JP2010284597A - ディーゼル排ガス酸化触媒及びディーゼル排ガス酸化触媒ハニカム構造体 - Google Patents

ディーゼル排ガス酸化触媒及びディーゼル排ガス酸化触媒ハニカム構造体 Download PDF

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Toru Nagai
徹 永井
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Wataru Ito
伊藤  渉
Shingo Katayama
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Abstract

【課題】ディーゼルエンジンの排ガス浄化に関し、耐久性に優れたディーゼル排ガス酸化触媒及びディーゼル排ガス酸化触媒ハニカム構造体を提供することである。
【解決手段】アルカリ土類金属Mと、Fe若しくはCo、又はFeとCoの両方とを含有する複合酸化物の結晶相を複数含む複合酸化物粒子に、Pd又はPtの1種以上の貴金属が担持されてなるディーゼル排ガス酸化触媒及びこれを用いたディーゼル排ガス酸化触媒ハニカム構造体を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ディーゼルエンジンから発生する排ガスを酸化するディーゼル排ガス酸化触媒及びディーゼル排ガス酸化触媒ハニカム構造体に関する。
化石燃料を用いた燃焼機関、例えばボイラー、加熱炉、火力発電所、自動車エンジン等の内燃エンジン、から発生する排気ガスには、種々の有害物が含まれており、それらの除去浄化が行われている。このような排ガス浄化に関する技術は、近年の地球環境問題の深刻化に伴い、更なる向上が望まれている。
軽油などを燃料とするディーゼルエンジンの排ガスには、未燃炭化水素(hydrocarbons、HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NO)とともに、煤(スート、粒子状物質、particulate matter、PM等とも呼ばれる)や可溶性有機成分(soluble organic fraction、SOF)等が含まれている。これらのうち、CO、HC、SOFを除去する方法として、排ガス流路に酸化触媒を配置して、CO、HC、SOFを酸化してしまう方法がある。ディーゼルエンジンの排ガス処理で用いられる、このような酸化触媒は、ディーゼル排ガス用酸化触媒(diesel oxidation catalyst、DOC)と呼ばれる。
また、DOCは、次のような目的にも使用される。ディーゼルエンジンの排ガス浄化には、前記のPMを捕集して除去するために、排ガス流路にディーゼルパーティキュレートフィルタ(diesel particulate filter、DPF)を配設される。DPFでPMを捕集するが、DPFにPMが堆積するに伴い、排圧が上昇してエンジンの出力低下等を招く。そのため、PMの捕集量が所定量以上になったときに、何らかの方法で捕集したPMを燃焼して除去しなければならない。DPFに捕集されたPMを燃焼させる方法として、例えば、排ガス温度を強制的に上昇させてPM燃焼を起こす方法がある。そのために、ディーゼルエンジンの排ガス流路には、DPFの上流に、排ガス中に含有されるHC成分等を酸化して排ガス温度を上昇させるためにDOCを配置する。即ち、DPFの自動再生制御時には、エンジンへの燃料噴射量を増量して排ガス中のHC成分量を増やす。この余剰のHCを排ガス流路上のDOCで酸化燃焼させ、その際の燃焼熱により排ガス温度を上昇させて、DPFに捕集されたPMの燃焼を促進する。
上記DOCの主なものは、アルミナAlを担体として、白金Pt、パラジウムPd等の貴金属を担持させた触媒である。なかでも、Pt又はPtを主体としたPt-Pdをアルミナに担持した触媒が、一般的に使用されている。DOCにおいて、アルミナ担体以外の担体として、シリカSiO−アルミナ、ゼオライト、チタニアTiO等の酸化物を使用することが開示されている(特許文献1、2を参照)。
また、複合酸化物であるAM(A:アルカリ金属またはアルカリ土類金属、M:Fe、Co又はNi、Oは酸素を示し、0<x≦4、0<y≦8である)を、ディーゼルエンジンの排ガス浄化触媒として使用することが開示されている(特許文献3を参照)。前記複合酸化物は、触媒としてディーゼルエンジンの排ガス中の微粒子状炭素物質と窒素酸化物とを除去するのに有効であるとされている。
また、CaFeOやCaFeに、スーパーオキサイドアニオン(O )を構造中に含ませると、DOCではないが、酸化触媒として高い触媒活性を示すとしている(特許文献4を参照)。特に、前記触媒は、自動二輪車用の排ガス浄化触媒に好適に利用できることが示されている。
更に、排ガス浄化装置、特にガソリンエンジンの排ガス浄化装置に係る酸素ストレージ材として、SrFeOやCaFeOを含むペロブスカイト型複合酸化物ATO(Aをアルカリ土類金属のみで構成)が開示されている(特許文献5を参照)。
また三元触媒(ガソリンエンジンの排ガス浄化用触媒)として、正方晶系複合酸化物ABO(式中、AはCa、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を表し、BはMn、Fe、Ti、Sn及びVからなる群から選択される少なくとも1種を表す)が含まれる触媒が開示されている(特許文献6を参照)。
特開2007−111625号公報 特開2006−81988号公報 特開2005−66559号公報 特開2006−255677号公報 特開2004−41867号公報 再公表2004−089538号公報
上述のように、ディーゼルエンジン排ガスのDOCに関し、Ptを主体とした触媒が使用されている。Ptは酸化活性に優れており、低温でも活性が高いため、ディーゼルエンジン排ガスのような排ガス温度が低い場合に有効である。しかしながらPtは、PdやRhに比べて、ディーゼル排ガスのようなリーン雰囲気(酸化雰囲気、酸素濃度5〜21%)ではシンタリングが進行しやすく、耐久性が劣るという問題がある。劣化による活性低下を見込んで予めPt量を増やすこともできるが、コストが高くなるという問題が生ずる。また、Ptの耐久性を向上させるために、Pdを添加することも行われているが、十分な耐久性が得られていない。
また、特許文献3では、上記複合酸化物の一部についてHCとCOの酸化性能が記載されているが、その耐久性がどのようなものであるか示されていない。実施例では、AM複合酸化物のAに、アルカリ金属(カリウムK)が使用されているが、アルカリ金属は拡散や反応し易いので不安定であり、十分な耐久性が得られない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ディーゼルエンジンの排ガス浄化に関し、耐久性に優れたディーゼル排ガス酸化触媒及びディーゼル排ガス酸化触媒ハニカム構造体を提供することである。
本発明者らは、アルカリ土類金属Mと、FeやCoとを含有する酸化物結晶相を複数含む複合酸化物粒子に、Pd又はPdとPtとの両方の貴金属を担持した触媒が、従来のDOCに比べて耐久性に優れたDOCとなることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の要旨とするものである。
[1]アルカリ土類金属Mと、Fe若しくはCo、又はFeとCoの両方とを含有する複合酸化物の結晶相を複数含む複合酸化物粒子と、前記複合酸化物粒子に担持されたPd又はPtの1種以上の貴金属と、を有することを特徴とするディーゼル排ガス酸化触媒。
[2]前記PdとPtとの両方の貴金属が担持されている場合に、Pt/Pd質量比Rが、0<R<1の範囲であることを特徴とする、上記[1]記載のディーゼル排ガス酸化触媒。
[3]前記アルカリ土類金属Mが、Srであることを特徴とする上記[1]又は[2]記載のディーゼル排ガス酸化触媒。
[4]前記アルカリ土類金属Mに、Caが含まれることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載のディーゼル排ガス酸化触媒。
[5]前記Caの含有量が、アルカリ土類金属Mの総量に対するモル比Ca/Mで、0.1〜1.0であることを特徴とする、上記[4]記載のディーゼル排ガス酸化触媒。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のディーゼル排ガス酸化触媒を、金属製又はセラミックス製のハニカム内壁に被覆したことを特徴とするディーゼル排ガス酸化触媒ハニカム構造体。
本発明によれば、DOC活性の耐久性に優れるので、ディーゼルエンジンの排ガス浄化に係る酸化処理を、長期にわたり効率よく行うことができる。また、低温活性(ライトオフ性能、light-off性能)に優れるものとすることができるので、ディーゼルエンジンの排ガス浄化に係る酸化処理を低温で行うことができる。即ち、例えば、低温の排ガスであっても、酸化反応を起こして排ガス温度を上昇させることができ、DPFに捕集されたPMの燃焼を促進させることが可能になる。また、耐久性に優れること(長寿命であること)、Pt使用量を低減できることなどから、前記酸化処理を低コストで行うことができる。
従来のDOC触媒による酸化反応を説明する模式図 本発明に係るDOC触媒による酸化反応を説明する模式図であり、2種以上の結晶相(相I、相II、相III)を含む複合酸化物粒子のみで起こる酸化反応を説明する模式図(a) 本発明に係るDOC触媒による酸化反応を説明する模式図であり、本発明のDOC(2種以上の結晶相(相I、相II、相III)を含む複合酸化物粒子に貴金属が担持されている)で起こる酸化反応を説明する模式図(b);本発明に係るDOC触媒による酸化反応を説明する模式図であり、酸素分子から酸素イオンとして複合酸化物の結晶格子中に取り込む過程を説明する模式図(c);本発明に係るDOC触媒による酸化反応を説明する模式図であり、HCやCOを吸着して活性化させ、複合酸化物の格子中の酸素イオンとの反応を促進させる過程を説明する模式図(d) 本発明に係るDOC触媒による酸化反応を説明する模式図であり、本発明のDOC(2種以上の結晶相(相i、相ii)を含む複合酸化物粒子に貴金属が担持されている)で起こる酸化反応を説明する模式図(e) 本発明のDOCにおけるPdやPtの貴金属の担持形態を示す模式図 本発明触媒及び従来触媒の耐久試験後の転化率−温度曲線とT50の例を示す図
本発明のディーゼル排ガス酸化触媒(DOC)は、アルカリ土類金属Mと、Fe若しくはCo、またはFeとCoの両方とを含有する複合酸化物の結晶相を複数含む複合酸化物粒子と、前記複合酸化物粒子に担持されたPdまたはPtの1種以上の貴金属とを有する。前記構成することで、ディーゼル排ガスの酸素分圧条件(酸素濃度5〜21%)、特に酸素濃度が10%〜21%の酸化雰囲気で、700〜900℃の温度で、50〜150時間程度の耐久試験において、DOC活性の低下が見られないか、又はその低下が極めて小さくなる。
従来のアルミナ担体1にPt等の貴金属2を担持した触媒では、図1に示すように、貴金属2の表面にHCやCOが吸着して活性化され(貴金属表面と活性錯合体を形成し)、活性化された化学種が酸素分子と容易に酸化反応を起こす。このような場合に高い触媒活性を示すには、粒子が小さく、比表面積が大きい貴金属粒子が求められる。従って、触媒の耐久性という観点からは、前記の粒子状態を維持できる貴金属粒子、即ちシンタリングして粒子が粗大化したり比表面積が小さくなったりしない貴金属粒子が好ましい。逆に、貴金属粒子が少しでもシンタリングして比表面積が低下すると、触媒活性は大きく低下する。特に、ディーゼル排ガスでは酸素分圧(酸素濃度)が大きいので、前記触媒活性の低下が著しい。酸素分圧が大きいと、貴金属表面に酸素が安定に吸着して、図1のような反応を妨げることになるからである。また、貴金属の中でもPtは、酸化触媒活性が高いものの、酸化雰囲気でシンタリングしやすいのでDOCとしての耐久性に劣る。
本発明の触媒の触媒活性(酸化反応の促進)作用は、上記従来の触媒活性と異なるので、上述のように耐久性に優れる。
本発明の複合酸化物は、その結晶格子中の酸素イオン(O2−)が移動し易く、前記酸素イオンがHCやCOの酸化に関与して、DOCとしての触媒活性を高めていると考えている。酸素イオンは、酸素分子Oに比べて活性が高く(活性酸素)、酸化反応に有効であることが知られている(例えば、特許文献7:特開平6−57470号公報を参照)。O2−酸素イオンを、活性酸素として酸化反応に寄与させるために、酸素イオン伝導体に電圧を印加させる方法や、特許文献7のように酸素供給源(高酸素分圧)と反応室とに分けて酸素の濃度勾配で酸素イオンを移動・供給させる方法がある。このように、電圧印加や酸素濃度勾配がなければ、酸素イオンが移動し易い酸化物が単にあるだけでは、酸素イオンは発生せず、酸化反応は促進されない。
しかしながら本発明では、前記複合酸化物粒子に複数の結晶相(少なくとも2種の結晶相)を含んでいる、即ち、ケミカルポテンシャルの異なる相が接触している。そのため、ケミカルポテンシャルの高い方から低い方に向かって、(ケミカルポテンシャルの差が駆動力となって)酸素イオンが移動することができる。したがって、図2(a)に示すように、電圧印加や酸素濃度勾配を故意に作らなくても、酸素分子Oを酸素イオンO2−として取り込みながら、HCやCOを酸素イオンで酸化するという反応サイクルが形成される。
一方、酸化物粒子が一種類の結晶相で構成されている場合には、このような現象は起こらない。即ち、本発明に係る複合酸化物粒子(符号10)は、酸素分子からの酸素イオンを取り込む部位(図2(a)および図2(e)における相II(符号12))と、酸素イオンを放出する部位(図2(a)および図2(e)における相I(符号11))と、任意の他の相III(符号13)と、を有することを特徴とする。
酸素分子Oからの酸素イオンO2−を複合酸化物の結晶格子中に取り込むには、次式(1)のような酸素分子が酸素イオンに解離する必要があるが、低温(例えば、400〜500℃以下)では酸素分子の解離は起こり難い。そこで本発明では、Pd又はPtの貴金属20を複合酸化物粒子10に担持しており(図2(b)および図2(e)を参照)、その役割の一つとして低温での酸素分子の解離を次式(2)のようにして促進させている(図2(c))。
Figure 2010284597
ちなみに、高温(複合酸化物の種類にもよるが、例えば、400〜500℃を超える温度)では、貴金属がなくても複合酸化物表面で酸素分子の解離が起こり、複合酸化物の結晶格子中に酸素イオンが取り込まれる。
更に、担持されている貴金属20のもう一つの役割は、HCやCOを吸着して活性化させ、複合酸化物の格子中の酸素イオンとの反応を促進させることである(図2(d))。
以上のような反応過程で触媒活性を示すので、特に、反応式(1)又は(2)に関わる反応が律速となる。酸素分圧P(O)が高いほど、活性酸素である酸素イオンO2−の形成が進行し易く、その生成量が多くなる。よって、触媒活性として優位な効果が現れるのは、酸素分圧(酸素濃度)が5%以上である場合である。即ち、本発明の触媒では、ディーゼルエンジンの排ガスのような酸素分圧が高い場合に、触媒作用が顕著に現れる。
また、本複合酸化物ではそのカチオン構成から結晶格子中の酸素イオンの電子密度が高くなっている(大きく分極している)。そのため図3のように、本発明の複合酸化物粒子10に担持された貴金属20(PdやPt)は、その表面でPt−O(図3(a)参照)やPd−O結合(図3(b)参照)を形成し易い(貴金属との相互作用が強い)。よって、高温においても貴金属の表面拡散が抑制される傾向がみられる。その結果、貴金属の凝集(シンタリング)が抑制され、耐久性が高まる。
また、図2に示される反応過程では、多少の貴金属凝集が生じても、図1に示される触媒作用とは異なり、触媒活性はほとんど変化しない。このことも、優れた耐久性を示すもう一つの要因となっている。また、酸素分圧が大きくても、上述のようなメカニズムで貴金属の表面に吸着した酸素分子や酸素イオンは常に移動しているので、従来触媒のように酸素が安定に吸着して触媒活性が低下するということは起こらない。
本発明において、アルカリ土類金属Mと、Fe若しくはCo、またはFeとCoの両方とを含有する複合酸化物粒子に、複数の結晶相が含まれることは、上述のような発明の技術思想からすると、ケミカルポテンシャルの異なる複数の相が含まれることである。ケミカルポテンシャルの異なる複数の相が含まれるとは、具体的には、1つの粒子内に、前記複合酸化物を構成するカチオンの種類や組成が互いに異なる化合物又は相が複数存在することを意味する。異なる化合物又は相とは、後述の例示のように、お互いにアルカリ土類金属Mと(Co、Fe)との組成比が異なる酸化物結晶である。また、同じ化合物であっても、結晶構造が異なる場合は異なる相である。
本発明における複合酸化物粒子は複数(2種類以上)の結晶相を含むが、例えば、複合酸化物粒子に2種類の結晶相(第1の結晶相と第2の結晶相)が存在するときに、第2の結晶相の含有率は結晶相全体の0.5モル%以上であることが好ましい。第2の結晶相の含有率が0.5モル%未満であると、第1の結晶相の単相とほぼ同程度の性能となり、複数の結晶相としての効果が得られないことがある。1つの結晶相と、他の1又は2以上の結晶相とが存在するときに、前記他の1又は2以上の結晶相の含有率が3モル%以上、5モル%以上、あるいは9モル%以上、さらには12モル%以上であると、好ましい場合がある。20モル%以上であることも可能である。
また、本発明の効果が得られる上述のメカニズムを考えれば、前記効果を得るためには、1つの粒子内に存在する結晶相の数は複数であればよく、いくつ存在してもよい。ただし、6つ以上の結晶相を含む粒子は、製造条件が複雑になり効率的に製造できない場合がある。また、1つの粒子に存在する複数の結晶相のそれぞれのサイズは、図2(a)では模式的に大きく図示しているが、粒子サイズ未満であればよく、2〜5nmサイズであっても、本発明の効果が得られる。
本発明に係る複合酸化物粒子には、上述の目的で、Pd又はPtの1種以上の貴金属が担持されている。Pdは廉価であるが、低温活性化(ライトオフ性能の向上)を得るためには担持率を高める必要がある。Ptは高価であるが、低温活性(ライトオフ性能)には優れている。PdとPtの使用量は、ディーゼルエンジンのエンジンマネージメント、後処理設計等の目的とコストに合わせて決定すればよい。特に、PdとPtとの両方の貴金属を担持するのが、性能とコストを両立させ易くなるので好ましい。
PdとPtとの両方の貴金属が担持されている場合のPt/Pd質量比Rは、
0 < R < 1 ・・・(3)
の範囲であると、より好ましい。前記範囲内であると、ライトオフ性能と耐久性との両方が更に優れるものとなる。
また、担持された前記貴金属の粒子サイズは、数平均粒子径で20nm以下であれば十分であるが、数平均粒子径で1〜3nmの範囲がより好ましく、より高いDOC活性が得られる。
前記貴金属の担持率(貴金属と複合酸化物の総質量に対する貴金属の質量の百分率)は、前述のように目的に合わせて設計すればよく特に限定されないが、0.1質量%〜20質量%の範囲が好ましい。0.2質量%〜10質量%の範囲がより好ましく、0.4質量%〜6.0質量%の範囲が更に好ましい。
前記アルカリ土類金属Mとしては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びRaが挙げられる。前記アルカリ土類金属は、1種又は2種以上使用できる。Fe、Coとの複合酸化物の形成しやすさから、好ましくはMg、Ca、Sr、Baである。
本発明のディーゼル排ガス酸化触媒は、酸素分圧が高い(つまり酸素分圧5%〜21%程度)排ガスにおいて、その触媒活性を効果的に発揮できる。特に、前記アルカリ土類金属MがSrであると、前記酸素分圧範囲の中でも酸素分圧が低い領域(例えば、5%以上10%未満)でも優れた触媒活性を示す。
また、前記アルカリ土類金属MにCaが含まれると、耐久性がさらに優れる。特に、本発明のDOCが、ハニカム基体に活性アルミナを接着材としてコートされた場合に、耐久性の向上が顕著に現れる。Caの含有率は、アルカリ土類金属Mの総量に対するモル比Ca/Mで、0.1〜1.0の範囲が好ましく、0.4〜1.0の範囲がより好ましい。
本発明に係る複合酸化物粒子に関し、前記アルカリ土類金属Mと、前記FeとCoとの総量とのモル比M/(Fe+Co)は、2種類以上の結晶相を含めば、特に限定されないが、
0.083 ≦ M/(Fe+Co) <2 ・・・(4)
であるのが好ましい。前記範囲外であると、2種以上の結晶相を含む複合酸化物粒子を製造するのが難しい場合がある。
アルカリ土類金属Mと、FeもしくはCo、またはFeとCoとの両方を含有する酸化物結晶相は、例えば一般式でM(Co,Fe)として表される。さらなる具体的例には、M(Co1−zFe)O3−δ、M(Co1−zFe4−δ、M(Co1−zFe5−δ、M(Co1−zFe1022−δ、M(Co1−zFe8−δ、M(Co1−zFe)O4−δ、M(Co1−zFe7−δ、M(Co1−zFe1426−δ、M(Co1−zFe11−δ、M(Co1−zFe7−δ、M(Co1−zFe1422−δ、M(Co1−zFe3251−δ、M(Co1−zFe17−δ、M(Co1−zFe13−δ、M(Co1−zFe5−δ、M(Co1−zFe1525−δ、M(Co1−zFe9−δ、及びM(Co1−zFe1219−δなどが含まれ;ここで、zは0〜1で、δは電荷中性条件を満たすように決まる値であり、zの好ましい範囲は1〜0.5であるが、特に限定されない。
前記複合酸化物の結晶相は、酸化物の結晶解析方法で分析することができる。例えば、X線回折法、電子線回折法、中性子線回折法等を使用して、結晶相を判定し、定量できる。
本発明に係る複合酸化物粒子の粒子サイズは、製造効率、及び貴金属を効果的に担持できるという理由により、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積累積基準D50(中心粒径)で、0.5μm〜10.0μmの範囲が好ましく、1.0μm〜5.0μmの範囲がより好ましい。従来の酸化物担体は、粒径が小さい(例えば100nm以下)方が貴金属を微細に分散できるので好ましいが;本発明における担体(複合酸化物粒子)は、上述の反応過程で触媒活性を示すので、そのような小さな粒子にしなくても十分な触媒活性が得られる。したがって、中心粒径D50が0.5μm未満であっても触媒活性としての問題はないが、製造過程における粉砕等による粒径調製に時間がかかり、経済的ではない場合がある。一方、中心粒径D50は10.0μmを超えると、触媒金属を均一に分散担持することが難しくなり、触媒金属が多量に必要となる場合がある。
また、前記複合酸化物粒子の比表面積は、前記と同様に、製造効率、及び貴金属を効果的に担持できるという理由より、1〜20m/gの範囲が好ましい。比表面積が1m/g未満では、貴金属を高分散できなかったり、担持過程で貴金属の凝集が起こったりする場合がある。一方、比表面積が20m/gを超えると、複合酸化物粒子の調製が経済的でなかったり、スラリー調製の際に分散させるのが難しかったりする場合がある。
本発明のディーゼル排ガス酸化触媒は、活性アルミナやセリア(セリア−ジルコニア)などの、他の酸化物担体に貴金属を担持した触媒と混合して使用してもよい。
本発明に係る、アルカリ土類金属Mと、FeもしくはCo、またはFeとCoとの両方を含有する複合酸化物の結晶相を複数種含む複合酸化物粒子は、固相反応法、共沈法やゾル・ゲル法などの液相法、化学気相析出法、レーザーアブレーション法などの、どのような方法で製造してもよい。以下において、固相反応法による製造方法、および共沈法による製造方法を説明する。
固相反応法による製造では、アルカリ土類金属Mの酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩、硫酸塩等と;FeやCoの酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩等とを、出発原料として使用しうる。アルカリ土類金属Mの出発原料と、FeやCoの出発原料とを、所望の組成になるようにそれぞれ秤量して混合する。前記出発原料の混合は、湿式、乾式のいずれでもよく、乳鉢混合、ボールミル、遊星ボールミル、ドラムミキサー、ピンミル等既存の方法であればどのような方法でもよい。得られた混合物を、800〜1250℃の範囲内で仮焼する。仮焼して得られる複合酸化物は、粉砕し、場合によっては分級して、使用される。
共沈法による製造では、アルカリ土類金属Mの硝酸塩、硫酸塩または有機酸塩等と;CoやFeの硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、塩化物、キレート錯体または有機酸塩等とを、出発原料として使用しうる。アルカリ土類金属Mの出発原料と、FeやCoの出発原料とを、所望の組成になるようにそれぞれ秤量して水に溶解する。得られた溶液にpH調整剤を添加して、溶液のpHを中性〜塩基性にする。それにより、溶解しているM、Co、Feのイオンを共沈させる。共沈物をろ過あるいは遠心分離で分離・洗浄して、乾燥した後、800〜1250℃の範囲内で仮焼する。仮焼して得られる複合酸化物は、必要に応じて、粉砕、分級して使用される。
本発明に係る複合酸化物粒子に2種以上(複数)の結晶相を含ませるために、前記製造プロセスにおいて、原料組成を、複合酸化物単相の化学量論比とは異なる組成とする。それにより、仮焼後に複数相が形成されるようにする。すなわち原料組成を、複数の金属が単一の複合酸化物相を形成しない組成とすることで、複数の結晶相を含む複合酸化物粒子を製造することができる。例えば、M(Co,Fe)の結晶相とする場合、原料におけるMと(Co,Fe)との組成比を調整して、化学量論的に単一結晶相(単一化合物)を形成する組成とは異なる組成とする。原料におけるMと(Co,Fe)との組成比(モル比)が、単一相を形成する比率から、少なくとも0.005、少なくとも0.01、少なくとも0.02、さらには少なくとも0.05異なることが好ましい。
本発明に係る複合酸化物粒子にPd又はPtの1種以上の貴金属を担持する方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法で担持できる。水溶性のPd塩やPt塩(例えば、硝酸塩、亜硝酸塩、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、アンミン錯体など)、又はPdコロイドやPtコロイドを水に加える。更に、得られた溶液中に前記複合酸化物粒子を加えて攪拌、超音波分散等で分散する。前記懸濁溶液の水分を除去し、乾燥させた後、400〜900℃の範囲で、好ましくは450〜700℃の範囲で熱処理する。それにより、前記貴金属を担持した、本発明のディーゼル排ガス酸化触媒を作製することができる。
本発明のディーゼル排ガス浄化用触媒は、セラミックス製又は金属製のハニカムにウォッシュコートして、ディーゼル排ガス酸化触媒ハニカム構造体とすることができる。本発明で使用できるセラミックス製ハニカムは、特に限定されないが、例えばコージエライトハニカム、炭化珪素ハニカム等が挙げられる。また、本発明で使用できる金属製ハニカムも、特に限定されないが、例えばステンレスハニカムやAl富化ステンレスハニカム等が挙げられる。
本発明のディーゼル排ガス酸化触媒をハニカムにウォッシュコートする場合には、まず、触媒及び結合材等が分散するスラリーを調製し、そのスラリー中にハニカムを浸漬するか;又は、そのスラリーをハニカム内部に流入させる。結合剤の例には、硝酸アルミニウム、コロイダルアルミナ、有機バインダーなどが含まれる。次いで、ハニカム表面の余剰スラリーを、吹き飛ばす等の方法で取り除いた後に、乾燥させる。その後、500〜900℃の温度で熱処理する。
尚、前記スラリーをハニカム内部に流入させる場合は、前記スラリーがハニカム内壁にのみ塗布されるようになるが、その方法の一つとして、ハニカムを装着する治具を工夫して前記スラリーを吸い上げる方法がある。
本発明のディーゼル排ガス酸化触媒ハニカム構造体では、貴金属の含有量が0.1g/L〜26.0g/Lの範囲であることが好ましい。より好ましくは、0.3g/L〜16.0g/Lの範囲であり、更に好ましくは0.5g/L〜10.0g/Lである。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
アルカリ土類金属Mと、Fe,Coとの複合酸化物で、複数の結晶相を含む複合酸化物粒子の調製と、貴金属の担持とを以下の方法で行い、本発明のディーゼル排ガス酸化触媒を作製した。
アルカリ土類金属Mの原料として炭酸塩(MCO)を、Fe,Coの原料として酸化物(Fe、CoO)を用いた。表1−1〜表1−5の「M(アルカリ土類金属M)」欄、「Ca/Mモル比」欄、「M/(Fe+Co)モル比」欄、および「Fe/(Fe+Co)モル比」欄に示した通りのM,Fe,Coのモル比になるように、前記原料を秤量して、ボールミルで混合した。
前記混合粉末を、表1−1〜表1−5に示した900〜1100℃で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕した。前記粉砕粉末を、更に同温で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕し、複合酸化物粒子を作製した。
得られた粒子からなる粉末に含まれる結晶相を、粉末X線回折法によって同定した。X線の回折ピークの面積から、それぞれの含有量を算出した。検量線は、単相の回折ピーク面積を用いて作成した。また、1つの粒子に複数の結晶相が存在することを、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒子を観察し、電子線回折を利用して確認した。
一方、M(Fe,Co)O4−δ単相の粒子を、次の手順で調製した(No.1−74〜1−76)。アルカリ土類金属Mの原料として炭酸塩を、Fe,Coの原料として酸化物を用いた。Mと(Fe+Co)とのモル比が2:1となるように前記原料を秤量して、ボールミルで混合した。前記混合粉末を、900℃で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕した。前記粉砕粉末を、更に同温で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕し、前記粒子を作製した。
得られた粒子からなる粉末は、粉末X線回折法によって、M(Fe,Co)O4−δ相の単相であることを確認した。
また、M(Fe,Co)7−δ単相の粒子を、次の手順で調製した(No.1−77〜1−79)。アルカリ土類金属Mの原料として炭酸塩を、Fe,Coの原料として酸化物を用いた。Mと(Fe+Co)のモル比が3:2となるように前記原料を秤量して、ボールミルで混合した。前記混合粉末を、1100℃で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕した。前記粉砕粉末を、更に同温で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕し、前記粒子を作製した。
得られた粒子からなる粉末は、粉末X線回折法によって、M(Fe,Co)7−δ相の単相であることを確認した。
M(Fe,Co)O3−δ単相の粒子を、次の手順で調製した(No.1−80〜1−82)。アルカリ土類金属Mの原料として炭酸塩を、Fe,Coの原料として酸化物を用いた。Mと(Fe+Co)のモル比が1:1となるように前記原料を秤量して、ボールミルで混合した。前記混合粉末を、1100℃で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕した。前記粉砕粉末を、更に同温で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕し、前記粒子を作製した。
得られた粒子からなる粉末は、粉末X線回折法によって、M(Fe,Co)O3−δ相の単相であることを確認した。
(Fe,Co)1022−δ単相の粒子を、次の手順で調製した(No.1−83〜1−85)。アルカリ土類金属Mの原料として炭酸塩を、Fe,Coの原料として酸化物を用いた。Mと(Fe+Co)のモル比が7:10となるように前記原料を秤量して、ボールミルで混合した。前記混合粉末を、1150℃で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕した。前記粉砕粉末を、更に同温で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕し、前記粒子を作製した。
得られた粒子からなる粉末は、粉末X線回折法によって、M(Fe,Co)1022−δ相の単相であることを確認した。
M(Fe,Co)4−δ単相の粒子を、次の手順で調製した(No.1−86〜1−88)。アルカリ土類金属Mの原料として炭酸塩を、Fe,Coの原料として酸化物を用いた。Mと(Fe+Co)のモル比が1:2となるように前記原料を秤量して、ボールミルで混合した。前記混合粉末を、1100℃で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕した。前記粉砕粉末を、更に同温で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕し、前記粒子を作製した。
得られた粒子からなる粉末は、粉末X線回折法によって、M(Fe,Co)4−δ相の単相であることを確認した。
M(Fe,Co)1219−δ単相の粒子を、次の手順で調製した(No.1−89〜1−91)。アルカリ土類金属Mの原料として炭酸塩を、Fe,Coの原料として酸化物を用いた。Mと(Fe+Co)のモル比が1:12となるように前記原料を秤量して、ボールミルで混合した。前記混合粉末を、1150℃で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕した。前記粉砕粉末を、更に同温で3時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕し、前記粒子を作製した。
得られた粒子からなる粉末は、粉末X線回折法によって、M(Fe,Co)1219−δ相の単相であることを確認した。
従来の触媒として、γ−アルミナを担体として試験した(No.1−92)。ここで使用したγ−アルミナの中心粒径D50は0.05μmであり、比表面積は91.4m/gであった。ここで、比表面積の測定は、日本ベル社製Belsorbを用いて行い、窒素ガス吸着によるBET法により求めた。粒径は、島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した。
次に、上記の触媒担体に、貴金属(PdとPt)を、表1−1〜表1−5に示す担持率で担持した。表1−1〜表1−5における「R」は、「Pt/Pdの質量比」を示す。具体的には、硝酸パラジウムと白金コロイドを用いて、PdとPtをそれぞれ担持した。硝酸パラジウムまたは白金コロイドを含む水溶液と、前記酸化物担体の粉末100gとを、ロータリーエバポレータに入れた。まず、常温、減圧下で回転攪拌しながら脱泡処理をした。次に、常圧に戻して60〜70℃の間で加熱した後、減圧して脱水、乾燥した。常温まで冷却後、常圧に戻して固形物を取り出し、180℃で2時間乾燥した。乾燥した固形物(粉末)を大気中600℃で3時間熱処理した。以上の操作により、貴金属を酸化物担体に担持した触媒粉末を作製した。
次に、上記触媒粉末を用いてスラリーを作製し、ハニカムにウォッシュコートした。表1に示した触媒粉末をそれぞれ19質量部と、純水7質量部と、結合剤として市販メチルセルロース溶液(固形分2.5質量%)10質量部とを攪拌しながら添加し、さらに消泡剤を添加して、混合してスラリーとした。
前記触媒粉末をウォッシュコートするハニカムを、直径が25.4mm、長さが20mm、ハニカムのセル密度が1インチ(25.4mm)平方当たり300セルである、円筒型のステンレス鋼製ハニカムとした。
前記スラリーをハニカム内壁に塗布して乾燥した。その後、大気中650℃で1時間熱処理することによって、本発明および比較例の触媒粉末をウォッシュコートしてなるステンレス鋼製ハニカム触媒構造体を得た。尚、前記ハニカムに固定された総貴金属量は、2.3g/Lであった。
前記作製したハニカム触媒構造体に関し、以下のようにしてDOC触媒性能評価を行った。ディーゼル排ガスの模擬ガスとして、THC(プロパン、C):500ppm(1500ppmC)、NO:500ppm、CO:1000ppm、O:10%、HO:10%、N:バランスを用いた。ここで、HCを、総HC(total hydrocarbons)としてTHCで表している。SV(空間速度):50,000h−1で前記模擬ガスをハニカム触媒構造体に流し、触媒の温度を常温から600℃まで電気炉で加熱し、各温度における触媒通過後のガス組成をガスクロマトグラフ及びNOx計で測定した。
THC転化率(%)を100×{1−[THC]out/[THC]in}とした。CO転化率(%)を100×{1−[CO]out/[CO]in}とした。触媒通過前後のTHCとCOの濃度変化から、DOC触媒活性を求めた。各温度における転化率を測定して、図4に示すような転化率−温度曲線から、転化率が50%となる温度T50(ライトオフ性能を代表する指標)を求めて、表2−1〜表2−3に示した。温度T50に基づいて、各触媒のDOC触媒活性を比較した。
触媒の耐久性について、ハニカム触媒構造体を空気中で700℃、120h熱処理した後に、上記と同様にDOC触媒性能評価を行い、T50を熱処理前後で比較した。さらに、空気中で900℃、120h熱処理を行い、上記と同様にDOC触媒性能評価を行い、表2−1〜表2−3に示したように、T50を比較した。
表3−1〜表3−3は、表2−1〜表2−3の結果に基づき、γ−アルミナにPdとPtを担持した従来触媒(No.1−92)の評価結果と、No.1−1〜No.1−91の評価結果とを比較してまとめたものである。
耐久試験を行う前の初期触媒のTHC転化率とCO転化率のT50のそれぞれについて、従来触媒より高い場合は「×」、従来触媒と同じ場合は「○」、従来触媒より低い場合は「◎」として、ライトオフ性能を比較した。
耐久試験を行う前の初期触媒のTHC転化率とCO転化率のT50とを比べて、耐久試験を行った後のそれぞれのT50について、15℃を超える低下(温度上昇)があった場合は「×」、5℃を超え15℃以下であった場合は「△」、0℃(T50の変化無し)を超え5℃以下であった場合は「○」、0℃であって耐久試験後でも変化しなかった場合は「◎」として、耐久性を比較した。
表3−1〜表3−3に示されるように、結晶相が1種類である酸化物粒子(比較例No.1−74〜1−91)に比べて、2種類以上の結晶相を含む複合酸化物粒子(実施例No.1−1〜1−59、No.1−61〜1−67、No.1−69〜1−73)の方が、従来触媒(No.1−92)以上の触媒活性(例えば、ライトオフ性能)を示し、耐久性に優れる。
更に、2種類以上の結晶相を含む複合酸化物粒子であっても、PdやPtの貴金属が担持されていないと(比較例No.1−60、No.1−68)従来触媒に比べて大きく触媒活性が低下するが、Pd及びPtの貴金属が担持されている場合には(実施例No.1−1〜1−59、No.1−61〜1−67、No.1−69〜1−73)、従来触媒以上の触媒活性を示す。
以下の表1−1〜表1−5における「M」は「アルカリ土類金属M」を示し;「R」は「Pt/Pdの質量比」を示し;「結晶相の割合(%)」欄における相1〜相6のそれぞれは、以下の結晶相を示す。
相1:M(Fe,Co)O4−δ
相2:M(Fe,Co)7−δ
相3:M(Fe,Co)O3−δ
相4:M(Fe,Co)1022−δ
相5:M(Fe,Co)4−δ
相6:M(Fe,Co)1219−δ
Figure 2010284597
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(実施例2)
実施例1で作製した触媒のうち、No.1−13、No.1−25、No.1−44、No.1−57について、さらにDOC触媒性能評価を行った。具体的には、模擬ガスの酸素濃度をディーゼル排ガス範囲内であって、10%以外である、5%、7%、21%に設定して評価を行った。更に参考として、模擬ガスの酸素濃度をディーゼル排ガス範囲外である2%、30%(通常の燃焼ではありえないが、試験的に行った)に設定して評価を行った。評価方法は、酸素濃度以外の条件は、実施例1と同じである。その結果を、表4に示す。
酸素濃度が2%と低い場合には、THC転化率とCO転化率のT50が高く、特に、耐久試験を行った後のT50の低下が大きい(No.2−1,No.2−7,No.2−13,No.2−19)。しかしながら、本発明の触媒は、ディーゼル排ガス領域である5%以上の酸素濃度では、低いT50を示し、特に、耐久試験を行った後でもT50の低下が殆ど見られず、優れたDOC触媒性能を示す(No.2−2〜2−5,No.2−8〜2−11,No.2−14〜2−17,No.2−20〜2−23)。酸素濃度が30%である場合には、酸素分圧が高いので酸化反応が容易に進むために、T50が更に低くなっているが(No.2−6,No.2−12,No.2−18,No.2−24)、このような高濃度の条件では、従来の触媒でも酸化反応が容易に進むのでその差異は少なくなる。
また、複合酸化物粒子のアルカリ土類金属Mが、Srである場合には、酸素濃度10%未満でも優れたDOC触媒性能を示すことが分かる(No.2−2〜2−3,No.2−14〜2−15)。
尚、以上の実施例1及び2では、ハニカム基材を金属製ハニカム基材とした試験結果であるが、セラミックス製ハニカム基材とした試験結果も、同様の傾向を示す結果が得られている。
Figure 2010284597
本発明により、DOC活性の耐久性に優れるディーゼルエンジンの排ガス酸化触媒が提供される。
1 アルミナ担体
2 貴金属
10 複合酸化物粒子
11 相I
12 相II
20 PdまたはPtの貴金属

Claims (6)

  1. アルカリ土類金属Mと、Fe若しくはCo、又はFeとCoの両方とを含有する複合酸化物の結晶相を複数含む複合酸化物粒子と、
    前記複合酸化物粒子に担持されたPd又はPtの1種以上の貴金属と、を有することを特徴とするディーゼル排ガス酸化触媒。
  2. 前記PdとPtとの両方の貴金属が担持されている場合に、
    Pt/Pd質量比Rが、0<R<1の範囲であることを特徴とする請求項1記載のディーゼル排ガス酸化触媒。
  3. 前記アルカリ土類金属Mが、Srであることを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼル排ガス酸化触媒。
  4. 前記アルカリ土類金属Mに、Caが含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のディーゼル排ガス酸化触媒。
  5. 前記Caの含有量が、アルカリ土類金属Mの総量に対するモル比Ca/Mで、0.1〜1.0であることを特徴とする請求項4記載のディーゼル排ガス酸化触媒。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のディーゼル排ガス酸化触媒を、金属製又はセラミックス製のハニカム内壁に被覆したことを特徴とするディーゼル排ガス酸化触媒ハニカム構造体。
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