JP4456443B2 - ピッチ含有難付着性連続鋳造ノズル - Google Patents

ピッチ含有難付着性連続鋳造ノズル Download PDF

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本発明は、連続鋳造においてタンディッシュからモールドに注入する際に使用する浸漬ノズル、ロングノズル、下部ノズル、上部ノズル、SNプレート、オープンノズル等の連続鋳造ノズル、とくに、溶鋼と接触する部位にアルミナ付着防止機能を有するドロマイトクリンカーを配合した耐火物を配置した連続鋳造ノズルに関する。
連続鋳造に使用するノズルの内孔面には、溶鋼中のアルミナ介在物が付着し、これが合体して大型の介在物になり、溶鋼流と共に鋳片内に取り込まれて鋳片の欠陥となり品質を低下させる。とくに、このアルミナの付着は、アルミニウムで脱酸されたアルミキルド鋼の連続鋳造においてはとくには顕著である。
近年、とくに薄板等の高級鋼は鋼材品質の厳格化に伴い、連続鋳造ノズルのアルミナ付着を防止することに多くの努力が払われている。
その対策の一つは、ノズルの内孔面からアルゴンガスを溶鋼中に吹き込んで物理的にアルミナの付着を防止することである。しかし、この方法はアルゴンガスの吹き込み量が多すぎると気泡が鋳片内に取り込まれてピンホールとなり欠陥となる。従って、ガスの吹き込み量には制約があるためアルミナの付着防止には必ずしも十分な対策とはなり得ない。
また、ノズルを構成する耐火物にCaOを含有せしめて、付着したアルミナとの反応によってCaO−Al系の低融物を生成させるという耐火物にアルミナ付着防止機能を持たせる手法もある。しかしながら、CaOの含有はノズル全体の熱膨張が大きくなり、割れ易くなったり、また、CaO消化の問題がある。
このアルミナ付着防止機能を持たせた耐火物の欠点を抑え、そのアルミナ付着防止機能を生かすために、この耐火物をノズルの溶鋼と接する面のみに配置することも提案された。例えば、浸漬ノズルの内孔にCaOを含有する耐火物を配置する方法が良く知られている。この内孔へ配置する方法としては、浸漬ノズル本体の成形と同時に一体成形する方法、ノズル本体のみを成形した後、ノズル本体の内孔の表面にコーティングしたり流し込み成形する方法、さらには、内孔体を別に製造しておき、モルタル等を介してノズル本体に配置する方法等さまざまな方法がある。
また、アルミナ付着防止機能を有するCaO含有材料としては、石灰クリンカー、ドロマイトクリンカー、カルシウムジルコネート等がある。例えば、特許文献1には、湯道表層部が20〜97質量%の石灰クリンカーおよび3〜80質量%の炭素質からなり、外層が50〜95質量%のアルミナ質、5〜50質量%の炭素質からなる溶鋼鋳造用ノズルが開示されている。また、石灰クリンカーの一部をドロマイトクリンカーあるいはCaOを20質量%以上含有するカルシウムジルコニアクリンカーなどで置換できることも開示されている。しかしながら、このようなノズルを適用した場合、長時間鋳造の場合や溶鋼中に懸濁したアルミナの量が多い場合には、鋼中のAlとの反応によって耐火物中のCaOが低融点物を生成し溶出することによる溶損が大きくなり、つまりは耐食性に問題が生じる。
また、特許文献2には、内孔壁にCaOを50〜100質量%含有する石灰材質で所定の厚さのコーティング層を形成した連続鋳造ノズルが開示され、また、そのコーティング層としてドロマイトクリンカーが80質量%とマグネシアクリンカーが20質量%から形成されたものも開示されている。このコーティング層の適用によって溶損量は低減しているが、使用面ではまだ溶損量をより低減する必要がある。
このように、ドロマイトクリンカーのようなCaOを含有するアルミナ付着防止機能に優れた耐火物は、溶損に対する耐食性との両立が難しい問題があり、ほとんど実用化されていないのが現状である。
特開昭61−53150号公報 特開昭63−132755号公報
本発明の目的は、ドロマイトクリンカーを配合した耐火物を溶鋼と接する面に配置した連続鋳造ノズルにおいて、溶鋼の長時間の鋳造における溶鋼中のアルミナの稼動面への付着を防止するとともに、耐食性を改善することにある。
本発明者等は、連続鋳造ノズルの少なくとも溶鋼と接する部位の耐火物としてCaO源としてドロマイトクリンカーを使用した場合、使用中にドロマイトクリンカー中のCaOは付着したAlと反応して消費されるが、ドロマイトクリンカー中のMgOは稼働面に残留して濃縮し、MgO含有量が50%質量以上のMgOリッチな層を形成し、この層が形成されることによって耐食性が改善されることを知見した。そしてこの耐火物にピッチ粉末を添加するとさらにアルミナ付着防止機能には悪影響を及ぼさず耐用性が著しく向上することを知見した。
以下、添付の図1によって、上記知見を浸漬ノズルの内孔体として適用した場合に推定される機構を説明する。
図1において、(a)〜(e)は、浸漬ノズルの内孔へ配置した内孔体中のドロマイトクリンカー粒子の変化の様子を示すものである。
図1の(a)においては、ドロマイトクリンカーは、CaOの結晶中に、MgO粒子が散在した状態になっている。内孔体の内側に溶鋼を通過させた場合、溶鋼中のAlは内孔体の稼動面に付着する。稼動面に付着したAlはドロマイトクリンカーより十分小さいため、ドロマイトクリンカー中のCaOと反応し、CaO−Al系化合物を生成しドロマイトクリンカー中へ吸収される。
図1の(b)においては、引き続きAlの付着が繰り返され、ドロマイトクリンカー中のAl成分が増えてくると、ドロマイトクリンカーの表面にAlを多く含む図中Aとして示すCaO−Al反応層が形成される。このCaO−Al反応層において、稼動面付近ほどAlの濃度が高い状態となり、CaO−Al系液層になっている。この液層はCaOの飽和濃度組成になるまでドロマイトクリンカー中のCaO成分を継続して溶解させていく。その結果、ドロマイトクリンカーの稼動面側には、低融化し流動性が向上したCaO−Al系液層が形成されることになる。
そのため図1の(c)に示すように、CaO−Al系液相は、粘性が低下して溶鋼の流れにより、MgO粒子を残して稼動面から流出する。ドロマイト中のMgO粒子はもともとクラスター状に繋がっている部分もあると考えられ、周囲が液相になっても凝集力のためにあまり流出しないと推定される。つまり、稼動面とは反対側に存在するMgO粒子によって引き付けられているので、粘性の低いCaO−Al系液相のみ流出し、MgO粒子は、稼動面から離れる方向へ移動してゆくと考えられる。しかも、MgO粒子はCaO−Al反応層中での移動と凝集が繰り返されることにより粗大化する。このため、稼動面にMgOリッチな層(図中B)が連続して形成される。なお、形成されるCaO−Al反応層の厚みは、ドロマイトクリンカー中のAlの侵入距離により支配されると解される。
さらに、図1の(d)に示すように、MgOリッチな層を含む液相には、頻繁にAlが付着するためCaOの濃度が低下してくるが、MgOリッチな層の背部に存在する反応層中においては、ドロマイトクリンカー中のCaOがMgOリッチな層を介して稼動面側へ拡散することでCaOが供給される。このためドロマイトクリンカーの稼動面にはCaO−Al系液相がほぼ連続して形成されるようになる。このため、溶鋼中のAlが稼動面に付着するのが防止される。さらには、稼動面側にはMgOリッチな層が形成されることで、CaOはMgO粒子間を通っての移動となるため、過剰なCaOの溶出を防止することで稼動面側の溶出は防止され、耐食性が向上することになる。
図1の(e)とその検鏡写真を示す図2は、使用後の浸漬ノズルを回収して得られた内孔体の稼動面の組織を示す。これらの 図1の(e)と図2に見られるように、稼動面と平行方向にMgO粒子が凝集し、この凝集したMgO粒子の周囲にはCaO−Al化合物を形成した組織状態が観察される。
それぞれのドロマイトクリンカー粒子中では上記の反応層が形成されるが、稼動面においてはそれぞれの粒子どうしは一体化し連続した反応層を形成してゆき、内孔全面に広がって行くものと考えられる。従って、鋳造中にこの反応層を安定して長時間存在させることが重要になってくる。
そこで、この内孔体(溶鋼と接する部位の耐火物)にピッチ粉末を添加することで、前記の連続した反応層の形成を促進する効果が得られる。原料として添加したピッチ粉末は、軟化点より高い温度になると徐々に溶融し、骨材の隙間に浸透していく。連続鋳造用ノズルは一般に600℃〜1200℃程度で予熱された後に使用されるため、その間に浸透したピッチ粉末は炭化してカーボンボンドを形成する。このカーボンボンドは、内孔体を構成する耐火物の気孔を埋めるように広く、深く浸透して構成原料の表面を覆いつつ空隙を充填するように形成されるので、あらゆる方向に対して網目状に構成原料を固定する。
この複雑に形成されたカーボンボンドによるクリンカーの機械的保持機能によって、CaOと付着したアルミナとの反応ないし溶出による、または溶鋼流の機械的侵食によるドロマイトクリンカーその他のクリンカーの脱落・流失を防止することができる。特に鋳造初期の、各クリンカー相互の反応や焼結による強度発現が少なくてクリンカー相互の保持機能が弱い段階で、この効果は顕著である。
したがって、MgOリッチ層が耐食性に寄与する程度に形成するまでに必要な時間、稼働面のドロマイトクリンカーが溶鋼流によって脱落あるいは流出するのが防止される。結果的に、MgOリッチ層の形成を促進しより強固なMgOリッチ層が形成され、アルミナ付着を防止し、しかも飛躍的に耐食性が向上するものと考えられる。
ピッチ粉末は原料として他の骨材、バインダー等と一緒に混合する。ピッチ粉末は少量の添加でも耐食性改善効果が発揮されるが、ピッチ粉末の添加量は全耐火物中、0.3質量%以上10質量%以下が好ましい。0.3質量%未満ではピッチ粉末を添加した効果が十分発揮されず、10質量%を超えると耐食性の改善効果が小さくなる。ピッチ粉末は耐火物全体に均一に分散させた方がより改善効果が発揮されるので、その分散性から、粒径が0.5mm以下の平均粒度であることがより好ましい。また最大粒径は1mm以下であることがより好ましい。平均粒径が0.5mmを超えると、また最大粒径が1mmを超えると、加熱時の溶融と耐火物組織への浸透作用によっても耐火物全体に均一に分散させるのは困難になると共に、その流出によって生じる空隙がアルミナ付着の基点となる等の負の影響が現れ始める。ピッチ粉末としては石炭系、石油系等に関わらず全てのピッチが適用される。
本発明でいう平均粒度とは、メジアン径であり、粒径を測定した結果を重量積算グラフに表示し、重量の割合が50%である粒度のことを意味する。そして粒度の測定は、例えば篩いを使用することができる。
ピッチ粉末を添加したはい土から得られた成形体の熱処理は、ピッチの軟化点よりも高い温度で熱処理してピッチ粉末を骨材の隙間に浸透させることがより好ましい。また、製造時にはピッチ粉末の軟化点以下の熱処理をし、使用時の予熱中に浸透させてもとくに問題はないが、連続鋳造用ノズルは前述したように600℃〜1200℃で予熱される際に急激に昇温させられると、ピッチ粉末中の揮発分によって膨れや割れを生じる虞があるため、揮発分はできるだけ除去しておくことがより好ましい。
本発明の溶鋼と接する部位に配置する耐火物中の炭素成分の含有量は、添加したピッチ粉末の炭素成分を含めて10質量%以下がより好ましい。10質量%を超えると溶損量が大きくなり、所望の耐食性を得ることが困難になる。炭素成分としては、ピッチ粉末の他にフェノール樹脂の炭化物、カーボンブラック等の耐火物に一般的に使用される炭素が適用可能である。ただし、溶損防止のためには、黒鉛は少ない方がよく、より好ましくは3質量%以下である。
本発明で使用するドロマイトクリンカーは、CaOとMgOとを主成分とする耐火原料であって、一般的にドロマイト系れんが等の耐火物の原料として使用されている原料であれば問題なく使用することができる。例えば、天然のドロマイトを熱処理したドロマイトクリンカー、人工原料によって任意の組成に調合した合成ドロマイトクリンカーも使用可能である。また、CaOによる消化防止のために表面処理したもの、例えば表面に燐酸カルシウムを形成させた原料等も使用可能である。
本発明で使用するマグネシアクリンカーは、耐火物原料として一般的に使用されている例えば、焼結マグネシアクリンカー、電融マグネシアクリンカー等を使用することができる。
また、本発明で使用するバインダーとしては、一般的に耐火物として使用される無機バインダーや有機バインダーを使用することができるが、より好ましくは有機バインダーである。有機バインダーは、カーボンボンドを形成するために使用し、熱硬化性有機樹脂、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂等を使用することができる。カーボンボンドは、熱間強度に優れるため内孔体などの溶鋼と接触する部位に適用すると耐用性が向上する。
本発明の溶鋼と接触する部位に配置する耐火物は、耐火原料として、基本的にドロマイトクリンカーのみ、あるいはドロマイトクリンカーとマグネシアクリンカーと、ピッチ粉末とから成るが、これら以外の原料でも悪影響を与えない範囲であれば、それぞれの原料特有の効果を期待して使用することが可能である。例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、カーボンブラック、黒鉛等の耐火原料、Al、Si等の金属粉、B4Cのような酸化防止剤、及び/またはフリット類等は少量であれば使用可能である。
本発明の溶鋼と接触する部位に配置する耐火物は、耐火原料を配合した配合物にバインダーを添加して、混練、成形、熱処理して得られるが、その配合中のCaOの含有量W1とMgO成分の含有量W2との質量比W1/W2が、0.33〜3.0であることが好ましい。このCaOとMgOの比をコントロールするためには、使用するドロマイトクリンカー中のMgOとCaO含有量、あるいはドロマイトクリンカーとマグネシアクリンカーの使用割合を調整することによって行なうことができる。W1/W2の比が0.33未満では、稼動面に供給されるCaO量が不足して十分なCaO−Al系液相が形成されない。このため、稼動面側にアルミナ系介在物が付着し易くなる。
さらに、内孔体中のMgO量が多くなり過ぎると、スポーリングや割れ等が発生し易くなる。また、W1/W2の比が3.0を超えると、稼動面に供給されるCaO量が過多になって過剰なCaO−Al系液相が形成されて、保護層となり得るMgOリッチな層の形成が阻害されるために溶損が激しくなる。さらには、液相成分や、溶損により脱落した内孔体の骨材が溶鋼中に混入して鋳片の品質を低下させることになる。
一方、本発明のドロマイトクリンカーを配合した耐火物において、炭素質原料の中でも鱗状黒鉛等の黒鉛質原料を使用しない場合には耐用性が向上する効果が得られる。従って、耐用性をより重視する場合には黒鉛質原料については使用しないかあるいは3質量%以下の添加量であることがより好ましい。
本発明の溶鋼と接触する部位に配置する耐火物は、耐食性及び耐スポーリング性の面から、見掛け気孔率が3〜10%であることがより好ましい。3%未満であれば、組織が緻密になりすぎて耐スポーリング性が低下し、10%を超えると耐食性が低下する。
本発明の連続鋳造ノズルの鋼と接触する部位への耐火物の配置方法としては、成形時に連続鋳造用ノズルの内孔へ一体的に成形する方法、内孔に吹き付ける方法、内孔に鋳込む方法、別に内孔体として製造する方法等があり、いずれの方法でも良い。
しかし、この中でも別に内孔体として製造した耐火物を、連続鋳造ノズルの内孔に配置する方法がより好ましい。連続鋳造ノズル、なかでも浸漬ノズルの場合、一般に耐食性や耐スポーリング性の面からアルミナ−カーボン系材料が広く使用されており、CaOを多く含む材料を内孔に一体的に成形したり、吹き付けたり、鋳込む方法は、内孔体との膨張差によってノズル本体が割れたり、あるいはノズル本体のAlと内孔体のCaO成分が反応して耐用性が低下する問題がある。
このため、別途、内孔体を製造しておき、MgO等のモルタル等及び/または空間を介して配置する方法がより適している。このように内孔体を連続鋳造ノズルの内孔に配置することで、モルタル等によって内孔体の膨張代を確保できるのでノズル本体の割れを防止でき、さらにモルタルの介在によって内孔体とノズル本体の反応を抑制することができ、耐用性が向上するのである。
さらには、内孔体の製造方法において、鋳込み成形するタイプとプレス等で加圧成形するタイプがあり、基本的にはどちらでも可能である。内孔体は肉厚が薄いため、より耐食性を向上させるには、緻密で高強度な加圧成形タイプにすれば良い。この内孔体は、配合物にバインダーを添加して混練し、成形、熱処理することで得られる。成形後には、使用しているバインダー等に応じて、適切な温度で熱処理する。例えば、バインダーとして熱硬化性有機樹脂を使用する場合には、150℃以上で十分である。また、焼結タイプは1700℃以下の温度で焼成することも可能である。
溶鋼と接触する面にドロマイトクリンカーを使用した耐火物を配置した連続鋳造ノズルの耐食性を向上することができるため、アルミナ付着を防止ししかも連続鋳造ノズルの寿命を著しく延長することができ、このため連続鋳造ノズル自体及び連続鋳造ノズルの交換に要するコストを大幅に低減することも可能になる。
本発明の実施の形態を実施例によって説明する。
ピッチ粉末として石炭系ピッチ粉末を用い、その配合による効果を調べた。
表1は、ドロマイトクリンカーと石炭系ピッチ粉末とバインダーとしてフェノールレジンからなる配合物において、石炭系ピッチ粉末の添加量を変えて溶損速度を調べた結果を示す。
同表に示すCaOを60質量%とMgOを40質量%含有するドロマイトクリンカーと平均粒度が0.1mmであって軟化点が200℃の石炭系ピッチ粉末の添加量を変えた配合物に、適量のフェノールレジンを添加し均一に混練したのち、プレス成形し、得られた成形体を300℃以下で熱処理して供試体を得た。また実施例1〜6の気孔率の測定結果は4〜6%の範囲であった。
供試体の耐食性の調査は、高周波炉に低炭素アルミキルド鋼を1550℃に溶解し、供試体を1.5m/secの周速を与えながら回転しつつ溶鋼中に浸漬し、所定の時間後に引き上げて溶損速度を測定した。溶損速度は比較例1を100とした指数で表示した。指数は小さいほど耐食性が良好であることを示す。
同表に示すように、石炭系ピッチ粉末を本発明で特定する量配合した実施例1〜6は、ピッチ粉末を配合しない比較例1と対比して耐食性を評価した結果、ピッチ粉末を添加することによって耐食性が改善されていることが分かる。とくに、添加量が1質量%以上10質量%以下の範囲において改善効果が顕著に発揮されている。これに対して比較例2は、ピッチ添加量が12質量%であり、耐食性の改善効果が小さい。
ピッチ粉末として石炭系ピッチ粉末を用い、その配合したピッチ粉末の粒度の影響を調査した。
表2に示すように、平均粒度の異なるピッチ粉末を4質量%と、CaOが60質量%とMgOが40質量%のドロマイトクリンカーと、MgOクリンカーと、カーボンブラックに適量のフェノールレジンを添加した配合物を均一に混練したはい土をプレス成形し、得られた成形体を300℃以下で熱処理して、表の実施例7〜12に示す供試体を得た。また実施例7〜12の気孔率の測定結果は4〜6%の範囲であった。
それぞれの供試体を、実施例1と同様にして耐食性を実施例7の場合を100として評価した。その結果、ピッチ粉末の平均粒径が小さいほど良好な耐食性を得た。とくに平均粒径が0.5mm以下が好ましいことが分かった。
表1に示す比較例1および実施例4のはい土を使用して、厚さ10mm、長さ500mmの円筒状スリーブを成形し、700℃で熱処理し、それぞれアルミナカーボン質の浸漬ノズルの内孔にマグネシアモルタルと空間を介して配置して、実際の操業試験を行った。
これらの浸漬ノズルを、アルミキルド鋼の鋳造に適用した。鋳造条件は、鍋容量が250ton、TD容量が45ton、鋳片の引き抜き速度は1.0〜1.3m/分、鋳造時間は約220分であった。
鋳造が終わった後に浸漬ノズルをカットして断面を観察した結果、両ノズル共アルミナの付着は非常に軽微で良好な結果となった。溶損については、実施例4のはい土を使用したノズルの内孔体の溶損量が1mm未満であったのに対して、比較例1のはい土を使用したノズルの内孔体は部分的に5mm程度溶損するなど明らかにピッチ粉末を添加した内孔体を適用したノズルの方が良好であった。
本発明は連続鋳造ノズルの中でも浸漬ノズルへの適用が最も有効である。とくに、浸漬ノズルは上ノズルやスライディングノズルプレート等と異なり拘束されていないため、本発明の耐火物を内孔へ配置した場合に使用中の膨張による押し割りに弱い問題がある。このため、本発明の耐火物を内孔体として別に製造し、浸漬ノズルの吐出口を含む内孔へ配置することが最も有効である。
本発明を浸漬ノズルの内孔体として適用した場合に推定される機構の説明図である。 使用後の浸漬ノズルの内孔体の稼動面組織の検鏡写真を示す

Claims (3)

  1. ドロマイトクリンカー、またはドロマイトクリンカーとマグネシアクリンカーが90〜99質量%と、平均粒度が0.5mm以下、最大粒径が1mm以下であるピッチ粉末が〜10質量%とからなり、CaO成分の含有量W1とMgO成分の含有量W2との質量比W1/W2が、0.33〜3.0になるように配合し、この配合物にバインダーを添加して混練、成形、熱処理して得られる耐火物を少なくとも溶鋼と接する部位に配置したピッチ含有難付着性連続鋳造ノズル。
  2. バインダーが熱硬化性有機樹脂である請求項1に記載のピッチ含有難付着性連続鋳造ノズル。
  3. 耐火物を内孔体として浸漬ノズルの内孔へ配置した請求項1または請求項2に記載のピッチ含有難付着性連続鋳造ノズル。
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