JP5307644B2 - 排ガス浄化用触媒担体、排ガス浄化触媒、及び排ガス浄化触媒ハニカム構造体 - Google Patents

排ガス浄化用触媒担体、排ガス浄化触媒、及び排ガス浄化触媒ハニカム構造体 Download PDF

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本発明は、燃焼機関から発生する排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒担体、排ガス浄化触媒、及び排ガス浄化触媒ハニカム構造体に関する。
化石燃料を用いた燃焼機関、例えば、ボイラー、加熱炉、火力発電所、自動車エンジン等の内燃エンジン、から発生する排気ガスには、種々の有害物が含まれており、それらの除去浄化が行われている。このような排ガス浄化に関する技術は、近年の地球環境問題の深刻化に伴い、更なる向上が望まれている。
軽油などを燃料とするディーゼルエンジンの排ガスには、未燃炭化水素(hydrocarbons、HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NO)とともに、煤(スート、粒子状物質、particulate matter、PM等とも呼ばれる。)や可溶性有機成分(soluble organic fraction、SOF)等が含まれている。これらの内、CO、HC、SOFを除去する方法として、排ガス流路に酸化触媒を配置して、CO、HC、SOFを酸化してしまう方法がある。ディーゼルエンジンの排ガス処理で用いられる、このような酸化触媒は、ディーゼル排ガス用酸化触媒(diesel oxidation catalyst、DOC)と呼ばれる。
また、DOCは、次のような目的にも使用される。ディーゼルエンジンの排ガス浄化には、前記のPMを捕集して除去するために、排ガス流路にディーゼル・パーティキュレート・フィルタ(diesel particulate filter、DPF)を配設される。DPFでPMを捕集されるのであるが、DPFにPMが堆積するに伴い、排圧が上昇してエンジンの出力低下等を招くので、PMの捕集量が所定量以上になったときには、何らかの方法で捕集したPMを燃焼して除去しなければならない。DPFに捕集されたPMを燃焼させる方法として、例えば、排ガス温度を強制的に上昇させてPM燃焼を起こす方法がある。そのために、ディーゼルエンジンの排ガス流路には、DPFの上流に、排ガス中に含有されるHC成分等を酸化して排ガス温度を上昇させるためにDOCを配置する。即ち、DPFの自動再生制御時には、エンジンへの燃料噴射量を増量して排ガス中のHC成分量を増やし、この余剰のHCを排ガス流路上のDOCで酸化燃焼させ、その際の燃焼熱により排ガス温度を上昇させて、DPFに捕集されたPMの燃焼を促進させるのである。
上記DOCの主なものは、アルミナAlを担体として白金Pt、パラジウムPd等の貴金属を担持させ触媒である。中でも、Pt−Pdを担持したPt−Pd/Al触媒が一般的に使用されている。DOCにおいて、アルミナ担体以外には、シリカSiO−アルミナ、ゼオライト、チタニアTiO等の酸化物を使用することが開示されている(特許文献1、2)。
ガソリンエンジンの排ガス浄化においては、エンジンから排出されるガス中のCO、NO、HCを全て浄化する三元触媒が使用される。前記触媒では、Pt、Pd、ロジウムRhの貴金属を組み合わせた触媒が使用され、アルミナに担持されている。近年の排ガス規制の強化に伴い、触媒の高活性や高寿命等の性能を向上すべく、触媒金属及びその担体酸化物についてそれぞれ検討されている。担体酸化物については、前記アルミナだけではなく、以下のように、その他の酸化物も検討されている。
三元触媒は、理論空燃比付近で有効に働くが、その有効に働く空燃比幅(ウィンド)を拡大すべく、セリウム酸化物等の酸素吸蔵材料を担体の一部として触媒性能を向上させることも行われている。貴金属/アルミナ系酸化物触媒にセリアCeOを助触媒として添加する方法が、例えば、特許文献3に開示されている。セリアによる酸素吸蔵能を付与してリーン(lean、燃料希薄混合)からリッチ(rich、燃料過剰混合)までの幅広い領域で触媒性能が発揮できる(広いウィンド)触媒が開発されている。
また、セリア以外の酸化物として、複合酸化物も担体として検討されており、特に、希土類元素を含むペロブスカイト構造の複合酸化物が多い。例えば、特許文献4では、三元触媒の活性向上、特に活性の耐久性向上を目的として、それぞれ、Laを含むLaAl1−x(M:1〜5族、12〜14族の元素)のペロブスカイト型複合酸化物にPdを担持した触媒が開示されている。また、特許文献5では、同様に高い触媒活性を得るために、特に、低温活性の向上を図るために、(La,Sr)FeOや(La,Sr)MnOのような希土類元素を含むペロブスカイト型複合酸化物に貴金属元素を担持させることが開示されている。さらに、前記(La,Sr)FeOや(La,Sr)MnOの組成や添加元素を検討し、その耐久性や耐熱性の改善も図られている(特許文献6)。さらに、貴金属の触媒活性の耐久性を向上するために、貴金属Rhがペロブスカイト格子に取り込まれたLa(Fe,Rh)O等の複合酸化物が開示されている(特許文献7、8)。以上のように、ペロブスカイト型複合酸化物は、多くの種類の元素を選択でき、担体として設計幅が広い酸化物であるが、三元触媒の触媒性能を効果的に向上させるには、La等の希土類元素が必須となっている。金属触媒を担持する担体の酸化物、特に、貴金属触媒を使用する場合には、担体とする酸化物は原料コストが低いものが望まれる。即ち、希土類元素のような高価な原料を使用しない酸化物を担体とすることが望ましい。
三元触媒に関して、希土類元素を含まないペロブスカイト酸化物を担体とした例としては、例えば、特許文献9に開示されている。具体的には、希土類元素を含まないAα1−xB’3−δ(ここで、Aは実質的にBa及びSrから選択される1種の元素又は2種の元素の組み合わせを表し、Bは実質的にFe及びCoから選択される1種の元素又は2種の元素の組み合わせを表し、B’は実質的にNb、Ta、及びTiから選択される1種の元素又は2種以上の元素の組み合わせを表し、αは0.95以上1.05以下であり、xは0.05以上0.3以下であり、δは電荷中性条件を満たすように決まる値である。)が開示され、前記複合酸化物に貴金属を担持して三元触媒の浄化性能が示されている。
また、三元触媒に関し、特許文献10では、ペロブスカイト構造は、900度以上の高温で不安定であり、他の成分と反応して触媒活性が低下する、還元雰囲気(リッチ雰囲気)ではペロブスカイト構造が壊れるとして、正方晶系複合酸化物ABO(式中、AはCa、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を表し、BはMn、Fe、Ti、Sn及びVからなる群から選択される少なくとも1種を表す)が有効であるとされ、貴金属を固溶又は担持して三元触媒として示されている。
また、ディーゼルエンジン等の排ガスの窒素酸化物分解触媒であるが、特許文献11では、一般式AB1−x3±z(但し、Aはアルカリ土類元素から選ばれた1種類の金属、Bはチタン族元素から選ばれた1種類の金属、Mは鉄族、白金族または銅族元素から選ばれた1種類の金属、0<x<1、zは常温大気圧時における金属酸化物の酸素欠陥数或は酸素過剰数)で表される複合酸化物の窒素酸化物分解触媒が開示され、前記複合酸化物として、SrTi1−xFe(但しxは0<x<1)で表される組成を有する窒素酸化物(NO)分解触媒が開示されている。前記触媒は、貴金属を使用せずに前記複合酸化物自体が還元触媒作用を有するというものであり、還元剤を使用せずにNOを高い分解率で直接NとOに還元分解することができるとしている。
また、特許文献12には、AM(A:アルカリ金属又はアルカリ土類金属、M:Fe、Co又はNi)複合酸化物、特に、スピネル型AM複合酸化物を貴金属と組み合わせて、ディーゼルエンジン等の排ガス中の微粒子状炭素物質(PM)とNOを除去するのに効果的であるとされている。
また、特許文献13では、直接的な排ガス浄化触媒ではないが、排ガス浄化触媒の助触媒等の酸素ストレージ材として、SrFeOやCaFeO等のATO(A:アルカリ土類金属、T:遷移金属)の複合酸化物を担体として触媒金属を担持し、前記担体に酸素を吸収、放出させることが開示されている。
特開2007−111625号公報 特開2006−81988号公報 特開昭54−159391号公報 特開2005−205280号公報 特開2006−36558号公報 特開2003−175337号公報 特開2004−41866号公報 特開2004−41867号公報 特開2007−160149号公報 再公表WO2004−089538 特開平11−151440号公報 特開2005−66559号公報 特開2006−176346号公報
ディーゼルエンジン排ガスのDOCに関し、上述のように、Ptを主体とした触媒が使用され、その担体にはアルミナが主に使用されている。Ptは、酸化活性に優れており、低温でも活性が高いために、ディーゼルエンジン排ガスのような排ガス温度が低い場合には有効である。しかしながら、Ptは、PdやRhに比べてディーゼル排ガスのようなリーン雰囲気(酸化雰囲気、酸素濃度5〜21%)ではシンタリングが進行しやすく、耐久性が劣るという問題がある。劣化による活性低下を見込んで予めPt量を増やしておくこともできるが、コストが高くなるという問題が生ずる。また、Ptの耐久性を向上させるために、Pdを添加することも行われているが、十分な耐久性が得られていない。
ディーゼルエンジン排ガスに係る触媒として、DOCではないが、特許文献11では、SrTi1−xFe(但しxは0<x<1)等の複合酸化物自体が窒素酸化物を還元分解する触媒作用があるとしている。また、特許文献12では、AM(A:アルカリ金属又はアルカリ土類金属、M:Fe、Co又はNi)複合酸化物を貴金属と組み合わせて、PMとNOの両方を浄化する触媒作用があるとしている。
本発明者らは、アルカリ土類金属MとFeを含む複合酸化物(M−Fe−O系酸化物)粒子で、前記複合酸化物粒子が複数の結晶相を含んだものが、DOC触媒の担体として優れていることを見出した。この担体に貴金属を担持して得られるDOC触媒は、ライトオフ性能と耐久性に優れていることを見出した。しかしながら、図1にあるように、耐久試験を行っても50%転化率の温度(T50)が低くてライトオフ性能に優れるが、更に、80%転化率の温度(T80)をも下げて、より優れたライトオフ性能を有するDOCが出来れば、DPFの再生処理の負担は低くなる。
ガソリンエンジン排ガスの三元触媒に関し、従来の三元触媒は、排ガス中のCO、HC、及びNOを効率よく浄化するために、Ptを主とした貴金属(Pt以外には、Rh、Pd)が使用されている。更に、上述のように、エンジンに供給される空気と燃料の混合比(空燃比)に対してより幅広い範囲で触媒活性を示すように、酸素吸蔵能を有するセリア等の酸化物が担体として使用されている。即ち、理論空燃比より大きいリーン雰囲気(酸素過剰の雰囲気)では、HCとCOの浄化率が高くなり、逆に理論空燃比より小さいリッチ雰囲気(燃料過剰の雰囲気)では、NOの浄化率が高い。セリア等の酸化物は、リッチ雰囲気では気相中に酸素を放出し、リーン雰囲気では気相中の酸素を吸蔵して、貴金属近傍の雰囲気変動を抑制し、その結果として触媒活性ウィンドを広げるものである。しかしながら、セリア等の酸化物を使用しても、その酸素吸蔵能には限界があるために、リーン雰囲気が連続して続くと過剰の酸素を吸収できなくなり、NOの浄化が進まなくなる。反対に、リッチ雰囲気が連続して続くと吸蔵していた酸素を放出してしまい、ある時点から酸素を放出できなくなり、HCやCOの浄化が進まなくなる。したがって、セリア等の酸化物を使用した場合には、適度なサイクルでリーンとリッチを繰り返さないと効果的な排ガス浄化ができないという問題がある。実際には、燃費向上を考えると、リーン条件でエンジンを運転する傾向となるので、リーン雰囲気でも高い触媒活性を示すものが必要である。また、加速や減速等によって、CO、HC、NOの発生量が急激に大きく変化する場合には、前記従来の触媒ではその処理能力に限界がある。セリア以外の酸化物、特に複合酸化物が担体として検討されているが、リーン雰囲気でも高い触媒活性とする担体は開発されていない。発明者らの詳細な検討では、複合酸化物を単相で貴金属触媒を担持して三元触媒とした場合、リーン雰囲気では十分な触媒活性が得られないことが分かっている。また、加速や減速にともなって排気ガス成分が大きく変化する場合にも十分処理できない場合がある。
そこで、本発明者らは、アルカリ土類金属MとFeを含む複合酸化物(M−Fe−O系酸化物)粒子で、前記複合酸化物粒子が複数の結晶相を含んだものが、三元触媒の担体として優れていることを見出した。前記担体に貴金属を担持すると、三元触媒として実車性能に優れ、貴金属の中で高価なPtやRhの使用量を減らしたり、使用しなくても触媒活性が得られたりする、即ち、低コストにできる担体を見出した。実車性能に優れるのは、主に、前記複合酸化物粒子に複数の結晶相が含まれていることにより、リーンからリッチまでの幅広い排ガス条件で触媒活性を高く維持できるためと考えている。しかしながら、三元触媒の更なる低コスト化のためには、更に高い触媒活性が得られる担体が必要である。例えば、NO浄化に優れる三元触媒となる担体である。更に、三元触媒の使用環境に関しても、1000℃を超える温度での耐久試験でも浄化性能の低下がより小さいものが望まれる。
本発明では、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ディーゼルエンジンの排ガス浄化に係るDOCとして、T80が低くてライトオフ性能に優れ、高温耐久性に優れた排ガス用触媒担体、排ガス浄化触媒及び排ガス浄化触媒ハニカム構造体を提供することを目的とする。また、ガソリンエンジンの排ガス浄化に係る三元触媒として、貴金属の使用量を更に低減できる、より高い浄化性能を有し、高温耐久性にも優れた排ガス浄化用触媒担体、排ガス浄化触媒及び排ガス浄化触媒ハニカム構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、アルカリ土類金属MとFeを含む複合酸化物(M−Fe−O系酸化物)粒子であって、前記複合酸化物粒子が複数の結晶相を含んだものが、担体として優れ、貴金属を担持して触媒とすると、DOCとしては、ライトオフ性能と耐久性に優れ、三元触媒としては、実車の浄化性能と耐久性に優れることを見出した。DOCにおけるライトオフ性能をさらに向上する(T80を下げる)ためには、前記複合酸化物のFeの一部をTiで置換することが有効であることを見出し;更に、前記効果を得るには、複数の結晶相が含有する複合酸化物粒子における特定のTi含有量があることを見出し、本発明を完成させた。また、Tiを含有させることでDOCとして高温耐久性が向上することも見出した。
三元触媒における浄化性能(特に、NO浄化性能)を向上させるためには、前記複合酸化物のFeの一部をTiで置換することが有効であることを見出し;更に、前記効果を得るには、複数の結晶相が含有する複合酸化物粒子における特定のTi含有量があることを見出し、本発明を完成させた。また、Tiを含有させることで三元触媒として、1000℃を超える耐久試験において浄化性能の低下を小さくできることも見出した。
すなわち、本発明は、以下の要旨とするものである。
(1)アルカリ土類金属M、Fe、及びTiを含む複合酸化物粒子であって、前記複合酸化物粒子が複数の結晶相を含み、Ti/(Fe+Ti)モル比が、0.01〜0.45であることを特徴とする排ガス浄化用触媒担体。
(2)前記アルカリ土類金属Mが、Sr若しくはCa、又はSrとCaの両方であることを特徴とする上記(1)記載の排ガス浄化用触媒担体。
(3)前記複合酸化物が、M(Fe1−zTi)O2.5±δ、M(Fe1−zTi)1022±δ、M(Fe1−zTi)4±δ、及びM(Fe1−zTi)1219±δ(ここで、zは0.01≦z≦0.45であり、δは電荷中性条件を満たすように決まる値である。)の中から選ばれる結晶相を1種以上含むことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の排ガス浄化用触媒担体。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の排ガス浄化用触媒担体に、貴金属を担持してなることを特徴とする排ガス浄化触媒。
(5)前記貴金属が、Pd、又はPdとPtとの両方であって、前記貴金属の担持率が、0.2質量%〜15質量%であることを特徴とする上記(4)記載の排ガス浄化触媒。
(6)上記(4)又は(5)に記載の排ガス浄化用触媒を、金属製又はセラミックス製のハニカム内壁に被覆したことを特徴とする排ガス浄化触媒ハニカム構造体。
(7)貴金属総量で0.2g/L〜22.0g/Lの貴金属が含まれていることを特徴とする上記(6)記載の排ガス浄化触媒ハニカム構造体。
以上のように、本発明によれば、ディーゼルエンジンの排ガス浄化に関して、DOCのライトオフ性能に優れるので、ディーゼルエンジンの排ガス浄化に係る酸化処理を低温で行うことができる。即ち、例えば、低温の排ガスであっても、酸化反応を起こして排ガス温度を上昇させることができ、DPFに捕集されたPMの燃焼を促進させることが可能になる。更に、DOCとして高温における耐久性に優れるので、ディーゼルエンジンの排ガス浄化に係る酸化処理を、長期に渡り効率よく行うことができる。また、耐久性に優れること(長寿命であること)、Pt使用量を低減できることなどから、前記酸化処理を低コストで行うことができる。
また、本発明によれば、ガソリンエンジンの排ガス浄化に係る三元触媒に関して、実車浄化性能に優れ、かつ耐久性のも優れる三元触媒を提供できる。また、担体に高価な希土類元素を含まず、三元触媒として白金を使用しなくても優れた浄化性能が得られるので、低コスト化が図れる。
DOCにおける転化率−温度曲線、T50、及び、T80の例を示す図 従来のDOC触媒による酸化反応を説明する模式図 本発明に係るDOC触媒による酸化反応を説明する模式図 (a)本発明に係る、2種以上の結晶相(相I(符号11)、相II(符号12)、相III(符号13))を含む複合酸化物粒子のみで起こる酸化反応を説明する模式図 本発明に係るDOC触媒による酸化反応を説明する模式図 (b)本発明のDOC(2種以上の結晶相(相I(符号11)、相II(符号12)、相III(符号13))を含む複合酸化物粒子に貴金属が担持されている)で起こる酸化反応を説明する模式図 (c)本発明のDOCにおける、酸素分子から酸素イオンとして複合酸化物の結晶格子中に取り込む過程を説明する模式図 (d)本発明のDOCにおける、HCやCOを吸着して活性化させ、複合酸化物の格子中の酸素イオンとの反応を促進させる過程を説明する模式図 本発明に係るDOC触媒による酸化反応を説明する模式図 (e)本発明のDOC(2種以上の結晶相(相I(符号11)、相II(符号12))を含む複合酸化物粒子に貴金属が担持されている)で起こる酸化反応を説明する模式図 本発明のDOCにおけるPdやPtの貴金属の担持形態を示す模式図 担体の表面に反応種が吸着しやすい場合において、反応種が担体表面を拡散して反応点(貴金属)まで移動して反応が進行する過程を示す模式図 Tiを含まない複合酸化物(M−Fe−O系酸化物)の反応種の吸着等温線1、及び、Tiが含まれた複合酸化物の反応種の吸着等温線2 M−Fe−O系複合酸化物の表面の電子状態を説明する模式図 (a−1)高酸素濃度雰囲気(ディーゼルエンジン排ガス)におけるTiを含むM−Fe−O系複合酸化物の表面の電子状態を説明する図 (a−2)高酸素濃度雰囲気(ディーゼルエンジン排ガス)におけるTiを含まないM−Fe−O系複合酸化物の表面の電子状態を説明する図 M−Fe−O系複合酸化物の表面の電子状態を説明する模式図 (b−1)低酸素濃度雰囲気(ガソリンエンジン排ガス)におけるTiを含むM−Fe−O系複合酸化物の表面の電子状態を説明する図 (b−2)低酸素濃度雰囲気(ガソリンエンジン排ガス)におけるTiを含まないM−Fe−O系複合酸化物の表面の電子状態を説明する図
本発明の排ガス浄化用触媒担体は、アルカリ土類金属M、Fe、及びTiを含む複合酸化物粒子、即ち、アルカリ土類金属MとFeを含む複合酸化物(M−Fe−O系酸化物)粒子のFeをTiで置換した複合酸化物粒子である。更に、前記複合酸化物粒子が複数の結晶相を含むものである。また、Tiの含有量は、Ti/(Fe+Ti)モル比で、0.01〜0.45の範囲である。このように構成することで、ディーゼルエンジン排ガスの酸素分圧条件(酸素濃度5〜21%)で使用されるDOCに使用した場合、ライトオフ性能に優れ、特に、T80がより低温側になる。また、900℃を超える温度の耐久試験でも、DOC活性の低下が見られないか、又はその低下が極めて小さいものとなる。また、ガソリンエンジン排ガス(酸素濃度3%以下でリーンとリッチの繰り返す排ガス環境である。)の三元触媒に使用した場合、実車における浄化性能が向上する、特に、NO浄化性能が向上する。また、1000℃を超える耐久試験を行っても三元触媒の浄化性能の低下を小さくなり、耐久性に優れたものとなる。
Tiの含有量は、Ti/(Fe+Ti)モル比で、0.01〜0.45の範囲である。Ti/(Fe+Ti)モル比が0.01未満では、Tiの効果が十分得られない。即ち、DOCに関しては、T80が十分低くならない。また、900℃を超える温度の耐久試験で十分な耐久性が得られない。三元触媒に関しては、実車における浄化性能の向上が見られない。特に、NO浄化性能の向上が見られない。一方、Ti/(Fe+Ti)モル比が0.45を超えると、十分な触媒活性が得られるような触媒を作製できない。即ち、DOCに関しては、900℃を超える温度の耐久試験で耐久性が得られるが、低いT80が得られない。三元触媒に関しては、実車における高い浄化性能が得られない。特に、高いNO浄化性能が得られない。Ti/(Fe+Ti)モル比のより好ましい範囲は、0.02〜0.34である。
従来のアルミナ担体100では、Pt等の貴金属200を担持して触媒とした場合、図2に示すように、貴金属200の表面にHCやCOが吸着して活性化され(貴金属200の表面と活性錯合体を形成し)、活性化された化学種が酸素分子と容易に酸化反応を起こす。このような場合には、貴金属粒子が小さく、比表面積が大きいと、高い触媒活性を示す。従って、触媒の耐久性という観点からは、前記状態の貴金属粒子を維持できるもの、即ち、貴金属がシンタリングして粒が粗大化したり比表面積が小さくなったりしない貴金属粒子が、優れた耐久性を示す。逆に、貴金属粒子が少しでもシンタリングして比表面積が低下すると、触媒活性は大きく低下する。特に、ディーゼル排ガスでは酸素分圧(酸素濃度)が大きいので、前記触媒活性の低下が著しいのである。酸素分圧が大きいと、貴金属表面に酸素が安定に吸着して図2のような反応を妨げることになるからである。また、貴金属の中でPtは、酸化触媒活性が高いが、酸化雰囲気でシンタリングしやすいので、DOCとしては耐久性に劣る。
上記従来の触媒活性に対して、本発明者らが開発した担体、即ち、アルカリ土類金属MとFeを含む複合酸化物(M−Fe−O系酸化物)粒子であって、前記複合酸化物粒子が複数の結晶相を含んだ担体では、貴金属を担持して触媒とすると、DOCにおける触媒活性(酸化反応の促進)作用が異なるので、耐久性に優れたものとなっている。
前記複合酸化物は、その結晶格子中の酸素イオン(O2−)が移動し易く、前記酸素イオンがHCやCOの酸化に関与するので、DOCとした場合には触媒活性が高いものになっていると考えている。酸素イオンは、酸素分子Oに比べて活性が高く(活性酸素)、酸化反応に有効であることが知られている。しかしながら、酸素濃度勾配がなければ、酸素イオンが移動し易い酸化物が単にあっても、酸素イオンは発生せず、酸化反応は促進されない。本発明では、前記複合酸化物粒子に複数の結晶相(少なくとも2種の結晶相)を含んでおり、ケミカルポテンシャルの異なる相が接触した構造であるので、ケミカルポテンシャルの高い方から低い方に向かって(ケミカルポテンシャルの差が駆動力となって)酸素イオンが移動することができる。したがって、酸素濃度勾配を故意に作らなくても、図3(a)に示すように、酸素分子を酸素イオンとして取り込みながら、HCやCOを酸素イオンで酸化するという反応サイクルが形成される。複合酸化物粒子が一種類の結晶相で構成されている場合は、このような現象は起こらない。即ち、本発明に係る複合酸化物粒子10では、酸素分子から酸素イオンとして取り込み口(図3(a)および図3(e)における相II(符号12))と、酸素イオンを放出する部位(図3(a)および図3(e)における相I(符号11))と、任意の相(図3(a)における相III(符号13))と、を有するのが特徴である。
酸素分子から酸素イオンとして複合酸化物の結晶格子中に取り込むには、次式(1)のような酸素分子が酸素イオンに解離させる必要があるが、低温(例えば、400〜500℃以下)では酸素分子の解離が起こり難い。よって、本発明では、Pd又はPtの貴金属20が担持されており(図3(b))、その役割の一つとして低温での酸素分子の解離を次式(2)のようにして促進させている(図3(c))。
+ 2e → 2O2− ・・・(1)
→ O−貴金属 → O2−―貴金属 → [O2−]格子 ・・・(2)
ちなみに、高温(複合酸化物の種類にもよるが、例えば、400〜500℃を超える温度)では、貴金属20がなくても、複合酸化物粒子10の表面で酸素分子の解離が起こり、複合酸化物10の結晶格子中に酸素イオンが取り込まれる。
更に、担持されている貴金属20のもう一つの役割として、HCやCOを吸着して活性化させ、複合酸化物10の格子中の酸素イオンとの反応を促進させる(図3(d))。
以上のような反応過程で触媒活性を示すものであるので、特に、反応式(1)又は(2)に関わる反応が律速となって、酸素分圧P(O)の高くなる方が活性酸素である酸素イオンO2−の形成が進行し易く、その生成量が多くなる。よって、DOC活性として優位な効果が現れるのは、酸素分圧(酸素濃度)が5%以上からである。即ち、本発明の触媒では、ディーゼルエンジンの排ガスのような酸素分圧が高い場合に、DOCとしての触媒作用が顕著に現れる。
また、本複合酸化物ではそのカチオン構成から結晶格子中の酸素イオンの電子密度が高くなっている(大きく分極している)ので、図4のように、本発明の複合酸化物10に担持された貴金属20は、複合酸化物10と、Pt−O結合(図4(a)参照)やPd−O結合(図4(b)参照)を形成し易く(貴金属との相互作用が強く)、高温においても貴金属の表面拡散が抑制される傾向にある。その結果、貴金属の凝集(シンタリング)が抑制され、耐久性に優れる。また、上記反応過程(図3参照)では、多少の貴金属凝集があっても、図2のような触媒作用とは異なり、触媒活性はほとんど変化せず、優れた耐久性を示すもう一つの要因となっている。また、酸素分圧が大きくても、上述のようなメカニズムで貴金属の表面に吸着した酸素分子や酸素イオンは常に移動しているので、従来触媒のように酸素が安定に吸着して触媒活性が低下するということは起こらない。
以上のような複合酸化物粒子を用いると、耐久性が高く、ライトオフ性能に優れた、即ち、図1の転化率−温度曲線が低温側にシフトしたDOCを形成できるが、更に、転化率−温度曲線における高転化率域(T80)を低温側にシフトさせるには、上述のように、Tiを含有させ、その含有量を、Ti/(Fe+Ti)モル比で、0.01〜0.45の範囲にすることで可能となるのを見出した。この理由は、次のように考えている。
反応速度は、反応種(反応ガス)の濃度(分圧)に依存するので、反応が進行し、転化率が高くなっていくと、反応種(ここでは、HCやCOである。Oも反応種であるが、ディーゼルエンジンの排ガス条件では過剰に存在するので一定濃度と考えてよい。)が少なくなり(例えば、T80では)、更なる反応が進行しにくくなる。ところが、担体である複合酸化物粒子10の表面に反応種が吸着しやすいと、反応種の濃度が低下しても反応種は複合酸化物粒子10の表面に吸着し、更に、反応点(貴金属20)まで表面を拡散して反応が進行する(図5)。図6に示したように、Tiを含まない複合酸化物(M−Fe−O系酸化物)の反応種の吸着等温線1は、相対圧力が小さい(反応種の分圧が小さい)と吸着量が少ないが、Tiが含まれた複合酸化物の反応種の吸着等温線2は、相対圧力が小さくても吸着量が多い。即ち、Tiが含まれると複合酸化物粒子の表面状態(電子密度とその分布状態)が変化して(図7(a−1)、図7(a−2))、反応種を吸着し易くなっている。その為に、図5のような反応が起こり、その結果、T80が低温側にシフトする。
また、複数相を含むM−Fe−O系複合酸化物粒子は、通常のディーゼル排ガス温度条件(900℃以下)では耐久性に優れるが、前述の条件でTiが含まれると、更に高温における耐久試験でもDOC活性の低下が抑制される。特に、Tiが含有されて耐久性が向上するという効果は、本発明の複合酸化物粒子と他の酸化物粒子(酸化鉄よりも酸性の酸化物)とが共存している場合に顕著に現れる。
上述のように、複数相を含むM−Fe−O系複合酸化物粒子に貴金属を担持して、ガソリンエンジンの排ガス浄化用の三元触媒とした場合には、排ガスの成分、温度、空燃比(A/F)等の幅広い条件で総合的に優れた排ガス浄化性能となる。前記複合酸化物の各結晶相をそれぞれ単独(単相)で触媒担体として三元触媒を担持した場合には、COの酸化反応、HCの酸化反応、HCの部分酸化反応、NO還元反応、部分酸化HCを還元剤としたNO還元反応に作用する三元触媒の触媒効果が前記結晶相によって異なったり、各相によって触媒作用温度域が異なったり、各相によってA/Fのウィンド領域が異なったりする。これは、触媒担体が、単に金属粒子を高分散化して凝集を防ぎ、有効な金属触媒の表面積を維持する効果だけでなく、担持した触媒金属粒子の電子状態や特性を変化させ、触媒作用や触媒効果にも影響することによるものである。したがって、前記複合酸化物を単相でみると、特定の条件では触媒効果が優れているが、その触媒効果を発揮する範囲が限定される。しかし、前記複合酸化物を複数相とすることにより、触媒効果の最大値は単相の場合ほど大きくならないが、触媒効果を発揮する範囲が広くなり、実際の負荷変動するエンジンの排ガス浄化に対しては優れた排ガス浄化性能を示す。すなわち、負荷変動するエンジンの排ガス(モード試験等)では、排ガスの成分、温度、A/F等が常に変動しているので、特定の条件下での排ガス浄化に特別に優れるよりは、幅広い条件下での排ガス浄化に優れるほうが、総合的に優れた排ガス浄化性能となる。
更に、複数相を含むM-Fe-O系複合酸化物粒子にTiを含有させて、貴金属を担持して三元触媒にすると、上述のように、実車における浄化性能がより向上する、特に、NO浄化性能が顕著に向上する。ガソリンエンジンの排ガスのような酸素濃度が低い環境(通常、3%以下)で、上述のような複数相が複合して実車運転のような排ガス条件の変動に幅広く対応できるという効果が顕著に現れるが、更に、Tiが含有された複数相からなる粒子が担体であると、反応種が担体表面に吸着しやすくなって担持されている貴金属の触媒作用を助長させているようである。特に、酸素濃度が低い環境においては、NOを吸着し易くなり、その結果、NO浄化性能が顕著に向上するものと考える。これは、Tiが含有されていても単相では顕著な効果が見られないことから、Tiが含有された2つの相の界面がNOの表面拡散を促進している、或いは、Tiが含有された2つの相の界面近傍がNOを吸着させやすい電子状態になっていると推測できる(図7(b-1)、図7(b-2))。
更に1000℃を超える耐久試験を行っても、三元触媒の浄化性能の低下が小さくなるという効果も得られる。特に、特に、Tiが含有されて耐久性が向上するという効果は、本発明の複合酸化物粒子と他の酸化物粒子(酸化鉄よりも酸性の酸化物)とが共存している場合に顕著に現れる。
アルカリ土類金属M、Fe、及びTiを含む複合酸化物粒子に含まれる結晶相としては、例えば、一般式でM(Fe,Ti)として表されるものが挙げられる。具体的な例としては、例えば、M(Fe1−zTi)O2.5±δ、M(Fe1−zTi)4±δ、M(Fe1−zTi)1022±δ、M(Fe1−zTi)8±δ、M(Fe1−zTi)O3.5±δ、M(Fe1−zTi)6±δ、M(Fe1−zTi)1426±δ、M(Fe1−zTi)11±δ、M(Fe1−zTi)7±δ、M(Fe1−zTi)1423±δ、M(Fe1−zTi)3251±δ、M(Fe1−zTi)17.5±δ、M(Fe1−zTi)13±δ、M(Fe1−zTi)5.5±δ、M(Fe1−zTi)1525.5±δ、M(Fe1−zTi)9±δ、及びM(Fe1−zTi)1219±δ(ここで、zは0.01〜0.45で、δは電荷中性条件を満たすように決まる値である。)等である。zのより好ましい範囲は、0.02〜0.34である。また、前記結晶相の中でも、M(Fe1−zTi)O2.5±δ、M(Fe1−zTi)1022±δ、M(Fe1−zTi)4±δ、及びM(Fe1−zTi)1219±δ(ここで、zは0.01≦z≦0.45であり、δは電荷中性条件を満たすように決まる値である。)の中から選ばれる結晶相を1種以上含む複合酸化物粒子が、浄化性能に優れるのでより好ましい。前記複合酸化物の結晶相は、酸化物の結晶解析方法で分析できるものである。例えば、X線回折法、電子線回折法、中性子線回折法等を使用して、結晶相を判定、定量できる。
前記複合酸化物に含まれるアルカリ土類金属Mとしては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びRaが挙げられる。前記アルカリ土類金属は、1種又は2種以上使用できる。Feとの複合酸化物の形成しやすさから、好ましいMは、Mg、Ca、Sr、Baである。更に、Sr若しくはCa、又はSrとCaの両方であることより、DOC及び三元触媒とした場合に優れた触媒性能が得られる。
本発明において、「結晶相が複数(2種類以上)含まれる」とは、例えば、第1の結晶相と第2の結晶相が2種類存在する場合、第2の結晶相が結晶相全体の0.5モル%以上含まれることをいう。第2の結晶相が、0.5モル%未満では、第1の結晶相の単相とほぼ同程度の性能となり、複数の結晶相としている上述の効果が得られないことがある。1つの粒子に、第1の結晶相と、他の1種又は2種以上の他の結晶相が存在し;前記他の1種又は2種以上の他の結晶相の含有量が、3モル%以上または5モル%以上であること、あるいは9モル%以上、さらには12モル%以上であることが好ましい場合がある。20モル%以上であることも可能である。また、本発明の効果が得られる上述のメカニズムを考えれば、1つの粒子内に存在する結晶相の数は複数あれば効果が得られるものであるので、結晶相の数は複数であればいくつ存在してもよい。但し、1つの粒子に6つ以上の結晶相を含む粒子を作製するのは製造条件が複雑になり効率的に得られない場合がある。また、1つの粒子に存在する複数の結晶相のサイズは、粒子サイズ未満であって、2〜5nmサイズであっても本発明の効果が得られるものである。
本発明に係る複合酸化物粒子の粒子サイズは、製造効率、及び貴金属を効果的に担持できるという理由により、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積累積基準D50(中心粒径)で、0.5μm〜10.0μmの範囲が好ましい。1.0μm〜5.0μmの範囲がより好ましい。通常の酸化物担体では、粒径が100nm以下の小さい方が貴金属を微細に分散できるので好ましいが、本発明では、上述の反応過程で触媒活性を示すので、そのような小さな粒子にしなくても十分な触媒活性が得られる。したがって、中心粒径D50が0.5μm未満では、触媒活性としては問題ないが、製造過程における粉砕等による粒径調製に時間がかかり、経済的ではない場合がある。一方、中心粒径D50は10.0μmを超えると、触媒金属を均一に分散担持することは難しくなり、触媒金属が多量に必要となる場合がある。また、前記複合酸化物粒子の比表面積は、前記と同様に、製造効率、及び貴金属を効果的に担持できるという理由より、1〜20m/gの範囲が好ましい。比表面積が1m/g未満では、貴金属を高分散できなかったり、担持過程で貴金属の凝集が起こったりする場合がある。一方、比表面積が20m/gを超えると、複合酸化物粒子の調製が経済的でなかったり、スラリー調製の際に分散させるのが難しかったりする場合がある。
本発明の排ガス浄化用触媒担体は、貴金属を担持することで排ガス浄化触媒(DOC、三元触媒)が得られる。担持する貴金属としては、例えば、白金Pt、ロジウムRh、パラジウムPd等が挙げられる。中でも、Pd、又はPdとPtとの両方が担持されているのが好ましい。DOCを低温活性化(ライトオフ性能の向上)するためには、Pdの担持率を高める必要があるが、PDは廉価である。一方、Ptは高価であるが、DOCの低温活性(ライトオフ性能)化に優れている。PdとPtは、ディーゼルエンジンのエンジンマネージメント、後処理設計等の目的とコストに合わせて選択し、使用量を決定すればよい。特に、PdとPtとの両方の貴金属を担持するのが、性能とコストを両立させ易くなるので、好ましい。三元触媒に関し、本発明の排ガス浄化用触媒担体に担持した場合には、PtとPdとは同程度の触媒性能を示すので、コストの観点から、Pdのみを使用するのが好ましい。前記貴金属の担持率(貴金属と複合酸化物の総質量に対する貴金属の質量の百分率)は、前述のように目的に合わせて設計するので特に限定しないが、0.2質量%〜15質量%であるのがより好ましい。0.2質量%未満では、ハニカム基材にコートする場合に、貴金属量(g/L)を高くしようとすると触媒層を厚くコートすることになり、ハニカム基材のセル(貫通孔)口が小さくなって圧損が大きくなる場合がある。15質量%を超えると、排ガス浄化用触媒担体の表面に貴金属が微細分散し難くなり、十分な触媒活性が得られない場合がある。本発明の排ガス浄化用触媒担体におけるより好ましい貴金属担持率は、0.3質量%〜4.3質量%である。
本発明の排ガス浄化触媒は、活性アルミナやセリア(セリア−ジルコニア)等の他の酸化物担体に貴金属を担持した触媒と混合して使用してもよい。
本発明に係る、アルカリ土類金属M、Fe、及びTiを含む複合酸化物粒子は、固相反応法、共沈法やゾル・ゲル法などの液相法、化学気相析出法、レーザーアブレーション法等のどのような方法で、製造してもよい。例えば、固相反応法と共沈法による製造方法を以下に説明する。
固相反応法による製造では、出発原料として、アルカリ土類金属Mの酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩、硫酸塩など;Feの酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩など;Tiの酸化物などが使用できる。前記M、Fe、Tiの出発原料を所望の組成になるようにそれぞれ秤量し、混合した後、800〜1250℃の範囲内で仮焼する。前記出発原料の混合は、湿式、乾式のいずれでもよく、乳鉢混合、ボールミル、遊星ボールミル、ドラムミキサー、ピンミル等既存の方法であればどのような方法でもよい。仮焼して得られる複合酸化物は、粉砕し、場合によっては分級して、使用される。
共沈法による製造では、出発原料として、アルカリ土類金属Mの硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩など;FeとTiの硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、塩化物、キレート錯体、有機酸塩などが使用できる。前記M、Fe、Tiの出発原料を所望の組成になるようにそれぞれ秤量し、水に溶解する。pH調整剤を添加して溶液のpHを中性〜塩基性にして、又は共沈剤(シュウ酸塩、クエン酸塩等)を添加して、溶解しているM、Ti、Feのイオンを共沈させる。共沈物をろ過あるいは遠心分離で分離・洗浄して、乾燥した後、800〜1250℃の範囲内で仮焼する。仮焼して得られる複合酸化物は、必要に応じて、粉砕、分級して使用される。
本発明に係る複合酸化物粒子に複数(2種以上)の結晶相を含むようにするには、前記それぞれの製造方法で、複合酸化物単相の化学量論比とは異なる原料組成として、仮焼後に複数相として形成されるようにする。すなわち、複数の金属が単一の複合酸化物を形成しない組成の原料を用いることで、複数の結晶相を含む複合酸化物粒子を製造することができる。例えば、先のM(Fe,Ti)の場合、原料におけるMと(Fe,Ti)との組成比を、化学量論的に単一結晶相(単一化合物)を形成しない組成とする。原料におけるMと(Fe,Ti)との組成比(モル比)が、単一結晶相を形成する組成から、少なくとも0.005、少なくとも0.03、少なくとも0.05、さらには少なくとも0.09、少なくとも0.20異なることが好ましい。
本発明に係る複合酸化物粒子に貴金属を担持する方法は、特に限定しないが、例えば、以下の方法で担持できる。水溶性の貴金属塩、例えば、硝酸塩、亜硝酸塩、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、アンミン錯体等、又は、貴金属コロイドを水に加え、更に前記溶液中に前記複合酸化物粒子を加えて攪拌、超音波分散等で分散する。前記懸濁溶液の水分を除去し、乾燥させた後、400〜900℃の範囲で熱処理して、前記貴金属を担持した、本発明の排ガス浄化触媒を作製できる。前記熱処理温度のより好ましい範囲は、450〜700℃である。
本発明の排ガス浄化触媒は、セラミックス製又は金属製のハニカムにウォッシュコートして排ガス浄化触媒ハニカム構造体(DOCハニカム構造体、三元触媒ハニカム構造体)とすることができる。本発明で使用できるセラミックスハニカムは、特に限定されないが、例えば、コージエライトハニカム、炭化珪素ハニカム等が挙げられる。また、本発明で使用できる金属ハニカムも、特に限定されないが、例えば、ステンレスハニカムやAl富化ステンレスハニカム等が挙げられる。
本発明のディーゼル排ガス酸化触媒をハニカムにウォッシュコートする場合には、まず、触媒及び結合材等が分散するスラリーを調製し、その中にハニカムを浸漬する、又は、前記スラリーをハニカム内部に流入させる。結合剤としては、例えば、硝酸アルミニウム、コロイダルシリカ、有機バインダー、ρ−アルミナ等が挙げられる。次いで、ハニカム表面の余剰スラリーを吹き飛ばす等の方法で取り除き、乾燥した後、500〜900℃の温度で熱処理する。尚、前記スラリーをハニカム内部に流入させる場合は、前記スラリーがハニカム内壁にのみ塗布されるようになるが、その方法の一つとして、ハニカムを装着する治具を工夫して前記スラリーを吸い上げる方法がある。
本発明のディーゼル排ガス触媒ハニカム構造体では、貴金属の含有量が、0.2g/L〜22.0g/Lの範囲であることが好ましい。0.2g/L未満では、ディーゼル排ガス触媒ハニカム構造体として十分な触媒性能を発揮できない場合がある。22.0g/Lを超えると、排ガス酸化触媒ハニカム構造体の触媒性能が飽和し、貴金属量を増やしてもそれ以上触媒性能が向上しない場合がある。貴金属の含有量は、より好ましくは0.4g/L〜11.0g/Lであり、更に好ましくは0.8g/L〜8g/Lである。
(実施例1)
アルカリ土類金属M、Fe、Tiの複合酸化物で、複数の結晶相を含む複合酸化物粒子を調製して担体とし、前記担体に貴金属の担持し、ディーゼル排ガス酸化触媒(DOC)を作製して評価した。
アルカリ土類金属Mの原料として炭酸塩(MCO)を、Fe,Tiの原料として酸化物(Fe、TiO)を用いた。表1(表1−1〜1−4)の「アルカリ土類金属Mのモル比」欄、「M/(Fe+Ti)モル比」欄、及び「Ti/(Fe+Ti)モル比(z値)」欄に示したように、M,Fe,Tiのモル比の関係で、前記原料を秤量して、ボールミルで混合した。前記混合粉末を、表1の「仮焼温度(℃)」欄に示した900〜1100℃で5時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕した。前記粉砕粉末を、更に、同温で5時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕し、本発明に係る複合酸化物粒子と比較例となる複合酸化物粒子を作製し、担体とした。これらの作製した各複合酸化物粒子の中心粒子径D50は、1.3μm〜5.5μmの間であり、比表面積は、2.1m/g〜3.2m/gの間であった。
得られた粒子からなる粉末は、粉末X線回折法によって、含まれる結晶相を同定した。X線の回折ピークの面積から、それぞれの含有量を算出した。検量線は、単相の回折ピーク面積を用いて作成した。また、1つの粒子に複数の結晶相が存在することは、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒子を観察し、電子線回折を利用して確認した。
また、従来の触媒として、γ−アルミナを担体として試験した。ここで使用したγ−アルミナの中心粒径D50は0.06μmで、比表面積は、90.4m/gであった。
ここで、比表面積の測定には、日本ベル社製比表面積測定装置を用い、窒素ガス吸着によるBET法により求めた。また、粒径の測定には、島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した。
次に、上記の担体に、以下のようにして表1に示した貴金属を各担持率で担持した。具体的には、白金コロイド、硝酸パラジウム、硝酸ロジウムを用いて、Pt、Pd、Rhをそれぞれ担持した。白金コロイド、硝酸パラジウム、硝酸ロジウムを含む水溶液と前記担体の粉末100gをロータリーエバポレータに入れ、まず、常温、減圧下で回転攪拌しながら脱泡処理をした。常圧に戻して60〜70℃の間で加熱した後、減圧して脱水、乾燥した。常温まで冷却後、常圧に戻して固形物を取り出し、180℃で2時間乾燥した。乾燥した固形物(粉末)を大気中600℃で3時間熱処理した。以上の操作により、貴金属を担体に担持した触媒粉末を作製した。
次に、上記触媒粉末を用いて、スラリーを作製し、ハニカムにウォッシュコートした。
表1に示した触媒粉末をそれぞれ19質量部、ρ−アルミナ5質量部、純水7質量部と、結合剤として市販メチルセルロース溶液(固形分2.5質量%)10質量部を攪拌しながら添加し、さらに消泡剤を添加して、混合してスラリーとした。
前記触媒粉末をウォッシュコートするハニカムとして、直径が25.4mm、長さが25.4mm、ハニカムのセル密度として1インチ(25.4mm)平方当たり300セルである円筒型のステンレス鋼製ハニカムを用いた。前記スラリーをハニカム内壁に塗布し、乾燥した。その後、大気中650℃で1時間熱処理することによって、本発明及び比較例の触媒粉末をウォッシュコートしてなるステンレス鋼製ハニカム触媒構造体を得た。尚、前記ハニカムに固定された総貴金属量は、表2(表2−1〜2−2)に示しているように2.6g/Lである。
前記作製したハニカム触媒構造体に関し、以下のようにしてDOC触媒性能評価を行った。ディーゼル排ガスの模擬ガスとして、THC(プロパン、C):550ppm(1650ppmC)、NO:500ppm、CO:1200ppm、O:9%、HO:10%、N:バランスを用いた。ここで、HCを、総HC(total hydrocarbons)としてTHCで表している。SV(空間速度):120,000h−1で前記模擬ガスをハニカム触媒構造体に流し、触媒の温度を常温から600℃まで電気炉で加熱し、各温度における触媒通過後のガス組成をガスクロマトグラフ及びNO計で測定した。THC転化率(%)を100×{1−[THC]out/[THC]in}とし、CO転化率(%)を100×{1−[CO]out/[CO]in}として、触媒通過前後のTHCとCOの濃度変化から、DOC触媒活性を求めた。各温度における転化率を測定して、図1に示すような転化率−温度曲線から転化率が80%となる温度T80を求めて、表3(表3−1〜3−2)に示したように、各触媒のDOC触媒活性を比較した。
触媒の耐久性については、ハニカム触媒構造体を空気中で950℃、72h熱処理した後に、上記と同様にDOC触媒性能評価を行い、T80を熱処理前後で比較した。
表3は、表2の結果を整理したものである。未熱処理(耐久試験を行う前の初期触媒)におけるTHC転化率のT80とCO転化率のT80は、それぞれ、従来触媒で使用されるγ−アルミナを担体として使用した場合の結果(No.1−68)と比較して、No.1−68のT80以上の場合は「×」とし、No.1−68のT80との差が5℃未満の低下の場合は「△」、No.1−68のT80との差が10℃未満の低下の場合は「○」、10℃以上の低下が見られた場合は「◎」として表し、「○」及び「◎」が本発明の効果が見られたものと判断した。また、耐久試験を行う前の初期触媒のTHC転化率のT80とCO転化率のT80と比べて、950℃で耐久試験を行った後のそれぞれのT80について、15℃を超える低下(温度上昇)があった場合は「×」、10℃を超え15℃以下であった場合は「△」、5℃を超え10℃以下であった場合は「○」、0℃(T50の変化無し)以上5℃以下であった場合は「◎」として表し、「○」及び「◎」が本発明の効果が見られたものと判断した。
表1〜表3に示すように、実施例No.1−2〜1−4、No.1−7〜1−9、No.1−13〜1−17、No.1−19〜1−26、No.1−29〜1−33、No.1−35〜1−40、No.1−43〜1−47、No.1−49〜1−67は、複数の結晶相を含む、アルカリ土類金属M−Fe−O系複合酸化物粒子に、Tiが含有され、その含有量がTi/(Fe+Ti)モル比で0.01〜0.45の範囲内であるので、T80に優れた結果となっており、耐久性にも優れている。比較例No.1−1、No.1−6、No.1−11、No.1−27、No.1−41は、複数の結晶相を含む、アルカリ土類金属M-Fe-O系複合酸化物粒子に、Tiが含有されていないので、実施例ほどの優れたT80は得られていない。また、比較例No.1−12、No.1−28、No.1−42は、複数の結晶相を含む、アルカリ土類金属M−Fe−O系複合酸化物粒子に、Tiが含有されているものの、含有量が少な過ぎるので、本発明の効果が得られていない。反対に、比較例No.1−5、No.1−10、No.1−18、No.1−34、No.1−48では、Tiの含有量が多すぎてT80が低温側にシフトせず、寧ろ、DOC活性が低下している。
Figure 0005307644
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(実施例2)
アルカリ土類金属M、Fe、Tiの複合酸化物で、複数の結晶相を含む複合酸化物粒子を調製して担体とし、前記担体に貴金属の担持し、三元触媒を作製して評価した。
アルカリ土類金属Mの原料として炭酸塩(MCO)を、Fe,Tiの原料として酸化物(Fe、TiO)を用いた。表4(表4−1〜4−4)の「アルカリ土類金属Mのモル比」欄、「M/(Fe+Ti)モル比」欄、及び「Ti/(Fe+Ti)モル比(z値)」欄に示したように、M,Fe,Tiのモル比の関係で、前記原料を秤量して、ボールミルで混合した。前記混合粉末を、表4の「仮焼温度(℃)」欄に示した900〜1100℃で5時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕した。前記粉砕粉末を、更に、同温で5時間仮焼し、仮焼粉末をボールミルで粉砕し、本発明に係る複合酸化物粒子と比較例となる複合酸化物粒子を作製し、担体とした。これらの作製した各複合酸化物粒子の中心粒子径D50は、1.3μm〜5.5μmの間であり、比表面積は、2.1m/g〜3.2m/gの間であった。
得られた粒子からなる粉末は、粉末X線回折法によって、含まれる結晶相を同定した。X線の回折ピークの面積から、それぞれの含有量を算出した。検量線は、単相の回折ピーク面積を用いて作成した。また、1つの粒子に複数の結晶相が存在することは、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒子を観察し、電子線回折を利用して確認した。
また、従来の触媒として、γ−アルミナを担体として試験した。ここで使用したγ−アルミナの中心粒径D50は0.06μmで、比表面積は、90.4m/gであった。
ここで、比表面積の測定には、日本ベル社製比表面積測定装置を用い、窒素ガス吸着によるBET法により求めた。また、粒径の測定には、島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した。
次に、上記の担体に、以下のようにして表4に示した貴金属を各担持率で担持した。具体的には、白金コロイド、硝酸パラジウム、硝酸ロジウムを用いて、Pt、Pd、Rhをそれぞれ担持した。白金コロイド、硝酸パラジウム、硝酸ロジウムを含む水溶液と前記担体の粉末100gをロータリーエバポレータに入れ、まず、常温、減圧下で回転攪拌しながら脱泡処理をした。常圧に戻して60〜70℃の間で加熱した後、減圧して脱水、乾燥した。常温まで冷却後、常圧に戻して固形物を取り出し、180℃で2時間乾燥した。乾燥した固形物(粉末)を大気中600℃で3時間熱処理した。以上の操作により、貴金属を担体に担持した触媒粉末を作製した。
次に、上記触媒粉末を用いて、スラリーを作製し、ハニカムにウォッシュコートした。
表4に示した触媒粉末をそれぞれ19質量部、水酸化アルミニウム4質量部、純水7質量部と、結合剤として市販メチルセルロース溶液(固形分2.5質量%)10質量部を攪拌しながら添加し、さらに消泡剤を添加して、混合してスラリーとした。
前記触媒粉末をウォッシュコートするハニカムとして、直径が40mm、長さが45mm、ハニカムのセル密度として1インチ(25.4mm)平方当たり300セルである円筒型のステンレス鋼製ハニカムを用いた。前記スラリーをハニカム内壁に塗布し、乾燥した。その後、大気中650℃で2時間熱処理することによって、本発明及び比較例の触媒粉末をウォッシュコートしてなるステンレス鋼製ハニカム触媒構造体を得た。尚、前記ハニカムに固定された総貴金属量は、表5(表5−1〜5−2)に示したように、1.4g/Lである。
前記作製したハニカム触媒構造体で、以下のようにして触媒性能評価を行った。
触媒性能評価を行うためには、実用車両(排気量125mLエンジン)を用いた試験を実施した。まず、前記作製したハニカム触媒構造体をマフラーに溶接にて装着した。すべて装着した後に、排気ガス系統からのガス漏れがないことを確認した。また、評価を行う前には暖機運転を行い、その後も排気ガス系統からのガス漏れがないことを確認して評価を実施した。試験方法は国土交通省が定めた試験方法(TRIAS)に準じて行った。走行モードとしては、EU二輪車モーターサイクル・テストサイクルにて実施した。
耐久性試験については、ハニカム触媒構造体を、1%CO還元雰囲気(Nバランス)1時間と2%O酸化雰囲気(Nバランス)1時間と繰り返して1050℃、48h熱処理した後に、上記と同様に触媒性能評価を行った。
CO、THC、NOの浄化率としての評価結果を表5に示す。表5で、各浄化率は、触媒無しでの同条件にける排ガス成分量を100として、触媒を設置した場合の各排ガス成分量の減少割合を質量%で計算し、浄化率性能の欄には、
CO浄化率 ×:65%未満、△:65%以上、○:68%以上、◎:75%以上
THC浄化率 ×:65%未満、△:65%以上、○:68%以上、◎:75%以上
NO浄化率 ×:18%未満、△:18%以上、○:22%以上、◎:26%以上、◎◎:30%以上
として結果を表した。
表4〜表5に示すように、実施例No.2−2〜2−4、No.2−7〜2−9、No.2−13〜2−17、No.2−19〜2−26、No.2−29〜2−33、No.2−35〜2−39、No.2−42〜2−46、No.2−49〜2−67は、複数の結晶相を含む、アルカリ土類金属M−Fe−O系複合酸化物粒子に、Tiが含有され、その含有量がTi/(Fe+Ti)モル比で0.01〜0.45の範囲内であるので、浄化率に優れ、全体にNO浄化率に優れた結果となっており、耐久性にも優れている。比較例No.2−1、No.2−6、No.2−11、No.2−27、No.2−40は、複数の結晶相を含む、アルカリ土類金属M−Fe−O系複合酸化物粒子に、Tiが含有されていないので、実施例ほどの優れた浄化率は得られていない。また、比較例No.2−12、No.2−28、No.2−41は、複数の結晶相を含む、アルカリ土類金属M−Fe−O系複合酸化物粒子に、Tiが含有されているものの、含有量が少な過ぎるので、本発明の効果が得られていない。反対に、比較例No.2−5、No.2−10、No.2−18、No.2−34、No.2−47では、Tiの含有量が多すぎて浄化率が悪くなっている。
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本発明の排ガス浄化用触媒担体、排ガス浄化触媒又は排ガス浄化触媒ハニカム構造体によれば、触媒性能が高く、耐久性に優れているので、貴金属量を少なくできる。特に、Ptの使用量を少なくできるか、或いはPtを使用しなくてもよいので、低コストになる。
1 Tiを含まない複合酸化物(M−Fe−O系複合酸化物)の反応種の吸着等温線
2 Tiが含まれた複合酸化物(M−Fe,Ti−O系複合酸化物)の反応種の吸着等温線

Claims (7)

  1. アルカリ土類金属M、Fe、及びTiを含む複合酸化物粒子であって、前記複合酸化物粒子が複数の結晶相を含み、Ti/(Fe+Ti)モル比が、0.01〜0.45であることを特徴とする排ガス浄化用触媒担体。
  2. 前記アルカリ土類金属Mが、Sr若しくはCa、又はSrとCaの両方であることを特徴とする請求項1記載の排ガス浄化用触媒担体。
  3. 前記複合酸化物が、M(Fe1−zTi)O2.5±δ、M(Fe1−zTi)1022±δ、M(Fe1−zTi)4±δ、及びM(Fe1−zTi)1219±δ(ここで、zは0.01≦z≦0.45であり、δは電荷中性条件を満たすように決まる値である)の中から選ばれる結晶相を1種以上含むことを特徴とする請求項1又は2記載の排ガス浄化用触媒担体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒担体に、貴金属を担持してなることを特徴とする排ガス浄化触媒。
  5. 前記貴金属が、Pd、又はPdとPtとの両方であって、前記貴金属の担持率が、0.2質量%〜15質量%であることを特徴とする請求項4記載の排ガス浄化触媒。
  6. 請求項4又は5に記載の排ガス浄化用触媒を、金属製又はセラミックス製のハニカム内壁に被覆したことを特徴とする排ガス浄化触媒ハニカム構造体。
  7. 貴金属総量で0.2g/L〜22.0g/Lの貴金属が含まれていることを特徴とする請求項6記載の排ガス浄化触媒ハニカム構造体。
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