JP5328183B2 - グルコシドエステル誘導体の製造方法 - Google Patents

グルコシドエステル誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規なグルコシドジエステル化合物、グルコシドトリエステル化合物、及びグルコシドテトラエステル化合物等のグルコシドエステル誘導体の製造方法に関する。
グルコシド化合物は、多糖類の合成、天然物の全合成あるいは生理活性物質の合成、さらにはコンビナトリアルライブラリー構築のための鍵化合物、近年では光学活性なイオン性液体合成の中間体として重要な化合物である。
グルコシド化合物は、その分子内に多くの水酸基を有する。そのため、グルコシド化合物を出発物質として、天然物あるいは生理活性物質を合成する場合、グルコシド化合物の複数の水酸基を各々異なる置換基で保護(保護基で保護)した化合物を出発物質とすれば、反応条件を変えることで所望の保護された水酸基のみを別の置換基に変換したり、保護基を脱離することができるため、より目的とする最終化合物を高選択的に高収率で取得できる。
従来、グルコシド化合物に存在する複数の水酸基の中から一つの水酸基を保護基導入剤によって選択的に保護する方法としては、メチル−α−D−グルコピラノシドをジブチル酸化錫および塩基存在下、ベンゾイルクロライドと反応させて2位の水酸基を選択的にアシル化した後、塩基存在下、トリチルクロライドと反応させて6位の水酸基を選択的にトリチル化し、さらに塩基存在下、メタンスルホニルクロライドと反応させて、3位及び4位をメシル化する方法(例えば、非特許文献1参照)が知られている。
テトラへドロン(Tetrahedron) 51巻 27号 7373−7388(1995年)
しかし、かかる方法は、2位および6位の水酸基は選択的に異なる保護基で保護できるものの、3位と4位の水酸基に異なる保護基を導入することはできない。このため、3位と4位に異なる置換基を導入しようと思えば、3位と4位の立体障害あるいは電子状態の僅かな違いに期待して、保護基を脱離反応あるいは置換反応に供し、生成物が3位と4位が異なる置換基となった化合物のみを分取するしか方法がないため、とても効率的な有機合成とは言えない。以上のような理由のため、より簡易的な方法で効率よく、すべての水酸基が異なる保護基で保護されたグルコシド化合物およびその製造方法の開発が強く望まれていた。
従って、本発明の目的は、様々な物質の合成原料として使用できる、すべての水酸基が異なる保護基で保護されたグルコシド化合物およびその化合物の製造方法を提供することにある。
かかる事実に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行ったところ、2位の水酸基がアシル基、スルホニル基、オキシカルボニル基、ホスホリル基で保護されたグルコシドエステル化合物を、ジアルキル錫化合物、及び塩基存在下、カルボン酸ハライド、オキシカルボン酸ハライド、スルホン酸ハライド、ホスホリル酸ハライド、又はジアルキルジカーボネートの保護基導入剤の中から、グルコシドエステル化合物の2位の水酸基を保護した保護基とは異なる保護基を導入できる保護基導入剤と反応させることで、6位の水酸基が保護された新規なグルコシドジエステル化合物が合成できることを見出した。そして、同様の条件下で、該グルコシドジエステル化合物と、2位、及び6位の水酸基を保護した保護基とは異なる保護基を導入できる保護基導入剤と反応させることで3位が選択的に保護された新規なグルコシドトリエステル化合物が合成できることを見出した。さらに、塩基存在下、該グルコシドトリエステル化合物と、2位、3位、及び6位の水酸基を保護した保護基とは異なる保護基を導入できる保護基導入剤とを反応させることによって、新規なグルコシドテトラエステル化合物が合成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、第一の本発明は、ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下、下記一般式(IV)
Figure 0005328183
式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基であり、R はアシル基である。)
で示されるグルコシドエステル化合物と、保護基導入剤であるスルホン酸ハライドとを反応させることにより、下記式(I)
Figure 0005328183
(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基であり、R はアシル基であり、R はスルホニル基である。)で示されるグルコシドジエステル化合物を製造する方法である。
また、第二の本発明は、前記第一の本発明の方法で式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物を製造し、続いて、ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下、該式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物と、保護基導入剤であるオキシカルボン酸ハライド、又はジアルキルジカーボネートとを反応させることにより、下記式(II)
Figure 0005328183
(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基であり、R はアシル基であり、R はスルホニル基であり、R はオキシカルボニル基である。)で示されるグルコシドトリエステル化合物を製造する方法である。
また、第三の本発明は、前記第二の本発明の方法で式(II)で示されるグルコシドトリエステル化合物を製造し、続いて、塩基の存在下、該式(II)で示されるグルコシドトリエステル化合物と、保護基導入剤であるホスホリル酸ハライドとを反応させることにより、下記式(III)
Figure 0005328183
(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基であり、R はアシル基であり、R はスルホニル基であり、R はオキシカルボニル基であり、R はホスホリル基である。)で示されるグルコシドテトラエステル化合物を製造する方法である。
本発明によれば、有機合成上極めて有用な新規なグルコシドエステル誘導体を容易に得ることができるため、工業的利用価値は高い。
(グルコシドエステル誘導体)
本発明のグルコシドエステル誘導体は、下記一般式(I)〜(III)で示される。
Figure 0005328183
Figure 0005328183
Figure 0005328183
ここで上記一般式(I)〜(III)のXは、炭素数1〜8のアルキル基である。
炭素数1〜8のアルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
上記一般式(I)〜(III)のR、R、R、及びRは、保護基であり、アシル基、スルホニル基、オキシカルボニル基、又はホスホリル基である。
アシル基を具体的に例示すると、ベンゾイル基、p−トルオイル基、p−クロロベンゾイル基、p−ニトロベンゾイル基、p−tert−ブチルベンゾイル基、α−ナフトイル基、β−ナフトイル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基等を挙げることができる。
スルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、p−クロロベンゼンスルホニル基、p−ニトロベンゼンスルホニル基等を挙げることができ、オキシカルボニル基として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
ホスホリル基としては、ジフェニルホスホリル基等を挙げることができる。
上記一般式(I)〜(III)で示されるグルコシドエステル誘導体において、上記R、R、R、及びRは、夫々異なる保護基であり、二つ以上の保護基が同一の基となることはない。即ち、R はアシル基であり、R はスルホニル基であり、R はオキシカルボニル基であり、R はホスホリル基である。このようにR、R、R、及びRが、それぞれ異なる保護基であることにより、反応条件を変えることで特定の保護された水酸基のみを別の置換基に変換したり、特定の保護基のみを脱離させることができるため、本発明のグルコシドエステル誘導体は、様々な物質の原料として有効に使用することができる。
(グルコシドジエステル化合物)
上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物を例示すると、具体的には1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド等を挙げることができる。
(グルコシドトリエステル化合物、及びグルコシドテトラエステル化合物)
上記一般式(II)で示されるグルコシドトリエステル化合物の具体的な例示は行わないが、上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物と保護基導入剤が決まれば、一義的にその化合物は決定される。上記一般式(III)で示されるグルコシドテトラエステル化合物についても同様である。
(グルコシドエステル誘導体の同定方法)
上記一般式(I)〜(III)で示されるグルコシドエステル誘導体の構造は、下記(i)〜(iii)のいずれか二つ以上の方法により確認することができる。
(i)H−核磁気共鳴スペクトルを測定することにより、化合物中に存在する水素原子の結合様式を知ることができる。例えば、7.0〜8.0ppm付近にベンゼン環の水素のスペクトルを示す。
(ii)赤外吸収スペクトルを測定することにより、化合物の官能基に由来する特性吸収を観察することができる。例えば、3500−3600cm−1付近にO−Hの吸収スペクトルを、1720cm−1付近にC=Oの吸収スペクトルを示す。
(iii)MSスペクトルを測定し、上記一般式(I)で示されるピラノシドジエステル化合物の分子量を決定することができる。
(グルコシドエステル誘導体の製造方法)
(グルコシドジエステル化合物の製造方法)
次に、上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物の製造方法について説明する。上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物は、下記一般式(IV)
Figure 0005328183
式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基であり、R はアシル基である。)
で示されるグルコシドエステル化合物と、保護基導入剤であるスルホン酸ハライドとを反応させることにより、前記式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物を製造することができる。
(上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物)
本発明において、上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物は、使用するグルコシド化合物の構造、保護基導入剤の種類、使用する触媒等により、多少収率等の変化はあるが、基本的には、以下の方法により製造することができる。具体的には、下記一般式(V)
Figure 0005328183
(式中、Xは、炭素数1〜8のアルキル基である。
で示されるグルコシド化合物を、テトラハイドロフランのような有機溶媒中、ジメチルジクロロ錫、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下、ベンゾイルクロライド等の保護基導入剤(酸ハライド化合物)と反応させることによって製造することができる。なお、上記一般式(V)におけるXは、上記一般式(I)におけると同義であり、所望とする上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物に応じて、適宜選定すればよい。また、上記一般式(V)で示されるグルコシド化合物は、試薬として入手することができる。
(ジアルキル錫化合物)
本発明において、上記ジアルキル錫化合物としては、二つのアルキル基が直接錫と結合している化合物であれば、特に限定されないが、選択性の観点から、該二つのアルキル基は炭素数1〜6のアルキル基であるのが好適である。ジアルキルジハロゲノ錫化合物の中でも、ジメチルジクロロ錫、ジメチルジブロモ錫、ジブチルジブロモ錫、ジブチル酸化錫は、高い反応収率を示すため特に好適に使用される。
本発明において、ジアルキル錫化合物の使用量は、上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物に対して触媒量であれば特に制限はないが、あまり量が多いと後処理工程が煩雑となり、あまり量が少ないと反応速度が著しく低下する傾向にある。そのため、通常、ジアルキル錫化合物の使用量は、グルコシドエステル化合物1モルに対して、好ましくは0.0001〜0.3モル、より好ましくは0.001〜0.2モルである。
(塩基)
本発明において、上記塩基としては、有機塩基及び無機塩基を何ら制限なく用いることができる。これらを具体的に例示すると、無機塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム等の炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物を挙げることができる。有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、メチルピロリジン、エチルピロリジン等の脂肪族三級アミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルピリジン、2−N,N−ジメチルピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルイミダゾール等を挙げることができる。
これらの塩基の中でも特に、無機塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム等の炭酸塩、有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、メチルピロリジン、エチルピロリジン等の脂肪族三級アミン等が高い選択性と収率を示すため、好適に採用される。これらの塩基は、単独に用いてもよいし、混合して使用することもできる。
本発明において、塩基の使用量は、特に制限はないが、あまり量が多いと後処理工程が煩雑となる上に、生成物の分解反応に寄与する可能性が高くなり、あまり量が少ないと反応の転化率が低くなる傾向にある。そのため、通常、塩基の使用量は、上記式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物に対して、好ましくは0.1〜4モル、より好ましくは1〜3モルである。
(スルホン酸ハライド、カルボン酸ハライド、オキシカルボニルハライド、ホスホリル酸ハライド、又はジアルキルジカーボネートの保護基導入剤)
本発明において、スルホン酸ハライド、カルボン酸ハライド、オキシカルボン酸ハライド、ホスホリル酸ハライド、又はジアルキルジカーボネート(以下、これらをまとめて単に「保護基導入剤」とする場合もある)は、上記一般式(IV)の保護基Rの種類に応じて、何れかを使用すればよい。
これら保護基導入剤は、特に限定されないが、選択性の観点から炭素数1〜12のカルボン酸ハライド、炭素数1〜12のスルホン酸ハライド、炭素数2〜8のオキシカルボニルハライド、炭素数12のホスホリル酸ハライド、叉は炭素数4〜12のジアルキルジカーボネートを使用するのが好適である。好適に使用できる保護基導入剤を具体的に例示すると、カルボン酸ハライドとしては、ベンゾイルクロライド、p−トルオイルクロライド、p−クロロベンゾイルクロライド、p−ニトロベンゾイルクロライド、p−tert−ブチルベンゾイルクロライド、α−ナフトイルクロライド、β−ナフトイルクロライド、ペンタノイルクロライド、ベンゾイルブロマイド等を挙げることができる。スルホン酸ハライドとしては、ベンゼンスルホン酸クロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド、p−クロロベンゼンスルホン酸クロライド、p−ニトロベンゼンスルホン酸クロライド、p−トルエンスルホン酸フルオライド等を挙げることができる。オキシカルボニルハライドとしては、メトキシカルボニルクロライド、エトキシカルボニルクロライド、イソプロポキシカルボニルクロライド、アリルオキシカルボニルクロライド、フェニルオキシカルボニルクロライド、ベンジルオキシカルボニルクロライド等を挙げることができる。ホスホリル酸ハライドとしては、ジフェニルホスホリル酸クロライドを挙げることができ、ジアルキルジカーボネートとしては、ジメチルジカーボネート、ジエチルジカーボネート、ジ−tert−ブチルジカーボネート、ジ−tert−アミルジカーボネート等を挙げることができる。これらの中でも、特にベンゾイルクロライド、p−トルオイルクロライド、p−クロロベンゾイルクロライド、p−ニトロベンゾイルクロライド、p−tert−ブチルベンゾイルクロライド、α−ナフトイルクロライド、β−ナフトイルクロライド等のカルボン酸ハライド、ベンゼンスルホン酸クロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド、p−クロロベンゼンスルホン酸クロライド等のスルホン酸ハライド、フェニルオキシカルボニルクロライド、ベンジルオキシカルボニルクロライド等のオキシカルボニルハライド、ジフェニルホスホリル酸クロライド等のホスホリル酸ハライド、ジ−tert−ブチルジカーボネート、ジ−tert−アミルジカーボネート等のジアルキルジカーボネートが高い反応率を示すため、特に採用できる。
本発明において、保護基導入剤の使用量は、上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物の保護したい水酸基と保護基導入剤とは化学量論的に反応するため、あまり量が少ないと未反応物が多く残り収率の低下を招き、あまり量が多いと反応の選択率が低下する傾向にある。そのため、通常、保護基導入剤の使用量は、上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物1モルに対して、好ましくは0.8〜2モル、より好ましくは0.9〜1.5モルである。
(反応方法、反応条件、及び精製方法)
本発明の製造方法では、ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下に、上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物と保護基導入剤とを反応させるが、この時の反応方法は特に限定されず、例えば有機溶媒中でこれら化合物を混合・攪拌することにより好適に行うことができる。
本発明において、上記有機溶媒は、特に制限されるものではなく、試薬又は工業原料として入手可能な溶媒を使用することができる。具体的には、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル等のエーテル類、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの有機溶媒の中でも、特に高い収率が期待できる、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、アセトン等のケトン類が好適に採用される。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いても一向に差し支えない。
上記有機溶媒は、乾燥処理等の精製を行い使用してもよいし、市販のものをそのまま使用することもできる。該有機溶媒中に含まれる水分量は、特に制限はないが、基本的に水と保護基導入剤は反応するため、あまり量が多いと本発明の収率が低下する傾向にある。そのため、有機溶媒中に含まれる水分量は、本発明に使用される保護基導入剤1モルに対して、100モル以下とすることが好ましい。該有機溶媒中の水分量の下限値は、乾燥した有機溶媒を使用することもできるため、保護基導入剤1モルに対して、0モルである。
本発明において、上記有機溶媒の使用量は、特に制限はないが、あまり量が多いとバッチあたりの収量が減少するため経済的ではなく、あまり量が少ないと攪拌等に支障をきたすため、通常、反応溶媒中の上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物の濃度が好ましくは0.1〜70質量%、より好ましくは1〜60質量%となる量である。
本発明において、ジアルキル錫化合物および塩基の存在下に、上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物と保護基導入剤とを反応させる際の各化合物の添加順序については、ジアルキル錫化合物を反応系に添加する前に、塩基と保護基導入剤が接触しないようにすれば特に制限されるものではない。中でも、一般的に高い選択性および反応収率を獲得するという観点から、予め有機溶媒中にジアルキル錫化合物、塩基およびグルコシドエステル化合物を添加しておき、次いで保護基導入剤を徐々に該溶媒に添加する方法が好適である。
本発明において、反応温度は、上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物、塩基および保護基導入剤の種類によって異なるため、一概には言えないが、あまり温度が低いと反応速度が著しく小さくなり、あまり温度が高いと副反応を助長する傾向にあるため、通常、好ましくは−10〜50℃、より好ましくは0〜40℃である。
また、反応時間も、上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物、塩基および保護基導入剤の種類によって異なるため一概には言えないが、通常、好ましくは0.1〜100時間である。
また、反応時の圧力、および雰囲気は、常圧、減圧、加圧の何れの状態でも実施可能であり、また空気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等の不活性気体雰囲気下の何れの状態でも実施可能である。
上記のような反応条件により上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物を製造することができる。つまり、上記ジアルキル錫化合物、塩基の存在下、上記一般式(IV)で示される特定のグルコシドエステル化合物と保護基導入剤とを上記条件下で反応させることにより、高い選択率で6位の水酸基が保護された上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物を製造することができ、2位と3位、及び2位と4位の水酸基が保護された化合物の生成を抑制できる。
このようにして得られた上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物は、以下の方法に従って単離精製できる。具体的には、反応終了後、希塩酸を加えて触媒を失活させた後、酢酸エチル等の水に相溶しない有機溶媒で抽出した後、有機溶媒を留去、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー等によって分離精製される。なお、上記一般式(I)で示されたグルコシドジエステル化合物は、上記の方法で同定することができる。特に、6位の水酸基が選択的に保護されたグルコシドジエステル化合物が得られたかどうかの確認は、H−NMR測定により確認することができる。
(グルコシドトリエステル化合物の製造方法)
上記一般式(II)で示されるグルコシドトリエステル化合物の製造についても、上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステルの製造方法と全く同様の反応操作を行うことで製造可能である。即ち、上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物に代えて上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物を用いて同様の反応を行えばよい。なお、この場合、ジアルキル錫化合物、塩基、有機溶媒量の量は、上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物に代えて上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物に対する量に換算してやればよい。
この操作によって、高い選択率で3位の水酸基が保護された上記一般式(II)で示されたグルコシドトリエステル化合物が製造でき、2位、4位及び6位の水酸基が保護された化合物の生成を抑制できる。
本発明においては、上記の通り、ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下、グルコシドエステル化合物と保護基導入剤とを反応させ、先ず、6位の水酸基を選択的に保護したグルコシドジエステル化合物を製造する。次いで、ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下、このグルコシドジエステル化合物と、上記保護基導入剤以外の保護基導入剤とを反応させることにより、3位の水酸基を選択的に保護したグルコシドトリエステル化合物を製造することができる。本発明によれば、触媒系が同じであっても、先ず6位の水酸基を選択的に保護したグルコシドジエステル化合物を製造することができ、次いで、6位の水酸基を保護したグルコシドジエステル化合物を使用することにより、3位の水酸基を選択的に保護したグルコシドトリエステル化合物を製造できる。このように特定の水酸基を順次保護することができるのは、本発明の原料となる化合物、ジアルキル錫化合物、及び塩基を使用するからである。
(グルコシドテトラエステル化合物の製造方法)
上記一般式(III)で示されるグルコシドテトラエステル化合物の製造についてもジアルキル錫化合物を使用しない以外は、上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステルの製造方法と全く同様の反応操作を行うことで製造可能である。即ち、上記一般式(IV)で示されるグルコシドエステル化合物に代えて上記一般式(II)で示されるグルコシドトリエステル化合物を用いて同様の反応を行えばよい。なお、この場合、塩基、有機溶媒量の量は、上記一般式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物に代えて上記一般式(II)で示されるグルコシドトリエステル化合物に対する量に換算してやればよい。
この操作によって、全ての水酸基が異なる保護基で保護された上記一般式(III)で示されたグルコシドテトラエステル化合物が製造できる。グルコシドテトラエステル化合物を製造する場合には、ジアルキル錫化合物は不要である。
(グルコシドエステル誘導体の使用 スルホニル基のアジド基への変換)
このようにして製造された上記一般式(I)〜(III)で示されるグルコシドエステル誘導体は、水酸基を保護した保護基の種類が異なるため、異なる脱離条件で、所望する特定の位置の保護基を脱離させたり、新たな反応剤と反応させることで、特定の位置の水酸基を別の官能基に変換することで、様々な有機反応に供する原料として使用することができる。
その一例を具体的に例示すると、上記一般式(I)〜(III)で示されるグルコシドエステル誘導体の中で示される保護基の中で、スルホニル基は他の保護基と比べて脱離基としての性質が強いため、求核性を有する反応剤と容易に置換反応を起こす。例えば、上記一般式(I)〜(III)で示されるグルコシドエステル誘導体の中で、その分子内にスルホニル基を有するグルコシドエステル誘導体は、界面活性剤存在下、アジド化合物と置換反応を起こし、スルホニル基がアジド基へと変換される(以下、反応Aと称す。)。
(スルホニル基を有するグルコシドエステル誘導体)
反応Aにおけるグルコシドエステル誘導体としては、その分子内にスルホニル基を有しているグルコシドエステル誘導体であれば、特に制限はない。これらグルコシドエステル誘導体を具体的に例示すると、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−メチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−グルコピラノシド等を挙げることができる。
これらのグルコシドエステル誘導体の中でも、p−トルエンスルホニル基を有しているグルコシドエステル誘導体が、置換反応の収率が高いという観点から1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド等が好適に使用される。
(アジド化合物)
本反応Aに使用される、アジド化合物としては、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム、アジ化リチウム等のアルカリ金属塩が好適に使用される。アジド化合物の使用量としては、グルコシドエステル誘導体中のスルホニル基とアジド化合物とは化学量論的に反応するため、あまり量が少ないと未反応物が多く残り収率の低下を招き、あまり量が多いと反応の選択率が低下する傾向にある。そのため、通常、アジド化合物の使用量は、スルホニル基を有するグルコシドエステル誘導体1モルに対して、好ましくは0.8〜 2モル、より好ましくは0.9〜1.5モルである。
(界面活性剤)
本反応Aに使用される界面活性剤としては、工業原料及び試薬として容易に入手できる界面活性剤が何ら制限なく使用できる。これらを具体的に例示すると、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテル類、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、N−セチルピリジニウムクロライド、N−セチルピリジニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩等を挙げることができる。これら界面活性剤の中でも、特に高い反応収率が期待できるという観点から、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテル類が好適に採用される。界面活性剤の使用量としては、グルコシドエステル誘導体中のスルホニル基とアジド化合物との置換反応に触媒として作用するため、あまり量が少ないと置換反応の反応速度が落ち、あまり量が多いと界面活性剤の除去操作が煩雑となる傾向にある。そのため、通常、界面活性剤の使用量は、グルコシドエステル誘導体1モルに対して、好ましくは0.005〜0.5モル、より好ましくは0.01〜0.3モルである。
(反応方法、反応条件、及び精製方法)
本反応Aは、界面活性剤の存在下に、スルホニル基を有するグルコシドエステル誘導体とアジド化合物とを反応させるが、この時の反応方法は特に限定されず、例えば有機溶媒中でこれら化合物を混合・攪拌することにより好適に行うことができる。
本発明において、上記有機溶媒は、特に制限されるものではなく、試薬又は工業原料として入手可能な溶媒を使用することができる。具体的には、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル等のエーテル類、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの有機溶媒の中でも、特に高い収率が期待できる、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、アセトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、が好適に採用される。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いても一向に差し支えない。
上記有機溶媒は、乾燥処理等の精製を行い使用してもよいし、市販のものをそのまま使用することもできる。該有機溶媒中に含まれる水分量は、特に制限はないが、基本的に水とスルホニル基は反応するため、あまり量が多いと本発明の収率が低下する傾向にある。そのため、有機溶媒中に含まれる水分量は、本発明に使用されるグルコシドエステル誘導体1モルに対して、100モル以下とすることが好ましい。該有機溶媒中の水分量の下限値は、乾燥した有機溶媒を使用することもできるため、グルコシドエステル誘導体1モルに対して、0モルである。
本発明において、上記有機溶媒の使用量は、特に制限はないが、あまり量が多いとバッチあたりの収量が減少するため経済的ではなく、あまり量が少ないと攪拌等に支障をきたすため、通常、反応溶媒中のグルコシドエステル誘導体の濃度が好ましくは0.1〜70質量%、より好ましくは1〜60質量%となる量である。
本反応Aにおいては、各化合物の添加順序については、特に制限されるものではない。中でも、一般的に高い選択性および反応収率を獲得するという観点から、予め有機溶媒中に界面活性剤およびグルコシドエステル誘導体を添加しておき、次いでアジド化合物を該溶媒に添加する方法が好適である。
本反応Aにおいて、反応温度は、グルコシドエステル誘導体、界面活性剤およびアジド化合物の種類によって異なるため、一概には言えないが、あまり温度が低いと反応速度が著しく小さくなり、あまり温度が高いと副反応を助長する傾向にあるため、通常、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜70℃である。
また、反応時間も、グルコシドエステル誘導体、界面活性剤およびアジド化合物の種類によって異なるため一概には言えないが、通常、好ましくは1〜100時間である。
また、反応時の圧力、および雰囲気は、常圧、減圧、加圧の何れの状態でも実施可能であり、また空気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等の不活性気体雰囲気下の何れの状態でも実施可能である。
以下、実施例を掲げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
実施例1
30mlの茄子型フラスコに1−メチル−O−ベンゾイル−α−D−グルコピラノシド149mg(0.5mmol)、ジイソプロピルエチルアミン174μl(1.0mmol)、ジメチルジクロロ錫5.5mg(0.025mmol)、テトラハイドロフラン(以下、THFと称す。)2mlを加え、攪拌した。この混合溶液にトルエンスルホニルクロライド105mg(0.55mmol)を加え、室温下22時間攪拌した。反応終了後、3%塩酸水20mlを加え、酢酸エチル20mlで三回抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)したところ、白色個体を199mg取得した。
得られた白色固体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3515cm−1に水酸基に基づく吸収を得、1752cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005328183
8.07ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し(c)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.83ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(m)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.59ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(e)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.46ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(d)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.36ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(n)のベンゼン環のプロトンに相当した。4.96ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(a)のメチン基のプロトンに相当した。4.86ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、(f)のメチン基の水素原子1個分のプロトンに相当した。4.41−4.26ppmに水素原子2個分のマルチプレットピークを観測し、(l)のメチレン基のプロトンに相当した。4.14−4.07ppmに水素1個分のマルチプレットピークを観測し、(g)のメチン基の水素原子1個分のプロトンに相当した。3.85−3.80ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(k)のメチン基のプロトンに相当した。3.62−3.58ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(j)のメチン基のプロトンに相当した。3.34ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(b)のメチル基のプロトンに相当した。2.75および2.52ppmにそれぞれ水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(i)および(h)の水酸基のプロトンに相当した。2.46ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(o)のメチル基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(EI−MS)を測定したところ、推定分子式C2124Sに相当する計算値452.1141に対して、測定値452.1157となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、白色固体が、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、88%であった。また、この化合物の22℃の旋光度は[α] 22=+109.5(C=1.0、エタノール)であり、融点は65−67℃であった。
実施例2
ジイソプロピルエチルアミンに代えてジイソプロピルメチルアミンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシドを192mg(収率85%)取得した。
実施例3
ジメチルジクロロ錫に代えて、ジブチル酸化錫を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシドを158mg(収率70%)取得した。
比較例1
ジメチルジクロロ錫を用いずに、実施例1と同様の反応を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシドを取得できなかった。
実施例4
30mlの茄子型フラスコに1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド226mg(0.5mmol)、ジイソプロピルエチルアミン174μl(1.0mmol)、ジメチルアミノピリジン67mg(0.55mmol)、ジメチルジクロロ錫5.5mg(0.025mmol)、テトラハイドロフラン(以下、THFと称す。)2mlを加え、攪拌した。この混合溶液にジ−tert−ブチルジカーボネート120mg(0.55mmol)を加え、室温下30分攪拌した。反応終了後、3%塩酸水20mlを加え、酢酸エチル20mlで三回抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)したところ、白色個体を257mg取得した。
得られた白色固体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3513cm−1に水酸基に基づく吸収を得、1752cm−1および1728cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005328183
8.06ppmと8.04ppmに合わせて水素原子2個分の2つのダブレットピークを観測し(c)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.82ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(m)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.61−7.52ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(e)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.43ppmに水素原子2個分のトリプレットピークを観測し、(d)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.41−7.35ppmに水素原子2個分のマルチプレットピークを観測し、(n)のベンゼン環のプロトンに相当した。5.28ppmと4.64ppmに合わせて水素原子1個分の2つのトリプレットピークを観測し、(g)のメチン基のプロトンに相当した。5.04ppmと4.93ppmに合わせて水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(a)のメチン基のプロトンに相当した。4.92−4.84ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(f)のメチン基の水素原子1個分のプロトンに相当した。4.41−4.20ppmに水素2個分のマルチプレットピークを観測し、(l)のメチレン基の水素原子2個分のプロトンに相当した。4.23−4.20ppmと3.79−3.72ppmに合わせて水素1個分の2つのマルチプレットピークを観測し、(j)のメチン基のプロトンに相当した。4.01−3.97ppmと3.85−3.80ppmに合わせて水素1個分の2つのマルチプレットピークを観測し、(k)のメチン基のプロトンに相当した。3.32ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(b)のメチル基のプロトンに相当した。2.72ppmと2.55ppmに合わせて水素原子1個分の2つのダブレットピークを観測し、(i)の水酸基のプロトンに相当した。2.46ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(o)のメチル基のプロトンに相当した。1.50ppmと1.40ppmに合わせて水素原子9個分の2つのシングレットピークを観測し、(h)のメチル基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(FAB−MS)を測定したところ、推定分子式C263211Sに水素原子1個を加えた推定分子式C263311Sに相当する計算値553.1744に対して、測定値553.1726となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、白色生成物が、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、93%であった。また、この化合物の22℃の旋光度は[α] 22=+107.1(C=0.4、クロロホルム)であり、融点は67−69℃であった。
実施例5
ジイソプロピルエチルアミンに代えてトリエチルアミンを用いた以外は実施例4と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシドを263mg(収率95%)取得した。
実施例6
ジメチルジクロロ錫に代えて、ジブチル酸化錫を用いた以外は実施例4と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシドを232mg(収率84%)取得した。
比較例2
ジメチルジクロロ錫を用いずに、実施例4と同様の反応を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシドを185mg(収率67%)取得した。
実施例7
30mlの茄子型フラスコに1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド276mg(0.5mmol)、ピリジン60μl(1.0mmol)、ジメチルアミノピリジン92mg(0.75mmol)、ジフェニルホスホリルクロライド155μl(0.75mmol)、テトラハイドロフラン(以下、THFと称す。)2mlを加え、室温下22時間攪拌した。反応終了後、水20mlを加え、酢酸エチル20mlで三回抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)したところ、白色個体を373mg取得した。
得られた白色固体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1763cm−1および1721cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005328183
8.02ppmと7.96ppmに合わせて水素原子2個分の2つのダブレットピークを観測し(c)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.83ppmと7.73ppmに合わせて水素原子2個分の2つのダブレットピークを観測し、(o)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.59−6.78ppmに水素原子15個分のマルチプレットピークを観測し、(d)、(e)、(i)、(m)、(n)、(p)のベンゼン環のプロトンに相当した。5.62ppmに水素原子0.5個分のトリプレットピークを観測し、(g)のメチン基のプロトンに相当した。5.28ppmと4.57ppmに合わせて水素原子1個分の2つのカルテットピークを観測し、(j)のメチン基のプロトンに相当した。5.06ppmに水素原子0.5個分のダブレットピークを観測し、(a)のメチン基のプロトンに相当した。5.02−4.92ppmに水素原子1.5個分のマルチプレットピークを観測し、(a)、(f)、(g)のメチン基の水素原子1.5個分のプロトンに相当した。4.86ppmに水素原子0.5個分のダブルダブレットピークを観測し、(f)のメチン基のプロトンに相当した。4.36−3.99ppmに水素原子3個分のマルチプレットピークを観測し、(k)のメチン基のプロトンおよび(l)のメチレン基のプロトンに相当した。3.35ppmと3.27ppmに合わせて水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(b)のメチル基のプロトンに相当した。2.46ppmと2.41ppmに合わせて水素原子3個分の2つのシングレットピークを観測し、(q)のメチル基のプロトンに相当した。1.27ppmと1.15ppmに合わせて水素原子9個分の2つのシングレットピークを観測し、(h)のメチル基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(FAB−MS)を測定したところ、推定分子式C384114PSに水素原子1個を加えた推定分子式C384214PSに相当する計算値785.2033に対して、測定値785.2021となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、白色固体が、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、95%であった。また、この化合物の20℃の旋光度は[α] 20=+101.3(C=1.0、クロロホルム)であり、融点は55−58℃であった。
実施例8
ピリジンに代えてトリエチルアミンを用いた以外は実施例7と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシドを353mg(収率90%)取得した。
応用例1
30mlの茄子型フラスコに1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−グルコピラノシド78mg(0.1mmol)、15−クラウン−5を2mg(0.01mmol)、アジ化ナトリウム10mg(0.15mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド1mlを加え、50℃で20時間攪拌した。反応終了後、水15mlを加え、ジエチルエーテル15mlで三回抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)したところ、無色液体を47mg取得した。
得られた無色液体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1754cm−1および1728cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005328183
8.05ppmと7.99ppmに合わせて水素原子2個分の2つのダブレットピークを観測し(c)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.60−6.75ppmに水素原子13個分のマルチプレットピークを観測し、(d)、(e)、(i)、(m)、(n)のベンゼン環のプロトンに相当した。5.65ppmに水素原子0.5個分のトリプレットピークを観測し、(g)のメチン基のプロトンに相当した。5.33ppmと4.67ppmに合わせて水素原子1個分の2つのカルテットピークを観測し、(j)のメチン基のプロトンに相当した。5.20−4.70ppmに水素原子2.5個分のマルチプレットピークを観測し、(a)、(f)、(g)のメチン基の水素原子2.5個分のプロトンに相当した。4.01−3.97ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(k)のメチン基のプロトンに相当した。3.49−3.38ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(l)のメチレン基のプロトンに相当した。3.42ppmと3.38ppmに合わせて水素原子3個分の2つのシングレットピークを観測し、(b)のメチル基のプロトンに相当した。3.28−3.26ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(l)のメチレン基のプロトンに相当した。1.28ppmと1.17ppmに合計水素原子9個分の2つシングレットピークを観測し、(h)のメチル基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(FAB−MS)を測定したところ、推定分子式C313311Pに水素原子1個を加えた推定分子式C313411Pに相当する計算値655.1931に対して、測定値655.1950となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、無色液体が、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ジフェニルホスホリル−O−アジド−α−D−グルコピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、71%であった。また、この化合物の18℃の旋光度は[α] 18=+116.8(C=1.0、クロロホルム)であった。

Claims (3)

  1. ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下、下記一般式(IV)
    Figure 0005328183
    (式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基であり、Rはアシル基である。)
    で示されるグルコシドエステル化合物と、保護基導入剤であるスルホン酸ハライドとを反応させることにより、下記式(I)
    Figure 0005328183
    (式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基であり、Rはアシル基であり、Rはスルホニル基である。)で示されるグルコシドジエステル化合物を製造する方法。
  2. 請求項1に記載の方法で式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物を製造し、続いて、ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下、該式(I)で示されるグルコシドジエステル化合物と、保護基導入剤であるオキシカルボン酸ハライド、又はジアルキルジカーボネートとを反応させることにより、下記式(II)
    Figure 0005328183
    (式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基であり、Rはアシル基であり、Rはスルホニル基であり、Rはオキシカルボニル基である。)で示されるグルコシドトリエステル化合物を製造する方法。
  3. 請求項2に記載の方法で式(II)で示されるグルコシドトリエステル化合物を製造し、続いて、塩基の存在下、該式(II)で示されるグルコシドトリエステル化合物と、保護基導入剤であるホスホリル酸ハライドとを反応させることにより、下記式(III)
    Figure 0005328183
    (式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基であり、Rはアシル基であり、Rはスルホニル基であり、Rはオキシカルボニル基であり、Rはホスホリル基である。)で示されるグルコシドテトラエステル化合物を製造する方法。
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