JP2019094283A - シロドシンを含有する固形医薬組成物 - Google Patents

シロドシンを含有する固形医薬組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な安定性を示すシロドシン含有固形医薬組成物であって、高価な原料や特殊な工程を経ずに製造することができるもの、及びその効率的な製造方法を提供する。【解決手段】シロドシン、及び2級又は3級アミンを含有する固形医薬組成物。固形医薬組成物は、代表的には、錠剤である。この錠剤は、例えば、シロドシンを含む医薬組成物を造粒する工程と、得られた造粒物を打錠するか、又は得られた造粒物と添加物との混合物を打錠する工程とを含む方法であって、シロドシンを含む医薬組成物、及び/又は添加物に2級又は3級アミンを配合する方法により製造することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、シロドシンを含有し、安定性に優れた固形医薬組成物、及びその製造方法に関する。
シロドシン(1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−[(2R)−({2−[2−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノキシ]エチル}アミノ)プロピル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボキサミド)は、下部尿路組織である前立腺、尿道、及び膀胱三角部のα1アドレナリン受容体に選択的に結合して交感神経系の伝達を遮断することにより、前立腺に局在するレセプターを遮断して、下部尿路組織の平滑筋を弛緩し排尿を容易にすることから、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療薬として使用される薬物である。
シロドシンを含有する医薬製剤としては、ユリーフ錠、及びユリーフOD錠(キッセイ薬品工業株式会社)が知られている。ユリーフ錠は、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、D−マンニトール、ヒプロメロース、酸化チタン、カルナウバロウを含む錠剤であり、ユリーフOD錠は、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、D−マンニトール、ラウリル硫酸ナトリウム、結晶セルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、クロスポビドン、部分アルファー化デンプン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、スクラロース、香料、アラビアガム、乳糖、プロピレングリコールを含む口腔内崩壊錠である(非特許文献1)。
シロドシンは、熱及び光に対して不安定であり、保存により分解物を生じ易い(特許文献1〜4)。このため、シロドシンを含有する錠剤は、気密容器内で遮光して保存すべきことが定められており(第17改正日本薬局方)、その保存や取り扱いに特別な配慮を要する。
錠剤中のシロドシンの安定性を向上させることが種々提案されている。例えば、特許文献1は、シロドシンを含有する錠剤に、塩基性アクリレートコポリマー又は塩基性メタクリレートコポリマーを配合することを開示している。また、特許文献2は、シロドシンを含有する錠剤を有核錠とし、シロドシンを内核部だけに含有させることを開示している。また、特許文献3は、シロドシンを含有する錠剤にヒドロキシプロピルセルロースを配合しないことを開示している。また、特許文献4は、シロドシンを含有する錠剤を酸化チタンを含むコーティング層で被覆することを開示している。
しかし、これらの文献が提案する方法は、煩雑な製造工程を要したり、高価なポリマーの配合を要したり、安価で汎用性が高いヒドロキシプロピルセルロースを配合できない等の制限があり、安価な医薬品を供給することができない。
特開2013−532651号 特開2017−14151号 特開2016−138073号 特許4805234号
ユリーフ錠・ユリーフOD錠 医薬品インタビューフォーム
本発明は、良好な安定性を示すシロドシン含有固形医薬組成物であって、高価な原料や特殊な工程を経ずに製造することができるもの、及びその効率的な製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、シロドシンを含有する固形医薬組成物に、2級又は3級有機アミンを配合することにより、シロドシンの分解又は変性による類縁物質の生成が効果的に抑制されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、下記のシロドシン含有固形医薬組成物、及びその製造方法を提供する。
〔1〕 シロドシン、及び2級又は3級アミンを含む固形医薬組成物。
〔2〕 2級又は3級アミンを、シロドシンの1重量部に対して、0.01〜8重量部含む、〔1〕に記載の固形医薬組成物。
〔3〕 さらに、エチルセルロースを含む、〔1〕又は〔2〕に記載の固形医薬組成物。
〔4〕 剤型が錠剤、散剤、顆粒剤、又はカプセル剤である、〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の固形医薬組成物。
〔5〕 シロドシン、及び2級又は3級アミンを混合する工程を含む、固形医薬組成物の製造方法。
〔6〕 固形医薬組成物が錠剤であり、シロドシンを含む医薬組成物を造粒する工程と、得られた造粒物を打錠するか、又は得られた造粒物と添加物との混合物を打錠する工程とを含み、シロドシンを含む医薬組成物、及び/又は添加物が2級又は3級アミンを含む、〔5〕に記載の固形医薬組成物の製造方法。
〔7〕 シロドシンを含む造粒物をエチルセルロースを含む皮膜でコーティングする工程を含む、〔6〕に記載の製造方法。
前述した通り、シロドシンは、熱及び光に対して不安定であり、保存により分解又は変性して、類縁物質が生成し易い。一方、固形医薬組成物を製造するには、成形性、強度、崩壊性、主薬の溶出性、味などの特性を適切にするために添加物を配合する必要があるが、一般に、添加物の配合によりシロドシンの類縁物質の生成が促進される傾向にある。
この点、本発明の固形医薬組成物は、シロドシンと2級又は3級有機アミンを含有することにより、シロドシンの類縁物質の生成が抑えられている。
2級又は3級有機アミンである医薬添加物は、汎用される安価なものが多い。また、本発明の固形医薬組成物は、特殊な製造工程を必要としない。従って、本発明の固形医薬組成物は、安価に製造することができる。また、錠剤に限らず、広範囲の製剤形態を採ることができる。
シロドシンの類縁物質の生成量に及ぼす種々の添加物の影響を示す図である。 光照射によるシロドシンの類縁物質の生成量に及ぼす種々の添加物の影響を示す図である。 光照射によるシロドシンの類縁物質の生成量に及ぼす種々の崩壊剤の影響を示す図である。 シロドシンの種々の類縁物質の生成量に及ぼすメグルミンの影響を示す図である。 シロドシンの種々の類縁物質の生成量に及ぼす崩壊剤の影響を示す図である。 シロドシンを含む医薬組成物へのメグルミンの配合方法がシロドシンの類縁物質の生成量に及ぼす影響を示す図である。 シロドシンを含む医薬組成物へのメグルミンの配合方法がシロドシンの類縁物質の生成量に及ぼす影響を示す図である。 シロドシンの溶出性に及ぼすメグルミンの影響を示す図である。 実施例で用いたポリプロピレン製シート及び遮光性ポリプロピレン製シートに光照射した場合の、波長と光透過率との関係を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)固形医薬組成物
製剤形態
本発明の固形医薬組成物は、シロドシンと2級又は3級有機アミンを含有していればよく、その製剤形態は、特に限定されない。例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(特に、硬カプセル剤)などが挙げられる。特殊な錠剤として、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、バッカル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠、トローチ剤なども挙げられる。
シロドシン
シロドシンには、α型、β型、γ型の結晶型が知られており、何れも使用することができるが、結晶転移し難いβ型が好ましい。シロドシンのα型、β型、γ型の各結晶型については、特許第4532274号に記載されている。
2級又は3級有機アミン
2級又は3級有機アミンとしては、メグルミンのようなアミノ糖;アルギニン、ヒスチジンのような塩基性アミノ酸;トリエタノールアミン;又はそれらの塩(塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、有機酸塩)などが挙げられる。これらは、ポリマーではない。
また、2級又は3級有機アミンとしては、ポビドン、クロスポビドンのようなポリマーも挙げられる。ポリマーは、(メタ)アクリレートを含むモノマーを重合させた塩基性コポリマー(塩基性(メタ)アクリレートコポリマー)(特に、アミノ基を有する塩基性(メタ)アクリレートコポリマー)を含まないものとすることができる。
中でも、2級アミンが好ましく、メグルミンがより好ましい。メグルミンは、シロドシンの安定性を向上させると共に、溶解剤でありながらシロドシンの溶出を促進し難い。従って、口中でシロドシンが溶出して苦みを感じることが抑えられる。
2級又は3級有機アミンは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
2級又は3級有機アミンの配合量は、シロドシンの1重量部に対して、0.01重量部以上が好ましく、0.03重量部以上がより好ましく、0.05重量部以上がさらにより好ましい。また、シロドシンの1重量部に対して、8重量部以下が好ましく、4重量部以下がより好ましく、2重量部以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、シロドシンの分解又は変性を実用上十分に抑制できる。
錠剤
本発明の医薬組成物が錠剤である場合、シロドシンを、1錠中に、例えば約0.1〜10mg含むことができ、中でも2mg、又は4mg含むことができる。
また、錠剤は、2級又は3級有機アミンを、1錠中に、約0.1〜10mg、中でも約1〜5mg含むことができる。
また、錠剤中の2級又は3級有機アミンの含有量は、錠剤の全量(錠剤がコーティングを有する場合は素錠の全量)に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、シロドシンを十分に安定化できる。また、50重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、2重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、錠剤の成型不良が生じない。
錠剤は、2級又は3級有機アミンの他に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、光沢化剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、防腐剤などの、錠剤に一般的に使用される任意の添加物を含むことができる。
添加物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
賦形剤としては、例えば、乳糖水和物、白糖、マルトース、果糖、ブドウ糖(デキストロース)、トレハロースのような糖類;マンニトール(特に、D−マンニトール)、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトールのような糖アルコール;デンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプンのようなデンプン類;結晶セルロースのようなセルロース類;デキストリンなどが挙げられる。
結合剤としては、ポビドンの他に、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース類;デンプン;ゼラチン;トラガントゴム;ポリビニルアルコール;塩基性(メタ)アクリレートコポリマーなどが挙げられる。
錠剤は、ヒドロキシプロピルセルロースを含まないものとすることができる。
崩壊剤としては、クロスポビドンの他に、例えば、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース類;デンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)のようなデンプン類;デキストリン;ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛など)、ステアリン酸塩エステル(フマル酸ステアリルナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリンなど)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、酒石酸ナトリウムカリウムなどが挙げられる。
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、酸化チタン、食用タール色素、天然色素などが挙げられる。中でも、シロドシンの光による分解又は変性を効果的に抑制できる点で、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄が好ましい。
甘味剤としては、例えば、スクラロース、マンニトール、ショ糖、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウムなどが挙げられる。
錠剤の製造方法は特に限定されない。例えば、シロドシンを含む医薬組成物を、常法に従い、湿式又は乾式で造粒し、必要に応じて乾燥、整粒した後、得られた造粒物を打錠するか、又は得られた造粒物と1種又は2種以上の添加物とを混合して打錠する方法により製造することができる。湿式造粒法としては、流動層造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、練合造粒法などが挙げられ、乾式造粒法としては、圧片造粒法、ブリケット造粒法、溶融造粒法などが挙げられる。
また、造粒せずに全成分を打錠する直接打錠法も採用できる。
シロドシンを含む医薬組成物を造粒した後、添加物と混合して打錠する場合、2級又は3級有機アミンは、シロドシンと共に造粒する医薬組成物に配合してもよく、或いは、後末添加する添加物組成物に配合してもよいが、シロドシンと共に造粒する医薬組成物に配合することにより、シロドシンの分解又は変性が一層効果的に抑制される。また、造粒に供する医薬組成物と後末添加する組成物の両方に配合することも好ましい。
造粒に供する医薬組成物、及び添加物組成物には、例えば上記の、錠剤に一般的に使用される任意の添加物を配合することができる。
また、シロドシンを含む医薬組成物を造粒した後、造粒物をそのまま、又は添加物と混合して打錠するに当たり、造粒物をコーティングしておくことにより、シロドシンの苦味をマスキングすることができる。コーティング皮膜は、例えば、上記例示した結合剤や賦形剤の1種以上を含むことができる。コーティング皮膜の成分としては、エチルセルロースが好適である。エチルセルロースをコーティング皮膜成分として用いる場合、口中でのシロドシンの苦みを抑制し、かつ消化管内で十分にシロドシンを溶出させることができる。また、医薬組成物がシロドシンを含む口腔内崩壊錠である場合、エチルセルロースをコーティング皮膜成分として用いれば、錠剤の長期保管によって口腔内崩壊性が低下し難い。
造粒物をコーティングするには、例えば、結合剤や賦形剤の1種以上を含む組成物を溶媒(水、及び/又はエタノールなど)に溶解させた溶液を造粒物に噴霧すればよい。
エチルセルロースを含む皮膜でコーティングされた造粒物を打錠に供する場合、得られる錠剤は、エチルセルロースを表面又は表層部分に有するシロドシン含有医薬組成物からなる部分(例えば、粒状部分)と、シロドシンを含有しない添加物組成物からなる部分(例えば、粒状部分)とが均一に混在したものとなる。
錠剤は口腔内崩壊錠であることが好ましい。本発明において、口腔内崩壊錠は、口腔内崩壊錠試験器(富山産業株式会社、ODT−101)を用いて測定した崩壊時間が30秒以内の錠剤をいう。この崩壊時間は、好ましくは25秒以内であり、より好ましくは20秒以内である。
口腔内崩壊錠は、崩壊し易い分、硬度が低くなり、製造、流通、保存、使用時に、破損し易い。口腔内崩壊錠の錠剤強度は、硬度(N)/錠剤断面積(mm)で求められ、望ましくは、1以上、1.5以上、2以上、又は2.5以上とすることができ、また、4.5以下、4以下、又は3.5以下とすることができる。この範囲であれば、実用上十分な成形性を有し、製造、流通、使用に適した錠剤が得られると共に、良好な崩壊性が得られる。
本発明において、錠剤の硬度は、錠剤硬度計(富山産業社製、TH−303MP)で測定した値である。
口腔内崩壊錠は、上記例示した添加物の種類及び含有量を適宜調整することにより製造することができる。打錠時の圧縮圧は、300kgf以上、500kgf以上、又は800kgf以上とすることができ、また、1200kgf以下、1000kgf以下、又は700kgf以下とすることができる。この範囲であれば、実用上十分な成形性、錠剤強度が得られると共に、良好な崩壊性が得られる。
その他の剤型
本発明の固形医薬組成物が錠剤以外の剤型である場合について説明すると、散剤は、シロドシンと2級又は3級有機アミンに、必要に応じて、賦形剤やその他の添加物(着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、防腐剤など)を配合することにより製造することができる。
顆粒剤は、シロドシン、2級又は3級有機アミン、賦形剤、及び必要に応じてその他の添加物(着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、防腐剤など)の混合物を、常法に従い、湿式又は乾式で造粒し、乾燥、整粒、篩過のような工程に供して製造することができる。顆粒剤は、前述した通り、エチルセルロースのような結合剤又は賦形剤を用いてコーティングしたものとすることができる。
カプセル剤は、常法に従い、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような硬カプセル内に顆粒剤や散剤を充填することにより製造することができる。
包装
本発明の固形医薬組成物は、プラスチックを含む包装材料で包装されることで、さらに安定性が向上する。プラスチック製包装材料の形態は、特に限定されず、シート状、フィルム状、容器形状などが挙げられる。具体的には、ストリップ包装、PTP包装、瓶などの容器が挙げられる。医薬組成物の剤型などに応じて、形態を適宜選択できる。
プラスチックは、包装材料の一部又は全部に用いられていればよく、包装材料の全部がプラスチックであることが好ましい。包装材料の全部又は一部が、アルミニウムシート又はフィルムなどの非プラスチック材料である場合も、プラスチックシート又はフィルムと積層することで、包装材料の全面にプラスチックが使用されることが好ましい。
プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化テレフタレート、ポリクロロトリフルオロエチレン、環状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンコポリマー等が挙げられる。中でも、ポリオレフィン(特に、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリオレフィンコポリマー、ポリ塩化ビニル、環状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンコポリマーが好ましい。プラスチックは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、本発明の固形医薬組成物は、遮光材料で包装されていることが好ましい。中でも、535nm以下(特に、370〜535nm)の範囲の波長の光透過率が30%以下、中でも10%以下、中でも5%以下である遮光材料が好ましく、これにより、安定性が一層向上する。
遮光材料としては、染料、顔料、光吸収剤、光散乱剤などの添加により遮光機能を付与したプラスチック材料、アルミニウムシート又はフィルムのような非プラスチック製遮光材料などが挙げられる。遮光機能を付与したプラスチック材料としては、上記例示したプラスチック材料に染料、顔料、光吸収剤、光散乱剤などを添加したものが挙げられる。
非プラスチック製遮光材料を使用する場合は、プラスチック製包装材料と組み合わせて使用することが望ましい。例えば、アルミニウムシート又はフィルムのような非プラスチック製遮光シート又はフィルムとプラスチックシート又はフィルムとの積層体で包装することや、非プラスチック製遮光材料とプラスチック材料とで2重に包装することができる。
また、本発明の固形医薬組成物は、乾燥剤と共に包装されることで、安定性が向上する。乾燥剤としては、例えば、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、ゼオライト、塩化カルシウム、生石灰(酸化カルシウム)、ベントナイトクレイ(モンモリロナイト)、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。中でも、シリカゲル、塩化カルシウムが好ましい。乾燥剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
用法・用量
本発明の固形医薬組成物は、市販のユリーフ錠・ユリーフOD錠と同様に、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療剤として使用できる。その用量・用法も、市販品と同様にすることができ、成人であれば、例えば、1回当たりのシロドシン投与量が4mgとなるようにして、1日2回経口投与することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)シロドシンの熱安定性に及ぼす添加物の影響 No.1
シロドシンβ型結晶と各被験物質とを、1:1の重量比で混合し、ガラス瓶に入れて密栓し、温度55℃、相対湿度75%の下で4週間静置した。被験物質としては、メグルミン、ラウリル硫酸ナトリウム、クエン酸トリエチル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アルギニン、アスパラギン酸、及びアラニンをそれぞれ用いた。
医薬組成物において、ラウリル硫酸ナトリウムは、メグルミンと同様に可溶化剤として用いられており、クエン酸トリエチルは、コーティングの可塑剤として用いられており、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは安定化剤として用いられている。
また、被験物質を混合しないシロドシンβ型結晶についても、同様に、ガラス瓶に入れて密栓し、温度55℃、相対湿度75%の下で4週間静置した。静置前後に、下記条件の高速液体クロマトグラフィーを行うことにより、生成した類縁物質を定量した。
第17改正日本薬局方の「シロドシン錠」の純度試験の項目に記載の類縁物質の定量方法の条件を採用した。具体的には、以下の通りである。

(高速液体クロマトグラフィーの条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:225 nm)
カラム:内径4.6 mm、長さ25 cmのステンレス管に5 μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相A:リン酸二水素ナトリウム二水和物3.9 gを水1000 mLに溶かし、薄めたリン酸(1→10)を加えてpH 3.4に調整する。
移動相B:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を表1のように変えて濃度勾配制御する。
流量:シロドシンの保持時間が約13分になるように調整する。
面積測定範囲:溶媒のピークの後からシロドシンの保持時間の約3.5倍の範囲
静置前の混合物中のシロドシンの含有量に対する、4週間静置後の混合物中の類縁物質の総含有量の比率(%)、RRT1.3の含有量の比率(%)、RRT1.9の含有量の比率(%)、及びそれら以外の類縁物質の含有量の比率(%)を算出した。
RRT1.3は、試料溶液のシロドシンに対する相対保持時間が約1.3にピークを有する類縁物質であり、錠剤中のシロドシンの含有量に対する比率が1%以下であることが求められている(第17改正日本薬局方)。RRT1.9は、第17改正日本薬局方の「シロドシン」の純度試験の項目に記載のシロドシンに対する相対保持時間が約2.0にピークを有する類縁物質に相当する。錠剤中のシロドシンの含有量に対する、RRT1.3以外の類縁物質の量の比率は0.25%以下、類縁物質総量の比率は2%以下であることが求められている(第17改正日本薬局方)。
結果を図1に示す。
図1が示す通り、メグルミンを配合した場合、同じ医薬添加物であるラウリル硫酸ナトリウム、クエン酸トリエチル、又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを配合した場合に比べて、総類縁物質、RRT1.3の何れの生成量も顕著に少なかった。また、アルギニンを配合した場合、同じアミノ酸であるアスパラギン酸、又はアラニンを配合した場合に比べて、総類縁物質、RRT1.3の何れの生成量も顕著に少なかった。
なお、個々の類縁物質の量は、検出されたすべての類縁物質についてカウントした。類縁物質の総量については、医薬審発第0624001号「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインの改定について」に従い、報告の必要な閾値を超える(>0.1%)レベルで認められたすべての類縁物質の総量を記載した。
また、添加物は個別の目的で配合されるところ、保存条件によっては、メグルミンのみの場合より添加物を配合した場合の方が類縁物質が多い場合もある。しかし、メグルミン、及びアルギニンは、他の添加物に比べて類縁物質の生成量が少ない。
(2)シロドシンの光安定性に及ぼす添加物の影響
シロドシンβ型結晶と各被験物質とを、1:1の重量比で混合し、ガラス瓶に入れて密栓し、ナガノサイエンス製LT−120A型を用いて、室温の下で、白色光の光を120万lx照射した。被験物質としては、メグルミン、ラウリル硫酸ナトリウム、アルギニン、アスパラギン酸、酸化チタン、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、部分アルファー化デンプン、及びデンプングリコール酸ナトリウムをそれぞれ用いた。また、被験物質を混合しないシロドシンβ型結晶も、同様に、ガラス瓶に入れて密栓して光照射した。光照射の前後に、「(1)シロドシンの熱安定性に及ぼす添加物の影響 No.1」の項目に記載の条件で高速液体クロマトグラフィーを行った。
静置前の混合物中のシロドシンの含有量に対する、4週間静置後の混合物中の類縁物質の総含有量の比率(%)、RRT1.3の含有量の比率(%)、RRT1.9の含有量の比率(%)、及びその他の類縁物質の含有量の比率(%)を算出した。
RRT1.9は、第17改正日本薬局方の「シロドシン」の純度試験の項目に記載のシロドシンに対する相対保持時間が約2.0にピークを有する類縁物質に相当する。
結果を図2、図3に示す。
図2が示す通り、メグルミン又はアルギニンを配合することにより、原薬のみの場合に比べて、類縁物質総量、及びRRT1.3量が少なくなった。これらの類縁物質の量は、遮光剤である酸化チタンを配合した場合よりも少なかった。メグルミンを配合した場合、同じ可溶化剤であるラウリル硫酸ナトリウムを配合した場合に比べて、総類縁物質、RRT1.3、RRT1.9、その他の類縁物質の何れの生成量も少なかった。また、アルギニンを配合した場合は、同じアミノ酸であるアスパラギン酸を配合した場合に比べて、総類縁物質、RRT1.3、RRT1.9、その他の類縁物質の何れの生成量も少なかった。
また、図3が示す通り、クロスポビドンを配合した場合、他の崩壊剤を配合した場合に比べて、総類縁物質、RRT1.3、RRT1.9、その他の類縁物質の何れの生成量も少なかった。
(3)シロドシンの熱安定性に及ぼす添加物の影響 No.2
(3-1)口腔内崩壊錠の製造
実施例1(メグルミン)
シロドシン40g及び部分アルファー化デンプン181.7gを流動層造粒乾燥機に入れ混合し、ここにヒドロキシプロピルセルロース2.8g、黄色三二酸化鉄0.20g、及び三二酸化鉄0.10gをエタノール/水混液(7:3)100gに添加した結合液をスプレーノズルで噴霧し、造粒を行った。さらに得られた造粒末にエチルセルロース6.0g及びヒドロキシプロピルセルロース1.0gをエタノール/水混液(2:8)100gに添加したコーティング液をスプレーノズルで噴霧しコーティングを行った。得られたコーティング末をスクリーンサイズφ0.5mmにて整粒し、整粒末を得た。この整粒末34.77gにD-マンニトール163.76g、結晶セルロース45.0g、クロスポビドン7.5g、メグルミン2.4g、及びステアリン酸マグネシウム1.58gを混合し、打錠用混合末を得た。この打錠用混合末を、ロータリー式打錠機を用い、杵径8.0mm、打錠圧約7kNの条件で打錠し、1錠当たりシロドシン4mgを含有する質量170.0mgの口腔内崩壊錠を得た。
錠剤中のコーティング剤の含有量は2.6重量%であり、錠剤中のメグルミンの含有量は0.9重量%である。
比較例1
実施例1において、メグルミンを添加しない代わりにD−マンニトールを同量(2.4g)増量する他は、実施例1と同様にして、口腔内崩壊錠を製造した。
実施例2(メグルミン)
実施例1において、造粒末にスプレーするコーティング液の量を3倍にした他は、実施例1と同様にして、1錠当たりシロドシン4mgを含有する質量170.0mgの口腔内崩壊錠を製造した。錠剤中のコーティング剤の含有量は7.8重量%であり、錠剤中のメグルミンの含有量は0.9重量%である。
比較例2
実施例2において、メグルミンを添加しない他は、実施例2と同様にして、口腔内崩壊錠を製造した。
実施例3(クロスポビドン)
シロドシン40g及び部分アルファー化デンプン181.7gを流動層造粒乾燥機に入れ混合し、ここへヒドロキシプロピルセルロース2.8gをエタノール/水混液(7:3)100gに添加した結合液をスプレーノズルで噴霧し、造粒を行った。さらに得られた造粒末にエチルセルロース6.0g及びヒドロキシプロピルセルロース1.0gをエタノール/水混液(2:8)100gに添加したコーティング液をスプレーノズルで噴霧し、コーティングを行った、得られたコーティング末をスクリーンサイズφ0.5mmにて整粒し、整粒末を得た。この整粒末11.6gにD−マンニトール55.4g、結晶セルロース15.0g、クロスポビドン2.5g及びステアリン酸マグネシウム0.5gを混合し、打錠用混合末を得た。この打錠用混合末を、ロータリー式打錠機を用い、杵径8.0mm、打錠圧約7kNの条件で打錠し、1錠当たりシロドシン4mgを含有する質量170.0mgの錠剤を得た。
比較例3(部分アルファー化デンプン)
シロドシン96g及び部分アルファー化デンプン436.1gを流動層造粒乾燥機に入れ混合し、ここへヒドロキシプロピルセルロース6.72gを精製水240gに添加した結合液をスプレーノズルで噴霧し、造粒を行った。得られた造粒末224.5gにモノステアリン酸グリセリン1.5gを精製水150gに添加したコーティング液をスプレーノズルで噴霧し、コーティングを行った。得られたコーティング末をスクリーンサイズφ0.5mmにて整粒し、整粒末を得た。この整粒末33.90gにD-マンニトール146.78g、結晶セルロース60.0g、部分アルファー化デンプン12.75g及びステアリン酸マグネシウム1.58gを混合し、打錠用混合末を得た。この打錠用混合末を、ロータリー式打錠機を用い、杵径8.0mm、打錠圧約7kNの条件で打錠し、1錠当たりシロドシン4mgを含有する質量170.0mgの錠剤を得た。
(3-2)安定性の評価
実施例1、2、比較例1、2の錠剤を、ガラス瓶に入れ、温度55℃、相対湿度75%の下で2週間静置した。静置前後に、上記条件の高速液体クロマトグラフィーを行い、静置前の混合物中のシロドシンの含有量に対する、2週間静置後の混合物中のRRT0.33、RRT1.3、RRT1.5、RRT2.4、及びRRT3.1の各類縁物質の含有量の比率(%)を算出した。結果を図4に示す。
メグルミンを配合しない比較例1、2の錠剤は、RRT1.3の比率が1%前後であった。これに対して、メグルミンを配合することにより、RRT1.3の比率は顕著に低下した(実施例1、2)。
また、メグルミンを配合することにより、RRT0.33、RRT1.5、RRT2.4、及びRRT3.1の含有量の比率も低下した。前述した通り、錠剤中のシロドシンの含有量に対するRRT1.3以外の類縁物質の比率は0.25%以下であることが求められているところ(第17改正日本薬局方)、メグルミンを配合した実施例1、2の錠剤中のこれらの類縁物質の比率は0.25%を下回っていた。
また、実施例3の錠剤、比較例3の錠剤、及びユリーフOD錠(シロドシンを4mg含有)を、ガラス瓶に入れて密栓し、温度55℃、相対湿度75%の下で4週間静置した。静置前後に、上記条件の高速液体クロマトグラフィーを行い、静置前の混合物中のシロドシンの含有量に対する、4週間静置後の混合物中のRRT1.3、RRT1.5、及びRRT1.9の各類縁物質の含有量の比率(%)を算出した。RRT1.5は、第17改正日本薬局方の「シロドシン」の純度試験の項目に記載のシロドシンに対する相対保持時間が約1.6にピークを有する類縁物質に相当し、RRT1.9は、シロドシンに対する相対保持時間が約2.0にピークを有する類縁物質に相当する。
結果を図5に示す。
崩壊剤としてクロスポビドンに代えて部分アルファー化デンプンを含む比較例3の錠剤、及びクロスポビドンに加えてアミノアルキルメタクリレートコポリマーを含むユリーフOD錠は、RRT1.3の比率が1%を超えた。これに対して、崩壊剤としてクロスポビドンを含む実施例3の錠剤は、RRT1.3の比率が約0.7%であった。また、RRT1.5及びRRT1.9の比率も、比較例3の錠剤及びユリーフOD錠に比べて、実施例3の錠剤の方が少なかった。
(4)2級又は3級アミンの配合方法の影響
(4-1)口腔内崩壊錠の製造
実施例4(メグルミンを主薬顆粒に配合)
部分アルファー化デンプン200gを流動層造粒乾燥機に入れ混合し、ここへシロドシン40g、ヒドロキシプロピルセルロース14g、メグルミン16g及び黄色三二酸化鉄0.20gを精製水360gに添加した結合液をスプレーノズルで噴霧し、造粒を行った。得られた造粒末にエチルセルロース12.0g及びヒドロキシプロピルセルロース2.0gをエタノール/水混液(2:8)400gに添加したコーティング液をスプレーノズルで噴霧しコーティングを行った。得られたコーティング末をスクリーンサイズφ0.5mmにて整粒し、整粒末を得た。この整粒末284gにD-マンニトール1052.4g、結晶セルロース300.0g、クロスポビドン50g及びステアリン酸マグネシウム13.6gを混合し、打錠用混合末を得た。この打錠用混合末を、ロータリー式打錠機を用い、杵径8.0mm、打錠圧約7kNの条件で打錠し、1錠当たりシロドシン4mgを含有する質量170.0mgの錠剤を得た。
実施例5(メグルミンを後末添加)
シロドシン40g及び部分アルファー化デンプン200gを流動層造粒乾燥機に入れ混合し、ここへヒドロキシプロピルセルロース14g及び黄色三二酸化鉄0.20gを精製水360gに添加した結合液をスプレーノズルで噴霧し、造粒を行った。得られた造粒末にエチルセルロース12.0g及びヒドロキシプロピルセルロース2.0gをエタノール/水混液(2:8)400gに添加したコーティング液をスプレーノズルで噴霧しコーティングを行った。得られたコーティング末をスクリーンサイズφ0.5mmにて整粒し、整粒末を得た。この整粒末268gにD−マンニトール1052.4g、結晶セルロース300.0g、クロスポビドン50g、メグルミン16g及びステアリン酸マグネシウム13.6gを混合し、打錠用混合末を得た。この打錠用混合末を、ロータリー式打錠機を用い、杵径8.0mm、打錠圧約7kNの条件で打錠し、1錠当たりシロドシン4mgを含有する質量170.0mgの錠剤を得た。
(4-2)安定性の評価
実施例4、5、比較例1の各錠剤、及びユリーフOD錠(シロドシンを4mg含有)を、ガラス瓶に入れ、温度55℃、相対湿度75%の下で2週間静置した。静置前後に、上記条件の高速液体クロマトグラフィーを行い、静置前の混合物中のシロドシンの含有量に対する、2週間静置後の混合物中のRRT1.3、RRT1.5、RRT1.9の各類縁物質の含有量の比率(%)を算出した。結果を図6に示す。
55℃の苛酷条件での静置前後で、メグルミンを含まない比較例1の錠剤に比べて、メグルミンを含む実施例1、2の錠剤中の類縁物質の比率は少なかった。比較例1の錠剤では、55℃の苛酷条件での静置後にRRT1.3の比率が1.5%となり、薬局方規定の1%を超えたが、実施例4、5の錠剤は、この苛酷条件下で静置してもRRT1.3の比率は約0.2〜0.3であった。
また、メグルミンをシロドシンと共に造粒する方が(実施例4)、後末添加するより(実施例5)、一層効果的に類縁物質の生成が抑制された。
また、実施例4、5の錠剤、及びユリーフOD錠(シロドシンを4mg含有)を、ガラス瓶に入れ、温度80℃の下で2日間静置した。静置前後に、上記条件の高速液体クロマトグラフィーを行い、静置前の混合物中のシロドシンの含有量に対する、2日間静置後の混合物中のRRT1.3、RRT1.5、RRT1.9の各類縁物質の含有量の比率(%)を算出した。結果を図7に示す。
80℃の苛酷条件で静置することによりユリーフOD錠中の類縁物質の比率は顕著に増大したが、実施例4、5の錠剤は、この苛酷条件下でも類縁物質の比率は余り増大しなかった。
また、メグルミンをシロドシンと共に造粒する方が(実施例4)、後末添加するより(実施例5)、一層効果的に類縁物質の生成が抑制された。
(5)シロドシンの溶出性に及ぼす2級又は3級アミンの影響
(5-1)口腔内崩壊錠の製造
実施例6〜8
シロドシン40g及び部分アルファー化デンプン181.7gを流動層造粒乾燥機に入れ混合し、ここへヒドロキシプロピルセルロース2.8g、黄色三二酸化鉄0.20g及び三二酸化鉄0.10gを精製水100gに添加した結合液をスプレーノズルで噴霧し、造粒を行った。得られた造粒末へエチルセルロース18.0g及びヒドロキシプロピルセルロース3.0gをエタノール/水混液(2:8)100gに添加したコーティング液をスプレーノズルで噴霧しコーティングを行った。得られたコーティング末をスクリーンサイズφ0.5mmにて整粒し、整粒末を得た。この整粒末24.55mgに、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスポビドン、メグルミン、及びステアリン酸マグネシウムを加え、打錠用混合末を得た。これらの後末添加した添加物の使用量は下記表2に示す通りであるこの打錠用混合末を、ロータリー式打錠機を用い、杵径8.0mm、打錠圧約7kNの条件で打錠し、1錠当たりシロドシン4mgを含有する質量170.0mgの打錠を得た。
比較例4
メグルミンを配合しない他は、実施例6と同様にして口腔内崩壊錠を得た。
(5-2)溶出性の評価
溶出性
実施例6〜8、及び比較例4で得た各錠剤、ユリーフ錠、ユリーフOD錠を溶出試験に供した。
溶出試験は、日本薬局方のパドル法で行った。装置は、自動溶出試験装置(NTR−6100A、富山産業)を用い、パドルの回転数は50rpmとし、溶出液として水を900mL用いて、恒温槽中を37℃に維持した。
溶出開始5分後に、溶出液をサンプリングし、pH 0.1mol/L塩酸試液を加えて2倍希釈した液につき、シロドシンの濃度を、下記条件の高速液体クロマトグラフィーで測定した。

(高速液体クロマトグラフィー条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:270nm)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:リン酸二水素ナトリウム二水和物3.9gを水1000mLに溶かし、薄めたリン酸(1→10)を加えてpH3.4に調整する。この液730mLに液体クロマトグラフィー用アセトニトリル270mLを加える。
流量:シロドシンの保持時間が約6分になるよう調整する。

各サンプルの溶出液中のシロドシン濃度を、錠剤中のシロドシンの全量が溶出した場合の溶出液中のシロドシンを100とした場合の相対値(%)で表した。
結果を図8に示す。メグルミンは、溶解剤として用いられているため、その配合によりシロドシンの溶出率が高くなることが予測されるが、メグルミンはシロドシンの溶出率を増大させなかった。
シロドシンは苦みが強いため、口中での錠剤からのシロドシンの溶出は極力少ないことが求められるところ、溶出開始5分後の溶出率は、口中での溶出量を示している。メグルミンは、口中でのシロドシンの溶出を増大させず、苦みを増大させないことが分かる。
また、ユリーフ錠及びユリーフOD錠からのシロドシンの溶出率は、実施例6〜8の錠剤の溶出率より高かった。
(6)シロドシンの溶出性に及ぼす主薬顆粒コーティング剤の影響
(6-1)口腔内崩壊錠の製造
実施例9〜11
実施例1において、主薬顆粒をコーティングする溶液中のエチルセルロースの配合量を、それぞれ、0.60mg(2.6重量%)、1.80mg(7.8重量%)、及び2.40mg(10.6重量%)にした他は、実施例1と同様にして、実施例9〜11の口腔内崩壊錠を製造した。なお、素錠の全量が170mgとなるように、D−マンニトールの配合量を調整した。
比較例5、6
ユリーフ錠(シロドシンを4mg含有)、及びユリーフOD錠(シロドシンを4mg含有)を、それぞれ、比較例5、及び6として用いた。ユリーフ錠は、製造原料のシロドシン含有顆粒がコーティングされておらず、ユリーフOD錠は、製造原料のシロドシン含有顆粒がアミノアルキルメタクリレートコポリマーEでコーティングされている。
(6-2)溶出性の評価
「(5)シロドシンの溶出性に及ぼす2級又は3級アミンの影響」の項目で説明した溶出試験方法で、溶出開始5分後及び15分後のシロドシンの溶出率を測定した。結果を表3に示す。
表3から明らかなように、シロドシンを含有する顆粒をエチルセルロースを含む膜でコーティングした実施例9〜11の錠剤は、溶出開始5分後にはシロドシンの溶出が適度に抑えられ、15分後にはシロドシンが十分に溶出した。
これに対して、シロドシンを含有する顆粒をコーティングしていない比較例5の錠剤(ユリーフ錠)は、溶出開始5分後にはシロドシンのほとんどが溶出した。また、シロドシンを含有する顆粒をアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む膜でコーティングした比較例6の錠剤(ユリーフOD錠)は、溶出開始5分後の溶出率は低いが、15分後にも溶出率が不十分であった。
シロドシンを含有する顆粒をエチルセルロースを含む膜でコーティングすることにより、口中での苦みが抑えられると共に、消化管内で十分にシロドシンが溶出して十分な薬効が得られることが分かる。
(6-3)保存安定性の評価
実施例11の錠剤(エチルセルロース10.6重量%含有)、及び比較例6の錠剤(ユリーフOD錠)を、ガラス瓶に入れ、温度55℃、相対湿度75%の下で4週間静置した。静置前後に、口腔内崩壊錠試験器(富山産業株式会社、ODT−101)を用いて口腔内崩壊時間を測定した。結果を表4に示す。
シロドシンを含有する顆粒をアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む膜でコーティングした比較例6の錠剤(ユリーフOD錠)は、上記苛酷条件下で保存することにより、口腔内崩壊時間が著しく延長し、口腔内崩壊錠として許容できる時間(例えば、FDAガイダンスに示される口腔内崩壊錠の口腔内崩壊時間の目安)である30秒を大幅に超えた。これに対して、シロドシンを含有する顆粒をエチルセルロースを含む膜でコーティングした実施例11の錠剤は、上記苛酷条件下で保存しても口腔内崩壊性は低下しなかった。
(7)シロドシンの安定性に及ぼす包装材料・乾燥剤の影響
(7-1)口腔内崩壊錠の製造
実施例12、13(メグルミン)
実施例1と同様の手順で、表5の組成を有する口腔内崩壊錠を製造した。表5中の数値は、1錠(全170mg)の製造に使用した成分量(mg)である。精製水及びエタノールは、得られる錠剤には実質的に含まれない。
(7-2)熱安定性の評価
実施例12、13の各錠剤、及びユリーフOD錠(シロドシンを4mg含有)を、各種材料で包装し、また乾燥剤と共に包装して、温度55℃、相対湿度75%の下で4週間静置した。また、コントロールとして、実施例13の錠剤、及びユリーフOD錠(シロドシンを4mg含有)を包装せずに同様にして静置した。静置前、2週間後、4週間後に、「(1)シロドシンの熱安定性に及ぼす添加物の影響 No.1」の項目に記載の条件で高速液体クロマトグラフィーを行い、静置前後の混合物中のRRT1.3の含有量の比率(%)を算出した。
使用した包装材料の種類、乾燥剤の種類、及びRRT1.3の含有量の比率(%)を表6に示す。表6中の「シート+フィルム」は、シートとフィルムで2重に包装したことを示す。
表6から明らかなように、本発明の固形医薬組成物を、ポリエチレン製瓶、ポリ塩化ビニル製シート、ポリプロピレン製シート、又は環状ポリオレフィン製シートで包装することにより、安定性が向上した。さらに、遮光材料であるアルミニウム・ポリエチレンラミネートフィルムで包装したり、乾燥剤と共に包装することにより、一層安定性が向上した。
(7-3)光安定性の評価
実施例13の錠剤を、ポリプロピレン製シート、及び遮光機能を有するポリプロピレン製シートで、それぞれ包装し、ナガノサイエンス製LT−120A型を用いて、室温の下で、白色光の光を148万lx照射した。また、実施例13の錠剤、及びユリーフOD錠(シロドシンを4mg含有)を包装せずに同様にして光照射した。光照射の前後に、「(1)シロドシンの熱安定性に及ぼす添加物の影響 No.1」の項目に記載の条件で高速液体クロマトグラフィーを行った。結果を表7に示す。
表7が示す通り、遮光機能を有するポリプロピレン製シートで包装することにより、光安定性が向上した。
また、上記の光安定性の評価に使用したポリプロピレン製シート及び遮光機能を有するポリプロピレン製シート(何れも、シート層厚さ300μm)について、紫外可視分光光度計(島津製作所・UV−2600)を用いて、波長220〜780nmの光の透過率を測定した。透過スペクトルを図9に示す。遮光機能を有するポリプロピレン製シートは、波長535nm以下の光の透過率が5%以下である。一方、ポリプロピレン製シートは、370nm以上の光の透過率が90%弱と高い。
従って、本発明の固形医薬組成物を、535nm以下の光の透過率が抑えられた遮光機能を有する包装で包装することにより、光照射による類縁物質産生量が抑制され、光安定性が向上することが分かる。
本発明のシロドシン含有固形医薬組成物は、汎用の医薬添加物である2級又は3級アミンを含有することにより、保存によるシロドシンの分解又は変性が抑制されている。従って、安価に製造することができ、実用価値が高いものである。

Claims (7)

  1. シロドシン、及び2級又は3級アミンを含む固形医薬組成物。
  2. 2級又は3級アミンを、シロドシンの1重量部に対して、0.01〜8重量部含む、請求項1に記載の固形医薬組成物。
  3. さらに、エチルセルロースを含む、請求項1又は2に記載の固形医薬組成物。
  4. 剤型が錠剤、散剤、顆粒剤、又はカプセル剤である、請求項1〜3の何れかに記載の固形医薬組成物。
  5. シロドシン、及び2級又は3級アミンを混合する工程を含む、固形医薬組成物の製造方法。
  6. 固形医薬組成物が錠剤であり、シロドシンを含む医薬組成物を造粒する工程と、得られた造粒物を打錠するか、又は得られた造粒物と添加物との混合物を打錠する工程とを含み、シロドシンを含む医薬組成物、及び/又は添加物が2級又は3級アミンを含む、請求項5に記載の固形医薬組成物の製造方法。
  7. シロドシンを含む造粒物をエチルセルロースを含む皮膜でコーティングする工程を含む、請求項6に記載の製造方法。

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