JP5366444B2

JP5366444B2 - 助手席用エアバッグ装置

Info

Publication number: JP5366444B2
Application number: JP2008143016A
Authority: JP
Inventors: 雅義熊谷; 保人宮田
Original assignee: Takata Corp
Current assignee: Takata Corp
Priority date: 2008-05-30
Filing date: 2008-05-30
Publication date: 2013-12-11
Anticipated expiration: 2028-05-30
Also published as: US20090295136A1; US7878534B2; JP2009286339A

Description

本発明は、自動車の助手席用エアバッグ装置に関するものであり、特に、膨張しつつあるエアバッグの形状を規制するための展開規制シートを備えた助手席用エアバッグ装置に関する。

i）助手席用エアバッグ装置として、ダッシュボードの内部に配置されるリテーナと、該リテーナ内に配置されたエアバッグ折畳体と、該エアバッグを膨張させるためのインフレータと、該リテーナを閉蓋するリッドとを備えたものがある。

特許第３４０６２７７号の０００２段落に記載されている通り、車両の衝突時にインフレータが発生するガスによりエアバッグが車室内に展開する場合、展開初期の容積が小さいエアバッグは急激に膨張し、展開後期の容積が大きいエアバッグはゆっくりと膨張する。また、エアバッグは膨張の過程でリッドの脆弱部を破断して車室内に展開するため、リッドが破断した瞬間に車室内に飛び出す速度が大きいことがある。

同号特許には、折り畳んだエアバッグとリッドの内面との間に、所定長さの帯状の展開規制シートを設けることが記載されている。この展開規制シートは、その一端側がリテーナの後縁に固定されると共に、他端側がエアバッグ折畳体を車体後方側から車体前方側に覆っている。

エアバッグの膨張時には、一端側がリテーナの後縁に連結され、他端側が自由端となっている展開規制シートが膨張途中のエアバッグの車体後方側部分に沿って延在するようになるため、この展開規制シートとエアバッグの車体後方側との間に摩擦が生じ、この摩擦により、エアバッグは車体前方側が先に展開し、車体後方側が遅れて展開するようになる。

ii）特開２０００−２４７１９９号公報には、エアバッグの車体後方側から上側を通って車体前方側へ引き回され、且つ車体前後方向の両端側がそれぞれリテーナに連結されたループ状の展開規制シートが記載されている。同号公報の展開規制シートにあっては、その長手方向の中央よりも一端側及び他端側の途中部同士が縫い合わされて縫い合わせ部が形成されている。また、この縫い合わせ部よりも展開規制シートの長手方向中央側には、該展開規制シートを横切る切れ目が形成されている。

同号公報では、エアバッグの展開当初は、この縫い合わせ部によって一時的にエアバッグの展開が規制される。その後、エアバッグの膨張圧によりこの縫い合わせ部が破断すると、エアバッグは、展開規制シートが最大展開形状となるまで膨張する。この際、該縫い合わせ部の破断にエアバッグの展開力が消費されるため、エアバッグの乗員側への展開速度が小さくなる。

展開規制シートが最大展開形状となるまでエアバッグの膨張が進行すると、エアバッグのそれ以上の膨張が展開規制シートによって一時的に拘束される。その後、エアバッグの膨張圧により展開規制シートがその切れ目から破れ、この切れ目の破断箇所からエアバッグの膨張がさらに進行し、エアバッグが最大膨張形状となる。
特許第３４０６２７７号特開２０００−２４７１９９号公報

上記特許第３４０６２７７号及び特開２０００−２４７１９９号公報では、エアバッグの非膨張時には、展開規制シートは、折り畳まれた状態でエアバッグ折畳体とリッドとの間に介在している。

しかしながら、上記特許第３４０６２７７号及び特開２０００−２４７１９９号公報では、展開規制シートは単に折り畳まれてエアバッグ折畳体とリッドとの間に配置されているだけなので、折りが崩れたり、ずれ動いたりし易い。

本発明は、展開規制シートを備えた助手席用エアバッグ装置において、エアバッグ膨張前の展開規制シート折畳体を所定状態に保持しておくことが可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。

請求項１の助手席用エアバッグ装置は、ダッシュボードの内部に配置されるリテーナと、該リテーナ内に配置されたエアバッグ折畳体と、該エアバッグを膨張させるためのインフレータと、該リテーナを閉蓋するリッドと、一端側が該リテーナ又はエアバッグの車体後方側部分に連結され、該エアバッグ折畳体に重なって車体前方側に延在し、一部が折り畳まれた状態で該エアバッグ折畳体と前記リッドとの間に介在しており、エアバッグ膨張時には、膨張途中の該エアバッグの車体後方側に沿って延在する展開規制シートと、を有する助手席用エアバッグ装置において、該エアバッグ折畳体と展開規制シート折畳体とを保形するための保形シートが該展開規制シートに連結されて設けられており、該保形シートは、該エアバッグの膨張圧によって保形を解除する保形解除部を備えており、該保形シートは、一端側が該展開規制シートに連結され、他端側が前記リテーナの車体前方側部分に連結されており、該保形シートは、その該一端側が前記展開規制シートの前記一端側を向くようにして、該展開規制シートの前記エアバッグと反対側に配置されており、前記保形解除部は、該保形シートの該一端側と該他端側との間の途中部に配置されており、該保形シートの該保形解除部よりも該一端側の部分が、該展開規制シートのうち、該エアバッグ折畳体と前記リッドとの間に介在した部分よりも該展開規制シートの該一端側であって、該展開規制シートの前記リテーナ又はエアバッグの車体後方側部分への連結位置よりも該展開規制シートの他端側の部分に連結されており、該保形シートの該展開規制シートとの連結部よりも該他端側の部分が、該展開規制シート折畳体の前記リッド側を通って該展開規制シート折畳体及びエアバッグ折畳体の車体前方側に掛け回され、前記リテーナの車体前方側部分に連結されており、該保形シートの該一端側の該展開規制シートへの連結位置は、該展開規制シートの該一端側の該リテーナ又はエアバッグへの連結位置から該展開規制シートの該他端側に離隔しており、該保形シートの該一端側の端部は、該展開規制シートの該一端側の該リテーナ又はエアバッグへの連結位置から該展開規制シートの該他端側に離隔しており、該保形シートの該一端側は、該展開規制シートを介して該リテーナ又はエアバッグの車体後方側部分に連結されていることを特徴とするものである。
請求項２の助手席用エアバッグ装置は、請求項１において、前記展開規制シートの前記一端側は、該展開規制シートの前記リテーナ又はエアバッグへの連結位置から前記エアバッグ折畳体の車体後方側に沿って前記リッド側へ引き回されており、前記保形シートの前記一端側は、該展開規制シートのうち、このエアバッグ折畳体の車体後方側に沿ってリッド側へ引き回された部分の該リッド側の端部付近に連結されていることを特徴とするものである。
請求項３の助手席用エアバッグ装置は、請求項１又は２において、前記展開規制シートの前記一端側は、前記エアバッグの車体後方側部分のうち、該エアバッグの前記リテーナへの連結部から離隔した部分に連結されていることを特徴とするものである。

請求項４の助手席用エアバッグ装置は、請求項１ないし３のいずれか１項において、前記保形解除部は、該保形シートに対して加えられる張力が所定以上となったときに破断する破断予定部であることを特徴とするものである。

請求項５の助手席用エアバッグ装置は、請求項１ないし４のいずれか１項において、前記展開規制シートは、その他端側が前記リテーナの車体前方側部分に連結されており、展開規制シートの該他端側に近い箇所に、該展開規制シートが最大展開形状となった後に該展開規制シートに生じる張力によって該展開規制シートを破断させる破断予定部が設けられることを特徴とするものである。

請求項６の助手席用エアバッグ装置は、請求項１ないし５のいずれか１項において、基端側が前記リテーナの車体後方側部分又は展開規制シートに連結され、先端側が前記エアバッグ折畳体に挟み込まれている第２の展開規制シートを備えたことを特徴とするものである。

本発明の助手席用エアバッグ装置は、膨張途中のエアバッグの車体後方側に沿って延在する展開規制シートを備えている。この展開規制シートは、エアバッグ膨張前は、折り畳まれてエアバッグ折畳体とリッドとの間に介在している。本発明では、このエアバッグ折畳体及び展開規制シート折畳体を保形するための保形シートが設けられているため、エアバッグ膨張前の展開規制シート折畳体をこの保形シートによって所定の状態（折畳形態及び位置）に保持しておくことが可能である。これにより、展開規制シート折畳体の折りが崩れたりずれ動いたりして展開態様にバラつきが生じることが防止ないし抑制される。

エアバッグが膨張を開始すると、この保形シートに対してエアバッグの膨張圧が加えられ、保形解除部が保形を解除する。この保形シートが保形を解除するまでエアバッグが保形シートで拘束されるので、エアバッグの膨張初期にエアバッグがリテーナから突出する速度が小さくなる。

請求項４の助手席用エアバッグ装置にあっては、保形シートに対して加えられるエアバッグの膨張圧によって該保形シートに張力が生じるが、この張力が所定以上になると、保形シートが破断して保形が解除される。この保形シートの破断によってエアバッグの膨張力の一部が消費され、エアバッグの膨張初期における膨張速度が小さくなる。

本発明のように、保形シートの一端側を展開規制シートに連結すると、保形シートの該一端側をリテーナに直に連結する場合に比べて保形シートの長さが短くて足りるようになる。保形シートを短くすることにより、その分だけシートの材料コストの削減、パッケージボリュームの削減、エアバッグ装置の重量削減等を図ることができる。

請求項５の助手席用エアバッグ装置にあっては、展開規制シートがその最大展開形状をとるまでエアバッグの膨張が進行してきた段階で、それ以上の膨張が展開規制シートによって一時的に拘束される。エアバッグの膨張圧によって展開規制シートに生じる張力が破断予定部の破断強度以上になると、該破断予定部が破断し、エアバッグがさらに大きく膨張する。この展開規制シートの拘束及び破断により、エアバッグの初期膨張速度が抑制される。

また、展開規制シートは、この破断予定部に十分な張力が生じるまで展開する最大展開形状となった後に、該破断予定部において破断する。このように、展開規制シートがその最大展開形状をとった後に破断することにより生じた展開規制シートの残片は、一端側がリテーナに連結され、他端側が自由端となったものであり、その後のエアバッグの膨張過程において該エアバッグの車体後方側に沿って延在し、本来の展開規制シートと同様の役割を果す。

この破断直前の展開規制シートは、その最大展開形状となっており、破断によって生じる展開規制シートの残片は、最大展開形状に倣った規定形状のものとなる。

請求項６の助手席用エアバッグ装置にあっては、第２の展開規制シートがエアバッグの初期膨張速度を抑制する。すなわち、第２の展開規制シートの基端側がリテーナ又は展開規制シートに連結され、先端側がエアバッグに挟まれているため、エアバッグ折畳体が膨張しようとしたときに、この第２の展開規制シートの先端側とエアバッグ折畳体との間に摩擦が生じ、この摩擦によってエアバッグの膨張速度が抑制される。

以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。

第１図は実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置の模式的な縦断面図、第２〜５図は、それぞれ、この助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。なお、第２図はエアバッグ膨張前を示し、第３図は保形シートが破断した直後のエアバッグ初期膨張状態を示し、第４図は展開規制シートによって膨張途中のエアバッグの展開が規制されている状態を示し、第５図はエアバッグ膨張完了時を示している。

以下の説明において、前後方向は、この助手席用エアバッグ装置が設置された車体の前後方向と一致する。

助手席用エアバッグ装置１０は、自動車の助手席前方のダッシュボード１の内部に配置される上開容器状のリテーナ１１と、該リテーナ１１内に収容されたエアバッグ１２の折畳体と、該エアバッグ１２を膨張させるためのインフレータ１３と、エアバッグ１２の膨張途中において該エアバッグ１２の車体後方側部分の展開を規制するための展開規制シート１４と、該エアバッグ１２の折畳体を保形するための保形シート１５等を備えている。

第２図の通り、この実施の形態では、ダッシュボード１の上面のうちリテーナ１１を覆う部分は、エアバッグ１２が膨張したときにこのエアバッグ１２の膨張圧により開裂して車室内へ開き出すように構成されたドア部２となっている。符号２ａは、このドア部２の開裂を誘導する、凹溝よりなるテアラインを示している。即ち、この実施の形態では、該ドア部２がリテーナ１１を閉蓋するリッドに相当し、このリッドがダッシュボード１と一体に設けられた構成となっている。なお、本発明においては、リッドはダッシュボード１と別体に設けられてもよい。

ドア部２の周囲からは、下方へ向って周壁状の脚片３が立設されている。リテーナ１１は、この脚片３の内側に嵌め込まれるようにして設置され、フック（図示略）等によりこの脚片３に係止される。

第５図の通り、エアバッグ１２は、このドア部２を押し開けて車室内に膨らみ出し、その前部側がダッシュボード１の上面とウィンドシールド４との間の空間を埋めるように展開すると共に、後部側がそれよりも後方及び下方へ張り出して助手席前方空間を埋めるように展開する膨張形態を有している。

このエアバッグ１２の膨張時の前端部の下面（以下、エアバッグ１２の基端部ということがある。）にはガス導入口（図示略）が設けられている。このガス導入口の周縁部がインフレータ１３と共に押えプレート１６によりリテーナ１１の底面に連結されている。

この実施の形態では、インフレータ１３は円柱状のものであり、その軸心線方向を車体幅方向としてリテーナ１１内に配置されている。リテーナ１１の底面には、このインフレータ１３の下側の略半周分が嵌合する略半円筒状の凹部１１ａが設けられている。

押えプレート１６は、インフレータ１３の軸心線方向の両端側の外周面にそれぞれ上方から被着される１対の略Ｃ字形のバンド部（符号略）と、該バンド部の両端部同士を連結しており、且つ該バンド部の両端からそれぞれリテーナ１１の底面に沿うように前方及び後方へ延出したフランジ部（符号略）と、各フランジ部からそれぞれ下方へ突設されたスタッドボルト１６ａとを備えている。エアバッグ１２のガス導入口の前縁部及び後縁部には、それぞれこのスタッドボルト１６ａが挿通されるボルト挿通孔（符号略）が設けられている。

前記展開規制シート１４は、所定長さの帯状のシートよりなる。この実施の形態では、該展開規制シート１４の一端側（以下、基端側ということがある。）は、エアバッグ１２の基端部の車体後方側に連結されている。この展開規制シート１４のエアバッグ１２への連結位置は、エアバッグ１２が膨張した状態においてリテーナ１１の底面から該エアバッグ１２の外面に沿って車体後方側へ３００ｍｍ以上、特に４００〜５５０ｍｍの範囲内に位置していることが好ましい。本発明においては、展開規制シート１４の該一端側は、リテーナ１１の底面又は周壁部の車体後方側部分に連結されていてもよい。

なお、エアバッグ１２は、基布を縫い合わせて袋状としたものである。この実施の形態では、エアバッグ１２のガス導入口よりも若干後方側に、基布同士を縫合した縫合部１７が存在している。第１図の符号Ｓ_１は、この基布同士を縫合した縫糸等よりなるシームを示している。該縫合部１７は車体幅方向に延在している。

この実施の形態では、展開規制シート１４は、エアバッグ１２の縫製時に、その一端側が該縫合部１７の基布同士に重ね合わされ、この基布同士と一体的にシームＳ_１によって縫合されることにより、エアバッグ１２に連結されている。ただし、展開規制シート１４のエアバッグ１２への連結方法はこれに限定されない。

この実施の形態では、該展開規制シート１４の他端側（以下、先端側ということがある。）は自由端となっている。

この展開規制シート１４のエアバッグ１２への連結部（縫合部１７）から該他端までの長さＬ_１（図示略）は、ドア部２の車体前後方向の中間付近からその鉛直上方のウィンドシールド４までの距離Ｌ_０（第２図）よりも大となっている。

展開規制シート１４の全幅は、１００ｍｍ以上、特に１６０〜３００ｍｍであることが好ましい。この実施の形態では、展開規制シート１４の幅は、エアバッグ１２の折畳体の車体幅方向の幅と略同等となっている。

この実施の形態では、前記保形シート１５も帯状のシートよりなる。

この実施の形態では、該保形シート１５は、長手方向を展開規制シート１４と略平行方向として該展開規制シート１４のエアバッグ１２と反対側に配置され、その一端側（以下、基端側ということがある。）が該展開規制シート１４の長手方向の途中部に連結されている。符号１８は、この保形シート１５の一端側の展開規制シート１４への連結部を示している。この実施の形態では、該保形シート１５の一端側は、縫糸等よりなるシームＳ_２（第１図）によって該展開規制シート１４に縫い付けられている。該シームＳ_２は、保形シート１５に所定以上の張力が作用しても破断しない強度を有している。なお、保形シート１５の展開規制シート１４への連結方法はこれに限定されない。

即ち、この実施の形態では、保形シート１５の該一端側は、展開規制シート１４を介してエアバッグ１２の基端部の車体後方側に連結されている。本発明においては、展開規制シート１４をエアバッグ１２に連結した縫合部１７から保形シート１５の該展開規制シート１４への連結部１８までの距離Ｌ_２（第１図）は１０〜１１０ｍｍ、特に２０〜６０ｍｍであることが好ましい。

このように保形シート１５の一端側を展開規制シート１４の途中部に連結することにより、保形シート１５の該一端側をエアバッグ１２の基端部又はリテーナ１１に直に連結する場合に比べ、少なくともこの距離Ｌ_２分だけ保形シート１５の長さが短くて足りる。このように保形シート１５を短くすると、その分だけ保形シート１５の材料コストの削減、エアバッグ１２の折畳体のパッケージボリュームの削減、助手席用エアバッグ装置１０の重量削減等を図ることができる。

この実施の形態では、保形シート１５の長手方向の途中部に、保形解除部としての破断予定部１５ａが設けられている。この実施の形態では、該破断予定部１５ａは、保形シート１５をその幅方向に横切るように延設されたミシン目状のスリットよりなる。保形シート１５は、その長手方向に所定以上の張力が作用したときには、この破断予定部１５ａに沿って破断し、この破断予定部１５ａから前記一端側と他端側とに分離して保形を解除するよう構成されている。

なお、保形シート１５の破断予定部の構成はこれに限定されない。例えば、破断予定部として保形シート１５にミシン目状のスリット等を設ける代わりに、この保形シート１５と展開規制シート１４とを連結したシームＳ_２を、所定以上の張力にて破断する低強度のシーム（いわゆるテアシーム）とし、保形シート１５に所定以上の張力が作用したときにこのシームＳ_２が破断して保形シート１５が展開規制シート１４から分離することにより、保形が解除されるよう構成してもよい。

この保形シート１５の他端側（以下、先端側ということがある。）には、押えプレート１６のスタッドボルト１６ａが挿通されるボルト挿通孔（符号略）が設けられている。

エアバッグ１２の折り畳みから保形までの手順は次の通りである。

この実施の形態では、エアバッグ１２の折り畳みに先立ち、エアバッグ１２のガス導入口を介して該エアバッグ１２内に押えプレート１６を配置しておく。そして、この押えプレート１６の各スタッドボルト１６ａをエアバッグ１２の各ボルト挿通孔に挿通してエアバッグ１２外に延出させると共に、この押えプレート１６のフランジ部をガス導入口の周縁部に重ねる。

次に、第１図の通り、エアバッグ１２を塊状となるように折り畳んで押えプレート１６の上側に載置する。なお、この実施の形態では、第１図の通り、エアバッグ１２をジグザグ状（葛折り状）に折り畳んでいるが、エアバッグ１２の折り畳み方法はこれに限定されるものではなく、ロール折りなど、ジグザグ折り以外の折り畳み方法により折り畳んでもよい。また、複数の折り畳み方法を組み合わせてエアバッグ１２を折り畳んでもよい。

次に、第１図の通り、このエアバッグ１２の折畳体の車体後方側に沿って展開規制シート１４を上方へ引き回し、次いで、エアバッグ１２の折畳体の上側に沿って前方へ引き回す。そして、この展開規制シート１４のうちエアバッグ１２の折畳体の上側に引き回された部分を塊状となるように折り畳み、該エアバッグ１２の折畳体の上側に載置する。

なお、この実施の形態では、保形シート１５の該展開規制シート１４への連結部１８は、該展開規制シート１４のうち、このエアバッグ１２の折畳体の車体後方側に沿って上方へ引き回された部分の上端付近に位置している。

この実施の形態では、エアバッグ１２の折畳体の上側に引き回された展開規制シート１４のうち、その先端側の略半分と、該連結部１８側の略半分とを、それぞれジグザグ状に折り畳み、エアバッグ１２の折畳体の上側に前後に位置を異ならせて載置している。なお、展開規制シート１４の折り畳み方法及び展開規制シート１４の折畳体の配置はこれに限定されない。

次に、保形シート１５を展開規制シート１４の折畳体の上側からエアバッグ１２の折畳体の前側へ掛け回し、その先端側を該エアバッグ１２の折畳体の下側へ回り込ませ、該先端側のボルト挿通孔に押えプレート１６の前側のスタッドボルト１６ａを挿通して該スタッドボルト１６ａに掛止する。

これにより、エアバッグ１２の折畳体及び展開規制シート１４の折畳体が保形シート１５によって一体的に保形されたものとなる。

リテーナ１１の底面の凹部１１ａにインフレータ１３を嵌合させ、その上から押えプレート１６が被さるように、保形シート１５によって保形されたエアバッグ１２の折畳体をリテーナ１１内に配置する。そして、各スタッドボルト１６ａをリテーナ１１の底面のボルト挿通孔（符号略）に挿通し、各スタッドボルト１６ａにリテーナ１１の下側からナット１９を締め付ける。これにより、押えプレート１６がリテーナ１１の底面に固定されると共に、この押えプレート１６とリテーナ１１の底面との間に、エアバッグ１２のガス導入口の周縁部、保形シート１５の先端側及びインフレータ１３が一体的に挟持固定され、第１図に示す助手席用エアバッグ装置１０が構成される。

この助手席用エアバッグ装置１０にあっては、エアバッグ１２の折畳体と展開規制シート１４の折畳体とを保形するための保形シート１５が設けられているので、展開規制シート１４の折畳体をこの保形シート１５によって所定の折畳形態及び位置に保持しておくことが可能である。これにより、展開規制シート１４の折畳体の折りが崩れたり、ずれ動いたりして、該展開規制シート１４自体及びエアバッグ１２の展開態様にバラつきが生じることが防止ないし抑制される。

次に、この助手席用エアバッグ装置１０の作動について説明する。

この助手席用エアバッグ装置１０を塔載した自動車が衝突すると、インフレータ１３が作動し、インフレータ１３からエアバッグ１２内にガスが供給される。そして、このインフレータ１３からのガスによりエアバッグ１２が膨張を開始し、該エアバッグ１２がドア部２を押し開けて車室内に膨らみ出す。

この際、エアバッグ１２の膨張開始時には、エアバッグ１２の折畳体は保形シート１５によって保形されている。エアバッグ１２が膨張を開始すると、この保形シート１５に対しエアバッグ１２の膨張圧が加えられ、保形シート１５に張力が生じる。そして、この張力が所定以上になると、第３図のように、保形シート１５が破断予定部１５ａに沿って破断してエアバッグ１２の保形が解除され、エアバッグ１２がドア部２を通って車室内に膨らみ出す。

このように、この助手席用エアバッグ装置１０にあっては、保形シート１５が保形を解除するまでエアバッグ１２の膨張が拘束されており、しかも保形シート１５の破断予定部１５ａを破断させるのにエアバッグ１２の膨張力の一部が消費されるので、このエアバッグ１２の膨張初期における膨張速度が小さくなる。

その後、エアバッグ１２は、ダッシュボード１とウィンドシールド４との間の空間を埋めるように、上方へ向って膨張する。この際、展開規制シート１４は、エアバッグ１２に引きずられるようにして上方へ展開し、第４図のように、このエアバッグ１２の車体後方側に沿って延在するようになる。これにより、この展開規制シート１４とエアバッグ１２の車体後方側面との間に摩擦力が作用し、エアバッグ１２の後方即ち助手席側への突出速度が小さくなる。

エアバッグ１２内が十分に昇圧すると、第５図のように、エアバッグ１２の車体後方側が展開規制シート１４を押し退けて後方及び下方へ張り出すように膨張し、エアバッグ１２の膨張が完了する。

以上の通り、この助手席用エアバッグ装置１０にあっては、展開規制シート１４によりエアバッグ１２の膨張途中時の車体後方側への突出速度が小さくなるだけでなく、保形シート１５により、エアバッグ１２の膨張初期におけるドア部２からの突出速度も小さくなる。そのため、例えば、乗員がダッシュボード１に凭れ掛かるなどしてドア部２の近くに位置しているアウトオブポジションの状況において、エアバッグ１２がドア部２を通って車室内に膨らみ出してきた直後にこの乗員に接触した場合でも、エアバッグ１２から乗員に加えられる衝撃が小さなものとなる。

第６図は別の実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置の模式的な縦断面図、第７〜９図は、それぞれこの助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。なお、第７図はエアバッグ膨張前を示し、第８図は展開規制シートによって膨張途中のエアバッグの展開が規制されている状態を示し、第９図はエアバッグ膨張完了時を示している。

この実施の形態の助手席用エアバッグ装置１０Ａも、自動車の助手席前方のダッシュボード１の内部に配置される上開容器状のリテーナ１１と、該リテーナ１１内に収容されたエアバッグ１２の折畳体と、該エアバッグ１２を膨張させるためのインフレータ１３と、該エアバッグ１２の膨張途中において該エアバッグ１２の展開を規制するための展開規制シート１４Ａと、該エアバッグ１２の折畳体を保形するための保形シート１５等を備えている。

この実施の形態でも、該展開規制シート１４Ａの一端側（基端側）は、エアバッグ１２の基端部の車体後方側の縫合部１７に重ね合わされてシームＳ_１により該縫合部１７に逢着されている。この展開規制シート１４Ａの一端側のエアバッグ１２への連結方法は前述の実施の形態と同様である。

この実施の形態では、該展開規制シート１４Ａは、エアバッグ１２の折畳体の車体後方側から上側を通って車体前方側へ引き回されている。この展開規制シート１４Ａの他端側（先端側）は、該エアバッグ１２の折畳体の車体前方側から該折畳体の下側へ回り込まされている。展開規制シート１４Ａの他端側にはボルト挿通孔（符号略）が設けられており、このボルト挿通孔に押えプレート１６の前側のスタッドボルト１６ａが挿通されることにより、展開規制シート１４Ａの他端側がこのスタッドボルト１６ａに掛止されている。

この展開規制シート１４Ａの長手方向の中間よりも他端側に近い位置に、破断予定部１４ａが設けられている。この実施の形態では、該破断予定部１４ａは、保形シート１５の破断予定部１５ａと同様、展開規制シート１４Ａをその幅方向に横切るように延設されたミシン目状のスリットよりなる。展開規制シート１４Ａは、その長手方向に所定以上の張力が作用したときには、この破断予定部１４ａに沿って破断し、この破断予定部１４ａから前記一端側と他端側とに分離するよう構成されている。

この展開規制シート１４Ａのエアバッグ１２への縫合部１７から破断予定部１４ａまでの長さＬ_３（図示略）は、ドア部２の車体前後方向の中間付近からその鉛直上方のウィンドシールド４までの距離Ｌ_０（第７図）よりも大となっている。

また、展開規制シート１４Ａの全体の長さは、エアバッグ１２の膨張完了時における車体後方側、上側及び車体前方側の各面を通る外周の長さよりも短い。

この助手席用エアバッグ装置１０Ａのその他の構成は、前述の第１〜５図の助手席用エアバッグ装置１０と同様であり、第６〜９図において第１〜５図と同一符号は同一部分を示している。

この実施の形態におけるエアバッグ１２の折り畳みから保形までの手順は次の通りである。

エアバッグ１２内に押えプレート１６を配置しておき、エアバッグ１２を塊状となるように折り畳んで該押えプレート１６の上に重ねるまでの手順は、前述の実施の形態と同様である。

この実施の形態では、エアバッグ１２を折り畳んだ後、該エアバッグ１２の折畳体の車体後方側から上側を通って車体前方側へ展開規制シート１４Ａを引き回し、次いで、その先端側をエアバッグ１２の折畳体の下側へ回り込ませ、該先端側のボルト挿通孔に押えプレート１６の前側のスタッドボルト１６ａを挿通して該スタッドボルト１６ａに掛止する。

その後、展開規制シート１４Ａのうちエアバッグ１２の折畳体の上側に引き回された部分を、塊状となるように折り畳み、エアバッグ１２の折畳体の上に載置する。

なお、この実施の形態でも、エアバッグ１２の折畳体の上側に引き回された展開規制シート１４Ａのうち、その先端側の略半分と、基端側の略半分とを、それぞれジグザグ状に折り畳み、エアバッグ１２の折畳体の上側に前後に位置を異ならせて載置しているが、展開規制シート１４Ａの折り畳み方法及びエアバッグ１２の折畳体の上側への配置はこれに限定されない。

次に、前述の実施の形態と同様に、保形シート１５を展開規制シート１４Ａの折畳体の上側からエアバッグ１２の折畳体の前側へ掛け回し、次いで、その先端側をエアバッグ１２の折畳体の下側へ回り込ませ、該先端側のボルト挿通孔に押えプレート１６の前側のスタッドボルト１６ａを挿通して該スタッドボルト１６ａに掛止する。

これにより、エアバッグ１２の折畳体及び展開規制シート１４Ａの折畳体が保形シート１５によって一体的に保形されたものとなる。

この実施の形態でも、リテーナ１１の底面の凹部１１ａにインフレータ１３を嵌合させ、その上から押えプレート１６が被さるように、保形シート１５によって保形されたエアバッグ１２の折畳体をリテーナ１１内に配置する。そして、各スタッドボルト１６ａをリテーナ１１の底面のボルト挿通孔に挿通し、各スタッドボルト１６ａにリテーナ１１の下側からナット１９を締め付ける。これにより、押えプレート１６がリテーナ１１の底面に固定されると共に、この押えプレート１６とリテーナ１１の底面との間に、エアバッグ１２のガス導入口の周縁部、保形シート１５の先端側、展開規制シート１４Ａの先端側及びインフレータ１３が一体的に挟持固定され、第６図に示す助手席用エアバッグ装置１０Ａが構成される。

この助手席用エアバッグ装置１０Ａにあっても、エアバッグ１２の折畳体と展開規制シート１４Ａの折畳体とを保形するための保形シート１５が設けられているので、展開規制シート１４Ａの折畳体をこの保形シート１５によって所定の折畳形態及び位置に保持しておくことが可能である。これにより、展開規制シート１４Ａの折畳体の折りが崩れたり、ずれ動いたりして、該展開規制シート１４Ａ自体及びエアバッグ１２の展開態様にバラつきが生じることが防止ないし抑制される。

この助手席用エアバッグ装置１０Ａの作動は次の通りである。

自動車が衝突すると、インフレータ１３が作動してエアバッグ１２が膨張を開始する。

この助手席用エアバッグ装置１０Ａにおいても、エアバッグ１２の膨張開始時には、エアバッグ１２の折畳体は保形シート１５によって保形されている。エアバッグ１２が膨張を開始すると、この保形シート１５に対しエアバッグ１２の膨張圧が加えられ、保形シート１５に張力が生じる。そして、この張力が所定以上になると、前述の実施の形態の第３図と同様に、保形シート１５が破断予定部１５ａに沿って破断してエアバッグ１２の保形が解除され、エアバッグ１２がドア部２を通って車室内に膨らみ出す。

このため、この助手席用エアバッグ装置１０Ａにあっても、保形シート１５が保形を解除するまでエアバッグ１２の膨張が拘束されており、しかも保形シート１５の破断予定部１５ａを破断させるのにエアバッグ１２の膨張力の一部が消費されるので、このエアバッグ１２の膨張初期における膨張速度が小さくなる。

その後、エアバッグ１２は、ダッシュボード１とウィンドシールド４との間の空間を埋めるように、上方へ向って膨張する。この際、展開規制シート１４Ａは、破断予定部１４ａが破断するまでは、一端側がエアバッグ１２の基端部の車体後方側に連結され、他端側がリテーナ１１の底面の車体前方側に連結された、該エアバッグ１２を取り巻くループ状のものとなっている。

前述の通り、この展開規制シート１４Ａの全体の長さは、エアバッグ１２の膨張完了時の外周の長さよりも短いので、エアバッグ１２は、展開規制シート１４Ａがその最大展開形状となるまで、即ち展開規制シート１４Ａがエアバッグ１２の外面に重なってピンと張った状態となるまで膨張が進行した段階で、その膨張がこの展開規制シート１４Ａによって一時的に拘束される。そして、このエアバッグ１２の膨張圧によって展開規制シート１４Ａに生じる張力が所定以上となると、第９図のように、破断予定部１４ａが破断して展開規制シート１４Ａによる拘束が解除され、エアバッグ１２が最大膨張形状まで膨張するようになる。

また、展開規制シート１４Ａが破断することにより生じた残片のうち車体後方側のものは、一端側がエアバッグ１２の基端部に連結され、且つ他端側が自由端となったものであり、その後のエアバッグ１２の膨張過程においてエアバッグ１２の車体後方側に沿って延在し、前述の実施の形態の展開規制シート１４と同様の役割を果す。

即ち、この破断後の展開規制シート１４Ａの残片のうち車体後方側のものとエアバッグ１２の車体後方側との間に摩擦力が生じるため、エアバッグ１２の後方即ち助手席側への突出速度が小さくなる。

なお、破断予定部１４ａは、展開規制シート１４Ａの長手方向の中間よりも前記他端側即ち車体前方側の端部の近くに配置されているので、破断予定部１４ａが破断した後の展開規制シート１４Ａの残部のうち車体前方側のものは、車体後方側のものよりも短いものとなる。そのため、この展開規制シート１４Ａの残部のうち車体前方側のものとエアバッグ１２の車体前方側との間に生じる摩擦力は、車体後方側よりも小さくなり、エアバッグ１２の車体前方側は車体後方側よりも早く膨張する。

このように、この助手席用エアバッグ装置１０Ａにあっては、エアバッグ１２がドア部２を通って車室内に膨らみ出した後、一時的に展開規制シート１４Ａによってこのエアバッグ１２の膨張が拘束され、さらに、拘束解除後には該展開規制シート１４Ａの車体後方側の残部によってこのエアバッグ１２の車体後方側の膨張が規制されるので、エアバッグ１２の車体後方側への突出速度の抑制効果が高い。

第１０図はさらに別の実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置の模式的な縦断面図、第１１，１２図は、それぞれこの助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。なお、第１１図はエアバッグ膨張開始直後を示し、第１２図は展開規制シートによって膨張途中のエアバッグの展開が規制されている状態を示している。

この実施の形態の助手席用エアバッグ装置１０Ｂは、自動車の助手席前方のダッシュボード１の内部に配置される上開容器状のリテーナ１１と、該リテーナ１１内に収容されたエアバッグ１２の折畳体と、該エアバッグ１２を膨張させるためのインフレータ１３と、該エアバッグ１２の膨張途中において該エアバッグ１２の展開を規制するための展開規制シート１４と、該エアバッグ１２の折畳体を保形するための保形シート１５と、エアバッグ１２のリテーナ１１からの突出速度を抑制するための第２の展開規制シート２０等を備えている。

該第２の展開規制シート２０は、この実施の形態では、展開規制シート１４と別体に設けられた、所定長さの帯状のシートよりなる。この第２の展開規制シート２０は、長手方向を展開規制シート１４と平行方向として、該展開規制シート１４のエアバッグ１２側に配置され、一端側（以下、基端側ということがある。）が該展開規制シート１４に連結されている。

この実施の形態では、第２の展開規制シート２０の該一端側は、展開規制シート１４の一端側（基端側）と共に、エアバッグ１２の基端部の車体後方側の縫合部１７に重ね合わされてシームＳ_１により該縫合部１７に縫着されている。

この第２の展開規制シート２０の長さは、１００〜３５０ｍｍ、特に１５０〜２５０ｍｍであることが好ましい。また、この第２の展開規制シートの幅は、リテーナ１１の上面の開口部の車体幅方向の幅と略同等であることが好ましい。なお、この実施の形態では、該第２の展開規制シート２０の長さは、エアバッグ１２の折畳体の前後方向の幅と略同等となっている。また、この実施の形態では、該第２の展開規制シート２０の幅は、エアバッグ１２の折畳体の車体幅方向の幅と略同等となっている。ただし、第２の展開規制シート２０の大きさはこれに限定されない。

この第２の展開規制シート２０は、エアバッグ１２を折り畳む際に、該エアバッグ１２の車体後方側面に重ね合わされて該エアバッグ１２と一体的に折り畳まれることにより、該エアバッグ１２の折畳体に挟み込まれてもよく、エアバッグ１２の折り畳み後に、該エアバッグ１２の折畳体の折り目の間に車体後方側から差し込まれてもよい。

この助手席用エアバッグ装置１０Ｂのその他の構成は、前述の第１〜５図の助手席用エアバッグ装置１０と同様であり、第１０〜１２図において第１〜５図と同一符号は同一部分を示している。

また、この実施の形態におけるエアバッグ１２の折り畳みから保形までの手順も、該エアバッグ１２の折畳体に第２の展開規制シート２０を挟み込むこと以外は、第１〜５図の実施の形態と同様である。

この助手席用エアバッグ装置１０Ｂの作動は次の通りである。

この助手席用エアバッグ装置１０Ｂにおいても、エアバッグ１２の膨張開始時には、エアバッグ１２の折畳体は保形シート１５によって保形されている。エアバッグ１２が膨張を開始すると、この保形シート１５に対しエアバッグ１２の膨張圧が加えられ、保形シート１５に張力が生じる。そして、この張力が所定以上になると、保形シート１５が破断予定部１５ａに沿って破断してエアバッグ１２の保形が解除され、エアバッグ１２がドア部２を通って車室内に膨らみ出す。

この際、エアバッグ１２の折畳体には第２の展開規制シート２０が挟み込まれているため、第１１図の通り、この第２の展開規制シート２０とエアバッグ１２の外面との間に摩擦力が生じ、この摩擦力によってエアバッグ１２の膨張速度が抑制される。

その後、エアバッグ１２は、ダッシュボード１とウィンドシールド４との間の空間を埋めるように、上方へ向って膨張する。この際、第１２図の通り、前述の各実施の形態と同様に、展開規制シート１４がエアバッグ１２の車体後方側に沿って延在するため、この展開規制シート１４とエアバッグ１２の車体後方側面との間に摩擦力が作用し、エアバッグ１２の車体後方側が遅れて膨張するようになる。これにより、エアバッグ１２の後方即ち助手席側への突出速度が小さくなる。

エアバッグ１２内が十分に昇圧すると、前述の第５図と同様に、エアバッグ１２の車体後方側が展開規制シート１４を押し退けて後方及び下方へ張り出し、エアバッグ１２の膨張が完了する。

以上の通り、この助手席用エアバッグ装置１０Ｂにあっては、保形シート１５が保形を解除するまでエアバッグ１２の膨張が拘束され、しかも保形シート１５の破断予定部１５ａを破断させるのにエアバッグ１２の膨張力の一部が消費されることにより、このエアバッグ１２の膨張初期における膨張速度が抑制されると共に、保形解除後においても、第２の展開規制シート２０とエアバッグ１２との間の摩擦力により、このエアバッグ１２の膨張速度が抑制されるので、このエアバッグ１２のドア部２からの突出速度の抑制効果が高い。

なお、この助手席用エアバッグ装置１０Ｂは、第１〜５図の助手席用エアバッグ装置１０に第２の展開規制シート２０を設けた構成となっているが、第６〜９図の助手席用エアバッグ装置１０Ａにおいても、これと同様に、第２の展開規制シート２０が設けられてもよい。

この実施の形態では、第２の展開規制シート２０の長さは、エアバッグ１２の折畳体の前後方向の幅と略同等となっているが、それよりも長いものであってもよい。この場合、第２の展開規制シート２０は、エアバッグ１２と一体的に折り畳まれてもよく、エアバッグ１２とは別々に折り畳まれ、この第２の展開規制シート２０の折畳体がエアバッグ１２の折畳体の折り目の間に差し込まれてもよい。

なお、この実施の形態では、第２の展開規制シート２０は展開規制シート１４と共にエアバッグ１２の基端部の車体後方側に連結されているが、リテーナ１１の車体後方側に連結されてもよい。また、第２の展開規制シート２０は、展開規制シート１４の長手方向の途中部に連結されてもよい。

この実施の形態では、第２の展開規制シート２０は展開規制シート１４と別体に設けられているが、展開規制シート１４と一体に設けられてもよい。また、第２の展開規制シート２０を設ける代わりに、展開規制シート１４の一部をエアバッグ１２の折畳体に挟み込んでもよい。第１３図はこのように構成された助手席用エアバッグ装置１０Ｃの模式的な縦断面図である。

この第１３図の助手席用エアバッグ装置１０Ｃにおいては、展開規制シート１４の基端側を部分的に車体前方側に摘み出して襞状の摘み出し部１４ｔを形成し、この摘み出し部１４ｔをエアバッグ１２の折畳体に車体後方側から挟み込んでいる。なお、この摘み出し部１４ｔは、エアバッグ１２を折り畳む際にエアバッグ１２の車体後方側に重ね合わされ、該エアバッグ１２と一体的に折り畳まれることにより、該エアバッグ１２の折畳体に挟み込まれてもよく、エアバッグ１２の折り畳み後に、該エアバッグ１２の折畳体の折り目の間に車体後方側から差し込まれてもよい。この助手席用エアバッグ装置１０Ｃのその他の構成は、前述の第１〜５図の助手席用エアバッグ装置１０と同様であり、第１３図において第１〜５図と同一符号は同一部分を示している。

この助手席用エアバッグ装置１０Ｃにあっても、エアバッグ１２の膨張時には、保形シート１５による保形が解除された後も、エアバッグ１２の折畳体に挟み込まれた展開規制シート１４の摘み出し部１４ｔとエアバッグ１２の外面との間に摩擦力が生じ、この摩擦抵抗力によってエアバッグ１２の膨張速度が抑制される。即ち、この助手席用エアバッグ装置１０Ｃにあっては、該摘み出し部１４ｔが第２の展開規制シートとして作用する。

この助手席用エアバッグ装置１０Ｃにあっては、第２の展開規制シートをエアバッグ１２、展開規制シート１４又はリテーナに連結する手間が省ける。

なお、この実施の形態は、第１〜５図の助手席用エアバッグ装置１０において展開規制シート１４の途中部に摘み出し部１４ｔを形成してこの摘み出し部１４ｔをエアバッグ１２の折畳体に挟み込んだ構成となっているが、第６〜９図の実施の形態においても、これと同様に、展開規制シート１４Ａを部分的に摘み出して摘み出し部１４ｔを形成し、この摘み出し部１４ｔをエアバッグ１２の折畳体に挟み込んでもよい。

上記の各実施の形態では、エアバッグ１２の折畳体の上側に引き回された展開規制シート１４又は展開規制シート１４Ａは、その車体前方側の略半分と、車体後方側の略半分とが、それぞれジグザグ状に折り畳まれ、エアバッグ１２の折畳体の上側に前後に位置を異ならせて載置されているが、展開規制シート１４，１４Ａの折り畳み方法はこれに限定されるものではなく、ロール折りなど、ジグザグ折り以外の折り畳み方法により折り畳まれてもよく、複数の折り畳み方法を組み合わせて折り畳まれてもよい。また、展開規制シート１４，１４Ａの折畳体の配置もこれに限定されない。

第１４図に展開規制シートの別の折り畳み方法の一例を示す。

この第１４図の助手席用エアバッグ装置１０’においては、エアバッグ１２の折畳体の上側に引き回された展開規制シート１４のうち、その車体前方側の略半分がジグザグ状に折り畳まれ、車体後方側の略半分は、ロール状に折り畳まれている。なお、展開規制シート１４の車体前方側がロール折りされ、車体後方側がジグザグ折りされてもよく、両方がロール折りされてもよい。車体前方側及び車体後方側がそれぞれ部分的にロール折りされ、残部がジグザグ折りされてもよい。もちろん、これ以外の折り畳み方法により折り畳まれてもよい。

第１４図は展開規制シート１４の折り畳み方法の一例を示しているが、第６図の展開規制シート１４Ａも、これと同様に、又は図示以外の折り畳み方法にて折り畳まれてもよい。

上記各実施の形態は、いずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は図示の形態に限定されない。

例えば、上記の各実施の形態では、展開規制シート１４，１４Ａは、一端側（基端側）がエアバッグ１２の基端部の車体後方側に連結されているが、リテーナ１１の車体後方側に連結されてもよい。

実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置の模式的な縦断面図である。図１の助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。図１の助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。図１の助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。図１の助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置の模式的な縦断面図である。図６の助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。図６の助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。図６の助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置の模式的な縦断面図である。図１０の助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。図１０の助手席用エアバッグ装置が設置された車室内のダッシュボード上部付近の縦断面図である。実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置の模式的な縦断面図である。展開規制シートの別の折り畳み方法を示す、助手席用エアバッグ装置の模式的な縦断面図である。

符号の説明

１ダッシュボード
２ドア部
４ウィンドシールド
１０，１０’，１０Ａ〜１０Ｃ助手席用エアバッグ装置
１１リテーナ
１２エアバッグ
１３インフレータ
１４，１４Ａ展開規制シート
１４ａ破断予定部
１５保形シート
１５ａ破断予定部
２０第２の展開規制シート

Claims

ダッシュボードの内部に配置されるリテーナと、
該リテーナ内に配置されたエアバッグ折畳体と、
該エアバッグを膨張させるためのインフレータと、
該リテーナを閉蓋するリッドと、
一端側が該リテーナ又はエアバッグの車体後方側部分に連結され、該エアバッグ折畳体に重なって車体前方側に延在し、一部が折り畳まれた状態で該エアバッグ折畳体と前記リッドとの間に介在しており、エアバッグ膨張時には、膨張途中の該エアバッグの車体後方側に沿って延在する展開規制シートと、
を有する助手席用エアバッグ装置において、
該エアバッグ折畳体と展開規制シート折畳体とを保形するための保形シートが該展開規制シートに連結されて設けられており、
該保形シートは、該エアバッグの膨張圧によって保形を解除する保形解除部を備えており、
該保形シートは、一端側が該展開規制シートに連結され、他端側が前記リテーナの車体前方側部分に連結されており、
該保形シートは、その該一端側が前記展開規制シートの前記一端側を向くようにして、該展開規制シートの前記エアバッグと反対側に配置されており、
前記保形解除部は、該保形シートの該一端側と該他端側との間の途中部に配置されており、
該保形シートの該保形解除部よりも該一端側の部分が、該展開規制シートのうち、該エアバッグ折畳体と前記リッドとの間に介在した部分よりも該展開規制シートの該一端側であって、該展開規制シートの前記リテーナ又はエアバッグの車体後方側部分への連結位置よりも該展開規制シートの他端側の部分に連結されており、
該保形シートの該展開規制シートとの連結部よりも該他端側の部分が、該展開規制シート折畳体の前記リッド側を通って該展開規制シート折畳体及びエアバッグ折畳体の車体前方側に掛け回され、前記リテーナの車体前方側部分に連結されており、
該保形シートの該一端側の該展開規制シートへの連結位置は、該展開規制シートの該一端側の該リテーナ又はエアバッグへの連結位置から該展開規制シートの該他端側に離隔しており、
該保形シートの該一端側の端部は、該展開規制シートの該一端側の該リテーナ又はエアバッグへの連結位置から該展開規制シートの該他端側に離隔しており、該保形シートの該一端側は、該展開規制シートを介して該リテーナ又はエアバッグの車体後方側部分に連結されていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
請求項１において、前記展開規制シートの前記一端側は、該展開規制シートの前記リテーナ又はエアバッグへの連結位置から前記エアバッグ折畳体の車体後方側に沿って前記リッド側へ引き回されており、
前記保形シートの前記一端側は、該展開規制シートのうち、このエアバッグ折畳体の車体後方側に沿ってリッド側へ引き回された部分の該リッド側の端部付近に連結されていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
請求項１又は２において、前記展開規制シートの前記一端側は、前記エアバッグの車体後方側部分のうち、該エアバッグの前記リテーナへの連結部から離隔した部分に連結されていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
請求項１ないし３のいずれか１項において、前記保形解除部は、該保形シートに対して加えられる張力が所定以上となったときに破断する破断予定部であることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
請求項１ないし４のいずれか１項において、前記展開規制シートは、その他端側が前記リテーナの車体前方側部分に連結されており、
展開規制シートの該他端側に近い箇所に、該展開規制シートが最大展開形状となった後に該展開規制シートに生じる張力によって該展開規制シートを破断させる破断予定部が設けられることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
請求項１ないし５のいずれか１項において、基端側が前記リテーナの車体後方側部分又は展開規制シートに連結され、先端側が前記エアバッグ折畳体に挟み込まれている第２の展開規制シートを備えたことを特徴とする助手席用エアバッグ装置。