JP5358787B2 - ラケットガット用モノフィラメント - Google Patents

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Description

本発明は、テニス、バドミントン、スカッシュなどに使用するラケットガットに関するものであり、さらに詳しくは、耐久性や打球性に優れ、さらには張設性等にも優れたラケットガット用モノフィラメントに関するものである。
近年、プレースタイルの変化やラケットの進歩などにより、従来のものよりも細いラケットガットの開発が望まれているが、ラケットガットを細くすると耐久性に欠けるものになるため、細くて耐久性に優れたラケットガットの開発が求められている。
一般に、ラケットガットに求められる機能としては、耐久性、打球性および張設性の3つがある。すなわち、耐久性とは、張設後の応力緩和による弛みの程度や打球毎の摩耗による切断のし易さなどを言い、打球性とは、反発性や制球性などのほか、打球時の感覚や打球音などの打球感を言い、さらに張設性とは、ラケットへの張り易さを言う。そして、この3つの性能が一つでも欠けると実用性に欠けたラケットガットとなる。
また、従来のラケットガットとしてはモノフィラメントのみを使用したもの、マルチフィラメントを芯糸として、その周りにモノフィラメントの側糸を編組したり巻き付けたりしたもの、モノフィラメントを芯糸として、その周りにモノフィラメントの側糸を編組したり巻き付けたりしたものが一般的に使用されている。
さらに、ラケットガットとして、熱可塑性樹脂溶液の接着剤を側糸に塗布し、その側糸を芯糸に巻き付けたもの、側糸を芯糸に編組した後、溶融樹脂をコーティングして芯糸と側糸とを一体化したもの、同じように編組した後、溶融樹脂の代わりに光硬化樹脂をコーティングしたもの等が知られているが、いずれも芯糸と側糸とを接着させるために樹脂が使用されていることから、仕上がったラケットガットの直径が太くなり、その結果、打球性が低下するといった問題があった。
この問題に対し、接着用の樹脂を使用しないラケットガットとして、芯糸に側糸を編組や巻き付けした後、側糸の融点の±10℃の温度範囲で熱処理し、側糸を芯糸に融着させたもの(例えば、特許文献1参照)が提案されているが、芯糸が熱処理で溶けないようにするためには、芯糸よりも低融点の側糸を使う必要があり、その結果、実際にラケットに張って使用した際には、ラケットガットの縦糸と緯糸との交差部分でラケットガット同士が擦れ合って摩擦熱が発生し、側糸が切れて耐久性が低下するなどの問題を持っていた。
また、ナイロン6にナイロン共重合体をブレンドしたモノフィラメント(例えば、特許文献2参照)が知られているが、これは、釣糸などの水産資材に適するように、ナイロン共重合体をブレンドすることで、ナイロン6モノフィラメントの結節強度を高めるというものであり、比較的融点の高いナイロン6に融点の低い共重合ナイロンをブレンドしていることから、ラケットガットの側糸などに応用した場合には、熱融着が不十分となり、耐久性が悪くなるばかりか、高温での熱融着処理が必要であることから、芯糸にまで熱劣化が生じて、強度が低下するなどの問題があった。
このように、従来のラケットガットは、耐久性、打球性、張設性など、それぞれの項目については改善できるものの、これら3つの特性をバランス良く改善することは難しく、これら3つ特性をバランス良く併せ持ったラケットガットの開発が望まれていた。
特開2008−48867号公報 特開2004−52154号公報
本発明は、上記従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
したがって本発明の目的は、本発明のラケットガット用モノフィラメントをラケットガットの少なくとも一部に使用することにより、従来のラケットガットに比べ、耐久性、打球性の両面を合わせ持つと共に、張設性、量産性、経済性にも優れたラケットガットを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、融点が180℃以上200℃未満のナイロン樹脂(A)95〜60重量%と、融点が200℃以上240℃以下のナイロン樹脂(B)5〜40重量%とからなる混合物を溶融紡糸してなるモノフィラメントであって、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて、前記モノフィラメントを昇温速度10℃/分で常温から300℃まで昇温させ、一回目の測定(1stラン)で得られた複数個の融点ピークのうち、高温側のピーク温度が前記ナイロン樹脂(B)の融点の範囲にあることを特徴とするラケットガット用モノフィラメントが提供される。
なお、本発明のラケットガット用モノフィラメントにおいては、
前記示差走査熱量測定法(DSC)による一回目の測定(1stラン)において、前記モノフィラメントの低温側のピーク温度と高温側のピーク温度との差が10〜40℃の範囲にあること、および
前記ナイロン樹脂(A)がナイロン6/66共重合体であること
が、いずれも好ましい条件として挙げられ、これらの条件を満たすことによりさらに優れた効果を取得することができる。
本発明によれば、以下に説明するとおり、モノフィラメントが低融点と高融点の二つ以上の融点を持っているため、このモノフィラメントをラケットガットの芯糸または側糸の少なくとも一部に使用した場合には、接着剤の使用やコーティングを行なうことなく、高融点以下の低い温度で芯糸と側糸、または側糸同士を強度低下させることなく強固に熱融着させることができ、接着剤、やコーティングの必要がなくなり、加工工程を少なくできるとともに、細くて強いラケット用ガットとなり、さらにはラケット用ガット同士の擦れ合いによる摩擦熱にも十分耐え得る高融点をも持つことから、耐久性、打球性の両面を合わせ持つと共に、張設性、経済性にも優れたラケットガットとなる。
また、本発明のラケットガット用モノフィラメントを少なくとも一部に用いて作製されたラケットガットは、耐久性に加え、打球性、張設性および経済性にも優れていることから、テニス用ラケットガットは勿論のこと、バドミントンやスカッシュ用ラケットガットにも好適である。
以下、本発明のラケットガット用モノフィラメント(以下、特に指定しない限り、単にモノフィラメントと言う)について具体的に説明する。
本発明のラケットガット用モノフィラメントは、融点が180℃以上200℃未満のナイロン樹脂(A)と融点が200℃以上240℃以下のナイロン樹脂(B)の混合物を溶融紡糸してなるモノフィラメントであって、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて、前記モノフィラメントを昇温速度10℃/分で常温から300℃まで昇温させ、一回目の測定(1stラン)で得られた複数個の融点ピークのうち、高温側のピーク温度が前記ナイロン樹脂(B)の融点の範囲にあることを特徴とするものである。
このように、本発明のモノフィラメントは、融点が特定範囲にある2つのナイロン樹脂からなることが必要であり、こうすることで、モノフィラメントをラケットガットの芯糸や側糸の少なくとも一部に使用した場合に、高融点以下の低い温度で芯糸と側糸、または側糸同士を強度低下させることなく強固に熱融着させることができ、さらにはラケット用ガット同士の擦れ合いによる摩擦熱にも十分に耐え、細くても耐久性に優れたラケットガットが得られるのである。
なお、素材本来の融点を測定する場合は、常温から300℃まで一定の速度で昇温させて、300℃で5分間ホールドした後に常温まで冷却し、再度一定の速度で300℃まで昇温させた時の融点ピークを測定するが、本発明のモノフィラメントは、ラケットガットに使用する際に、モノフィラメントを芯糸として使用したり、あるいは側糸として芯糸に巻きつけたりした後に熱処理をして熱融着させることから、素材本来の平均的な融点ではなく、示差走査熱量測定法(DSC)を用いる融点測定において、一回目の昇温で溶け出す、いわゆる1stランの融点ピークで見る必要がある。
そして、ナイロン樹脂(A)の融点が上記範囲より下回ると、耐熱性が低くなって、得られたモノフィラメントの強度が低下しやすくなり、逆にナイロン樹脂(A)の融点が上記範囲を上回ると、ラケットガットに加工する際に熱融着が不十分となり、かえって耐久性が低下しやすくなり、そのため高温で熱融着処理を行なうと、芯糸まで熱劣化が起きて、ラケットガットの強度低下が招かれやすい。
一方、ナイロン樹脂(B)の融点が上記範囲を下回ると、熱融着性は良くなるが、ラケットガット同士が擦れ合って摩擦熱を発した時に強度が低下して耐久性の低下が生じやすくなり、逆に、ナイロン樹脂(B)の融点が上記範囲を上回ると、ラケットガット同士の擦れ合いによる摩擦熱に対しては強くなるが、熱融着性が悪くなりやすく、芯糸と側糸とが剥がれて、かえって耐久性の低下が生じやすくなる。
なお、更に好ましい効果を発揮するためには、ナイロン樹脂(A)の融点が185℃以上200℃未満であることが好ましく、ナイロン樹脂(B)の融点が200℃以上230℃以下であることが好ましい。
また、本発明のモノフィラメントは、DSCにより昇温速度10℃/分で測定した1stランの融点ピークが複数個あることが重要であり、モノフィラメントの融点ピークが一つに重なる場合は、例え融点の異なるナイロン樹脂同士を混合して溶融紡糸しても、熱融着性と耐熱性とが得られなくなり、耐久性と打球性との両面を合せ持つラケットガットが得られなくなる。
そして、本発明のモノフィラメントは、前記示差走査熱量測定法(DSC)による1stランの低温側のピーク温度と高温側のピーク温度との差が10〜40℃の範囲にあることが好ましく、さらには15〜40℃の範囲にあることが好ましい。
こうすることで、耐久性と熱融着性に優れたモノフィラメントが得られるが、1stランの低温側のピーク温度と高温側のピーク温度との差が上記範囲を下回ると、側糸を熱融着する際に芯糸にまで熱劣化が生じやすくなって、低強力のラケットガットが得られやすくなり、逆に、ピーク温度の差が上記範囲を上回ると、芯糸と側糸との熱融着性が悪くなりやすく、芯糸と側糸とが剥がれて、耐久性の低下がさらに生じやすくなる。
また、より優れた耐久性と熱融着性を得るには、本発明のモノフィラメントは、ナイロン樹脂(A)95〜60重量%とナイロン樹脂(B)5〜40重量%とからなることが好ましく、さらにはナイロン樹脂(A)90〜70重量%とナイロン樹脂(B)10〜30重量%とからなることが好ましい。
すなわち、ナイロン樹脂(A)に対してナイロン樹脂(B)の混合量が上記範囲を下回ると、モノフィラメント内に占める高融点のナイロン樹脂(B)の量が少なくなるために、耐熱性が悪くなりやすく、逆に、ナイロン樹脂(B)の混合量が上記範囲を上回ると、モノフィラメント内に占める低融点のナイロン樹脂(A)の量が少なくなるために、熱融着性が悪くなり、ラケットガットとしての耐久性が得られにくくなる。
ここで、融点が180℃以上200℃未満のナイロン樹脂(A)と融点が200℃以上240℃以下のナイロン樹脂(B)については、融点の範囲が上記範囲を満足すれば特に限定はしないが、ナイロン樹脂(A)としては、例えば、ナイロン6と66の共重合比率が85/15または80/20の共重合ナイロン、ナイロン6とナイロン12共重合比率が80/20の共重合ナイロンなどが挙げられ、中でもナイロン6とナイロン66の共重合比率が80/20の共重合ナイロンは高強力が得られやすく、熱接着性に良好であることから特に好ましい。
また、ナイロン樹脂(B)としては、ナイロン6、ナイロン6と66の共重合比率が95/5または90/10の共重合ナイロン、ナイロン6とナイロン12共重合比率が90/10の共重合ナイロンなどが挙げられ、中でもナイロン6は耐熱性に優れていることから特に好ましい。
なお、本発明モノフィラメントに使用するナイロン樹脂には、必要に応じて、例えば顔料、染料、耐候剤、耐光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱剤、蛍光増白剤、結晶化抑制剤、可塑剤、末端基封鎖剤などの各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で、その重合工程や重合後、あるいは紡糸直前に添加することができる。
さらに、本発明のモノフィラメントの直径は、特に限定はしないが、側糸として使用する場合は、0.05〜0.20mmの範囲、さらには0.06〜0.15mmの範囲が好ましく、そのラケットガットの用途や性能に応じて適宜選択することができる。
なお、側糸として使用する場合、モノフィラメントの直径を上記範囲より細くすると、側糸の本数を増やす必要があるため、ラケットガットの加工性が悪くなりやすく、逆に上記範囲より太くすると、芯糸の周りに側糸を蜜に編組したり、巻いたりしにくくなるため、熱融着後の接着強度が低下し、結果として耐久性の低いラケットガットが得られやすくなる。
また、本発明のモノフィラメントの断面形状は、略円形のほか、三角形、四角形、五角形などの多角形、クローバー形、花びら形、星型など異型断面、トラック形、長方形、多角形や異型断面を繋ぎ合わせた扁平形状など、ラケットガットの用途や性能に応じて、適宜選択できる。
本発明のモノフィラメントの製造方法については何ら特殊な方法を使用する必要はなく、ナイロン樹脂(A)にナイロン樹脂(B)を混合すること以外は公知の溶融紡糸方法を採用することができ、例えば、ナイロン樹脂(A)にナイロン樹脂(B)をドライブレンドした混合物をナイロン樹脂(B)の融点より20〜60℃高く設定したエクストルーダー型紡糸機に供給して溶融混練した後、口金を通して押し出し、冷却槽で冷却固化したモノフィラメントの未延伸糸を、引き続き80〜120℃で3.0〜4.5倍に延伸し、さらに150〜300℃でトータル延伸倍率4.5〜7.0倍に延伸した後、さらに150〜200℃でリラックス処理することにより、本発明のモノフィラメントを得ることができる。
なお、本発明のモノフィラメントを側糸として使用する場合は、芯糸に側糸を編組したり、巻きつけたりした後、ナイロン樹脂(A)の融点よりも+10〜40℃の温度で熱処理させることで、容易にラケットガットを作製することができる。
こうして得られた本発明のモノフィラメントは、低融点と高融点の二つ以上の融点を持っているため、このモノフィラメントをラケットガットの芯糸または側糸の少なくとも一部に使用した場合には、接着剤の使用やコーティングを行なうことなく、高融点以下の低い温度で芯糸と側糸、または側糸同士を強度低下させることなく強固に熱融着させることができ、さらにはラケット用ガット同士の擦れ合いによる摩擦熱にも十分耐え得る高融点をも持つことから、細くても耐久性に優れたラケットガットとなる。
また、本発明のラケットガット用モノフィラメントは耐久性に加え、打球性、張設性および経済性にも優れていることから、テニス用ラケットガットは勿論のこと、バドミントンやスカッシュ用ラケットガットにも好適である。
以下に、本発明のラケットガットを実施例に基づいてさらに詳しく説明する。なお、実施例におけるモノフィラメントの評価およびラケットガットの評価は以下の方法で行った。
[モノフィラメントの直径測定]
アンリツ社製レーザー外径測定機「KL−151A」を使用して5回測定し、その平均直径を算出した。
[モノフィラメントの引張破断強度、破断伸度]
JIS L1013の規定に準じて、モノフィラメントを20℃、65%RHの温湿度調整室で24時間放置後、(株)オリエンテック社製「テンシロンUTM−4−100型」引張試験機を使用して、試長250mm、引張速度300mm/分の条件で引張破断強力、破断伸度を求め、引張破断強度は引張破断強力を繊度で割り返して求めた。
「モノフィラメントの融点ピーク」
JIS K7121の規定に準じてセイコー電子工業社製「DSC22」を使用して、5.00mgのサンプルを昇温速度10℃/分で常温から300℃まで昇温させ、一回目(1stラン)の融点ピークを測定した。
[ラケット用ガットの耐久性評価]
本発明のモノフィラメントを側糸に使用してラケットガットを作製し、ラケットガットを実際にバドミントン用ラケットに20ポンドの張力で張設した。
そして、バドミントン用ラケットのフェースに、時速100km、打ちだし間隔15回/分、打ち出し距離50cm、かつ打ち出し角度40°の条件でシャトルを衝突させ、ガットが切断するまでのシャトルの打ち出し回数(単位:回)で耐久性を評価した。
[ラケット用ガットの打球性評価]
上記「ラケット用ガットの耐久性評価」で作製した同じバトミントン用ラケットを、実際に上級レベルのバドミントンプレーヤーにシャトルを試打してもらい、従来の合成樹脂製ラケットガットを使用した場合と比較して、制球性、反発性、打球音について、次の2段階で評価した。
○:従来の合成樹脂製ラケットガットよりも制球性、反発性、耐久性に優れていた、
×:従来の合成樹脂製ラケットガットと同等もしくはそれ以下であった。
[ラケット用ガットの張設性評価]
本発明のモノフィラメントを側糸に使用してラケットガットを作製し、ラケットガットをバドミントン用ラケットに20ポンドの張力で張設し、その際の張設のしやすさについて次の2段階で評価した。
○:従来の合成樹脂製ラケットガットと同等もしくは張設しやすかった、
×:張設途中に切れたりして、従来の合成樹脂製ラケットガットよりも張設が困難であった。
[実施例1]
ナイロン樹脂(A)としてナイロン6成分とナイロン66成分を80:20で共重合した共重合ナイロン樹脂(東レ社製、M6241M、融点:190℃)70重量%と、ナイロン樹脂(B)としてナイロン6樹脂(東レ社製、M1021T、融点:222℃)30重量%とをドライブレンドした混合物を280℃に設定したエクストルーダー型紡糸機に供給して溶融混練した後、口金を通して押し出し、冷却槽で冷却固化して、モノフィラメントの未延伸糸を作成した。
続いて95℃の温水浴中で3.0〜4.5倍に延伸し、さらに195℃の乾熱気体中でトータル延伸倍率5.6倍に延伸した後、170℃の乾熱気体中で0.95倍のリラックス処理を行なうことにより、直径約0.12mmのモノフィラメントを得た。
そして、得られたモノフィラメントを側糸として使用し、210℃の熱処理温度で熱融着させて直径0.68mmのバドミントン用のラケットガットを作製した。
得られたモノフィラメントの評価結果およびラケットガットの評価結果を表1に示す。
[実施例2]
ナイロン樹脂(B)にナイロン6成分とナイロン66成分を95:5で共重合した共重合ナイロン樹脂(東レ社製、M6021M、融点:214℃)を使用し、ナイロン樹脂(A)とナイロン樹脂(B)との混合比率を80:20に変更した以外は、実施例1と同じ製法でモノフィラメントおよびラケットガットを得た。
得られたモノフィラメントの評価結果およびラケットガットの評価結果を表1に示す。
[実施例3]
共重合ナイロン樹脂(A)にナイロン6とナイロン12を80:20で共重合した共重合ナイロン樹脂(エムケミージャパン社製、グリロンCR-8、融点:190℃)を使用し、ナイロン樹脂(A)とナイロン樹脂(B)との混合比率を90:10に変更した以外は、実施例1と同じ製法でモノフィラメントおよびラケットガットを得た。
得られたモノフィラメントの評価結果およびラケットガットの評価結果を表1に示す。
[比較例1]
ナイロン6成分とナイロン66成分を80:20で共重合した共重合ナイロン樹脂(東レ社製、M6241M、融点:190℃)のみを使用して溶融紡糸した以外は、実施例1と同じ製法でモノフィラメントおよびラケットガットを得た。
得られたモノフィラメントの評価結果およびラケットガットの評価結果を表1に示す。
[比較例2]
ナイロン6樹脂(東レ社製、M1021TM、融点:222℃)のみを使用して溶融紡糸した以外は、実施例1と同じ製法でモノフィラメントおよびラケットガットを得た。
得られたモノフィラメントの評価結果およびラケットガットの評価結果を表1に示す。
[比較例3]
ナイロン樹脂(B)をナイロン66樹脂(東レ社製、M3001C、融点:260℃)に変更した以外は、実施例1と同じ製法でモノフィラメントおよびラケットガットを得た。
得られたモノフィラメントの評価結果およびラケットガットの評価結果を表1に示す。
[比較例4]
ナイロン樹脂(B)をナイロン6成分とナイロン66成分を85:15で共重合した共重合ナイロン樹脂(東レ社製、M6001、融点:194℃)に変更した以外は、実施例1と同じ製法でモノフィラメントおよびラケットガットを得た。
得られたモノフィラメントの評価結果およびラケットガットの評価結果を表1に示す。
Figure 0005358787
表1の結果から明らかなように、本発明のモノフィラメント(実施例1〜3)は、いずれもDSCで測定すると、1stランの融点ピークが複数個あり、高温側の融点ピークが200℃〜240℃の範囲にあることかた、得られたモノフィラメントを側糸として使用した場合には、耐久性、制球性および張設性に優れたラケットガットが得られた。
一方、融点190℃のナイロン樹脂のみを使用して溶融紡糸したモノフィラメント(比較例1)は、DSCで測定した1stランの融点ピークが1つであるため、熱融着させてラケットガットに作製した際には、熱融着性および打球性、張設性が良かったが、ガット同士の擦れ合いによる摩擦熱に耐えらず、耐久性に劣るものであった。
融点222℃のナイロン樹脂のみからなるモノフィラメント(比較例2)についても、DSCで測定した1stランの融点ピークが1つであることから、熱融着させてラケットガットを作製した際には熱融着性が悪く、ラケットに張設する際には芯糸と側糸とが部分的に剥離し、また実際にシャトルを打った際の衝撃で側糸が芯糸から剥離するなどの問題が生じ、耐久性や打球性に劣るものであった。
また、ナイロン樹脂(B)に融点260℃のナイロン樹脂を使用したモノフィラメント(比較例3)は、DSCで測定した1stランの融点ピークは複数個存在するが、高温側の融点ピークが260℃と高いために、熱融着性が悪く、ラケットにガットを張設する際には側糸が芯糸から剥離しやすく、実際にシャトルを打った衝撃で側糸が芯糸から剥離し、耐久性や打球性に劣るものであった。
さらに、ナイロン樹脂(B)に融点194℃のナイロン樹脂を使用したモノフィラメント(比較例4)は、DSCで測定した1stランの融点ピークは複数個存在するが、高温側の融点ピーク温度が低いために、ラケットガット同士の摺り合いによる摩擦熱でラケットガットが簡単に切れてしまい、耐久性に劣るものであった。
以上説明したように、本発明のモノフィラメントを使用したラケットガットは、低融点と高融点の二つ以上の融点を持っているため、このモノフィラメントをラケットガットの芯糸または側糸の少なくとも一部に使用した場合には、接着剤の使用やコーティングを行なうことなく、高融点以下の低い温度で芯糸と側糸、または側糸同士を強度低下させることなく強固に熱融着させることができ、さらにはラケット用ガット同士の擦れ合いによる摩擦熱にも十分耐え得る高融点をも持つことから、細くても耐久性に優れたラケットガットとなる。
また、本発明のラケットガット用モノフィラメントは耐久性に加え、打球性、張設性および経済性にも優れていることから、テニス用ラケットガットは勿論のこと、バドミントンやスカッシュ用ラケットガットにも好適である。

Claims (3)

  1. 融点が180℃以上200℃未満のナイロン樹脂(A)95〜60重量%と、融点が200℃以上240℃以下のナイロン樹脂(B)5〜40重量%とからなる混合物を溶融紡糸してなるモノフィラメントであって、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて、前記モノフィラメントを昇温速度10℃/分で常温から300℃まで昇温させ、一回目の測定(1stラン)で得られた複数個の融点ピークのうち、高温側のピーク温度が前記ナイロン樹脂(B)の融点の範囲にあることを特徴とするラケットガット用モノフィラメント。
  2. 前記示差走査熱量測定法(DSC)による一回目の測定(1stラン)において、前記モノフィラメントの低温側のピーク温度と高温側のピーク温度との差が10〜40℃の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のラケットガット用モノフィラメント。
  3. 前記ナイロン樹脂(A)がナイロン6/66共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のラケットガット用モノフィラメント。
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