JP2005163231A - 生分解性モノフィラメントおよびラケット用ガット - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性および耐久性が改善された生分解性モノフィラメントおよびそれからなるラケット用ガットの提供。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とをジカルボン酸成分とし、脂肪族ジオールをジオール成分とする融点が190℃以上の共重合ポリエステルからなる生分解性モノフィラメント。
【選択図】なし
【解決手段】芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とをジカルボン酸成分とし、脂肪族ジオールをジオール成分とする融点が190℃以上の共重合ポリエステルからなる生分解性モノフィラメント。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐熱性および耐久性が改善された生分解性モノフィラメントおよびそれからなるラケット用ガットに関するものである。
従来のモノフィラメントの素材としては、その力学的な要求特性から、主としてポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリ弗化ビニリデンなどからなる合成樹脂が用いられてきた。しかしながら、これらの合成樹脂からなるモノフィラメントは、自然の環境下ではほとんど分解しないため、使用後に捨てられたり、放置されたりした場合には、そのまま半永久的に自然に残存することになることが、環境衛生上の大きな問題となっており、例えば、捨てられた廃棄釣糸が海底に林立して魚類の繁殖を妨害したり、これらの廃棄釣糸が鳥や海洋生物に絡み付いて殺傷したりする事態が頻発していた。
さらに、モノフィラメントを、例えばラケット用ガットのようなスポーツ、レジャー用品に適用する場合にも、環境衛生を配慮した商品開発の必要性が叫ばれており、環境保護および自然保護の両面からその特性改善が強く望まれていた
そこで、近年、実用後に自然界の菌類や微生物によって自然消滅するモノフィラメント、つまり生分解性モノフィラメントの開発が盛んになっている。
そこで、近年、実用後に自然界の菌類や微生物によって自然消滅するモノフィラメント、つまり生分解性モノフィラメントの開発が盛んになっている。
そして、これら生分解性モノフィラメントに関する従来技術としては、例えば溶融粘度が1.0×103〜1.0×104ポイズで、融点が70〜190℃の脂肪族ポリエステルからなるモノフィラメント(例えば、特許文献1参照)、メルトインデックスが10g/10分以下で、融点が70〜180℃の脂肪族ポリエステルからなり、引張強度が5.0g/d以上、結節強度が4.0g/d以上、表層の配向度が53×10-3以下、全体の配向度が55×10-3以上の釣糸としての基本的な性能と適度な生分解性を兼ね備えたモノフィラメント(例えば、特許文献2参照)、およびアルカンカルボン酸又はアルカンカルボン酸のエステル形成誘導体からなる第1の化合物と、芳香族カルボン酸又は芳香族カルボン酸のエステル形成誘導体からなる第2の化合物と、アルカンジオール化合物とを含んで形成される共重合体からなるモノフィラメントおよび釣糸(例えば、特許文献3参照)などが既に知られている。
しかしながら、このような従来の生分解性モノフィラメントは、目的とする例えば釣糸用途に要求される力学的特性と生分解性については満足するものの、実質的に融点が高々120℃程度であることから、例えばラケット用ガットに要求されるような耐熱性および耐久性の面では、必ずしも満足するとはいえるものではなかった。
特開平7−90715号公報
特開平9−74961号公報
特開2002−173827号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を目的として検討した結果達成されたものである。
したがって本発明の目的は、耐熱性および耐久性が改善された生分解性モノフィラメントおよびそれからなるラケット用ガットを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とをジカルボン酸成分とし、脂肪族ジオールをジオール成分とする融点が190℃以上の共重合ポリエステルからなることを特徴とする生分解性モノフィラメントが提供される。
なお、本発明の生分解性モノフィラメントにおいては、
前記共重合ポリエステルのガラス転移温度が20℃〜70℃の範囲にあること、
前記共重合ポリエステルのジカルボン酸成分における芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の含有モル比が70:30〜90:10の範囲にあること、
前記共重合ポリエステルが、融点が190℃以上のポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)および/またはポリ(エチレンテレフタレート/アジヘ゜ート)であること、および
引張強度が400MPa以上、結節強度が300MPa以上、且つ、ヤング率が3GPa〜20GPaの範囲にあること
がいずれも好ましい条件であり、これらの条件を満たすことによって一層優れた効果の取得を期待することができる。
前記共重合ポリエステルのガラス転移温度が20℃〜70℃の範囲にあること、
前記共重合ポリエステルのジカルボン酸成分における芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の含有モル比が70:30〜90:10の範囲にあること、
前記共重合ポリエステルが、融点が190℃以上のポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)および/またはポリ(エチレンテレフタレート/アジヘ゜ート)であること、および
引張強度が400MPa以上、結節強度が300MPa以上、且つ、ヤング率が3GPa〜20GPaの範囲にあること
がいずれも好ましい条件であり、これらの条件を満たすことによって一層優れた効果の取得を期待することができる。
さらに、本発明のラケット用ガットは、上記の生分解性モノフィラメントからなることを特徴とする。
本発明の生分解性モノフィラメントは、生分解性を有する共に、190℃以上という高い融点であることから極めて高い耐熱性および耐久性を有し、環境を配慮した各種水産用途および産業用途に有用である。とりわけ、引張強度が400MPa以上、結節強度が300MPa以上、且つヤング率がナテュラルガットに近い3GPa〜20GPaの範囲の物性が得られることから、ラケット用ガットとして極めて有用である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の生分解性モノフィラメントは、その原料として、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とをジカルボン酸成分とし、脂肪族ジオールをジオール成分とする融点が190℃以上の共重合ポリエステル、好ましくはポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)および/またはポリ(エチレンテレフタレート/アジペート)を用いる点が重要である。
上記共重合ポリエステルにおける芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるが、なかでもテレフタル酸の使用が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などが挙げられるが、なかでもコハク酸およびアジピン酸の使用が好ましい。
また、上記共重合ポリエステルにおける脂肪族ジオールの例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコールなどが挙げられるが、なかでもエチレングリコールの使用が好ましい。
上記共重合ポリエステルのジカルボン酸成分における芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とのモル比は、70:30〜90/10の範囲にあることが好ましい。芳香族ジカルボン酸のモル比が70%未満では融点が190℃以上を満足しにくくなり、また芳香族ジカルボン酸のモル比が90%を越えると生分解性が阻害されやすくなるからである。
また、上記共重合ポリエステルは、ランダム共重合体であることが、より生分解性となることから好ましい。
本発明で使用する共重合ポリエステルは、とりわけ融点が190℃以上であることが重要な要件であり、融点が190℃未満の共重合ポリエステルでは、モノフィラメントをラケット用ガットに適用した場合に、ポリアミドモノフィラメントやポリエステルモノフィラメントで発揮されるような満足すべき耐熱性および耐久性を得ることができないからである。
さらに、本発明で使用する共重合ポリエステルは、ガラス転移温度が20℃〜70℃の範囲にあることが好ましい。ガラス転移温度が20℃〜70℃の範囲にあれば、従来ラケット用ガットとして使用されている素材であるポリアミドやポリエステルのガラス転移温度に近い共重合ポリエステルとなり、ラケット用ガットに適用した場合に、へたりにくく、しかも常温で剛直になり過ぎることがないという特性が得られるからである。
このような共重合ポリエステルの具体例としては、Dupont製のBiomax−6924などが挙げられるが、必ずしもそれに限定されるものではない。
なお、本発明で用いる上記共重合ポリエステルには、必要に応じて、例えば顔料、染料、耐光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、結晶化抑制剤および可塑剤などの添加を、目的とする性能を阻害しない範囲で、その重合行程、重合後あるいは紡糸直前に添加することができる。
本発明の生分解性モノフィラメントは、以下に説明する方法により効率的に製造することができる。
まず、上記生分解性モノフィラメントを溶融紡糸するに際しては、エクストルーダー型紡糸機を用いる通常の条件を採用することができ、ポリマー温度を200〜350℃、押出圧力1〜50MPa、口金孔径0.1〜20mm、紡糸速度0.3〜100m/分などの条件を適宜採用することができる。
次に、紡糸機から紡出されたモノフィラメントは、短い気体ゾーンを通過した後、冷却浴内で冷却されるが、ここでの冷却媒体としては、ポリマーに不活性な液体、通常は水やポリエチレングリコールなどが用いられる。なお、ここでの冷却温度は、モノフィラメントの冷却浴内の蛇行を防ぐために、ガラス転移温度よりも少し高めの温度が好ましい。
冷却固化されたモノフィラメントは、引き続き1段目の延伸行程に送られるが、延伸および熱固定の雰囲気(浴)としては、温水、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびシリコーンオイルなどの加熱した熱媒体浴、熱気体浴および水蒸気浴などが用いられる。
延伸行程では1段乃至多段延伸を行うが、好ましい全延伸倍率は樹脂によって異なるものの、通常は5.0倍以上、好ましくは5.5倍以上である。
1段延伸乃至多段延伸後には、必要に応じて延伸歪みを除去することなどを目的として、適度な定長および/または弛緩熱処理を行うこともできる。
なお、ここでの延伸および熱処理温度は、樹脂のガラス転移温度以上、融点以下の温度が好ましい。
かくして得られる本発明の生分解性モノフィラメントは、引張強度が400MPa以上、結節強度が300MPa以上、且つ、ヤング率が3GPa〜20GPaの範囲にあることがより好ましい。
引張強度および結節強度がそれを下回ると、ラケット用ガットとして適用した場合の強さが満足しにくくなり、またヤング率が上記範囲を外れると、ガットの張設性が悪くなったり、ナテュラルガット同様の反発性やソフト感が得えられにくくなるためである。ここで、ガットの張設性が悪くなるとは、伸びが大きすぎて2度張りをしなくてはならないことなどである。また、ここでいう反発性とは、例えばガットをラケットに60Lbの張力で張った時のボールの反発性を意味するものであり、またソフト感とは60Lb応力時の弾性率に関係するボールを打った時の打球感である。
本発明の生分解性モノフィラメントの太さについては特に制限はないが、ラケット用ガット用途としては、一般的には直径が0.1mm〜1.5mmの範囲にあるモノフィラメントであることが望ましい。モノフィラメントの直径が0.1mm未満では強力が出にくくなり、また直径が1.5mmを越えると空気抵抗が大きくなるなどの好ましくない傾向が招かれるためである。また、モノフィラメントの断面形状は、丸断面が一般的であるが、楕円形、多角形、多葉形などの異形断面とすることもできる。
次に、本発明のラケット用ガットの構成について説明する。本発明のラケット用ガットは、太さ1.25mm程度の上記生分解性モノフィラメントを単体で使用しても良いし、太さ1.0mm程度の芯糸の周りに太さ0.15mm程度の皮糸を複数本巻き回しその上にウレタン樹脂のような樹脂をコーティングするに際し芯糸および/または皮糸として上記生分解性モノフィラメントを使用しても良く、さらに太さ0.2mm程度の上記生分解性モノフィラメントを数十本撚り合わせその上に樹脂コーティングしても良い。また、上記複数の要素で構成されるラケット用ガットにおいては、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて他素材のモノフィラメントおよびマルチフィラメントを組み合わせて、構成させても良い。
このようにして得られる本発明の融点が190℃以上の共重合ポリエステルからなる生分解性モノフィラメントは、従来に比べて耐熱性と耐久性が飛躍的に改善されるとともに、生分解性を兼ね備えることから、環境を配慮した各種水産用途および産業資材用途に有用である。そして、本発明の生分解性モノフィラメントは、引張強度が400MPa以上、結節強度が300MPa以上、且つ、ヤング率が3GPa〜20GPaの範囲にあることから、とりわけラケット用ガット用途に極めて有用である。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、実施例における共重合ポリエステル、モノフィラメントおよびガットの評価は以下の方法に準じて行った。
[素材の評価]
A.融点
PERKIN−ELMER製DSC7を用い、JIS7121に従って昇温速度10℃/分の条件で測定した2nd−runのピーク温度とした(単位:℃)。
B.ガラス転移温度
PERKIN−ELMER製DSC7を用い、JISK7121に従って測定した(単位:℃)。
A.融点
PERKIN−ELMER製DSC7を用い、JIS7121に従って昇温速度10℃/分の条件で測定した2nd−runのピーク温度とした(単位:℃)。
B.ガラス転移温度
PERKIN−ELMER製DSC7を用い、JISK7121に従って測定した(単位:℃)。
[モノフィラメント物性の評価]
A.引張強度、結節強度
JISL1013の規定に準じて測定した(単位:MPa)。
B.ヤング率
JISL1013の規定に準じて測定した(単位:GPa)。
A.引張強度、結節強度
JISL1013の規定に準じて測定した(単位:MPa)。
B.ヤング率
JISL1013の規定に準じて測定した(単位:GPa)。
[ガット特性の評価]
A.耐久性
フェース面積115平方インチのテニスラケットに60Lbのテンションで張設し、テニスボールを時速100Km、打ち出し間隔15回/分、打ち出し距離50cm、打ち出し角度40度で打撃し、ガットが切断するまでの打ち出し回数で評価した(単位:回)。数値が大きいほど耐久性に優れている。
B.60Lb応力時の弾性率
JISL1013の規定に準じて測定した強力−伸度曲線から60Lb応力時の接線の傾きを求め、その時点の弾性率を測定した(単位:GPa)。
C.張設性
○:1回のクランプの締め付けで所定の張設張力に問題なく張設することができた、
×:高伸度なためクランプ締め付け1回の動作では所定の張設張力にならず、2回以上 のクランプ締め付けが必要であった。
A.耐久性
フェース面積115平方インチのテニスラケットに60Lbのテンションで張設し、テニスボールを時速100Km、打ち出し間隔15回/分、打ち出し距離50cm、打ち出し角度40度で打撃し、ガットが切断するまでの打ち出し回数で評価した(単位:回)。数値が大きいほど耐久性に優れている。
B.60Lb応力時の弾性率
JISL1013の規定に準じて測定した強力−伸度曲線から60Lb応力時の接線の傾きを求め、その時点の弾性率を測定した(単位:GPa)。
C.張設性
○:1回のクランプの締め付けで所定の張設張力に問題なく張設することができた、
×:高伸度なためクランプ締め付け1回の動作では所定の張設張力にならず、2回以上 のクランプ締め付けが必要であった。
[生分解性]
○:JISK−6953に準じてコンポスト中に埋設した場合に、数ヶ月で表面状態が 凸凹となり、残存強力がほとんどなくなる、
×:JISK−6953に準じてコンポスト中に埋設した場合に、数ヶ月経っても表面 状態および強力がほとんど変化しない。
○:JISK−6953に準じてコンポスト中に埋設した場合に、数ヶ月で表面状態が 凸凹となり、残存強力がほとんどなくなる、
×:JISK−6953に準じてコンポスト中に埋設した場合に、数ヶ月経っても表面 状態および強力がほとんど変化しない。
[実施例1]
ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)共重合ポリエステル(Dupont製Biomax−6924:融点200℃、ガラス転移温度44℃)を、エクストルーダー型紡糸機で240℃で溶融し、孔径4.0mmの口金を通して紡糸し、さらに70℃の温水中で冷却した。
ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)共重合ポリエステル(Dupont製Biomax−6924:融点200℃、ガラス転移温度44℃)を、エクストルーダー型紡糸機で240℃で溶融し、孔径4.0mmの口金を通して紡糸し、さらに70℃の温水中で冷却した。
次に、この未延伸糸を80℃の温水延伸浴中で5.0倍に一段目延伸し、さらに160℃の乾熱浴中で1.52倍に二段目延伸(全延伸倍率7.6倍)した後、引き続いて170℃の乾熱浴中に処理倍率0.90倍で通過させ熱処理を施すことにより、直径1.25mmのモノフィラメントを得た。
[比較例1]
ポリブチレンサクシネート(昭和高分子製ビオノーレ#1001:融点114℃、ガラス転移温度−32℃)を、エクストルーダー型紡糸機で230℃で溶融し、孔径4.0mmの口金を通して紡糸し、さらに20℃の水浴中で冷却した。
ポリブチレンサクシネート(昭和高分子製ビオノーレ#1001:融点114℃、ガラス転移温度−32℃)を、エクストルーダー型紡糸機で230℃で溶融し、孔径4.0mmの口金を通して紡糸し、さらに20℃の水浴中で冷却した。
次に、この未延伸糸を80℃の温水延伸浴中で3.7倍に一段目延伸し、さらに95℃の乾熱浴中で1.95倍に二段目延伸(全延伸倍率7.2倍)した後、引き続いて80℃の乾熱浴中に処理倍率0.90倍で通過させ熱処理を施すことにより、直径1.25mmのモノフィラメントを得た。
[比較例2]
ポリプロピレンテレフタレート(シェルジャパン製コルテラ、ブライトタイプ、:融点220℃、ガラス転移温度42℃)を、エクストルーダー型紡糸機で260℃で溶融し、孔径4.5mmの口金を通して紡糸し、さらに45℃の温水浴中で冷却した。
ポリプロピレンテレフタレート(シェルジャパン製コルテラ、ブライトタイプ、:融点220℃、ガラス転移温度42℃)を、エクストルーダー型紡糸機で260℃で溶融し、孔径4.5mmの口金を通して紡糸し、さらに45℃の温水浴中で冷却した。
次に、この未延伸糸を60℃の温水延伸浴中で6.0倍に一段延伸した後、引き続いて130℃の乾熱浴中に処理倍率0.90倍で通過させ熱処理を施すことにより、直径1.25mmのモノフィラメントを得た。
[比較例3]
ポリエチレンテレフタレート(三井ペット製J055:融点255℃、ガラス転移温度80℃)を、エクストルーダー型紡糸機で290℃で溶融し、孔径4.5mmの口金を通して紡糸し、さらに70℃の温水浴中で冷却した。
ポリエチレンテレフタレート(三井ペット製J055:融点255℃、ガラス転移温度80℃)を、エクストルーダー型紡糸機で290℃で溶融し、孔径4.5mmの口金を通して紡糸し、さらに70℃の温水浴中で冷却した。
次に、この未延伸糸を93℃の温水延伸浴中で3.2倍に一段目延伸し、さらに230℃の乾熱浴中で1.72倍に二段目延伸(全延伸倍率5.5倍)した後、引き続いて250℃の乾熱浴中に処理倍率0.95倍で通過させ熱処理を施すことにより、直径1.25mmのモノフィラメントを得た。
[参考例]
ナチュラルガット(羊腸製)を参考例とした。
ナチュラルガット(羊腸製)を参考例とした。
実施例1、比較例1,2,3、参考例のモノフィラメントについて、物性、ガット特性および生分解性を評価した結果を合わせて表1に示す。
表1の結果から明らかなように、本発明のモノフィラメント(実施例1)は、高い引張強度と結節強度に加えて、生分解性ポリエステルとして従来にない耐熱性を有するため、ラケット用ガットとしての実用的な耐久性を備える。また、適度なヤング率を有することから、ガットをラケットに張る張設性も良好である。さらに、60Lb応力時の弾性率がナチュラルガットに近いことから、ボールを打った時の打球感がソフトでナチュラルガットに近似するという優れた性能を有する。
一方、従来の生分解性ポリエステルであるポリブチレンサクシネートを用いたモノフィラメント(比較例1)は、高い引張強度と結節強度を有するものの、ラケット用ガットとしての耐久性が悪く、また、ヤング率が低いために張設性が悪いなど、本発明が目的とする効果を十分に満たすものではなかった。
また、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールのポリエステルであるポリプロピレンテレフタレートを用いたモノフィラメント(比較例2)は、引張強度、結節強度およびヤング率が低く、ラケット用ガットとしての張設性や打球感が悪い。また、やはり芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールのポリエステルであるポリエチレンテレフタレートを用いたモノフィラメント(比較例3)は、引張強度、結節強度およびヤング率は高いが、ラケット用ガットとして60Lb応力時の弾性率が高いために、打球感がナチュラルガットと異なる。そして、比較例2と3のモノフィラメントは、いずれも生分解性を示さないことから、本発明が目的とする効果を満たすものではなかった。
本発明の生分解性モノフィラメントは、従来に比べ耐熱性と耐久性が飛躍的に改善されるとともに、生分解性を兼ね備えていることから、環境を配慮した各種水産用途および産業資材用途に有用である。
そして、本発明の生分解性モノフィラメントは、引張強度が400MPa以上、結節強度が300MPa以上、且つ、ヤング率が3GPa〜20GPaの範囲にあることから、とりわけラケット用ガット用途に極めて有用である。
Claims (6)
- 芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とをジカルボン酸成分とし、脂肪族ジオールをジオール成分とする融点が190℃以上の共重合ポリエステルからなることを特徴とする生分解性モノフィラメント。
- 前記共重合ポリエステルのガラス転移温度が20℃〜70℃の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の生分解性モノフィラメント。
- 前記共重合ポリエステルのジカルボン酸成分における芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の含有モル比が70:30〜90:10の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載の生分解性モノフィラメント。
- 前記共重合ポリエステルが、融点が190℃以上のポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)および/またはポリ(エチレンテレフタレート/アジヘ゜ート)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のモノフィラメント。
- 引張強度が400MPa以上、結節強度が300MPa以上、且つ、ヤング率が3GPa〜20GPaの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生分解性モノフィラメント。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の生分解性モノフィラメントからなることを特徴とするラケット用ガット。
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