JP5088400B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼を連続鋳造する際に、アルミナ等の高融点脱酸生成物が浸漬ノズルの内壁に付着するのを低減し、浸漬ノズルの閉塞の防止を図った鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造において、溶鋼は取鍋から中間容器のタンディッシュを介し鋳型内に注入される。このとき、タンディッシュの底部には浸漬ノズルが設けられ、この浸漬ノズルの下部が鋳型内の溶鋼中に浸漬されていることから、溶鋼は浸漬ノズルを通じ大気から遮断された状態で注入される。
浸漬ノズルとしては、アルミナとグラファイトを主成分とし、その他にシリカ等を含むアルミナ−グラファイト質のものが広く用いられている。連続鋳造の際、浸漬ノズルの内壁には、溶鋼中の脱酸元素であるアルミニウムの酸化物(アルミナ)が付着し、これが堆積するのに伴い浸漬ノズルが閉塞する、いわゆるノズル詰まりが発生しやすい。このノズル詰まりを防止するため、従来から数多くの対策がなされている。
例えば、浸漬ノズルを構成する耐火物の材質に関する対策として、特許文献1、2には、ライム(CaO)を多く含むジルコニア−ライム質の耐火物を用いた浸漬ノズルが開示されている。また、特許文献3、4には、マグネシア−ライム質の耐火物を用いた浸漬ノズルが開示されている。これらの特許文献1〜4に開示された浸漬ノズルは、いずれも、ノズルの内壁に付着したアルミナをライムとの反応によって低融点化し、これによりアルミナの付着抑制を図ったものである。
これらの浸漬ノズルは自溶性ノズルと称され、アルミナの付着抑制には高い効果を発揮する。しかし、溶鋼中のアルミナ濃度が高い場合や、浸漬ノズル内で溶鋼流速が速い場合は、耐火物の溶損が著しく、これに起因して鋳型内に多くの介在物が流出してしまう。このため、要求される品質レベルが高い鋼種には、特許文献1〜4に開示の浸漬ノズルを適用するのは難しい。
また、特許文献5には、浸漬ノズルの内壁面を平滑に保ち、かつ溶鋼との濡れ性に優れたチタニア(TiO2)を内壁面にコーティングすることによって、アルミナの付着抑制を図った浸漬ノズルが開示されている。同文献に開示された浸漬ノズルは、アルミナの付着抑制に一定の効果を発揮するが、ノズル内壁面に施したコーティング層の耐久性に問題があり、安定してその効果を発揮することができない。
特許第2542585号 特開平4−158962号公報 特開2005−270987号公報 特開2006−68799号公報 特開2005−205474号公報
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、浸漬ノズルの内壁面にアルミナが付着するのを効果的に抑制するとともに、その効果を安定して維持し、浸漬ノズルの閉塞を防止することができる鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、浸漬ノズルの内壁面へのアルミナの付着を低減できる連続鋳造方法について、種々の視点から検討を重ね、その結果、下記の(a)〜(c)の知見を得た。
(a)従来、アルミナを主成分とする耐火物で構成される浸漬ノズルにおいて、その耐火物にライム(CaO)を含有させることは、耐火性が損なわれるという理由から、禁忌事項であった。しかし、耐火物に含有させるライム量を制限することにより、浸漬ノズルの内壁を構成し溶鋼と接する耐火物面に、限定的に半溶融状態のガラス層を形成することができ、耐火物そのものの耐火性も十分に確保できることを見出した。
連続鋳造の際に、浸漬ノズルの内壁面、すなわち耐火物面に半溶融状態のガラス層が形成されている場合、ガラス層が形成されていない場合に比べて、耐火物面と溶鋼との濡れ性が良好になり、溶鋼中のアルミナが耐火物面に付着するのを軽減することができる。通常、溶鋼中のアルミナは溶鋼と濡れ性が悪いため、溶鋼との濡れ性が同様に悪い耐火物面に排斥されるが、溶鋼と耐火物との濡れ性が良好な場合は、その排斥作用が抑制されるため、アルミナが耐火物面に付着しにくくなることによる。
これに加え、耐火物面に半溶融状態のガラス層が形成されていると、耐火物面が平滑化されることから、アルミナの付着を軽減する効果が増大する。
(b)浸漬ノズルとこの内部を通過する溶鋼との間に通電回路を構成し、浸漬ノズルの内壁において、瞬時の電位をある期間にわたって平均した時間平均電位が負となるように電圧を印加し、適正な電流密度で通電を行うことにより、ノズルの内壁を構成する耐火物の溶損が防止され、耐火物面のガラス層を安定して維持することができる。
(c)上記(b)の電圧印加の際に、周期的に極性が正と負に切り替わるパルス状の電圧を印加し、その電圧波形におけるパルスの周期、および正負の期間や電位の大きさを適正化することにより、耐火物面のガラス層と溶鋼との濡れ性をさらに高め、アルミナの付着をより効果的に防止することができる。
本発明は、上記(a)〜(c)の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)、(2)および(3)に示す鋼の連続鋳造方法にある。
(1)タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルに導入し、この浸漬ノズルの周壁の下部に形成された吐出孔から溶鋼を鋳型に供給して連続鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、浸漬ノズルの内壁のうち、吐出孔の上端より少なくとも500mm上方の位置から下方の領域の全てを、アルミナおよびグラファイトを主成分とし、質量%で、CaOを%以上5%未満、およびSiO2を20%以下で含有する耐火物で構成し、この浸漬ノズル内にArガスを吹き込み、浸漬ノズル内でのArガスの流量を0.8〜8Nl/minとしつつ、25〜200cm/sの流速で溶鋼を通過させることを特徴とする鋼の連続鋳造方法(以下、「第1発明」ともいう)。
(2)前記浸漬ノズルに一方の電極を接続するとともに、前記タンディッシュ内の溶鋼に他方の電極を浸漬して、前記浸漬ノズルとこの内部を通過する溶鋼との間に通電回路を構成し、前記電極間に、前記浸漬ノズルにおける時間平均電位が負となる電圧を印加し、前記浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が0.5〜20mA(ミリアンペア)/cm2となる通電を行うことを特徴とする前記(1)に記載の鋼の連続鋳造方法(以下、「第2発明」ともいう)。
(3)前記電極間に、3〜200ms(ミリセカンド)を一周期としこの周期内で極性が正と負に切り替わるパルス状の電圧を印加し、一周期のうちで、前記浸漬ノズルが負極となる期間を正極となる期間よりも長くするか、または/および前記浸漬ノズルが負極となる期間での電位の絶対値を正極となる期間での電位の絶対値よりも大きくすることにより、前記浸漬ノズルにおける時間平均電位が負となる電圧に制御し、前記浸漬ノズルが負極となる期間での電流密度の絶対値が10〜200mA/cm2となる通電を行うことを特徴とする前記(2)に記載の鋼の連続鋳造方法(以下、「第3発明」ともいう)。
本発明において、「浸漬ノズルにおける時間平均電位」とは、浸漬ノズルにおける電位の瞬時値を対象期間について時間平均した値を意味する。以下、「時間平均電位」を単に「平均電位」ともいう。
また、「浸漬ノズルにおける平均電流密度」とは、電圧を印加したときに浸漬ノズルと溶鋼との間に流れる平均電流値を、溶鋼と接するノズル壁面の総面積で除して得られる電流密度を意味する。ここでいう「平均電流値」は、浸漬ノズルと溶鋼との間に流れる電流の瞬時値を対象期間について時間平均して求められる電流値である。
本発明の鋼の連続鋳造方法によれば、浸漬ノズルの内壁面へのアルミナ付着を効果的に抑制し、さらにその効果を安定に維持して、浸漬ノズルの閉塞を防止することができる。これにより、連続鋳造の安定操業が可能になる。
本発明の連続鋳造方法を実施するために用いる装置構成の一例を模式的に示す図である。 本発明の連続鋳造方法で採用するパルス状電圧の波形の一例を模式的に示す図である。 実施例の試験で用いた浸漬ノズルにおける耐火物の配置構成を示す縦断面図であり、同図(a)はタイプI、同図(b)はタイプII、および同図(c)はタイプIIIの浸漬ノズルをそれぞれ示す。 実施例の試験で採用したArガスの吹き込み箇所を模式的に示す図である。
上述の通り、本発明は、浸漬ノズルの内壁のうち、吐出孔の上端より少なくとも500mm上方の位置から下方の領域の全てを、CaO含有率が質量%以上5質量%未満、およびSiO2含有率が20質量%以下のアルミナ−グラファイト質耐火物で構成した浸漬ノズルを用い、この浸漬ノズル内にArガスを吹き込み、浸漬ノズル内でのArガスの流量を0.8〜8Nl/minとしつつ、タンディッシュ内の溶鋼を所定の流速で浸漬ノズル内を通過させて吐出孔から鋳型内へ供給し、連続鋳造を行う鋼の連続鋳造方法(第1発明)である。
この連続鋳造方法において、浸漬ノズルとこの内部を通過する溶鋼との間に通電回路を構成し、浸漬ノズルにおける平均電位が負となるように電圧を印加し、ノズルにおける平均電流密度の絶対値が所定範囲となる通電を行う実施形態(第2発明)を採用することができる。さらに、印加電圧としてパルス状の電圧を用い、浸漬ノズルが負極となる期間での電流密度の絶対値が所定範囲となる通電を行う実施形態(第3発明)を採用することができる。
以下に、図面を参照して、本発明を前記の通り規定した理由を説明する。なお、以下の説明において、特に断らない限り、浸漬ノズルを構成する耐火物、および溶鋼の成分組成を表す「%」は「質量%」を意味する。
図1は、本発明の連続鋳造方法を実施するために用いる装置構成の一例を模式的に示す図である。同図に示すように、取鍋1からの溶鋼2を収容するタンディッシュ4は、底部に上ノズル3が設けられ、この上ノズル3の下部に、流量制御機構としてスライディングゲート5と、円筒状の浸漬ノズル6が順に連なって設けられている。浸漬ノズル6の下部の周壁には吐出孔13が形成されている。
さらに、浸漬ノズル6と溶鋼2との間に通電回路を構成するため、浸漬ノズル6に一方の電極7が接続され、その電極7の対極となる他方の電極(以下、「対極」ともいう)8がタンディッシュ4内の溶鋼2に浸漬され、それぞれ配線9a、9bにより電源装置10と接続されている。電極7および対極8は、いずれも導電性を有するアルミナ−グラファイト質の耐火物からなる。また、電極7が接続された浸漬ノズル6は、絶縁用耐火物11によってタンディッシュ4と電気的に絶縁され、溶鋼2に浸漬する対極8は、これを支持する絶縁用耐火物12によりタンディッシュ4から絶縁されている。絶縁用耐火物11、12は、いずれもカーボンを含まないアルミナ質の耐火物である。
本発明の連続鋳造方法では、図1に例示した構成を具備する連続鋳造装置を用いて鋳造を行う。すなわち、取鍋1からタンディッシュ4に供給された溶鋼2は、上ノズル3、スライディングゲート5、および浸漬ノズル6を通じた後、浸漬ノズル6の吐出孔13から鋳型14内に注入される。このとき、浸漬ノズル6の内部を通過する溶鋼は、スライディングゲート5の開閉度合いにより、その流量が調整される。本発明では、電源装置10の駆動により、電極7と対極8とを介し、浸漬ノズル6と溶鋼2との間に、浸漬ノズル6の平均電位が負となる所定の電圧を印加することができる。
鋳型14に供給された溶鋼2は、湯面に散布されたモールドパウダー17により大気と遮断されながら、鋳型14からの抜熱作用により鋳型14との接触部から凝固殻15を形成し、下方に引き抜かれて鋳片16となる。
1.第1発明
第1発明は、浸漬ノズルの内壁のうち、吐出孔の上端より少なくとも500mm上方の位置から下方の領域の全てを、アルミナおよびグラファイトを主成分とし、CaOを%以上5%未満、およびSiO2を20%以下で含有する耐火物で構成し、この浸漬ノズル内にArガスを吹き込み、浸漬ノズル内でのArガスの流量を0.8〜8Nl/minとしつつ、25〜200cm/sの流速で溶鋼を通過させる鋼の連続鋳造方法である。
第1発明において、浸漬ノズルは、アルミナ含有率が30〜80%で、グラファイトに相当するカーボン含有率が11〜35%であるアルミナ−グラファイト質の耐火物を基本構成とし、これに、CaO(ライム)およびSiO2(シリカ)を前記の通り所定量含有させたものである。
浸漬ノズルを構成する耐火物にCaOを%以上5%未満で含有させるのは、CaOの含有率が%未満では、浸漬ノズルの内壁面となる耐火物面にガラス層が形成されにくく、5%以上であると、高温条件下で耐火物の軟化が著しくなるからである。CaOの原料には、吸湿の問題がある単体のCaOよりも化合物を用いることが望ましい。具体的にはライムシリケート(CaO−SiO2)系原料またはライム安定化ジルコニアが好適である。ライムアルミネート(CaO−Al23)系原料は、Al23濃度の上昇に伴って融点が大きく上昇するので、浸漬ノズルの内壁面へのガラス層形成が安定しない点で不利である。
浸漬ノズルを構成する耐火物にSiO2を20%以下で含有させるのは、低級酸化物であるSiO2の含有率が20%を超えると、連続鋳造の際に、SiO2が耐火物中のグラファイトや溶鋼中のアルミニウムなどによって還元され酸素供給源となるため、アルミナの生成と付着を助長し、悪影響を生じるからである。また、SiO2の含有率が高すぎると耐火物の耐火度が低下するため、この点からも、SiO2を20%を超えて含有させるのは好ましくない。
SiO2の含有率は0%でもよい。但し、耐火物の耐熱衝撃性を確保する観点から、SiO2を1%以上含有させることがより望ましい。耐火物の耐熱衝撃性を確保しつつ、アルミナ生成の助長や耐火度の低下を抑制するため、SiO2含有率の望ましい上限値は15%であり、より望ましくは5%である。
浸漬ノズル内にArガスを吹き込み、浸漬ノズル内でのArガスの流量(以下、「Arガスの吹き込み流量」ともいう)を0.8〜8Nl/minとするのは、以下の理由による。
浸漬ノズル内に付着する介在物および地金から成る層は、ノズル内壁を構成する耐火物と完全には固着しておらず、鋳造の進行に伴いノズル内壁を伝って徐々に下方へと流れ下り、その後に吐出孔の周囲に堆積し、遂には吐出孔から外側へ押し出されるように排出される。この現象は、本発明者らの検討結果により見出されたものである。特に、第1発明で規定する上記成分組成の耐火物をノズル内壁に採用した場合、耐火物の表面が平滑になるので付着物(介在物)の流動性が増す。
このような付着物の流下と排出は、浸漬ノズル内にArガスを吹き込むことによって促進される。Arガスの吹き込み流量は、0.8Nl/min未満ではArガスによる付着物の洗い流し作用が不足し、8Nl/minを超えると鋳片の気泡欠陥を引き起こすので好ましくない。
浸漬ノズル内へのArガスの吹き込みは、浸漬ノズル本体、または浸漬ノズルの上方に設置されるスライディングゲート、上ノズル、もしくはストッパーから行うことができ、これらを組み合わせて行うこともできる。このとき、浸漬ノズルから吹き込む場合は、吹き込んだArガスの全てが浸漬ノズル内を流れるのに対し、例えばスライディングゲートのように浸漬ノズルよりも上方の耐火物から吹き込む場合には、実質的に、吹き込んだArガスの1/5が浸漬ノズル内を流れることになる。このことは本発明者らが実験的に確認したものである。このことから、第1発明で規定するArガスの吹き込み流量Q、すなわち、浸漬ノズル内を流れるArガスの流量は、下記の(1)式に示す通りになる。
Q=QNZ+(QSG+QUN+QST)/5 ・・・(1)
ただし、上記(1)式中で、
NZは浸漬ノズルから吹き込んだArガスの流量、
SGはスライディングゲートから吹き込んだArガスの流量、
UNは上ノズルから吹き込んだArガスの流量、
STはストッパーから吹き込んだArガスの流量をそれぞれ示す。
次に、浸漬ノズルの内壁のうち、吐出孔の上端より少なくとも500mm上方の位置から下方の領域(以下「該当領域」ともいう)の全てを、第1発明で規定する上記成分組成の耐火物で構成するのは、上述した付着物の流下と排出を円滑化するためである。該当領域の全てのノズル内壁が連続的に第1発明で規定する耐火物で構成されていなければ、第1発明で規定する耐火物でない内壁部分において付着物の堆積が生じるからである。また、該当領域は一般に付着が多いので、この領域のノズル内壁を第1発明で規定する耐火物で構成することによって付着抑制効果が発揮される。
ここで、該当領域は、ノズル内周面における吐出孔の上端から少なくとも500mm上方の位置までの領域、ノズル内周面における吐出孔の上端から下端までの領域、および吐出孔内の流路を形成する上下左右の壁面領域の全てを含む。
浸漬ノズルを構成する耐火物には、主成分として、カーボン含有率に換算して11〜35%のグラファイトが含まれることが望ましい。カーボン含有率が11%未満であると熱衝撃に弱く、35%を超えると耐火物の強度や耐食性が低下するとともに、耐火物面におけるガラス層の形成が阻害されるからである。カーボン含有率のさらに好ましい範囲は15〜30%である。
また、浸漬ノズルを構成する耐火物に含まれるアルミナ、カーボン、ライムおよびシリカ以外の他の成分(不純物を含む)の合計は、本発明の効果を十分に発揮させる観点から、15%未満とするのが望ましい。ここでいう他の成分とは、ジルコニア(ZrO2)、酸化ナトリウム(Na2O)、チタニア(TiO2)、B23等が該当し、微妙な物性の調整や原料配合上で含まれる成分である。
第1発明においては、上述のように耐火物の成分組成を規定し、この耐火物の設置領域を規定した浸漬ノズルを使用することに加え、タンディッシュ内の溶鋼を25〜200cm/sの流速で浸漬ノズル内を通過させて吐出孔から鋳型内へ供給する。すなわち、浸漬ノズル内を通過する溶鋼流速を25〜200cm/sの範囲に調整することが必要である。溶鋼流速が25cm/s未満であると、浸漬ノズルの内壁面の付着物を洗い流す作用が弱まり、溶鋼流速が200cm/sを超えると、ノズル内壁の溶損が著しくなりやすいからである。ここで、浸漬ノズル内の溶鋼流速は、タンディッシュから鋳型に注入される単位時間あたりの溶鋼流量を浸漬ノズルの横断面積で除して求められる。溶鋼流速のさらに好ましい範囲は、30〜150cm/sである。
第1発明の連続鋳造方法によれば、連続鋳造の際に、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物面に半溶融状態のガラス層が形成され、これに伴い、耐火物面と溶鋼との濡れ性が良好になり、しかも耐火物面が平滑化されるため、溶鋼中のアルミナが耐火物面に付着するのを軽減することができる。
特に、本発明者らが見出した上記の現象、すなわち、浸漬ノズル内に付着する介在物および地金から成る層が耐火物と完全には固着してはおらず、鋳造の進行に伴いノズル内壁を伝って徐々に流れ下り、吐出孔の周囲に堆積しつつ吐出孔から外側へ押し出されるように排出される現象は、第1発明の方法によって促進され、これにより浸漬ノズルの閉塞が防止される。すなわち、第1発明で規定する耐火物を用いて耐火物表面を平滑にして付着物の流動性を増すこと、第1発明で規定する耐火物を吐出孔上端より少なくとも500mm上方の位置から下方の領域のノズル内壁全てに連続的に配置すること、および浸漬ノズル内のArガス流量と溶鋼の流速とを第1発明で規定する適正な範囲に保つこと、を同時に満たすことにより、浸漬ノズルの閉塞を効果的に防止することができる。
厳密には、耐火物面におけるガラス層の形成は、浸漬ノズル内を通過する溶鋼の温度、すなわち耐火物面の温度の影響を受ける。しかし、通常の鋼の連続鋳造においては、溶鋼温度が1500℃〜1580℃程度の範囲内に安定しており、耐火物面におけるガラス層の形成に及ぼす影響はほとんどない。
2.第2発明
第2発明は、第1発明を実施するに際し、前記図1に示すように、タンディッシュ4から鋳型14へ溶鋼2を供給する浸漬ノズル6に電極7を接続し、タンディッシュ4内の溶鋼2に対極8を浸漬して、浸漬ノズル6とこの内部を通過する溶鋼2との間に通電回路を構成し、電極7と対極8との間に、浸漬ノズル6における平均電位が負となる電圧を印加し、浸漬ノズル6における平均電流密度の絶対値が0.5〜20mA/cm2となる通電を行う連続鋳造方法である。
第2発明において、浸漬ノズルの平均電位が負となる電圧を印加するのは、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物の溶損を抑制しつつ、耐火物面にガラス層を安定して保持するためである。浸漬ノズルの電位が正となったときの反応によってノズル耐火物の溶損が進行するため、その逆の負の電位に浸漬ノズルを保つことが、耐火物の溶損抑制とガラス層の安定保持に有効だからである。
そして、耐火物の溶損抑制作用は、浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が0.5mA/cm2未満では十分に発揮されない。また、その平均電流密度の絶対値が20mA/cm2を超えると、酸素イオンの移動に起因してアルミナ付着量の増大が顕在化するので望ましくない。浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値のより望ましい範囲は、0.8〜17mA/cm2である。
第2発明によれば、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物面のガラス層を安定して維持することができる。
3.第3発明
第3発明は、第2発明における印加電圧として、3〜200msを一周期としこの周期内で正と負に切り替わるパルス状の電圧を用いる連続鋳造方法である。このパルス状の電圧は、一周期のうちで、浸漬ノズルが負極となる期間を正極となる期間よりも長くするか、または/および浸漬ノズルが負極となる期間での電位の絶対値を正極となる期間での電位の絶対値よりも大きくすることにより、浸漬ノズルにおける平均電位が負となるように制御された電圧である。第3発明では、前記図1に示すように、電極7と対極8との間に、パルス状の電圧を印加し、浸漬ノズル6における平均電流密度の絶対値が0.5〜20mA/cm2となり、且つ、浸漬ノズル6が負極となる期間での電流密度の絶対値が10〜200mA/cm2となる通電を行う。
第2発明で説明した通り、浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値の適正範囲は、0.5〜20mA/cm2である。一方、本発明によって得られる耐火物面と溶鋼との良好な濡れ性は、電流密度の実効値が大きいほど改善される。そこで、平均電流密度を適正範囲に保ったまま、電流密度の実効値を高めることが、アルミナの付着を効果的に抑制し、本発明の効果をより一層高めるために望ましい。そのため、印加電圧にパルス状の電圧を採用する第3発明が有効である。
第3発明では、電極間に印加するパルス状の電圧として、一周期のうちで、浸漬ノズルが負極となる期間を、正極となる期間よりも長くするか、もしくは、浸漬ノズルが負極となる期間での電位の絶対値を、正極となる期間での電位の絶対値よりも大きくするか、またはこれら両方を行うことによって、浸漬ノズルにおける平均電位が負となる電圧を採用し、これにより、浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値を0.5〜20mA/cm2の範囲内に制御することができる。しかも、そのパルス状の電圧を採用することにより、電流密度の実効値、すなわち浸漬ノズルが正極または負極となる期間での電流密度の絶対値を大きくすることができる。
図2は、本発明の連続鋳造方法で採用するパルス状電圧の波形の一例を模式的に示す図である。同図に示すパルス状の電圧では、一周期のうちで、浸漬ノズルが負極となる期間(TC)が、正極となる期間(TA)よりも長く、浸漬ノズルが負極となる期間の電位(−V1)と、正極となる期間の電位(V1)との絶対値が等しい場合を例示している。
図2に示すパルス状電圧の場合、浸漬ノズルにおける平均電位(VAVE)は、−V1×{(TC−TA)/(TC+TA)}で算出される。同様に、浸漬ノズルにおける平均電流(IAVE)は、浸漬ノズルが負極となる期間の電流を(−I1)とし、正極となる期間の電流を(I1)としたとき、−I1×{(TC−TA)/(TC+TA)}で算出される。さらに、浸漬ノズルにおける平均電流密度(AAVE)は、平均電流(IAVE)を、溶鋼と接するノズル壁面の総面積で除して求められる。そして、電流密度の実効値、すなわち浸漬ノズルが負極となる期間での電流密度は、AAVE×{(TC+TA)/(TC−TA)}で求められる。
図2に示すパルス状電圧では、浸漬ノズルが負極となる期間の電位(−V1)と、正極となる期間の電位(V1)の絶対値が等しい場合を示しているが、浸漬ノズルが負極となる期間での電位の絶対値を、正極となる期間での電位の絶対値よりも大きくして、浸漬ノズルにおける平均電位が負となるパルス状電圧にすることもできる。この場合、一周期のうちで、浸漬ノズルの内壁が負極となる期間(TC)と、正極となる期間(TA)とを同じにすればよいが、前者の期間(TC)を後者の期間(TA)より長くしてもよい。
第3発明において、パルス状電圧の一周期を3〜200msの範囲とするのは、3ms未満では安定して電流を流すことが困難であり、200msを超えると、酸素イオンの移動に起因してアルミナ付着量の増大が顕在化するからである。このパルス状電圧の一周期のより望ましい範囲は、5〜100msである。
また、浸漬ノズルが負極となる期間での電流密度の絶対値を10〜200mA/cm2とするのは、10mA/cm2未満では耐火物面と溶鋼との濡れ性を十分に高めることができず、200mA/cm2を超える大電流密度では、安定した通電が困難だからである。この電流密度の絶対値のより望ましい範囲は、13〜150mA/cm2である。
第3発明によれば、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物面と溶鋼との良好な濡れ性をさらに高めて、アルミナの付着をより効果的に抑制することができる。
本発明の連続鋳造法の効果を確認するため、以下に示す試験を実施して、その結果を評価した。
前記図1に概略を示す連続鋳造装置を用い、成分組成が質量%で、C:0.1%、Si:0.4%、Mn:0.8%、P:0.02%、S:0.01〜0.03%、sol.Al:0.03%の普通鋼の溶鋼を採用し、連続鋳造を行った。試験時のタンディッシュ内の溶鋼温度は、1520〜1560℃の範囲内であった。
表1に、鋳造試験で使用した浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物の成分組成、浸漬ノズル内の溶鋼平均流速、およびその他の試験条件、ならびに浸漬ノズルの内壁面への介在物(アルミナ)付着速度指数をまとめて示す。
Figure 0005088400
表1および後述する表2に示す「介在物付着速度指数」は、鋳造後に浸漬ノズルの吐出孔上端高さの内壁面における介在物付着厚さを周方向で12点測定し、その平均値を求め、この平均介在物付着厚さを鋳造時間で除して求めた介在物付着速度を、通常のアルミナ−グラファイト質の耐火物からなる浸漬ノズルを使用した試験番号Hの場合を10(基準)として指数化したものである。浸漬ノズルの内壁が溶損した場合は、同指数の符号はマイナスとなる。なお、表1における耐火物のCaO原料には、全てCaO−SiO2系原料であるCaO・SiO2を用いた。
浸漬ノズルにおける耐火物の配置構成は、タイプI〜IIIの3種類とした。
図3は、実施例の試験で用いた浸漬ノズルにおける耐火物の配置構成を示す縦断面図であり、同図(a)はタイプI、同図(b)はタイプII、および同図(c)はタイプIIIの浸漬ノズルをそれぞれ示す。タイプI〜IIIの浸漬ノズルは、いずれも、スラグラインに相当する外壁部分(図3中のクロス斜線部参照)をジルコニア−グラファイト(ZrO2:85%、カーボン:13%、およびその他成分:2%)の耐火物で構成したものであるが、以下の構成で相違する。
タイプIの浸漬ノズルは、図3(a)に示すように、上記のスラグライン部を除いて、全て表1に示す成分組成の耐火物で構成した。タイプIIの浸漬ノズルは、図3(b)に示すように、本体の上部(図中の斜線部参照)をCaOを含まない通常のアルミナ−グラファイト(Al23:72%、カーボン:23%、SiO2:3%、およびその他成分:2%)で構成し、この本体上部および上記のスラグライン部を除いて、全て表1に示す成分組成の耐火物で構成した。タイプIIIの浸漬ノズルは、図3(c)に示すように、吐出孔およびその周囲を除く本体内壁部(図中の白抜き部参照)のみに、表1に示す成分組成の耐火物を10mmの厚さで配し、この本体内壁部および上記のスラグライン部を除く全ての部分(図中の斜線部参照)を、タイプIIの場合と同じ通常のアルミナ−グラファイトで構成した。
特に、表1に示す成分組成のアルミナ−グラファイト質耐火物は、タイプIの場合、本体内壁における吐出孔上端から上方に775mmの範囲で配置され、タイプIIの場合は、本体内壁における吐出孔上端から上方に175mmの範囲で配置されている。タイプIIIのみが、吐出孔およびその周囲に表1に示す成分組成のアルミナ−グラファイト質耐火物が配置されていない。
浸漬ノズル内へのArガスの吹き込み箇所、および浸漬ノズル内へのArガスの吹き込み量は、以下の通りとした。
図4は、実施例の試験で採用したArガスの吹き込み箇所を模式的に示す図である。同図では、Arガスの吹き込み箇所を実線矢印で示し、浸漬ノズルの上端から90mmの位置に設けたポーラスプラグ、スライディングゲートの上プレート、および上ノズルからArガスを吹き込むことが可能な状態を例示している。
表1における試験番号A、F、H、KおよびLでは、3層式スライディングゲートの上プレートから10Nl/min(QSG)のArガスを吹き込み、浸漬ノズル内でのArガス流量(Arガスの吹き込み流量)Qを前記(1)式に従って2Nl/minとした。試験番号B、G、IおよびJでは、浸漬ノズルに設けたポーラスプラグから2Nl/min(QNZ)、2層式スライディングゲートの上プレートから10Nl/min(QSG)、および上ノズルから10Nl/min(QUN)のArガスをそれぞれ吹き込み、浸漬ノズル内でのArガス流量Qを前記(1)式に従って6Nl/minとした。
試験番号Cでは、3層式スライディングゲートの上プレートから15Nl/min(QSG)のArガスを吹き込み、浸漬ノズル内でのArガス流量Qを前記(1)式に従って3Nl/minとした。試験番号Dでは、3層式スライディングゲートの上プレートから2Nl/min(QSG)のArガスを吹き込み、浸漬ノズル内でのArガス流量Qを前記(1)式に従って0.4Nl/minとした。試験番号Eでは、浸漬ノズルに設けたポーラスプラグから2Nl/min(QNZ)、2層式スライディングゲートの上プレートから20Nl/min(QSG)、および上ノズルから20Nl/min(QUN)のArガスをそれぞれ吹き込み、浸漬ノズル内でのArガス流量Qを前記(1)式に従って10Nl/minとした。
表1において、試験番号A〜Cは、第1発明で規定する条件をすべて満たす本発明例である。試験番号A〜Cでは、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物のCaOの含有率が適正であるため、耐火物面に半溶融状態のガラス層が形成され、平滑で溶鋼との濡れ性が良好になる。さらに、SiO2の含有率が低いため溶鋼への酸素供給源が生じ難く、耐火物面のガラス層が維持されやすい。しかも、浸漬ノズル内のArガス吹き込み流量と溶鋼流速が適性範囲内にあるため、アルミナ等の付着物が洗い流され易い。これらのことから、鋳造後の介在物付着速度指数は、本発明例の試験番号A〜Cのいずれにおいても6となり、浸漬ノズルの内壁面へのアルミナ付着が効果的に抑制された。
試験番号Dは、浸漬ノズル内へのArガス吹き込み流量が第1発明で規定する範囲に満たない比較例であり、Arガス吹き込み流量が少ないため、ノズル内壁面にアルミナが多く付着した。
試験番号Eは、浸漬ノズル内へのArガス吹き込み流量が第1発明で規定する範囲を超える比較例であり、Arガス吹き込み流量が過多であるため、浸漬ノズルの内壁面へのアルミナ付着は少ないものの、鋳片の気泡性欠陥が発生した。
試験番号FおよびGは、第1発明で規定する成分組成を満たす耐火物の設置範囲が、第1発明で規定する範囲を満足しない比較例であり、その設置範囲が適正でないため、アルミナ付着の防止に対する効果が十分に発揮されなかった。
試験番号Hは、CaO含有率が第1発明で規定する範囲に満たない通常のアルミナ−グラファイト質の浸漬ノズルを使用した比較例であり、耐火物面にガラス層が形成されないため、ノズル内壁面にアルミナが多く付着した。
試験番号Iは、CaO含有率が第1発明で規定する範囲を超える浸漬ノズルを使用した比較例である。この試験番号Iでは、CaOの含有率が過剰に高いため、耐火物の溶損が過大になり、いわゆる自溶性ノズルの特性を示し、介在物付着速度指数はマイナスとなった。しかも、浸漬ノズルの高温となった部分に軟化が認められた。
試験番号Jは、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物の成分組成が第1発明の規定範囲を満たすが、浸漬ノズル内の溶鋼流速が第1発明の規定範囲を超える比較例であり、溶鋼流速が過大であったために浸漬ノズル内面の溶損が生じた。
試験番号Kは、試験番号Hと同様に、CaO含有率が第1発明で規定する範囲に満たない通常のアルミナ−グラファイト質の浸漬ノズルを使用した比較例であり、耐火物面にガラス層が形成されないため、ノズル内壁面にアルミナが多く付着した。
試験番号Lは比較例であり、試験番号HまたはKの場合と同様に、浸漬ノズルの内壁を構成する耐火物のCaO含有率が第1発明で規定する範囲に満たない。試験番号Lは、これに加えて、SiO2の含有率が高すぎるため、ノズル内壁面へのアルミナの付着が試験番号HまたはKの場合よりもさらに増大した。これは、浸漬ノズルを構成する耐火物に含まれるSiO2が、鋳造時に溶鋼中のAlや耐火物中のカーボン(グラファイト)によって還元され、溶鋼への酸素供給源となって溶鋼中のAlを酸化し、アルミナを生成したことによると考えられる。
次に、本発明例の試験番号Aの条件に加え、前記図1に示す電源装置10を使用して電極7と対極8に電圧を印加し、浸漬ノズルと溶鋼との間に電位差を与える通電を行いながら連続鋳造を実施した。
表2に、通電条件、および浸漬ノズルの内壁面への介在物付着速度指数をまとめて示す。表2において、電位または電流密度の符号がマイナスの時は、浸漬ノズルが負極となっていることを示し、同符号がプラスの時は浸漬ノズルが正極となっていることを示す。
Figure 0005088400
表2に示す試験番号M〜Tは、いずれも第1発明で規定する条件を満たす本発明例である。このうち、試験番号MおよびNは、さらに第2発明で規定する条件を満たし、試験番号OおよびPは、それに加えて第3発明で規定する条件も満たしている。
試験番号MおよびNでは、浸漬ノズルが負極となるように直流電圧を印加した。介在物付着速度指数はいずれも5であり、他の条件は同じで通電を行わなかった上記試験番号A(介在物付着速度指数が6)に比べて、溶鋼中のアルミナが浸漬ノズル内壁面へ付着するのがより抑制された。また、耐火物の溶損も軽減された。
試験番号OおよびPでは、前記図2に示す波形の交流パルス電圧を印加した。試験番号O、Pのいずれにおいても、浸漬ノズルが負極となる期間が、正極となる期間よりも長いため、平均電流は浸漬ノズルが負極となる方向に流れ、電流密度の実効値、すなわち浸漬ノズルが負極となる期間での電流密度の絶対値が、第3発明で規定する条件(10〜200mA/cm2)を満たしている。このため、試験番号O、Pのいずれも介在物付着速度指数が3であり、ノズル内壁面へのアルミナ付着の抑制効果はさらに増大した。また、耐火物の溶損は、試験番号MおよびNと同様に軽減された。
試験番号Qは、第1発明の条件を満たすが、第2発明で規定する条件(浸漬ノズルの平均電流密度の絶対値が0.5〜20mA/cm2)から外れる条件で通電した場合である。この場合、平均電流密度の絶対値が大き過ぎることに伴い、酸素イオンの移動に起因してアルミナの付着が増え、試験番号M、Nに比べると、アルミナの付着抑制効果が低く、無通電の場合(試験番号A)に対する優位性が認められなかった。
試験番号Rは、第1発明および第2発明の条件を満たすが、第3発明で規定する条件(印加するパルス状電圧の周期が3〜200ms)から外れる交流パルスを印加した場合である。この場合、パルス状電圧の周期が長過ぎることに伴い、酸素イオンの移動に起因すると考えられるアルミナの付着が増え、試験番号O、Pに比べると、介在物付着速度指数が高かった。
試験番号Sは、第1発明および第2発明の条件を満たすが、第3発明で規定する条件(浸漬ノズルが負極となる期間での電流密度の絶対値が10〜200mA/cm2)を満たさない場合である。この場合、浸漬ノズルが負極となる期間での電流密度の絶対値が小さいため、浸漬ノズルの耐火物面と溶鋼との濡れ性の向上が不十分であり、試験番号O、Pに比べると、介在物付着速度指数が高かった。
試験番号Tは、第1発明の条件を満たすが、第2発明で規定する条件(浸漬ノズルの平均電位が負)から外れる条件で通電した場合である。この場合、浸漬ノズルの平均電位が正であるので、COガス発生反応によるグラファイトの分解が促進され、浸漬ノズル耐火物の溶損が増し、いわゆる自溶性ノズルのように突発的な介在物欠陥が発生するおそれがある。また、通電によるアルミナの付着抑制効果は認められなかった。
本発明の鋼の連続鋳造方法によれば、浸漬ノズルを構成する耐火物の成分組成、その耐火物の設置範囲、当該ノズル内のArガス流量、およびそのノズル内での溶鋼流速を適正化し、さらに浸漬ノズルと溶鋼の間に、浸漬ノズルにおける平均電位が負となる電圧(例えば、直流電圧やパルス状電圧)を印加して鋳造を行うため、ノズル内壁面へのアルミナの付着を効果的に抑制し、同時に浸漬ノズルの溶損を抑制し、さらにその効果を安定して維持することができる。
したがって、本発明の連続鋳造方法は、浸漬ノズルの内壁面へのアルミナの付着を大きく軽減し、浸漬ノズルの閉塞と溶損を同時に防止して安定した操業を実施できる鋳造方法として極めて有用な技術である。
1:取鍋、 2:溶鋼、 3:上ノズル、 4:タンディッシュ、
5:スライディングゲート、 6:浸漬ノズル、 7:一方の電極、
8:他方の電極(対極)、 9a、9b:配線、 10:電源装置、
11、12:絶縁用耐火物、 13:吐出孔、 14:鋳型、
15:凝固殻、 16:鋳片、 17:モールドパウダー

Claims (3)

  1. タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルに導入し、この浸漬ノズルの周壁の下部に形成された吐出孔から溶鋼を鋳型に供給して連続鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、
    浸漬ノズルの内壁のうち、吐出孔の上端より少なくとも500mm上方の位置から下方の領域の全てを、アルミナおよびグラファイトを主成分とし、質量%で、CaOを%以上5%未満、およびSiO2を20%以下で含有する耐火物で構成し、
    この浸漬ノズル内にArガスを吹き込み、浸漬ノズル内でのArガスの流量を0.8〜8Nl/minとしつつ、25〜200cm/sの流速で溶鋼を通過させることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記浸漬ノズルに一方の電極を接続するとともに、前記タンディッシュ内の溶鋼に他方の電極を浸漬して、前記浸漬ノズルとこの内部を通過する溶鋼との間に通電回路を構成し、
    前記電極間に、前記浸漬ノズルにおける時間平均電位が負となる電圧を印加し、前記浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が0.5〜20mA(ミリアンペア)/cm2となる通電を行うことを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. 前記電極間に、3〜200ms(ミリセカンド)を一周期としこの周期内で極性が正と負に切り替わるパルス状の電圧を印加し、
    一周期のうちで、前記浸漬ノズルが負極となる期間を正極となる期間よりも長くするか、または/および前記浸漬ノズルが負極となる期間での電位の絶対値を正極となる期間での電位の絶対値よりも大きくすることにより、前記浸漬ノズルにおける時間平均電位が負となる電圧に制御し、
    前記浸漬ノズルが負極となる期間での電流密度の絶対値が10〜200mA/cm2となる通電を行うことを特徴とする請求項2に記載の鋼の連続鋳造方法。
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