実施の形態1.
図1は、本発明による画像形成装置の要部構成を説明するための概略構成図である。
画像形成装置1は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色を印刷可能なカラー用電子写真式プリンタとしての構成を備えている。同図に示すように、画像形成装置1の内部には、印刷媒体としての記録用紙3の搬送路に沿って、その上流側からブラック(K)用のイメージドラムユニット(以後、IDユニットと称す)6K、イエロー(Y)用のIDユニット6Y、マゼンタ(M)用のIDユニット6M、及びシアン(C)用のIDユニット6Cが配置され、更にその後段には透明(T)用のIDユニット6T(特に区別する必要がない場合にはIDユニット6と称す場合がある)が配置されている。これらの5つのIDユニット6は、画像形成装置1本体に対して脱着可能となっている。
各IDユニット6K〜6Tには、後述するように、IDユニットに備えられた像担持体としての感光ドラム60(図2)の所定部に光を照射するためのLEDヘッド7K〜7T(特に区別する必要がない場合にはLEDヘッド7と称す場合がある)が備えられている。ブラック用の(K)IDユニット6K、イエロー用の(Y)IDユニット6Y、マゼンタ用の(M)IDユニット6M、及びシアン用の(C)IDユニット6C(以後、これら4色のIDユニット6K〜6CをカラーIDユニットと称す場合がある)と透明トナー用の(T)IDユニット6Tとは、後述するアップダウン駆動手段(図1に、その一部であるアップダウンリンクレバー45を点線で示す)によって矢印A、B方向にアップダウンし、一方が転写ベルト11から離間すると他方が接触し、他方が転写ベルト11から離間すると一方が接触するように構成されている。
尚、以後、ブラック用の(K)IDユニット6Kのように、名称の前に(K)、(Y)、(M)、(C)、(T)の記号を付す場合、それぞれの色に対応する箇所の名称であることを示す。
転写ベルト11は、継目なしのエンドレス状に形成されており高抵抗の半導電性プラスチックフィルムである。転写ベルト11は、ベルト従動ローラ12と駆動ローラ13とに掛け渡されており、矢印D方向に回転する駆動ローラ13によって回転され、その上側部は、各IDユニット6K〜6Tと各IDユニット6K〜6Tに対向して配置される転写ローラ10K〜10T(特に区別する必要がない場合には転写ローラ10と称す場合がある)の間にあって矢印C方向に移動する。クリーニングブレード15は、ベルト従動ローラ12に近い位置で、転写ベルト11の下側部の表面に当接して配置されている。クリーニングブレード15によって掻き落とされたトナーなどの付着物は、クリーナー容器16に収容される。クリーニングブレード15は図示しない駆動手段で適宜離間可能である。
記録用紙3は、画像形成装置1の下部に配置された記録紙カセット2に積層して収容され、図示しない弁別手段とホッピングローラ31により1枚ずつ取り出され、レジストローラ17により所定のタイミングで転写ベルト11と(K)IDユニット6Kのニツプ部(転写位置に相当する)に搬送される。このとき記録用紙3は、転写ベルト11に電気的に吸着して搬送され、その後、(Y)IDユニット6Y、(M)IDユニット6M、(C)IDユニット6C、及び(T)IDユニット6Tの各転写位置を通過する過程で、後述するように、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各トナー像の積層によって形成されるカラートナー画像、又は透明のトナー画像が選択的に転写され、定着器20に搬送される。
定着器20では、ヒートローラ21と加圧ローラ22によって記録用紙3上のトナー画像を加熱、融解、加圧し、記録用紙3上にトナー像を定着させる。
定着後の記録用紙3は、印刷制御部104(図4)で駆動制御される搬送セパレータ46によって、装置外に排出する排出ローラ19に搬送されるか、用紙循環路71を形成する再搬送ローラ28、29、30に搬送されるかが決まる。即ち、搬送セパレータ46が、実線で示す送出ポジション46aにあるとき、記録用紙3は、排出ローラ19に搬送されて装置外に排出され、点線で示す再搬送ポジション46bにあるとき、記録用紙3は、用紙循環路71に導かれ、後述するように再度レジストローラ17に搬送される。
用紙循環路71の再搬送ローラ28と29の間には、反転搬送セパレータ47と反転搬送ローラ32からなるスイッチバック部72が配設されている。例えば、反転搬送セパレータ47が実線で示す再搬送ポジション47aの時、用紙循環路71を搬送される記録用紙3は、レジストローラ17を経て再び(K)IDユニット6Kの転写位置に至り、このとき、先にトナー画像が転写、定着された記録面が再び記録面として搬送される。
一方、反転搬送セパレータ47が点線のポジション47bの時、記録用紙3は、反転搬送ローラ32に送られ、その後端が反転搬送セパレータ47を通過するまで、同方向に搬送される。その後、反転搬送セパレータ47を点線のポジション47cに変位させて反転搬送ローラ32を逆転することにより、このとき用紙循環路71を搬送される記録用紙3は、レジストローラ17を経て再び(K)IDユニット6Kの転写位置に至り、このとき、先にトナー画像が転写、定着された記録面の反対面(裏面)が記録面として搬送される。記録済み面の裏面が記録面として搬送される。
書き出しセンサ40、排出センサ41、スタックセンサ42は、記録用紙3の通過を認識するためのメカセンサで、媒体が通過するたびに動作するものである。
ここでブラックのトナーを備える(K)IDユニット6Kの構成について説明する。尚、イエローのトナーを備える(Y)IDユニット6Y、マゼンタのトナーを備える(M)IDユニット6M、シアンのトナーを備える(C)IDユニット6C、及び透明のトナーを備える(T)IDユニット6Tは、トナーの色のみが異なるだけで構成が同一であるため、これらについての説明は省略する。
図2は、IDユニット6Kの構成を、LEDユニット7K、転写ベルト11、及び転写ローラ10Kと共に概略的に示す要部構成図である。
同図に示すように、IDユニット6Kには、像担持体としての感光ドラム60が矢印E方向に回転可能に配置される。感光ドラム60の周囲に配置されている部材について、その回転方向上流側から順に説明する。先ず、感光ドラム60の表面に電荷を供給して一様に帯電させる帯電ローラ61、帯電ローラ61の下流には、一様に帯電された感光ドラム60の表面に光源で発光した光を照射して静電潜像を形成するLEDヘッド7Kが配設される。尚、このLEDヘッド7Kは、例えば(K)IDユニット6Kに対して着脱自在時装着できるように構成されているものとする。
LEDヘッド7Kの下流には、静電潜像が形成された感光ドラム60の表面に所定色(ここではブラック)のトナーを付着させて静電潜像を現像する現像ローラ62aが配置されている。現像ローラ62aが属する現像部62には、この現像ローラ62aの他に現像ローラ62aにトナーを供給するとともに摩擦帯電させるトナー供給ローラ62b、現像ローラ62a上のトナーを薄層化する図示しない現像ブレードが含まれる。トナーを収容するトナーカートリッジ63は、例えば(K)IDユニット6K本体に対して着脱自在であり、装着された状態で、その下部に形成されたトナー供給口(図示せず)から、トナー供給ローラ62bにトナーを供給する。
現像ローラ62aの下流には、転写ベルト11を介して感光ドラム60に圧接して回転する転写ローラ10Kが配置され、感光ドラム60に形成されたトナー画像は、この転写ローラ10Kによって、転写ベルト11によって搬送される記録用紙3上に転写される。転写ローラ10Kの下流には、転写後に感光ドラム60の表面に残留する転写残トナーを除去するためのクリーニングブレード64が配置されている。また(K)IDユニット6Kには、後述するように、アップダウンリンクレバー45が作用する位置決めカム65が形成されている。尚、感光ドラム60と転写ローラ10Kが転写ベルト11を介して圧接する位置が、記録用紙3の搬送路上の転写位置に相当する。また、感光ドラム60が転写ベルト11と離間して圧接状態にない場合も、同位置を転写位置という場合がある。
(K)IDユニット6Kは、図1に示すように画像形成装置1の内部の所定位置に備えられるが、矢印A、B方向にアップダウン可能に保持されており、後述するように、位置決めカム65に作用するアップダウンリンクレバー45をスライド移動させることによって、感光ドラム60が、転写ベルト11を介して転写ローラ10Kと圧接して転写が可能となる稼働位置と、転写ベルト11と離間するその上方の退避位置との間でスライド移動するように構成されている。
尚、ここでは、感光ドラム60を始め、IDユニット6内の各回転部は、図示しない連結ギアによって連動し、感光ドラム60が画像形成装置1本体に装着されたとき、画像形成装置1本体に備えられ、図示しない駆動源によって駆動される図示しない駆動ギアと噛合することによって、回転駆動されるように構成されているものとする。従って、IDユニット6が退避位置に移動した状態では、駆動力が得られず、各回転部は停止している。
図3は、本実施の形態における、IDユニット6をアップダウンさせるアップダウン機構の要部構成を示す構成図である。
同図(a)に示すように、移動手段としてのアップダウン機構は、アップダウンリンクレバー45、ピニオンギア43、及びアップダウンモータ115を備える。アップダウンリンクレバー45は、IDユニット6K〜6Tの配列方向に延在し、画像形成装置1本体によって、同方向の矢印F、G方向にスライド可能に保持されている。
アップダウンリンクレバー45は、IDユニット6の各位置決めカム65と係合して、各IDユニット6を退避位置(アップ位置)に位置規制するアップ位置規制部45a、同じく各IDユニット6を稼働位置(ダウン位置)に導く稼働位置案内部45b、及びピニオンギア43と噛合するラックギア45cを有する。このピニオンギア43は、アップダウンモータ115の回転軸と噛合し、回転力を得てアップダウンリンクレバー45を矢印F、G方向にスライド駆動する。
そして、アップダウンモータ115に駆動されてアップダウンリンクレバー45が、同図(a)に示すように矢印G方向に移動して、カラーIDユニット6K〜6Cが、稼働位置案内部45bによって稼働位置(ダウン位置)に導かれるとき、透明トナー用の(T)IDユニット6Tがアップ位置規制部45aによって退避位置(アップ位置)に規制され、アップダウンリンクレバー45が、矢印F方向に移動して同図(b)に示すように、カラーIDユニット6K〜6Cがアップ位置規制部45aによって退避位置(アップ位置)に規制されるとき、(T)IDユニット6Tが稼働位置案内部45bによって稼働位置(ダウン位置)に導かれるように構成されている。従って、4色のカラーIDユニット6K〜6Cと透明トナー用の(T)IDユニット6Tとは、図3(a),(b)からも明らかなように、転写ベルト11に対して同時に離間又は接触することはない。
図4は、本実施の形態の画像形成装置1の制御系のうち、本発明とかかわる部分の要部構成を示すブロック図である。以下、図1、図2を参照しながらこの制御系について説明する。
同図において、ホストインタフェース部100は、ホストコンピュータとの物理的階層のインタフェースを担う部分である。操作パネル部101は、ユーザが操作できるパネルであり、画像形成装置1に搭載してあるものでも付属するものでもよい。コマンド/画像処理部102は、ホストインタフェース部100と操作パネル部101のデータを送受信し、ホストインタフェース部100及び操作パネル部101より得られた印刷情報を処理する印刷設定処理部116を有している。更にコマンド/画像処理部102は、ホスト側からのコマンド及び画像データを解釈、或いはビットマップに展開し、LEDヘッドインタフェース部103へ画像データを出力する。LEDヘッドインタフェース部103は、コマンド/画像処理部102からのビットマップに展開された画像データを、図示しないLEDベッド7の各インタフェースに合わせてデータを加工し、各LEDベッド7に送信する。
印刷制御部104は、各センサおよび各部からの情報信号を解析、演算、条件判断し、各部への動作指示信号を出力することで、機構部制御と印加電圧制御を統括的に行っている。即ち、印刷制御部104は、ホッピングローラ31を駆動するホッピングモータ108を制御して記録用紙3を給紙し、レジストローラ17を駆動するレジストモータ109を制御して(K)IDユニット6Kの転写位置に向けて記録用紙3を搬送する。
更に印刷制御部104は、駆動ローラ13を駆動するベルトモータ110と、各IDユニットの回転部と連結して回転力を伝達する図示しない駆動ギアを駆動するIDモータ111を制御して、転写ベルト11、転写ローラ10、及びIDユニット6の駆動を制御し、転写ベルト11に吸着して搬送される記録用紙3が各IDユニット6の各転写位置を通過する過程で、各トナー画像の積層によって形成されるカラートナー画像、又は透明のトナー画像を選択的に転写し、定着器20に搬送する。そしてヒートローラ21、加圧ローラ22及び排出ローラ19を駆動する定着モータ112を制御して、トナー像を定着させ、定着済みの記録用紙3を装置外へ排出するタイミング及び速度を管理する。
更に印刷制御部104は、一度定着処理された記録用紙3を再び印刷するために、再搬送ローラ28、29、30を駆動する再搬送モータ113及び搬送セパレータ46を制御し、用紙循環路71を経由して搬送される記録用紙3を再びレジストローラ17に送ることも可能であり、またスイッチバック部72の反転搬送ローラ32を駆動する反転搬送モータ114及び反転搬送セパレータ47を制御して、用紙循環路71を経由して搬送される記録用紙3の表裏を反転して再びレジストローラ17に送ることも可能である。尚、搬送セパレータ46、反転搬送セパレータ47、反転搬送モータ114等の駆動方法は、前記した通りである。
更に印刷制御部104は、図3に示すアップダウンリンクレバー45を矢印F,G方向に移動駆動するアップダウンモータ115を制御し、カラーIDユニット6K〜6C又は透明トナー用の(T)IDユニット6Tのどちらか一方を選択し、前記したように選択した方のIDユニットを、転写ベルト11を介して転写ローラ10Tと当接する稼働位置に導くと同時に、選択しない方のIDユニットを、転写ベルト11と離間するその上方の退避位置に規制する。
以後、図3(a)に示すように、カラーIDユニット6K〜6Cを稼働位置に導き、透明IDユニット6Tを転写ベルト11から離間して退避位置に規制した状態を、カラーIDユニット6K〜6Cが稼働な状態と称し、図3(b)に示すように、透明トナー用の(T)IDユニット6Tを稼働位置に導き、カラーIDユニット6K〜6Cを転写ベルト11から離間して退避位置に規制した状態を、透明トナー用の(T)IDユニット6Tが稼働な状態と称す。
ヒートローラ21を加熱する定着器ヒータ118は、ヒートローラ21の表面温度を検出するサーミスタ117の検出値に応じて、ヒートローラ21の表面温度が所定の温度を保つように、印刷制御部104によって温度制御される。高圧制御部105は、印刷制御部104からの制御値を受け、IDユニット6K〜6Tへ電圧を印加するIDユニット電圧制御部106、及び転写ローラ10K〜10Tへ電圧を印加する転写電圧制御部106を制御している。
以上の構成において、図5に示すフローチャートに基づいて、画像形成装置1が行なう印刷動作について、図1〜図4を参照しながら以下に説明する。
コマンド/画像処理部102は、ホストインタフェース部100及び操作パネル101から印刷設定を読み込み、印刷設定処理部116で処理した情報を元に、印刷制御部104に印刷設定情報を送信する(ステップS101)。印刷制御部104は、入力した印刷設定情報を基に透明トナー画像印刷の必要、不必要を判断し(ステップS102)、透明トナー画像印刷が必要なしと判断した場合(ステップS102、No)、アップダウンモータ115を制御して図3(a)に示すようにカラーIDユニット6K〜6Cを稼働な状態としてカラートナー画像を形成するために各制御部に制御値を送り、記録用紙3が各転写位置を搬送される過程で、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各トナー像を順次転写して積層し、こうして形成したカラートナー画像を定着させ(ステップS103)、排出ローラ19を通して装置外に排出し、カラートナー画像印刷を終了する。
一方、印刷制御部104は、ステップS102で透明トナー画像印刷が必要であると判断した場合(ステップS102、Yes)、カラートナー画像が転写、定着された記録用紙3上に透明トナー画像を形成する。このため、後にカラートナー画像が転写、定着された記録用紙3を用紙循環路71へ搬送するために搬送セパレータ46を再搬送ポジション46b(図1)に設定駆動する(ステップS104)。尚、搬送セパレータ46及び反転搬送セパレータ47は、初期状態では、それぞれ図1に実線で示す送出ポジション46a、再搬送ポジション47aに設定されているものとする。
次に印刷制御部104は、カラートナー画像を形成するために、前記したステップS103と同様の処理、即ち、アップダウンモータ115を制御して図3(a)に示すようにカラーIDユニット6K〜6Cを稼働な状態とし、カラートナー画像を形成するために各制御部に制御値を送り、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各トナー像の積層によって形成されるカラートナー画像を記録用紙3に転写、定着する(ステップS105)。こうしてカラートナー画像が印刷された記録用紙3は、搬送セパレータ46によって、用紙循環路71に導かれる。
次に印刷制御部104は、カラートナー画像が印刷された記録用紙3上に透明トナー画像を形成するため、アップダウンモータ115を制御して図3(b)に示すように透明トナー用の(T)IDユニット6Tを稼働な状態とし(S106)、後に透明トナー画像が定着された記録用紙3を排出するために搬送セパレータ46を送出ポジション46aに設定する(S107)。但し、この設定は、先にカラートナー画像が印刷され、用紙循環路71に導かれた記録用紙3が搬送セパレータ46を通過し終わった後のタイミングで行われる。
次に印刷制御部104は、透明トナー用の(T)IDユニット6Tを使用し、透明トナー画像を形成するために各制御部に制御値を送り、先に転写、定着された記録用紙3のカラートナー画像上に重ねて透明トナー画像を転写し、更に定着させ(S108)、カラートナー画像印刷及び透明トナー画像印刷を行なった記録用紙3を、排出ローラ19を通して装置外に排出する。
次に印刷制御部104は、アップダウンモータ115を制御して図3(a)に示すようにカラーIDユニット6K〜6Cを再び稼働な状態とし、一連の動作を終了する(S109)。
次に、画像形成装置1が、上記フローチャートのステップ102で透明トナー画像印刷処理が必要と判断した場合の各部の動作タイミングについて、図6のタイムチャートに基づいて、図1〜図4を参照しながら以下に説明する。
同タイムチャートで、書き出しセンサ40、排出センサ41、スタックセンサ42において、“H”は記録用紙3がセンサを通過中であり、“L”は通過していない状態であることを示し、アップダウンモータ115において、“H”は回転駆動時(回転方向に拘わらず)であり、“L”は停止時であることを示し、カラーIDユニット6K〜6C及び透明トナー用の(T)IDユニット6Tの位置において、“H”は退避位置(アップ位置)にあり、“L”は稼働位置(ダウン位置)にあることを示し、搬送セパレータ46において、“H”は図1に点線で示す再搬送ポジション46bに設定され、“L”は図1に実線で示す送出ポジション46aに設定されていることを示す。そして各IDユニット6においては、“H”は記録用紙3が転写位置を通過中であり、“L”は転写位置を通過していない状態であることを示す。尚、各IDユニット6は、記録用紙3の通過を検出するものではないが、ここでは、各IDユニット6の、書き出しセンサ40からの距離(配置場所)、記録用紙3の搬送速度、及び記録用紙3のサイズ等に基づく演算により割り出している。
先ず印刷制御部104は、カラートナー画像を形成するために、ホッピングローラ31とレジストローラ17を駆動し記録用紙3を給紙、搬送し、給紙された記録用紙3が、書き出しセンサ40を通過し始めるのを検出する時刻t11において、後にカラートナー画像が転写、定着された記録用紙3を用紙循環路71へ搬送するために搬送セパレータ46を再搬送ポジション46b(図1)に設定駆動する。尚、この設定動作は、図5に示すフローチャートのステップS104の処理に対応する。
その後、印刷制御部104は、記録用紙3が、4色のカラーIDユニット6K〜6Cの各転写位置を順次通過する過程で、カラートナー画像を形成すべく、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各トナー像を記録用紙3に順次重ねて転写する。このとき、記録用紙3が4色のカラーIDユニット6K〜6Cを順次通過する前に、カラーIDユニット6K〜6Cが稼働な状態に、透明トナー用の(T)IDユニット6Tが退避位置に規制された状態になっている。これは、例えば前回の印刷処理を終了する段階で、図5に示すフローチャートのステップS109に示すように、カラーIDユニット6K〜6Cを稼働な状態に、透明トナー用の(T)IDユニット6Tを退避位置に規制する処理が行われることによる。
次に印刷制御部104は、カラートナー画像が転写された記録用紙3の後端が、透明トナー用の(T)IDユニット6Tを通過した時刻t12で、アップダウンモータ115を制御して、透明トナー用の(T)IDユニット6Tを稼働な状態とし、カラーIDユニット6K〜6Cを退避位置に規制した状態とする。この過程でアップダウンモータ115は、透明トナー用の(T)IDユニット6Tが転写ベルト11に接触して稼働位置に至る時刻t13まで駆動して停止する。この間も記録用紙3は、定着器20に搬送されて定着処理が実行される。
尚、ここで印刷制御部104は、記録用紙3が透明トナー用の(T)IDユニット6Tを通過するのを、透明IDユニット6Tの書き出しセンサ40からの距離(配置場所)、記録用紙3の搬送速度、及び記録用紙3のサイズ等に基づく演算により割り出すように構成したが、別途、記録用紙3が透明トナー用の(T)IDユニット6Tの、例えば転写位置を通過するのを検出する検出センサを設けてもよい。また、カラーIDユニット6K〜6Cにおいても同様である。
その後、印刷制御部104は、定着器20を通過してカラートナー画像が定着処理された記録用紙3が、再搬送ポジション46bに設定された搬送セパレータ46を経由して用紙循環路71に導かれ、搬送セパレータ46を通過し終わった後の時刻t14で、後にカラートナー画像上に透明トナー画像が定着された記録用紙3を排出するために搬送セパレータ46を送出ポジション46aに設定する。上記した時刻t11の後から時刻t14までの動作が、図5に示すフローチャートのステップS105〜ステップS107の処理に対応する。
その後、この記録用紙3は、用紙循環路71を搬送され、やがてその先端部が書き出しセンサ40の位置に至り、時刻t15にその通過が検出される。更に記録用紙3は、転写ベルト11上に吸着されて、転写ベルト11と離間する退避位置に規制されたカラーIDユニット6K〜6Cの転写位置を順次通過し、やがて時刻t16に、稼働位置にあって転写ベルト11と接触している透明トナー用の(T)IDユニット6Tの転写位置に到達する。
ここで印刷制御部104は、定着されたカラートナー画像上に透明トナー画像を転写、定着し、透明トナー画像を形成した記録用紙3の後端が、透明IDユニット6Tを通過した時刻t17で、アップダウンモータ115を制御して、カラーIDユニット6K〜6Cを稼働な状態とし、透明トナー用の(T)IDユニット6Tを退避位置に規制した状態とする。この過程でアップダウンモータ115は、カラーIDユニット6K〜6Cが転写ベルト11に接触して稼動位置に至る時刻t18まで駆動して停止する。上記した時刻t16から時刻t18までの動作が、図5に示すフローチャートのステップS108〜ステップS109の処理に対応する。
この間も、カラートナー画像上に透明トナー画像を転写、定着した記録用紙3は、搬送セパレータ46によって排出ローラ19に導かれてスタックセンサ42を通過し、その後端がスタックセンサ42を通過する時刻t19に装置外へ排出される。
尚、本実施の形態では、カラートナー画像上に透明トナー画像を形成する構成としたが、透明トナー画像上にカラートナー画像を形成することも可能である。また、本実施の形態では、カラーIDユニットの下流に透明IDユニットを配置しているが、透明IDユニットを上流に位置することも可能である。更に、本実施の形態では、記録媒体としての記録用紙にカラートナー及び透明トナーを直接付与する方法を採用したが、中間転写ベルトを用いた方法を採用しても同様な画像を形成することが可能である。
また本実施の形態では、アップダウンリンクレバー45を含むアップダウン機構によって、各IDユニット6全体を稼働位置と退避位置に移動したが、これに限定されるものではなく、各IDユニット6の感光ドラム60だけを移動させるように構成してもよいなど、種々の態様を取り得るものである。
また、上記実施の形態では、印刷画像に光沢を加えるため、カラートナー画像に透明トナー画像を重ねて転写、定着する例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、透明トナーの代わりに白色トナーを用いてもよい。
この場合、カラー画像の下地として白色トナー画像を形成するため、白色トナー画像をカラー画像印刷の前に印刷することによって、凹凸の激しい記録媒体の凹凸を無くし(媒体の表面粗さを減らし)、画像の光沢度を向上(調整)し、記録媒体(変色した媒体、カラー媒体等)の白色度を調整することができる。また、白色トナー画像をカラー画像印刷の後に印刷することによってカラー媒体(有色媒体)に対して、白文字を形成することができる。
また、記録媒体の耐久性の向上のために、透明トナーの代わりにUVトナーを用いてもよい。ここでの耐久性とは、塗料等が、屋外で使用された場合、変色や劣化等の変質を起こしにくい性質、つまり太陽光の影響を受けにくい性質のことをいう。
この場合、カラー画像の下地としてUVトナー画像を形成するため、UVトナー画像をカラー画像印刷の前に印刷することによって、記録媒体の変色を抑えることができる。また、UVトナーには紫外線を吸収する材料が含まれ、UVトナーにて紫外線を吸収することによりカラートナーに含まれる顔料の退色を防ぐことができるため、UVトナー画像をカラー画像印刷の後に印刷することによって、非印字部の記録媒体の変色や、カラー画像の変色を抑えることできる。
以上のように、画像形成装置1は、透明トナー画像印刷処理を行なう場合、先ず透明用(T)IDユニット6Tを転写ベルト11から離間した退避位置に位置規制した状態で、記録用紙3へカラートナー画像を転写、定着し、その後、今度はカラーIDユニット6K〜6Cを転写ベルト11から離間した退避位置に位置規制した状態で、カラートナー画像が転写、定着された記録用紙3に、重ねて透明トナー画像を転写、定着するように動作する。
ここで、画像形成装置1により、カラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷とのどちらか一方のトナー印刷を実行する際に他方の印刷にかかわるIDユニットを転写ベルト11から離間させることを前提にして、カラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷とをより効率的に行なう方法について説明する。
この場合、カラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷を切換える場合、後述するように、少なくとも(K)IDユニット6Kの転写位置から(T)IDユニット6Tの転写位置までの間(距離D1)に記録用紙が存在することができないため、カラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷を前後して実行する場合、紙間距離を距離D1以上に設定なければならない。従って、複数枚の記録用紙にカラートナー画像印刷及び透明トナー画像印刷行なう場合、前記した方法で1枚ずつカラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷を実行するのではなく、以下に説明するように、例えば2枚単位で行うようにする。
図7は、画像形成装置1により、複数枚印刷を効率的に行う方法を説明するための図であり、同図(a)は、画像形成装置1の印刷用紙の搬送経路を模式的に示した図である。同図において前後して印刷される別の記録用紙3には、(A)、(B)の末尾符号を付して区別している。
印刷は、同図(b)に示すように、先ず連続して記録用紙3(A)、記録用紙3(B)に、この順にカラートナー画像印刷を実行する。ここでの印刷は、各IDユニット6が、何れも前記した図3(a)の状態で行われるため、通常の連続印刷と同じ紙間距離で行うことができる。同図(a)は、記録用紙3(A)、(B)の連続したカラートナー画像印刷が終了し、カラートナー画像が転写、定着された記録用紙3(A)、記録用紙3(B)が共に用紙循環路71に存在し、次の透明トナー画像印刷に備えて、各IDユニット6が、前記した図3(b)の状態に移動制御された状態を示している。
その後、記録用紙3(A)及び記録用紙3(B)は、用紙循環路71からレジストローラ17を介して、図3(b)に示すように転写ベルト11から離間した状態のカラーIDユニット6K〜6Cの各転写位置を通過し、稼働位置にある透明トナー用の(T)IDユニット6Tによって透明トナー画像の転写が行なわれ、更に定着された後、排出ローラ17を経由して装置外に排出される。ここでの透明トナー画像印刷においても、各IDユニット6が、何れも前記した図3(b)の状態で行われるため、通常の連続印刷と同じ紙間距離で行うことができる。
以上のように、カラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷を切換える際に、前後して搬送される記録用紙の紙間を少なくとも距離D以上に確保し、且つ複数枚単位でのカラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷を交互に実行できるだけの用紙循環路71の経路長を確保することにより、記録用紙の複数枚単位ごとに距離D以上の紙間距離を確保すればよくなるため、印刷効率を向上することができる。
以上のように構成され、動作する本実施の形態の画像形成装置によれば、記録用紙上に転写されたカラートナー画像が透明トナー用の(T)IDユニットへ逆転写し、カラートナー画像の一部が透明IDユニットの感光ドラムへ移動するのを防止でき、また、カラートナー用のカラーIDユニットによる非画像形成領域へのトナー付着(かぶり、よごれ)を防止できる。
また、透明トナー画像を形成しない場合においても、透明IDユニットを転写ベルトから離間させているため、非画像形成領域への透明トナー付着による光沢ムラや、記録用紙上に転写されたカラートナー画像が透明トナー用のIDユニットへ逆転写し、カラートナー画像の一部が透明トナー用の(T)IDユニットの感光ドラムへ移動するのを防止できる。
更に、同時に使用する必要の無いカラーIDユニット6K〜6Cと透明IDユニット6Tを、転写ベルト11に対して同時に接触しないようにしたことで、透明IDユニット6Tの寿命が改善できる。
実施の形態2.
図8は、本発明に基づく実施の形態2の画像形成装置に採用されるIDユニット6をアップダウンさせるアップダウン機構の要部構成を示す構成図である。
このアップダウン機構を採用する画像形成装置が、前記した図3に示す実施の形態1のアップダウン機構を採用する画像形成装置と主に異なる点は、アップダウン機構におけるアップダウンリンクレバーがIDユニット毎に備えられ、各IDユニットを個別に上下移動できるように構成し、制御する点である。従って、このアップダウン機構を採用する画像形成装置が、前記した実施の形態1の画像形成装置1(図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、図8に示すアップダウン機構及び図10に示す制御系以外において図1に示す実施の形態1の画像形成装置1の要部構成と共通するため、必要に応じて図1、図2を参照する。
図8(a)に示すように、IDユニット6K〜6Tには、これらを個別に上下移動させるアップダウンリンクレバー145K〜145T(特に区別する必要がない場合にはアップダウンリンクレバー145と称す場合がある)を含むアップダウン機構が個別に備えられている。各IDユニット6K〜6Tと、それぞれ個別に備えられている(K)アップダウンリンクレバー145K〜(T)アップダウンリンクレバー145T、図9に示す(K)アップダウンモータ146K〜(T)アップダウンモータ146T(特に区別する必要がない場合にはアップダウンモータ146と称す場合がある)を含むアップダウン機構との関係は、全て共通するため、ここでは、図9を参照しながら(K)IDユニット6Kとこれに関連するアップダウン機構を例にして説明する。
図9(a)に示すように、アップダウン機構は、(K)アップダウンリンクレバー145K、(K)ピニオンギア147K、及び(K)アップダウンモータ146Kを備える。(K)アップダウンリンクレバー145Kは、画像形成装置1本体によって、矢印F,G方向にスライド可能に保持されている。(K)アップダウンリンクレバー145Kは、(K)IDユニット6Kの位置決めカム65と係合して、(K)IDユニット6Kを退避位置(アップ位置)に位置規制するアップ位置規制部151、同じく(K)IDユニット6Kを稼働位置(ダウン位置)に導く稼働位置案内部152、及び(K)ピニオンギア147Kと噛合するラックギア153を有する。この(K)ピニオンギア147Kは、(K)アップダウンモータ146Kの回転軸と噛合し、回転力を得て(K)アップダウンリンクレバー145Kを矢印F、G方向にスライド駆動する。
そして、(K)アップダウンモータ146Kに駆動される(K)アップダウンリンクレバー145Kが、同図(a)に示すように矢印G方向に移動することによって、(K)IDユニット6Kが稼働位置案内部152によって稼働位置(ダウン位置)に導かれ、また(K)アップダウンリンクレバー145Kが、同図(b)に示すように矢印F方向に移動することによって、(K)IDユニット6Kがアップ位置規制部151によって退避位置(アップ位置)に規制されるように構成されている。
図10は、本実施の形態における画像形成装置の制御系のうち、本発明とかかわる部分の要部構成を示すブロック図である。この制御系が、前記した図4に示す実施の形態1の画像制御装置の制御系と異なるのは、(K)アップダウンモータ146K〜(T)アップダウンモータ146T、(K)アップダウンリンクレバー145K〜(T)アップダウンリンクレバー145Tが追加になった部分であり、他の構成は同じである。
本実施の形態において、印刷制御部104は、図8に示す各アップダウンリンクレバー45を矢印F,G方向に移動駆動するアップダウンモータ146を制御し、カラーIDユニット6K〜6C及び透明用の(T)IDユニット6Tを個別に、転写ベルト11を介して転写ローラ10Tと当接する稼働位置に導き、或いは転写ベルト11と離間するその上方の退避位置に規制する。
以上の動作において、図11に示すフローチャートに基づいて、本実施の形態の画像形成装置が行なう印刷動作について、図1、図2、図8、図9、図10を参照しながら以下に説明する。
ここで説明するフローチャートは、前記した実施の形態1で説明した図5に示すフローチャートのステップ102で透明トナー画像印刷処理が必要と判断された以降の動作について説明する。
印刷制御部104は、このように透明トナー画像印刷が必要であると判断した場合、カラートナー画像が転写、定着された記録用紙3上に透明トナー画像を形成するので、後にカラートナー画像が転写、定着された記録用紙3を用紙循環路71へ搬送するために搬送セパレータ46を再搬送ポジション46b(図1)に設定駆動する(ステップS202)。尚、搬送セパレータ46及び反転搬送セパレータ47は、初期状態では、それぞれ図1に実線で示す送出ポジション46a、再搬送ポジション47aに設定されているものとする。
次に印刷制御部104は複数枚印刷するのか否かを判断し(ステップS203)、複数枚印刷ではないと判断した場合(ステップS203、No)、前記した実施の形態1で説明した図5に示すフローチャートのステップS105〜ステップS109を実行する。尚、説明が重複するため、これらの各ステップでの処理説明は省略する。但しここでは、各カラーIDユニット6K〜6C及び透明IDユニット6Tのアップダウン制御は、上記した図8に示すように、アップダウンリンクレバー145を備えた個別のアップダウン機構によって行われる。
一方、複数枚の印刷が必要であると判断した場合(ステップS203、Yes)、印刷制御部104は、カラートナー画像を形成するために、各アップダウンモータ115を制御して、図8(a)に示すようにカラーIDユニット6K〜6Cを稼動位置に導き、且つ透明用の(T)IDユニット6Tを退避位置に規制した状態とし、カラートナー画像を形成するために各制御部に制御値を送り、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各トナー像の積層によって形成されるカラートナー画像を記録用紙3に転写、定着する(ステップS204)。尚、図8では簡単のため、LEDヘッド7、アップダウンモータ146、ピニオンギア147、ラックギア153を省略している。
更に印刷制御部104は、次に書き出しセンサ40を通過する記録用紙3が、記録紙カセット2から給紙されたカラートナー画像印刷を行う用紙なのか、用紙循環路71から搬送されてきた透明トナー画像印刷を行なう用紙なのかを確認し(ステップS205)、次がカラートナー画像印刷を行う場合(ステップS205、No)、ステップS204へ戻って前記したカラートナー画像を記録用紙3に転写、定着する処理を行い、次が透明トナー画像印刷を行なう場合は(ステップS205、Yes)、前回のステップS204におけるカラートナー画像の転写、定着処理を行なう過程で、転写が完了したカラーIDユニット6K〜6Cを順次退避位置に移動し、転写ベルト11から離間させる。
図8(b)は、ステップS206で、ブラック用の(K)IDユニット6Kが、転写終了後に転写ベルト11から離間された段階を示し、図8(c)は、ステップS207で、イエロー用の(Y)IDユニット6Yが、転写終了後に離間された段階を示し、図8(d)は、ステップS208で、マゼンタ用の(M)IDユニット6Mが、転写終了後に離間された段階を示し、図8(e)は、ステップS209で、シアン用の(C)IDユニット6Cが転写終了後に離間され、且つカラートナー画像が転写された記録用紙3が、離間した位置にある透明(T)用IDユニット6Tの転写位置を通過した後、ステップS210で、用紙循環路71を経由して次に搬送されてくるカラートナー画像の転写、定着済みの記録用紙3に透明トナー画像を形成するために透明用の(T)用IDユニット6Tが稼働位置に導かれた段階の状態を示している。
従って、後述するタイムチャートの説明でも明らかなように、ステップS205の判断処理は、ステップS204での転写の実行中に判定処理されるものである。
カラートナー画像が転写、定着された記録用紙3が搬送セパレータ46によって、用紙循環路71側に搬送された後、後に透明トナー画像が定着された記録用紙3を排出するために搬送セパレータ46を送出ポジション46aに設定する(S211)。
次に印刷制御部104は、上記ステップS206〜ステップS209で、転写ベルト11から順次離間されて退避位置にあるカラーIDユニット6K〜6Cの各転写位置を通過して搬送される記録用紙3のカラートナー画像上に、透明用の(T)IDユニット6Tによって透明トナー画像を転写し、定着させる(S212)。その後、この記録用紙3は、搬送セパレータ46を経由して装置外に排出される。
これで印刷が終了するのか否かを判断し(S213)、印刷が終了する場合、図8(a)に示すようにカラーIDユニット6K〜6Cを稼動位置に導き、且つ透明用の(T)IDユニット6Tを退避位置に規制した状態とし(ステップS222)、処理を終了する。印刷が終了しない場合(S213、No)、次に書き出しセンサ40を通過する記録用紙3が、記録紙カセット2から給紙されたカラートナー画像印刷を行う用紙なのか、用紙循環路71から搬送されてきた透明トナー画像印刷を行なう用紙なのかを確認する(ステップS214)。次が透明トナー画像印刷を行う場合(ステップS214、No)、前記したステップS212、ステップS213の処理を繰り返す。
一方、次がカラートナー画像印刷を行う場合(ステップS214、Yes)、前記したステップS206〜ステップS212の透明トナー画像を作成する過程で、記録用紙3が通過したカラーIDユニット6K〜6Cを順次稼働位置に導き、記録紙カセット2から新たに給紙されて搬送されるカラートナー画像印刷を行う記録用紙3に、順次カラートナーを転写する。
即ち、ステップS215で、先行する記録用紙3(透明トナー画像を形成する)が通過したブラック用の(K)IDユニット6Kを稼働位置に導いて、続いて搬送されてくる記録用紙3(カラートナー画像を形成する)にブラックのトナー像を転写し、ステップS216で、同じく先行する記録用紙3が通過した、イエロー用の(Y)IDユニット6Yを稼働位置に導いて、続いて搬送されてくる記録用紙3にイエローのトナー像を転写し、ステップS217で、同じく先行する記録用紙3が通過した、マゼンタ用の(M)IDユニット6Mを稼働位置に導いて、続いて搬送されてくる記録用紙3にマゼンタのトナー像を転写し、ステップS218で、同じく先行する記録用紙3が通過した、シアン用の(C)IDユニット6Cを稼働位置に導いて、続いて搬送されてくる記録用紙3にシアンのトナー像を転写し、ステップS219で、先行する記録用紙3に透明トナー画像を転写した透明(T)用IDユニット6Tを、転写ベルト11から離間して退避位置に規制し、続いて搬送されてくる記録用紙3をそのまま通過させる。
従って、後述するタイムチャートの説明でも明らかなように、ステップS214の判断処理は、前記したステップS206〜ステップS212の透明トナー画像を作成する過程で判定処理されるものである。
透明トナー画像が転写、定着された先行する記録用紙3が搬送セパレータ46を経由して排出ローラ19側に搬送された後、後にカラートナー画像が定着された記録用紙3を用紙循環路71に導くために搬送セパレータ46を再搬送ポジション46bに設定する(S220)。そして、カラートナー画像が転写されたカラートナー画像を定着させて(S221)、次に書き出しセンサ40を通過する記録用紙3が、記録紙カセット2から給紙されたカラートナー画像印刷を行う用紙なのか、用紙循環路71から搬送されてきた透明トナー画像印刷を行なう用紙なのかを確認するステップS205に戻り、上記した処理を繰り返す。
次に、本実施の形態の画像形成装置が、透明トナー画像印刷処理が必要と判断し(図5のフローチャートのステップS102の判断による)、更に上記図11のフローチャートのステップS203において複数枚の印刷処理を行なうと判断した際の動作で、記録カセット2から給紙される記録用紙3と、用紙循環路71から搬送されてくる記録用紙3とが交互に書き出しセンサ40を通過し、カラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷とを交互に行なう場合の各部の動作タイミングについて、図12のタイムチャートに基づいて、図1、図2、図8〜図11を参照しながら以下に説明する。
同タイムチャートで、書き出しセンサ40、排出センサ41、スタックセンサ42において、“H”は記録用紙3がセンサを通過中であり、“L”は通過していない状態であることを示し、アップダウンモータ146において、“H”は回転駆動時(回転方向に拘わらず)であり、“L”が停止時であることを示し、カラーIDユニット6K〜6C及び透明IDユニット6Tの位置において、“H”は退避位置(アップ位置)にあり、“L”は稼働位置(ダウン位置)にあることを示し、搬送セパレータ46において、“H”は図1に点線で示す再搬送ポジション46bに設定され、“L”は図1に実線で示す送出ポジション46aに設定されていることを示す。そして各IDユニット6においては、“H”は記録用紙3が転写位置を通過中であり、“L”は転写位置を通過していない状態であることを示す。
先ず印刷制御部104は、カラートナー画像を形成するために、ホッピングローラ31とレジストローラ17を駆動し記録用紙3を給紙、搬送し、給紙された記録用紙3が、書き出しセンサ40を通過し始める。以後、説明を容易にするためこのとき書き出しセンサ40で検出された記録用紙3を記録用紙3(1)と記す。以後、書き出しセンサ40が通過を検出する記録用紙3には、順次(2)、(3)・・・、の符号を付記する。また図12のタイムチャートでは、検出されるこれらの記録用紙に、対応する番号を付している。
書き出しセンサ40がこの記録用紙3(1)検出する時刻t21において、後にカラートナー画像が転写、定着された記録用紙3(1)を用紙循環路41に導くために搬送セパレータ46を再搬送ポジション46bに設定駆動する。尚、この設定動作は、図11に示すフローチャートのステップS202の処理に対応する。
次に(K)IDユニット6Kによって(K)トナー画像が転写された記録用紙3(1)の後端が(K)IDユニット6Kを通過した時刻t22で、(K)アップダウンモータ146Kを駆動し、図8(b)に示すように、(K)IDユニット6Kを転写ベルト11から離間して退避位置に規制する。尚、このとき、記録用紙3(1)が4色のカラーIDユニット6K〜6Cを順次通過する前において、図8(a)に示すようにカラーIDユニット6K〜6Cが稼働な状態に、透明トナー用の(T)IDユニット6Tが退避位置に規制された状態になっている。これは、例えば前回の印刷処理を終了する段階で、図11に示すフローチャートのステップS109、或いはステップS222に示すように、カラーIDユニット6K〜6Cを稼働な状態に、透明トナー用の(T)IDユニット6Tを退避位置に規制する処理が行われることによる。
従って、次に搬送されてくる、透明トナー画像印刷を行なう記録用紙3(2)が、(K)IDユニット6Kによる転写位置を通過する時刻t23には、(K)IDユニット6Kと転写ベルト11が離間しているため、この記録用紙3(2)は、(K)IDユニット6Kと接することなくその転写位置を通過することができる。
このように、先行するカラートナー画像印刷を行なう記録用紙3(1)に対するカラートナー画像の転写と、転写後の転写ベルト11との離間、及び離間後の後行する透明トナー画像印刷を行なう記録用紙3(2)の通過が、各カラーIDユニット6K〜6Cにおいて順次行われ、先行する記録用紙3(1)が、退避位置にある透明IDユニット6Tの転写位置を通過した時刻t24で、(T)アップダウンモータ146Tを制御し、透明トナー用の(T)IDユニット6Tが転写ベルト11に接触して稼働位置に至る時刻t25まで駆動して停止し、その直後に通過する後行する記録用紙3(2)に透明トナー画像を転写する。尚、上記した時刻t21〜t25までの動作は、前記した図11に示すフローチャートのステップ202〜ステップS210の処理の中で行われる。
その後、印刷制御部104は、定着器20を通過してカラートナー画像が定着処理された先行する記録用紙3(1)が、再搬送ポジション46bに設定された搬送セパレータ46を経由して用紙循環路71に導かれ、搬送セパレータ46を通過し終わった後の時刻t26で、後行する透明トナー画像が定着された記録用紙3(2)を排出するために、搬送セパレータ46を送出ポジション46aに設定する。これらの動作は、前記した図11に示すフローチャートのステップ211,212の処理の中で行われる。
ここでは、記録用紙3(2)に続いて搬送されるのが、カラートナー画像印刷を行う記録用紙3(3)であるため、印刷制御部104は、先行する記録用紙3(2)が(K)IDユニット6Kを通過する時刻t27まで、(K)IDユニット6Kを退避位置に維持し、通過した時点で、後行する記録用紙3(3)が(K)IDユニット6Kによる転写位置に至るまでに、(K)アップダウンモータ146Kを制御して(K)IDユニット6Kを稼働位置に導く。従って、時刻t28に、後行する記録用紙3(3)が(K)IDユニット6Kによる転写位置に至るが、この記録用紙3(3)への(K)トナー画像の転写が可能となる。
このように、先行する透明トナー画像印刷を行なう記録用紙3(2)の通過と、通過後の退避位置から稼働位置への移動、及び続いて搬送されてくる記録用紙3(3)へのトナー画像の転写が、各カラーIDユニット6K〜6Cにおいて順次行われ、先行する記録用紙3(2)が、稼働位置にある透明IDユニット6Tによって透明トナー画像が転写された時刻t29で、(T)アップダウンモータ146Tを駆動し、(T)IDユニット6Tを転写ベルト11から離間して退避位置に移動させ、その直後に搬送されてくる記録用紙3(3)を通過させる。尚、上記した時刻t27〜t29までの動作は、前記した図11に示すフローチャートのステップ215〜ステップS219の処理の中で行われる。
その後、印刷制御部104は、定着器20を通過して透明トナー画像が定着処理された先行する記録用紙3(2)が、送出ポジション46aに設定された搬送セパレータ46を経由して排出ローラ19側に導かれ、搬送セパレータ46を通過し終わった後の時刻t30で、後行するカラートナー画像が定着された記録用紙3(3)を用紙循環路71に導くため、搬送セパレータ46を再搬送ポジション46bに設定する。これらの動作は、前記した図11に示すフローチャートのステップ220,221の処理の中で行われる。
記録用紙3(3)の後には、透明トナー画像印刷を行なう記録用紙3(4)が続いて搬送されるが、この場合の先行する記録用紙3(3)と後行する記録用紙3(4)に対する各部の動作は、前記した先行する記録用紙3(1)と後行する記録用紙3(2)に対する各部の動作と同じである。以上のようにして、紙間距離を僅かに確保した状態で連続して搬送される記録用紙に対して、カラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷とを交互に実行する。
ここで、比較例として、前記した実施の形態1の画像形成装置において、カラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷とを交互に実行する場合の各部の動作について説明する。図13は、この時のタイムチャートであり、上記した図12のタイムチャートと比較しながら、説明する。
図12の時刻t21に対応する時刻t31に印刷が開始された場合、カラートナー画像を形成している記録用紙3(1)に(T)IDユニット6Tを接触させないようにするため、記録用紙3(1)が(T)IDユニット6Tを通過する時刻t32まで、アップダウンモータ115(図3)を駆動させることができず、前記した図3(a)の状態が維持される。
一方、後行する透明トナー画像印刷を行なう記録用紙3(2)に、図3(a)の状態にあるカラーIDユニット6K〜6Cを接触させないようにするために、時刻t32でアップダウンモータ115が駆動し、カラーIDユニット6K〜6Cを転写ベルト11から離間させて退避位置に規制し、透明IDユニット6Tを稼働位置に導いた、図3(b)に示す透明IDユニット6Tが稼働な状態となるまで、後行する記録用紙3(2)が(K)IDユニット6Kの転写位置に至らないように、紙間を考慮しなければならない。
以上のことから、実施の形態1の画像形成装置によれば、カラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷とを交互に実行する連続印刷を行う場合、少なくとも(K)IDユニット6Kの転写位置から(T)IDユニット6Tの転写位置までの距離に相当する距離D1(図7参照)と、アップダウンモータ115を制御してアップダウンリンクレバー45を移動して移動動作が完了するまでの制御時間に記録用紙が搬送される距離に相当する距離D2を加えた距離(D1+D2)を紙間距離として確保しなければならない。一方、本実施の形態の画像形成装置によれば、IDユニット6が退避位置から稼働位置に、或いは稼働位置から退避位置に移動するのに要する制御時間のどちらか長い方の時間に、記録用紙が搬送される距離に相当する紙間距離D3を確保すれよい。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、カラートナー画像印刷と透明トナー画像印刷とを交互に実行する場合においても、連続して搬送される記録用紙の紙間距離を、その紙間距離を搬送される記録用紙が移動する時間内に、IDユニットの、稼働位置から退避位置或いは退避位置から稼働位置へのポジション移動を可能とする程度の僅かな距離に設定することができるため、透明トナー画像印刷を行なうことによる印刷効率の低下を抑制することができる。