JP5360732B2 - 住宅 - Google Patents

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Description

本発明は、1階の床と、この1階の床の一部の上に設けられた中間床との間が収納空間
とされると共に玄関の玄関土間と段差のある1階の床に玄関と隣接して踊り場を介して2
階の床に至る階段が設けられた住宅に関し、特に居住空間内外において車椅子の使用が必
要である車椅子使用者が居住するために階段及び踊り場空間と共に収納空間の構造に配慮
した住宅に関する。
近年における生活の質の向上や多様化に対応し、建物の内部に大型収納空間を設けると
ともに、この収納空間と同じ床レベルの居室を隣接して設け、さらに、当該居室に収納空
間への出入り口を設けた建物は、上階の床と下階の床との間のスキップ床の床レベルに収
納空間を設けてなるため、上階の荷物と下階の荷物のいずれを収納空間へ出し入れする場
合にも便利であるという利点を備える。一方、本格的長寿社会を迎え、高齢者に限らず、
保護されるべき被介護者は歩行の困難を補うために車椅子の使用が不可避である場合がし
ばしばであり、したがって係る被介護者の暮らす住宅は、床の段差を可能な限り小さくす
ることによって、車椅子の使用を安全かつ容易にする必要がある。
このような要請に向けて本出願人は特許文献1で、天井高が低く比較的大きな収納空間
を玄関の脇に設けることで面積に制約のある一般住宅における空間の有効利用を図り、限
られた住宅空間を有効に活用しつつ使い勝手の良い収納を実現するという提案を行い、特
許文献2において玄関領域の高低差や段差を可能な限り小さくし、具体的には建物の一階
に設けられる玄関の沓みずりと、玄関外側の段差及び沓みずりと玄関土間の段差が具体的
に検討され、車椅子での通過も比較的容易にされた住宅を提案した。
特開2006−16849号公報 特開2002−309784号公報
特許文献1で提案された住宅では収納すべき物品の用途に合わせた収納をすることで面
積に制約のある一般住宅における空間の有効利用が可能にはなったものの、特定の空間が
単に物を収納するために利用されるだけであって、さらなる効率的な活用を図る必要があ
った。
一方、特許文献2で提案された住宅にあっては、玄関で靴を脱ぐために腰を下ろす上り
框と玄関土間との段差を車椅子で楽に登ることができる様にするためには勾配の緩いスロ
ープを設置する必要があり、係るスロープを設置するための専用スペースを玄関領域に設
けることは面積に制約のある一般住宅では容易ではなかった。
したがって本発明は以上の従来技術における問題点に鑑み、面積に制約のある一般住宅
における空間のさらなる有効利用を図って、車椅子使用者が心身共に快適に安心して居住
できる環境を実現することができる住宅を提供することを目的とする。
すなわち本発明の住宅は、玄関に隣接する階段と、前記階段の踊り場の下に配設されるスロープと、
を備え、
前記スロープは一端が前記玄関の玄関土間に連続し、他端は前記玄関土間と段差のある居室に連続して、前記スロープを登ることによって前記玄関土間と段差のある玄関ホールに至ることを特徴とする。
玄関の玄関土間と段差のある1階の床に玄関と隣接して収納区画が設けられ、その収納
区画には玄関土間への出入り口と1階の床への出入り口が設けられ、その収納区画内側に
は前記各出入り口を連絡するスロープが設けられる様にしてもよい

前記1階の床上に、前記階段の踊り場と同一平面に連続し、1階の床より半階高い第2の床が設けられ、前記収納区画はその第2の床下に設けられるようにすることができる。
前記1階の床への出入り口は、玄関の上り框近傍への出入り口又は収納区画に沿って配
置される廊下への出入り口とすることができ、この出入り口には引き戸が設けられる様に
することができる。

前記スロープに沿って階段及び踊り場棚が配置されてなる様にすることができる。前記スロープに沿ってガイドレール及び/又は手すりが設けられる様にすることができる。

前記スロープに沿って収納棚を配置し、その収納棚の端部に手すりを設ける様にしても良い。

本発明の住宅によれば、玄関に隣接する階段と、前記階段の踊り場の下に配設されるスロープと、を備え、前記スロープは一端が前記玄関の玄関土間に連続し、他端は前記玄関土間と段差のある居室に連続して、前記スロープを登ることによって前記玄関土間と段差のある玄関ホールに至ることができる。
以上の様に本発明の住宅によれば、従来デッドスペースとなる様な空間を活用し、かつ
車椅子で移動する場合にはあまり高い天井高を必要としない点を利用して、広い面積を必
要とするスロープを、そのスロープを設けることが必要とされる利便性の良い場所に設け
ながら、加えて、収納という付加機能を加え、一般住宅で空間を有効に活用して車椅子使
用者が快適な生活を送ることができる居住環境を実現することができる。

以下に本発明の実施の形態を説明する。この実施の形態では階段として折返し階段を有し、スロープは第1のスロープと第2のスロープとよりなり、居室と近接して玄関ホールが配置されるが、本発明の実施の形態はこれに限定されるものではない。

住宅1からの出入りに供する玄関2は、玄関土間2−2と玄関ホール2−3とを有して
構成され、玄関ホール2−3を備える1階の床9の床上であって玄関2及び居間・食事室
6に隣り合う位置には収納区画である蔵型階段・踊り場室10が設けられる。
この蔵型階段・踊り場室10を設けることによって充分な収納面積を確保することがで
き、広びろとした快適な居住空間が同時に車椅子使用者にとっても安全な移動および生活
動作が可能な居住空間となる。
図2〜図5は図1に示す住宅1の1階の床9と折返し階段の踊り場11と同一平面に連
続し、1階の床より半階高い第2の床11aを示す部分斜視図である。図6は図1矢視A
図である。また図7は図1断面B−B図である。
居間・食事室6に隣り合う蔵型階段・踊り場室10の床より半階高い位置には折返し階
段の踊り場11と同一平面に連続し、1階の床より半階高い第2の床11aが設けられ、
居間・食事室6から第2の床11aに上がる階段13が設けられる。さらにこの踊り場1
1よりも半階上がった位置の2階12に至る階段14が設けられる。
以上の様に第2の床11aの高さが1階の床9の蔵型階段・踊り場室10の床より半階
高くされている結果、平均的な身長の大人が車椅子に座った状態で蔵型階段・踊り場室1
0内を移動して車椅子に乗ったまま収納庫内の物品を容易に取り出すことができ、物品の
搬入や搬出に不自由はない。一方、第2の床11aに至るための階段13の上り下りも健
常者には特に負担となるものではない。
ここで半階とは、平均的な身長の大人が車椅子に座った状態で蔵型階段・踊り場室10
内を自由に移動することができる高さであって、1,400mm以下の高さを標準とする

この様に蔵型階段・踊り場室10の天井高すなわち図7に示す高さH4は車椅子に乗っ
たまま手が届く様に低く抑えられている。
蔵型階段・踊り場室10には出入り口10−3と出入り口10−4が設けられ、蔵型階
段・踊り場室10内側には、出入り口10−3と出入り口10−4とを結び、緩やかな傾
斜で連絡する第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bが設けられ、係る第
1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bが玄関土間2−2への出入り口10
−3と居間・食事室6に面して設けられる出入口10−4とを連絡する。
玄関土間2−2(図7に示す高さH1)と1階の床9(図7に示す高さH3)との間に
は図7に示す高さH2の段差が存在する。したがって第1のスロープ10−5aと第2の
スロープ10−5bには玄関土間2−2への出入り口10−3(図7に示す高さH1)か
ら1階の床9への出入り口10−4(図7に示す高さH3)に向かって1/15の昇り勾
配であって、これはすなわち出入り口10−4(高さH3)から出入り口10−3(高さ
H1)に向かって3m間で20cm低くなる下り勾配が形成される。
蔵型階段・踊り場室10内における収納棚10−6a,10−6b,10−6c(以下
、「収納棚10−6」と総称する)、は第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10
−5bの態様及び位置との関係で、基本的には第1のスロープ10−5aと第2のスロー
プ10−5bに沿って配置され、かつ収納棚10−6の第1のスロープ10−5aと第2
のスロープ10−5b側の端部に沿って手すり10−7が設けられる。
この手すり10−7は図6に示される様に収納棚10−6の上面に設けることができ、
また図上破線で示す手すり10−7aの様に、収納棚10−6の側端面から第1のスロー
プ10−5aと第2のスロープ10−5b側に張り出す態様で設けることもできる。
さらに図上手すり10−7bとして示す様に第1のスロープ10−5aと第2のスロー
プ10−5b側縁部分に立設する態様で張り渡すこともできる。さらにまた踊り場11の
下面側に第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bに沿って張り渡す態様で
手すり10−7cを設ける様にすることができる。
以上の実施の形態の住宅1によれば、車椅子使用者15が外部から住宅1内に入る場合
には、玄関ポーチから玄関土間2−2に入り、出入り口10−3から蔵型階段・踊り場室
10内側の第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bを通過し、出入り口1
0−4から1階の床9に至ることができる。
その過程では、第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bには1/15の
昇り勾配はあるものの特に通行の障害となる段差はなく、車椅子使用者15は車椅子16
に着座したまま特に困難無く住宅1内に入ることができる。
さらに第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bに沿って収納棚10−6
が配置され、かつ収納棚10−6の第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5
b側の端部に沿って手すり10−7が設けられているので、手すり10−7を伝っていく
ことで第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bの通過を安全に行うことが
できるだけでなく、その過程で収納棚に収納してある物を簡便に取得し、若しくは外出に
際して携行した物具を簡便に収納することができる。さらに、この第1のスロープ10−
5aと第2のスロープ10−5bに沿ってガイドレールが設けられた場合には、第1のス
ロープ10−5aと第2のスロープ10−5bの通過をより安全に行うことができる。
一方、車椅子使用者15が住宅1内から外部に出る場合には、1階の床9から出入り口
10−4を介して蔵型階段・踊り場室10内側の第1のスロープ10−5aと第2のスロ
ープ10−5bを通過し、出入り口10−3から玄関土間2−2に至り玄関ポーチから外
部に出ることができる。
その過程では、第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bには特に通行の
障害となる段差はなく、1/15の下り勾配はあるものの特に危険を生じる下り勾配では
なく、むしろ下り勾配を利用して移動できるため体力消費は少なくなり、車椅子使用者1
5には便宜である。
また、第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bを通過する過程で収納棚
10−6の第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5b側の端部に沿って設け
られた手すり10−7を伝っていくことで車椅子使用者15自身が速度を調整してゆっく
りと移動することができ、その点からも安全な移動が可能となる。
さらに第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bを通過して安全に外出す
ることができるだけでなく、その過程で収納棚に収納してある防寒具や雨具、さらにはゲ
ートボールを行うための用具など外出する際に必要となる物を車椅子に乗ったまま、簡便
に取得して外出することが可能となる。
さらに、この第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bに沿ってガイドレ
ールが設けられた場合には、第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bの通
過をより安全に行うことができることは言うまでもない。なお、第1のスロープ10−5
aと第2のスロープ10−5bの幅員は車椅子16による円滑な通行を可能とすると共に
、収納棚10−6における充分な収納容量を確保するために800〜850mmとされる
また、第2の床11a上に設けられた居室は例えば介護者の寝室として用いることがで
き、介護者は夜間必要に応じて居間・食事室6に待機することができ、また第2の床11
a上に設けられた居室で休むこともできる。
[第二の実施の形態]
図8は本発明の第二の実施の形態に係る住宅1の平面図である。本実施の形態の住宅1
では出入り口10−3及び出入り口10−4の各々には引き戸10−3a、10−4aが
設けられ、車椅子使用者15が外部から住宅1内に入る場合には、玄関ポーチ2−1から
玄関土間2−2に入り、出入り口10−3の引き戸10−3aを開いて、蔵型階段・踊り
場室10内側の第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bを通過し、出入り
口10−4から引き戸10−4aを開いて1階の床9に至ることができる。
[第三の実施の形態]
図9は本発明の第三の実施の形態に係る住宅1の1階の床9と踊り場11と2階12の
一部切り欠き斜視図であり、図10は図9矢視A図である。
本実施の形態では図9、図10に示すように第1のスロープ10−5aを通過した後出
入り口10−4から1階の床9に至る第2のスロープ10−5bは、踊り場11に上がる
階段13の側部ではなく、踊り場11から2階12への階段14の下方に配置される。
その結果本実施の形態では、蔵型階段・踊り場室10全体が第一の実施の形態と比較し
てコンパクトに構成される。
また第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bは円弧状領域10−5cを
有し、その円弧状領域10−5cは内周の半径rが1m以上となるように形成されてなる
。 この円弧状領域10−5cは第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5b
の中間領域に設けられる。
以上の実施の形態の住宅1によれば、車椅子使用者15が外部から住宅1内に入る場合
には、玄関ポーチから玄関土間2−2に入り、玄関土間2−2から蔵型階段・踊り場室1
0内側の第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bを通過し1階の床9に至
ることができる。
また第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bは円弧状領域10−5cを
有するものの特に方向転換が困難となる角張ったコーナーは有さず、しかも円弧状領域1
0−5c自体は第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bの中間領域に内周
の半径rが1m以上となる様に形成されてなるので、車椅子使用者15はスムーズに円弧
状領域10−5cを通過することができる。
さらに第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bに沿って収納棚10−6
が配置され、かつ収納棚10−6の第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5
b側の端部に沿って手すり10−7が設けられているので、手すり10−7を伝っていく
ことで第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bの通過を安全に行うことが
できるだけでなく、その過程で収納棚に収納してある物を簡便に取得し、若しくは外出に
際して携行した物具を簡便に階段及び踊り場11することができる。さらに、この第1の
スロープ10−5aと第2のスロープ10−5bに沿ってガイドレールが設けられた場合
には、第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bの通過をより安全に行うこ
とができる。
また、第1のスロープ10−5aと第2のスロープ10−5bは中間領域に円弧状領域
10−5cを有するので、車椅子16の下降移動の速度はこの円弧状領域10−5cで強
制的に緩和され、その点からも特に危険のない移動が可能となる。
本発明の第一の実施の形態に係る住宅の平面図である。 図1に示す実施の形態に係る住宅の部分拡大斜視図である。 図1に示す実施の形態に係る住宅の他の部分拡大斜視図である。 図1に示す実施の形態に係る住宅のさらに他の部分拡大斜視図である。 図1に示す実施の形態に係る住宅のさらに他の部分拡大斜視図である。 図1矢視A図である。 図1断面B−B図である。 本発明の第二の実施の形態に係る住宅の平面図である。 本発明の第三の実施の形態に係る住宅の一部切り欠き斜視図である。 図9矢視A図である。
1・・・住宅、2・・・玄関、2−2・・・玄関土間、2−3・・・玄関ホール、2−4
・・・上り框、9・・・1階の床、11a・・・第2の床、12・・・2階、10・・・
蔵型階段・踊り場室、10−3,10−4・・・出入り口、10−5・・・スロープ、1
0−6・・・収納棚、10−7・・・手すり、3・・・便所、4・・・洗面脱衣室、5・
・・浴室、6・・・居間・食事室、8・・・廊下、15・・・車椅子使用者、16・・・
車椅子。

Claims (6)

  1. 玄関に隣接する階段と、前記階段の踊り場の下に配設されるスロープと、
    を備え、
    前記スロープは一端が前記玄関の玄関土間に連続し、他端は前記玄関土間と段差のある居室に連続して、前記スロープを登ることによって前記玄関土間と段差のある玄関ホールに至ることを特徴とする住宅。
  2. 玄関の玄関土間と段差のある1階の床に玄関と隣接して収納区画が設けられ、その収納区画には玄関土間への出入り口と1階の床への出入り口が設けられ、その収納区画内側には前記各出入り口を連絡する前記スロープが設けられる請求項1記載の住宅。
  3. 前記1階の床上に、前記階段の踊り場と同一平面に連続し、1階の床より半階高い第2の床が設けられ、前記収納区画はその第2の床下に設けられる請求項1又は請求項2記載
    の住宅。
  4. 前記1階の床への出入り口が収納区画に沿って配置される廊下への出入り口である請求項
    1〜請求項3のいずれか一に記載の住宅。
  5. 前記出入り口には引き戸が設けられる請求項1〜請求項4のいずれか一に記載の住宅。
  6. 前記スロープに沿って階段及び踊り場棚が配置されてなる請求項1〜請求項5のいずれか一に記載の住宅。
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