JP5334437B2 - キシロシドエステル誘導体およびその製造方法 - Google Patents

キシロシドエステル誘導体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規なキシロシドジエステル化合物、又はキシロシドトリエステル化合物等のキシロシドエステル誘導体及び該キシロシドエステル誘導体の製造方法に関する。
キシロシド化合物は、多糖類の合成、天然物の全合成あるいは生理活性物質の合成、さらにはコンビナトリアルライブラリー構築のための鍵化合物、近年では光学活性なイオン性液体合成の中間体として重要な化合物である。
キシロシド化合物は、その分子内に多くの水酸基を有する。そのため、キシロシド化合物を出発物質として、天然物あるいは生理活性物質を合成する場合、キシロシド化合物の複数の水酸基を各々異なる置換基で保護(保護基で保護)した化合物を出発物質とすれば、反応条件を変えることで所望の保護された水酸基のみを別の置換基に変換したり、保護基を脱離することができるため、より目的とする最終化合物を高選択的に高収率で取得できる。
従来、キシロシド化合物に存在する複数の水酸基の中から一つの水酸基を保護基導入剤によって選択的に保護する方法としては、メチル−β−D−キシロピラノシドをジブチル酸化錫および塩基存在下、ベンゾイルクロライドと反応させて4位の水酸基を選択的にベンゾイル化する方法および3位と4位の水酸基をベンゾイル化する方法(例えば、非特許文献1参照)が知られている。
ケミカル アンド ファーマシューティカル ブレチン(Chemical and Pharmaceuitical Bulletin) 31巻 5号 1612−1624(1983年)
しかし、かかる方法は、4位の水酸基は選択的に保護基で保護できるものの、3位と4位の水酸基に異なる保護基を導入することはできない。さらに、上記方法では、4位の水酸基を選択的に保護することが示されているだけで、その他の水酸基を保護することは示されていない。そのため、上記方法により得られる化合物を出発物質(原料)とした場合には、やはり限られた物質しか合成することができず、より多くの様々な物質を合成するためには、4位以外の水酸基に、各々異なる保護基で保護した化合物を合成することが望まれていた。具体的には、2位と3位の水酸基を異なる保護基で保護した化合物を合成することができれば、さらに多くの物質を高選択的に高収率で取得することができるため、その開発が強く望まれていた。
したがって、本発明の目的は、様々な物質の原料として使用することができる、2位、3位、4位の水酸基が異なる保護基で保護されたキシロシド化合物およびその化合物の製造方法を提供することにある。
かかる事実に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行ったところ、4位の水酸基がアシル基、スルホニル基、又はオキシカルボニル基で保護されたキシロシドエステル化合物を、ジアルキル錫化合物、及び塩基存在下、カルボン酸ハライド、オキシカルボニルハライド、スルホン酸ハライド又はジアルキルジカーボネートの保護基導入剤の中から、キシロシドエステル化合物の4位の水酸基を保護した保護基とは異なる保護基を導入できる保護基導入剤と反応させることで、2位の水酸基が保護された新規なキシロシドジエステル化合物が合成できることを見出した。そして、同様の条件下で、該キシロシドジエステル化合物と、2位、及び4位の水酸基を保護した保護基とは異なる保護基を導入できる保護基導入剤と反応させることで3位が選択的に保護された新規なキシロシドトリエステル化合物が合成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(I)
Figure 0005334437
(式中、Xは、炭素数1〜8のアルキル基であり、R はスルホニル基であり、R はアシル基である。)で示されるキシロシドジエステル化合物。
また、本発明は、下記一般式(II)
Figure 0005334437
(式中、Xは、炭素数1〜8のアルキル基であり、R はスルホニル基であり、R はアシル基であり、R はオキシカルボニル基である。)
で示されるキシロシドトリエステル化合物である。
また、本発明は、ジアルキル錫化合物、塩基の存在下で行う上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物、及び上記一般式(II)で示されるキシロシドトリエステル化合物の製造方法である。なお、以下、上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物、上記一般式(II)で示されるキシロシドトリエステル化合物をまとめて、キシロシドエステル誘導体とする場合もある。
本発明によれば、有機合成上極めて有用な新規なキシロシドエステル誘導体を容易に得ることができるため、工業的利用価値は高い。
(キシロシドエステル誘導体)
本発明のキシロシドエステル誘導体は、下記一般式(I)〜(II)で示される。
Figure 0005334437
Figure 0005334437
ここで上記一般式(I)〜(II)のXは、炭素数1〜8のアルキル基である。
炭素数1〜8のアルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
上記一般式(I)〜(II)のR、R及びRは保護基であり、R はスルホニル基、R はアシル基、R はオキシカルボニル基である。
アシル基を具体的に例示すると、ベンゾイル基、p−トルオイル基、p−クロロベンゾイル基、p−ニトロベンゾイル基、p−tert−ブチルベンゾイル基、α−ナフトイル基、β−ナフトイル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基等を挙げることができる。
スルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、p−クロロベンゼンスルホニル基、p−ニトロベンゼンスルホニル基等を挙げることができる。
オキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
上記一般式(I)〜(II)で示されるキシロシドエステル誘導体において、上記R、R及びRは、夫々異なる保護基であり、二つ以上の保護基が同一の基となることはなく、R はスルホニル基、R はアシル基、R はオキシカルボニル基である。このようにR、R及びRが、それぞれ異なる保護基であることにより、反応条件を変えることで特定の保護された水酸基のみを別の置換基に変換したり、特定の保護基のみを脱離させることができるため、本発明のキシロシドエステル誘導体は、様々な物質の原料として有効に使用することができる。
(キシロシドジエステル化合物)
上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物を例示すると、具体的には、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、等を挙げることができる。
これらのキシロシドジエステル化合物の中でも、合成が容易という観点から、メチル−β−キシロピラノシド誘導体であることが好ましく、具体的には、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、等であることが好ましい。
(キシロシドトリエステル化合物)
上記一般式(II)で示されるキシロシドトリエステル化合物の具体的な例示は行わないが、上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物と保護基導入剤が決まれば、一義的にその化合物は決定される。
(キシロシドエステル誘導体の同定方法)
上記一般式(I)〜(III)で示されるキシロシドエステル誘導体の構造は、下記(i)〜(iii)のいずれか二つ以上の方法により確認することができる。
(i)H−核磁気共鳴スペクトルを測定することにより、化合物中に存在する水素原子の結合様式を知ることができる。例えば、7.0〜8.0ppm付近にベンゼン環の水素のスペクトルを示す。
(ii)赤外吸収スペクトルを測定することにより、化合物の官能基に由来する特性吸収を観察することができる。例えば、3500−3600cm−1付近にO−Hの吸収スペクトルを、1720cm−1付近にC=Oの吸収スペクトルを示す。
(iii)MSスペクトルを測定し、上記一般式(I)で示されるピラノシドジエステル化合物の分子量を決定することができる。
(キシロシドエステル誘導体の製造方法)
(キシロシドジエステル化合物の製造方法)
次に、上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物の製造方法について説明する。上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物は、下記一般式(III)
Figure 0005334437
(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基であり、R はスルホニル基である。)で示されるキシロシドエステル化合物と、ジアルキル錫化合物、及び塩基存在下、上記一般式(III)中のRで示される保護基とは異なる保護基を導入できる保護基導入剤のカルボン酸ハライドとを反応させることによって製造することができる。なお、上記一般式(III)におけるR及びXは、上記一般式(I)におけるR及びXと同義であり、所望とする上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物に応じて、適宜決定してやればよい。
(上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物)
本発明において、上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物は、使用するキシロシド化合物の構造、保護基導入剤の種類、使用する触媒等により、多少収率等の変化はあるが、基本的には、以下の方法により製造することができる。具体的には、下記一般式(IV)
Figure 0005334437
(式中、Xは、炭素数1〜8のアルキル基である。)
で示されるキシロシド化合物を、テトラハイドロフランのような有機溶媒中、ジメチルジクロロ錫、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下、p−トルエンスルホニルクロライド等の保護基導入剤(酸ハライド化合物)と反応させることによって製造することができる。なお、上記一般式(IV)におけるXは、上記一般式(I)におけると同義であり、所望とする上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物に応じて、適宜選定すればよい。また、上記一般式(IV)で示されるキシロシド化合物は、試薬として入手することができる。
(ジアルキル錫化合物)
本発明において、上記ジアルキル錫化合物としては、二つのアルキル基が直接錫と結合している化合物であれば、特に限定されないが、選択性の観点から、該二つのアルキル基は炭素数1〜6のアルキル基であるのが好適である。ジアルキル錫化合物の中でも、ジメチルジクロロ錫、ジメチルジブロモ錫、ジブチルジブロモ錫、ジブチル酸化錫は、高い反応収率を示すため特に好適に使用される。
本発明において、ジアルキル錫化合物の使用量は、上記一般式(IV)で示されるキシロシド化合物に対して触媒量であれば特に制限はないが、あまり量が多いと後処理工程が煩雑となり、あまり量が少ないと反応速度が著しく低下する傾向にある。そのため、通常、ジアルキル錫化合物の使用量は、キシロシド化合物1モルに対して、好ましくは0.0001〜0.3モル、より好ましくは0.001〜0.2モルである。
(塩基)
本発明において、上記塩基としては、有機塩基及び無機塩基を何ら制限なく用いることができる。これらを具体的に例示すると、無機塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム等の炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物を挙げることができる。有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、メチルピロリジン、エチルピロリジン等の脂肪族三級アミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルピリジン、2−N,N−ジメチルピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルイミダゾール等を挙げることができる。
これらの塩基の中でも特に、無機塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム等の炭酸塩、有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、メチルピロリジン、エチルピロリジン等の脂肪族三級アミン等が高い選択性と収率を示すため、好適に採用される。これらの塩基は、単独に用いてもよいし、混合して使用することもできる。
本発明において、塩基の使用量は、特に制限はないが、あまり量が多いと後処理工程が煩雑となる上に、生成物の分解反応に寄与する可能性が高くなり、あまり量が少ないと反応の転化率が低くなる傾向にある。そのため、通常、塩基の使用量は、上記式(IV)で示されるキシロシド化合物に対して、好ましくは0.1〜4モル、より好ましくは1〜3モルである。
(スルホン酸ハライド、カルボン酸ハライド、オキシカルボニルハライド又はジアルキルジカーボネートの保護基導入剤)
本発明において、スルホン酸ハライド、カルボン酸ハライド、オキシカルボニルハライド、又はジアルキルジカーボネート(以下、これらをまとめて単に「保護基導入剤」とする場合もある)は、上記一般式(III)の保護基Rの種類に応じて、何れかを使用すればよい。
これら保護基導入剤は、特に限定されないが、選択性の観点から、炭素数1〜12のカルボン酸ハライド、炭素数1〜12のスルホン酸ハライド、炭素数2〜8のオキシカルボニルハライド、又は炭素数4〜12のジアルキルジカーボネートを使用するのが好適である。好適に使用できる保護基導入剤を具体的に例示すると、カルボン酸ハライドとしては、ベンゾイルクロライド、p−トルオイルクロライド、p−クロロベンゾイルクロライド、p−ニトロベンゾイルクロライド、p−tert−ブチルベンゾイルクロライド、α−ナフトイルクロライド、β−ナフトイルクロライド、ペンタノイルクロライド、ベンゾイルブロマイド等を挙げることができる。スルホン酸ハライドとしては、ベンゼンスルホン酸クロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド、p−クロロベンゼンスルホン酸クロライド、p−ニトロベンゼンスルホン酸クロライド、p−トルエンスルホン酸フルオライド等を挙げることができる。オキシカルボニルハライドとしては、メトキシカルボニルクロライド、エトキシカルボニルクロライド、イソプロポキシカルボニルクロライド、アリルオキシカルボニルクロライド、フェニルオキシカルボニルクロライド、ベンジルオキシカルボニルクロライド等を挙げることができる。ジアルキルジカーボネートとしては、ジメチルジカーボネート、ジエチルジカーボネート、ジ−tert−ブチルジカーボネート、ジ−tert−アミルジカーボネート等を挙げることができる。これらの中でも、ベンゾイルクロライド、p−トルオイルクロライド、p−クロロベンゾイルクロライド、p−ニトロベンゾイルクロライド、p−tert−ブチルベンゾイルクロライド、α−ナフトイルクロライド、β−ナフトイルクロライド等のカルボン酸ハライド、ベンゼンスルホン酸クロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド、p−クロロベンゼンスルホン酸クロライド等のスルホン酸ハライド、フェニルオキシカルボニルクロライド、ベンジルオキシカルボニルクロライド等のオキシカルボニルハライド、ジ−tert−ブチルジカーボネート、ジ−tert−アミルジカーボネート等のジアルキルジカーボネートが高い反応率を示すため、特に好適に使用できる。
本発明において、保護基導入剤の使用量は、上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物の保護したい水酸基と保護基導入剤とは化学量論的に反応するため、あまり量が少ないと未反応物が多く残り収率の低下を招き、あまり量が多いと反応の選択率が低下する傾向にある。そのため、通常、保護基導入剤の使用量は、上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物1モルに対して、好ましくは0.8〜2モル、より好ましくは0.9〜1.5モルである。
(反応方法、反応条件、及び精製方法)
本発明の製造方法では、ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下に、上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物と保護基導入剤とを反応させるが、この時の反応方法は特に限定されず、例えば有機溶媒中でこれら化合物を混合・攪拌することにより好適に行うことができる。
本発明において、上記有機溶媒は、特に制限されるものではなく、試薬又は工業原料として入手可能な溶媒を使用することができる。具体的には、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル等のエーテル類、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの有機溶媒の中でも、特に高い収率が期待できる、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、アセトン等のケトン類が好適に採用される。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いても一向に差し支えない。
上記有機溶媒は、乾燥処理等の精製を行い使用してもよいし、市販のものをそのまま使用することもできる。該有機溶媒中に含まれる水分量は、特に制限はないが、基本的に水と保護基導入剤は反応するため、あまり量が多いと本発明の収率が低下する傾向にある。そのため、有機溶媒中に含まれる水分量は、本発明に使用される保護基導入剤1モルに対して、100モル以下とすることが好ましい。該有機溶媒中の水分量の下限値は、乾燥した有機溶媒を使用することもできるため、保護基導入剤1モルに対して、0モルである。
本発明において、上記有機溶媒の使用量は、特に制限はないが、あまり量が多いとバッチあたりの収量が減少するため経済的ではなく、あまり量が少ないと攪拌等に支障をきたすため、通常、反応溶媒中の上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物の濃度が好ましくは0.1〜70質量%、より好ましくは1〜60質量%となる量である。
本発明において、ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下に、上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物と保護基導入剤とを反応させる際の各化合物の添加順序については、ジアルキル錫化合物を反応系に添加する前に、塩基と保護基導入剤が接触しないようにすれば特に制限されるものではない。中でも、一般的に高い選択性および反応収率を獲得するという観点から、予め有機溶媒中にジアルキル錫化合物、塩基およびキシロシドエステル化合物を添加しておき、次いで保護基導入剤を徐々に該溶媒に添加する方法が好適である。
本発明において、反応温度は、上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物、塩基、及び保護基導入剤の種類によって異なるため、一概には言えないが、あまり温度が低いと反応速度が著しく小さくなり、あまり温度が高いと副反応を助長する傾向にあるため、通常、好ましくは−10〜50℃、より好ましくは0〜40℃である。
また、反応時間も、上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物、塩基、及び保護基導入剤の種類によって異なるため一概には言えないが、通常、好ましくは0.1〜100時間である。
また、反応時の圧力は、常圧、減圧、加圧の何れの状態でも実施可能であり、また、反応時の雰囲気は、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等の不活性気体雰囲気下の何れの状態でも実施可能である。
上記のような反応条件により上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物を製造することができる。つまり、上記ジアルキル錫化合物、塩基の存在下、上記一般式(III)で示される特定のキシロシドエステル化合物と保護基導入剤とを上記条件下で反応させることにより、高い選択率で2位の水酸基が保護された上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物を製造することができ、3位と4位の水酸基が保護された化合物の生成を抑制できる。
このようにして得られた上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物は、以下の方法に従って単離精製できる。具体的には、反応終了後、希塩酸を加えて触媒を失活させた後、酢酸エチル等の水に相溶しない有機溶媒で抽出した後、有機溶媒を留去、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー等によって分離精製できる。なお、上記一般式(I)で示されたキシロシドジエステル化合物は、上記の方法で同定することができる。特に、2位の水酸基が選択的に保護されたキシロシドジエステル化合物が得られたかどうかの確認は、H−NMR測定により確認することができる。
本発明においては、上記の通り、ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下、キシロシドエステル化合物と保護基導入剤とを反応させ、先ず、2位の水酸基を選択的に保護したキシロシドジエステル化合物を製造する。本発明によれば、下記に詳述するキシロシドトリエステル化合物の製造と触媒系が同じであっても、先ず2位の水酸基を選択的に保護したキシロシドジエステル化合物を製造することができる。このように特定の水酸基を順次保護することができるのは、原料となる上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物、ジアルキル錫化合物、及び塩基を使用するからである。
(キシロシドトリエステル化合物の製造方法)
上記一般式(II)で示されるキシロシドトリエステル化合物の製造についても、上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステルの製造方法と全く同様の反応操作を行うことで製造可能である。
即ち、上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物に代えて上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物を用いて同様の反応を行えばよい。なお、この場合、ジアルキル錫化合物、塩基、有機溶媒量等の使用量は、上記一般式(III)で示されるキシロシドエステル化合物に代えて上記一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物に対する使用量に換算してやればよい。
この操作によって、全ての水酸基が異なる保護基で保護された上記一般式(II)で示されたキシロシドトリエステル化合物が製造できる。
(キシロシドエステル誘導体の使用 スルホニル基のアジド基への変換)
このようにして製造された上記一般式(I)、及び(II)で示されるキシロシドエステル誘導体は、水酸基を保護した保護基の種類が異なるため、異なる脱離条件で、所望する特定の位置の保護基を脱離させたり、新たな反応剤と反応させることで、特定の位置の水酸基を別の官能基に変換することで、様々な有機反応に供する原料として使用することができる。
その一例を具体的に例示すると、上記一般式(I)、及び(II)で示されるキシロシドエステル誘導体の中で示される保護基の中で、スルホニル基は他の保護基と比べて脱離基としての性質が強いため、求核性を有する反応剤と容易に置換反応を起こす。例えば、上記一般式(I)、及び(II)で示されるキシロシドエステル誘導体の中で、その分子内にスルホニル基を有するキシロシドエステル誘導体は、界面活性剤存在下、アジド化合物と置換反応を起こし、スルホニル基がアジド基へと変換される(以下、反応Aと称す。)。
(スルホニル基を有するキシロシドエステル誘導体)
反応Aにおけるキシロシドエステル誘導体としては、その分子内にスルホニル基を有しているキシロシドエステル誘導体であれば、特に制限はない。これらキシロシドエステル誘導体を具体的に例示すると、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ベンゾイル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−ベンゼンスルニル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−ベンゾイル−β−D−キシロピラノシド、等を挙げることができる。これらのキシロシドエステル誘導体の中でも、p−トルエンスルホニル基を有しているキシロシドエステル誘導体が、置換反応の収率が高いという観点から、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド、等が好適に使用される。
(アジド化合物)
本反応Aに使用される、アジド化合物としては、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム、アジ化リチウム等のアルカリ金属塩が好適に使用される。アジド化合物の使用量としては、キシロシドエステル誘導体中のスルホニル基とアジド化合物とは化学量論的に反応するため、あまり量が少ないと未反応物が多く残り収率の低下を招き、あまり量が多いと反応の選択率が低下する傾向にある。そのため、通常、アジド化合物の使用量は、スルホニル基を有するキシロシドエステル誘導体1モルに対して、好ましくは0.8〜 2モル、より好ましくは0.9〜1.5モルである。
(界面活性剤)
本反応Aに使用される界面活性剤としては、工業原料及び試薬として容易に入手できる界面活性剤が何ら制限なく使用できる。これらを具体的に例示すると、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテル類、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、N−セチルピリジニウムクロライド、N−セチルピリジニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩等を挙げることができる。これら界面活性剤の中でも、特に高い反応収率が期待できるという観点から、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテル類が好適に採用される。界面活性剤の使用量としては、キシロシドエステル誘導体中のスルホニル基とアジド化合物との置換反応に触媒として作用するため、あまり量が少ないと置換反応の反応速度が落ち、あまり量が多いと界面活性剤の除去操作が煩雑となる傾向にある。そのため、通常、界面活性剤の使用量は、キシロシドエステル誘導体1モルに対して、好ましくは0.005〜0.5モル、より好ましくは0.01〜0.3モルである。
(反応方法、反応条件、及び精製方法)
本反応Aは、界面活性剤の存在下に、スルホニル基を有するキシロシドエステル誘導体とアジド化合物とを反応させるが、この時の反応方法は特に限定されず、例えば有機溶媒中でこれら化合物を混合・攪拌することにより好適に行うことができる。
本発明において、上記有機溶媒は、特に制限されるものではなく、試薬又は工業原料として入手可能な溶媒を使用することができる。具体的には、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル等のエーテル類、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの有機溶媒の中でも、特に高い収率が期待できる、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、アセトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、が好適に採用される。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いても一向に差し支えない。
上記有機溶媒は、乾燥処理等の精製を行い使用してもよいし、市販のものをそのまま使用することもできる。該有機溶媒中に含まれる水分量は、特に制限はないが、基本的に水とスルホニル基は反応するため、あまり量が多いと本発明の収率が低下する傾向にある。そのため、有機溶媒中に含まれる水分量は、本発明に使用されるキシロシドエステル誘導体1モルに対して、100モル以下とすることが好ましい。該有機溶媒中の水分量の下限値は、乾燥した有機溶媒を使用することもできるため、キシロシドエステル誘導体1モルに対して、0モルである。
本発明において、上記有機溶媒の使用量は、特に制限はないが、あまり量が多いとバッチあたりの収量が減少するため経済的ではなく、あまり量が少ないと攪拌等に支障をきたすため、通常、反応溶媒中のキシロシドエステル誘導体の濃度が好ましくは0.1〜70質量%、より好ましくは1〜60質量%となる量である。
本反応Aにおいては、各化合物の添加順序については、特に制限されるものではない。中でも、一般的に高い選択性および反応収率を獲得するという観点から、予め有機溶媒中に界面活性剤およびキシロシドエステル誘導体を添加しておき、次いでアジド化合物を該溶媒中に添加する方法が好適である。
本反応Aにおいて、反応温度は、キシロシドエステル誘導体、界面活性剤、及びアジド化合物の種類によって異なるため、一概には言えないが、あまり温度が低いと反応速度が著しく小さくなり、あまり温度が高いと副反応を助長する傾向にあるため、通常、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜70℃である。
また、反応時間も、キシロシドエステル誘導体、界面活性剤、及びアジド化合物の種類によって異なるため一概には言えないが、通常、好ましくは1〜100時間である。
また、反応時の圧力、および雰囲気は、常圧、減圧、加圧の何れの状態でも実施可能であり、また空気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等の不活性気体雰囲気下の何れの状態でも実施可能である。
上記のような反応条件により上記一般式(I)、及び(II)で示されるキシロシドエステル誘導体のスルホニル基をアジド基へ変換することができる(以下、このようにアジド化されたキシロシドエステル誘導体をアジド化キシロシドエステル誘導体と称す。)。得られたアジド化キシロシドエステル誘導体は、以下の方法に従って単離精製できる。具体的には、反応終了後、水を加え、ジエチルエーテル等の水に相溶しない有機溶媒で抽出した後、有機溶媒を留去、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー等によって分離精製できる。
なお、得られたアジド化キシロシドエステル誘導体は、H−核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル、及びMSスペクトル等の測定により同定することができる。
(アジド化キシロシドエステル誘導体の使用 アジド基のアミノ基への変換)
上記アジド化キシロシドエステル誘導体のアジド基は、金属触媒存在下、水素還元によって、さらにアミノ基へと変換することが可能である(以下、反応Bと称す。)。
(アジド化キシロシドエステル誘導体)
反応Bにおけるアジド化キシロシドエステル誘導体としては、具体的にその化合物を例示しないが、反応Aによって製造したアジド化キシロシドエステル誘導体が何等制限なく使用できる。
(金属触媒)
本反応Bに使用される金属触媒としては、水素還元に通常使用される金属触媒が何等制限なく使用できる。具体的に例示すると、Pd/C、Pt/C、酸化白金、ラネーNi等を挙げることができる。これらの触媒の中でも、高収率が期待できる、Pd/C、Pt/C等の金属触媒が好適に使用される。金属触媒の使用量としては、あまり量が少ないと反応速度が著しく遅くなり、あまり量が多いと触媒と反応液の分離操作が煩雑となる。そのため、通常、金属触媒の使用量としては、アジ化キシロシドエステル誘導体1gに対して、好ましくは0.01〜 1g、より好ましくは0.05〜0.5gである。
(水素)
反応Bは、水素存在下において反応が進行する。反応Bにおいて使用される水素の圧力としては、特に制限はないが、あまり水素濃度が薄いと反応速度が遅くなり、あまり水素濃度が高いと特殊な反応装置が必要となる。そのため、反応Bにおいて使用される水素圧力としては、好ましくは0.01〜2MPa、さらに好ましくは、0.05〜1MPaである。
(反応方法、反応条件、及び精製方法)
本反応Bは、金属触媒存在下に、アジ化キシロシドエステル誘導体と水素とを反応させるが、この時の反応方法は特に限定されず、例えば水及び有機溶媒中でこれら化合物を混合・攪拌することにより好適に行うことができる。
本発明において、上記有機溶媒は、特に制限されるものではなく、試薬又は工業原料として入手可能な溶媒を使用することができる。具体的には、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの有機溶媒の中でも、特に高い収率が期待できる、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、が好適に採用される。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いても一向に差し支えない。
本発明において、上記水及び有機溶媒の使用量は、特に制限はないが、あまり量が多いとバッチあたりの収量が減少するため経済的ではなく、あまり量が少ないと攪拌等に支障をきたすため、通常、反応溶媒中のキシロシドエステル誘導体の濃度が好ましくは0.1〜70質量%、より好ましくは1〜60質量%となる量である。
本反応Bにおいては、各化合物の添加順序については、特に制限されるものではない。中でも、一般的に安全に反応操作を実施するという観点から、予め溶媒中に金属触媒及びアジド化キシロシドエステル誘導体を添加しておき、次いで水素を圧入する方法が好適である。
本反応Bにおいて、反応温度は、アジド化キシロシドエステル誘導体の種類によって異なるため、一概には言えないが、あまり温度が低いと反応速度が著しく小さくなり、あまり温度が高いと副反応を助長する傾向にあるため、通常、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜70℃である。
また、反応時間も、キシロシドエステル誘導体の種類によって異なるため一概には言えないが、通常、好ましくは1〜100時間である。
上記のような反応条件によりアジド化キシロシド誘導体のアジド基をアミノ基へ変換することができる(以下、このようにアミノ化されたキシロシドエステル誘導体をアミノ化キシロシドエステル誘導体と称す。)。得られたアミノ化キシロシドエステル誘導体は、以下の方法に従って単離精製できる。具体的には、反応液を濾過して金属触媒を除去し、溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー等によって分離精製できる。
なお、得られたアミノ化キシロシドエステル誘導体は、H−核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル、及びMSスペクトル等の測定により同定することができる。
以下、実施例を掲げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
実施例1
30mlの茄子型フラスコに1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド159mg(0.5mmol)、ジイソプロピルエチルアミン174μl(1.0mmol)、ジメチルジクロロ錫5.5mg(0.025mmol)、テトラハイドロフラン(以下、THFと称す。)2mlを加え、攪拌した。この混合溶液にベンゾイルクロライド76μl(0.65mmol)を加え、室温下24時間攪拌した。反応終了後、3%塩酸水20mlを加え、酢酸エチル20mlで三回抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)したところ、白色個体を184mg取得した。
得られた白色固体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3500cm−1に水酸基に基づく吸収を得、1725cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005334437
8.04ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し(d)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.76ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(i)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.57ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(f)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.44−7.39ppmに水素原子2個分のマルチプレットピークを観測し、(e)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.28ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(j)のベンゼン環のプロトンに相当した。4.98ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(c)のメチン基のプロトンに相当した。4.66ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(b)のメチン基の水素原子1個分のプロトンに相当した。4.50−4.47ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(l)のメチン基のプロトンに相当した。4.16ppmに水素1個分のダブルダブレットピークを観測し、(m)のメチレン基の水素原子1個分のプロトンに相当した。3.94−3.91ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(g)のメチン基のプロトンに相当した。3.65ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、(n)のメチレン基のプロトンに相当した。3.45ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(a)のメチル基のプロトンに相当した。3.25ppmに水素原子1個分のブロードシングレットピークを観測し、(h)の水酸基のプロトンに相当した。2.41ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(k)のメチル基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(EI−MS)を測定したところ、推定分子式C2022Sに相当する計算値422.1035に対して、測定値422.1057となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、白色固体が、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、87%であった。また、この化合物の20℃の旋光度は[α] 20=−8.8(C=1.0、クロロホルム)であり、融点は144−146℃であった。
実施例2
ジイソプロピルエチルアミンに代えてジイソプロピルメチルアミンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシドを169mg(収率80%)取得した。
実施例3
ジメチルジクロロ錫に代えて、ジブチル酸化錫を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシドを148mg(収率70%)取得した。
比較例1
ジメチルジクロロ錫を用いずに、実施例1と同様の反応を行った。その結果、1−メチル−O −ベンゾイル−O −p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシドを取得できなかった。
実施例4
30mlの茄子型フラスコに1−メチル−O −ベンゾイル−O −p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド126mg(0.3mmol)、ジイソプロピルエチルアミン95μl(0.6mmol)、ジメチルアミノピリジン37mg(0.33mmol)、ジメチルジクロロ錫3mg(0.0075mmol)、THF1.5mlを加え、攪拌した。この混合溶液にジ−tert−ブチルジカーボネート66mg(0.33mmol)を加え、室温下40分攪拌した。反応終了後、3%塩酸水20mlを加え、酢酸エチル20mlで三回抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)したところ、白色個体を130mg取得した。
得られたアモルファス生成物の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1750cm−1および1728cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005334437
8.00ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し(d)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.78ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(i)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.55ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(f)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.40ppmに水素原子2個分のトリプレットピークを観測し、(e)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.33ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(j)のベンゼン環のプロトンに相当した。5.08−5.06ppmに水素原子2個分のマルチプレットピークを観測し、(c)および(g)のメチン基のプロトンに相当した。4.57−4.48ppmに水素原子2個分のマルチプレットピークを観測し、(b)および(l)のメチン基の水素原子2個分のプロトンに相当した。4.28ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、(m)のメチレン基のプロトンに相当した。3.58ppmに水素1個分のダブルダブレットピークを観測し、(n)のメチレン基の水素原子1個分のプロトンに相当した。3.45ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(a)のメチル基のプロトンに相当した。2.44ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(k)のメチル基のプロトンに相当した。1.24ppmに水素原子9個分のシングレットピークを観測し、(h)のメチル基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(FAB−MS)を測定したところ、推定分子式C253010Sに水素原子1個を加えた推定分子式C253110Sに相当する計算値523.1638に対して、測定値523.1627となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、アモルファス生成物が、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、83%であった。また、この化合物の21℃の旋光度は[α] 21=+29.6(C=1.0、クロロホルム)であった。
実施例5
ジイソプロピルエチルアミンに代えてトリエチルアミンを用いた以外は実施例4と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシドを122mg(収率78%)取得した。
実施例6
ジメチルジクロロ錫に代えて、ジブチル酸化錫を用いた以外は実施例4と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシドを125mg(収率80%)取得した。
比較例2
ジメチルジクロロ錫を用いずに、実施例4と同様の反応を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシドの取得は109mg(収率70%)に留まった。
応用例1
30mlの茄子型フラスコに1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−p−トルエンスルホニル−β−D−キシロピラノシド216mg(0.4mmol)、15−クラウン−5を8.8mg(0.04mmol)、アジ化ナトリウム40mg(0.6mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド2mlを加え、80℃で3日間時間攪拌した。反応終了後、水20mlを加え、ジエチルエーテル20mlで三回抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)したところ、無色液体を91mg取得した。
得られた無色液体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1744cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005334437
8.05ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し(d)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.58ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(f)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.45ppmに水素原子2個分のトリプレットピークを観測し、(e)のベンゼン環のプロトンに相当した。5.41ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(c)のメチン基のプロトンに相当した。5.09ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、(g)のメチン基の水素原子1個分のプロトンに相当した。4.51ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(b)のメチン基のプロトンに相当した。4.45−4.05ppmに水素原子2個分のマルチプレットピークを観測し、(i)のメチン基および(j)のメチレン基のプロトンに相当した。3.70ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、(k)のメチレン基のプロトンに相当した。3.46ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(a)のメチル基のプロトンに相当した。1.39ppmに水素原子9個分のシングレットピークを観測し、(h)のメチル基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(FAB−MS)を測定したところ、推定分子式C1823に水素原子1個を加えた推定分子式C1824に相当する計算値394.0614に対して、測定値394.1620となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、無色液体が、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−アジド−β−D−キシロピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、42%であった。また、この化合物の18℃の旋光度は[α] 17=+39.9(C=1.5、クロロホルム)であった。
応用例2
30mlの茄子型フラスコに1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−アジド−β−D−キシロピラノシド61mg(0.15mmol)、10%Pd/C(w/w)6mg、酢酸エチル1mlを加え、水素雰囲気下、室温で48時間攪拌した。反応液を濾過し、溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル= 2:1)、無色液体を29 mg取得した。
得られた無色液体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1745cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005334437
8.05ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し(d)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.57ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(f)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.44ppmに水素原子2個分のトリプレットピークを観測し、(e)のベンゼン環のプロトンに相当した。5.36ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(c)のメチン基のプロトンに相当した。4.96ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、(g)のメチン基の水素原子1個分のプロトンに相当した。4.48ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(b)のメチン基のプロトンに相当した。3.97ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、(k)のメチレン基のプロトンに相当した。3.64ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(l)のメチレン基のプロトンに相当した。3.47ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(a)のメチル基のプロトンに相当した。3.36ppmに水素原子1個分のブロードシングレットピークを観測し、(i)のメチン基のプロトンに相当した。1.65ppmに水素原子2個分のブロードシングレットピークを観測し、(j)のアミノ基のプロトンに相当した。1.39ppmに水素原子9個分のシングレットピークを観測し、(h)のメチル基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(FAB−MS)を測定したところ、推定分子式C1825NOに水素原子1個を加えた推定分子式C1826NOに相当する計算値368.1709に対して、測定値368.1730となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、無色液体が、1−メチル−O−ベンゾイル−O−tert−ブトキシカルボニル−O−アミノ−β−D−キシロピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、53%であった。また、この化合物の22℃の旋光度は[α] 22=+28.3(C=1.5、クロロホルム)であった。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0005334437
    (式中、Xは、炭素数1〜8のアルキル基であり、R はスルホニル基であり、R はアシル基である。)
    で示されるキシロシドジエステル化合物。
  2. 下記一般式(II)
    Figure 0005334437
    (式中、Xは、炭素数1〜8のアルキル基であり、R はスルホニル基であり、R はアシル基であり、R はオキシカルボニル基である。)
    で示されるキシロシドトリエステル化合物。
  3. ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下、下記一般式(III)
    Figure 0005334437
    (式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基であり、R はスルホニル基である。)
    で示されるキシロシドエステル化合物と、保護基導入剤であるカルボン酸ハライドとを反応させることを特徴とする請求項1記載のキシロシドジエステル化合物の製造方法。
  4. ジアルキル錫化合物、塩基の存在下、請求項1に記載された一般式(I)で示されるキシロシドジエステル化合物と、保護基導入剤であるオキシカルボニルハライド、又はジアルキルジカーボネートとを反応させることを特徴とする請求項2記載のキシロシドトリエステル化合物の製造方法。
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