JP5344790B2 - 硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
液晶ディスプレイは、表示装置として汎用されるCRTと比較すると、コンパクトであり、且つ、性能面では同等以上であることから、テレビ画面、パソコン画面、その他の表示装置としてCRTに置き換わりつつある。また、近年では、液晶ディスプレイの開発の動向としては、画面が比較的小面積であった従来のモニター用途から、画面が大型で高度な画質が求められるTV用途に向かいつつある。
また、TV用途の液晶ディスプレイでは、従来のモニター用途のものに比し、より高度な画質が求められている。すなわち、コントラスト及び色純度の向上である。
しかしながら、硬化性組成物に粒子サイズの小さな顔料を含有させた際の分散安定性向上のために、分散剤の顔料吸着性を向上させると、分散剤が顔料間を橋渡しして顔料凝集を促進し、分散安定性等の経時安定性が低下したり、当該硬化性組成物を用いてパターン形成した際の現像性が低下する傾向にあった。
また、顔料を微細化するとその表面積が増加するため、微細化した顔料の使用は、硬化性組成物における顔料分散のための分散剤添加量を増加させる傾向にあった。
さらに、現像性確保のために分散時添加樹脂の酸価を向上させると、酸基間の水素結合等の相互作用により、顔料凝集を促進する傾向があった。
顔料の分散後に硬化性組成物に樹脂を添加することによって現像性を得ようとすると、樹脂を多量に添加する必要があった。
更に、顔料系カラーフィルタにおいては、顔料が比較的粗大な粒子であることに起因する色ムラ低減のための顔料微細化に伴って、硬化性組成物中における顔料分散剤の含有率が増加する傾向ある。硬化性組成物における顔料分散剤の含有率の増加は、LCD製造用途の硬化性組成物と同様、分散安定性等の経時安定性が低下したり、当該硬化性組成物を用いてパターン形成をした際に現像性が低下したりする傾向にあると共に、硬化性が得にくいことが問題となっている。
<1> (A)重合性化合物、(B)光重合開始剤、(C)着色剤、及び(D)酸基と不飽和二重結合とを有するバインダー樹脂を含有し、
(C)着色剤の含有量が30〜85質量%であり、
(D)酸基と不飽和二重結合とを有するバインダー樹脂において、該酸基が、下記本願明細書段落番号〔0038〕〜〔0039〕に記載の酸基を有する構造単位群から選択される1以上の構造単位として含まれ、且つ、該不飽和二重結合を側鎖に有する、
ことを特徴とするカラーフィルタ用硬化性組成物。
<2> 前記(B)光重合開始剤が、トリアジン系化合物およびオキシム系化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<1>記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
<3> 前記(D)酸基と不飽和二重結合とを有するバインダー樹脂が、前記酸基を有する構造単位群から選択される1以上の酸基を有する構造単位と、二重結合を有する構造単位を含む共重合体であって、二重結合を有する構造単位が、下記一般式(1)、一般式(2)、又は、一般式(3)で表されることを特徴とする<1>又は<2>に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
<4> 前記一般式(1)乃至一般式(3)中、A 1 、A 2 、及びA 3 は、それぞれ独立に酸素原子、又は−N(R 21 )−を表し、R 21 はアルキル基を表す。G 1 、G 2 、G 3 は、それぞれ独立にアルキレン基、オキシアルキレン基及びこれらを2以上組み合わせてなる2価の有機基を表す。X、Z、及びYは、それぞれ独立に酸素原子を表すことを特徴とする<3>に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
<5> 前記一般式(1)乃至一般式(3)中、A 1 、A 2 、及びA 3 は、それぞれ独立に酸素原子を表すことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
<7> 前記(D)酸基と不飽和二重結合とを有するバインダー樹脂が、下記(a)又は(b)に記載の合成方法により得られることを特徴とする<1>乃至<6>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
(a)下記一般式(4−1)で表される化合物を共重合成分として含む重合体に、塩基を用いて、プロトンを引き抜いてLを脱離させ、前記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物を得る方法。ここで、下記一般式(4−1)中、Lは、アニオン性脱離基を表す。
(b)下記一般式(4−2)で表される化合物を共重合成分として含む重合体に対し、塩基処理によって特定官能基に脱離反応を生起させ、式中のX1およびZ1を除去し、ラジカル反応性基を形成して、前記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物を得る方法。
一般式(4−2)中、R1、R2、R3は、水素または1価の有機基を表し、A2は、酸素原子、硫黄原子または−NR8−を表し、G1は有機連結基を表し、R8は水素または一価の有機基を表し、nは、1〜10の整数を表す。R4〜R6、A1及びG1は一般式(1)におけるのと同義である。X1は脱離反応により除去される脱離基を表す。
<8> 前記一般式(1)乃至一般式(3)中、A 1 、A 2 、及びA 3 は、それぞれ独立に酸素原子、又は−N(R 21 )−を表し、R 21 はアルキル基を表す。G 1 、G 2 、G 3 は、それぞれ独立にアルキレン基、オキシアルキレン基及びこれらを2以上組み合わせてなる2価の有機基を表す。X、Z、及びYは、それぞれ独立に酸素原子を表すことを特徴とする<6>に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
<9> 前記一般式(1)乃至一般式(3)中、A 1 、A 2 、及びA 3 は、それぞれ独立に酸素原子を表すことを特徴とする<6>又は<7>に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
<10> さらに、増感剤を含有することを特徴とする<1>乃至<9>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
<11> 色材濃度が40質量%以上であることを特徴とする<1>乃至<10>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
<12> さらに、シラン系カップリング剤を含有することを特徴とする<1>乃至<11>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
<13> <1>乃至<12>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物により作製された着色パターンを有するカラーフィルタ。
<14> イメージセンサーに用いる<13>記載のカラーフィルタ。
<15> 支持体上に、<1>1乃至<12>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物を塗布して該硬化性組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、該着色層をマスクを介して露光する露光工程と、露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
本発明の硬化性組成物は、 (A)重合性化合物、(B)光重合開始剤、(C)着色剤、及び(D)酸基と不飽和二重結合とを有するバインダー樹脂を含有し、該(D)バインダー樹脂として特定構造のものを用いることを特徴とする。
以下、本発明の硬化性組成物に含有される各成分について順次説明する。
本発明の硬化性組成物は、不飽和二重結合と酸基とを有するバインダー樹脂(以下、適宜、特定重合性バインダーと称する)を含有する。
このような特定重合性バインダーは、酸基を有する構造単位(D−1)と、二重結合を有する構造単位(D−2)とを含む共重合体であることが好ましい。
まず、(D−1)酸基を有する構造単位について説明する。
本発明における「酸基」としては、具体的には、−COOH、−SO3H、−PO3H2、−OSO3H、及び、−OPO2H2などが挙げられ、なかでも−COOH、−SO3H、−PO3H2が好ましく、−COOHが最も好ましい。
本発明においては、酸基は、主骨格が2原子以上である連結基を介して水素原子および炭素原子のみからなる主鎖と結合していることを要する。
なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、主鎖と酸基とを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。
以下、本発明における連結基の主骨格を構成する原子数とその算出方法について記載する。下記式に併記されるように、連結基を構成する原子に添付された数値が連結基を構成する原子数を示す。
主鎖と酸基を連結する連結基はn価の有機基であれば特に制限しないが、好ましくは、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、ヘテロ環、エステル結合、スルホン酸エステル結合、リン酸エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、チオ尿素結合からなる群より選択される部分構造を有してもよい炭素数2〜60のアルキル基又はアリール基であることが好ましく、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、チオ尿素結合からなる群より選択される部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキル基がより好ましく、その構造中に酸素原子、窒素原子、炭素数3〜12の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合、からなる群より選択される部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキル基であることがさらに好ましい。
本発明の特定重合性バインダーに含まれる酸基を有する繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明においては、以下に示す酸基を有する構造単位のうち、下記本願明細書段落番号〔0038〕〜〔0039〕に記載の酸基を有する構造単位群から選択される1以上の構造単位を含む。以下は、酸基として−COOHを有するもののみを例示するが、酸基である−COOHを他の酸基、例えば−SO3H、−PO3H2、−OSO3H、及び、−OPO2H2などに変更してなる繰り返し単位を含むことも可能である。酸基としては、−COOH、−SO3H、−PO3H2が好ましく、−COOHが最も好ましい。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等によって導入されるエチレン性不飽和二重結合も挙げられる。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応にて導入されるエチレン性不飽和二重結合もあげられる。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えることも可能である。エチレン性不飽和二重結合としてより好ましい例としては、感度及び合成の容易性から(メタ)アクリル基又はビニルエーテル基により導入されるエチレン性不飽和二重結合が挙げられる。
このような不飽和二重結合を有する構造単位(D−2)は、例えば、特開2003−262958公報や特開2003−335814公報などに、ネガ型画像形成材料に使用するバインダーの構成成分として詳細に記載されており、この構造単位を本発明においても導入することが可能である。
合成方法(a)
下記一般式(4−1)で表されるラジカル重合性化合物1種以上と、その他のラジカル重合性化合物を1種以上と、を通常のラジカル重合法によって共重合させ、所望の高分子化合物の前駆体を合成した後に、塩基を用いて、プロトンを引き抜きLを脱離させ、前記一般式(1)で表される構造を有する所望の高分子化合物を得る方法。
このとき、高分子化合物前駆体の製造には、一般に公知の懸濁重合法あるいは溶液重合法などを適用することができる。その共重合体の構成としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体等のいずれであってもよい。
また、脱離反応を生起させるために用いる塩基としては、無機化合物、有機化合物のどちらを使用しても良い。好ましい無機化合物塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、有機化合物塩基としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドのような金属アルコキシド、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミンのような有機アミン化合物等が挙げられる。
一般式(4−1)で表されるラジカル重合性化合物としては、下記の化合物(M−1)〜(M−12)を例として挙げることできるがこれらに限定されるものではない。
ここで、X1は脱離反応により除去される脱離基であり、X1はアニオンとして脱離するものが好ましい。
X1の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボン酸基、シアノ基、アンモニウム基、アジド基、スルホニウム基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、オキソニウム基が例として挙げられ、ハロゲン原子、スルホン酸基、アンモニウム基、スルホニウム基が好ましい。中でも、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキルスルホン酸基、アリールスルホン酸基が特に好ましい。好ましいアルキルスルホン酸基の例としては、メタンスルホン酸基、エタンスルホン酸基、1−プロパンスルホン酸基、イソプロピルスルホン酸基、1−ブタンスルホン酸基、1−オクチルスルホン酸基、1−ヘキサデカンスルホン酸基、トリフルオロメタンスルホン酸基、トリクロロメタンスルホン酸基、2−クロロ−1−エタンスルホン酸基、2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸基、3−クロロプロパンスルホン酸基、パーフルオロ−1−ブタンスルホン酸基、パーフルオロ−1−オクタンスルホン酸基、10−カンファースルホン酸基、ベンジルスルホン酸基が挙げられる。好ましいアリールスルホン酸基の例としては、ベンゼンスルホン酸基、トランス−ベータ−スチレンスルホン酸基、2−ニトロベンゼンスルホン酸基、2−アセチルベンゼンスルホン酸基、3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン酸基、3−ニトロベンゼンスルホン酸基、4−ニトロベンゼンスルホン酸基、p−トルエンスルホン酸基、4−tert−ブチルベンゼンスルホン酸基、4−フルオロベンゼンスルホン酸基、4−クロロベンゼンスルホン酸基、4−ブロモベンゼンスルホン酸基、4−ヨードベンゼンスルホン酸基、4−メトキシベンゼンスルホン酸基、4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホン酸基、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸基、2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)−ベンゼンスルホン酸基、4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホン酸基、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸基、2−メシチレンスルホン酸基、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸基、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸基、1−ナフタレンスルホン酸基、2−ナフタレンスルホン酸基が挙げられる。
上記一般式(4−2)で表される化合物の好ましい具体例としては下記に示すものが挙げられる(i−1〜i−52)。
上記(a)或いは(b)の合成方法で本発明の特定重合性バインダーを合成する場合、酸基を有する構造単位及び不飽和二重結合を有する構造単位に、さらに、他の一般的なラジカル重合性化合物を共重合させることも好ましい態様である。
共重合させる一般的なラジカル重合性化合物としては、下記(1)〜(12)の化合物が挙げられる。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特願2001−115595、特願2001−115598等に記載されている化合物。
本発明の硬化性組成物には、前記(D)特定重合性バインダーを含有するため、これを重合性化合物として硬化性を発現させることも可能であるが、形成された硬化皮膜の膜性向上、或いは、組成物を、溶剤を含むことなく構成しうるといった観点からは、特定重合性バインダー以外に、エチレン性不飽和二重結合を含有する(A)重合性化合物を含有することが好ましい。
(ただし、R10及びR11は、H又はCH3を示す。)
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。硬化感度の観点から、(メタ)アクリル酸エステル構造を2個以上含有する化合物を用いることが好ましく、3個以上含有する化合物を用いることがより好ましく、4個以上含有する化合物を用いることが最も好ましい。また、硬化感度、および、未露光部の現像性の観点では、EO変性体を含有することが好ましい。また、硬化感度、および、露光部強度の観点ではウレタン結合を含有することが好ましい。
また、硬化性組成物中の他の成分(例えば、樹脂、光重合開始剤、顔料)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
また、前記(D)特定重合性バインダーと、(A)重合性化合物との含有比(質量比)としては、感度と未露光部の除去性(現像性)の観点から、(D)/(A)が0.001〜100が好ましく、0.005〜50がより好ましく、0.01〜10が更に好ましい。
本発明の硬化性組成物は、(B)光重合開始剤を含有する。
本発明における光重合開始剤は、光により分解し、本発明における(A)成分及び後述する(D)成分の重合を開始、促進する化合物であり、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。また、光重合開始剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
以下、これらの各化合物について詳細に述べる。
ベンゾイン化合物としてはmベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベンゾエートなどを挙げることができる。
アクリジン化合物としては、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンなどを挙げることができる。
クマリン化合物としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を挙げることができる。
オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653−1660)、J.C.S. Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。
また、その他の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントアキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。別の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩が、アリロキシ基、アリールチオ基を置換基に有する300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、(C)着色剤を含有する。
本発明の硬化性組成物に含有される着色剤には特に制限はなく、従来公知の種々の染料や顔料を1種又は2種以上混合して用いることができる。着色剤としては、耐熱性、耐光性等の耐久性の観点から、顔料であることが好ましい。
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
C.I.ピグメントイエロー11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,185,199,;
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,71;
C.I.ピグメントレッド81,105,122,149,150,155,171,175,176,177,209,220,224,242,254,255,264,270;
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,39;
C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメントグリーン7,36,37;
C.I.ピグメントブラウン25,28;
C.I.ピグメントブラック1,7;
カーボンブラック等を挙げることができる。
C.I.ピグメントオレンジ36,71,
C.I.ピグメントレッド122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264,
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,
C.I.ピグメントブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.ピグメントブラック1
顔料の一次粒子径は、電子顕微鏡等の公知の方法で測定することができる。
本発明の硬化性組成物に含有される着色剤として使用できる染料は、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に開示されている色素が使用できる。
その他、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料、および/または、これらの誘導体等も有用に使用することができる。
acid alizarin violet N;
acid black 1,2,24,48;
acid blue 1,7,9,15,18,23,25,27,29,40,42,45,51,62,70,74,80,83,86,87,90,92,96,103,112,113,120,129,138,147,150,158,171,182,192,210,242,243,256,259,267,278,280,285,290,296,315,324:1,335,340;
acid chrome violet K;
acid Fuchsin;
acid green 1,3,5,9,16,25,27,50,58,63,65,80,104,105,106,109;
acid orange 6,7,8,10,12,26,50,51,52,56,62,63,64,74,75,94,95107,108,169,173;
acid violet 6B,7,9,17,19;
acid yellow 1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36,38,40,42,54,65,72,73,76,79,98,99,111,112,113,114,116,119,123,128,134,135,138,139,140,144,150,155,157,160,161,163,168,169,172,177,178,179,184,190,193,196,197,199,202,203,204,205,207,212,214,220,221,228,230,232,235,238,240,242,243,251;
Direct Orange 34,39,41,46,50,52,56,57,61,64,65,68,70,96,97,106,107;
Direct Red 79,82,83,84,91,92,96,97,98,99,105,106,107,172,173,176,177,179,181,182,184,204,207,211,213,218,220,221,222,232,233,234,241,243,246,250;
Direct Violet 47,52,54,59,60,65,66,79,80,81,82,84,89,90,93,95,96,103,104;
Direct Green 25,27,31,32,34,37,63,65,66,67,68,69,72,77,79,82;
Mordant Yellow 5,8,10,16,20,26,30,31,33,42,43,45,56,50,61,62,65;
Mordant Orange 3,4,5,8,12,13,14,20,21,23,24,28,29,32,34,35,36,37,42,43,47,48;
Mordant Violet 2,4,5,7,14,22,24,30,31,32,37,40,41,44,45,47,48,53,58;
Mordant Blue 2,3,7,8,9,12,13,15,16,19,20,21,22,23,24,26,30,31,32,39,40,41,43,44,48,49,53,61,74,77,83,84;
Mordant Green 1,3,4,5,10,15,19,26,29,33,34,35,41,43,53;
Food Yellow 3;
及びこれらの染料の誘導体が挙げられる。
acid blue 23,25,29,62,80,86,87,92,138,158,182,243,324:1;
acid orange 8,51,56,74,63;
acid red 1,4,8,34,37,42,52,57,80,97,114,143,145,151,183,217,249;
acid violet 7;
acid yellow 17,25,29,34,42,72,76,99,111,112,114,116,134,155,169,172,184,220,228,230,232,243;
Acid Green 25等の染料およびこれらの染料の誘導体が好ましい。
また、上記以外の、アゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系の酸性染料も好ましく、C.I.Solvent Blue 44、38;C.I.Solvent orange 45;Rhodamine B、Rhodamine 110等の酸性染料およびこれらの染料の誘導体も好ましく用いられる。
〔他のバインダー樹脂〕
本発明の硬化性組成物は、皮膜特性向上などの目的で、前記(D)特定重合性バインダーに加え、重合性を有しない他のバインダー樹脂(以下、適宜、単に、「バインダーポリマー」と称する)を含有してもよい。
公知の(D)以外のバインダーポリマーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独あるいは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独あるいは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解もしくはハーフエステル化もしくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸および酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特願2001−115595号明細書、特願2001−115598号明細書等に記載されている化合物。
また、欧州特許993966、欧州特許1204000、特開2001−318463等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
さらにこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
これらの樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
本発明において用いうるバインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
本発明の硬化性組成物における(C)着色剤として、顔料を含有する場合には、該顔料の分散性を向上させる観点から、分散剤を添加することが好ましい。
高分子分散剤は、その構造からさらに直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料に対して、5質量%〜100質量%の範囲が好ましく、10質量%〜80質量%の範囲がより好ましい。また、顔料誘導体を使用する場合であれば、その使用量としては、顔料に対し1質量%〜30質量%の範囲にあることが好ましく、3質量%〜20質量%の範囲にあることがより好ましく、5質量%〜15質量%の範囲にあることが特に好ましい。
本発明のカラーフィルタ用硬化性組成物は、(B)重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有することが好ましい。本発明に用いることができる増感剤としては、前記した光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ330nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
等が挙げられ、更に欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物等などが挙げられる。
ここで、モル吸光係数εは、1−metoxy−2−propanol溶液に0.01g/lの濃度で調整した色素溶液を試料とし、365nmにおける試料の透過スペクトルを測定し、試料のUV−visible吸収スペクトルから吸光度を求めることにより得られる。測定装置は、Varian社製UV−Vis−MR Spectrophotometer Cary5G型分光高度計を用いた。
なお、本明細書においては、化学式は簡略構造式により記載することもあり、特に元素や置換基の明示がない実線等は、炭化水素基を表す。また、下記具体例において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Buはブチル基を、n−Buはn−ブチル基を、Phはフェニル基を表す。
例えば、当該増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させることで、露光膜の高強度化や、露光後の膜からの増感色素の不要な析出抑制を行うことができる。
また、当該増感色素と前述する光重合開始剤におけるラジカル発生能を有する部分構造(例えば、ハロゲン化アルキル、オニウム、過酸化物、ビイミダゾール等の還元分解性部位や、ボレート、アミン、トリメチルシリルメチル、カルボキシメチル、カルボニル、イミン等の酸化解裂性部位)との結合により、特に開始系の濃度の低い状態での感光性を著しく高めることができる。
本発明の硬化性組成物中における増感剤の含有量は、深部への光吸収効率と開始分解効率の観点から、硬化性組成物の全固形分に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、共増感剤を含有することも好ましい。本発明において共増感剤は、増感色素や開始剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
本発明においては、硬化性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
さらに、本発明においては、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤、基板密着性を向上させうる基板密着剤を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と結合剤との合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
基板密着剤としては、公知の材料を用いることができるが、特にシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤を用いることが好ましい。
シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビスアリルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、フェニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、(アクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
中でもγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
次に、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、本発明の硬化性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
以下、本発明の製造方法における各工程について説明する。
着色層形成工程では、支持体上に、本発明の硬化性組成物を塗布して該硬化性組成物からなる着色層を形成する。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
硬化性組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のしやすさの観点から、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましく、0.2〜3μmがさらに好ましい。
また、IS用カラーフィルタとして用いるためには、色濃度確保の観点、斜め方向の光が受光部に到達せず、又、デバイスの端と中央とで集光率の差が顕著になる等の不具合を低減する観点から、0.05μm以上1.0μm未満が好ましく、0.1μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.2μm以上0.7μm以下が特に好ましい。
露光工程では、前記着色層形成工程において形成された着色層(硬化性組成物層)を、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光する。
本工程における露光は、塗布膜のパターン露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ、現像液で現像して、各色(3色あるいは4色)の画素からなるパターン状皮膜を形成することにより行うことができる。露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。照射量は5〜1500mJ/cm2が好ましく10〜1000mJ/cm2がより好ましく、10〜500mJ/cm2が最も好ましい。
本発明のカラーフィルタが液晶表示素子用である場合は、上記範囲の中で5〜200mJ/cm2が好ましく10〜150mJ/cm2がより好ましく、10〜100mJ/cm2が最も好ましい。また、本発明のカラーフィルタが固体撮像素子用である場合は、上記範囲の中で30〜1500mJ/cm2が好ましく50〜1000mJ/cm2がより好ましく、80〜500mJ/cm2が最も好ましい。
次いでアルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、上記露光により光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させ、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
次いで、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施す。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
〔特定官能基を有する化合物の合成例〕
<化合物(i−1)の合成>
500mlの三口フラスコに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート58.6gを入れ、アセトン250mlを加え、撹拌した。ピリジン39.2g、p−メトキシフェノール0.1gを添加した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、2−ブロモイソブタン酸ブロミド114.9gを滴下ロートにて3時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに3時間撹拌した。反応混合液を水750mlに投入し、1時間撹拌した。水混合液を分液ロートを用いて、酢酸エチル500mlで3回抽出した。有機層を1M塩酸500ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、残査120.3gを得た。得られた残査は、1H−NMR、IR、質量分析スペクトルから化合物(i−1)であることが確認された。また、HPLCよりその純度は、95%であった。
1000ml三口フラスコに、ジエチレングリコールメタクリレート174.2g、炭酸カリウム138.0g、p−メトキシフェノール0.1g、アセトン400mlを入れ、氷水を入れた氷浴にて冷却した。液温が5℃以下になった後、2−ブロモイソブタン酸ブロミド229.9gを滴下ロートにて1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、更に3時間撹拌した。反応混合液を水800mlに投入し、1時間撹拌した。水混合液を分液ロートを用いて、酢酸エチル500mlで3回抽出した。有機層を1M塩酸500ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、残査300.1gを得た。得られた残査は、1H−NMR、IR、質量分析スペクトルから化合物(i−6)であることが確認された。
(1) 樹脂(I)〔特定重合性バインダー〕の合成
1000 ml三口フラスコに1−メチル−2−ピロリドン86gを入れ、窒素気流下、90℃まで加熱した。化合物(i−1)50g、ライトエステルHO−MS(共栄社化学社製)35g、メタクリル酸ベンジル31g、V−601(和光純薬製)3.2gの1−メチル−2−ピロリドン86g溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に2時間撹拌した。室温まで、反応溶液を冷却した後、水7Lに投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取、水で洗浄、乾燥し高分子化合物を110g得た。得られた高分子化合物をポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、14000であった。また滴定により酸価を求めたところ、1.25meq/g(計算値1.31meq/g)であり、正常に重合が行われたことが確認された。1000ml三口フラスコに得られた高分子化合物110g、p−メトキシフェノール0.1gを入れ、1−メチル−2−ピロリドン170g氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、1、8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)90gを滴下ロート用いて、1時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに8時間撹拌した。反応液を濃塩酸を加えてpH7とした後、水7Lに投入し、本発明に係る特定重合性バインダーである高分子化合物:樹脂(I)を析出させた。析出した高分子化合物を濾取、水で洗浄、乾燥し高分子化合物を95g得た。得られた高分子化合物の1H−NMRを測定したところ、化合物(i−1)由来の側鎖基の100%がエチレンメタクリレート基に変換されたことが確認された。また、ポリスチレン標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、12500であった。さらに、滴定により酸価を求めたところ、1.44meq/g(計算値1.50meq/g)であった。
(2) 樹脂(II)〔比較バインダー〕の合成
1000ml三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル120gを入れ、窒素気流下、90℃まで加熱した。これに、メタクリル酸ベンジル74g、メタクリル酸84g、及びV−601(和光純薬社製)9.7gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液120gを、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に2時間撹拌した。その後、室温まで反応溶液を冷却した後、水8L(リットル;以下同様)に投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取し、水で洗浄、乾燥し、高分子化合物150gを得た。
得られた高分子化合物を、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、12000であった。また、滴定によりこの高分子化合物の酸価を求めたところ、202mgKOH/g(計算値204mgKOH/g)であり、正常に重合が行なわれたことが確認された。
得られた高分子化合物(分散樹脂(II))について、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、17800であった。さらに、滴定によりこの高分子化合物の酸価を求めたところ、120mgKOH/gであった。
〔A1.硬化性組成物の調製〕
ここでは、液晶表示素子用途のカラーフィルタ形成用として顔料を含有する硬化性組成物を調整した例を挙げて説明する。
顔料分散液の調製
顔料としてC.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー219との30/70(質量比)混合物40質量部(一次粒経32nm)、分散剤としてBYK2001(Disperbyk:ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)50質量部(固形分換算約22.6質量部)、本発明に係る特定重合性バインダー〔樹脂(I)〕5質量部、及び溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル110質量部からなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、顔料分散液(P1)を調製した。
顔料分散液(P1)について、顔料の平均粒径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA-EX150(日機装社製)を用いて、P1を更に希釈することなく測定した)により測定したところ、61nmであった。
・(C)着色剤(前記顔料分散液(P1)) 600質量部
・(B)光重合開始剤(2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−
4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール) 30質量部
・(A)ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50質量部
・アルカリ可溶性樹脂(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/
ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、mol比:80/10/10、
Mw:10000:他のバインダーポリマー) 5質量部
・溶媒:PGMEA 900質量部
・基板密着剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン) 1質量部
・増感剤(下記化合物α) 15質量部
・共増感剤(2−メルカプトベンゾイミダゾール) 15質量部
(A2−1.硬化性組成物層の形成)
上記顔料を含有する硬化性組成物をレジスト溶液として、550mm×650mmのガラス基板に下記条件でスリット塗布した後、10分間そのままの状態で待機させ、真空乾燥とプレベーク(prebake)(100℃80秒)を施して硬化性組成物塗膜(硬化性組成物層)を形成した。
・塗布ヘッド先端の開口部の間隙: 50μm
・塗布速度: 100mm/秒
・基板と塗布ヘッドとのクリヤランス: 150μm
・乾燥膜厚 1.75μm
・塗布温度: 23℃
その後、2.5kWの超高圧水銀灯を用いて光硬化性塗布膜を、線幅20μmのテスト用フォトマスクを用いてパターン状に露光し、露光後、塗布膜の全面を有機系現像液(商品名:CD、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の10%水溶液で被い、60秒間静止した。
静止後、純水をシャワー状に噴射して現像液を洗い流し、かかる光硬化処理及び現像処理を施した塗布膜を220℃のオーブンにて1時間加熱した(ポストベーク)。これにより、ガラス基板上に硬化性組成物塗布膜(着色層)を形成してなるカラーフィルタを得た。
上記で調製された硬化性組成物からなる塗布液の保存安定性、及び硬化性組成物組成物を用いてガラス基板上に形成された硬化性組成物塗布膜(着色層)の露光感度、基板密着性、現像性、さらに、パターン断面形状を下記のようにして評価した。結果を表1に示す。
(A3−1.硬化性組成物の経時安定性)
前記にて調製された硬化性組成物(塗布液)を室温で1ケ月保存した後、液の粘度を測定し下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:粘度上昇は認められなかった。
△:5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:10%以上の粘度上昇が認められた。
硬化性組成物塗布膜を、露光量を10〜100mJ/cm2の種々の露光量に変更して露光し、ポストベイク後のパターン線幅が20μmとなる露光量を露光感度として評価した。露光感度の値が小さいほど感度が高いことを示す。
(A3−3.現像性、パターン断面形状、基板密着性)
ポストベーク後の基板表面及び断面形状を、光学顕微鏡及びSEM写真観察により確認することにより、現像性、パターン断面形状、基板密着性を評価した。評価方法・評価基準の詳細は以下の通りである。
露光工程において、光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無を観察し、現像性を評価した。
−評価基準−
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった。
△:未露光部に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった。
×:未露光部に、残渣が著しく確認された。
<パターン断面形状>
形成されたパターンの断面形状を観察した。パターン断面形状は順テーパーが最も好ましく、矩形が次に好ましい。逆テーパーは好ましくない。
基板密着性の評価は、パターン欠損が発生しているか否かを観察することにより行った。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:パターン欠損がまったく観察されなかった。
△:パターン欠損がほとんど観察されなかったが、一部分欠損が観察された。
×:パターン欠損が著しく観察された。
実施例1で調製した硬化性組成物において、樹脂(I)に代えて、下記表1に記載の特定重合性バインダーを用いたこと以外は、すべて実施例1と同様してカラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で調製した硬化性組成物において、樹脂(I)を用いなかったこと以外は、すべて実施例1と同様してカラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で調製した硬化性組成物において、樹脂(I)に代えて、合成例2で得られた比較バインダーポリマーである樹脂(II)を用いたこと以外は、すべて実施例1と同様してカラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
以下、固体撮像素子用途のカラーフィルタ形成用として着色剤(顔料)を含有する硬化性組成物を調製した例を挙げて説明する。
〔B1.レジスト液の調製〕
下記組成の成分を混合して溶解し、レジスト液を調製した。
<レジスト液の組成>
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 19.20質量部
(PGMEA:溶剤)
・乳酸エチル 36.67質量部
・(E)樹脂(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60/22/18)の40%PGMEA溶液)30.51質量部
・(C)エチレン性不飽和二重結合含有化合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート) 12.20質量部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.0061質量部
・フッ素系界面活性剤(F−475、大日本インキ化学工業(株)製) 0.83質量部
・(B)光重合開始剤(トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤)0.586質量部
(TAZ−107、みどり化学社製)
6inchシリコンウエハーをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハー上に前記レジスト液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハー基板を得た。
顔料としてC.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー219との30/70(質量比)混合物40質量部(一次粒経32nm)、分散剤としてBYK2001(Disperbyk:ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)50質量部(固形分換算約22.6質量部)、本発明に係る特定重合性バインダーである樹脂(I)5質量部及び溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル110質量部からなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、顔料分散液(P1)を調製した。
顔料分散液(P1)について、顔料の平均粒径を動的光散乱法により測定したところ、200nmであった。
前記分散処理した顔料分散液P1を用いて下記組成比となるよう撹拌混合して硬化性組成物溶液を調製した。
(硬化性組成物溶液)
・(C)着色剤(顔料分散液(P1)) 600質量部
・(B)光重合開始剤(オキシム系光重合開始剤)
(CGI−124、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 30質量部
・(A)TO−1382(東亞合成(株)製) 25質量部
・(A)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30質量部
・溶媒(PGMEA) 900質量部
・基板密着剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン) 1質量部
<パターンの形成と感度の評価>
上記のように調製した硬化性組成物を、前記B2.で得られた下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に塗布し、着色層(塗布膜)を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が0.7μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが2μm四方のIslandパターンマスクを通して50〜1200mJ/cm2の種々の露光量で露光した。
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハー基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハー基板に着色パターンを形成した。
その後、測長SEM「S−9260A」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて、着色パターンのサイズを測定した。パターン線幅が2μmとなる露光量を露光感度として評価した。露光感度の値が小さいほど感度が高いことを示す。測定結果を下記表2に示す。
また、この着色パターンの形成に際し、現像性、パターン形成性、基板密着性、硬化性組成物の経時安定性について、実施例1と同様にして評価した。また、さらに、形成された着色パターンの色ムラについて、以下の基準による評価を行った。これらの結果を下記表2に示す。
前記B4.にて調製された硬化性組成物(塗布液)を室温で1ケ月保存した後、液の粘度を測定し下記判定基準に従って評価した。
−評価基準−
○:粘度上昇は認められなかった。
△:5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:10%以上の粘度上昇が認められた。
<色ムラ>
色ムラの評価は、パターン形成後に輝度分布を測定し、平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数に占める割合をもとに行った。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の99%以上
△:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の95%以上99%未満
×:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の95%未満
実施例8で調製した硬化性組成物において、樹脂(I)に代えて、下記表2に記載の特定重合性バインダーを用いたこと以外は、すべて実施例1と同様してカラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例8で調製した硬化性組成物において、特定重合性バインダーを用いなかった以外は、すべて実施例7と同様してカラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例4]
実施例8で調製した硬化性組成物において、樹脂(I)に代えて、合成例2で得られた比較バインダーポリマーである樹脂(II)を用いたこと以外は、すべて実施例7と同様してカラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
これらの結果より、実施例の硬化性組成物は、固体撮像素子用途のカラーフィルタを作製する場合においても、液晶表示素子用途のカラーフィルタを作製する場合と同様に、優れたパターン形成性が実現されることがわかった。
以下、固体撮像素子用途のカラーフィルタ形成用として(染料)を含有する硬化性組成物を調製した例を挙げて説明する。
〔C1.レジスト液の調製および下塗り層付シリコン基板の作製〕
実施例11における〔B1.レジスト液の調製〕及び〔B2.下塗り層付シリコン基板の作製〕と同様の方法で、下塗り層付きシリコン基板を作製した。
下記組成の化合物を混合して溶解し、着色感光性樹脂組成物を調製した。
・シクロヘキサノン(溶剤) 80質量部
・(C)Valifast Yellow 1101(染料) 6.0質量部
・(C)Acid Red 57(染料) 6.0質量部
・(A)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 2.5質量部
・(B)オキシム系光重合開始剤 2.0質量部
(CGI−124、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・(D)本発明に係る特定重合性バインダー:樹脂(I) 1.5質量部
上記〔B5.着色感光性樹脂組成物によるカラーフィルタの作製及び評価〕と同様の方法でカラーフィルタの作成および評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例15で調製した硬化性組成物において、樹脂(I)に代えて、下記表2に記載の特定重合性バインダーを用いたこと以外は、すべて実施例8と同様してカラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例5]
実施例15で調製した硬化性組成物において、樹脂(I)に代えて、比較バインダーであるペンタエリスリトールトリアクリレートを用いた以外は、すべて実施例15と同様してカラーフィルタを作製し、実施例8と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例6]
実施例15で調製した硬化性組成物において、樹脂(I)に代えて、合成例2で得られた比較バインダーポリマーである樹脂(II)を用いたこと以外は、すべて実施例15と同様してカラーフィルタを作製し、実施例8と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
これらの結果より、実施例15〜18の硬化性組成物は、固体撮像素子用途のカラーフィルタを作製する場合においても、液晶表示素子用途のカラーフィルタを作製する場合と同様に、優れたパターン形成性が実現されることがわかった。
Claims (15)
- (A)重合性化合物、(B)光重合開始剤、(C)着色剤、及び(D)酸基と不飽和二重結合とを有するバインダー樹脂を含有し、
(C)着色剤の含有量が30〜85質量%であり、
(D)酸基と不飽和二重結合とを有するバインダー樹脂において、該酸基が、以下に示す酸基を有する構造単位群から選択される1以上の構造単位として含まれ、且つ、該不飽和二重結合を側鎖に有する、
ことを特徴とするカラーフィルタ用硬化性組成物。
- 前記(B)光重合開始剤が、トリアジン系化合物およびオキシム系化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
- 前記(D)酸基と不飽和二重結合とを有するバインダー樹脂が、前記酸基を有する構造単位群から選択される1以上の酸基を有する構造単位と、不飽和二重結合を有する構造単位を含む共重合体であって、二重結合を有する構造単位が、下記一般式(1)、一般式(2)、又は、一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
前記一般式(1)乃至一般式(3)中、A1、A2、A3はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、−N(R21)−を表し、R21は置換基を有しても良いアルキル基を表す。G1、G2、G3は、それぞれ独立に2価の有機基を表す。X、Zは、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、−N(R22)−を表し、R22は置換基を有しても良いアルキル基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有しても良いフェニレン基、−N(R23)−を表し、R23は置換基を有しても良いアルキル基を表す。R1〜R20は、それぞれ独立に1価の有機基を表す。 - 前記一般式(1)乃至一般式(3)中、A 1 、A 2 、及びA 3 は、それぞれ独立に酸素原子、又は−N(R 21 )−を表し、R 21 はアルキル基を表す。G 1 、G 2 、G 3 は、それぞれ独立にアルキレン基、オキシアルキレン基及びこれらを2以上組み合わせてなる2価の有機基を表す。X、Z、及びYは、それぞれ独立に酸素原子を表すことを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
- 前記一般式(1)乃至一般式(3)中、A 1 、A 2 、及びA 3 は、それぞれ独立に酸素原子を表すことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
- (A)重合性化合物、(B)光重合開始剤、(C)着色剤、及び(D)酸基と不飽和二重結合とを有するバインダー樹脂を含有し、
(C)着色剤の含有量が30〜85質量%であり、
該(D)酸基と不飽和二重結合とを有するバインダー樹脂が、以下に示す酸基を有する構造単位群から選択される1以上の酸基を有する構造単位と、不飽和二重結合を有する構造単位を含む共重合体であって、二重結合を有する構造単位が、下記一般式(1)、一般式(2)、又は、一般式(3)で表されることを特徴とするカラーフィルタ用硬化性組成物。
前記一般式(1)乃至一般式(3)中、A1、A2、A3はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、−N(R21)−を表し、R21は置換基を有しても良いアルキル基を表す。G1、G2、G3は、それぞれ独立に2価の有機基を表す。X、Zは、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、−N(R22)−を表し、R22は置換基を有しても良いアルキル基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有しても良いフェニレン基、−N(R23)−を表し、R23は置換基を有しても良いアルキル基を表す。R1〜R20は、それぞれ独立に1価の有機基を表す。 - 前記一般式(1)乃至一般式(3)中、A 1 、A 2 、及びA 3 は、それぞれ独立に酸素原子、又は−N(R 21 )−を表し、R 21 はアルキル基を表す。G 1 、G 2 、G 3 は、それぞれ独立にアルキレン基、オキシアルキレン基及びこれらを2以上組み合わせてなる2価の有機基を表す。X、Z、及びYは、それぞれ独立に酸素原子を表すことを特徴とする請求項6に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
- 前記一般式(1)乃至一般式(3)中、A 1 、A 2 、及びA 3 は、それぞれ独立に酸素原子を表すことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
- 前記(D)酸基と不飽和二重結合とを有するバインダー樹脂が、下記(a)又は(b)に記載の合成方法により得られることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
(a)下記一般式(4−1)で表される化合物を共重合成分として含む重合体に、塩基を用いて、プロトンを引き抜いてLを脱離させ、前記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物を得る方法。ここで、下記一般式(4−1)中、Lは、アニオン性脱離基を表す。
(b)下記一般式(4−2)で表される化合物を共重合成分として含む重合体に対し、塩基処理によって特定官能基に脱離反応を生起させ、式中のX1およびZ1を除去し、ラジカル反応性基を形成して、前記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物を得る方法。
前記一般式(4−1)中、Lは、アニオン性脱離基を表す。R3〜R6、A1及びG1、Xは一般式(1)におけるのと同義である。
一般式(4−2)中、R1、R2、R3は、水素または1価の有機基を表し、A2は、酸素原子、硫黄原子または−NR8−を表し、G1は有機連結基を表し、R8は水素または一価の有機基を表し、nは、1〜10の整数を表す。R4〜R6、A1及びG1は一般式(1)におけるのと同義である。X1は脱離反応により除去される脱離基を表す。 - さらに、増感剤を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
- 色材濃度が40質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
- さらに、シラン系カップリング剤を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物。
- 請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物により作製された着色パターンを有するカラーフィルタ。
- イメージセンサーに用いる請求項13記載のカラーフィルタ。
- 支持体上に、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用硬化性組成物を塗布して該硬化性組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、該着色層をマスクを介して露光する露光工程と、露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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