JP5328947B2 - 局所投与のためのオロパタジン処方物 - Google Patents
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Description
本発明は、アレルギー性疾患および炎症性疾患の処置のために使用される局所処方物に関する。より詳しくは、本発明は、オロパタジンの処方物ならびに目および鼻のアレルギー障害または炎症性障害を処置および/または予防するためのそれらの使用に関する。
米国特許第4,871,865号および同第4,923,892号(共にBurroughs Wellcome Co.に譲渡された(「Burroughs Wellcome特許」))に教示されるように、ドキセピンの特定のカルボン酸誘導体(オロパタジン(化学名:Z−11−(3−ジメチルアミノプロピリデン)−6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピン−2−酢酸)を含む)は、抗ヒスタミン活性および抗喘息活性を有する。これら2つの特許は、ドキセピンのカルボン酸誘導体を、抗喘息作用を有するマスト細胞安定剤として分類している。なぜなら、それらは、マスト細胞からのオータコイド(すなわち、ヒスタミン、セロトニンなど)の放出を阻害し、そして標的組織に対するヒスタミンの効果を直接に阻害すると考えられるからである。Burroughs Wellcome特許は、ドキセピンのカルボン酸誘導体を含有する種々の薬学的処方物(式点鼻スプレー処方物および眼用処方物を含む)を教示する。例えば、’865特許のカラム7、7〜26行目、ならびに実施例8(H)および8(I)を参照のこと。
本発明は、目のアレルギー性障害または炎症性障害を処置するために1日1回製品として有効な局所的オロパタジン処方物および鼻のアレルギー性障害または炎症性障害を処置するために有効な局所的オロパタジン処方物を提供する。本発明の処方物は、約0.2%〜0.6%オロパタジンを含有する水溶液である。その比較的高い濃度のオロパタジンに加えて、本発明の処方物はまた、溶液の物理的安定性を増強するために十分な量のポリビニルピロリドンまたはポリスチレンスルホン酸を含む。
(1) 眼および鼻のアレルギー性障害または炎症性障害を処置するための局所的に投与可能な溶液組成物であって、該組成物は、0.17〜0.62%(w/v)オロパタジンおよび該溶液の物理的安定性を増強するために十分な量のポリビニルピロリドンあるいはポリスチレンスルホン酸から本質的になるポリマーの物理的安定性増強成分を含有し、ここで該組成物は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアクリル酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムもしくはキサンタンガムを含まない、溶液組成物。
(2) 項目1に記載の溶液であって、該溶液が、0.18〜0.22%(w/v)オロパタジンを含有する、溶液。
(3) 項目1に記載の溶液であって、該溶液が、0.38〜0.62%(w/v)オロパタジンを含有する、溶液。
(4) 項目1に記載の溶液であって、該溶液が、5000〜1,600,000の重量平均分子量を有するポリビニルピロリドンを含有する、溶液。
(5) 項目4に記載の溶液であって、前記ポリビニルピロリドンが、50,000〜60,000の重量平均分子量を有する、溶液。
(6) 項目4に記載の溶液であって、該溶液が、0.1〜3%(w/v)ポリビニルピロリドンを含有する、溶液。
(7) 項目6に記載の溶液であって、該溶液が、1.5〜2%(w/v)ポリビニルピロリドンを含有する、溶液。
(8) 項目4に記載の溶液であって、前記ポリビニルピロリドンが、ビニルピロリドンおよびビニルアセテートのコポリマーである、溶液。
(9) 項目1に記載の溶液であって、該溶液が、10,000〜1,500,000の重量平均分子量を有するポリスチレンスルホン酸を含有する、溶液。
(10) 項目9に記載の溶液であって、該溶液が、0.1〜1%(w/v)ポリスチレンスルホン酸を含有する、溶液。
(11) 項目10に記載の溶液であって、前記ポリスチレンスルホン酸が、スチレンスルホン酸および無水マレイン酸のコポリマーである、溶液。
(12) 項目1に記載の溶液を調製する方法であって、該溶液が、ポリビニルピロリドンを含有し、そして該方法が、ポリビニルピロリドンをオロパタジンと混合する前に、ポリビニルピロリドンの水溶液中の過酸化物を減少させるかまたは除去するために十分な時間、室温より高い温度で該ポリビニルピロリドンの水溶液を処理する工程を包含する、方法。
(13) 項目12に記載の方法であって、該方法が、ポリビニルピロリドンをオロパタジンと混合する前に、該ポリビニルピロリドンの水溶液を、pH11〜13で30〜120分間、60〜121℃の範囲の温度で処理する工程を包含する、方法。
(14) 眼のアレルギー状態または炎症性状態を処置する方法であって、該方法は、0.17〜0.25%(w/v)オロパタジン、および溶液の物理的安定性を増強するために十分な量のポリビニルピロリドンあるいはポリスチレンスルホン酸から本質的になるポリマーの物理的安定性増強成分を含有する溶液組成物を1日1回眼に局所的に投与する工程を包含し、ここで該組成物は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアクリル酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムもしくはキサンタンガムを含まない、方法。
(15) 鼻のアレルギー状態または炎症性状態を処置する方法であって、該方法は、0.17〜0.62%(w/v)オロパタジンおよび溶液の物理的安定性を増強するために十分な量のポリビニルピロリドンあるいはポリスチレンスルホン酸から本質的になるポリマーの物理的安定性増強成分を含有する溶液組成物を鼻に局所的に投与する工程を包含し、ここで該組成物は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアクリル酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムもしくはキサンタンガムを含まず、ここで該組成物が3.5〜8のpHを有する、方法。
(16) 項目15に記載の方法であって、該組成物が0.38〜0.62%(w/v)オロパタジンを含有し、そして該組成物が3.8〜4.4のpHを有する、方法。
他のように示されない限り、全ての成分量は、%(w/v)ベースで示され、そしてオロパタジンに対する全ての言及は、オロパタジン遊離塩基に対する言及である。
(局所的に投与可能な眼用溶液)
ポリビニルピロリドンの4%ストック溶液を、ポリビニルピロリドンを精製水に溶解し、NaOHを添加してpHを11.5に上昇させ、そして70〜75℃で30分間加熱することにより調製する。室温まで冷却した後、ストック溶液にHClを添加し、pHを7に調整する。
精製水、第二リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム(1%ストック溶液として)およびポリビニルピロリドン(4%ストック溶液として)を、各成分を添加した後に混合しつつ容器に加える。(各成分を添加した後に混合しつつ)NaOHを添加してpHを約7に調整し、次いでこの薬剤を添加し、次いで、pH7.0に最終pH調整し、そして残量の精製水の添加する。次いで、生じた溶液を滅菌フィルターを通して濾過し、滅菌条件下において、エチレンオキシドで滅菌したLDPE容器またはポリプロピレン容器に移す。
(局所的に投与可能な眼用溶液)
精製水、マンニトール、ホウ酸、エデト酸二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム(1%ストック溶液として)およびポリスチレンスルホン酸(粉末として)を、各成分を添加した後に混合しつつ容器に加える。(各成分を添加した後に混合しつつ)トロメタミンを添加してpHをおおよそpH6.5に調整し、次いでN−ラウロイルサルコシンと、次いでこの薬剤とを添加し、続いて、pH6.5に最終pH調整し、そして残量の精製水の添加する。次いで、生じた溶液を、滅菌フィルターを通して濾過し、滅菌条件下において、エチレンオキシドで滅菌したLDPE容器またはポリプロピレン容器に移す。
(局所的に投与可能な鼻用溶液)
ポリビニルピロリドンを精製水に溶解し、NaOHを添加してpHを11.5に上昇させ、そして70〜75℃で30分間加熱することによりポリビニルピロリドンの4%ストック溶液を調製する。室温まで冷却した後、ストック溶液にHClを添加し、pHを7に調整する。
精製水、第二リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム(1%ストック溶液として)、ポリビニルピロリドン(4%ストック溶液として)、およびこの薬剤を、各成分を添加した後に混合しつつ容器に加える。NaOH/HClを添加してpHをおおよそpH4に調整し、そして残量の精製水の添加する。次いで、生じた溶液を、滅菌フィルターを通して濾過し、無菌的に高密度ポリエチレン、スプレーポンプ容器に移す。
(局所的に投与可能な鼻用溶液)
下記の表1に示す組成物を調製し、安定性研究に供した。いずれの場合でも、ポリマーの成分をオートクレーブにかけず、いずれの組成物も0.2μmフィルターを通して濾過しなかった。各組成物のサンプルのうちの1セット(各2バイアル)を、3回の冷却−室温のサイクルに供し、第2のセット(各2バイアル)を、連続的な低温曝露に供した。この結果を下記の表2に示す。
下記の表3に示す組成物を、2つの条件(核(seed)ありおよび核なし;核=5mlの処方物中に1mgの0−1/2キャニオン軽石(Canyon pumice)(Charles B.Chrystal Co.,Inc.,New York,New Yorkから))および2つの温度(0℃または−20℃)で凍結−解凍安定性研究に供した。いずれの場合でも、ポリマーの成分をオートクレーブにかけず、いずれの組成物も0.2μmフィルターを通して濾過しなかった。各組成物(各2バイアル)を、6回の凍結−室温のサイクル(1サイクルは、低温(すなわち、0℃または−20℃のいずれか)に3日、次いで未調節の室温に1日)に供した。これらの組成物を視覚的に調べ、結果を記録した。結果を下記の表4に示す。
下記の表5に示す組成物を、2つの条件(核ありおよび核なし;核=上記の実施例4と同じ)および2つの温度(0℃または−20℃)で凍結−解凍安定性研究に供した。いずれの場合でも、ポリマーの成分をオートクレーブにかけず、いずれの組成物も0.2μmフィルターを通して濾過しなかった。各組成物(各3バイアル)を、6回の凍結−室温のサイクル(1サイクルは、低温(すなわち、0℃または−20℃のいずれか)に3日間、次いで未調節の室温に1日間間)に供した。これらの組成物を視覚的に調べ、結果を記録した。この結果を下記の表6に示す。
表7に示す処方物を調製し、5.5サイクルの凍結−解凍試験に供した。1セットのサンプルについて、1サイクルを、0℃で1週間、次いで未調節の室温(約21℃)で1週間に規定した。別のサンプルのセットについて、1サイクルを、−20℃で1週間、次いで未調節の室温(約21℃)で1週間に規定した。この結果を表8に示す。
7つの組成物を調製し、凍結−解凍安定性研究に供した。7つの組成物のいずれもが、精製水、0.222%(w/w)オロパタジン HCl、0.01%(w/w)(+3%過剰)塩化ベンザルコニウム、0.06%(w/w)塩化ナトリウム、0.5%(w/w)第二リン酸ナトリウム、およびpHを7に調整するためにNaOH/HClを含有した。表9に示すように、7つのサンプルを、それらの量またはポリビニルピロリドン成分の等級(分子量)によって差別化した。いずれの場合でも、ポリマーの成分をオートクレーブにかけず、組成物を0.2μmフィルターを通して濾過した。7つのサンプルを、撹拌子を備えたシンチレーションバイアルに入れ、2つの条件および2つの温度(3〜4℃または−21℃)で、凍結−解凍安定性研究に供した。低温で3日間および室温で1日間(撹拌しつつ)の6サイクルの後、これらのサンプルを低温で1週間、続いて室温で1週間(撹拌せずに)の3.5サイクルに供した。この研究の間、いくつかのサンプル中に繊維を観察したが、研究の最後まで、いずれのサンプルにも結晶を観察しなかった。研究の最後に、撹拌子を取り除き、そしてサンプル(各組成物の複製サンプル)を視覚的に調べた。この結果を表9に示す。
表10の処方物を調製し、熱的サイクリング研究および短期間の安定性研究に供した。サイクリング研究について、各サイクルは、第一の温度で2日間、次いで第二の温度で2日間(全4日間)からなった。サイクルを、3回繰り返した。各サンプルを、三連にして実施した。短期間の安定性研究を、以下の2つの条件で実施した:4℃および25℃。これらの研究の結果を表11に示す。
Claims (21)
- 眼のアレルギー性障害または炎症性障害を処置するための局所的に投与可能な溶液組成物であって、該組成物は、
0.17〜0.62%(w/v)オロパタジン、および
5000〜1,600,000の重量平均分子量を有する、0.1〜3%(w/v)ポリビニルピロリドン
を含有し、
該組成物は、ポリビニルアルコールも、ポリビニルアクリル酸も、ヒドロキシプロピルメチルセルロースも、カルボキシメチルセルロースナトリウムも、キサンタンガムも含まず、かつ、
該組成物は、鼻のアレルギー性障害または炎症性障害の処置には使用されない、
溶液組成物。 - 眼のアレルギー性障害または炎症性障害を処置するための局所的に投与可能な溶液組成物であって、該組成物は、0.2%(w/v)オロパタジンまたは0.222%(w/v)オロパタジン・HCl、および5000〜1,600,000の重量平均分子量を有する、1.6〜2.0%(w/v)ポリビニルピロリドンを含有し、該組成物は、ポリビニルアルコールも、ポリビニルアクリル酸も、ヒドロキシプロピルメチルセルロースも、カルボキシメチルセルロースナトリウムも、キサンタンガムも含まない、組成物であって、
該組成物は、鼻のアレルギー性障害の処置のためのものでも鼻の炎症性障害の処置のためのものでもない、組成物。 - 前記オロパタジンの濃度が、0.18〜0.22%(w/v)オロパタジンである、請求項1に記載の溶液組成物。
- 前記オロパタジンの濃度が、0.38〜0.62%(w/v)オロパタジンである、請求項1に記載の溶液組成物。
- 前記ポリビニルピロリドンが、50,000〜60,000の重量平均分子量を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶液組成物。
- 前記ポリビニルピロリドンの濃度が、1.5〜2%(w/v)である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶液組成物。
- 前記ポリビニルピロリドンの濃度が、1.8%(w/v)である、請求項6に記載の組成物。
- 前記ポリビニルピロリドンの濃度が、2.0%(w/v)である、請求項6に記載の組成物。
- 前記組成物はさらに、
0.3〜0.55%(w/v)塩化ナトリウム;
0〜0.02%(w/v)塩化ベンザルコニウム;
0.01〜0.02%(w/v)エデト酸二ナトリウム;および
0.5%(w/v)第二リン酸ナトリウム(無水)
を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。 - 前記組成物のpHは、pH7.0±0.2である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- 1〜2cpsの粘度を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の溶液組成物。
- 眼のアレルギー性障害または炎症性障害を処置するための局所的に投与可能な溶液組成物を調製する方法であって、該溶液組成物は、
0.17〜0.62%(w/v)オロパタジン、および
5000〜1,600,000の重量平均分子量を有する、0.1〜3%(w/v)ポリビニルピロリドン
を含有し、
該組成物は、ポリビニルアルコールも、ポリビニルアクリル酸も、ヒドロキシプロピルメチルセルロースも、カルボキシメチルセルロースナトリウムも、キサンタンガムも含まず、
該方法は、該ポリビニルピロリドンを該オロパタジンと混合する前に、該ポリビニルピロリドンの水溶液中の過酸化物を減少または排除するのに十分な時間にわたって室温より高い温度にて該ポリビニルピロリドンの水溶液を処理する工程を包含し、
該組成物は、鼻のアレルギー性障害または炎症性障害の処置には使用されない、
方法。 - 眼のアレルギー性障害または炎症性障害を処置するための局所的に投与可能な溶液組成物を調製する方法であって、該溶液は、0.2%(w/v)オロパタジンまたは0.222%(w/v)オロパタジン・HClおよび1.6〜2.0%(w/v)ポリビニルピロリドンを含有し、該ポリビニルピロリドンが、5000〜1600,000の重量平均分子量を有し、該組成物は、ポリビニルアルコールも、ポリビニルアクリル酸も、ヒドロキシプロピルメチルセルロースも、カルボキシメチルセルロースナトリウムも、キサンタンガムも含まず、該組成物は、鼻のアレルギー性障害の処置のためのものでも鼻の炎症性障害の処置のためのものでもない、方法。
- 前記溶液組成物が、0.17〜0.62%(w/v)オロパタジンを含有する、請求項12に記載の方法。
- 前記溶液組成物が、0.18〜0.22%(w/v)オロパタジンを含有する、請求項12に記載の方法。
- 前記溶液組成物が、0.38〜0.62%(w/v)オロパタジンを含有する、請求項12に記載の方法。
- 前記組成物はさらに、
0.3〜0.55%(w/v)塩化ナトリウム;
0〜0.02%(w/v)塩化ベンザルコニウム;
0.01〜0.02%(w/v)エデト酸二ナトリウム;および
0.5%(w/v)第二リン酸ナトリウム(無水)
を含む、請求項12または13に記載の方法。 - 前記組成物のpHは、pH7.0±0.2である、請求項12〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ポリビニルピロリドンの濃度が、1.5〜2%(w/v)である、請求項12〜18のいずれか1項に記載の方法。
- 前記方法が、前記ポリビニルピロリドンを前記オロパタジンと混合する前に、該ポリビニルピロリドンの水溶液を、pH11〜13で30〜120分間、60〜121℃の範囲の温度で処理する工程を包含する、請求項12〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 前記組成物が1〜2cpsの粘度を有する、請求項12〜20のいずれか1項に記載の方法。
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