JP7393638B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、浸漬ノズルを用いた鋼等の高温溶融金属の連続鋳造方法に関する。
鋼等の連続鋳造において、アルミナに代表される高融点非金属介在物の付着による浸漬ノズル内面の閉塞は、操業および鋳片品質に大きな影響を及ぼす問題である。従来、浸漬ノズル閉塞の防止に対して様々な対策技術が開示されている。例えば、本発明者らは、特許文献1に記載された発明のように、アルミナグラファイトに微量のCaO等を含有させることによるアルミナ介在物の付着を防止し、さらに通電を併用してその効果を増す発明を成している。
耐火物材質の改善方法としては、他に次のような技術が開示されている。特許文献2には、鋳造中の高温下における化学反応によって緻密な内面を形成する、スピネル-ペリクレース-黒鉛系耐火物が開示されている。特許文献3には、低融点の緑柱石を含有し内面に半溶融層を形成するマグネシア-黒鉛あるいはスピネル-黒鉛系の耐火物が開示されている。特許文献4には溶鋼中のアルミナ介在物が付着すると低融点化して溶損することによって閉塞を防止する自溶性の耐火物を用いた浸漬ノズルが開示されている。
これらの方法の中で、最も閉塞防止効果が高いのは、自溶性の耐火物を流路内面に配置した浸漬ノズルである。しかし、自溶性の耐火物は、溶損することによって溶鋼中に介在物となって放出され、溶鋼を汚染する問題があった。
一方で、特許文献5には内壁にマグネシア安定化ジルコニアを配置した浸漬ノズルを直流で通電することによって、鋳造時に電気化学的脱酸反応を起こして、ノズルの閉塞を防止することが開示されている。マグネシア安定化ジルコニアは自溶性耐火物ではないため、溶損による溶鋼の汚染も抑制することができる。
特開2010-201504号公報 特許3358989号公報 特開2002-35904号公報 特開昭64-40154号公報 特表2018-534147号公報
しかしながら、本発明者らは、内面にジルコニアグラファイト系耐火物を配置した浸漬ノズルを用いて、鋳造時に浸漬ノズルの極性を正極として直流で一定時間通電すると、耐火物中に含まれる黒鉛が酸化され、COガスを発生する反応が起こること知見した。黒鉛が酸化されると、耐火物構造が不安定化する。また、COガスは溶鋼中のアルミニウムと反応すると、浸漬ノズル閉塞を引き起こすアルミナを生成する。そのため、内面にジルコニアグラファイト系耐火物を配置した浸漬ノズルを用いた連続鋳造方法には、まだまだ改善の余地があった。
そこで、本発明は浸漬ノズルの閉塞を抑制することができる鋼の連続鋳造方法を提供することを課題とする。
上記問題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、交流パルス状の通電波形を用いて、ジルコニアグラファイト系耐火物が正の極性に保たれる時間を短くすることにより、COを発生させる反応の進行を抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決するための本発明の1つの態様は、連続鋳造用の浸漬ノズルの内面の全体あるいは前記内面の吐出孔壁を除く全体に、カーボンを9mass%以上含有するジルコニアグラファイト系の耐火物を配置し、浸漬ノズルに一方の電極を接続するとともに、タンディッシュ内の溶鋼に他方の電極を浸漬して、浸漬ノズルと該浸漬ノズルの内部を通過する溶鋼との間に通電回路を構成し、浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が1~90mA/cmとなり、極性が正負交互に入れ替わる交流パルス状の電流波形で通電し、その交流パルス状波形の周期が0.5ms~20msであり、浸漬ノズルの極性が負の場合の平均電流密度×通電時間よりも、浸漬ノズルの極性が正の場合の平均電流密度×通電時間の方が大きいことによって、浸漬ノズルの平均電流密度の極性が正となるように通電しながら、鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法である。
上記連続鋳造方法において、浸漬ノズルの内面に配置される耐火物が、化学組成として、ZrOを40~85mass%、CaOを1~30mass%、Cを9~45mass%含有する黒鉛質耐火物であってもよい。あるいは、浸漬ノズルの内面に配置される耐火物が、化学組成として、ZrOを50~85mass%、MgOを1~10mass%、Cを9~45mass%含有する黒鉛質耐火物であってもよい。若しくは、浸漬ノズルの内面に配置される耐火物が、化学組成として、ZrOを50~85mass%、Yを1~10mass%、Cを9~45mass%含有する黒鉛質耐火物であってもよい。
本発明によれば、浸漬ノズル内面への介在物の付着を抑制し、浸漬ノズルの閉塞を抑制する鋼の連続鋳造方法を提供することができる。
本発明の鋼の連続鋳造方法を実施するための連続鋳造装置の一例を説明するための図である。 実施例に使用した浸漬ノズルの断面を説明するための図である。数値の単位はすべて「mm」である
本明細書において、数値A及びBについて「A~B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。
1.本発明の技術的思想
まず、本発明について説明するにあたり、本発明を発明するに至った技術的思想について順を追って説明する。
アルミナグラファイトを構成する酸化物であるアルミナとは異なり、ジルコニアグラファイトを構成する酸化物であるジルコニアは、酸素イオン透過性を有する。アルミナと黒鉛とを組み合わせたアルミナグラファイト系材質の場合には、黒鉛中の自由電子が電荷キャリアの主体となる。一方、ジルコニアと黒鉛とを組み合わせたジルコニアグラファイト系材質の場合には、ジルコニア中の酸素イオンと黒鉛中の自由電子とのいずれもが電荷キャリアとなり得る。そのため、これら酸素イオン、自由電子のいずれかが支配的な電荷キャリアになるかによって、通電時に生じる現象は変わってくる。
自由電子が支配的な電荷キャリアとなる場合、通電により生じる諸現象は、アルミナグラファイトに通電した場合のそれと似たものになる。一方、酸素イオンが支配的な電荷キャリアとなる場合には、通電により生じる諸現象は、アルミナグラファイトに通電した場合のそれとはいくつかの点で異なったものとなる。
本発明者らは、種々の実験的事実から、ジルコニアグラファイト系材質から成る耐火物を内面に配置した浸漬ノズルを用いて通電した場合に、支配的な電荷キャリアは酸素イオンであると推定するに至った。そして、そのような場合に、溶鋼中のアルミナ介在物を浸漬ノズル壁面に付着させないために有効な通電条件について、実験的ならびに理論的調査、検討を重ねた。
ジルコニアグラファイト系材質における支配的電荷キャリアが酸素イオンである限り、酸素イオンが溶鋼に向かって供給される極性は避けるべきである。それは酸素イオンが溶鋼を直接汚染することを避けるためである。すなわち、少なくとも平均電流密度が正となる極性に浸漬ノズルを保たなければならない。一方、直流で長時間、ジルコニアグラファイト系材質を正の極性に保ってしまうと、下記(1)式の反応によって黒鉛が酸化されCOガスが発生してしまう。
C+O2-→CO+2e・・・(1)
黒鉛の酸化は耐火物構造の崩壊に繋がることから避けるべきである。さらにCOガスは下記(2)式の反応によって溶鋼中のアルミニウムを酸化しアルミナを生成するという溶鋼汚染を引き起こす。
2Al+3CO→Al+3C・・・(2)
そこで、交流パルス状の通電波形を用いることによって、ジルコニアグラファイト系材質が正の極性に保たれる時間を短くして、(1)式の反応の進行を抑制する方法を、本発明者らは考案した。交流パルス状の通電波形は、浸漬ノズルの極性が負の場合の平均電流密度×通電時間よりも、浸漬ノズルの極性が正の場合の平均電流密度×通電時間の方を大きくすることによって、浸漬ノズルの平均電流の極性を正とする。これは、酸素イオンが溶鋼側へ移動し溶鋼汚染を引き起こすことを防止するのに必要である。
このように、浸漬ノズルにジルコニアグラファイト系材質を用いて通電する際にデメリットとなりうる2つの現象、すなわち溶鋼への酸素供給とCOガス発生との両方を抑制することによって、通電のメリットを遺憾なく享受することができる。ここで言うメリットとは、無論、浸漬ノズル耐火物へのアルミナの付着を防止する作用を指す。
ジルコニアグラファイト系材質を用いて通電する際にメリットとなる現象は、以下の二つである。一つ目は、浸漬ノズルの平均電流密度の極性を正とすることによって、耐火物に接する溶鋼を脱酸し、溶鋼中のアルミニウムが酸化されアルミナを生じる反応を防止することである。二つ目は、溶鋼と耐火物の界面に生じる反応濡れ現象によって、溶鋼と耐火物との濡れを促進し、その結果として溶鋼中のアルミナ介在物が耐火物表面に付着することを防止する作用である。これらの効果が相乗的に働き、浸漬ノズル内面への介在物の付着を抑制し、ノズルの閉塞を抑制することができる。
2.鋼の連続鋳造方法
以上の技術的思想に基づいて本発明は完成されたものである。
すなわち、本発明は、連続鋳造用の浸漬ノズルの内面の全体あるいは一部に、カーボンを9mass%以上含有するジルコニアグラファイト系の耐火物を配置し、浸漬ノズルに一方の電極を接続するとともに、タンディッシュ内の溶鋼に他方の電極を浸漬して、浸漬ノズルと該浸漬ノズルの内部を通過する溶鋼との間に通電回路を構成し、浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が1~90mA/cmとなり、極性が正負交互に入れ替わる交流パルス状の電流波形で通電し、その交流パルス状波形の周期が0.5ms~20msであり、浸漬ノズルの極性が負の場合の平均電流密度×通電時間よりも、浸漬ノズルの極性が正の場合の平均電流密度×通電時間の方が大きいことによって、浸漬ノズルの平均電流密度の極性が正となるように通電しながら、鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法である。
本発明の連続鋳造方法を実施するための連続鋳造装置は、上述したとおり、浸漬ノズルの内面の全体あるいは一部に耐火物が配置されている。すなわち、浸漬ノズルの内面の少なくとも一部に耐火物が配置されている浸漬ノズルを用いれば、本発明の効果を奏する。好ましくは、浸漬ノズルの内面の20%以上に耐火物を配置することである。また、浸漬ノズル内面において、浸漬ノズルの長手方向の長さの半分より下側(鋳型側)の領域に耐火物が配置されていることが好ましい。浸漬ノズルの内側を通る溶鋼は自由落下しているため、浸漬ノズル内面の上側(タンディッシュ側)は下側(鋳型側)に比べて溶鋼が接触し難いためである。さらに好ましくは、浸漬ノズルの内面の全体に耐火物が配置されていることである。
耐火物としては、カーボン(C)を9mass%以上含有するジルコニアグラファイト系の耐火物を用いる。カーボンとしては、導電性を有するカーボン材料を用いる。例えば、グラファイト等を挙げることができる。カーボンの含有量が9mass%以上であることにより、安定した通電を行うことができる。
一方で、浸漬ノズルの内面に配置される耐火物は、化学組成としてZrOを40~85mass%、CaOを1~30mass%、Cを9~45mass%含有する黒鉛質耐火物であってもよい。あるいは、浸漬ノズルの内面に配置される耐火物は、化学組成としてZrOを50~85mass%、MgOを1~10mass%、Cを9~45mass%含有する黒鉛質耐火物であってもよい。若しくは、浸漬ノズルの内面に配置される耐火物が、化学組成としてZrOを50~85mass%、Yを1~10mass%、Cを9~45mass%含有する黒鉛質耐火物であってもよい。
上記のとおり、ZrOの下限値はCaO、MgO、及びYのうち、何れを用いるかによって変化する。後述の結晶安定化効果以外の耐火物に及ぼす影響が、それぞれ異なるためである。ZrOの含有量が上記の下限値を下回ると耐火物の耐食性が低下し、85mass%を越えると熱衝撃に弱くなる。
Cの含有量が9mass%未満であると電気抵抗が増大して安定した通電が難しくなり、45mass%を越えると耐火物の耐食性が低下する。
CaO、MgO、又はYの役割は、格子欠陥を形成させ、結晶構造を安定化することである。そのため、CaO、MgO、又はYの含有量が1mass%未満であると、耐火物中のジルコニアが不安定化することにより耐火物の耐久性が低下する。一方で、CaOの含有量が30mass%を越えると、これらと介在物であるアルミナとが反応しやすくなる。反応物は融点が著しく低いため、耐火物の溶損が過大になる。また、MgO又はYの含有量が10mass%を越えると、耐火物が熱衝撃に弱くなる。
本発明の連続鋳造方法を実施するための連続鋳造装置は、浸漬ノズルに一方の電極を接続するとともに、タンディッシュ内の溶鋼に他方の電極を浸漬して、浸漬ノズルと該浸漬ノズルの内部を通過する溶鋼との間に通電回路を構成していることが重要である。連続鋳造時に溶鋼と浸漬ノズルとの間を通電するためである。
鋳造時における溶鋼と浸漬ノズルとの間は、極性が正負交互に入れ替わる交流パルス状の電流波形で通電する。その際、浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が1~90mA/cmとする。また、交流パルス状波形の周期は0.5ms~20msとする。さらに、浸漬ノズルの極性が負の場合の平均電流密度×通電時間よりも、浸漬ノズルの極性が正の場合の平均電流密度×通電時間の方が大きいことによって、浸漬ノズルの平均電流密度の極性が正となるようにする。
「浸漬ノズルにおける平均電流密度」とは、電圧を印加したときに浸漬ノズルと溶鋼との間に流れる平均電流値を、溶鋼と接する浸漬ノズル内外面の総面積(通電面積)で除して得られる電流密度を意味する。
「浸漬ノズルの極性が負の場合の平均電流密度」とは、浸漬ノズルの極性が負である場合、すなわち、陰極である場合の浸漬ノズルと溶鋼との間に流れる平均電流値を、溶鋼と接する浸漬ノズル内外面の総面積(通電面積)で除して得られる電流密度を意味し、陰極実効電流密度とも言い換えることができる。「浸漬ノズルの極性が負の場合の平均電流密度×通電時間」とは、浸漬ノズルの極性が負の場合の平均電流密度(陰極実効電流密度)に、浸漬ノズルの極性が負の場合の通電時間(陰極通電時間)を掛けたものである。
同様に、「浸漬ノズルの極性が正の場合の平均電流密度」とは、浸漬ノズルの極性が正である場合、すなわち、陽極である場合の浸漬ノズルと溶鋼との間に流れる平均電流値を、溶鋼と接する浸漬ノズル内外面の総面積(通電面積)で除して得られる電流密度を意味し、陽極実効電流密度とも言い換えることができる。「浸漬ノズルの極性が正の場合の平均電流密度×通電時間」とは、浸漬ノズルの極性が正の場合の平均電流密度(陽極実効電流密度)に、浸漬ノズルの極性が正の場合の通電時間(陽極通電時間)を掛けたものである。
「浸漬ノズルの平均電流密度の極性が正(陽極)となる」とは、浸漬ノズルの極性が負の場合の平均電流密度×通電時間よりも、浸漬ノズルの極性が正の場合の平均電流密度×通電時間の方が大きくなることを表す。
浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が1mA/cm未満になると、酸素イオンの移動による溶鋼の脱酸作用や耐火物・溶鋼界面の反応濡れといった通電効果が失われる虞がある。一方で、浸漬ノズルにおける平均電流密度が90mA/cmを超えると、電流値が大きくなり過ぎてケーブルが太くなるなど実施上の困難な事項が表面化する。平均電流密度の絶対値のより好ましい範囲は、1~10mA/cmである
交流パルス状通電波形の周期が0.5msよりも短いと通電に伴う様々な電気化学反応が十分に進行しなくなり、上記2つの利点(酸素イオンの移動による溶鋼の脱酸作用や耐火物・溶鋼界面の反応濡れといった通電効果)が減少してしまう。一方で、交流パルス状通電波形の周期が20msよりも長いと、陽極通電中に(1)式の反応によってCOガスが発生してしまう。(1)式のCOガス発生反応をより抑制するには、交流パルス通電波形における陽極通電時間を15ms以下とすることが好ましく、10ms以下であることがより好ましい。特に好ましい範囲は3~7msである。
以上より、本発明によれば、浸漬ノズルの内面にジルコニアグラファイト系の耐火物を配置し、パルス波形を用いた所定の通電条件を適用することにより、従来のジルコニアグラファイト系の耐火物を用いた連続鋳造方法に比べて、溶鋼中のアルミナ介在物による浸漬ノズルの閉塞を効果的に防止することができる。
3.連続鋳造装置の一例
次に、本発明の連続鋳造方法を実施するために用いる連続鋳造装置について説明する。図1は、本発明の連続鋳造方法を実施するために用いる連続鋳造装置の一例である連続鋳造装置100を模式的に示した図である。ただし、本発明の連続鋳造方法を実施するために用いる連続鋳造装置はこれに限定されない。
図1に示すように、取鍋1から注がれる溶鋼2を収容するタンディッシュ4は、底部に上ノズル3が設けられ、この上ノズル3の下部に、流量制御機構としてスライディングゲート5と、円筒状の浸漬ノズル6が順に連なって設けられている。浸漬ノズル6の内面の全体あるいは一部に配置される耐火物の構成は上述のとおりである。浸漬ノズル6の内面へ耐火物を配置する方法は、例えば特開2005-199339号公報に記載されている。
さらに、浸漬ノズル6と溶鋼2との間に通電回路を構成するため、浸漬ノズル6に一方の電極7が接続され、その電極7の対極となる他方の電極(以下、「対極」ともいう)8がタンディッシュ4内の溶鋼2に浸漬され、それぞれ配線9a、9bにより電源装置10と接続されている。電極7および対極8は、いずれも導電性を有するグラファイト質の耐火物からなる。また、電極7が接続された浸漬ノズル6は、絶縁用耐火物11によってタンディッシュ4と電気的に絶縁され、溶鋼2に浸漬する対極8は、これを支持する絶縁用耐火物12によりタンディッシュ4から絶縁されている。絶縁用耐火物11、12は、いずれもカーボンを含まないアルミナ質の耐火物である。
本発明の連続鋳造方法では、図1に例示した構成を具備する連続鋳造装置100を用いて鋳造を実施することができる。すなわち、取鍋1からタンディッシュ4に供給された溶鋼2は、上ノズル3、スライディングゲート5、および浸漬ノズル6を通じた後、浸漬ノズル6のノズル吐出孔13から鋳型14内に注入される。このとき、浸漬ノズル6の内部を通過する溶鋼は、スライディングゲート5の開閉度合いにより、その流量が調整される。また、電源装置10の駆動により、電極7と対極8とを介して、浸漬ノズル6と溶鋼2との間に所定の条件で交流パルス波形の通電を行う。
そして、鋳型14に供給された溶鋼2は、湯面に散布されたモールドパウダー17により大気と遮断されながら、鋳型14からの抜熱作用により鋳型14との接触部から凝固殻15を形成し、下方に引き抜かれて鋳片16となる。
以下、実施例に基づいて本発明についてさらに説明する。ただし、本発明はこれに限定されない。
図1に示した連続鋳造装置を用いて連続鋳造を行った。浸漬ノズルの内面に配置する耐火物の組成を表1、2に示した。表1、2中のOthersは、極微量に含まれる化合物や不可避不純物である。
ここで、実施例A、C、D及び比較例G、I~Nに用いた浸漬ノズルの断面を図2(a)に示した。図2(a)に示した浸漬ノズルは、ジルコニアグラファイト系耐火物を浸漬ノズル上端から底部に至る内面全長(吐出孔壁を除く)に配置したものである。実施例B、E、F及び比較例Hに用いた浸漬ノズルの断面を図2(b)に示した。図2(b)に示した浸漬ノズルは、ジルコニアグラファイト系耐火物を浸漬ノズル上端から690mmの範囲の内面、および、浸漬ノズル上端から690mmよりも下の全断面に配置したものである。比較例Oに用いた浸漬ノズルの断面を図2(c)に示した。図2(c)に示した浸漬ノズルは、流路内面にジルコニアグラファイト系耐火物を配置せず、本体のアルミナグラファイト系耐火物とスラグライン(外面)のジルコニアグラファイト系耐火物のみからシンプルに構成された浸漬ノズルである。
なお、図2に示した「A」はアルミナグラファイトを意味し、浸漬ノズルの本体を構成する。「G」はジルコニアグラファイトを意味し、浸漬ノズルのスラグラインを構成する。「R」は耐火物を意味し、図2(a)、(b)の浸漬ノズルの内面等を構成する。「R」の組成は表1、2のとおりであり、「A」、「G」の組成は表3のとおりである。
その他の連続鋳造の条件を示した。連続鋳造装置としては、鋳型厚みが0.3m、鋳型幅が1.2~1.6mの垂直曲げ型スラブ連続鋳造機を用い、非定常部を除く鋳造速度を1.3~1.8m/minとして鋳造した。鋳造した鋼種は、C濃度0.02~0.05mass%、Si濃度0.01~0.04mass%、Mn濃度0.3~0.6mass%、sol.-Al濃度0.02~0.06mass%のアルミキルド低炭素鋼である。通電は、図1に示すように、タンディッシュ内に浸漬したアルミナグラファイト製のロッドを対極として用い、浸漬ノズルの上部に電極を取り付けて行った。
(評価)
浸漬ノズル内面への付着厚さ、および浸漬ノズル内面の溶損厚さは、700~900tonの溶鋼が連続して通過した浸漬ノズルの使用後品を回収し、その縦断面全体の平均付着厚さ、および平均溶損厚さから算出される。本実施例では、それらの結果を用いて平均付着速度および平均溶損速度を求めて比較評価した。評価のための鋳造試験は複数回行い、その平均値を評価に用いた。表1、2において、平均付着速度は比較例Eの値を100として指数化し、浸漬ノズル内面介在物付着速度指数として表した。また、平均溶損速度は比較例Eの値を100として指数化し、浸漬ノズル内面溶損指数として表した。これらの結果を表1、2に示した。
(結果)
実施例A~Fは浸漬ノズル内面介在物付着速度指数が小さかった。
実施例A、Bは、実施例Cに比べると浸漬ノズル内面介在物付着速度指数が小さい値となった。これは、交流パルス状通電波形の周期が実施例Cに比べて短いためであると考えられる。交流パルス状通電波形の周期が長くなるほど、(1)式の反応が起こりやすいためである。
実施例Dは浸漬ノズル内面介在物付着速度指数が5であり、特に小さい値であったが、ノズル内面溶損指数が大きい値となった。これは耐火物中のCaO濃度が過大であったため、CaOが溶鋼中のアルミナ介在物と反応して溶損が進行したためであると考えられる。CaOとアルミナとの反応物は融点が低く、溶融し易いためである。そのため、実施例Dはアルミナ介在物の付着は進行しないものの、溶損した耐火物とアルミナ介在物が合体した大きな介在物が鋳片内に持ち込まれ品質欠陥を生じる虞がある。
実施例E、Fは、それぞれ実施例Bに対しジルコニア安定化剤がマグネシア、イットリアに代わったものであるが、それらの作用効果は実施例Bと差違がなかった。
比較例G及びHは、実施例A及びBのそれぞれと同じ組成の耐火物を使用しているが、通電を行っていない例である。そのため、比較例G及びHは通電によるアルミナ介在物の付着防止効果が享受できず、浸漬ノズル内面の介在物の付着が進行したと考えられる。
比較例Iは、実施例Dと同じ組成の耐火物を使用しているが、通電を行っていない例である。そのため通電によるアルミナ介在物の付着防止効果やCO発生防止効果が享受できず、実施例Dよりもさらにアルミナ介在物の付着や耐火物の損耗が進行した。
比較例J~Mは、実施例Aと同じ組成の耐火物を使用しているが、通電条件がそれぞれ異なる。比較例J~Mは実施例Aに比べて、浸漬ノズル内面介在物付着速度指数が大きい結果となった。
比較例Jについては、極性が陰極(負)であったため、酸素イオンが溶鋼中に供給されやすくなり、溶鋼汚染を引き起こしたためと考えられる。比較例Kについては、交流パルス状通電波形の周期が短すぎるため、通電に伴う種々の電気化学反応が十分に進行しなかったためと考えられる。比較例Lについては、交流パルス状通電波形の周期が長いため、浸漬ノズルの極性が正となる時間が長く、(1)式の反応が起こりやすい条件であったためであると考えられる。比較例Mについては、通電を直流で行っているため、比較例Iよりもさらに浸漬ノズルの極性が正となる時間が長く、耐火物が不安定になり分解したためと考えられる。
比較例Nは、実施例Aと同様の通電条件であるが、カーボン(C)の含有量が少なくなっている。比較例Nは実施例Aに比べて浸漬ノズル内面介在物付着速度指数が大きい結果となった。これは、耐火物中のCの含有量が少なく、通電の安定性が低下したためと考えられる。
比較例Oは、実施例Aと同様の通電条件であるが、耐火物の主な組成がアルミナグラファイトである例である。比較例Oは実施例Aに比べて浸漬ノズル内面介在物付着速度指数が大きい結果となった。これは、アルミナグラファイトを主な組成として含有することにより、自由電子が支配的な電荷キャリアとなり、(1)式の反応が促進されたためと考えられる。
本発明の鋼の連続鋳造方法によれば、浸漬ノズルの内面に配置される耐火物の組成、及び、連続鋳造装置への通電にパルス状の電流波形を用いて通電条件を適正化することにより、浸漬ノズル内面への介在物の付着を抑制し、ノズルの閉塞を抑制することができる。従って、本発明の鋼の連続鋳造方法は、ノズルの閉塞を抑制し、安定した操業を実施できる極めて有用な技術である。
1: 取鍋
2: 溶鋼
3: 上ノズル
4: タンディッシュ
5: スライディングゲート
6: 浸漬ノズル
7: 電極
8: 対極
9a: ケーブル
9b: ケーブル
10: 電源装置
11: 絶縁用耐火物
12: 絶縁用耐火物
13: 吐出口
14: 鋳型
15: 凝固殻
16: 鋳片、
17: モールドパウダー
100: 連続鋳造装置

Claims (4)

  1. 連続鋳造用の浸漬ノズルの内面の全体あるいは前記内面の吐出孔壁を除く全体に、カーボンを9mass%以上含有するジルコニアグラファイト系の耐火物を配置し、前記浸漬ノズルに一方の電極を接続するとともに、タンディッシュ内の溶鋼に他方の電極を浸漬して、前記浸漬ノズルと該浸漬ノズルの内部を通過する溶鋼との間に通電回路を構成し、前記浸漬ノズルにおける平均電流密度の絶対値が1~90mA/cmとなり、極性が正負交互に入れ替わる交流パルス状の電流波形で通電し、その交流パルス状波形の周期が0.5ms~20msであり、前記浸漬ノズルの極性が負の場合の平均電流密度×通電時間よりも、前記浸漬ノズルの極性が正の場合の平均電流密度×通電時間の方が大きいことによって、前記浸漬ノズルの平均電流密度の極性が正となるように通電しながら、鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記浸漬ノズルの内面に配置される前記耐火物が、化学組成として、ZrOを40~85mass%、CaOを1~30mass%、Cを9~45mass%含有する黒鉛質耐火物であることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造方法。
  3. 前記浸漬ノズルの内面に配置される前記耐火物が、化学組成として、ZrOを50~85mass%、MgOを1~10mass%、Cを9~45mass%含有する黒鉛質耐火物であることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造方法。
  4. 前記浸漬ノズルの内面に配置される前記耐火物が、化学組成として、ZrOを50~85mass%、Yを1~10mass%、Cを9~45mass%含有する黒鉛質耐火物であることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造方法。
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