JP5346645B2 - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents
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Description
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、内燃機関の高さを低く抑えた内燃機関の動弁装置を提供することにある。
上記構成によれば、スライダを移動させるボールねじが吸気側カム軸と排気側カム軸とに跨って配置されるため、ボールねじが内燃機関の上下方向に延出する場合に比べ、内燃機関の高さを低く抑えることができる。また、ボールねじに吸気側と排気側で異なる方向のねじ部を設け、ボールねじの吸気側・排気側のそれぞれにボールねじ上を移動可能なスライダを設けたため、例えば、動弁装置をDOHC方式にした際に吸排気カム軸間の距離が長くなっても、スライダとホルダ部材とを連結する連結リンク部材の長さを短く抑えることができる。
また、連結リンク部材は回動可能に連結された2つのリンク部材を備え、2つのリンク部材の連結部はスライダ側連結部及びホルダ側連結部よりシリンダ中心側に位置するため、ボールねじとホルダ部材とをより接近して配置することができ、シリンダヘッドの高さを低くできる。
上記構成によれば、偏心ピンにより各部品の製造誤差が吸収されるので、各部品の位置調整を容易にできる。
図1は、本発明の実施の形態に係る動弁装置を適用した自動二輪車を示す側面図である。この自動二輪車10は、車体フレーム11と、車体フレーム11の前端部に取り付けられたヘッドパイプ12に回動自在に支持された左右一対のフロントフォーク13と、フロントフォーク13の上端部を支持するトップブリッジ14に取り付けられた操舵用のハンドル15と、フロントフォーク13に回転自在に支持された前輪16と、車体フレーム11に支持された内燃機関としてのエンジン17と、エンジン17に排気管18A,18Bを介して連結された排気マフラー19A,19Bと、車体フレーム11の後下部のピボット20に上下に揺動自在に支持されたリアスイングアーム21と、このリアスイングアーム21の後端部に回転自在に支持された後輪22とを備え、リアスイングアーム21と車体フレーム11との間にリアクッション23が配設される。
前バンク110Aと後バンク110Bによって形成されるV字状の空間には、エンジン吸気系を構成するエアクリーナ41とスロットルボディ42が配設される。スロットルボディ42は、エアクリーナ41で浄化された空気を前バンク110A及び後バンク110Bに供給する。また、各バンク110A,110Bには、エンジン排気系を構成する排気管18A,18Bが接続され、各排気管18A,18Bが車体右側を通ってその後端に排気マフラー19A,19Bが各々接続され、これら排気管18A,18B及び排気マフラー19A,19Bを介して排気ガスが排出される。
図2において、エンジン17の前バンク110A及び後バンク110Bは同一の構造である。図2中、前バンク110Aはピストン周辺を示し、後バンク110Bはカムチェーン周辺を示している。また、図2において、符号121は中間シャフト(後側バランサシャフト)を示し、符号123はメインシャフトを示し、符号125はカウンタシャフトを示している。クランクシャフト105を含むこれらシャフト121,123,125は、車体前後方向及び上下方向にずらして互いに平行に配置され、これらシャフトを支持するクランクケース110C内には、クランクシャフト105の回転を、中間シャフト121、メインシャフト123及びカウンタシャフト125の順に伝達する歯車伝達機構が構成されている。
各シリンダヘッド132A,132Bの下面には、ピストン136上方に形成される燃焼室の天面を構成する燃焼凹部141が形成され、各燃焼凹部141には、点火プラグ142がその先端を臨ませて配置される。この点火プラグ142は、シリンダ軸線(シリンダ中心)Cと略同軸に設けられる。
シリンダヘッド132Aの上部には、燃料ポンプ144が設けられ、燃料ポンプ144から燃料配管144Aを介して各インジェクタ143に燃料が供給される。
各吸気ポート145は、図2及び図3に示すように、シリンダヘッド132A,132Bと一体に設けた下部吸気ポート145Bと、シリンダヘッド132A,132Bと別体に設けた上部吸気ポート145Cとを備えている。上部吸気ポート145Cは、下部吸気ポート145Bに対し、よりヘッドカバー133A,133Bに接近する方向に角度を変えて取り付けられている。
この中間シャフト121の右端部には、オイルポンプ用駆動スプロケット181と、上記中間側被動歯車177と、この被動歯車177より小径の駆動歯車(以下、中間側駆動歯車という)182とが順に取り付けられている。
オイルポンプ用駆動スプロケット181は、中間シャフト121の後側であって、メインシャフト123下方に配置されたオイルポンプ184の駆動軸185に固定された被動スプロケット186に伝動チェーン187を介して該中間シャフト121の回転力を伝達し、オイルポンプ184を駆動させる。
カウンタシャフト125の左端部は、車体の前後方向に延びるドライブシャフト(不図示)に連結される。これによって、カウンタシャフト125の回転がドライブシャフトに伝達される。
動弁装置50は、図3に示すように、シリンダ軸線Cを中心として吸気側と排気側とに独立して対称に設けられている。前バンク110A及び後バンク110Bの動弁装置50は略同一構造であるため、本実施の形態では、前バンク110Aの吸気側の動弁装置50について説明する。
また、カムシャフト支持部201,202における吸気カム153の側の面には、ホルダ53を支持するホルダ支持部201D,202Dがそれぞれ設けられている。
また、連結部材59は、カムシャフト151と平行な軸部59Aを有し、軸部59Aの第1プレート53A側の端には、サブロッカアーム54の一端が連結されるサブロッカアーム支持部59B(支点)が形成されている。連結部材59は、第1,第2プレート53A,53Bの外面側から軸部59Aの両端に挿入される一対のボルト53Dによって第1,第2プレート53A,53Bに固定される。また、連結部材59は、軸部59Aに平行な軸部59Cを備えており、第1,第2プレート53A,53Bの外面側からこの軸部59Cの両端に挿入される一対のボルト(不図示)によっても第1,第2プレート53A,53Bに固定される。
また、サブロッカアーム54は、図4に示すように、連結部材59に収容されたサブロッカアームリターンスプリング58により付勢されており、サブロッカアーム54のローラ54Aが常に吸気カム153に押し付けられている。ここで、サブロッカアームリターンスプリング58はコイルスプリングである。
このように構成された動弁装置50において、図4を参照し、カムシャフト151が回転されると、カムシャフト151と一体に回転する吸気カム153のカム山部153Bにより、サブロッカアーム54がローラ54Aを介して押し上げられて軸部59Aを中心として揺動し、これに伴い、コネクトリンク55を介して動弁カム52がカムシャフト151を中心として図4中の時計回りに回転する。そして、動弁カム52の回転によりカム山部52Bがローラ51Cを介してロッカアーム51と共に吸気弁147を押し下げ、吸気弁147が開弁される。また、カムシャフト151がさらに回転されて吸気カム153のベース円部153Aがローラ54Aに当接する状態では、サブロッカアーム54がサブロッカアームリターンスプリング58により押し下げられると共に、動弁カム52が動弁カムリターンスプリング57より図4中の反時計回りに回転させられてベース円部52Aがローラ51Cに当接する。これにより、吸気弁147は弁ばね149(図2参照)により押し上げられて閉弁される。
これによって、動弁装置50は、吸気弁147及び排気弁148の開閉の作動特性を変更可能に構成されている。
連結リンク部材63は、図6に示すように、駆動機構60に連結されている。
駆動機構60は、図6に示すように、連結リンク部材63を介してホルダ53に連結されている。駆動機構60は、吸気側カムシャフト151と排気側カムシャフト152とに跨って配置されたボールねじ61と、吸気側・排気側のそれぞれに設けられ、ボールねじ61上を軸方向に移動可能な2つのナット62(スライダ)とを備え、ナット62及びホルダ53間に連結リンク部材63が設けられている。
ボールねじ61の排気側の一端部にはギヤ64が固着され、ギヤ64にはボールねじ61を回転させるための電動アクチュエータ(不図示)がギヤ輪列で連結されている。
図6に示すように、ボールねじ61の外周面には、吸気側と排気側にそれぞれ螺旋状のねじ山61A,61Bと、螺旋状の軸ねじ溝61C,61Dとが形成されている。これらねじ山61A,61B及び軸ねじ溝61C,61Dは、ねじ部を構成している。ねじ山61A,61B及び軸ねじ溝61C,61Dは、巻き方向が吸気側と排気側で異なる方向に設定されている。ねじ部61A〜61Dは、吸気カム153(図3参照)(吸気側カムシャフト151)と排気カム154(図3参照)(排気側カムシャフト152)とに挟まれた位置に形成されている。
センサ80は、ボールねじ61の他端部に固定される回転軸81と、この回転軸81の下方に略平行に配置され、ボールねじ支持部203に固定される六角ねじからなる固定軸82とを備えている。回転軸81の外周面には駆動ギヤ83が形成され、固定軸82には、駆動ギヤ83と噛み合う従動ギヤ84が形成されている。したがって、ボールねじ61が回転すると、ボールねじ61と一体に回転する回転軸81の回転が駆動ギヤ83を介して従動ギヤ84に伝達される。センサ80は、従動ギヤ84の回転量により、ボールねじ61の回転量を検出する。
ナット側リンク63Aの一端部は、ナット62を両側方から挟み込み、ボルト(スライダ側連結部)66によってナット62に固定されている。ナット側リンク63Aの他端部は、ピン(連結部)67によってホルダ側リンク63Bの一端部に揺動可能に支持されている。ホルダ側リンク63Bの他端部は、偏心ピン(ホルダ側連結部)68によって第2プレート53Bに揺動可能に支持されている。ピン67は、ボルト66及び偏心ピン68よりシリンダ軸線C側に位置している。偏心ピン68は、六角ボルト68Aと、六角ボルト68Aの頭部に偏心して一体形成された偏心軸68Bとを備えて構成されている。六角ボルト68Aは、スプリングワッシャ68C及び六角ナット68Dによって第2プレート53Bに固定され、偏心軸68Bは、ナット側リンク63Aに回転自在に支持される。
例えば、ボールねじ61が回転してナット62がボールねじ61の中央側に移動させられ、連結リンク部材63によってホルダ53が図4中の時計回り方向にさらに揺動されると、動弁カム52はリンク機構56によって時計回り方向に回転され、この状態でカムシャフト151が回転されると、カム山部52Bがローラ51Cを押し下げる期間及び押し下げ量が大きくなり、吸気弁147の開弁期間及びリフト量が大きくなる。
また、ボールねじ61に吸気側と排気側で異なる方向のねじ部61A〜61Dを設け、ボールねじ61の吸気側・排気側のそれぞれにボールねじ61上を移動可能なナット62を設けたので、DOHC方式の動弁装置50において、吸排気カムシャフト151,152間の距離が長くなっても、吸排気カムシャフト151,152間の略中央にナットを設ける場合に比べ、ナット62とホルダ53とを連結する連結リンク部材63の長さを短く抑えることができる。その結果、連結リンク部材63が長くなることによって連結リンク部材63の移動量に対するホルダ53の回動範囲が小さくなることを回避することが可能になる。さらに、吸気側・排気側のナット62を移動させるボールねじ61を吸気側と排気側とで分割せずに共通の部品としたため、部品点数を削減できる。
連結リンク部材63は、2つのナット側リンク63A及びホルダ側リンク63Bを備え、ナット側リンク63Aとホルダ側リンク63Bとを連結するピン67は、ナット側リンク63Aとナット62とを連結するボルト66、及びホルダ側リンク63Bとホルダ53とを連結する偏心ピン68よりシリンダ軸線C側に位置する。これにより、ボールねじ61とホルダ53とをより接近して配置することが可能になり、シリンダヘッド132A,132Bの高さを低くすることが可能になる。
本実施の形態では、第2プレート53Bとナット側リンク63Aとを連結するナット側リンク63Aのピボットに偏心ピン68が用いられているので、偏心ピン68の第2プレート53Bへの取り付け角度を変更することで、各部品の製造誤差が吸収され、各部品の位置調整が容易になる。その結果、第2プレート53Bとナット側リンク63Aとを連結するのが容易になる。
例えば、上記実施の形態では、センサ80を前後バンク110A,110Bに設ける構成としたが、センサ80を前後バンク110A,110Bの一方に設けてもよい。
また、上記実施の形態では、ホルダ53とナット側リンク63Aとを連結するナット側リンク63Aのピボットに偏心ピン68を用いる構成としたが、これに限定されず、連結リンク部材63の連結部、すなわち、ピン67及びボルト66に偏心ピン構造を採用してもよい。
50 動弁装置
52 動弁カム
53 ホルダ(ホルダ部材)
54 サブロッカアーム
55 コネクトリンク
56 リンク機構
59B サブロッカアーム支持部(支点)
60 駆動機構
61 ボールねじ
61A,61B ねじ山(ねじ部)
61C,61D 軸ねじ溝(ねじ部)
62 ナット(スライダ)
63 連結リンク部材
63A ナット側リンク(リンク部材)
63B ホルダ側リンク(リンク部材)
66 ボルト(スライダ側連結部)
67 ピン(連結部)
68 偏心ピン(ホルダ側連結部)
132A,132B シリンダヘッド
147 吸気弁(機関弁)
148 排気弁(機関弁)
151,152 カムシャフト(カム軸)
153 吸気カム(駆動カム)
154 排気カム(駆動カム)
C シリンダ軸線(シリンダ中心)
Claims (2)
- 内燃機関(17)の回転に同期して回転するカム軸(151,152)と、前記カム軸(151,152)と一体回転する駆動カム(153,154)と、前記カム軸(151,152)と相対回転し、機関弁(147,148)を開閉させる動弁カム(52)と、前記駆動カム(153,154)の弁駆動力を前記動弁カム(52)に伝達するリンク機構(56)と、前記リンク機構(56)の支点(59B)を支持し前記カム軸(151,152)の周りを揺動可能なホルダ部材(53)と、前記ホルダ部材(53)を揺動させて前記リンク機構(56)の支点(59B)位置を変化させる駆動機構(60)とを備え、前記リンク機構(56)の支点(59B)の揺動位置で、前記機関弁(147,148)が開閉するバルブ作動特性を変更可能にする内燃機関(17)の動弁装置(50)において、前記駆動機構(60)は、吸気側カム軸(151)と排気側カム軸(152)とに跨って配置され、吸気側と排気側で異なる方向のねじ部(61A〜61D)を設けたボールねじ(61)と、吸気側・排気側のそれぞれに設けられ、前記ボールねじ(61)上を移動可能なナット(62)と、前記ナット(62)及び前記ホルダ部材(53)間に設けられた連結リンク部材(63)とを備え、前記連結リンク部材(63)は、前記ナット(62)に一端部が固定されるナット側リンク(63A)と、前記ナット側リンク(63A)の他端部と一端部が揺動自在に連結されるホルダ側リンク(63B)とを備え、前記ホルダ側リンク(63B)の他端部はホルダ部材(53)に揺動自在に連結され、前記ナット側リンク(63A)及び前記ホルダ側リンク(63B)を連結するピン(67)は、前記ナット側リンク(63A)と前記ナット(62)とを連結するボルト(66)、及び前記ホルダ側リンク(63B)と前記ホルダ部材(53)とを連結するピン(68)よりシリンダ軸線(C)側に位置することを特徴とする内燃機関の動弁装置。
- 前記連結リンク部材(63)のピボット(66,67,68)のうち一箇所を偏心ピンで連結したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の動弁装置。
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