次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。本実施形態の第1の態様の酸化触媒は、化学式YMnO3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して5〜20質量%の範囲の酸化ジルコニウムとの混合物からなる。
次に、本実施形態の第2の態様の酸化触媒は、一般式Y1−xAgxMnO3で表され、0.01≦x≦0.30である複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して5〜20質量%の範囲の酸化ジルコニウムとの混合物からなる。前記一般式Y1−xAgxMnO3で表される前記複合金属酸化物は、前記化学式YMnO3で表される前記複合金属酸化物において、第1の金属であるYの一部を第3の金属であるAgで置換したものである。前記置換で+3価のYの一部が+1価のAgに置換することにより、結晶格子における電気的中性を保つために、第2の金属であるMnの一部が+3価から酸化活性の高い+4価に変化する。さらに、結晶格子内に酸素欠陥が生じ、結晶格子表面の酸素と大気中の酸素との置換反応が活発化し、結晶格子表面の酸素が解離しやすくなる。以上のことから、Y1−xAgxMnO3は、YMnO3よりも触媒活性を高くすることができる。
このとき、前記複合金属酸化物の一般式Y1−xAgxMnO3において、xが0.01未満では、触媒活性を高める効果が不十分であり、xが0.30を超えると、酸化触媒の耐熱性が低下し十分な性能を得ることができない。
次に、本実施形態の第3の態様の酸化触媒は、一般式Y1−xAgxMn1−yAyO3で表され、AはTi、Ce、Ruからなる群から選択される1種の金属であって、0.01≦x≦0.30かつ0.005≦x≦0.30である複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して5〜20質量%の範囲の酸化ジルコニウムとの混合物からなる。前記一般式Y1−xAgxMn1−yAyO3で表される前記複合金属酸化物は、前記一般式Y1−xAgxMnO3で表される前記複合金属酸化物において、第2の金属であるMnの一部を第4の金属であるA(Ti、Ce、Ruのいずれか1種)で置換したものである。前記置換で+3価のMnの一部が+4価のTi、+4価のCe、+4価のRuのいずれかに置換することにより、結晶格子に歪みが生じ、結晶格子内の酸素の結合エネルギーが低下する。以上のことから、Y1−xAgxMn1−yAyO3は、Y1−xAgxMnO3よりも触媒活性を高くすることができる。
このとき、前記複合金属酸化物の一般式Y1−xAgxMn1−yAyO3において、前記x及び前記yは、前記複合金属酸化物において各構成原子の正負の電荷を釣り合わせるように設定される。このとき、xの数値限定の理由は、前記Y1−xAgxMnO3の場合と同一である。また、yが0.005未満では、結晶格子に歪みを生じさせる効果が不十分であるので、触媒活性を高める効果が不十分となり、yが0.30を超えると、酸化触媒の耐熱性が低下し十分な性能を得ることができない。
第1〜第3の態様の酸化触媒によれば、前記酸化ジルコニウムを含有することにより、酸化ジルコニウムを含有せず前記複合金属酸化物のみからなる酸化触媒と比較して、内燃機関の排ガス中に含まれるパティキュレートや高沸点の炭化水素等の含有物をより低温で酸化し燃焼除去することができる。
また、第1〜第3の態様の酸化触媒は、前記複合金属酸化物に対して5〜20質量%の範囲の酸化ジルコニウムを含むことが好ましい。前記酸化ジルコニウムの含有量が5質量%未満の場合には、内燃機関の排ガス中の含有物を酸化する温度を十分に下げることができないことがあり、該酸化ジルコニウムの含有量が20質量%を超えても、それ以上の効果を得ることができないことがある。
次に本発明の実施例と比較例とを示す。
本実施例では、まず、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸マンガン6水和物と、クエン酸と、水とを、1:1:3:40のモル比で混合した混合物を、50℃の温度で15分間乳鉢で混合粉砕した後、400℃の温度に1時間保持して一次焼成を行った。次に、酸化ジルコニウム粉末を水に分散してなる水分散ジルコニアゾルを、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末の含有量が5質量%となるように混合し、15分間乳鉢で混合粉砕した後、800℃の温度に3時間保持して二次焼成を行った。以上により、化学式YMnO3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して5質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
前記バインダーとして用いた前記水分散ジルコニアゾルは、前記二次焼成において、複合金属酸化物YMnO3中のイットリウムの一部が酸化ジルコニウム中に固溶し、単斜晶の酸化ジルコニウムから、高い酸素イオン伝導性を有する立方晶イットリウム安定化ジルコニアとなり、この結果、酸化活性を発現すると考えられる。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末の活性評価として示差熱分析(DTA)を行った。前記示唆熱分析は、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として、該排ガス浄化用触媒50mgに、カーボンブラック2.5mgを混合し、100ml/分の空気流雰囲気下、10℃/分の昇温温度で加熱し、温度に対するヒートフロー(Heat Flow)を測定した。そして、測定された発熱ピークからカーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。なお、前記酸化ジルコニウムは、複合金属酸化物YMnO3中のイットリウムの一部が酸化ジルコニウム中に固溶し生成された立方晶イットリウム安定化ジルコニアである。
本実施例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末の含有量を10質量%とした以外は、実施例1と全く同一にして、化学式YMnO3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して10質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末の含有量を20質量%とした以外は、実施例1と全く同一にして、化学式YMnO3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
〔比較例1〕
本比較例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末を全く添加せずに、該結果物を15分間乳鉢で混合粉砕した後、800℃の温度に3時間保持して二次焼成を行った以外は、実施例1と全く同一にして、化学式YMnO3で表される複合金属酸化物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本比較例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本比較例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークを備えるものの、酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークを備えていないことが明らかである。
本実施例では、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、クエン酸と、水とを、0.95:0.05:1:3:40のモル比で混合した以外は、実施例1と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05MnO3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して5質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末の含有量を10質量%とした以外は、実施例4と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05MnO3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して10質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末の含有量を20質量%とした以外は、実施例4と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05MnO3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
〔比較例2〕
本比較例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末を全く添加せずに、該結果物を15分間乳鉢で混合粉砕した後、800℃の温度に3時間保持して二次焼成を行った以外は、実施例4と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05MnO3で表される複合金属酸化物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本比較例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本比較例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークを備えるものの、酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークを備えていないことが明らかである。
本実施例では、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、アナターゼ型酸化チタンと、クエン酸と、水とを、0.95:0.05:0.95:0.05:3:40のモル比で混合した以外は、実施例1と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ti0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して5質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末の含有量を10質量%とした以外は、実施例7と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ti0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して10質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末の含有量を20質量%とした以外は、実施例7と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ti0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1及び図2に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
〔比較例3〕
本比較例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末を全く添加せずに、該結果物を15分間乳鉢で混合粉砕した後、800℃の温度に3時間保持して二次焼成を行った以外は、実施例7と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ti0.05O3で表される複合金属酸化物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本比較例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本比較例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークを備えるものの、酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークを備えていないことが明らかである。
本実施例では、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、硝酸セリウム6水和物と、クエン酸と、水とを、0.95:0.05:0.95:0.05:3:40のモル比で混合した以外は、実施例1と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ce0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して5質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末の含有量を10質量%とした以外は、実施例10と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ce0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して10質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末の含有量を20質量%とした以外は、実施例10と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ce0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
〔比較例4〕
本比較例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末を全く添加せずに、該結果物を15分間乳鉢で混合粉砕した後、800℃の温度に3時間保持して二次焼成を行った以外は、実施例10と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ce0.05O3で表される複合金属酸化物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本比較例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本比較例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークを備えるものの、酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークを備えていないことが明らかである。
本実施例では、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、硝酸ルテニウム水溶液と、クエン酸と、水とを、0.95:0.05:0.95:0.05:3:40のモル比で混合した以外は、実施例1と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ru0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して5質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末の含有量を10質量%とした以外は、実施例13と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ru0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して10質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末の含有量を20質量%とした以外は、実施例13と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ru0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
〔比較例5〕
本比較例では、前記一次焼成で得られた結果物に対して酸化ジルコニウム粉末を全く添加せずに、該結果物を15分間乳鉢で混合粉砕した後、800℃の温度に3時間保持して二次焼成を行った以外は、実施例13と全く同一にして、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ru0.05O3で表される複合金属酸化物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本比較例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図1に示す。
次に、本比較例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークを備えるものの、酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークを備えていないことが明らかである。
図1から、化学式YMnO3で表される複合金属酸化物と酸化ジルコニウムとの混合物からなる実施例1〜3の排ガス浄化用触媒によれば、酸化ジルコニウムを含有せず前記複合金属酸化物のみからなる比較例1の排ガス浄化用触媒と比較して、前記カーボンブラックをより低温で酸化(燃焼)することができることが明らかである。
また、図1から、化学式Y0.95Ag0.05MnO3で表される複合金属酸化物と酸化ジルコニウムとの混合物からなる実施例4〜6の排ガス浄化用触媒によれば、酸化ジルコニウムを含有せず前記複合金属酸化物のみからなる比較例2の排ガス浄化用触媒と比較して、前記カーボンブラックをより低温で酸化(燃焼)することができることが明らかである。
また、図1から、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ti0.05O3で表される複合金属酸化物と酸化ジルコニウムとの混合物からなる実施例7〜9の排ガス浄化用触媒によれば、酸化ジルコニウムを含有せず前記複合金属酸化物のみからなる比較例3の排ガス浄化用触媒と比較して、前記カーボンブラックをより低温で酸化(燃焼)することができることが明らかである。
また、図1から、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ce0.05O3で表される複合金属酸化物と酸化ジルコニウムとの混合物からなる実施例10〜12の排ガス浄化用触媒によれば、酸化ジルコニウムを含有せず前記複合金属酸化物のみからなる比較例4の排ガス浄化用触媒と比較して、前記カーボンブラックをより低温で酸化(燃焼)することができることが明らかである。
また、図1から、化学式Y0.95Ag0.05Mn0.95Ru0.05O3で表される複合金属酸化物と酸化ジルコニウムとの混合物からなる実施例13〜15の排ガス浄化用触媒によれば、酸化ジルコニウムを含有せず前記複合金属酸化物のみからなる比較例5の排ガス浄化用触媒と比較して、前記カーボンブラックをより低温で酸化(燃焼)することができることが明らかである。
本実施例では、まず、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、アナターゼ型酸化チタンと、クエン酸と、水とを、0.9:0.1:0.95:0.05:3:40のモル比で混合した以外は、実施例9と全く同一にして、化学式Y0.9Ag0.1Mn0.95Ti0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図2に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、アナターゼ型酸化チタンと、クエン酸と、水とを、0.85:0.15:0.95:0.05:3:40のモル比で混合した以外は、実施例9と全く同一にして、化学式Y0.85Ag0.15Mn0.95Ti0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図2に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、アナターゼ型酸化チタンと、クエン酸と、水とを、0.8:0.2:0.95:0.05:3:40のモル比で混合した以外は、実施例9と全く同一にして、化学式Y0.8Ag0.2Mn0.95Ti0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図2に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、アナターゼ型酸化チタンと、クエン酸と、水とを、0.7:0.3:0.95:0.05:3:40のモル比で混合した以外は、実施例9と全く同一にして、化学式Y0.7Ag0.3Mn0.95Ti0.05O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図2及び図3に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
図2から、化学式Y1−xAgxMn0.95Ti0.05O3(x=0.05〜0.3)で表される複合金属酸化物と酸化ジルコニウムとの混合物からなる実施例9及び実施例16〜19の排ガス浄化用触媒によれば、xが大きくなるほど、前記カーボンブラックをより低温で酸化(燃焼)することができることが明らかである。また、実施例9及び実施例16〜19の排ガス浄化用触媒のうち、化学式Y0.7Ag0.3Mn0.95Ti0.05O3で表される複合金属酸化物と酸化ジルコニウムとの混合物からなる実施例19の排ガス浄化用触媒が、前記カーボンブラックを最も低温で酸化(燃焼)することができることが明らかである。
本実施例では、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、アナターゼ型酸化チタンと、クエン酸と、水とを、0.7:0.3:0.9:0.1:3:40のモル比で混合した以外は、実施例19と全く同一にして、化学式Y0.7Ag0.3Mn0.9Ti0.1O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図3に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、アナターゼ型酸化チタンと、クエン酸と、水とを、0.7:0.3:0.85:0.15:3:40のモル比で混合した以外は、実施例19と全く同一にして、化学式Y0.7Ag0.3Mn0.85Ti0.15O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図3に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、アナターゼ型酸化チタンと、クエン酸と、水とを、0.7:0.3:0.8:0.2:3:40のモル比で混合した以外は、実施例19と全く同一にして、化学式Y0.7Ag0.3Mn0.8Ti0.2O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図3に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
本実施例では、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸銀と、硝酸マンガン6水和物と、アナターゼ型酸化チタンと、クエン酸と、水とを、0.7:0.3:0.7:0.3:3:40のモル比で混合した以外は、実施例19と全く同一にして、化学式Y0.7Ag0.3Mn0.7Ti0.3O3で表される複合金属酸化物と、該複合金属酸化物に対して20質量%の酸化ジルコニウムとを含有する混合物からなる酸化触媒粉末を得た。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末を排ガス浄化用触媒として用いた以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンブラックの燃焼温度を求めた。結果を図3に示す。
次に、本実施例で得られた酸化触媒粉末についてX線回折により成分評価を行った。X線回折の結果によれば、複合金属酸化物YMnO3に起因する結晶ピークと、2θ=31°前後にメインピークを有する酸化ジルコニウムに起因する結晶ピークとを備えることが明らかである。
図3から、化学式Y0.7Ag0.3Mn1−yTiyO3(y=0.05〜0.3)で表される複合金属酸化物と酸化ジルコニウムとの混合物からなる実施例19〜23の排ガス浄化用触媒のうち、化学式Y0.7Ag0.3Mn0.9Ti0.1O3で表される複合金属酸化物と酸化ジルコニウムとの混合物からなる実施例20の排ガス浄化用触媒が、前記カーボンブラックを最も低温で酸化(燃焼)することができることが明らかである。