JP2017189761A - 排ガス浄化用触媒の製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒の製造方法 Download PDF

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直人 永田
Naoto Nagata
直人 永田
公靖 小野
Kimiyasu Ono
公靖 小野
拓也 菅沼
Takuya Suganuma
拓也 菅沼
友唯 鎌田
Yui Kamata
友唯 鎌田
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Abstract

【課題】比表面積の大きな、特性を向上させた排ガス浄化用触媒の製造方法を提供する。【解決手段】Mnイオン、Ceイオン、及びZrイオンを含む水溶液をアルカリ性水溶液に滴下し、沈殿を生成させた後、得られた沈殿を乾燥し、次いで焼成を行うことを含む、排ガス浄化用触媒の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、排ガス浄化用触媒に関し、詳細にはNO吸蔵還元触媒に関する。
近年、地球環境保護の観点から、排ガス規制が世界的に年々強化されている。この対応策として、内燃機関においては、排ガス浄化用触媒が用いられる。この排ガス浄化用触媒において、排ガス中のハイドロカーボン(以下、HCと略記することもある。)、CO及び窒素酸化物(以下、NOと略記することもある。)を効率的に除去するために、触媒成分としてPt、Pd、Rh等の貴金属などが使用されている。
この排ガス浄化用触媒を用いた自動車、例えばガソリンエンジン車あるいはディーゼルエンジン車では触媒活性とともに燃費の向上を図るために種々のシステムが用いられている。例えば、燃費を上げるために定常運転中では空燃比(A/F)がリーン(酸素過剰)の条件で燃焼させ、触媒活性を向上させるために一時的にストイキ(理論空燃比、A/F=14.7)〜リッチ(燃料過剰)の条件で燃焼させている。
これは、従来公知のPt、Pd、Rh等の貴金属などの触媒は酸化条件でのNO浄化性能が低く、浄化性能を高めるためにHCまたはCO等を加えることによる還元雰囲気を必要とするためである。この触媒活性への影響から、定常運転中でも空燃比(A/F)を大きくできず、前記貴金属などの触媒では燃費の向上に限界がある。
このように従来公知の貴金属などの触媒では、浄化用触媒を一時的に還元雰囲気にするための燃料と、エンジンでの空燃比(A/F)を低くすることとが必要であった。そして、自動車用エンジンをはじめ内燃機関の燃費を向上するために、例えば、酸素過剰雰囲気下でNO浄化性能を発揮することのできる新たな浄化用触媒が求められていた。
酸素過剰雰囲気下でのNOx浄化手段の1つとして、NOx吸蔵還元型(NSR)触媒が開発され、現在でも世界的規模で研究開発が進められている。このNSR触媒は、NOxを硝酸塩、亜硝酸塩として吸蔵するアルカリ成分と、吸蔵に好都合なNOを生成するNO酸化反応並びに吸蔵されたNOxの還元反応を担う貴金属を担持した触媒が普及しており、希少金属の使用量削減に向けた技術開発が推進されているが、貴金属を資源量が豊富な卑金属に代替した自動車用触媒を実現することが望まれている。また一方で、低燃費車への要求の高まりから、燃焼効率のさらなる向上とともに、排気ガス温度の低温化が進むことが予想され、低温での有害ガス成分の浄化をシステム一体となって進めることが課題となっている。
上記NSR触媒が機能する温度域は250℃以上であり、エンジン始動時に発生するNOxを浄化することは困難である。従って、エンジン始動時から触媒が機能する温度域までのNOx排出を抑制する手段として、NOx吸着材が検討されている。例えば、同温度域でNOxを吸着する材料として、Ce1−xZrが知られており、Ceカチオンの還元を伴った表面酸素の脱離がNOx酸化に関与し、Ceをカチオンとした(亜)硝酸塩としてNOxを保持する。これらの材料にPtをはじめとした貴金属を担持することにより、NOx吸蔵特性はさらに向上する。
一方、貴金属を使用しない各種卑金属を用いた触媒が検討されており、NO酸化活性の高いマンガン(Mn)による検討例がある。例えば、非特許文献1では、MnイオンとCeイオンを含む水溶液にアンモニア水を滴下する共沈法により沈殿を形成し、焼成することにより得られる、MnOとCeOからなる複合酸化物が、200℃以下の温度域で高いNOx吸蔵性能を有することが確認されている。
Masato Machida et al., Chemical Matter, 2000, 12, 3158−3164
NOx吸着材の性能はその表面積に依存することが知られているが、非引用文献1に記載された複合酸化物の非表面積は54〜80m−1であり、十分に大きくはなく、比表面積増大によりガス分子との接触面積を拡大することができれば、さらなる特性向上が期待できる。
本発明者らは、鋭意努力した結果、Mnイオン、Ceイオン、及びZrイオンを含む溶液を高濃度のアルカリ溶液に滴下する、いわゆる逆共沈法により、比表面積が大きな複合酸化物を製造できることを見出し、本発明に至ったものである。
本発明の態様は、以下のようである。
(1)Mnイオン、Ceイオン及びZrイオンを含む水溶液をアルカリ性水溶液に滴下し、沈殿を生成させた後、得られた沈殿を乾燥し、次いで焼成を行うことを含む、排ガス浄化用触媒の製造方法。
(2)上記(1)の排ガス浄化用触媒の製造方法において、前記Mnイオン、Ceイオン及びZrイオンを含む水溶液の滴下と同時に、さらにチタンアルコキシドを含む水溶液を滴下することを含む。
本発明の方法により、比表面積が高く、NOx吸着能に優れ、さらに耐硫黄被毒性が向上した排ガス浄化用触媒を提供することが可能となる。
本発明の方法により得られた複合酸化物のSTEM観察像及びその構造の模式図である。 実施例1〜6及び比較例1〜2において製造した各試料のXRD回折パターンである。 実施例1〜6及び比較例1において製造した各試料のCe(Zr)Oの格子パラメータとZr組成比又はMn組成比の関係を示すグラフである。 比較例1において製造した試料のDF−STEM観察像、EDSマッピング像及びEDSエリア分析結果(スペクトルと定量値)を示す図である。 実施例1において製造した試料のDF−STEM観察像、EDSマッピング像及びEDSエリア分析結果(スペクトルと定量値)を示す図である。 実施例2において製造した試料のDF−STEM観察像、EDSマッピング像及びEDSエリア分析結果(スペクトルと定量値)を示す図である。 実施例3において製造した試料のDF−STEM観察像、EDSマッピング像及びEDSエリア分析結果(スペクトルと定量値)を示す図である。 実施例4において製造した試料のDF−STEM観察像、EDSマッピング像及びEDSエリア分析結果(スペクトルと定量値)を示す図である。 実施例5において製造した試料のDF−STEM観察像、EDSマッピング像及びEDSエリア分析結果(スペクトルと定量値)を示す図である。 実施例6において製造した試料のDF−STEM観察像、EDSマッピング像及びEDSエリア分析結果(スペクトルと定量値)を示す図である。 比較例2において製造した試料のDF−STEM観察像、EDSマッピング像及びEDSエリア分析結果(スペクトルと定量値)を示す図である。 実施例及び比較例において製造した各試料のNOx吸着量定量値を示すグラフである。 実施例7及び8において製造した各試料のXRD回折パターンである。 各試料の硫黄被毒前と硫黄被毒後のNOx吸着量定量値を示すグラフである。 硫黄被毒量の定量値をTi含有比に対してプロットしたグラフである。
本発明に係る方法は、Mnイオン、Ceイオン及びZrイオンを含む水溶液をアルカリ性水溶液に滴下し、沈殿を生成させた後、得られた沈殿を乾燥し、次いで焼成を行うことを含む(第1の態様)。
このMnイオン、Ceイオン及びZrイオンを含む水溶液は、マンガン前駆体、セリウム前駆体及びジルコニウム前駆体を水に溶解することにより形成される。マンガン前駆体としては、酢酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マンガン、リン酸マンガン、炭酸マンガン、及びこれらの水和物が挙げられる。セリウム前駆体としては、水酸化セリウム、硝酸セリウム、塩化セリウム、酢酸セリウム、及びこれらの水和物が挙げられる。ジルコニウム前駆体としては、水酸化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、及びこれらの水和物が挙げられる。
この水溶液中のMnイオン、Ceイオン及びZrイオンの混合比は、最終生成物である複合酸化物中のMn、Ce、及びZrのモル比を与える比である。
このMnイオン、Ceイオン及びZrイオンを含む水溶液を滴下するアルカリ性溶液としては、pH8以上、好ましくは10以上のアンモニア水を用いることができる。こうして得られた沈殿を乾燥し、500〜1000℃にて焼成することにより、複合酸化物が得られる。
こうして得られた複合酸化物のSTEM観察像及びその構造の模式図を図1に示す。この図1から明らかなように、得られた複合酸化物は、一次粒子径が5nm以下であるCe1−xZr上にアモルファスMn酸化物が分散されたMn−Ce−Zr複合ナノ酸化物である。この複合酸化物では、MnとCeOの複合化により、両ドメインの界面構造が不安定になり、Mnn+、Ce+4が易還元化となり、これを基点としてNOが酸化的に吸蔵される。200℃以下の温度域で吸蔵能力が高いPt/Ce1−xZrよりも吸蔵量が多くなる。
さらに本発明においては、上記Mnイオン、Ceイオン及びZrイオンを含む水溶液の滴下と同時に、さらにチタンアルコキシドを含む水溶液を滴下することを含む態様を含む。すなわち、Mn塩、Ce塩、Zr塩の逆沈殿法による中和とTiアルコキシドの加水分解を同時に行い、焼成することにより、Tiを分散させたMn−Ce−Zr−Ti複合酸化物を得ることができる(第2の態様)。
第1の態様によって得られるMn−Ce−Zr複合酸化物では、塩強度の強いCe−Zr酸化物を用いているため、排ガス中の硫黄成分が表面に吸着し、NOx吸着性能が低下することがある。この塩強度の強いCe−Zr酸化物と排ガス中の硫黄成分から形成される硫化物は熱的に安定であるため硫黄被毒の問題が生ずるが、Tiを添加することにより、Tiが高分散状態となり、硫黄分解温度が低下し、耐硫黄被毒性が向上することになる。
チタンアルコキシドとしては、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド等の各種のアルコキシドを用いることができるが、チタンイソプロポキシドを用いることが好ましい。
チタンアルコキシドの添加量は、最終生成物である複合酸化物中のMn、Ce、Zr、及びTiのモル比を与える量である。
実施例1(Ce0.76Zr0.15Mn0.09
硝酸セリウム六水和物(Ce(NO・6HO)13.3g(30.6mmol)、硝酸ジルコニル二水和物(ZrO(NO・2HO)1.6g(6.00mmol)、及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO・6HO)1.0g(3.4mmol)を500mLのビーカーに入れ、蒸留水を400mL加えて溶解させ、金属塩溶液を調製した。2Lビーカーに蒸留水900mLと28%アンモニア水32mLを入れて撹拌した後、上記金属塩溶液を加え、pHが10であることを確認した。攪拌を一晩続けた後、遠心分離(3000rpm×5分)を行い、上澄みを捨てた。蒸留水200mLでさらに2回沈殿物を洗浄した後、120℃で一晩乾燥させた。得られた固体を乳鉢で粉砕した後、るつぼに移し、500℃で2時間焼成し、粉末を得た。この粉末を2t/cmで圧粉成型し、φ1.0〜1.7mmのペレット触媒を作製した。
実施例2(Ce0.68Zr0.15Mn0.17
硝酸セリウム六水和物(Ce(NO・6HO)11.8g(27.2mmol)、硝酸ジルコニル二水和物(ZrO(NO・2HO)1.6g(6.00mmol)、及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO・6HO)2.0g(6.8mmol)を用いることを除き、実施例1と同様にしてペレット触媒を作製した。
実施例3(Ce0.60Zr0.15Mn0.25
硝酸セリウム六水和物(Ce(NO・6HO)10.3g(23.8mmol)、硝酸ジルコニル二水和物(ZrO(NO・2HO)1.6g(6.00mmol)、及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO・6HO)2.9g(10.2mmol)を用いることを除き、実施例1と同様にしてペレット触媒を作製した。
実施例4(Ce0.51Zr0.15Mn0.34
硝酸セリウム六水和物(Ce(NO・6HO)8.9g(20.4mmol)、硝酸ジルコニル二水和物(ZrO(NO・2HO)1.6g(6.00mmol)、及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO・6HO)3.9g(13.6mmol)を用いることを除き、実施例1と同様にしてペレット触媒を作製した。
実施例5(Ce0.43Zr0.15Mn0.43
硝酸セリウム六水和物(Ce(NO・6HO)7.4g(17.0mmol)、硝酸ジルコニル二水和物(ZrO(NO・2HO)1.6g(6.00mmol)、及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO・6HO)4.9g(17.0mmol)を用いることを除き、実施例1と同様にしてペレット触媒を作製した。
実施例6(Ce0.34Zr0.15Mn0.51
硝酸セリウム六水和物(Ce(NO・6HO)5.9g(13.6mmol)、硝酸ジルコニル二水和物(ZrO(NO・2HO)1.6g(6.00mmol)、及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO・6HO)5.9g(20.4mmol)を用いることを除き、実施例1と同様にしてペレット触媒を作製した。
比較例1(Ce0.85Zr0.15
硝酸セリウム六水和物(Ce(NO・6HO)14.8g(34.0mmol)及び硝酸ジルコニル二水和物(ZrO(NO・2HO)1.6g(6.00mmol)を用いることを除き、実施例1と同様にしてペレット触媒を作製した。
比較例2(Zr0.15Mn0.85
硝酸ジルコニル二水和物(ZrO(NO・2HO)1.6g(6.00mmol)、及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO・6HO)9.8g(34.0mmol)を用いることを除き、実施例1と同様にしてペレット触媒を作製した。
比較例3(Pt/Ce0.85Zr0.15
比較試料として、CTL(CeO−ZrO−La複合酸化物、Ce/Zr/La=82/13/5(モル比)、SBET=132m/g)に1%担持した触媒を作製した。
以上の触媒についてICPにより化学分析を行い、算出した化学組成を以下の表1に示す。この化学分析では、触媒を王水で溶解させた後に、島津ICPV−8100を用いて各成分を定量した。いずれの触媒も仕込み値通りの組成であり、沈殿生成の際に特定成分の損失がないことを確認した。
評価試験
XRD
測定はリガク製RINT2000を用いて行った。X線源は、CuKα(λ=1.5418nm)、10〜90deg.をステップ幅0.02deg.、管電圧50kV、管電流300mAで測定した。回折ピーク位置は、JCPDSデータファイルの既知データと比較した。結晶子径はシェラー式を用いて求めた。
比表面積、細孔分布分析
測定は日本ベルBELSORP−max−12−N−VPを用いて、窒素吸着脱離法により77Kで行った。測定試料は250℃で3時間真空前処理を行った。比表面積はBET曲線の直線部から算出した。細孔分布は窒素吸着特性からBJH式により求めた。
STEM−EDSマッピング分析
JEOL製JEM−1000(加速電圧:200kV)で透過型走査顕微鏡(STEM)により触媒の観察を行った。触媒粉末をエタノールに分散させ、銅グリッドに滴下後乾燥させたものを測定した。
NO吸着特性評価
NO吸着特性は流通型反応器にペレット触媒0.5gを配置し、FT−IR分析計、磁気圧式分析計(それぞれベスト測器SESAM−HL、Bex)で180、140、100℃の各ガスの転化挙動を分析した。500℃で10分間H気流下で還元前処理を行った後に、評価温度まで触媒を窒素気流下で冷却し、以下の表2に示すリーンガスを1L/分で15分間導入し、触媒を配置しないブランク試験でのNOxプロファイルとの差から、NOx吸着量を算出した。
以下の表3に、窒素吸着から求めたバルクの構造特性を示した。Ce0.85Zr0.15やZr0.15Mn0.85のような二成分酸化物よりもCe−Zr−Mn三元酸化物の比表面積SBETは大きかった。特に、Ce0.43Zr0.15Mn0.43が最も大きな値(186.0m−1)を示した。同様に、細孔容積もCe0.85Zr0.15やZr0.15Mn0.85のような二成分酸化物よりもCe−Zr−Mn三元酸化物の値が大きかった。これらの結果は、Mn酸化物がCe−Zr酸化物の拡散障壁となり、焼成の際に酸化物の融合が抑制されたことに起因すると推測された。
XRDによる構造解析結果
各試料のXRD回折パターンを図2に示した。Zr0.15Mn0.85以外の試料からはCe(Zr)Oの立方晶蛍石構造に基づく回折ピークが検出された。今回作製したMn/(Ce+Mn)比=0〜60at%(図2の1〜7)の試料からは、Mn酸化物の回折は検出されなかった。
以下の表4及び図3に、各試料のCe(Zr)Oの格子パラメータとZr組成比又はMn組成比の関係を示す。Zr組成と格子パラメータはCeOとZrOを結ぶ直線上に乗り、ベガード則をほぼ満たしている(図3a)。一方、Mn4+、Mn3+のイオン半径はZr4+のイオン半径(0.79Å)よりも小さいため、MnによりCeを置換した場合、Zrによる置換よりも大きな格子パラメータの減少が予想される。しかしながら、Mn組成比の増加による格子パラメータの減少幅は極めて小さいことから(図3b)、MnはCeを置換することなくアモルファス状のMn酸化物を形成していると推定された。Mnの比率が増えるに従って結晶子径は小さくなる傾向にあり、Mn酸化物がCe(Zr)O結晶子の成長を抑制することが示唆され、窒素吸着分析結果とも一致する結果が得られた。
STEMによる構造解析結果
各試料(新品触媒)のDF−STEM観察像、EDSマッピング像及びEDSエリア分析結果(スペクトルと定量値)を図4〜11に示した。Ce0.85Zr0.15(図4)では、約5nmの一次粒子が凝集した構造体の形成が確認された。Ce、Zr、Oの存在位置が一致し、EDS定量値から算出されたZr/(Ce+Zr)モル分率18.5mol%が全体の化学組成15mol%と近い値を示していることと、XRD分析結果から、Ce−Zr固溶体が形成していることが確認できる。
Ce0.76Zr0.15Mn0.09、Ce0.68Zr0.15Mn0.17、Ce0.60Zr0.15Mn0.25、Ce0.51Zr0.15Mn0.34、Ce0.43Zr0.15Mn0.43、Ce0.34Zr0.15Mn0.51も同様に数nmの一次粒子からなる凝集体であり、Mn組成比が増すにつれて一次粒子径が小さくなる傾向であった(図5〜図10)。いずれの試料においても、Ce、Zr、Mn、Oの存在位置及びCe/Zr/Mn組成比は全体の化学組成(表1)と略一致し、XRD分析結果も考慮すると、Ce−Zr固溶体にアモルファスMn酸化物が均一に分散した構造体が形成していると考察された。Ce0.34Zr0.15Mn0.51では若干のMnの偏析が認められた。Zr0.15Mn0.85ではZrとMnの存在位置は一致しておらず、Zr酸化物とMn酸化物が分相した混合体が形成していることが確認された(図11)。
図12に、各試料のNOx吸着量定量値をそれぞれ示した。触媒重量あたりのNOx吸着量とMn組成比の関係(図12a)は、いずれの評価温度においてもMnとCeO−ZrO固溶体の複合化によりNOx吸着量が共に増加し、Mn/(Ce+Mn)=50mol%を頂点とする山型の傾向を示した。触媒表面積あたりのNOx吸着量は、Mn/(Ce+Mn)=40〜50mol%の試料への吸着量が特異的に高かった(図12b)。この比率の触媒中には、NOx吸着に有効なサイトが多く存在していることを示しており、これらのサイトはredox性の高いCe4+とMnn+と推定している。触媒重量あたりで最も吸着量の多い触媒(Mn比50mol%)は低温NOx吸着特性が高いことで知られるPt/CeO−ZrO触媒に比べて高い特性を示した。
各試料の各測定温度においてNOx吸着波形を測定した。NOxの吸蔵反応は、NOルート(1)とnitriteルート(2)と呼ばれる以下の2つの反応過程によって進行すると報告されている(Forzatti, P.; Castolde, L.; Nove, I.; Lietti, L; Tronconi, E. Catal. Today 2006, 117, 316−320)。
今回の評価において、未吸着のNOx種は大部分がNOであったが、180℃、140℃の評価では微量のNOの排出が確認された。排出NO量の多い触媒とNOx吸蔵量の多い触媒の序列が一致していることから、MnとCZの複合化による気相NO2生成反応(式1)に対する活性の向上がNOx吸蔵量の増加に寄与していることが示唆された。一方、100℃での評価では、いずれの触媒においてもNO生成は確認されていないことから、MnとCZによる複合化効果は式2の酸化反応にも寄与していると推定された。
実施例7(Ce0.43Zr0.10Ti0.05Mn0.43
硝酸セリウム六水和物(Ce(NO・6HO)14.6g(33.6mmol)、硝酸ジルコニル二水和物(ZrO(NO・2HO)2.7g(10.1mmol)、及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO・6HO)9.6g(33.4mmol)を500mLのビーカーに入れ、蒸留水を400mL加えて溶解させた(A液)。また、エタノールを5.2mL加えた50mLのビーカーにアセチルアセトン0.4gを加えた溶液に、チタンイソプロポキシド1.1gを加えた(B液)。その後、2Lのビーカーに蒸留水900mLと28%アンモニア水60mLを入れた撹拌した後、上記A液とB液を同時に加え、pHが10であることを確認した。撹拌を一晩続けた後、遠心分離(3000rpm×5分)を行い、上澄みを捨てた。蒸留水200mLでさらに2回沈殿物を洗浄した後、120℃で一晩乾燥させた。得られた固体を乳鉢で粉砕した後、るつぼに移し、500℃で2時間焼成し、粉末を得た。この粉末を2t/cmで圧粉成型し、φ1.0〜1.7mmのペレット触媒を作製した。
実施例8(Ce0.43Zr0.04Ti0.11Mn0.43
硝酸セリウム六水和物(Ce(NO3)3・6H2O)14.9g(34.3mmol)、硝酸ジルコニル二水和物(ZrO(NO3)2・2H2O)1.2g(4.49mmol)、硝酸マンガン六水和物(Mn(NO3)2・6H2O)9.8g(34.1mmol)、エタノール12.0mL、アセチルアセトン0.9g及びチタンイソプロポキシド2.4gを用いることを除き、実施例7と同様にしてペレット触媒を作製した。
以上の触媒について上記と同様にしてICPにより化学分析を行い、いずれの触媒も仕込み値通りの組成であり、沈殿生成の際に特定成分の損失がないことを確認した。
得られた試料について、上記と同様にしてXRDによる構造解析を行い、各試料のXRD回折パターンを図13に示す。図13より、実施例7及び8の試料からCe(Zr)O2の立方晶蛍石構造に基づく回折ピークが検出されたが、Mnの酸化物に由来するピークは検出されなかった。このことから、Mnはアモルファスもしくは微分散であると推察された。ICP分析により、これらの実施例の試料にはねらいどおりにTiが添加されていることが確認されているが、XRDからTiの酸化物に由来するピークは検出されなかった。このことから、Tiが高分散であることが示唆された。
次に、実施例7及び8の試料並びに実施例5の試料について、硫黄被毒処理を行った。この硫黄被毒は、流通型反応器にペレット触媒3.0gを配置し、SO2を流通させることで実施した。400℃で10分間H2気流下で還元前処理を行った後、以下の表5に示すリーンガスを20L/分で40分間導入し、硫黄被毒させた。また、触媒を配置しないブランク試験でのSOxプロファイルとの差から硫黄被毒量を算出した。
実施例5、7及び8にて得られた試料について、硫黄被毒処理前と硫黄被毒処理後のそれぞれについて、上記のようにしてNOx吸着特性を評価した。この結果を図14に示す。Tiを含まない実施例5の試料に対し、実施例7及び8の試料では、硫黄被毒後のNOx吸着量が増加した。このことから、Tiが高分散状態となっているMn−Ce−Zr−Ti複合酸化物において、硫黄被毒によるNOx吸着量の低下を抑制することができた。
図15に、Ti含有比の異なるMn−Ce−Zr−Ti複合酸化物において、硫黄被毒量の定量値をTi含有比に対してプロットしたグラフを示す。この図より、Ti含有量が増加することにより硫黄被毒量が減少していることがわかる。これは、CeやZrの硫化物の分解温度よりもTiの硫化物の分解温度が低いためであると推察される。このことから、Ti添加による硫黄被毒後のNOx吸着量の低下抑制は、硫黄被毒量が減少したためであると考察される。
上記のように本発明の方法によれば、比表面積の大きな酸化物を製造することができ、低温でのNOx吸蔵能が向上した排ガス浄化用触媒を提供することができる。

Claims (2)

  1. Mnイオン、Ceイオン及びZrイオンを含む水溶液をアルカリ性水溶液に滴下し、沈殿を生成させた後、得られた沈殿を乾燥し、次いで焼成を行うことを含む、排ガス浄化用触媒の製造方法。
  2. 前記Mnイオン、Ceイオン及びZrイオンを含む水溶液の滴下と同時に、さらにチタンアルコキシドを含む水溶液を滴下することを含む、請求項1記載の方法。
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