熱処理した耐火物であって、
    炭素成分の含有量は、含浸したピッチまたはタールの残留炭素分を含む0.5〜10質量%である前記耐火物を少なくとも溶鋼と接する部位に配置した難付着性連続鋳造ノズル。
  3. 前記の耐火物を内孔体として浸漬ノズルの内孔へ配置した請求項1または請求項2に記載の難付着性連続鋳造ノズル。
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