JP5102683B2 - 希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、希土類元素を含有する溶鋼を溶製または鋳造する際に、取鍋および/またはタンディッシュの出鋼口に設けられるスライディングノズルプレートと溶鋼との接触面に、希土類元素系の介在物の付着しにくい耐火物を用いることにより、ノズル閉塞を防止する鋼の鋳造方法に関する。
鋼の高温耐食性を向上させ、鋼中の硫化物や酸化物の形態を制御するために、希土類元素(以下、REMという)の添加が行われており、このような鋼は一般に連続鋳造によって製造されている。
溶鋼の連続鋳造において、取鍋からタンディッシュへ、そしてタンディッシュから鋳型内へと溶鋼を供給する手段として、耐火物製のノズルが用いられている。取鍋およびタンディッシュの出鋼口に設けられたノズルから溶鋼を排出する場合に、溶鋼中の成分と、耐火物を構成する成分とが化学反応を起こして、溶鋼と接触するノズルの壁面に反応生成物が生成するとともに、溶鋼中に存在する非金属介在物が、この反応生成物に付着し、ノズル閉塞の進行が助長される。
これらの反応生成物および反応生成物に付着した介在物(以下、これらを総称して「内面付着物」とも記す)が増加するにつれて、溶鋼が通過できるノズルの有効流路断面積が減少し、ノズルの閉塞が進行するとともに、流路の断面形状が不均一となり、タンディッシュまたは鋳型内に供給される溶鋼流量は不安定となる。そのため、例えば浸漬ノズルが2孔ノズルの場合には、各孔から鋳型内に供給される溶鋼流量や孔からの吐出流速が不均等となり、鋳型内の溶鋼の流動が乱れ、メニスカスのレベル変動を助長したり、メニスカスにおける溶鋼流速を変動させたりする場合が生じる。このような乱れが生じると、溶鋼中へのモールドフラックスの巻き込みや、初期凝固シェルの成長が不均一となって、鋳片の表面割れが発生し、鋳片の品質が低下する。
さらに、ノズルの閉塞が進行すると、所定量の溶鋼をタンディッシュや鋳型内に供給することが困難となり、鋳造速度を低下させるか鋳造を中断しなければならなくなる場合も発生する。
また、ノズルの閉塞が進行すると、上述のように鋳片の生産効率が低下するだけでなく、肥大した内面付着物が剥離して鋳片に混入し、製品欠陥の原因ともなる。
このような、ノズルの閉塞を防止する技術として、例えば特許文献1には、浸漬ノズルの内壁を金属Mo50〜90%、ZrO210〜50%を主成分とする物質層で形成することによって、アルミナや希土類元素系介在物の付着を抑制する方法が開示されている。
しかし、この浸漬ノズルには金属Moが使用されているため、連々数(連続鋳造の繰り返し数)の増加に伴って、ノズル内部を流下する溶鋼とノズルの金属Moとの合金化が起こるおそれがあり、製品に悪影響を及ぼす可能性も無視できない。もちろん、金属Moの使用量が増加するに伴い、コストが増大することとなる。また、同文献では溶鋼中のREM濃度について記載がないため、溶鋼がREMを含有する場合のノズルの閉塞防止効果については明らかでない。さらに、主成分である金属Mo、ZrO2のほか、少量のAl23、CaO、MgO等を含有するものであっても同様の効果が得られると記載されているが、その濃度や閉塞防止効果に及ぼす影響についても不明である。
また、特許文献2には、MgOを含有する耐火物材料に金属Al、Ti、Zr、CeおよびCaのうち1種または2種以上の金属と炭素とを配合した耐火物でノズル内壁等、少なくともその一部分が構成された浸漬ノズルを使用することによって、ノズル内壁へのアルミナの付着を抑制し、ノズル閉塞を防止する技術が開示されている。
しかし、特許文献2には、通常の炭素鋼やステンレス鋼等の連続鋳造については記載されているものの、REMを含有する溶鋼の鋳造については記載も示唆もされていないため、REM含有鋼に対する効果については明らかでない。
特許文献3には、浸漬ノズルの内壁にREMの酸化物のコーティング層を設け、溶鋼中のREMの酸化を抑制し、REMを含有する溶鋼の連続鋳造時のノズル閉塞を抑制する技術が開示されている。しかし、この技術では、コーティング層の厚みは高々5mmであるため、鋳造が長時間にわたる場合には、そのコーティング層を持続させるのが難しいという問題がある。さらに、REMの酸化物は吸湿性が高いため、取り扱いや保管が難しいという課題もある。
さらに、いずれの特許文献にも、単に浸漬ノズルの閉塞防止しか記載されておらず、浸漬ノズルに比べて複雑な形状を有するスライディングノズルプレートが設けられた場合に懸念される、ノズルの閉塞防止については記載されていない。
スライディングノズルプレートにおける内面付着物の生成を防止する方法としては、スライディングノズルプレートにアルゴン等の不活性ガスを吹き込む方法が従来から用いられている。しかし、この方法では、吹き込まれた不活性ガスが溶鋼中に捕捉され、ピンホール欠陥を含んだ状態で凝固する場合もあるため、必ずしも有効な方法ではない。
特開昭61−103655号公報(特許請求の範囲、第2頁および第3頁) 特開2004−249292号公報(特許請求の範囲、段落[0045]および[006]) 特許3891086号公報(特許請求の範囲および段落[0027]、[0028]、[0033]および[0034])
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は溶鋼の流量調整機構としてスライディングノズルプレートを用いて、REMを含有する溶鋼を連続鋳造する際に、内面付着物の生成を抑制することができるスライディングノズルプレートを用いた連続鋳造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、以下の実験を行って、従来技術の問題点を検討した。
(a)鋳造後の従来のノズル内部の状態について
従来のノズルにおける問題点を明らかにするために、垂直型連続鋳造機を用いて、REM含有溶鋼を連続鋳造した後の、タンディッシュの出鋼口に設けられた浸漬ノズルの状態について調査する実験を行った。
図1は、タンディッシュから溶鋼を排出するタンディッシュノズルの構成を示す図である。図1に示すように、タンディッシュノズル10は、タンディッシュ35側から順に上ノズル11、3層構成のスライディングノズルプレート12および浸漬ノズル13からなる。
表1に示す成分組成のCr鋼系のREM含有溶鋼を用いて連続鋳造を行った。スライディングノズルプレートおよび浸漬ノズルを構成する耐火物の成分組成は、表2に示すように、それぞれアルミナおよびアルミナグラファイトを主成分とするものである。連続鋳造は、スループット0.34t/min、溶鋼過熱度90〜100℃の条件下で行った。以下の説明では、鋼および耐火物の成分組成についての「mass%(質量%)」を、単に「%」とも表示する。
Figure 0005102683
Figure 0005102683
図1に、鋳造後のタンディッシュノズルの内部の状態を模式的に示す。鋳造後のタンディッシュノズルの内部を観察したところ、溶鋼が凝固した地金40が付着していた。地金40の付着は、同図に示すように、浸漬ノズル13内よりも、スライディングノズルプレート12の溶鋼との接触面(溶鋼通過面)において顕著であった。
さらに、スライディングノズルプレート12と付着した地金40との界面を調査したところ、粒径10μm以下の、酸化物、硫化物、酸硫化物等のREM系介在物が凝集、付着していた。
このことから、スライディングノズルプレートが全開の場合以外には、スライディングノズルプレートの周辺では、溶鋼の流路に段差ができることから溶鋼の流れに乱れや淀みが生じ、そのために介在物が付着しやすくなり、内面付着物の成長が助長されると考えられる。
(b)ノズルの形状と閉塞との関係について
そこで、REMを含有する溶鋼を鋳造した場合のノズルの閉塞におよぼすノズル内部の形状の影響について調査するため、取鍋の出鋼口から、形状の異なる排出ノズルを介して溶鋼を排出する実験を行った。
図2および図3は、排出ノズルを設けた取鍋の構成を示す図である。図2では、取鍋30の底部の出鋼口31に排出ノズルとして、一定の内径を有するストレート型ノズル21を配置した。また、図3では、スライディングノズルプレートを設けた場合を模して、取鍋30の底部の出鋼口31の下面に排出ノズルとして、溶鋼の入口となる部分に内径を絞った絞り部23を設けた絞り型ノズル22を配置した。
ストレート型ノズル21は内径24mm、長さ200mmであり、絞り型ノズル22はストレート型ノズル21の溶鋼の入口部から10mmの領域を内径14mmまで絞った形状とした。ストレート型ノズル21および絞り型ノズル22はいずれも78.5%Al23−18.7%SiO2の組成を有する耐火物により作製されたものである。
ストレート型ノズル21を設けた取鍋30においてはREMの濃度の異なる4種類の溶鋼a1〜a4を、また、絞り型ノズル22を設けた取鍋30においてはREMの濃度の異なる2種類の溶鋼b1、b2を溶製し、使用した。溶鋼の組成を表3に示す。
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溶鋼過熱度60〜65℃の条件で同表に示す6種類の溶鋼1トンを溶製し、ストレート型ノズル21または絞り型ノズル22を介して排出させた。その結果、ストレート型ノズル21では、溶鋼a1〜a4とも排出過程においてノズルの閉塞に至ることなく、溶鋼全量を排出させることができた。また、溶鋼排出後のノズルの内壁には、地金や介在物の付着は見られなかった。
一方、絞り型ノズル22では、溶鋼b1、b2ともに、溶鋼の排出の初期から、ノズルの出口から観察される溶鋼流にゆらぎが見られ、約600〜700kgを排出した時点でノズルの閉塞に至った。
この結果から、絞り型ノズル22の絞り部23は、ノズル内を通過するREMを含有する溶鋼流に乱れや淀みを生じさせるため、これがノズル閉塞の起点、すなわち介在物等からなる内面付着物の形成の起点になると考えられる。
実際の連続鋳造プロセスでは、取鍋および/またはタンディッシュのノズルにスライディングノズルプレートが設けられているため、ノズル内を通過する溶鋼流には乱れや淀みが生じやすく、上述の絞り型ノズルの場合よりも閉塞しやすい条件にあるといえる。
スライディングノズルプレートが設けられたノズルを介して取鍋からタンディッシュへ、またはタンディッシュから鋳型へREMを含有する溶鋼を排出する場合、最初に溶鋼流の乱れや淀みの生じるスライディングノズルプレートの表面にREM系の化合物からなる反応生成物が生成する。そして、この反応生成物に溶鋼中REM系介在物が付着する。一旦付着が始まると、その箇所の付着物が加速度的に成長し、ノズル内部の、溶鋼の通過有効断面積が縮小する。
また、取鍋またはタンディッシュから溶鋼を排出する過程において、成長した付着物の一部が時折剥離する。この剥離物は溶鋼と多量のREM系介在物との混合物であり、溶鋼よりも粘度が高いため、流動性が悪く、ノズル内を通過する過程において再びノズルの内壁に付着しやすい性質を有する。そのため、ノズル本体の閉塞は、スライディングノズルプレートからの剥離物も影響すると考えられる。
(c)溶鋼と耐火物との界面における反応について
前記(a)および(b)で得られた知見をふまえ、ノズル閉塞の起点となる反応生成物を生成する、溶鋼と耐火物との界面における反応に着目し、以下の実験を行った。
REMの濃度が異なる2種類の溶鋼を、3種類の耐火物で作製されたるつぼ内で溶製した。溶鋼として、表4に示すように、純鉄ベースの組成を有する溶鋼cおよびCr鋼系の組成を有する溶鋼dを用いた。溶鋼cにはREMを0.001〜0.62%の範囲で10種類の量に変化させて含有させ、溶鋼dには0.058〜0.13%の範囲で6種類の量に変化させて含有させた。るつぼを構成する耐火物には、表5に示す組成の、アルミナ、アルミナグラファイトおよびマグネシアを用いた。
Figure 0005102683
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鋼の溶製は、アルゴン雰囲気下において、溶鋼過熱度約70℃で10分間または60分間保持することによって行った。溶鋼を過熱状態で所定の時間保持した後、るつぼに入ったままで急冷し、るつぼと鋼とを縦断面方向に切断して、るつぼと鋼との界面を光学顕微鏡によって観察した。
図4は、溶鋼中のREM濃度とるつぼ内壁における付着物の有無の関係を示すグラフである。アルミナを含む耐火物1および2を用いたるつぼの場合、REM濃度が高々0.001%程度であっても、また、溶鋼保持時間が10分程度であっても付着物が観察された。付着物は、粒径約10μm以下のREM系介在物がるつぼ内壁に凝集し、数百μm〜1mm程度の厚さの層状に形成されていた。
さらに、るつぼ内壁と鋼との界面について、SEM/EDSを用いて面分析を実施したところ、耐火物1および耐火物2において、耐火物成分のAlおよびSiが鋼中に溶出し、耐火物のAlまたはSiが溶出した部分においてREMが濃化して、Al−Si−REM系の複合酸化物等の反応生成物が生成し、その上に介在物が付着していることがわかった。
一方、マグネシアからなる耐火物3を用いたるつぼの場合には、REM濃度が0.3%程度であっても、また、溶鋼保持時間が60分程度であっても介在物の付着は認められず、面分析によっても耐火物におけるREMの濃化はみられなかった。このことから、マグネシア耐火物は溶鋼中のREMとの反応抑制効果を有することが判明した。
すなわち、耐火物1および耐火物2では、REMによってAl23およびSiO2が還元されて、溶鋼中に酸素が溶解し、るつぼ内壁と溶鋼との界面において、REM系の反応生成物の生成が助長されるため、介在物が付着しやすいのに対して、耐火物3では、MgOがAl23およびSiO2に比べて熱力学的に安定であり、REMとの反応が起こりにくいことから、介在物の付着を抑制する効果を有すると考えられる。
図5は、酸化物の生成自由エネルギーと温度との関係を表すグラフである。同図から、熱力学的に安定な酸化物として、MgOおよび、MgOよりも安定なCaOやLa23やNd23等のREM酸化物が挙げられる。しかし、CaOやREM酸化物は吸湿性が高く、耐火物中のCaOやREM酸化物の含有量が増大するほど使用上の管理が難しくなるため、これらの点を考慮すると、CaOやREM酸化物に比べて吸湿性の低いMgOが好ましい。
耐火物中のMgOの濃度は、後述する実施例で示すように、るつぼ内壁と溶鋼との界面における反応抑制効果を期待しうる60%以上とすることが望ましく、85%以上とすることがより好ましい。
鋼にREMを添加する目的は、前記のように鋼の高温耐食性を向上させ、鋼中の硫化物や酸化物の形態を制御するためである。REMの添加の効果は、0.001%以上で現れる。しかし、REMは高価であり、過剰に添加しても効果が飽和するため、費用対効果の点から0.10%以下とすることが好ましい。
本発明は、上記の知見に基づきなされたものであり、下記の(1)および(2)に示される連続鋳造方法を要旨としている。なお、このうちの(1)に示される連続鋳造方法は、本発明の参考例としての発明である。
(1)希土類元素を0.001〜0.10質量%の範囲内で含有する溶鋼の連続鋳造方法であって、取鍋および/またはタンディッシュから前記溶鋼を排出するノズルにおける溶鋼流量調整機構として、溶鋼との接触面を希土類元素系の介在物が付着しにくい耐火物により構成された、二層または三層構成のスライディングノズルプレートを使用することにより、前記ノズルの閉塞を防止することを特徴とする、希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造方法。
(2)希土類元素を0.001〜0.10質量%の範囲内で含有する溶鋼の連続鋳造方法であって、取鍋および/またはタンディッシュから前記溶鋼を排出するノズルにおける溶鋼流量調整機構として、溶鋼との接触面を、MgOを85質量%以上含有する耐火物により構成された、二層または三層構成のスライディングノズルプレートを使用することにより、前記ノズルの閉塞を防止することを特徴とする、希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造方法。
本発明において、「希土類元素系の介在物が付着しにくい耐火物」とは、溶鋼との界面において反応生成物が生成しにくい耐火物、または、溶鋼との界面において反応生成物が生成しにくく、かつ、反応生成物にREM介在物が付着しにくい耐火物を意味する。ここで、反応生成物が生成しにくい耐火物とは、前記のとおり、熱力学的にMgOと同等か、または、それ以上に安定な酸化物により構成された耐火物を意味する。
また、「希土類元素」とは、周期表の3族に属するSc、Y、ランタノイド(La,Ce等、原子番号57〜71の15元素)から選ばれた1種以上の金属元素を意味し、特に、Ce、La、PrまたはNdのうちの1種以上の元素が該当する。
本発明によれば、スライディングノズルプレートの溶鋼通過面にREM系介在物が付着しにくい耐火物を使用することによって、ノズルの閉塞の原因となる内面付着物の起点となる反応生成物の生成を抑制し、ノズルの閉塞を抑制することが可能である。また、本発明は、取鍋ノズルや浸漬ノズルは従来のものをそのまま使用できるため、操業上のトラブルや生産コストに及ぼす影響はほとんどない。
本発明に係る連続鋳造方法は、希土類元素を0.001〜0.10質量%の範囲内で含有する溶鋼の連続鋳造方法であって、取鍋および/またはタンディッシュから前記溶鋼を排出するノズルにおける溶鋼流量調整機構として、溶鋼との接触面を希土類元素系の介在物が付着しにくい耐火物により構成した、二層または三層構成のスライディングノズルプレートを使用することにより、前記ノズルの閉塞を防止することを特徴とする。
図6は、本発明に係るスライディングノズルプレートの構成例を示す図である。
スライディングノズルプレート1は、上プレート2、下プレート4および上プレート2と下プレート4との間を摺動する摺動プレート3とを備える。上プレート2、下プレート4および摺動プレート3は中央に溶鋼が通過する溶鋼通過孔5を有し、摺動プレート3を摺動させて各プレートの溶鋼通過孔5の重なりを調整することにより、溶鋼の流量を調整する。
また、上プレート2、下プレート4および摺動プレート3の溶鋼通過孔5の周囲は、MgOを含有する耐火物からなる溶鋼流出孔部材6により構成されている。溶鋼流出孔部材6の厚さは任意であるが、例えば摺動プレート3の摺動方向において、溶鋼通過孔5の直径の10%の以上の厚さであればよい。
溶鋼流出孔部材6を構成する耐火物中のMgOの濃度は、60%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。これは、耐火物中のMgO濃度が60%未満の場合、耐火物の原料である鉱物に由来して混入するAl23やSiO2が多くなり、溶鋼中のREMと反応して耐火物の表面に生成する反応生成物が増加するため、反応生成物に付着する内面付着物も増加し、スライディングノズルプレート1の閉塞が促進されるからである。また、耐火物中のMgO濃度が85%以上となり、Al23やSiO2の濃度が15%以下になると、溶鋼中のREMの濃度が0.01%以上の場合または連々数が増大した場合においても耐火物と溶鋼中のREMとの反応性が高まることがなく、付着物の生成および介在物の付着を防止する上で一層好ましい。一方、耐火物中のMgO濃度は98%以下とすることが好ましい。MgO濃度が98%を超えて高くなると、溶鋼流出孔部材6に亀裂や割れが生じやすくなるなどの影響が現れ、好ましくないからである。
上述のスライディングノズルプレートを用いた、希土類元素を含有する溶鋼を鋳造する連続鋳造方法においては、溶鋼中のCe、La、PrおよびNdなどのREMの濃度を0.001〜0.10%とすることが好ましい。これは、REMの添加の効果は0.001%以上で現れるからであり、一方、REMは高価であり、過剰に添加しても効果が飽和するため、費用対効果の点から0.10%以下とすることが好ましいからである。溶鋼中のREM濃度を0.001〜0.10%の範囲とした場合には、後述する実施例で示すように、溶鋼流出孔部材中のMgO濃度が85%以上であれば、十分に閉塞防止効果を有すると考えられる。
本発明のスライディングノズルプレートおよび連続鋳造方法の効果を確認するため、以下に示す試験を実施して、その結果を評価した。
〔試験条件〕
前記図6に示すスライディングノズルプレートにおいて、各プレートの本体部分には表6に材質d(基材)として示す成分組成のものを用い、溶鋼流出孔部材には材質a〜cとして示すMgOの濃度の異なる3種類の成分組成のものを用いたスライディングノズルプレートを用意した。そして、これらをタンディッシュと浸漬ノズルとの間に配置して連続鋳造を行い、本発明例の試験とした。浸漬ノズルは表6に材質e(ノズル)として示す成分組成を有するアルミナグラファイトを使用した。スライディングノズルプレートの各プレートの溶鋼通過孔の内径および浸漬ノズルの内径は、それぞれ40mmおよび66mmとした。
また、比較例の試験として、溶鋼流出孔部材の組成成分を本体部分と同じ表6の材質d(基材)とした、従来のスライディングノズルプレートについても同様に連続鋳造を実施した。
Figure 0005102683
2.5トン高周波誘導炉を用いて、SiおよびMnによる予備複合脱酸を施した溶鋼(組成:0.10%C−0.25%Si−0.40%Mn−9%Cr)を2.5トン溶製し、その後、高周波誘導炉から上注ぎで取鍋に溶鋼を移し替えた。取鍋内には、移し替える溶鋼に対して0.010〜0.025%相当の金属Alおよび0.01〜0.20%相当のREMを予め装入しておき、溶鋼の注入によって溶鋼中にAlおよびREMを溶解させることにより溶鋼中に添加した。AlおよびREMの溶鋼中の添加歩留まりはそれぞれ60〜70%および30〜40%であった。
AlおよびREMを添加した取鍋中の溶鋼を、タンディッシュを介して垂直型連続鋳造機に注入し、スループット0.34t/min、溶鋼過熱度90〜100℃の条件下で鋳造した。
〔試験結果〕
図7は、溶鋼中のREM濃度と鋳造後のスライディングノズルプレートに付着したREM系介在物の厚さとの関係を示すグラフである。介在物の厚さは、閉塞部サンプルを縦方向に切断し、切断面(縦断面)を研磨したサンプルを光学顕微鏡で観察することによって測定した。図7からわかるように、全ての比較例および実施例においてスライディングノズルプレートへのREM系介在物の付着が見られた。また、スライディングノズルプレートの溶鋼流出孔部材のMgO濃度が高いほど付着した介在物層は薄く、溶鋼流出孔部材が同じ材質の場合には溶鋼中のREMの濃度が高いほど付着した介在物層は厚いことがわかった。上記の結果から、MgOにはREM系介在物の付着を抑制する効果があり、MgO濃度が高いほど、その効果が高いことがわかった。
また、後述するように、本発明例については、全ての試験において安定して鋳造することができたのに対して、比較例では、全ての試験において安定した鋳造が困難か、またはノズルの閉塞が生じた。この結果と図7に示した結果とを併せると、付着したREM系介在物の厚さが6mm以上の場合には、安定した鋳造が困難となるかまたはノズルが閉塞すると考えられる。
表7には、評価項目を「完鋳の達成の有無」および「浸漬ノズル内壁への地金の付着の有無」として、試験結果を示した。
表7において「完鋳」とは、取鍋中の2.5トンの溶鋼を全て鋳造できたことを意味し、○印は完鋳を達成したことを示す。△印は、完鋳は達成したものの、連続鋳造機の鋳型における湯面変動が大きく鋳造が不安定であったことを示し、×印は、取鍋中の溶鋼が残った状態で浸漬ノズルが閉塞したことを示す。
「浸漬ノズル内壁の地金付着」とは、鋳造終了後に浸漬ノズルを観察した際に、内壁に鋼が付着していたかどうかを表す。表7中で、「あり」は、内壁に鋼が付着し、鋳造に影響が生じたことを示し、「なし」は、鋼の付着が全く見られなかったことを示す。また、「軽微」とは、部分的に鋼の付着が見られたが、その厚さが5mm未満であり、鋳造には問題がない程度であったことを示す。
Figure 0005102683
表7に示すように、比較例1および2では、溶鋼の完鋳は達成できたものの、スライディングノズルプレートの溶鋼通過孔におけるREM系介在物の付着に加えて、浸漬ノズル内壁における地金の付着が見られ、スライディングノズルプレートを含むノズル全体の閉塞が顕著に進行していた。そのため、浸漬ノズルからの溶鋼の供給が不安定となり、鋳型内の湯面の変動が大きく、安定して鋳造を行うことが困難であった。さらに、比較例1および2よりもREM濃度の高い比較例3では、浸漬ノズルが閉塞したため溶鋼の完鋳を達成することができなかった。
一方、材質aからなる溶鋼流出孔部材を内挿したスライディングノズルプレートを用いた本発明例1〜3では、溶鋼中のREM濃度が0.016〜0.10%の範囲においてノズルの閉塞に至ることなく2.5トンの溶鋼の完鋳を達成することができた。また、浸漬ノズル内壁における地金の付着は認められなかった。
材質bからなる溶鋼流出孔部材を内挿したスライディングノズルプレートを用いた本発明例4および5では、溶鋼中のREM濃度が0.020%および0.080%の場合においてノズルの閉塞に至ることなく2.5トンの溶鋼の完鋳を達成することができた。また、浸漬ノズル内壁における地金の付着は認められなかった。しかし、図7からわかるように、REM濃度が0.080%である本発明例5では、REM系付着物の厚さが、安定した鋳造が可能な臨界値である6mmに近くなっており、REM濃度が高い場合には材質aと比べて閉塞を防止する効果が劣ることがわかった。
材質cからなる溶鋼流出孔部材を内挿したスライディングノズルプレートを用いた本発明例6および7では、溶鋼中のREM濃度が0.006%および0.015%の場合においてノズルの閉塞に至ることなく2.5トンの溶鋼の完鋳を達成することができた。しかし、本発明例6では浸漬ノズル内壁における地金の付着は認められなかったものの、本発明例7ではわずかに付着が見られた。また、図7からわかるように、材質cでは、材質aおよびbと比べて低いREM濃度でREM系付着物が厚く、閉塞を防止する効果が劣ることがわかった。
これらの結果から、溶鋼流出孔部材中のMgO濃度が60%以上のときは、REM濃度が0.015%以下の溶鋼に対して閉塞防止効果を有し、溶鋼流出孔部材中のMgO濃度が85%以上のときは、REM濃度が0.10%以下の溶鋼に対しても閉塞防止効果を有することが確認された。
本発明の連続鋳造方法は、スライディングノズルプレートの溶鋼通過面にREM系介在物が付着しにくい耐火物を使用することによって、ノズルの閉塞の原因となる内面付着物の起点となる反応生成物の生成を抑制し、ノズルの閉塞を抑制することができるため、REMを含有する溶鋼を鋳造するのに好適である。したがって、本発明の方法は、取鍋ノズルや浸漬ノズルには従来品を使用しながら、ノズルの閉塞を抑制することができる連続鋳造方法として、鋳造工程において広範に適用できる。
タンディッシュから溶鋼を排出するタンディッシュノズルの構成を示す図である。 通常の排出ノズルを設けた取鍋の構成を示す図である。 絞り部を有する排出ノズルを設けた取鍋の構成を示す図である。 溶鋼中のREM濃度とるつぼ内壁の付着物の有無の関係を示すグラフである。 酸化物の生成自由エネルギーと温度との関係を表すグラフである。 本発明に係るスライディングノズルプレートの構成例を示す図である。 溶鋼中のREM濃度と鋳造後のスライディングノズルプレートに付着したREM系介在物の厚さとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1:スライディングノズルプレート、 2:上プレート、 3:摺動プレート、
4:下プレート、 5:溶鋼通過孔、 6:溶鋼流出孔部材、
10:タンディッシュノズル、 11:上ノズル、
12:スライディングノズルプレート、 13:浸漬ノズル、
21:ストレート型ノズル、22:絞り型ノズル、 23:絞り部、 30:取鍋、
31:出鋼口、 35:タンディッシュ、 40:地金

Claims (1)

  1. 希土類元素を0.001〜0.10質量%の範囲内で含有する溶鋼の連続鋳造方法であって、
    取鍋および/またはタンディッシュから前記溶鋼を排出するノズルにおける溶鋼流量調整機構として、溶鋼との接触面を、MgOを85質量%以上含有する耐火物により構成された、二層または三層構成のスライディングノズルプレートを使用することにより、
    前記ノズルの閉塞を防止することを特徴とする、希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造方法。
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