JP2011125584A - ラケット用ガット - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のラケット用ガットに比べて、ラケットの操作性に優れたラケット用ガットの提供。
【解決手段】比重1.13〜1.15のポリアミド樹脂に比重0.9〜1.11の低比重樹脂をブレンドして、見掛け比重1.0〜1.12に調整したポリアミド樹脂組成物からなる直径が0.05〜1.1mmのモノフィラメントをガットの少なくとも一部に使用してなり、ガット全体の引張強度が400MPa以上であることを特徴とするラケット用ガット。
【選択図】なし
【解決手段】比重1.13〜1.15のポリアミド樹脂に比重0.9〜1.11の低比重樹脂をブレンドして、見掛け比重1.0〜1.12に調整したポリアミド樹脂組成物からなる直径が0.05〜1.1mmのモノフィラメントをガットの少なくとも一部に使用してなり、ガット全体の引張強度が400MPa以上であることを特徴とするラケット用ガット。
【選択図】なし
Description
本発明は、テニス、バドミントンおよびスカッシュなどのスポーツ用ラケットに張設するラケット用ガットに関するものである。さらに詳しくは、従来に比べて、ラケットの操作性に優れたラケット用ガットに関するものである。
一般に、ラケット用ガットに求められる特性としては、耐久性、打球性、張設性、及びラケットの操作性等が挙げられる。すなわち、耐久性とは、打球毎の摩耗による切断のし易さや張設後の応力緩和による弛みの程度などを言い、打球性とは、反発性、制球性、ボールへの回転の掛け易さなどのほか、打球時の感覚や打球音などの打球感を言い、張設性とは、ラケットへの張り易さを言い、さらにラケットの操作性とは、ラケットへ張設した後のラケットの扱い易さを言うが、打球時の感覚や打球音などの打球感が良いことも含まれる。
そして、これらの特性は重要度が異なり、打球性、耐久性、ラケットの操作性、張設性の順に重要度が位置付けされるが、打球性、耐久性、ラケットの操作性がいかに優れていても、張設性に問題があれば実用性に欠けたラケット用ガットとなる。
テニス、バドミントンおよびスカッシュなどのスポーツ用ラケットに張設するガットとしては、古くから羊腸、鯨筋などに代表される動物繊維から得られる天然ガットが用いられてきた。
しかし、天然ガットは反発性、制球性および耐衝撃性などに優れているが、耐水性に劣ることから使用寿命が短く、しかも高価であるため、近年では耐久性、量産性、経済性などに優れた合成樹脂製ガットが数多く使用されている。
合成樹脂のモノフィラメントまたはマルチフィラメントを使用した合成樹脂製ガットとしては、例えば芯糸および巻糸の両方にポリアミドを使用したガット(例えば、特許文献1参照)や、ポリエステルモノフィラメントを使用したガット(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
これらの合成樹脂製ガットは、天然ガットに比べ耐久性に優れており、材料の安定供給も可能であるなどの長所を有するが、天然ガット並のソフトな打球感が得られにくいといった問題があった。
また、樹脂被覆層や巻糸にナイロン46樹脂を用いるガット(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
このガットは、反発性、打球感を損なうことなく耐久性の優れたものとされているが、実際には本来低強度のナイロン46樹脂を素材としていることから、十分な強度を得るにはガットを太径にする必要があり、そのために空気抵抗が増して反発性、打球感が損なわれるばかりか、ラケットの操作性や張設性にも劣るといった問題を抱えていた。
このように、従来のラケット用ガットには、耐久性、打球性、張設性、ラケットの操作性等の特性をバランス良く兼ね備えたものが得られにくかったため、その実現が強く望まれていた。
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
すなわち、本発明の目的は、従来のラケット用ガットに比べて、ラケットの操作性に優れたラケット用ガットを提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明によれば、比重1.13〜1.15のポリアミド樹脂に比重0.9〜1.11の低比重樹脂をブレンドして、見掛け比重1.0〜1.12に調整したポリアミド樹脂組成物からなる直径が0.05〜1.1mmのモノフィラメントを、ガットの少なくとも一部に使用してなり、ガット全体の引張強度が400MPa以上であることを特徴とするラケット用ガットが提供される。
なお、本発明のラケット用ガットにおいては、前記ポリアミド樹脂がナイロン6、ナイロン66、及びナイロン6とナイロン66の相互共重合体から選ばれた1種類であること、とりわけナイロン6であることが好ましい条件として挙げられ、これらの条件を満たすことでさらに優れた効果を取得することができる。
本発明のラケット用ガットは、従来のラケット用ガットに比べて、ラケットの操作性に優れたラケット用ガットであることから、テニス、バドミントンおよびスカッシュなどのスポーツ用ラケットに使用した場合には、その効果を遺憾なく発揮し好適に使用することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のラケット用ガットは、比重1.13〜1.15のポリアミド樹脂に比重0.9〜1.11の低比重樹脂をブレンドして、見掛け比重1.0〜1.12のポリアミド樹脂組成物からなる直径が0.05〜1.1mmのモノフィラメントを、ガットの少なくとも一部に使用してなり、ガット全体の引張強度が400MPa以上であることを特徴とするものである。
見掛け比重1.0〜1.12のポリアミド樹脂組成物からなるモノフィラメントをガットの少なくとも一部に使用することにより、ガット全体が軽量化されるため、ラケットの振りぬきを容易に行うことが可能になり、ラケットの操作性に優れたガットが得られる。見掛け比重が1.0未満では、低比重樹脂の比率が高くなり、ポリアミドの比率が低くなるためガットに必要な強度を得られない。
また、見掛け比重が1.12より大きくなると、通常のナイロン6を用いたガットと同様の比重となり、軽量化により振りぬき易くなる操作性向上の効果を十分に発揮するには至らない。
さらに、ガット全体の引張強度は400MPa以上であることが重要であり、引張強度が400MPa未満の場合には、ガットとしての実用上の強度が得られないため好ましくない。
ここで、本発明で使用する見掛け比重1.0〜1.12のポリアミド樹脂組成物は、比重1.13〜1.15のポリアミド樹脂に比重0.9〜1.11の低比重樹脂をブレンドして得られる。
ポリアミド樹脂は、溶融紡糸可能な熱可塑性ポリアミド樹脂で比重1.13〜1.15の範囲にあれば特に限定はされず、例えば、ナイロン6、ナイロン66、およびナイロン6とナイロン66の相互共重合体などを挙げることができるが、中でもナイロン6が低比重添加剤をブレンドしても高強度を維持しやすい点から最も好適に用いられる。
低比重樹脂としては、溶融紡糸可能な熱可塑性合成樹脂で比重0.9〜1.11の範囲にあれば、特に限定はされず、例えば、ナイロン9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13、ナイロン610、ナイロン612、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
さらに、本発明においては、上述のポリアミド樹脂組成物に、各種着色剤、結晶化抑制剤、耐光剤、充填剤、帯電防止剤、難燃剤および可塑剤などの添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することも可能である。
本発明のラケット用ガットの態様としては、上記モノフィラメントを芯線としてこれに他のモノフィラメントあるいはマルチフィラメントを巻線したガット、他のモノフィラメントあるいはマルチフィラメントを芯線としてこれに上記モノフィラメントを巻線したガット、および上記モノフィラメントを芯線としてこれに上記モノフィラメントを巻線したガットなどが挙げられ、これらの各態様別にモノフィラメント直径の最適値が存在する。
また、上記モノフィラメントを芯線として用いてラケット用ガットとする場合において、直径が1.1mmを上回ると、振りが鈍くなるためラケットの操作性が低下しやすくなり、直径が0.5mm未満では、所定の太さにするために巻線が増え、打球性が低下しやすい傾向となる。
さらに、上記モノフィラメントを巻線として用いてラケット用ガットとする場合において、直径が0.5mmを上回ると、ガットへの巻線加工ができなくなり、0.05mm未満では、単糸径が細いので巻線として使用した場合には、打球毎の摩耗により切断しやすくなるため、ガットとしての耐久性が低下することとなる。
また、ガット全体の引張強度が400MPa未満であると、ガットとしての実用上の強度が得られない。
本発明のラケット用ガットは、以下に説明する方法により効率的に製造することができる。
まず、見掛け比重1.0〜1.12のポリアミドモノフィラメントを溶融紡糸するに際しては、公知の紡糸機を使用することができ、またその条件としては、例えば、ポリマー温度200〜350℃、押出圧力1〜50MPa、口金孔径0.1〜5mm、紡糸速度0.3〜200m/分などといった通常の条件を採用することができる。
初めに、比重1.13〜1.15のポリアミド樹脂に比重0.9〜1.11の低比重樹脂をブレンドして、見掛け比重1.0〜1.12に調整したポリアミド樹脂組成物を紡糸機に供給し、紡糸機内で溶融混練した後、口金から紡出する。
その後、紡出したモノフィラメントは、短い気体ゾーンを通過した後、冷却浴内で冷却されるが、ここでの冷却温度は、冷却浴内におけるモノフィラメントの蛇行を防止し、モノフィラメントの真円性を高められることから、5〜50℃とすることが好ましい。
なお、冷却浴の冷却媒体としては、ポリマーに不活性な液体、通常は水、ポリエチレングリコールおよびグリセリンなどを挙げることができる。
次に、冷却固化されたモノフィラメントは、引き続き1段乃至多段の延伸行程に送られる。ここで、高強度かつ耐久性に優れたモノフィラメントを得るためには、1段目の延伸を比較的低温かつ低倍率の条件で行うことが好ましく、具体的には、60〜120℃の温度で2.0〜5.0倍に延伸することが好ましい。
さらに、延伸工程を経た複合モノフィラメントは、延伸歪みを除去することなどを目的として、適度な定長および/または弛緩熱処理を行っても良い。
なお、延伸工程および定長/弛緩熱処理工程における雰囲気(浴)としては、温水、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびシリコーンオイルなどの加熱した熱媒体浴、乾熱気体浴および水蒸気浴などを使用することができる。
そして、得られたモノフィラメントを芯糸または巻糸として使用し、公知のラケット用ガットの製造方法、例えば、芯糸の外周に巻糸を等間隔で螺旋状に巻回し、接着剤や樹脂等で固定する方法などにより、ラケット用ガットに加工される。
こうして得られたラケット用ガットは、従来のラケット用ガットに比べて、ラケットの操作性に優れたラケット用ガットであることから、テニス、バドミントンおよびスカッシュなどのスポーツ用ラケットに使用した場合には、その効果を遺憾なく発揮し好適に使用することができる。
以下、本発明のラケット用ガットをさらに具体的に説明するが、本発明のラケット用ガットはその主旨を越えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
最初に本発明のラケット用ガットに使用するモノフィラメントの製造方法を説明する。
[モノフィラメントA]
ナイロン6(東レ製 M1041 比重1.14)65重量%とナイロン12(EMS製 グリルアミドTR55 比重1.02)35重量%の混合物を、エクストルーダー型紡糸機に供給し、270℃の温度で溶融混練した後、孔径2.5mmの口金を通して押出し、直ちに20℃の水浴中で冷却固化させて未延伸糸を得た。
ナイロン6(東レ製 M1041 比重1.14)65重量%とナイロン12(EMS製 グリルアミドTR55 比重1.02)35重量%の混合物を、エクストルーダー型紡糸機に供給し、270℃の温度で溶融混練した後、孔径2.5mmの口金を通して押出し、直ちに20℃の水浴中で冷却固化させて未延伸糸を得た。
その後、この未延伸糸を100℃の水蒸気中で3.8倍に延伸し、次いで200℃の乾熱雰囲気中で1.34倍(トータル延伸倍率4.8倍)に延伸した後、さらに180℃の乾熱雰囲気中でリラックス倍率0.93倍の熱処理を行うことにより、見掛け比重1.11、直径0.900mmの芯糸を得た。
[モノフィラメントB]
ナイロン6(東レ製 M1041 比重1.14)50重量%とナイロン6/12(EMS製 CR8 比重1.10)50重量%の混合物を、エクストルーダー型紡糸機に供給し、270℃の温度で溶融混練した後、孔径2.5mmの口金を通して押出し、直ちに20℃の水浴中で冷却固化させて未延伸糸を得た。
ナイロン6(東レ製 M1041 比重1.14)50重量%とナイロン6/12(EMS製 CR8 比重1.10)50重量%の混合物を、エクストルーダー型紡糸機に供給し、270℃の温度で溶融混練した後、孔径2.5mmの口金を通して押出し、直ちに20℃の水浴中で冷却固化させて未延伸糸を得た。
その後、この未延伸糸を100℃の水蒸気中で3.8倍に延伸し、次いで190℃の乾熱雰囲気中で1.34倍(トータル延伸倍率4.8倍)に延伸した後、さらに170℃の乾熱雰囲気中でリラックス倍率0.93倍の熱処理を行うことにより、見掛け比重1.12、直径0.870mmの芯糸を得た。
[モノフィラメントC]
モノフィラメントAの成分をナイロン6(東レ製 M1041 比重1.14)のみとしたこと以外は、モノフィラメントAと同じ条件でモノフィラメントを製造して、比重1.14、直径0.900mmの芯糸を得た。
モノフィラメントAの成分をナイロン6(東レ製 M1041 比重1.14)のみとしたこと以外は、モノフィラメントAと同じ条件でモノフィラメントを製造して、比重1.14、直径0.900mmの芯糸を得た。
[モノフィラメントD]
モノフィラメントBの口金の孔径を3.0mmにし、直径を1.20mmに変更したこと以外は、モノフィラメントBと同じ条件でモノフィラメントを製造して、見掛け比重1.12、直径1.20mmの芯糸を得た。
モノフィラメントBの口金の孔径を3.0mmにし、直径を1.20mmに変更したこと以外は、モノフィラメントBと同じ条件でモノフィラメントを製造して、見掛け比重1.12、直径1.20mmの芯糸を得た。
[モノフィラメントa]
ナイロン6(東レ製 M1021TM 比重1.14)55重量%とナイロン12(EMS製 グリルアミドTR55 比重1.02)45重量%の混合物を、エクストルーダー型紡糸機に供給し、270℃の温度で溶融混練した後、孔径1.0mmの口金を通して押出し、直ちに10℃の冷水浴中で冷却固化させて未延伸糸を得た。
ナイロン6(東レ製 M1021TM 比重1.14)55重量%とナイロン12(EMS製 グリルアミドTR55 比重1.02)45重量%の混合物を、エクストルーダー型紡糸機に供給し、270℃の温度で溶融混練した後、孔径1.0mmの口金を通して押出し、直ちに10℃の冷水浴中で冷却固化させて未延伸糸を得た。
その後、この未延伸糸を100℃の水蒸気中で3.6倍に延伸し、次いで190℃の乾熱雰囲気中で1.33倍(トータル延伸倍率4.8倍)に延伸した後、さらに170℃の乾熱雰囲気中でリラックス倍率0.92倍の熱処理を行うことにより、見掛け比重1.10、直径0.160mmの巻糸を得た。
[モノフィラメントb]
ナイロン6(東レ製 M1021TM 比重1.14)50重量%とナイロン6/12(EMS製 CR8 比重1.10)50重量%の混合物を、エクストルーダー型紡糸機に供給し、270℃の温度で溶融混練した後、孔径1.0mmの口金を通して押出し、直ちに10℃の冷水浴中で冷却固化させて未延伸糸を得た。
ナイロン6(東レ製 M1021TM 比重1.14)50重量%とナイロン6/12(EMS製 CR8 比重1.10)50重量%の混合物を、エクストルーダー型紡糸機に供給し、270℃の温度で溶融混練した後、孔径1.0mmの口金を通して押出し、直ちに10℃の冷水浴中で冷却固化させて未延伸糸を得た。
その後、この未延伸糸を100℃の水蒸気中で3.6倍に延伸し、次いで190℃の乾熱雰囲気中で1.33倍(トータル延伸倍率4.8倍)に延伸した後、さらに170℃の乾熱雰囲気中でリラックス倍率0.92倍の熱処理を行うことにより、見掛け比重1.12、直径0.160mmの巻糸を得た。
[モノフィラメントc]
モノフィラメントaの口金の孔径を0.6mmにし、直径を0.040mmに変更したこと以外は、モノフィラメントaと同じ条件でモノフィラメントを製造して、見掛け比重1.10、直径0.040mmの巻糸を得た。
モノフィラメントaの口金の孔径を0.6mmにし、直径を0.040mmに変更したこと以外は、モノフィラメントaと同じ条件でモノフィラメントを製造して、見掛け比重1.10、直径0.040mmの巻糸を得た。
[モノフィラメントd]
モノフィラメントbの成分をナイロン6(東レ製 M1021TM 比重1.14)のみとしたこと以外は、モノフィラメントbと同じ条件でモノフィラメントを製造して、比重1.14、直径0.160mmの巻糸を得た。
モノフィラメントbの成分をナイロン6(東レ製 M1021TM 比重1.14)のみとしたこと以外は、モノフィラメントbと同じ条件でモノフィラメントを製造して、比重1.14、直径0.160mmの巻糸を得た。
[モノフィラメントe]
ポリエチレン(三井化学製 ハイゼックス2100J 比重0.95)を、エクストルーダー型紡糸機に供給し、190℃の温度で溶融混練した後、孔径1.0mmの口金を通して押出し、直ちに20℃の冷水浴中で冷却固化させて未延伸糸を得た。
ポリエチレン(三井化学製 ハイゼックス2100J 比重0.95)を、エクストルーダー型紡糸機に供給し、190℃の温度で溶融混練した後、孔径1.0mmの口金を通して押出し、直ちに20℃の冷水浴中で冷却固化させて未延伸糸を得た。
その後、この未延伸糸を80℃の温水浴中で5.0倍に延伸し、次いで120℃の乾熱雰囲気中で1.20倍(トータル延伸倍率6.0倍)に延伸した後、さらに100℃の乾熱雰囲気中でリラックス倍率0.95倍の熱処理を行うことにより、比重0.95、直径0.160mmの巻糸を得た。
こうして得られたモノフィラメントA〜Dおよびモノフィラメントa〜eの特性を表1に示す。
次に、得られたモノフィラメントA〜Dおよびモノフィラメントa〜eを用いて製造したラケット用ガットについて説明する。
なお、評価用のテニスラケットは、フェース面積115インチのテニスラケット用のフレームに、得られたラケット用ガットを60Lbのテンションで張設したものを使用し、次の基準に従って評価を行った。
[見掛け比重測定]
JIS Z8807の規定に準じて測定した。
JIS Z8807の規定に準じて測定した。
[糸直径]
アンリツ(株)製レーザー外径測定機を用いて測定した。
アンリツ(株)製レーザー外径測定機を用いて測定した。
[引張強度]
JIS L1013の規定に準じて測定した。
JIS L1013の規定に準じて測定した。
[ラケット用ガット特性の評価]
A.耐久性
テニスラケットのフェースに、時速100Km、打ち出し間隔15回/分、打ち出し距離50cm、かつ打ち出し角度40度の条件でテニスボールを衝突させ、ガットが切断するまでの打ち出し回数で耐久性を評価した。
A.耐久性
テニスラケットのフェースに、時速100Km、打ち出し間隔15回/分、打ち出し距離50cm、かつ打ち出し角度40度の条件でテニスボールを衝突させ、ガットが切断するまでの打ち出し回数で耐久性を評価した。
B.打球性
上級レベルのテニスプレーヤーにテニスラケットを使用して実際にテニスボールを試打してもらい、従来のポリアミド樹脂製ガットを使用したテニスラケットと比較して、制球性、反発性および耐衝撃性などの観点から総合的に次の2段階で感応評価した。
○:ポリアミド樹脂製ガットより優れていた。
×:ポリアミド樹脂製ガットより劣っていた。
上級レベルのテニスプレーヤーにテニスラケットを使用して実際にテニスボールを試打してもらい、従来のポリアミド樹脂製ガットを使用したテニスラケットと比較して、制球性、反発性および耐衝撃性などの観点から総合的に次の2段階で感応評価した。
○:ポリアミド樹脂製ガットより優れていた。
×:ポリアミド樹脂製ガットより劣っていた。
C.張設性
ラケット用ガットを張設してテニスラケットを制作する際の張設のしやすさについて、従来のポリアミド樹脂製ガットを張設する場合と比較して、次の2段階で評価した。
○:良好であった。
×:劣っていた。
ラケット用ガットを張設してテニスラケットを制作する際の張設のしやすさについて、従来のポリアミド樹脂製ガットを張設する場合と比較して、次の2段階で評価した。
○:良好であった。
×:劣っていた。
D.ラケットの操作性
上級レベルのテニスプレーヤーにテニスラケットを使用して実際にテニスボールを試打してもらい、従来のポリアミド樹脂製ガットを使用したテニスラケットと比較して、ラケットの振り易さを次の2段階で感応評価した。
○:ポリアミド樹脂製ガットよりも振り易いものであった。
×:ポリアミド樹脂製ガットより振りにくいものであった。
上級レベルのテニスプレーヤーにテニスラケットを使用して実際にテニスボールを試打してもらい、従来のポリアミド樹脂製ガットを使用したテニスラケットと比較して、ラケットの振り易さを次の2段階で感応評価した。
○:ポリアミド樹脂製ガットよりも振り易いものであった。
×:ポリアミド樹脂製ガットより振りにくいものであった。
[実施例1]
モノフィラメントAの外周部に、モノフィラメントb20本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.30mmのラケット用ガットを製造した。
モノフィラメントAの外周部に、モノフィラメントb20本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.30mmのラケット用ガットを製造した。
こうして製造したラケット用ガットの評価結果を表2に示す。
[実施例2]
モノフィラメントBの外周部に、モノフィラメントa12本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.25mmのラケット用ガットを製造した。
モノフィラメントBの外周部に、モノフィラメントa12本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.25mmのラケット用ガットを製造した。
こうして製造したラケット用ガットの評価結果を表2に示す。
[実施例3]
モノフィラメントAの外周部に、モノフィラメントd20本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.25mmのラケット用ガットを製造した。
モノフィラメントAの外周部に、モノフィラメントd20本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.25mmのラケット用ガットを製造した。
こうして製造したラケット用ガットの評価結果を表2に示す。
[実施例4]
モノフィラメントCの外周部に、モノフィラメントa12本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.30mmのラケット用ガットを製造した。
モノフィラメントCの外周部に、モノフィラメントa12本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.30mmのラケット用ガットを製造した。
こうして製造したラケット用ガットの評価結果を表2に示す。
[比較例1]
モノフィラメントCの外周部に、モノフィラメントc60本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.25mmのラケット用ガットを製造した。
モノフィラメントCの外周部に、モノフィラメントc60本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.25mmのラケット用ガットを製造した。
こうして製造したラケット用ガットの評価結果を表2に示す。
[比較例2]
モノフィラメントCの外周部に、モノフィラメントd20本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.30mmのラケット用ガットを製造した。
モノフィラメントCの外周部に、モノフィラメントd20本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.30mmのラケット用ガットを製造した。
こうして製造したラケット用ガットの評価結果を表2に示す。
[比較例3]
モノフィラメントCの外周部に、モノフィラメントe20本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.30mmのラケット用ガットを製造した。
モノフィラメントCの外周部に、モノフィラメントe20本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.30mmのラケット用ガットを製造した。
こうして製造したラケット用ガットの評価結果を表2に示す。
[比較例4]
モノフィラメントDの外周部に、モノフィラメントc40本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.40mmのラケット用ガットを製造した。
モノフィラメントDの外周部に、モノフィラメントc40本を等間隔で螺旋状に配置し、巻き付け角35度で螺旋状に巻き付け、さらに接着剤で固定することにより、直径1.40mmのラケット用ガットを製造した。
こうして製造したラケット用ガットの評価結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、本発明の条件を満たすラケット用ガット(実施例1〜4)は、本発明の条件を満たさないラケット用ガット(比較例1〜4)に比べて、いずれもラケットの操作性等の特性をバランス良く兼ね備えたラケット用ガットであることが分かる。
比較例1では、巻糸として直径0.04mmのモノフィラメントが巻き付けられたために、巻線が細いためにガット同士の摩擦により切断しやすくなり、ガットの耐久性を低下させる結果となった。
比較例2では、芯糸および巻糸が共にナイロン6であるため、ラケット用ガットが軽量化されず、ラケット用ガットを軽量化して、ラケットの操作性を向上させるという効果は得られなかった。
比較例3では、巻糸としてポリエチレンが単独で巻き付けられたため、ガットの実用上の強度が得られなかったばかりでなく、巻線のポリエチレンと芯糸のポリアミドの間に剥離が起き、芯糸と巻糸の間に隙間ができたため打球感が損なわれ、張設性にも劣る結果となった。また芯糸と巻糸の剥離により耐久性を低下させる結果となった。
比較例4では、芯糸が1.20mmと太径であるため、巻糸に細径の巻糸を使用してもガットの直径が太くなるため、振りがにぶくなるためラケットの操作性に劣る結果となった。またガットが太径なために張設性も悪い結果であった。
本発明のラケット用ガットは、従来のラケット用ガットに比べて、ラケットの操作性に優れたラケット用ガットであることから、テニス、バドミントンおよびスカッシュなどのスポーツ用ラケットに使用した場合には、その効果を遺憾なく発揮し好適に使用することができる。
Claims (3)
- 比重1.13〜1.15のポリアミド樹脂に比重0.9〜1.11の低比重樹脂をブレンドして、見掛け比重1.0〜1.12に調整したポリアミド樹脂組成物からなる直径が0.05〜1.1mmのモノフィラメントをガットの少なくとも一部に使用してなり、ガット全体の引張強度が400MPa以上であることを特徴とするラケット用ガット。
- 前記ポリアミド樹脂がナイロン6、ナイロン66、及びナイロン6とナイロン66の相互共重合体から選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1に記載のラケット用ガット。
- 前記ポリアミド樹脂がナイロン6であることを特徴とする請求項1または2に記載のラケット用ガット。
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2009
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