JP5327337B2 - 車両用シート - Google Patents

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Description

本発明は、シートクッションに着座した乗員の腰部と車体側部との間へ膨張展開するサイドエアバッグを備えた車両用シートに関する。
下記特許文献1に示された乗り物用安全装置では、車両の後部座席における背もたれの中央部分が可倒式とされており、この中央部分のドア側に位置して車体に固定された側面部分(サイドシート部)には、サイドエアバッグモジュールが搭載されている。
一方、下記特許文献2に示された側突用エアバッグ装置では、エアバッグが、乗員の胸部を保護する胸保護部と、乗員の腰部を保護する腰保護部とを備えている。
特開平8−40176号公報 特開2009−190678号公報
ところで、車両の側面衝突時には、サイドドアが車室内側へ侵入してくるため、エアバッグを展開させるためのスペースが狭められてしまう。しかも、シートクッションのサイドサポート部がサイドドアに押されて車両幅方向内側へ圧縮されると、サイドサポート部の上面側が上方側へ変形する(浮き上がる)。この結果、サイドエアバッグにおける腰保護部の展開方向が、サイドサポート部によって上方側へ偏向されてしまうと、腰保護部を狙い通りに乗員の腰部とサイドドアとの間へ展開させ難くなることが考えられる。このような現象を防止するためには、例えばサイドサポート部の変形を抑制する補強部材を追加することが考えられるが、補強部材の追加によってシートクッションの座り心地が悪化しないようにする必要がある。
本発明は上記事実を考慮し、シートクッションのサイドサポート部が車両の側面衝突時に車体側部に押されて上方側へ変形することを抑制することができると共に、シートクッションの良好な座り心地を確保することができる車両用シートを得ることを目的としている。
請求項1に記載の発明に係る車両用シートは、車両が側面衝突した際に、シートクッションにおけるサイドサポート部の上方で、着座乗員の腰部と車体側部との間へ膨張展開するサイドエアバッグと、ダイラタント特性を有する材料からなり、前記サイドサポート部に配設されたダイラタント部材と、を備えている。
なお、請求項1に記載の「サイドサポート部に配設された」は、ダイラタント部材の全体がサイドサポート部に配設されたものに限らず、ダイラタント部材の一部がサイドサポート部よりもシート幅方向内側に配設された構成も含まれる。
請求項1に記載の車両用シートでは、車両が側面衝突すると、シートクッションにおけるサイドサポート部の上方で、着座乗員の腰部と車体側部(サイドドアなど)との間へサイドエアバッグが膨張展開する。また、側面衝突の衝撃によって車体側部が上記サイドサポート部に衝突すると、当該サイドサポート部に配設されたダイラタント部材が硬化する。これにより、サイドサポート部の変形が抑制されるので、サイドサポート部が上方側へ変形することを抑制できる。しかも、ダイラタント部材は、衝撃が加わっていないときや衝撃が弱いときは柔軟であるため、シートクッションの良好な座り心地を確保することができる。
請求項2に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の車両用シートにおいて、前記ダイラタント部材は、シートクッションパッドの上面と、前記シートクッションパッドを覆うシート表皮との間に介在されている。
請求項2に記載の車両用シートでは、シートクッションのサイドサポート部においてシートクッションパッドの上面とシート表皮との間に介在されたダイラタント部材が、車両の側面衝突時に硬化する。これにより、サイドサポート部において、シートクッションパッドの上面側の変形を直接的に抑制することができるので、サイドサポート部が上方側へ変形することを効果的に抑制することができる。
請求項3に記載の発明に係る車両用シートは、請求項2に記載の車両用シートにおいて、前記ダイラタント部材は、前記シートクッションパッドの上面と前記シート表皮との間に介在された上壁部と、前記上壁部における前記車体側部側の端部から下方側へ延出され、前記シートクッションパッドにおける前記車体側部側の側面と前記シート表皮との間に介在された外側縦壁部とを有する。
請求項3に記載の車両用シートでは、車両の側面衝突の衝撃によって、車体側部がシートクッションのサイドサポート部に衝突すると、シートクッションパッドにおける車体側部側の側面とシート表皮との間に介在されたダイラタント部材の外側縦壁部に衝撃が加えられる。これにより、ダイラタント部材が硬化すると、シートクッションパッドの上面とシート表皮との間に介在されたダイラタント部材の上壁部によって、サイドサポート部の変形が抑制される。つまり、この発明では、ダイラタント部材の外側縦壁部が、ダイラタント部材を硬化させるためのセンサのように機能するため、ダイラタント部材を良好に硬化させることができる。しかも、ダイラタント部材の上壁部と外側縦壁部とを、シートクッションパッドとシート表皮との間に薄く介在させることができるため、ダイラタント部材の小型軽量化を図ることができる。
請求項4に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の車両用シートにおいて、車体又はシートフレームに設けられ、前記ダイラタント部材と係合することにより前記ダイラタント部材の車両幅方向内側への変位を規制する変位規制部を有する。
請求項4に記載の車両用シートでは、車両の側面衝突の衝撃によって、車体側部がシートクッションのサイドサポート部に衝突すると、当該サイドサポート部に配設されたダイラタント部材が硬化する。このダイラタント部材は、車体又はシートフレームに設けられた変位規制部と係合することで車両幅方向内側への変位が規制される。このため、硬化したダイラタント部材が変位規制部と車体側部との間で突っ張ることにより、車体側部の車両幅方向内側への侵入速度を低減することができる。
請求項5に記載の発明に係る車両用シートは、請求項3に記載の車両用シートにおいて、前記ダイラタント部材は、前記上壁部における前記車体側部とは反対側の端部から下方側へ延出され、前記シートクッションパッドに設けられた壁収容部内に配置された内側縦壁部を有すると共に、前記上壁部は、車両前後方向から見て車両幅方向中央側が下方側へ窪むように曲がっている。
請求項5に記載の車両用シートでは、車体側部がシートクッションのサイドサポート部に衝突することにより、ダイラタント部材の外側縦壁部に衝撃が加えられると、ダイラタント部材が硬化する。この状態で、外側縦壁部が車体側部によって車両幅方向内側へ押されると、シートクッションパッドに設けられた壁収容部内に配置されたダイラタント部材の内側縦壁部が、シートクッションパッドによって車両幅方向内側から支持されると共に、内側縦壁部と外側縦壁部との間で上壁部が圧縮される。この上壁部は、車両前後方向から見て車両幅方向中央側が下方側へ窪むように曲がっているので、上述の如く圧縮されることにより、上記窪んだ部分を起点として下方側へ折れ曲る。このため、サイドサポート部におけるシートクッションパッド及びシート表皮が、ダイラタント部材の上壁部に追従して下方側へ窪む。これにより、サイドサポート部が上方側へ変形することをより効果的に抑制することができる。
請求項6に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の車両用シートにおいて、前記ダイラタント部材の下方側には、シートクッションパッドが配置され、前記シートクッションパッドの下面側には、前記シートクッションパッドと車体又はシートクッションフレームとの間に空間を形成する凹部が形成されている。
請求項6に記載の車両用シートでは、シートクッションのサイドサポート部において、ダイラタント部材の下方側に配置されたシートクッションパッドには、下面側に凹部が形成されている。これにより、シートクッションパッドと車体又はシートクッションフレームとの間に空間が形成されている。したがって、サイドサポート部に衝突した車体側部によってシートクッションパッドが車両幅方向内側へ押された場合には、上記空間を狭める方向へシートクッションパッドが変形することにより、シートクッションパッドが上方側へ変形することを抑制できる。これにより、ダイラタント部材がシートクッションパッドによって上方側へ押し上げられることを抑制できるので、サイドサポート部が上方側へ変形することをより効果的に抑制することができる。
請求項7に記載の発明に係る車両用シートは、車両が側面衝突した際に、シートクッションにおけるサイドサポート部の上方で、着座乗員の腰部と車体側部との間へ膨張展開するサイドエアバッグと、ダイラタント特性を有する材料からなり、前記シートクッション内に設けられると共に、車体又はシートクッションフレームと係合することで車両幅方向内側への変位を規制されると共に、一端が前記サイドサポート部における前記車体側部側に配置されたダイラタント部材と、を備えている。
請求項7に記載の車両用シートでは、車両が側面衝突すると、シートクッションにおけるサイドサポート部の上方で、着座乗員の腰部と車体側部(サイドドアなど)との間へサイドエアバッグが膨張展開する。また、側面衝突の衝撃によって車体側部がサイドサポート部に衝突すると、当該サイドサポート部における車体側部側に一端が配置されたダイラタント部材に衝撃が加えられ、当該ダイラタント部材が硬化する。このダイラタント部材は、車体又はシートクッションフレームと係合することにより、車両幅方向内側への変位が規制される。このため、当該ダイラタント部材が突っ張ることにより、シートクッションの変形が抑制される。これにより、サイドサポート部の変形が抑制されるので、サイドサポート部が上方側へ変形することを抑制できる。また、硬化したダイラタント部材が変位規制部と車体側部との間で突っ張ることにより、車体側部の車両幅方向内側への侵入速度を低減することも可能である。さらに、ダイラタント部材は、衝撃が加わっていないときや衝撃が弱いときは柔軟であるため、シートクッションの良好な座り心地を確保することができる。
以上説明したように、請求項1に記載の発明に係る車両用シートでは、シートクッションのサイドサポート部が車両の側面衝突時に車体側部に押されて上方側へ変形することを抑制することができると共に、シートクッションの良好な座り心地を確保することができる。
請求項2に記載の発明に係る車両用シートでは、サイドサポート部が上方側へ変形することを効果的に抑制することができる。
請求項3に記載の発明に係る車両用シートでは、ダイラタント部材を良好に硬化させることができると共に、ダイラタント部材の小型軽量化を図ることができる。
請求項4に記載の発明に係る車両用シートでは、車体側部の車両幅方向内側への侵入速度を低減することができる。
請求項5に記載の発明に係る車両用シートでは、サイドサポート部が上方側へ変形することをより効果的に抑制することができる。
請求項6に記載の発明に係る車両用シートでは、サイドサポート部が上方側へ変形することをより効果的に抑制することができる。
請求項7に記載の発明に係る車両用シートでは、シートクッションのサイドサポート部が車両の側面衝突時に車体側部に押されて上方側へ変形することを抑制することができると共に、シートクッションの良好な座り心地を確保することができ、更に、車体側部の車両幅方向内側への侵入速度を低減することができる。
本発明の第1実施形態に係るリヤシートの一部を含む周辺部材の斜視図である。 図1に示されるリヤシートの側面図である。 図2の3−3線に沿った切断面を示す縦断面図である。 本発明の実施形態に係るリヤシートの比較例を示す縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係るリヤシートにおけるシートクッションの部分的な構成を示す縦断面図である。 図5Aに示されるサイドサポート部に衝突荷重が入力された状態を示す縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係るリヤシートの一部を含む周辺部材の構成を示す縦断面図である。 本発明の第4実施形態に係るリヤシートの一部を含む周辺部材の構成を示す縦断面図である。 本発明の第5実施形態に係るリヤシートの一部を含む周辺部材の構成を示す縦断面図である。
<第1の実施形態>
以下、図1〜図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る車両用シートとしてのリヤシート10について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは、車両前方側を示し、矢印UPは車両上方側を示し、矢印INは、車両幅方向内側を示している。また、本実施形態では、リヤシート10の前方向、上方向、幅方向は、車両の前方向、上方向、幅方向と一致している。
図1及び図2に示されるように、リヤシート10は、車体のリヤフロアパネル12(車体に設けられた支持部材)の上部に取り付けられ、着座乗員14の臀部及び大腿部を支持するシートクッション16と、シートクッション16の後端部から上方側へ立設され、着座乗員14の背もたれとなるシートバック18とを備えている。なお、図2では、着座乗員14のヒップポイントに符号HPが付されている。
シートバック18は、分割可倒式のものであり、図1に示されるように、左右一対のシートバック本体部20と、これらのシートバック本体部20に対して車両幅方向両外側に配置された左右一対のサイドシート部22とを備えている(なお、図1では車体左側のサイドシート部22のみが図示されている)。シートバック本体部20は、下端部がリヤフロアパネル12に対して車両幅方向に沿った軸線周りに回転可能に連結されており、サイドシート部22は、車体に固定されている。
サイドシート部22には、リヤサイドエアバッグ装置24を構成するエアバッグモジュール26が搭載されている。このリヤサイドエアバッグ装置24は、従来公知のものであり、エアバッグモジュール26内に折り畳み状態で格納されたリヤサイドエアバッグ28を備えている。リヤサイドエアバッグ28は、車両に搭載された側面衝突センサが車両の側面衝突状態を検知した際に、インフレータが発生させるガスの圧力でサイドシート部22の前方側へ膨張展開するようになっている(図2参照)。
このリヤサイドエアバッグ28は、図2に示されるように、着座乗員14の胸部の側方へ膨張展開する胸部チャンバ28Aと、着座乗員14の腰部の側方へ膨張展開する腰部チャンバ28Bとを一体に備えている。腰部チャンバ28Bは、図3に示されるように、シートクッション16に設けられたサイドサポート部16Aの上方で、着座乗員14の腰部とリヤサイドドア30(車体側部)のドアトリム32との間へ膨張展開する。なお、図3では説明の都合上、胸部チャンバ28Aの図示を省略してある。また、図3において、34はリヤサイドドア30のアウタパネルを示し、36はリヤサイドドア30のインナパネルを示し、38は、車体のロッカを示している。
図1及び図3に示されるように、シートクッション16は、着座乗員14の臀部及び大腿部を下方側から支持するシートクッション本体部16Bと、シートクッション本体部16Bに対して車両幅方向両外側に配置されたサイドサポート部16Aとを一体に備えている。図3に示されるように、サイドサポート部16Aは、シートクッション本体部16Bよりも上方側へ膨らんでおり、着座乗員14の臀部及び大腿部を側方から支持するようになっている。
このシートクッション16は、そのクッション材を構成するシートクッションパッド40を備えている。このシートクッションパッド40は、例えばウレタンフォーム等の発泡体によって形成されており、リヤフロアパネル12によって下方側から支持されている。このシートクッションパッド40の表面は、シート表皮42によって覆われている。このシート表皮42は、布材や皮材などからなり、周縁部がシートクッションパッド40の下面側に係止されている。
さらに、図1〜図3に示されるように、シートクッション16のサイドサポート部16Aには、ダイラタント特性を有する材料からなるダイラタント部材46が配設されている。ダイラタント部材46は、例えば英国のd3oTMlab社が製造する「d3oTM」によって断面略L字形の薄板状に形成されたものである。このダイラタント部材46は、シートクッションパッド40の上面とシート表皮42との間に介在された上壁部46Aと、シートクッションパッド40におけるリヤサイドドア30側の側面とシート表皮42との間に介在された外側縦壁部46Bとを一体に有している。上壁部46A及び外側縦壁部46Bは、シートクッションパッド40の上面及び側面に沿うように形成されている。
また、図2に示されるように、腰部チャンバ28Bが膨張展開した状態では、車両前後方向において、腰部チャンバ28Bの前端部がダイラタント部材46の前端部と略同じ位置に配置されるようになっている。また、ダイラタント部材46の後端部は、サイドサポート部16Aの後端部に配置されている。
このダイラタント部材46は、シートクッション16が製造される際に、シートクッションパッド40に取り付けられ、その後にシート表皮42が被せられることで、シートクッションパッド40とシート表皮42との間に保持された構成になっている。なお、シートクッションパッド40とダイラタント部材46とを一体発泡などにより一体に成形する構成にしてもよい。
また、このシートクッション16では、シートクッションパッド40は、サイドサポート部16Aを構成する部位の下面側に凹部40Aが形成されている。これにより、ダイラタント部材46の下方側でシートクッションパッド40とリヤフロアパネル12との間には空間48が形成されている。
次に、本第1実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成のリヤシート10では、車両が側面衝突すると、シートクッション16におけるサイドサポート部16Aの上方で、着座乗員14の腰部とリヤサイドドア30との間へリヤサイドエアバッグ28が膨張展開する。また、側面衝突の衝撃荷重F(図3参照)によってリヤサイドドア30のドアトリム32がサイドサポート部16Aに衝突すると、当該サイドサポート部16Aに配設されたダイラタント部材46が瞬時に硬化する。このダイラタント部材46は、優れたエネルギ吸収性能を発揮する。しかも、硬化したダイラタント部材46によって、サイドサポート部16Aの変形が抑制されるので、サイドサポート部16Aが上方側へ変形(膨出)することを抑制できる。
したがって、サイドエアバッグ28における腰部チャンバ28Bの展開方向が、サイドサポート部16Aによって上方側へ偏向されてしまうこと(腰部チャンバ28Bがサイドサポート部16Aによって押し上げられてしまうこと)を防止又は抑制することができる。これにより、腰部チャンバ28Bを狙い通りに着座乗員14の腰部とドアトリム32との間に介在させることができる。
つまり、図4に示されるように、ダイラタント部材46が省略された構成(比較例)では、ドアトリム32がサイドサポート部16Aに衝突すると、サイドサポート部16Aが車両幅方向内側へ圧縮され、これにより、サイドサポート部16Aの上面側が上方側へ膨出するように変形する(図4の二点鎖線参照)。このため、腰部チャンバ28Bの展開方向がサイドサポート部16Aによって上方側へ偏向されてしまうが、本実施形態ではこれを回避することができる。したがって、本実施形態では、腰部チャンバ28Bを狙い通りに着座乗員14の腰部とドアトリム32との間へ展開させることができ、腰部チャンバ28Bによる乗員保護性能を良好に確保することができる。
しかも、ダイラタント部材46は、通常時(衝撃が加わっていないときや衝撃が弱いとき)は柔軟であるため、ダイラタント部材46をサイドサポート部16Aの上面側に配置して、サイドサポート部16Aの上面側の変形を有効に抑制するようにした場合でも、シートクッション16の良好な座り心地を確保することができる。また、ダイラタント部材46(サイドサポート部16Aの変形抑制構造)の配置が、座り心地の面から制約を受けないため、設計自由度が高いというメリットもある。また、金属等からなる補強部材によってサイドサポート部16Aを補強する構成と比較して、シートクッション16の質量が増加することを抑制できる。
さらに、硬化したダイラタント部材46が車両幅方向内側へ侵入してくるドアトリム32に干渉することで、ドアトリム32の侵入を抑制することもできる。これにより、胸部チャンバ28A及び腰部チャンバ28Bを展開させるためのスペースが狭められるまでの時間を長く確保することができるため、リヤサイドエアバッグ28を良好に展開させることができる。したがって、リヤサイドエアバッグ28による乗員保護性能を良好に向上させることができる。
また、本実施形態では、サイドサポート部16Aにおいてシートクッションパッド40の上面とシート表皮42との間に介在されたダイラタント部材46の上壁部46Aが、車両の側面衝突時に硬化する。これにより、サイドサポート部16Aにおいて、シートクッションパッド40の上面側の変形を直接的に抑制することができるので、サイドサポート部16Aが上方側へ変形することを効果的に抑制することができる。
しかも、本実施形態に係るダイラタント部材46は、上壁部46Aと一体に形成された外側縦壁部46Bを有しており、この外側縦壁部46Bがシートクッションパッド40の側面とシート表皮42との間に介在されている。したがって、リヤサイドドア30がサイドサポート部16Aと衝突した際には、外側縦壁部46Bに衝撃が加えられることにより、ダイラタント部材46の材料の分子同士が瞬時に結合し、上壁部46A及び外側縦壁部46Bの全体が瞬時に硬化する。つまり、この実施形態では、外側縦壁部46Bがダイラタント部材46を硬化させるためのセンサのように機能するため、ダイラタント部材46を迅速かつ良好に硬化させることができる。しかも、ダイラタント部材46の上壁部46Aと外側縦壁部46Bとが、シートクッションパッド40とシート表皮42との間に薄く介在した構成であるため、ダイラタント部材46の小型軽量化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、シートクッションパッド40の下面側には凹部40Aが形成されており、シートクッションパッド40とリヤフロアパネル12との間に空間48が形成されている。したがって、サイドサポート部16Bに衝突したドアトリム32によってシートクッションパッド40が車両幅方向内側へ押された場合には、空間48を狭める方向へシートクッションパッド40が変形することにより、シートクッションパッド40が上方側へ変形することを抑制できる。これにより、ダイラタント部材46がシートクッションパッド40によって上方側へ押し上げられることを抑制できるので、サイドサポート部16Bが上方側へ変形することをより効果的に抑制することができる。
なお、上記第1実施形態では、シートクッションパッド40に凹部40Aが形成された構成にしたが、請求項1−5,7に係る発明はこれに限らず、凹部40Aが省略された構成にしてもよい。
また、上記第1実施形態では、リヤシート10の側方に車体側部を構成するリヤサイドドア30が配置された構成にしたが、請求項1−7に係る発明はこれに限らず、リヤシート10の側方に車室の側壁(ドア以外)が配置される構成にしてもよい。この場合、車室の側壁を構成するボディパネルに取り付けられた内装材等が、車両の側面衝突時にサイドサポート部16Aに衝突することになる。
また、上記第1実施形態では、車両のリヤシート10に対して本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、本発明は車両のフロントシートに対しても適用することができる。この場合、シートクッションパッド40がフロントシートのシートクッションフレームに支持される構成になる。以上の点は、以下に説明する本発明の他の実施形態においても同様である。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前記第1実施形態と基本的に同様の構成・作用については、前記第1実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
<第2の実施形態>
図5(A)には、本発明の第2の実施形態に係る車両用シートとしてのリヤシートを構成するシートクッション16の部分的な構成が縦断面図にて示されている。この実施形態は、前記第1実施形態と基本的に同様の構成とされているが、サイドサポート部16Aには、前記第1実施形態に係るダイラタント部材46とは構成が異なるダイラタント部材50が配設されている。
このダイラタント部材50は、ダイラタント部材46と同じ材料により形成されたものであり、前記第1実施形態に係る上壁部46A及び外側縦壁部46Bと基本的に同様の構成とされた上壁部50A及び外側縦壁部50Bを備えている。更に、このダイラタント部材50は、上壁部50Aの車両幅方向内側の端部から下方側へ延出された内側縦壁部50Cを備えており、車両前後方向から見て下方側が開口した開断面形状に形成されている。この内側縦壁部50Cは、シートクッションパッド40に予め形成された壁収容部としての溝40B内に配置されている(嵌め込まれている)。
また、このダイラタント部材50では、上壁部50Aの車両幅方向中央部に中折れビード50D(窪み部)が形成されている。この中折れビード50Dは、上壁部50Aの車両幅方向中央部が下方側へ断面U字状に膨出することにより形成されており、車両前後方向に延在している。このため、上壁部50Aは、車両幅方向の圧縮荷重が作用した際に、中折れビード50Dに応力が集中するようになっている。また、上壁部50Aは、全体として車両幅方向中央側が下方側へ窪むように緩やかに曲がっている。
この実施形態では、図示しないリヤサイドドア30のドアトリム32がシートクッション16のサイドサポート部16Aに衝突することにより、図5(B)に示される如く、ダイラタント部材50の外側縦壁部50Bに衝撃荷重Fが加えられると、ダイラタント部材50の材料の分子同士が結合し、ダイラタント部材50の全体が瞬時に硬化する。この状態で、外側縦壁部50Bがドアトリム32によって車両幅方向内側へ押されると、シートクッションパッド40の溝40B内に配置された内側縦壁部50Cがシートクッションパッド40によって車両幅方向内側から支持されると共に、内側縦壁部50Cと外側縦壁部50Bとの間で上壁部50Aが車両幅方向に圧縮される。これにより、上壁部50Aの中折れビード50Dに応力が集中する。この上壁部50Aは、車両前後方向から見て車両幅方向中央側が下方側へ窪むように曲がっているので、上述の如く圧縮されることにより、中折れビード50Dを起点として下方側へ折れ曲る。このため、サイドサポート部16Aにおけるシートクッションパッド40及びシート表皮42が、上壁部50Aに追従して下方側へ窪む。これにより、サイドサポート部16Aが上方側へ変形することをより効果的(積極的)に抑制することができる。
なお、上記第2実施形態では、上壁部50Aに中折れビード50Dが設けられた構成にしたが、請求項5に係る発明はこれに限らず、中折れビード50D以外の脆弱部(例えば薄肉部)を上壁部50Aに設ける構成にしてもよい。また、中折れビード50D等の脆弱部が省略された構成にしてもよい。
また、上記第2実施形態では、内側縦壁部50Cがシートクッションパッド40に予め形成された溝40B内に配置された構成にしたが、請求項5に係る発明は限らず、ダイラタント部材50が一体発泡等によってシートクッションパッド40と一体成形される場合には、当該一体成形時に内側縦壁部50Cがシートクッションパッド40内に埋設されると共に、内側縦壁部50Cを収容した壁収容部がシートクッションパッド40に形成されることになる。
<第3の実施形態>
図6には、本発明の第3の実施形態に係る車両用シートとしてのリヤシートを構成するシートクッション16の一部を含む周辺部材の構成が縦断面図にて示されている。この実施形態は、前記第1実施形態と基本的に同様の構成とされているが、サイドサポート部16Aには、前記第1実施形態に係るダイラタント部材46とは構成が異なるダイラタント部材60が配設されている。
このダイラタント部材60は、ダイラタント部材46と同じ材料からなり、車両前後方向から見て略山型の塊状に形成されており、シートクッションパッド40の上面とシート表皮42との間に介在している。このダイラタント部材60は、前記第1実施形態に係るダイラタント部材46よりも大幅に肉厚に形成されている。このダイラタント部材60の車両前後に沿った長さ寸法及び車両前後方向の配置は、前記第1実施形態に係るダイラタント部材46と同様に設定されている。
ダイラタント部材60の上面及びリヤサイドドア30側の側面は、サイドサポート部16Aの外形に沿った滑らかな曲面状に形成されている。また、ダイラタント部材60の下面は、平面状に形成されてシートクッションパッド40の上面に密着している。但し、ダイラタント部材60の下面側には、シートクッションパッド40の上面に形成された段部40Cに対してシート幅方向外側から当接した段部60Aが形成されている。これにより、シートクッションパッド40に対するダイラタント部材60の車両幅方向内側への変位が規制されている。なお、上述のダイラタント部材60は、シートクッションパッド40と一体発泡などにより一体に成形してもよいし、シートクッションパッド40とは別体に成形して接着剤等によりシートクッションパッド40に取り付ける構成にしてもよい。また、シートクッションパッド40とは別体に成形されたダイラタント部材60をシート表皮42によってシートクッションパッド40に保持する構成にしてもよい。
この実施形態では、肉厚な塊状に形成されたダイラタント部材60がシートクッションパッド40の上面とシート表皮42との間に介在している。このため、ドアトリム32がサイドサポート部16Aに衝突することにより硬化したダイラタント部材60が、ドアトリム32側からの衝突荷重によって不用意に変形することを抑制できる。これにより、上方側へ変形しようとするシートクッションパッド40をダイラタント部材60によって良好に押え付けることができる。したがって、サイドサポート部16Aが上方側へ変形することをより一層効果的に抑制することができる。
しかも、この実施形態では、車両幅方向内側へ侵入してくるドアトリム32に対して、硬化した肉厚な塊状のダイラタント部材60が干渉するため、ドアトリム32の侵入速度を効果的に低減することができる。これにより、リヤサイドエアバッグ28を展開させるためのスペースが狭められるまでの時間を十分に確保することができるので、リヤサイドエアバッグ28を良好に展開させることができる。
<第4の実施形態>
図7には、本発明の第4の実施形態に係る車両用シートとしてのリヤシートを構成するシートクッション16の一部を含む周辺部材の構成が縦断面図にて示されている。この実施形態は、前記第1実施形態と基本的に同様の構成とされているが、サイドサポート部16Aには、前記第1実施形態に係るダイラタント部材46とは構成が異なるダイラタント部材70が配設されている。
このダイラタント部材70は、ダイラタント部材46と同じ材料からなり、肉厚な塊状に形成されてシートクッションパッド40の内部に埋め込まれている。このダイラタント部材70は、上端がサイドサポート部16Aの上面に近接して配置され、下端がリヤフロアパネル12に近接して配置されると共に、リヤサイドドア30側の側面がサイドサポート部16Aの側面に近接して配置されている。このダイラタント部材60の車両前後に沿った長さ寸法及び車両前後方向の配置は、前記第1実施形態に係るダイラタント部材46と同様に設定されている。
このダイラタント部材70には、下部側の車両幅方向内側部分に段部70Aが形成されている。この段部70Aは、リヤフロアパネル12の上面に固定された補強ブラケット72(変位規制部)に対応している。補強ブラケット72は、板金材料が曲げ加工されて形成されたものであり、車両前後方向から見て断面ハット状に形成されている。この補強ブラケット72は、開口側に設けられたフランジ部が溶接等の手段によってリヤフロアパネル12に固定されており、ダイラタント部材70の段部70Aに対して車両幅方向内側から対向(ここでは当接)している。これにより、ダイラタント部材70のリヤフロアパネル12に対する車両幅方向内側への変位が規制されている。
この実施形態では、車両の側面衝突の衝撃によって、リヤサイドドア30のドアトリム32がサイドサポート部16Aに衝突すると、当該サイドサポート部16Aに配設されたダイラタント部材70が硬化する。これにより、サイドサポート部16Aの変形が抑制されるので、サイドサポート部16Aが上方側へ変形することを抑制できる。
しかも、このダイラタント部材70は、リヤフロアパネル12に固定された補強ブラケット72によって車両幅方向内側への変位を規制されている。このため、硬化したダイラタント部材が補強ブラケット72とドアトリム32との間で突っ張ることにより、ドアトリム32に対して大きな反力を付与することができる。これにより、ドアトリム32の車両幅方向内側への侵入速度を大幅に低減することができるので、リヤサイドエアバッグ28の展開スペースを良好に確保することができ、リヤサイドエアバッグ28による乗員保護性能を向上させることができる。
なお、上記第4実施形態では、補強ブラケット72(変位規制部)がリヤフロアパネル12に固定された構成にしたが、これに限らず、リヤフロアパネル12の一部が車両上方側へ突出して形成されることにより、リヤフロアパネル12に変位規制部が設けられる構成にしてもよい。また、変位規制部の形状は適宜変更することができる。
また、本発明を車両のフロントシートに対して適用する場合には、フロントシートのシートクッションフレームに設けられた変位規制部を、ダイラタント部材に対して車両幅方向内側から対向又は当接させる構成になる。
<第5の実施形態>
図8には、本発明の第5の実施形態に係る車両用シートとしてのリヤシートを構成するシートクッション16の一部を含む周辺部材の構成が縦断面図にて示されている。この実施形態は、前記第1実施形態と基本的に同様の構成とされているが、シートクッション16には、前記第1実施形態に係るダイラタント部材46とは構成が異なるダイラタント部材80が配設されている。
このダイラタント部材80は、ダイラタント部材46と同じ材料によって長尺な棒状に形成されたものであり、シートクッションパッド40に埋め込まれている。ダイラタント部材80の長手方向一端部は、シートクッション本体部16Bの下部側に配置されており、リヤフロアパネル12に固定された補強ブラケット82に当接している。これにより、ダイラタント部材80の車両幅方向内側への変位が規制されている。また、ダイラタント部材80の長手方向他端部は、サイドサポート部16Aの上部側に配置されており、サイドサポート部16Aにおけるリヤサイドドア30側の側面に近接して配置されている。
この実施形態では、車両の側面衝突の衝撃によって、リヤサイドドア30のドアトリム32がサイドサポート部16Aに衝突すると、当該サイドサポート部16Aにおけるリヤサイドドア30側に長手方向一端部が配置されたダイラタント部材80に衝撃が加えられ、当該ダイラタント部材80が硬化する。このダイラタント部材80は、長手方向他端部がリヤフロアパネル12に固定された補強ブラケット82に当接することにより、車両幅方向内側への変位を規制される。このため、当該ダイラタント部材80が補強ブラケット82とドアトリム32との間で突っ張ることにより、シートクッション16の変形が抑制される。これにより、サイドサポート部16Aの変形が抑制されるので、サイドサポート部16Aが上方側へ変形することを抑制できる。しかも、このダイラタント部材80が補強ブラケット82とドアトリム32との間で突っ張ることにより、ドアトリム32に対して大きな反力を付与することができる。これにより、ドアトリム32の車両幅方向内側への侵入速度を大幅に低減することができるので、リヤサイドエアバッグ28の展開スペースを良好に確保することができ、リヤサイドエアバッグ28による乗員保護性能を向上させることができる。
以上、幾つかの実施形態を挙げて、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。

Claims (7)

  1. 車両が側面衝突した際に、シートクッションにおけるサイドサポート部の上方で、着座乗員の腰部と車体側部との間へ膨張展開するサイドエアバッグと、
    ダイラタント特性を有する材料からなり、前記サイドサポート部に配設されたダイラタント部材と、
    を備えた車両用シート。
  2. 前記ダイラタント部材は、シートクッションパッドの上面と、前記シートクッションパッドを覆うシート表皮との間に介在されている請求項1に記載の車両用シート。
  3. 前記ダイラタント部材は、前記シートクッションパッドの上面と前記シート表皮との間に介在された上壁部と、
    前記上壁部における前記車体側部側の端部から下方側へ延出され、前記シートクッションパッドにおける前記車体側部側の側面と前記シート表皮との間に介在された外側縦壁部と、
    を有する請求項2に記載の車両用シート。
  4. 車体又はシートフレームに設けられ、前記ダイラタント部材と係合することにより前記ダイラタント部材の車両幅方向内側への変位を規制する変位規制部を有する請求項1に記載の車両用シート。
  5. 前記ダイラタント部材は、前記上壁部における前記車体側部とは反対側の端部から下方側へ延出され、前記シートクッションパッドに設けられた壁収容部内に配置された内側縦壁部を有すると共に、前記上壁部は、車両前後方向から見て車両幅方向中央側が下方側へ窪むように曲がっている請求項3に記載の車両用シート。
  6. 前記ダイラタント部材の下方側には、シートクッションパッドが配置され、前記シートクッションパッドの下面側には、前記シートクッションパッドと車体又はシートクッションフレームとの間に空間を形成する凹部が形成されている請求項1に記載の車両用シート。
  7. 車両が側面衝突した際に、シートクッションにおけるサイドサポート部の上方で、着座乗員の腰部と車体側部との間へ膨張展開するサイドエアバッグと、
    ダイラタント特性を有する材料からなり、前記シートクッション内に設けられると共に、車体又はシートクッションフレームと係合することで車両幅方向内側への変位を規制されると共に、一端が前記サイドサポート部における前記車体側部側に配置されたダイラタント部材と、
    を備えた車両用シート。
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