JP5365777B2 - 光に対して安定なラモセトロンの固形医薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の波長の光を吸収する特性の化合物を含有することを特徴とするラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の安定な固形医薬組成物に関する。また、本発明は、特定の波長の光を吸収する特性の化合物を配合することを特徴とするラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の固形医薬組成物の安定化法に関するものである。
ラモセトロン(ramosetron)は、化学名を(−)−(R)−5−[(1−メチル−1H−インドール−3−イル)カルボニル]−4, 5, 6, 7−テトラヒドロ−1H−ベンズイミダゾール((−)−(R)−5−[(1−methyl−1H−indol−3−yl)carbonyl]−4, 5, 6, 7−tetrahydro−1H−benzimidazole)と称する。該ラモセトロンおよびその製薬学的に許容される塩を含む一連のテトラヒドロベンズイミダゾール誘導体は、優れたセロトニン(5−HT3)受容体拮抗作用を有し、抗悪性腫瘍剤投与により誘発される悪心、嘔吐等の消化器官症状を抑制する有用な医薬化合物として報告されており(特許文献1参照)、特にラモセトロンの塩酸塩がすでに上市されている(以下、市販の医薬化合物を塩酸ラモセトロンという)。塩酸ラモセトロンは、成人に対し、その0.1mgを一日一回経口投与することにより優れた薬理効果を発揮することも知られており、アステラス製薬よりナゼアOD錠0.1mgの商品名で販売されている。
また、セロトニン受容体拮抗薬には、過敏性腸症候群(IBS)の治療薬としての適用も期待されている。適応症を過敏性腸症候群とする場合、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の投与量は、患者の年齢や民族により違いはあるものの、臨床試験の結果から1日量0.001〜0.05mgの範囲で有効であると考えられている(特許文献2参照)。
一般に医薬化合物を製剤化する場合、低含量になるほど、医薬化合物にとっては医薬添加剤との相互作用を受けるため、その安定性は低下することが懸念される。
温湿度条件に対するラモセトロンの安定化技術としては、カルボニル基を有する特定の化合物を配合した組成物が知られている(特許文献2参照)。
他方、光に対するラモセトロンの安定化技術としては、黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄及び酸化チタンを配合した組成物が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、この方法は十分な安定化効果を得るためには赤色三二酸化鉄あるいは黄色三二酸化鉄が処方中に約1重量%必要であった。これら基剤は水にほとんど溶けないため、製剤中に物理混合し分散させる方法を取らざるを得ない。さらに添加量を増やすことで光安定化効果は高まるものと予想されるが、そのことによって打錠時に杵付着の現象が生じたり、薬物と基剤間の相互作用が生じる可能性があり、これら添加剤量は極力少ないほうが望ましいと考えられる。
また、製品の塩酸ラモセトロン0.1mg錠剤は、黄色三二酸化鉄の配合に加え、着色ポリプロピレンフィルム及びアルミ箔製のPTPシートの包装形態が採用されているため、包装開封前の商品として問題はないものの、自動分包機による併用薬との一包化のニーズもあり、元封開封後の光安定性にも考慮が必要である。一般的に光に不安定な薬物の元封開封後の安定性を確保するには通常、着色剤を分散、配合した混合成分を錠剤にフィルムコートや糖衣コート、あるいはカプセル製剤等の物理的に光を通さない製剤形態とすることで、安定性を改善する方法が考えられる。(非特許文献1参照)。
しかしながら口腔内崩壊錠の場合は錠剤硬度が通常の錠剤に比較して低いため通常の錠剤に用いるフィルムコーティングが困難であり、新規な光安定化技術が望まれている。
従って、ラモセトロンの元封開封後の安定化技術、特に光に対する安定化技術については改良の余地があり、特に、低含量製剤及び/又は口腔内崩壊錠においては不十分であると考えられていた。
一方、光に不安定な医薬物質を光に対して安定化する際、保護すべき医薬物質と類似の光吸収挙動を有する物質を添加する方法が知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、光吸収極大波長が保護すべき医薬物質と類似である添加剤を使用した場合においても、医薬物質の光安定化が達成できない例が存在し、類似の光吸収挙動の添加剤による安定化は一般的ではない。具体的には、光安定化剤としてのトロキセルチンは、類似の光吸収挙動を示す光に不安定な医薬物質のニフェジピンに対する安定化効果は小さいが、光吸収挙動の類似性の低いモルシドミンに対しては安定化効果があることが知られている(特許文献4参照)。前述の非特許文献1においてスルフイソミジン錠の場合が記載されているが、266nm、347nmに極大吸収を示すにもかかわらず、分解に関しては低波長側に行くに従って(資料内では250nmが最短波長)分解速度定数が大きくなり、吸収波長と分解は相関していないことが示されている。
また、光に不安定な薬物を安定化する際、製造工程において着色剤としての食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色3号、食用赤色102号、三二酸化鉄及び酸化チタン等を添加する方法の記載があるが、実際には食用黄色5号又は三二酸化鉄を含有したソファルコン含有製剤に関するものであり、どのような薬物に対しても安定化効果があるとはいえない。(特許文献5参照)
また、光に不安定なニフェジピンを安定化する際、軟カプセル皮膜中に食用黄色5号を均一に分散させる方法の記載がある。(特許文献6参照)
このように、安定化しようとする化合物によってその安定化方法は異なるものであり、上記先行技術とは構造の異なるラモセトロンにおいて本発明の安定化方法は当業者によって予想しえないものである。
欧州特許第381422号明細書 国際公開第04/066998号パンフレット 特開昭58−57322号公報 特開昭60−156678号公報 特開2000−191516号公報 特開昭55−22645 松田芳久ら著 「最近の製剤技術とその応用I」 医薬ジャーナル社発行、1983年9月1日、p.121−123
このように、酸化チタン又は三二酸化鉄のみを配合する方法では十分な光安定化効果は得られておらず、光照射下、特に、低含量であるラモセトロンの光安定化製剤及び/又は口腔内崩壊錠のラモセトロン製剤が求められていた。
低用量において効果を発現する過敏性腸症候群などの適応症に最適な製剤化検討を行ったところ、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩は、光照射、高温度、多湿条件下に保存するときその定量値が低下し、分解されやすくなることが分かっている。
そこで、本発明者らは、低含量においても安定なラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の製剤を開発すべく鋭意検討した結果、マンニトール、及び赤色3号は光に対する顕著な安定化効果を奏しなかったものの、αGヘスペリジン、メチルヘスペリジン、赤色102号、およびアズレンスルホン酸ナトリウムが光に対する顕著な安定化効果を奏することを知見した。
次に本発明者らは、光安定化効果を奏した化合物群と、奏しなかった化合物群の光吸収特性について解析を行なった。ラモセトロンの光吸収スペクトルは210nm、249nm及び311nmに極大吸収波長を示す3つのピークを有する(後述の図1参照のこと)。ラモセトロンの光安定性試験結果と各々の化合物に関する吸収スペクトルについて解析したところ、220nm〜240nmの波長範囲、及び/又は280nm〜300nmの波長範囲に示されるような極大ピークに挟まれた谷の部分近傍スペクトル曲線下面積に依存してラモセトロンが安定化される関係を見出した(後述の図3及び4参照のこと)。
また、驚くべきことに、αGヘスペリジン、メチルヘスペリジンからなるフラボノイド化合物群より選択される物質をラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩に添加するときは、高温度及び多湿条件下における顕著な安定化効果を奏することも見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. 0.001w/v%水溶液の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が4.5以上、及び/又は、280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が2.5以上である化合物からなる群より選択された1種または2種以上の化合物を含有することを特徴とするラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の固形医薬組成物、
2. 0.001w/v%水溶液の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が4.5以上、及び/又は、280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が2.5以上である化合物が、αGヘスペリジン、メチルヘスペリジン、食用赤色102号、又はアズレンスルホン酸ナトリウムである請求項1記載の医薬組成物、
3. 0.001w/v%水溶液の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が4.5以上、及び/又は、280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が2.5以上である化合物からなる群より選択された1種または2種以上の化合物の配合量が、処方中0.001〜90重量%である請求項1又は請求項2に記載の医薬組成物、
4. ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の配合量が、処方中0.0001〜0.5重量%である請求項3に記載の医薬組成物、
5. ラモセトロン又はその製薬学的に許容される塩を、220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が4.5以上、及び/又は、280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が2.5以上である化合物からなる群より選択された1種または2種以上の化合物で被覆することを特徴とする粒子状医薬組成物、
6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の医薬組成物を含有することを特徴とする口腔内崩壊錠、
7. さらに、黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄、及び酸化チタンからなる群より選択される1種または2種以上を処方中0.0001〜0.5重量%を含有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の医薬組成物、
8. 0.001w/v%水溶液の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が4.5以上、及び/又は、280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が2.5以上である化合物からなる群より選択された1種または2種以上の化合物を配合することを特徴とするラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の固形医薬組成物の安定化方法、に関する。
このように、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の光に対する安定化には、添加する食用色素の種類により安定化効果に顕著な差があった。特許文献5に記載されるように食用色素を単に添加することでは不可能であり、その食用色素の光を吸収する性質を精査する必要があり、従来技術から予測できないものである。
また、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の光に対する安定化には、当該薬物と類似の吸収挙動を示す物質である食用赤色3号(吸収極大波長が塩酸ラモセトロンと12 nmしか離れていない)では達成することは不可能であった。したがって、特許文献3に記載されるように類似の光吸収挙動の添加剤では安定化が困難であり、安定化に有効な添加剤は予測できないものであったといえる。
本発明の固形医薬組成物は、主に光照射下において、不安定なラモセトロン又はその製薬学的に許容される塩に、特定の波長を吸収する化合物を配合させることにより、安定な製剤を提供することができる。特に、ラモセトロン又はその製薬学的に許容される塩の低含量製剤や口腔内崩壊錠に適用できる技術として有用である。
各種化合物の吸収波長と吸光度の関係を示すグラフである。測定方法は以下の通りである。薬物および各種安定化剤の0.001w/v%水溶液を調製し200nm〜600nmの範囲で各吸収波長における吸光度を測定した。測定にはUV計(MPS-2450; 島津製作所製)を使用した。条件:Scan speed 中速、サンプリングピッチ1.0、光路長10mm、スリット幅2.0nm。 各種化合物のスペクトル曲線下面積の算出方法を示すグラフである。スペクトル曲線下面積は、台形公式により算出した。すなわち、各化合物のスペクトルに関して、サンプリングピッチ(1.0 nm)ごとに台形面積を算出し、波長範囲における台形面積の総和により求めた。 各種化合物の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積とラモセトロンの残存率の関係を示すグラフである。 各種化合物の280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積とラモセトロンの残存率の関係を示すグラフである。
本発明の医薬組成物について、以下説明する。
本発明に用いられるラモセトロンは、前述の化学名を有した特公平6−25153号実施例44等に記載の医薬化合物であり、その製薬的に許容され得る塩としては、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸などとの鉱酸塩、酢酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの有機酸との塩、グルタミン酸、アスパラギン酸などの酸性アミノ酸との塩が挙げられる。中でも、市販されている塩酸ラモセトロンが好ましい。また、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩は前記公報に記載された製造方法により容易に入手することができる。
ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の使用量は、有効量であれば特に限定はなく、特にその低用量製剤化において温湿度に対して不安定になることが見いだされたものではあるが、高含量の製剤においても本質的に内在していた課題であると推定されるので同様に安定化効果は期待される。したがい、過敏性腸症候群の適応症に対する有効量に限定されるものではなく、従来市販品の有効量も包含される。具体的には、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の配合量が処方中0.0001〜0.5重量%であり、より好ましくは、処方中0.0001〜0.25重量%であり、更に好ましくは処方中0.0005〜0.05重量%である。また、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の単位製剤あたりの使用量で表現すると、具体的には、0.1〜500μgであり、より好ましくは、0.1〜250μg、更に好ましくは1〜50μgである。
本発明に用いられるラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を光に対して安定化させる化合物としては、前記のように0.001w/v%水溶液の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が4.5以上の化合物、及び/又は、0.001w/v%水溶液の280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が2.5以上の化合物であって、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を光照射下において安定化させるものであれば特に制限されない。より好ましくは0.001w/v%水溶液の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が5.0以上、および/または0.001w/v%水溶液の280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が2.7以上の化合物である。特に好ましくは0.001w/v%水溶液の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が5.5以上、および/または0.001w/v%水溶液の280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が3.1以上の化合物である。本発明に用いられるラモセトロンを光安定化させる化合物として具体的には、αGヘスペリジン、メチルヘスペリジン、食用赤色102号、アズレンスルホン酸ナトリウム、タンニン酸、銅クロロフィリンナトリウム、食用黄色4号、食用赤色106号、食用赤色40号、食用赤色2号であり、好ましくはαGヘスペリジン、メチルヘスペリジン、食用赤色102号及びアズレンスルホン酸ナトリウムであり、より好ましくはαGヘスペリジン、メチルヘスペリジン及び食用赤色102号であり、特に好ましくはαGヘスペリジン及びメチルヘスペリジンである。これらの化合物は1種または2種以上組み合わせて適宜使用することができる。
また、本発明に用いられるラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を光に対して安定化させる化合物としては、さらに黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄、及び酸化チタンからなる群より選択される1種または2種以上を、打錠時に杵付着の現象が生じたり、薬物と基剤間の相互作用が生じたりしない範囲で含有/配合させることが出来、具体的には処方中0.0001〜0.5重量%含有/配合することが出来る。
一方、本発明に用いられるラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を高温及び多湿条件に対し安定化する化合物としては、フラボノイド化合物群であって、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を安定化させるものである。フラボノイド化合物群として具体的には、アピゲニン、ケルセチン、アビイン、ヘスペリジン、シトロニン、ダイジン、ルチン、及びナリンギンが挙げられ、好ましくはヘスペリジン、及びルチンであり、より好ましくはヘスペリジンである。これらの化合物は1種または2種以上組み合わせて適宜使用することができる。
ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を、光に対してもしくは高温及び多湿条件に対して安定化させる化合物の配合量としては、安定化させる量であれば制限されないが、具体的には0.001〜90重量%であり、好ましくは0.01〜50重量%であり、より好ましくは0.05〜20重量%である。
また、本発明のラモセトロンに対して、0.001w/v%水溶液の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が4.5以上の化合物、及び/又は、0.001w/v%水溶液の280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が2.5以上の化合物からなる群より選択された1種または2種以上を被覆することを特徴とする粒子状医薬組成物とは、下記の薬物被覆粒子のことであり、散剤及び顆粒剤として使用できるだけでなく、錠剤、フィルムコート錠、口腔内崩壊錠などに含有させることも出来る。本発明の医薬組成物が顆粒剤のような粒子の場合、その粒子状医薬組成物の粒径は、最長径が2mm以下であれば特に制限されない。口腔内速崩壊錠に含有させる場合に関しては、服用時に砂のようなザラツキ感を不快に感じなければ特に限定されないが、好ましくは、平均粒子径は350μm以下に調製される。より好ましい平均粒子径は、1〜350μmであり、特に好ましくは20〜350μmである。粒度分布の観点から言えば、苦味マスキング等のコーティングするのに適した粒子であれば特に限定されないが、好ましくは1〜350μmに全重量の80%が分布し、より好ましくは50〜300μmに全重量の80%が分布し、特に好ましくは、100〜250μmに全重量の80%が分布するようなものである。
本発明の固形医薬組成物には、各種医薬添加剤が適宜使用され、製剤化される。かかる医薬添加剤としては、製薬的に許容される添加剤であれば特に制限されない。例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、酸味料、発泡剤、人工甘味料、香料、滑沢剤、着色剤などが使用される。賦形剤としては、例えば乳糖、結晶セルロース、微結晶セルロース、D-ソルビトール、D-マンニトールなどが挙げられる。結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、アラビアゴムなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えばトウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンなどが挙げられる。酸味料としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。発泡剤としては、例えば重曹などが挙げられる。人工甘味料としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。香料としては、例えばレモン、レモンライム、オレンジ、メントールなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸などが挙げられる。医薬添加剤としては、1種または2種以上組合せて適宜適量添加することができる。着色剤としては、例えば赤色三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色3号などが挙げられ、着色を目的とするものであれば特に制限はない。
また、ラモセトロン又はその製薬学的に許容される塩を、温湿度条件下に対しても安定化させるために、特定のカルボニル基を有する化合物を、本発明の効果を損なわない範囲で、更に添加することも出来る(特許文献2参照)。具体的にはマレイン酸、マロン酸、コハク酸、およびフマル酸からなる群より選択された脂肪族カルボン酸またはそのエステル、酒石酸、リンゴ酸、およびクエン酸からなる群より選択されたヒドロキシカルボン酸またはそのエステル、アスパラギン酸、またはグルタミン酸である酸性アミノ酸、アスコルビン酸、またはエリソルビン酸であるエノール酸、フタル酸、または没食子酸プロピルである芳香族カルボキシル化合物またはそのエステル、並びに、カルボキシメチルセルロース、またはアルギン酸であるカルボキシル基を有する高分子物質などが挙げられる。
以下に、本発明の医薬組成物の具体的な製造方法について説明する。
本発明の固形医薬組成物は、自体公知の方法により製造することができ、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、フィルムコート錠、及び口腔内崩壊錠などにすることができ、また主に経口投与用として用いられる。口腔内崩壊錠の技術としては近年、多くのものが開発されているが、特に制限がなく、例えば、米国特許第5466464号明細書、米国特許第5576014号明細書、米国特許第6589554号明細書、国際公開第03/009831号パンフレット、国際公開第02/092057号パンフレットなどに従い、口腔内崩壊錠とすることができる。
本発明の光に対して安定化させる化合物及び/又は高温及び多湿条件に対して安定化させる化合物の製剤中への添加方法としては、散剤、顆粒剤、錠剤、フィルムコート錠、あるいは口腔内崩壊錠剤の製造工程に添加する方法が挙げられる。
例えば、顆粒の造粒工程にて、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩と一部または全量の本発明の安定化させる化合物を賦形剤などと混合し、結合剤にて湿式造粒したり、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩と一部または全量の本発明の安定化させる化合物を含む結合液として湿式造粒したり、一部または全量の本発明の光に対して安定化させる化合物と賦形剤を混合した粉末をラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含む結合剤で湿式造粒したり、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を賦形剤と混合した粉末に一部または全量の本発明の安定化させる化合物を含む結合液として湿式造粒したり、あるいは、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を賦形剤と湿式造粒後、一部又は全量の本発明の安定化させる化合物を混合することにより、本発明の安定化させる化合物を製剤中に添加することができる。
あるいは、単にラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩と一部または全量の本発明の安定化させる化合物を賦形剤などと混合するだけでも、本発明の安定化させる化合物を製剤中に添加することができる。
さらに、調製された顆粒を賦形剤などとともに打錠することによって、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩および本発明の安定化させる化合物を含有するマトリックスタイプの錠剤を製造することができる。
その他、本発明の散剤を製造するには、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩自体を核とすることも可能であるが、通常、予めラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する核となる微粒子を製造する。核となる微粒子の製造には公知の技術を適用でき、例えばラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩と適当な賦形剤(例えば微結晶セルロース、乳糖、コーンスターチ等)とを混合し、結合剤(例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、糖類等)で造粒し、整粒、乾燥するか、あるいは適当な核となる粒子(例えば微結晶セルロース粒、白糖顆粒等)にラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を結合剤溶液に溶解または分散した液を噴霧し、粒子を調製することができる。さらに、調製したラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する粒子状の組成物に、本発明の安定化させる化合物を水などの溶媒に溶解させたコーティング液を噴霧することによって、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を本発明の安定化させる化合物で被覆した本発明の粒子状医薬組成物を調製することができる。
また、調製した本発明の粒子状医薬組成物を賦形剤などとともに打錠することによって、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を本発明の安定化させる化合物で被覆した顆粒を含有する錠剤を製造することもできる。
なお、上記造粒は、公知の機器、方法、例えば、流動層造粒、高速攪拌造粒、捏和造粒、押し出し造粒、あるいは転動造粒等により実施できる。好ましくは流動層造粒法を用いて、粉末を流動させ、結合剤溶液をスプレーすることにより、打錠に適した造粒物を調製することができる。
打錠は、公知の機器、方法、例えば、ロータリー式打錠機、単発打錠機、あるいは高速遠心式打錠機等により実施できる。
上記被覆工程は公知の機器、方法、例えば流動層造粒機等により、核粒子を流動させ、ラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩および/または本発明の安定化させる化合物を含有する溶液を、上方噴霧、下方噴霧、あるいは側方噴霧方式にてスプレーすることによって実施できる。
造粒時にラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩と一部又は全量の本発明の安定化させる化合物を含む結合液として湿式造粒を行ったり、本発明の安定化させる化合物を含有した粉末をラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩を含む結合液で湿式造粒を行う場合には、組成物全体に対して通常0.1〜20重量%であり、好適には0.2〜10重量%であり、更に好適には製造性も加味して、0.2〜5重量%である。例えば、精製水にラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩、必要に応じて有機酸、本発明の安定化させる化合物を溶解または懸濁させる工程、賦形剤、必要に応じて有機酸、着色剤を配合した粉末に流動層造粒機などの湿式造粒機中で当該水溶液または懸濁液を噴霧し乾燥する工程からなる。当該水溶液または懸濁液および/または流動させる粉末には製薬的に許容される医薬添加剤を均一に分散させ添加しても良い。当該水溶液及び懸濁液は通常湿式造粒で行われる結合剤としての濃度で使用される。
本発明のラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の固形医薬組成物の安定化方法は、前記医薬組成物に関する発明の説明に記載した通りの方法により実施できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
比較例1
塩酸ラモセトロン 0.0036部
マンニトール 91.9部
マルトース 6.9部
クエン酸無水物 0.2部
ステアリン酸マグネシウム 1部
マルトース1.725部、塩酸ラモセトロン0.0036部およびクエン酸無水物0.2部を水6.9部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。次に、バグフィルターを装着した流動層造粒機(GPCG-1、パウレック社製)にマンニトール91.9部を仕込み、吸気温度63℃、噴霧速度15g/min、スプレー/ドライのサイクルを12秒/24秒で前記噴霧液を噴霧することにより流動造粒した。さらに、この造粒物に、マルトース5.175部を水20.7部に溶解した噴霧液を同様の条件にて噴霧することにより流動造粒した。造粒後、この造粒物を1分間乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1部を混合した。その混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて1錠当たり70mgで打錠した。これを25℃、相対湿度75%で18時間保存した後、30℃、相対湿度40%で4時間保存し、本発明製剤の比較口腔内崩壊錠を得た。
比較例2
塩酸ラモセトロン 0.0035部
マンニトール 90.3部
マルトース 6.8部
クエン酸無水物 0.2部
食用赤色3号 1.8部
ステアリン酸マグネシウム 1部
比較例1で調製した造粒物97.3部に、食用赤色3号1.8部およびステアリン酸マグネシウム1部をポリ袋中で混合して、オートグラフ(AGS-20kNG、島津製作所製)を用いて1錠当たり71.25mgで打錠し、本発明製剤の比較口腔内崩壊錠を得た。
比較例3
塩酸ラモセトロン 0.0035部
マンニトール 91.2部
マルトース 6.8部
クエン酸無水物 0.2部
ルチン 0.9部
ステアリン酸マグネシウム 1部
比較例1で調製した造粒物98.1部に、ルチン0.9部およびステアリン酸マグネシウム1部をポリ袋中で混合して、オートグラフ(AGS-20kNG、島津製作所製)を用いて1錠当たり71.25mgで打錠し、本発明製剤の比較口腔内崩壊錠を得た。
実施例1
塩酸ラモセトロン 0.002部
マンニトール 90.9部
マルトース 6.9部
クエン酸無水物 0.2部
αGヘスペリジン 1部
ステアリン酸マグネシウム 1部
マルトース1.725部、塩酸ラモセトロン0.002部およびクエン酸無水物0.2部を水6.9部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。次に、バグフィルターを装着した流動層造粒機(GPCG-1、パウレック社製)にマンニトール90.9部を仕込み、吸気温度63℃、噴霧速度15g/min、スプレー/ドライのサイクルを12秒/24秒で前記噴霧液を噴霧することにより流動造粒した。さらに、この造粒物に、マルトース5.175部およびαGヘスペリジン0.1部を水20.7部に溶解した噴霧液を同様の条件にて噴霧することにより流動造粒した。造粒後、この造粒物を1分間乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1部を混合した。その混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて1錠当たり120mgで打錠した。これを25℃、相対湿度75%で18時間保存した後、30℃、相対湿度40%で4時間保存し、本発明製剤の口腔内崩壊錠を得た。
実施例2
塩酸ラモセトロン 0.002部
マンニトール 91.4部
マルトース 7部
クエン酸無水物 0.2部
食用赤色102号 0.5部
ステアリン酸マグネシウム 1部
マルトース1.725部、塩酸ラモセトロン0.002部およびクエン酸無水物0.2部を水6.9部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。次に、バグフィルターを装着した流動層造粒機(GPCG-1、パウレック社製)にマンニトール91.4部を仕込み、吸気温度63℃、噴霧速度15g/min、スプレー/ドライのサイクルを12秒/24秒で前記噴霧液を噴霧することにより流動造粒した。さらに、この造粒物に、マルトース5.175部および食用赤色102号0.5部を水20.7部に溶解した噴霧液を同様の条件にて噴霧することにより流動造粒した。造粒後、この造粒物を1分間乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1部を混合した。その混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて1錠当たり120mgで打錠した。これを25℃、相対湿度75%で18時間保存した後、30℃、相対湿度40%で4時間保存し、本発明製剤の口腔内崩壊錠を得た。
実施例3
塩酸ラモセトロン 0.002部
マンニトール 91部
マルトース 6.8部
クエン酸無水物 0.2部
メチルヘスペリジン 1部
ステアリン酸マグネシウム 1部
マルトース1.7部、塩酸ラモセトロン0.002部およびクエン酸無水物0.2部を水6.8部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。次に、バグフィルターを装着した流動層造粒機(GPCG-1、パウレック社製)にマンニトール91部を仕込み、吸気温度63℃、噴霧速度15g/min、スプレー/ドライのサイクルを12秒/24秒で前記噴霧液を噴霧することにより流動造粒した。さらに、この造粒物に、マルトース5.1部およびメチルヘスペリジン1部を水20.4部に溶解した噴霧液を同様の条件にて噴霧することにより流動造粒した。造粒後、この造粒物を1分間乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1部を混合した。その混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて1錠当たり120mgで打錠した。これを25℃、相対湿度75%で18時間保存した後、30℃、相対湿度40%で4時間保存し、本発明製剤の口腔内崩壊錠を得た。
実施例4
塩酸ラモセトロン 0.002部
マンニトール 91部
マルトース 6.8部
クエン酸無水物 0.2部
アズレンスルホン酸ナトリウム 1部
ステアリン酸マグネシウム 1部
マルトース1.7部、塩酸ラモセトロン0.002部およびクエン酸無水物0.2部を水6.8部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。次に、バグフィルターを装着した流動層造粒機(GPCG-1、パウレック社製)にマンニトール91部を仕込み、吸気温度63℃、噴霧速度15g/min、スプレー/ドライのサイクルを12秒/24秒で前記噴霧液を噴霧することにより流動造粒した。さらに、この造粒物に、マルトース5.1部およびアズレンスルホン酸ナトリウム1部を水20.4部に溶解した噴霧液を同様の条件にて噴霧することにより流動造粒した。造粒後、この造粒物を1分間乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1部を混合した。その混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて1錠当たり120mgで打錠した。これを25℃、相対湿度75%で18時間保存した後、30℃、相対湿度40%で4時間保存し、本発明製剤の口腔内崩壊錠を得た。
実施例5
実施例1と同様の製造法で、αGヘスペリジン量を0.1部に代えたものを製造し、本発明製剤の口腔内崩壊錠を得た
実施例6
実施例1と同様の製造法で、αGヘスペリジン量を3部に代えたものを製造し、本発明製剤の口腔内崩壊錠を得た。
実施例7
実施例3と同様の製造法で、メチルヘスペリジン量を3部に代えたものを製造し、本発明製剤の口腔内崩壊錠を得た。
実施例8
塩酸ラモセトロン 0.002部
マンニトール 91部
マルトース 6.8部
クエン酸無水物 0.2部
メチルヘスペリジン 1部
黄色三二酸化鉄 0.1部
ステアリン酸マグネシウム 1部
マルトース1.7部、塩酸ラモセトロン0.002部およびクエン酸無水物0.2部を水6.8部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。次に、バグフィルターを装着した流動層造粒機(GPCG-1、パウレック社製)にマンニトール91部を仕込み、吸気温度63℃、噴霧速度15g/min、スプレー/ドライのサイクルを12秒/24秒で前記噴霧液を噴霧することにより流動造粒した。さらに、この造粒物に、マルトース5.1部およびメチルヘスペリジン1部を水20.4部に溶解した噴霧液を同様の条件にて噴霧することにより流動造粒した。造粒後、この造粒物を1分間乾燥した後、黄色三二酸化鉄0.1部およびステアリン酸マグネシウム1部を混合した。その混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて1錠当たり120mgで打錠した。これを25℃、相対湿度75%で18時間保存した後、30℃、相対湿度40%で4時間保存し、本発明製剤の口腔内崩壊錠を得た。
実施例9
実施例8と同様の製造法で、メチルヘスペリジン量を3部に代えたものを製造し、本発明製剤の口腔内崩壊錠を得た。
比較例4
塩酸ラモセトロン 0.0125部
結晶セルロース(粒) 99部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1部を水10部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解させた後、塩酸ラモセトロン0.0125部、メタノール10部を加えてさらに攪拌し、薬物溶液を調製した。バグフィルターを装着した流動層造粒機(製品名 FLOW COATER、フロイント産業社製)に結晶セルロース(粒)99部を仕込み、前記薬物溶液を5〜10g/minの速度で側方噴霧することにより、本発明製剤の比較粒子製剤を得た。
比較例5
塩酸ラモセトロン 0.01125部
結晶セルロース(粒) 89部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2部
マンニトール 9部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース2部を水20部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解させた後、マンニトール9部、メタノール20部を加えてさらに攪拌し、コーティング溶液を調製した。バグフィルターを装着した流動層造粒機(製品名 FLOW COATER、フロイント産業社製)に比較例4の粒子製剤90部を仕込み、前記コーティング溶液を5〜10g/minの速度で側方噴霧することにより、本発明製剤の比較粒子製剤を得た。
比較例6
塩酸ラモセトロン 0.0124部
結晶セルロース(粒) 98部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1.73部
食用赤色3号 0.25部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.74部を水48部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解させた後、食用赤色3号0.25部を加えてさらに攪拌し、コーティング溶液を調製した。バグフィルターを装着した流動層造粒機(製品名 FLOW COATER、フロイント産業社製)に比較例4の粒子製剤99部を仕込み、前記コーティング溶液を5〜10g/minの速度で側方噴霧することにより、本発明製剤の比較粒子製剤を得た。
比較例7
塩酸ラモセトロン 0.00125部
結晶セルロース(粒) 9.9部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.1部
マンニトール 81.8部
マルトース 8.2部
マルトース8.2部を水32.8部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解させた噴霧液を調製した。バグフィルターを装着した流動層造粒機(製品名 FLOW COATER、フロイント産業社製)にマンニトール81.8部を仕込み、前記噴霧液を10g/minの噴霧速度で噴霧することにより流動造粒した。この造粒物と比較例4の粒子製剤10部をポリ袋中で混合して、オートグラフ(AGS-20kNG、島津製作所製)を用いて1錠当たり200mgで打錠し、本発明製剤の比較錠剤を得た。
実施例10
塩酸ラモセトロン 0.01部
結晶セルロース(粒) 86部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 4.5部
αGヘスペリジン 9.4部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース3.7部を水209部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解させた後、αGヘスペリジン9.4部を加えてさらに攪拌し、コーティング溶液を調製した。バグフィルターを装着した流動層造粒機(製品名 FLOW COATER、フロイント産業社製)に比較例4の粒子製剤87部を仕込み、前記コーティング溶液を5〜10g/minの速度で側方噴霧することにより、本発明製剤の粒子製剤を得た。
実施例11
塩酸ラモセトロン 0.0124部
結晶セルロース(粒) 98部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1.73部
食用赤色102号 0.25部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.74部を水48部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解させた後、食用赤色102号0.25部を加えてさらに攪拌し、コーティング溶液を調製した。バグフィルターを装着した流動層造粒機(製品名 FLOW COATER、フロイント産業社製)に比較例4の粒子製剤99部を仕込み、前記コーティング溶液を5〜10g/minの速度で側方噴霧することにより、本発明製剤の粒子製剤を得た。
実施例12
塩酸ラモセトロン 0.00124部
結晶セルロース(粒) 9.8部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.17部
食用赤色102号 0.025部
マンニトール 81.8部
マルトース 8.2部
マルトース8.2部を水32.8部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解させた噴霧液を調製した。バグフィルターを装着した流動層造粒機(製品名 FLOW COATER、フロイント産業社製)にマンニトール81.8部を仕込み、前記噴霧液を10g/minの噴霧速度で噴霧することにより流動造粒した。この造粒物と実施例11の粒子製剤10部をポリ袋中で混合して、オートグラフ(AGS-20kNG、島津製作所製)を用いて1錠当たり200mgで打錠し、本発明製剤の錠剤を得た。
比較例8
塩酸ラモセトロン 0.0008部
マンニトール 89部
マルトース 10部
ステアリン酸マグネシウム 1部
マルトース10部および塩酸ラモセトロン0.0008部を水67部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。つぎに、マンニトール90部を流動層造粒機(FLOW COATER、フロイント産業社製)に仕込み、前記噴霧液を10g/minの噴霧速度で噴霧することにより流動造粒した。造粒後、ステアリン酸マグネシウム1部を混合した。その混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて一錠当たり120mgで打錠し錠剤とした。これを、25℃、相対湿度75%で18時間保存した後、30℃、相対湿度40%で4時間保存し、本発明製剤の比較口腔内崩壊錠を得た。
実施例13
塩酸ラモセトロン 0.002部
マンニトール 91部
マルトース 6.9部
αGヘスペリジン 1部
ステアリン酸マグネシウム 1部
マルトース1.7部および塩酸ラモセトロン0.002部を水6.8部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。次に、バグフィルターを装着した流動層造粒機(GPCG-1、パウレック社製)にマンニトール91部を仕込み、吸気温度63℃、噴霧速度15g/min、スプレー/ドライのサイクルを12秒/24秒で前記噴霧液を噴霧することにより流動造粒した。さらに、この造粒物に、マルトース5.1部およびαGヘスペリジン1部を水20.4部に溶解した噴霧液を同様の条件にて噴霧することにより流動造粒した。造粒後、この造粒物を1分間乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1部を混合した。その混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて1錠当たり120mgで打錠した。これを25℃、相対湿度75%で18時間保存した後、30℃、相対湿度40%で4時間保存し、本発明製剤の口腔内崩壊錠を得た。
実施例14
塩酸ラモセトロン 0.002部
マンニトール 91部
マルトース 6.9部
メチルヘスペリジン 1部
ステアリン酸マグネシウム 1部
マルトース1.7部および塩酸ラモセトロン0.002部を水6.8部にマグネチックスターラーを用いて攪拌溶解して噴霧液を調製した。次に、バグフィルターを装着した流動層造粒機(GPCG-1、パウレック社製)にマンニトール91部を仕込み、吸気温度63℃、噴霧速度15g/min、スプレー/ドライのサイクルを12秒/24秒で前記噴霧液を噴霧することにより流動造粒した。さらに、この造粒物に、マルトース5.1部およびメチルヘスペリジン1部を水20.4部に溶解した噴霧液を同様の条件にて噴霧することにより流動造粒した。造粒後、この造粒物を1分間乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1部を混合した。その混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて1錠当たり120mgで打錠した。これを25℃、相対湿度75%で18時間保存した後、30℃、相対湿度40%で4時間保存し、本発明製剤の口腔内崩壊錠を得た。
<安定性評価>
本発明製剤を、各種保存条件(1000 Lux・白色蛍光灯照射下あるいは40℃75%RH、HDPEプラボトル密栓下)に保存し、一定期間経過した後に、本発明製剤の保存前あるいは5℃遮光保存品の定量値に対する各種条件下保存品の定量値を算出することによって、本発明製剤の安定化効果を評価した。定量は、液体クロマトグラフ法により試験を行った。
<結果及び考察>
光の吸収挙動が異なる化合物を添加した塩酸ラモセトロン2.5μg錠、あるいはこれらの化合物を添加していない塩酸ラモセトロン2.5μg錠について、光照射下、各々の製剤中における塩酸ラモセトロンの安定性評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005365777
比較例1の塩酸ラモセトロン2.5μg錠では、定量値の低下が認められた。
比較例2の食用赤色3号を造粒工程で添加し調製した塩酸ラモセトロン2.5μg錠、および比較例3のルチンを配合工程で添加し調製した塩酸ラモセトロン2.5μg錠では、定量値低下は改善されるものの程度は低く、光吸収基剤による薬物安定化効果は十分でない。
これに対し、実施例1のαGヘスペリジンを造粒工程で添加し調製した塩酸ラモセトロン2.5μg錠、実施例2の食用赤色102号を造粒工程で添加した塩酸ラモセトロン2.5μg錠、実施例3のメチルヘスペリジンを造粒工程で添加した塩酸ラモセトロン2.5μg錠、ならびに実施例4のアズレンスルホン酸ナトリウムを造粒工程で添加した塩酸ラモセトロン2.5μg錠では、5℃遮光保存品と比べ定量値はほとんど変化が認められなかった。
これらの結果から、塩酸ラモセトロンにαGヘスペリジン、メチルヘスペリジン、食用赤色102号、およびアズレンスルホン酸ナトリウム含有させることで、塩酸ラモセトロンの光照射に対する顕著な安定化効果が認められることが明らかとなった。
さらに、今回用いた化合物の光の吸収挙動と、塩酸ラモセトロンに対する安定化効果との関係について詳細に解析を行った。
その結果、ラモセトロンの光吸収スペクトルは210nm、249nm及び311nmに極大吸収波長を示す3つのピークを有することが分かった(図1参照のこと)。更に、図1の結果から、今回用いた化合物のスペクトル曲線下面積を導き出し、解析した(図2参照のこと)。すると、驚くべきことに塩酸ラモセトロンの安定化には、添加する化合物の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積、および/または280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が重要であることが明らかとなり、0.001w/v%水溶液の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が4.5以上、および/または280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が2.5以上であるという特徴を有する化合物の添加が極めて有効であることが分かった(図3及び4参照のこと)。なお、各比較例及び実施例に添加した化合物0.001w/v%水溶液の220nm〜240nm、および280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積は、比較例1では特定波長の光を吸収する化合物を添加していないため0とし、食用赤色3号(比較例2)は4.2(220nm〜240nm)および1.8(280nm〜300nm)、ルチン(比較例3)は4.4(220nm〜240nm)および2.4(280nm〜300nm)、αGヘスペリジン(実施例1)は6.0(220nm〜240nm)および5.0(280nm〜300nm)、食用赤色102号(実施例2)は10.0(220nm〜240nm)および3.1(280nm〜300nm)、メチルヘスペリジン(実施例3)は5.4(220nm〜300nm)および3.7(280nm〜300nm)、アズレンスルホン酸ナトリウム(実施例4)は、8.4(220nm〜240nm)および19.9(280nm〜300nm)であった。
次に、ラモセトロンの光に対する安定化効果が確認された化合物であるαGヘスペリジン、およびメチルヘスペリジンの配合割合を変更し、調製した塩酸ラモセトロン2.5μg錠、あるいは光に対する安定化を示す化合物に加えて、極めて少量の着色剤である黄色三二酸化鉄を添加し、調製したラモセトロン2.5μg錠、あるいは特定波長の光を吸収する化合物を添加していないラモセトロン2.5μg錠について、光照射下、各々の製剤中における塩酸ラモセトロンの安定性評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005365777
比較例1の塩酸ラモセトロン2.5μg錠では、定量値の低下が認められた。
これに対し、実施例5及び6のαGヘスペリジンを造粒工程で添加した塩酸ラモセトロン2.5μg錠では、αGヘスペリジンの添加量が0.1%では5℃遮光保存品と比べ定量値がやや低下したが、αGヘスペリジンの添加量が3%では5℃遮光保存品と比べ定量値はほとんど変化が認められなかった。同様に、実施例7のメチルヘスペリジンを3%添加し調製した塩酸ラモセトロン2.5μg錠では、5℃遮光保存品と比べ定量値はほとんど変化が認められなかった。
これらの結果から、特定波長の光を吸収する化合物であるαGヘスペリジンあるいはメチルヘスペリジンはそれらの添加量に大きな影響を受けることなく、塩酸ラモセトロンの光照射に対する顕著な安定化効果が認められることが明らかとなった。
また、実施例8及び9の光に対する安定化を示す化合物であるメチルヘスペリジンに、極めて少量の着色剤である黄色三二酸化鉄を添加した塩酸ラモセトロン2.5μg錠では、黄色三二酸化鉄の添加量が0.1%と極めて少量であるにも関わらず、塩酸ラモセトロンの光照射に対する安定化効果が認められた。したがって、ラモセトロンの光に対する安定性を改善する特定波長の光を吸収する化合物は、着色料である黄色三二酸化鉄とも併用が可能であり、さらには添加量の減量が実現でき、杵付着等の打錠障害の低減が可能になると考えられる。
被覆していない塩酸ラモセトロン顆粒および光の吸収挙動が異なる各種化合物で被覆した塩酸ラモセトロン顆粒について、光照射下、各々の製剤中における塩酸ラモセトロンの安定性評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005365777
比較例4の被覆を行っていない塩酸ラモセトロン顆粒では、特定波長の光を吸収する化合物を被覆していないことから、定量値の低下が認められた。また、各比較例に添加した化合物0.001w/v%水溶液の220nm〜240nm、および280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積は、マンニトール(比較例5)は0.1(220nm〜240nm)および0.1(280nm〜300nm)、食用赤色3号(比較例6)は4.2(220nm〜240nm)および1.8(280nm〜300nm)であり、ラモセトロンの光に対する安定化効果を示すに十分な吸収面積ではなかったことから、比較例5、及び6の製剤では、被覆を行ったにもかかわらず、定量値の顕著な改善は見られなかった。
これらに対し、実施例10のαGヘスペリジンおよび実施例11の食用赤色102号を用いて被覆を行った場合、塩酸ラモセトロンの定量値は保存前の定量値とほとんど変化がなかった。
これらの結果から、塩酸ラモセトロンを含む顆粒にαGヘスペリジンおよび食用赤色102号を被覆することによっても、塩酸ラモセトロンの光照射に対する顕著な安定化効果が認められることが明らかとなった。
次に、被覆していない塩酸ラモセトロン顆粒あるいは食用赤色102号で被覆した塩酸ラモセトロン顆粒を含んだ塩酸ラモセトロン2.5μg錠について、光照射下、各々の製剤中における塩酸ラモセトロンの安定性評価を行った。その結果を表4に示す。
Figure 0005365777
比較例7の被覆していない塩酸ラモセトロン顆粒を含んだ塩酸ラモセトロン2.5μg錠では、定量値の低下が認められた。
これに対し、実施例12の食用赤色102号で被覆した塩酸ラモセトロン顆粒を含んだ塩酸ラモセトロン2.5μg錠では、初期値と比べ定量値はほとんど変化が認められなかった。
これらの結果から、食用赤色102号で被覆した塩酸ラモセトロン顆粒を用いて錠剤を調製すると、塩酸ラモセトロンの光照射に対する顕著な安定化効果が認められることが明らかとなった。
以上の表1、表2、表3及び表4から明らかなように、製剤に含まれる塩酸ラモセトロンの含有量を問わず、また製剤の形態及び光安定化化合物の添加工程を問わず、0.001w/v%水溶液の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が4.5以上、および/または280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が2.5以上であるという特徴を有する化合物が、塩酸ラモセトロン製剤の光照射に対する安定化に寄与することが分かった。
次に、光照射に対する安定化効果のあったαGヘスペリジン、及びメチルヘスペリジンが温度及び湿度に対する安定化に寄与するか否かを検討した。塩酸ラモセトロンの温度及び湿度に対する安定化効果が知られているクエン酸を処方中から除き、αGヘスペリジン、あるいはメチルヘスペリジンを含む塩酸ラモセトロン2.5μg錠、これらの化合物を添加していない塩酸ラモセトロン2.5μg錠について、温湿度条件下、各々の製剤中における塩酸ラモセトロンの安定性評価を行った。その結果を表5に示す。
Figure 0005365777
比較例8の塩酸ラモセトロン2.5μg錠では、定量値の低下が認められた。
これに対し、実施例13のαGヘスペリジンを配合したラモセトロン2.5μg錠では、5℃遮光保存品と比べ定量値はほとんど変化が認められなかった。一方、実施例14のメチルヘスペリジンを配合したラモセトロン2.5μg錠では、5℃遮光保存品と比べて若干定量値が下がるものの、比較例8の安定化を施す化合物を添加しないラモセトロン2.5μg錠に比べて、定量値が改善された。これらの結果から、αGヘスペリジン、およびメチルヘスペリジンを配合したラモセトロン錠は、光照射に対してだけでなく、温湿度に対しても安定化効果が認められることが明らかとなった。
本発明の固形医薬組成物は、主に光照射下において、不安定なラモセトロン又はその製薬学的に許容される塩に、特定の波長を吸収する化合物を配合させることにより、安定な製剤を提供することができる。特に、ラモセトロン又はその製薬学的に許容される塩の低含量製剤や口腔内崩壊錠に適用できる技術として有用である。

Claims (1)

  1. 0.001w/v%水溶液の220nm〜240nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が4.5以上、及び/又は、280nm〜300nmの波長範囲におけるスペクトル曲線下面積が2.5以上である化合物を含有し、該化合物が、αGヘスペリジンであることを特徴とするラモセトロンまたはその製薬学的に許容される塩の固形医薬組成物。
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