上記従来の画像形成装置では、節電状態においてホストコンピュータから印刷ジョブを受信した場合、直ちに印刷を実行しているが、例えば1ジョブ終了後に直ちに装置が節電状態に入る場合には、印刷ジョブを受信するごとに節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)が必要となり、復帰動作にかかる電力が無駄になっていた。
また、特許文献1記載の印刷装置においては、印刷ジョブ自体に「印刷データの保存の指示」や「印刷データの印刷の指示」などの指示を付加する必要があるが、これはホストコンピュータを操作する人間が指示を行う必要があり、煩わしい操作となっていた。また、この印刷装置がネットワークに接続されており、複数の人が同時に使用する環境にある場合、印刷装置は頻繁に節電状態からの復帰動作を行うことになり、実質的な節電(省エネ)が行われない可能性があるといった問題があった。
ところで、従来の画像形成装置では、印刷終了後、一定時間の間レディー状態に移行し、その間に次の印刷ジョブを受信すると、その印刷ジョブを即実行し、実行後に再び一定時間の間レディー状態に移行することになる。
すなわち、印刷ジョブが短い間隔で順次送られてきた場合には、図9(a)に示すように、印刷動作(印刷電力)とレディー状態(レディー電力)とを繰り返すことになり、レディー状態が長く続いて、なかなか節電状態(スリープ電力)に移行しないという状況が発生する。
この場合、図9(b)に示すように、これらの印刷ジョブをまとめて、一度に印刷を行えば、レディー状態に移行する回数が減り、その分、節電状態も長く続くことになる。すなわち、無駄な電力の消費を抑えることができる。
本発明はかかる点に着目して創案されたもので、その目的は、外部端末装置から印刷ジョブが送信されてきたとき、待てる印刷ジョブは待たせることで、節電状態の時間を長く確保し、実質的に省エネを促進することのできる画像形成装置及び画像形成システムならびに画像形成方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、外部端末装置からの印刷ジョブを実行する画像形成部の状態が節電状態にあるか否かを判断する状態判断手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づいて受信した印刷ジョブの実行を制御する制御手段とを備えた画像形成装置であって、前記制御手段は、前記外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブを受信したとき、前記状態判断手段により前記画像形成部が節電状態であると判断した場合には、前記外部端末装置に対して印刷を直ちに実行するか、印刷を一旦保留にするかの確認要求信号を送信し、前記外部端末装置から前記確認要求信号に対する応答である保留許可信号を受信した場合には、前記印刷ジョブの印刷データを記憶手段に記憶した状態で、前記印刷ジョブの実行を一旦保留状態とすることを特徴としている。
スリープモードやローパワーモードなどの節電状態(低電力状態)にある場合において、印刷ジョブを受けるごとに印刷動作を実施した場合には、印刷ジョブごとに復帰動作(加熱動作)を実施する必要があり、電力消費量が増大することになる。これに対し、本発明では、節電状態にある場合において、外部端末装置から印刷ジョブを受信した場合、まず、外部端末装置に対して印刷を一旦保留にすることが可能であるか否かの確認要求信号を送信し、外部端末装置から確認要求信号に対する応答である保留許可信号を受信した場合には、すぐに印刷するのではなく、その印刷ジョブを一旦保留状態として、例えば、予め設定した印刷ジョブ数に到達してからまとめて印刷ジョブを実行することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることが可能となる。ここで、印刷ジョブには、外部端末装置からの印刷ジョブ、FAX印刷ジョブ、コピー印刷ジョブなどがある。また、最近の画像形成装置には、USB接続端子を備えているものもあり、このような画像形成装置では、USB接続端子にUSBが接続されることによって実行されるいわゆるUSBジョブも印刷ジョブに含まれる。
また、本発明の画像形成装置によれば、前記制御手段は、予め設定された保留解除条件を満たしたとき、前記記憶手段に記憶されている印刷データの印刷ジョブを実行する構成とすることができる。
このような構成とすれば、予め設定された保留解除条件を満たしたとき、その時点で記憶手段に記憶している全ての印刷データの印刷ジョブをまとめて実行することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることが可能となる。
また、本発明の画像形成装置によれば、前記保留解除条件が、前記記憶手段に記憶された印刷データの印刷ジョブ件数であり、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された印刷データの印刷ジョブ件数が前記保留解除条件として設定された一定件数に到達した場合に、前記記憶手段に記憶されている印刷データの印刷ジョブを実行する構成とすることができる。
このような構成とすれば、記憶手段に記憶された印刷データの印刷ジョブ件数が予め設定され一定件数に到達すると、制御手段は、記憶手段に記憶されている全ての印刷データの印刷ジョブをまとめて実行することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることが可能となる。
また、本発明の画像形成装置によれば、前記保留解除条件が、前記記憶手段に記憶された印刷データのデータ量であり、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された印刷データのデータ量が前記保留解除条件として設定された一定のデータ量に到達した場合に、前記記憶手段に記憶されている印刷ジョブを実行する構成とすることができる。
このような構成とすれば、記憶手段に記憶された印刷データの全データ量が予め設定された一定のデータ量に到達すると、制御手段は、記憶手段に記憶されている全ての印刷データの印刷ジョブをまとめて実行することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることが可能となる。
また、本発明の画像形成装置によれば、前記保留解除条件が、前回印刷動作終了時から一定時間という条件を含み、前記制御手段は、前回印刷動作終了時から一定時間が経過した場合には、他の保留解除条件に係わらず、前記記憶手段に記憶されている印刷データの印刷ジョブを実行する構成とすることができる。
このような構成とすれば、前回印刷動作終了時から一定時間が経過したとき、他の保留解除条件(すなわち、記憶手段に記憶されている印刷データの印刷ジョブ件数やデータ量等)に関係なく、記憶手段に記憶されている全ての印刷データの印刷ジョブをまとめて実行することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができる。また、利用するユーザにとっては、記憶手段に記憶されている印刷データの印刷ジョブ件数やデータ量が一定件数や一定データ量になかなか到達しないために、要求した印刷ジョブが長時間保留状態にされてしまうことは好ましいことではない。従って、印刷動作が実施されないまま一定時間が経過したとき、記憶手段に印刷データが記憶されている場合には、その時点で必ず印刷動作を実施することで、印刷ジョブの長時間の保留状態を回避することができる。これにより、利用するユーザは、保留を許可した印刷ジョブの実行時期がある程度予測できる(すなわち、少なくとも一定時間経過後には印刷が実施される)ので、印刷のタイミングに合わせて印刷物を取りに行くことができる。
また、本発明の画像形成装置によれば、前記制御手段は、前記外部端末装置から前記確認要求信号に対する応答である保留否信号を受信した場合には、節電状態からの復帰動作を行って印刷ジョブを実行する構成とすることができる。
このような構成とすれば、保留否信号を受信したということは、緊急を要する印刷であるので、この場合には印刷をすぐに実行することで、柔軟に対応することができる。
また、本発明の画像形成装置によれば、前記制御手段は、コピーまたはファクシミリの印刷要求信号を受信した場合には、節電状態からの復帰動作を行って印刷ジョブを実行する構成とすることができる。
このような構成とすれば、ユーザは、コピーの印刷要求である場合、すぐにコピーしたいためにあえて画像形成装置の前まで来ているので、ここで印刷を保留すると、かえって効率が悪くなる。そのため、この場合にはその印刷ジョブをすぐに実行することで、柔軟な対応が可能となる。
また、ファクシミリの印刷要求である場合、ファクシミリは第三者からの送信ジョブであり、緊急性も高いと考えられるので、この場合には印刷ジョブをすぐに実行することで、柔軟な対応が可能となる。すなわち、コピーやファクシミリの印刷要求である場合には、一定の印刷ジョブ件数やデータ量、あるいは一定時間に到達していなくても、節電状態からの復帰動作と印刷ジョブの実行とを行うことになる。
また、本発明の画像形成装置によれば、前記印刷ジョブを実行する場合には、前記記憶手段に記憶されている他の印刷ジョブも続けて実行する構成とすることができる。
このような構成とすれば、外部端末装置から印刷ジョブの即実行の要求があったとき(保留否信号を受信したとき)、または、コピーまたはファクシミリの印刷要求信号を受信したときには、その印刷ジョブの実行に続けて、記憶手段に記憶されている他の印刷ジョブもまとめて実行することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることが可能となる。
また、本発明の画像形成装置によれば、前記制御手段は、一旦保留した印刷ジョブを実行した場合には、印刷を要求してきた前記外部端末装置に対して印刷開始もしくは印刷中のメッセージを送信する構成とすることができる。
このような構成によれば、画像形成装置側で印刷ジョブを一旦保留した場合には、外部端末装置から送信した印刷ジョブがいつ実行されるかわからない。従って、印刷開始もしくは印刷中のメッセージを受け取ることにより、印刷ジョブの実行による印刷完了時期が予測できるので、印刷物を放置させることなく、適切な時間に印刷物をとりに行くことが可能となる。
また、本発明の画像形成装置によれば、前記制御手段は、一旦保留した印刷ジョブの実行による印刷完了後、印刷を要求してきた前記外部端末装置に対して印刷完了メッセージを送信する構成とすることができる。
このような構成とすれば、画像形成装置側で印刷ジョブを一旦保留した場合には、外部端末装置から送信した印刷ジョブがいつ実行されるかわからない。従って、印刷完了メッセージを受け取ることにより、印刷が完了していることが分かるので、印刷物を放置させることなく、適切な時間に印刷物をとりに行くことが可能となる。
また、本発明の画像形成システムは、上記構成の画像形成装置と前記外部端末装置とがプリントサーバを介して接続された構成の画像形成システムであって、前記記憶手段が前記プリントサーバに設けられていることを特徴としている。
本発明によれば、記憶手段をプリントサーバに設けることで、画像形成装置では、外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブの実行を一旦保留する場合に、当該印刷ジョブの印刷データを内部に保存しておく必要がない。すなわち、記憶手段である例えばHDDや半導体メモリ、画像処理用CPU等、消費電力の大きなデバイスを動作させて印刷データを保存する必要がないため、節電状態での電力消費量を抑えることができる。また、印刷データを保存する手段(すなわち、大容量の記憶手段)を備えていない画像形成装置であっても、本発明の画像形成システムに適用することができる。
また、本発明の画像形成システムは、外部端末装置と画像形成装置とが通信手段を介して接続されており、前記画像形成装置は、前記外部端末装置からの印刷ジョブを実行する画像形成部の状態が節電状態にあるか否かを判断する状態判断手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づいて受信した印刷ジョブの実行を制御する制御手段とを備えた画像形成システムであって、前記制御手段は、前記外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブを受信したとき、前記状態判断手段により前記画像形成部が節電状態であると判断した場合には、前記外部端末装置に対して印刷を直ちに実行するか、印刷を一旦保留にするかの確認要求信号を送信し、前記外部端末装置から前記確認要求信号に対する応答である保留許可信号を受信した場合には、受信した前記印刷ジョブを破棄する一方、前記外部端末装置から送信されてきた前記印刷ジョブの実行を一旦保留状態としたことを示す保留情報を記憶手段に記憶し、前記記憶手段に記憶された保留情報が予め設定された保留解除条件を満たしたとき、前記保留情報に基づいて前記外部端末装置に対し前記印刷ジョブの要求信号を送信し、前記要求信号に応答して前記外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブを実行することを特徴としている。
外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブの印刷データを画像形成装置側で一旦保存しておく場合、節電状態であっても印刷データを保存するための手段を動作させる必要があり、電力消費量が増大することになる。これに対し、本発明では、印刷ジョブの印刷データを外部端末装置側で保存し、画像形成装置側では、外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブの実行を一旦保留状態としたことを示す保留情報のみを記憶しておくだけでよく、記憶手段である例えばHDDや半導体メモリ、画像処理用CPU等、消費電力の大きなデバイスを動作させる必要がないため、節電状態での電力消費量を抑えることができる。また、印刷データを保存する手段(すなわち、大容量の記憶手段)を備えていない画像形成装置であっても、本発明の画像形成システムに適用することができる。
また、本発明の画像形成システムによれば、前記外部端末装置は、前記画像形成装置に対して前記保留許可信号を送信した場合には、送信した印刷ジョブの印刷データを一旦保存し、前記画像形成装置から印刷ジョブの要求信号を受信した場合には、保存した前記印刷データの印刷ジョブを前記画像形成装置に送信する構成とすることができる。
このような構成とすれば、印刷ジョブの印刷データを外部端末装置側で保存し、画像形成装置が印刷可能状態になったとき、再度、保存した印刷データの印刷ジョブを送信するので、画像形成装置側では、印刷ジョブの印刷データを保存する必要がない。すなわち、画像形成装置側では、送信されてきた印刷ジョブの印刷データを、印刷可能状態となるまで内部に保存しておく必要がないため、節電状態において、記憶手段である例えばHDDや半導体メモリ、画像処理用CPU等、消費電力の大きなデバイスを動作させる必要がない。これにより、節電状態での電力消費量を抑えることができる。
また、本発明の画像形成システムによれば、前記保留解除条件が、前記記憶手段に記憶された保留情報の件数であり、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された保留情報の件数が前記保留解除条件として設定された一定件数に到達したときに、前記保留情報に基づいて前記外部端末装置に対し前記印刷ジョブの要求信号を送信する構成とすることができる。
このような構成とすれば、記憶手段に記憶された保留情報の件数が予め設定され一定件数に到達すると、制御手段は、記憶手段に記憶されている全ての保留情報に対応する印刷ジョブを、外部端末装置から順次受信し、これらをまとめて実行(順次実行)することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることが可能となる。
また、本発明の画像形成システムによれば、前記保留解除条件として、前回印刷動作終了時から一定時間という条件を含み、前記制御手段は、前回印刷動作終了時から一定時間が経過した場合には、他の保留解除条件に係わらず、前記保留情報に基づいて前記外部端末装置に対し前記印刷ジョブの要求信号を送信する構成とすることができる。
このような構成とすれば、前回印刷動作終了時から一定時間が経過したとき、制御手段は、記憶手段に記憶されている保留情報の件数に関係なく、記憶手段に記憶されている全ての保留情報に対応する印刷ジョブを、外部端末装置から順次受信し、これらをまとめて実行(順次実行)することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることが可能となる。また、利用者にとっても、保留を許可した印刷ジョブの実行時期がある程度予測できるので、印刷のタイミングに合わせて印刷物を取りに行くことができる。
また、本発明の画像形成システムによれば、前記制御手段は、前記外部端末装置から前記確認要求信号に対する応答である保留否信号を受信した場合には、節電状態からの復帰動作を行って印刷ジョブを実行する構成とすることができる。
このような構成とすれば、保留否信号を受信したということは、緊急を要する印刷であるので、この場合には印刷をすぐに実行することで、柔軟に対応することができる。
また、本発明の画像形成システムによれば、前記制御手段は、コピーまたはファクシミリの印刷要求信号を受信した場合には、節電状態からの復帰動作を行って印刷ジョブを実行する構成とすることができる。
このような構成とすれば、ユーザは、コピーの印刷要求である場合、すぐにコピーしたいためにあえて画像形成装置の前まで来ているので、ここで印刷を保留すると、かえって効率が悪くなる。そのため、この場合にはその印刷ジョブをすぐに実行することで、柔軟な対応が可能となる。また、ファクシミリの印刷要求である場合、ファクシミリは第三者からの送信ジョブであり、緊急性も高いと考えられるので、この場合には印刷ジョブをすぐに実行することで、柔軟な対応が可能となる。すなわち、コピーやファクシミリの印刷要求である場合には、保留情報が一定の件数に到達していなくても、また、前回印刷動作終了時から一定時間が経過していなくても、節電状態からの復帰動作と印刷ジョブの実行とを行うことになる。
また、本発明の画像形成システムによれば、前記印刷ジョブを実行する場合には、前記記憶手段に記憶されている保留情報によって示される印刷ジョブも続けて実行する構成とすることができる。
このような構成とすれば、外部端末装置から印刷ジョブの即実行の要求があったとき(保留否信号を受信したとき)、または、コピーまたはファクシミリの印刷要求信号を受信したときには、その印刷ジョブの実行に続けて、記憶手段に記憶されている全ての保留情報に対応する印刷ジョブを各外部端末装置から順次受信し、これらをまとめて実行(順次実行)することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることが可能となる。
また、本発明の画像形成システムによれば、前記制御手段は、一旦保留した印刷ジョブを実行した場合には、印刷を要求してきた前記外部端末装置に対して印刷開始もしくは印刷中のメッセージを送信する構成とすることができる。
このような構成とすれば、画像形成装置は、記憶手段に記憶された保留情報が予め設定された保留解除条件を満たしたとき、保留情報に基づいて各外部端末装置に対し印刷ジョブの要求信号を送信し、受信した順番に印刷ジョブを実行するため、任意の外部端末装置から送信した印刷ジョブがどのタイミングで実行されているのかは、外部端末装置側では正確には分からない。従って、印刷開始もしくは印刷中のメッセージを該当する外部端末装置に送信することで、外部端末装置側では、印刷ジョブの実行による印刷完了時期が予測できるので、印刷物を放置させることなく、適切な時間に印刷物をとりに行くことが可能となる。
また、本発明の画像形成システムによれば、前記制御手段は、一旦保留した印刷ジョブの実行による印刷完了後、印刷を要求してきた前記外部端末装置に対して印刷完了メッセージを送信する構成とすることができる。
このような構成とすれば、画像形成装置は、記憶手段に記憶された保留情報が予め設定された保留解除条件を満たしたとき、保留情報に基づいて各外部端末装置に対し印刷ジョブの要求信号を送信し、受信した順番に印刷ジョブを実行するため、任意の外部端末装置から送信した印刷ジョブがどのタイミングで実行されているのかは、外部端末装置側では正確には分からない。従って、印刷完了メッセージを該当する外部端末装置に送信することで、外部端末装置側では、印刷が完了していることが分かるので、印刷物を放置させることなく、適切な時間に印刷物をとりに行くことが可能となる。
また、本発明の画像形成方法は、外部端末装置からの印刷ジョブを実行する画像形成部の状態が節電状態にあるか否かを判断する状態判断手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づいて受信した印刷ジョブの実行を制御する制御手段とを備えた画像形成装置の画像形成方法であって、前記外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブを受信するステップと、印刷ジョブを受信すると、前記状態判断手段により前記プリンタコントローラ部の状態を判断するステップと、状態判断の結果、前記画像形成部が節電状態である場合には、前記外部端末装置に対して印刷を直ちに実行するか、印刷を一旦保留にするかの確認要求信号を送信するステップと、前記外部端末装置から前記確認要求信号に対する応答として保留許可信号を受信した場合には、前記印刷ジョブの印刷データを記憶手段に記憶した状態で前記印刷ジョブの実行を一旦保留状態とするステップと、前記記憶手段に記憶した印刷ジョブ件数が予め設定された一定件数に到達したとき、または、前記記憶手段に記憶した印刷データのデータ量が予め設定された一定のデータ量に到達したとき、前記記憶手段に記憶されている印刷データの印刷ジョブを実行するステップと、を含むことを特徴としている。
スリープモードやローパワーモードなどの節電状態にある場合において、印刷ジョブを受けるごとに印刷動作を実施した場合には、印刷ジョブごとに復帰動作(加熱動作)を実施する必要があり、電力消費量が増大することになる。これに対し、本発明では、節電状態にある場合において、外部端末装置から印刷ジョブを受信した場合、まず、外部端末装置に対して印刷を一旦保留にすることが可能であるか否かの確認要求信号を送信し、外部端末装置から保留許可信号を受信した場合には、すぐに印刷を行うのではなく、その印刷ジョブを一旦保留状態として、予め設定した印刷ジョブ数、または、予め設定したデータ量に到達してからまとめて印刷ジョブを実行することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることが可能となる。
また、本発明の画像形成方法は、外部端末装置と画像形成装置とが通信手段を介して接続されており、前記画像形成装置は、前記外部端末装置からの印刷ジョブを実行する画像形成部の状態が節電状態にあるか否かを判断する状態判断手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づいて受信した印刷ジョブの実行を制御する制御手段とを備えた画像形成システムの画像形成方法であって、前記制御手段は、前記外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブを受信するステップと、印刷ジョブを受信すると、前記状態判断手段により前記画像形成部の状態を判断するステップと、状態判断の結果、前記画像形成部が節電状態である場合には、前記外部端末装置に対して印刷を直ちに実行するか、印刷を一旦保留にするかの確認要求信号を送信するステップと、前記外部端末装置から前記確認要求信号に対する応答として保留許可信号を受信した場合には、受信した前記印刷ジョブを破棄する一方、前記外部端末装置から送信されてきた前記印刷ジョブの実行を一旦保留状態としたことを示す保留情報を記憶手段に記憶するステップと、前記記憶手段に記憶された保留情報の件数が予め設定された一定件数に到達したとき、前記保留情報に基づいて前記外部端末装置に対し前記印刷ジョブの要求信号を送信するステップと、前記要求信号に応答して前記外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブを実行するステップと、を含み、前記外部端末装置は、前記画像形成装置に対して前記保留許可信号を送信するステップと、前記保留許可信号を送信した場合には、送信した印刷ジョブを一旦内部に保存するステップと、前記画像形成装置から印刷ジョブの要求信号を受信した場合には、保存した前記印刷ジョブを前記画像形成装置に送信するステップと、を含むことを特徴としている。
外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブを画像形成装置側で一旦保存しておく場合、節電状態であっても印刷ジョブを保存するための手段を動作させる必要があり、電力消費量が増大することになる。これに対し、本発明では、印刷ジョブを外部端末装置側で保存し、画像形成装置側では、外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブの実行を一旦保留状態としたことを示す保留情報のみを記憶しておくだけでよく、記憶手段である例えばHDDや半導体メモリ、画像処理用CPU等、消費電力の大きなデバイスを動作させる必要がないため、節電状態での電力消費量を抑えることができる。また、本発明の画像形成システムによれば、印刷データを保存する手段(すなわち、大容量の記憶手段)を備えていない画像形成装置であっても、本発明の画像形成装置として用いることができる。
本発明の画像形成装置及び画像形成方法は、節電状態にある場合において、外部端末装置から印刷ジョブを受信した場合、まず、外部端末装置に対して印刷を一旦保留にすることが可能であるか否かの確認要求信号を送信し、外部端末装置から確認要求信号に対する応答である保留許可信号を受信した場合には、すぐに印刷を行うのではなく、その印刷ジョブを一旦保留状態として、例えば、予め設定した印刷ジョブ件数に到達してからまとめて印刷ジョブを実行することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることができる。
また、本発明の画像形成システム及び画像形成方法は、記憶手段をプリントサーバに設けることで、画像形成装置では、外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブの実行を一旦保留する場合に、当該印刷ジョブの印刷データを内部に保存しておく必要がない。すなわち、記憶手段である例えばHDDや半導体メモリ、画像処理用CPU等、消費電力の大きなデバイスを動作させて印刷データを保存する必要がないため、節電状態での電力消費量を抑えることができる。また、印刷データを保存する手段(すなわち、大容量の記憶手段)を備えていない画像形成装置であっても、本発明の画像形成システムに適用することができる。
また、本発明の画像形成システム及び画像形成方法は、印刷ジョブの印刷データを外部端末装置側で保存し、画像形成装置側では、外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブの実行を一旦保留状態としたことを示す保留情報のみを記憶しておくだけでよく、記憶手段である例えばHDDや半導体メモリ、画像処理用CPU等、消費電力の大きなデバイスを動作させる必要がないため、節電状態での電力消費量を抑えることができる。また、印刷データを保存する手段(すなわち、大容量の記憶手段)を備えていない画像形成装置であっても、本発明の画像形成システムに適用
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
実施形態1では、本発明の画像形成装置を、コピーモード、プリンタモード、スキャナモード及びファクシミリモードを有するデジタル複合機に適用した場合について説明する。図1は、そのようなデジタル複合機の電気的構成の概略と、このデジタル複合機に接続された周辺機器を含む画像形成システムの全体構成図である。
まず、デジタル複合機1の電気的構成について説明する。
図1に示すように、デジタル複合機1は、原稿を読み取って画像データを入力する画像読み取り部2、ユーザの入力を受け付ける操作部4、画像データの印刷を行う画像形成部6、装置全体の制御を司る機器制御部8、ファクシミリ装置と通信するためのFAXモデム9、外部機器との通信を行う通信部10、装置全体の制御情報や設定情報等を記憶している管理部11、画像データを消去する消去手段12、及び画像データを保存するハードディスク(HD)13、時計部14、及びタイマー回路部15を備えており、機器制御部8、FAXモデム9、通信部10、及び管理部11によってプリンタコントローラ部16を構成している。すなわち、実施形態1のデジタル複合機1は、FAXとネットワークプリンタの複合機となっている。
画像読み取り部2は、画像データを入力する入力手段として機能し、CCD2aといった撮像素子や、原稿台や自動原稿送り装置(ADF)にセットされた原稿を検知する原稿検知センサ2bなどを備えている。CCD2aによって読み取られた画像データは画像形成部6に出力される。
操作部4は、後述するタッチパネルやメカキーである各種機能ボタン等からなる入力部4aと、液晶等の表示パネルからなる表示部4bとを備えている。
画像形成部6は、印刷データを展開する作業用のメモリ部6bを有する画像処理部6a、外部からきたデータを機器内で保護するためにデータを暗号化してハードディスク13に一時的に退避(保存)させるとともに、ハードディスク13に退避(保存)させているデータを復号化して画像処理部6aに渡すセキュリティ部(暗号化/復号化部)6c、レーザスキャニングユニット(LSU)を有する印字部6dなどを備えている。メモリ部6bは、SDRAM、フラッシュメモリ等の読み書き可能な半導体メモリを用いる。また、メモリ部6bは、古い画像データに新しい画像データを上書きすることにより、画像データを記憶する。また、印字部6dは、メモリ部6bに記憶された画像データに基づいて、図示しない給紙部から供給される記録用紙に画像を印刷する。画像形成部6では、入力された画像データがメモリ部6bに記憶され、メモリ部6b上で画像データの圧縮、伸張、加工等の画像処理が行われ、画像処理された画像データが印字部6d、ハードディスク13あるいは機器制御部8に出力される。メモリ部6bは、入力された画像データを記憶する入力データ領域と、出力するための画像データを記憶する出力データ領域とに分割されている。なお、1つのメモリ部6bを分割して使用する代わりに、2つのメモリ部6bを使用してもよい。
機器制御部8は、機器全体の動作制御を管理する部分であり、CPU、ROM、RAM等で構成されている。機器制御部8は、操作部4からの入力や外部機器からのデータ入力があると、管理部11に記憶されている情報に基づいて各部を制御して、入力された画像データを処理する。すなわち、入力された画像データに対してコピーモード、プリンタモード、スキャナモード、ファクシミリモードのいずれかを実行する。
管理部11は、機器の動作に必要な情報を管理する部分であり、例えば送受信で言えば、メールアドレスの管理やFAXの電話番号の管理などを行う。また、ハードディスク13に一時的に退避したデータの位置情報(アドレス情報)の管理や、プリンタモードで動作している場合に、当該プリンタへ出力するデータの位置情報の管理など、機器の動作に必要な情報を一括管理している。
通信部10は、LANケーブルを介してルータ、スイッチングハブ等に接続され、パソコンやサーバ等の端末装置32,33によって形成されたネットワーク21と接続される。ネットワーク21は、電話回線網や光ファイバ等の通信回線を介してインターネット23に接続される。通信部10は、ネットワーク21内の端末装置32,33とデータの送受信を行うとともに、インターネット23を通じてインターネットFAX34や外部パソコン35等とデータの送受信を行う。FAXモデム9は、電話線を介して電話回線網22に接続され、外部のファクシミリ装置31とファクシミリ通信を行う。従って、通信部10やFAXモデム9を通じて画像データが入力されるので、これらも入力手段として機能する。また、通信部10は、実施形態1では、受信したデータを機器が扱えるデータに展開するためのメモリを備えたプリンタボードとなっている。従って、通信部10では、受信したデータをこのメモリ上で展開しながら、メモリ部6bに順次転送する。
消去手段12は、機器制御部8の制御により、ハードディスク13に一時的に退避させているデータを削除する処理を行う。また、時計部14は現在時刻を計測し、タイマー回路部15は、後述する一定時間等を計測する。
上記構成のデジタル複合機1において、FAXモデム9には、上記したように電話回線網22を介して例えば管理者が管理するファクシミリ装置31が接続可能となっており、通信部10には、ネットワーク21を介して端末装置(パソコン)32,33等が接続されているとともに、インターネット23を介してインターネットFAX34や外部パソコン35等が接続可能となっている。実施形態1のデジタル複合機1は、このようなネットワーク環境の中に配置されている。
次に、上記構成のデジタル複合機1において、各モードを実行するときの動作を説明する。
コピーモード時には、画像読取り部2により読み取られた原稿の画像データが、画像形成部6から複写物として出力される。具体的には、読み取り位置にセットされた原稿の画像をCCD2aによって読み取る。CCD2aから出力された画像データは、メモリ部6b上に出力画像として完成され、一旦ハードディスク13に転送されて保存される。原稿が複数ある場合は、この読み取り、保存の動作が繰り返される。
その後、操作部4から指示された処理内容に基づいて、ハードディスク13に保存された画像データが適切なタイミングで順次読み出され、メモリ部6bに送られる。そして、印字部6dへの書き込みタイミングに合わせて、画像データがメモリ部6へから印字部6dへと転送され、画像が記録用紙に印刷される。
また、読み取った画像データを複数枚印刷する場合も同様に、画像データが出力画像としてページ単位でハードディスク13へ保存され、出力するモードに合わせてハードディスク13からメモリ部6bに送られる。メモリ部6bの画像データは、出力枚数の分だけ繰り返し、印字部6dへの書き込みタイミングに合わせて印字部6dへ転送される。
プリンタモード時には、端末装置32,33から出力された画像データが通信部10により受信される。機器制御部8は、入力された画像データをメモリ部6bに送り、出力する画像データとしてページ単位に展開し、一旦ハードディスク13に保存する。そして、画像データは、ハードディスク13から再びメモリ部6bに送られ、コピーモードの場合と同様にして印字部6dへと転送され、画像が印刷される。
スキャナモード時には、画像読取り部2において読み取られた原稿の画像データが、ネットワーク21を通じて任意の端末装置32,33にデータ通信される。すなわち、CCD2aから出力された画像データは、メモリ部6b上に出力画像として完成され、一旦ハードディスク13へ保存される。そして、画像データがハードディスク13から再びメモリ部6bに送られ、機器制御部8は、操作部4を介して指示されたネットワーク内の送信先との通信を確立させ、通信部10から目的の送信先に画像データを送信する。さらに、画像データは、通信部10によりネットワーク21からインターネット23を通じて、外部のインターネットFAX34や外部パソコン35にも送信される。また、機器制御部8は、ファクシミリモード時にも同様の動作によって、FAXモデム9から電話回線網22を通じてファクシミリ装置31に画像データを送信する。
実施形態1では、ネットワーク経由で外部から受信したデータを、通信部10において機器が扱えるデータに展開する構成となっているので、この通信部10において、入力されたデータが画像読取装置から送られてきたコピーデータであるのか、ファクシミリ装置から送られてきたファクシミリデータであるのか、端末装置から送られてきた印刷データであるのか、などの確認も可能である。さらには、入力されたデータがカラーデータであるのか、モノクロデータであるのか、特定原稿マーク付きのデータであるのか、などの確認も可能である。
従って、実施形態1では、この通信部10での確認の結果等を踏まえて、機器制御部8が受信データの処理を行うようになっている。すなわち、機器制御部8は、端末装置32,33や外部パソコン35からの印刷ジョブを受信すると、画像形成部6の状態が節電状態にあるか否かを判断し、その判断結果に基づいて受信した印刷ジョブの保留または実行を制御するようになっている。
より具体的に説明すると、機器制御部8は、端末装置32,33や外部パソコン35等の外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブを受信したとき、画像形成部6が節電状態であると判断した場合には、外部端末装置に対して印刷を直ちに実行するか、印刷を一旦保留にするかの確認要求信号を送信し、外部端末装置から確認要求信号に対する応答である保留許可信号を受信した場合には、前記印刷ジョブの印刷データをHD13に記憶(保存)した状態で、当該印刷ジョブの実行を一旦保留状態とする制御を行う。また、機器制御部8は、予め設定された保留解除条件を満たしたときに、HD13に記憶されている印刷データの印刷ジョブを実行する。すなわち、機器制御部8が、請求項に記載の状態判断手段及び制御手段に対応している。
このように、節電状態において、外部端末装置から印刷ジョブを受信した場合、まず、外部端末装置に対して印刷を一旦保留にすることが可能であるか否かの確認要求信号を送信し、外部端末装置から確認要求信号に対する応答である保留許可信号を受信した場合には、すぐに印刷を行うのではなく、その印刷ジョブを一旦保留状態とする。そして、予め設定された保留解除条件を満たしたときに、その時点でHD13に記憶している全ての印刷データの印刷ジョブをまとめて実行することで、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることが可能となる。
ここで、保留解除条件としては、HD13に記憶された印刷データの印刷ジョブ件数(これを、保留解除条件1とする)、または、HD13に記憶された印刷データのデータ量(これを、保留解除条件2とする)、または、前回印刷動作終了時からの一定時間(これを保留解除条件3とする)とすることができる。すなわち、機器制御部8は、HD13に記憶された印刷データの印刷ジョブ件数が予め設定された一定件数(例えば、10件等)に到達した場合に、HD13に記憶されている印刷データの印刷ジョブを実行する構成とすることができる。または、機器制御部8は、HD13に記憶された印刷データのデータ量が予め設定された一定のデータ量(例えば、HD13の全データ容量の半分のデータ容量に相当するデータ量等)に到達した場合に、HD13に記憶されている印刷ジョブを実行する構成とすることができる。さらに、機器制御部8は、前回印刷動作終了時から一定時間(例えば、1時間等)が経過した場合には、他の保留解除条件(印刷ジョブ件数やデータ量)に係わらず、HD13に記憶されている印刷データの印刷ジョブを実行する構成とすることができる。
なお、これらの保留解除条件1〜3は、操作部4からの操作により、デジタル複合機1のユーザ側で任意に設定変更できるように構成しておくのがよい。例えば、印刷ジョブ件数は、使用環境によって異なり、頻繁に印刷ジョブが発生する使用環境では、保留解除条件である印刷ジョブ件数を多く設定しておく方が、節電状態からの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすという目的をより効果的に達成できる。同様に、記憶する印刷データのデータ量も、例えば、文字以外に図形を多用したり、写真等を頻繁に添付して作成することが多い原稿を印刷する場合には、印刷ジョブの件数が少なくても、データ量としては非常に大きくなる。そのため、記憶するデータ量をどの程度にするのかを、ユーザ側が使用環境に合わせて自由に設定できるようにしておけば便利である。さらに、一定時間についても、利用するユーザが、利便性を考慮して自由に設定できれば便利である。
また、節電状態(以下、節電モードともいう)には、例えば、スリープモード、パワーセーブモード、省電力モード、予熱モード、省エネモード、低電力モードなど各種の名称が存在するが、この明細書ではこれら全てのモードを含めて節電モードという。
次に、上記した印刷ジョブの保留及び実行処理について、図2及び図3に示すフローチャート、及び、図4及び図5に示す外部端末装置側の表示画面例を参照して具体的に説明する。
機器制御部8は、機器の電源オン状態において、ユーザによるコピー実行指示またはFAX受信による印刷指示が入力されたか否か(ステップS101)、及び、端末装置32,33や外部パソコン35等の外部端末装置から印刷ジョブを受信したか否か(ステップS102)を常に監視している。
そして、この状態において、任意の外部端末装置から送信されてきた印字ジョブを受信すると(ステップS102でYesと判断されると)、現在印刷動作中か否かを判断し(ステップS103)、印刷動作中でない場合(ステップS103でNoと判断された場合)には、次に、レディー状態(すなわち、すぐに印刷を実行できる状態)であるか否かを判断する(ステップS104)。
その結果、レディー状態でない場合(ステップS104でNoと判断された場合)には、デジタル複合機1が節電モードであるので、機器制御部8は、外部端末装置に対して印刷を直ちに実行するか、印刷を一旦保留にするかの確認要求信号を送信し(ステップS105)、応答信号の受信待ちとなる(ステップS106)。
図4は、確認要求信号を受信した外部端末装置の表示部に表示される確認要求画面例を示している。外部端末装置の表示部に表示される確認要求画面には、その上部に、「印刷を直ちに実行しますか?それとも、印刷を一旦保留したあとで印刷を実行しますか?」といった確認メッセージが表示され、その下に、印刷ジョブのファイル名が表示され、さらにその下に、「印刷を直ちに実行する(保留否信号を送信する)。」、「印刷を一旦保留したあとで印刷する(保留許可信号を送信する)。」といった2つの選択窓が表示されるので、外部パソコン35のユーザは、いずれか一方の選択窓にチェックを入れて、その下の「OK」ボタンを押すことになる。
デジタル複合機1では、応答信号(保留否信号または保留許可信号)を受信すると(ステップS106でYesと判断されると)、その応答信号が保留許可信号であるのか、保留否信号であるのかを判断し(ステップS107)、保留許可信号である場合(ステップS107でYesと判断された場合)には、送信されてきた印刷ジョブの印刷データをHD13に記憶(保存)する(ステップS108)。
次に、機器制御部8は、HD13に記憶されている印刷データが一定の保留解除条件を満たしているか否かを判断する(ステップS109)。ここでの一定の保留解除条件とは、上記した保留解除条件1または保留解除条件2のいずれかである。
すなわち、保留解除条件が保留解除条件1である場合には、機器制御部8は、HD13に記憶された印刷データの印刷ジョブ件数(すなわち、記憶された印刷データの件数)が予め設定された一定件数(例えば、10件等)に到達したか否かを判断する。また、保留解除条件が保留解除条件2である場合には、機器制御部8は、HD13に記憶された印刷データのデータ量が予め設定された一定のデータ量(例えば、HD13の全データ容量の半分のデータ容量に相当するデータ量等)に到達したか否かを判断する。
その結果、保留解除条件1または保留解除条件2を満たしていない場合(ステップS109でNoと判断された場合)には、HD13に次の印刷データを保存すべく、ステップS101に戻って、再び待機状態となる。
一方、保留解除条件1または保留解除条件2を満たしている場合、すなわち、一定の印刷ジョブ件数または一定のデータ量に到達している場合(ステップS109でYesと判断された場合)には、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)を実施し(ステップS110)、印刷可能な状態になると、HD13に記憶されている全ての印刷データの印刷ジョブを実行し(ステップS111)、実行後の印刷データを順次消去する(ステップS112)。
一方、ステップS107において、外部端末装置からの応答信号が保留否信号であると判断した場合(ステップS107でNoと判断した場合)には、緊急を要する印刷であるので、この場合には印刷をすぐに実行することで、柔軟に対応する。すなわち、ステップS110へと動作を進めて、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)を実施し、印刷可能な状態になると、今回受信した印刷ジョブを最初に印刷し、次に、その時点でHD13に記憶されている全ての印刷データの印刷ジョブを実行し(ステップS111)、実行後の印刷データを順次消去する(ステップS112)。つまり、外部端末装置から印刷ジョブの即実行の要求(保留否信号を受信)があった場合には、その印刷ジョブの実行に続けて、HD13に記憶されている他の印刷ジョブもまとめて実行することで、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これによりデジタル複合機器1の低消費電力化を図ることができる。
このとき、機器制御部8は、HD13に記憶している印刷データの印刷ジョブを実行した場合には、印刷を要求してきた外部端末装置に対して印刷開始もしくは印刷中のメッセージを送信するとともに、印刷ジョブの実行による印刷完了後には、印刷を要求してきた外部端末装置に対して印刷完了メッセージを送信する(ステップS113)。
図5(a)〜(c)は、このメッセージを受信した外部端末装置の表示部に表示されるメッセージ画面例を示している。外部端末装置の表示部に表示されるメッセージ画面としては、同図(a)に示す印刷開始を知らせるメッセージ、同図(b)に示す印刷中を知らせるメッセージ、同図(c)に示す印刷完了を知らせるメッセージの3種類のメッセージがある。そして、それぞれの画面には、右下に「OK」ボタンがあるので、このボタンを押すことで、その確認信号がデジタル複合機1に送信されるようになっている。
デジタル複合機1側で印刷ジョブを一旦保留した場合、外部端末装置側では送信した印刷ジョブがいつ実行されるかわからない。従って、印刷開始もしくは印刷中のメッセージ、及び、印刷完了のメッセージを外部端末装置に送信することで、外部端末装置を使用するユーザは、送信した印刷ジョブの実行による印刷完了時期が予測できるので、印刷物を放置させることなく、適切な時間に印刷物をとりに行くことが可能となる。ただし、印刷開始のメッセージ、印刷中のメッセージ、及び、印刷完了のメッセージは、いずれか1つ、またはいずれか2つを送信する構成としてもよい。
この後、全ての印刷ジョブの実行を完了すると、レディー状態に移行し、このレディー状態が予め設定された所定時間(例えば、1分等)が経過したか否かを判断する(ステップS114)。そして、レディー状態が所定時間経過すると、再び節電モードに移行して(ステップS115)、ステップS101に戻り、待機状態に復帰する。
一方、ステップS101において、コピー実行指示またはFAX受信による印刷指示が入力された場合(ステップS101でYesと判断された場合)には、ステップS116へと動作を進め、機器がレディー状態(すなわち、すぐに印刷を実行できる状態)であるか否かを判断する。その結果、レディー状態である場合(ステップS116でYesと判断された場合)には、直ちに、指示のあったコピー動作または受信したFAXデータの印刷動作を開始する(ステップS118)。一方、レディー状態でなかった場合(ステップS116でNoと判断された場合)には、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)を実施し(ステップS117)、印刷可能な状態になると、指示のあったコピー動作または受信したFAXデータの印刷動作を開始する(ステップS118)。
すなわち、コピーの実行指示である場合、ユーザは、すぐにコピーしたいためにあえてデジタル複合機1の前まで来ているので、ここで印刷を保留すると、かえって効率が悪くなる。そのため、この場合にはその印刷ジョブをすぐに実行することで、柔軟に対応している。また、ファクシミリの印刷要求である場合、ファクシミリは第三者からの送信ジョブであり、緊急性も高いと考えられるので、この場合には印刷ジョブをすぐに実行することで、柔軟に対応している。すなわち、コピーやFAXの印刷要求である場合には、一定の印刷ジョブ件数やデータ量に到達していなくても、節電モードからの復帰動作と印刷ジョブの実行とを行うことになる。
この後、HD13に保留状態となっている印刷ジョブの印刷データが記憶されているか否かを確認し(ステップS119)、記憶されている場合(ステップS119でYesと判断された場合)には、ステップS111へと動作を進め、その時点でHD13に記憶されている全ての印刷データの印刷ジョブを引き続き実行する。すなわち、指示のあったコピー動作または受信したFAXデータの印刷動作を行った場合には、その印刷ジョブの実行に続けて、HD13に記憶されている他の印刷ジョブもまとめて実行することで、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができる。
一方、指示のあったコピー動作または受信したFAXデータの印刷動作を終了した後、HD13に保留状態となっている印刷ジョブの印刷データが記憶されていない場合(ステップS119でNoと判断された場合)には、レディー状態に移行してステップS114へと動作を進め、このレディー状態が予め設定された一定時間(例えば、1分等)経過したか否かを判断する。そして、レディー状態が一定時間経過すると(ステップS114でYesと判断されると)、再び節電モードに移行して(ステップS115)、ステップS101に戻り、待機状態に復帰する。
また、外部端末装置から印刷ジョブを受信したときに、デジタル複合機1がすでに別の印刷ジョブの実行中であった場合(ステップS103においてYesと判断された場合)には、ステップS111へと動作を進め、その時点でHD13に記憶されている全ての印刷データの印刷ジョブを引き続き実行する。すなわち、印刷動作中であった場合には、その印刷ジョブの実行に続けて、HD13に記憶されている他の印刷ジョブもまとめて実行することで、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができる。
また、ステップS104での判断の結果、レディー状態である場合(ステップS104でYesと判断された場合)には、直ちに印刷を実行できる状態であるので、この場合もステップS111へと動作を進め、受信した印刷ジョブを実行後、その時点でHD13に記憶されている全ての印刷データの印刷ジョブを引き続き実行する。
なお、上記処理動作では、ステップS109の判断において、HD13に記憶されている印刷データが一定の保留解除条件を満たしている場合に、ステップS110において、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)を直ちに実施する構成としているが、ステップS109の判断において、HD13に記憶されている印刷データが一定の保留解除条件を満たしている場合であっても、その時点では節電モードからの復帰動作を行わず、次の印刷ジョブを受信したときに、節電モードからの復帰動作を行って、その受信した印刷ジョブとともに、HD13に記憶されている印刷データの印刷ジョブを順次実行するように構成してもよい。
また、機器制御部8は、上記ステップS101〜119の処理と並行して、上記保留解除条件3を考慮した印刷ジョブの保留及び実行処理も実施している。図3は、保留解除条件3を考慮した印刷ジョブの保留及び実行処理のフローチャートである。
すなわち、機器制御部8は、タイマー回路部15を起動して一定時間(例えば、1時間等)の計測を開始し(ステップS201)、図2のステップS101,ステップS102の判断と並行して、前回印刷動作終了時から一定時間が経過したか否か(ステップS202)、及び、一定時間経過前に印刷動作が実施されたか否か(ステップS203)を監視する。
そして、一定時間経過前に印刷動作が実施された場合(すなわち、図2に示すステップS112での印字ジョブの実行や、ステップS119でのコピー動作またはFAXデータの印刷動作が実施された場合)には、ステップS203でYesと判断されるので、その時点でタイマー回路部15をリセットし(ステップS204)、ステップS201に戻って、一定時間の計測を再び開始する。
一方、前回印刷動作終了時から一定時間が経過している場合(ステップS202でYesと判断された場合)には、タイマー回路部15をリセットし(ステップS205)、HD13に保留状態となっている印刷ジョブの印刷データが記憶されているか否かを確認する(ステップS206)。その結果、HD13に保留状態となっている印刷ジョブの印刷データが記憶されていない場合(ステップS206でNoと判断された場合)には、そのままステップS201に戻って、一定時間の計測を再び開始する。
一方、HD13に保留状態となっている印刷ジョブの印刷データが記憶されている場合(ステップS206でNoと判断された場合)には、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)を実施する(ステップS207)。この後の処理は、図2に示したステップS111〜ステップS115の処理と同じ処理であるので、ここでは図3のフローチャートに同じステップ番号を付すこととし、詳細な説明を省略する。すなわち、ステップS115で節電モードに移行した後、ステップS201に戻って、一定時間の計測を再び開始する。
このように、前回印刷動作終了時から一定時間が経過したとき、HD13に記憶されている印刷データの印刷ジョブ件数やデータ量に関係なく、HD13に記憶されている全ての印刷データの印刷ジョブをまとめて実行することで、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができる。また、利用するユーザにとっては、HD13に記憶されている印刷データの印刷ジョブ件数やデータ量が一定件数や一定データ量になかなか到達しないために、要求した印刷ジョブが長時間保留状態にされてしまうことは好ましいことではない。従って、印刷動作が実施されないまま一定時間が経過したとき、HD13に印刷データが記憶されている場合には、その時点で必ず印刷動作を実施することで、印刷ジョブの長時間の保留状態を回避することができる。これにより、利用するユーザは、保留を許可した印刷ジョブの実行時期がある程度予測できる(すなわち、少なくとも一定時間後には印刷が実施される)ので、印刷のタイミングに合わせて印刷物を取りに行くことができる。
<実施形態2>
実施形態1では、デジタル複合機1内部のHD13に保留状態の印刷ジョブの印刷データを記憶(保存)する構成としているが、実施形態2では、保留状態の印刷ジョブの印刷データをプリントサーバに記憶(保存)する構成としている。
図6は、実施形態2に係る画像形成システムの全体構成図である。この画像形成システムの構成は、図1に示す画像形成システムの構成とほぼ同じであるが、違うところは、デジタル複合機1がプリントサーバ40を介して各外部端末装置(パソコンやサーバ等の端末装置32,33、インターネットFAX34、外部パソコン35等)と接続されている点である。
従って、外部端末装置は、プリントサーバ40に対して印刷ジョブや印刷データの通信を行うことになる。また、デジタル複合機1も、プリントサーバ40を介して外部端末装置と通信を行うことになる。
すなわち、実施形態2では、デジタル複合機1からの確認要求信号や、外部端末装置からの応答信号をプリントサーバ40が中継することになるが、それ以外の処理は実施形態1の場合と同様であるので、ここでは実施形態2に係る印刷ジョブの保留及び実行処理動作の説明を省略する。
なお、プリントサーバ40に複数台の印刷装置(デジタル複合機1を含む各種印刷装置)が接続されている場合には、プリントサーバ40は、外部端末装置から要求された印刷ジョブの印刷データを、印刷要求のあった印刷装置ごとに内部に保存する。従って、デジタル複合機1は、ステップS109では、プリントサーバ40に記憶されている自機宛ての印刷データが一定の保留解除条件を満たしているか否かを判断することになる。
実施形態2によれば、保留中の印字データの記憶手段をプリントサーバ40に設けることで、デジタル複合機1では、外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブの実行を一旦保留する場合に、当該印刷ジョブの印刷データを内部に保存しておく必要がない。すなわち、プリンタコントローラ部16に接続されているHD13や画像処理部6a等、消費電力の大きなデバイスを動作させて印刷データを保存する必要がないため、節電モードでの電力消費量を抑えることができる。また、プリンタコントローラ部に印刷データを保存する手段(すなわち、大容量の記憶手段)を備えていない画像形成装置であっても、本発明の画像形成システムに適用することができるといった利点もある。
<実施形態3>
実施形態1では、デジタル複合機1内部のHD13に保留状態の印刷ジョブの印刷データを記憶(保存)する構成としているが、実施形態3では、保留状態の印刷ジョブの印刷データを外部端末装置側で記憶(保存)する構成としている。
実施形態3の画像形成システムの構成は、図1に示す実施形態1の画像形成システムの構成と基本的に同じであるので、実施形態3では、図1に示す画像形成システムを用いて説明を行うものとする。
実施形態3では、機器制御部8は、外部端末装置(パソコンやサーバ等の端末装置32,33、インターネットFAX34、外部パソコン35等)から送信されてきた印刷ジョブを受信したとき、画像形成部6が節電モードであると判断した場合には、外部端末装置に対して印刷を直ちに実行するか、印刷を一旦保留にするかの確認要求信号を送信し、外部端末装置から確認要求信号に対する応答である保留許可信号を受信した場合には、受信した印刷ジョブを破棄する一方、外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブの実行を一旦保留状態としたことを示す保留情報を図示しない内部メモリ(不揮発性メモリ等)に記憶し、内部メモリに記憶された保留情報が予め設定された保留解除条件を満たしたとき、保留情報に基づいて外部端末装置に対し印刷ジョブの要求信号を送信し、この要求信号に応答して外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブを実行するようになっている。
一方、外部端末装置は、確認要求信号に対する応答信号として、デジタル複合機1に保留許可信号を送信した場合には、送信した印刷ジョブの印刷データを一旦内部に保存し、デジタル複合機1から印刷ジョブの要求信号を受信すると、保存した印刷データの印刷ジョブをデジタル複合機1に再度送信するようになっている。
実施形態1のように、外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブの印刷データをデジタル複合機1側で一旦保存しておく場合、節電モードであっても印刷データを保存するための最低限の手段は動作させる必要があり、電力消費量がその分増大することになる。これに対し、実施形態3では、印刷ジョブの印刷データを外部端末装置側で保存し、デジタル複合機1側では、外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブの実行を一旦保留状態としたことを示す保留情報のみを内部メモリに記憶しておくだけでよく、プリンタコントローラ部16に接続されているHD13や画像処理部6aといった消費電力の大きなデバイスを動作させる必要がないため、節電モードでの電力消費量を抑えることができる。また、プリンタコントローラ部16に印刷データを保存する手段(すなわち、大容量の記憶手段)を備えていない画像形成装置であっても、実施形態3の画像形成システムに適用することができる。
ここで、保留解除条件としては、内部メモリに記憶された保留情報の件数(これを保留解除条件4とする。)であり、機器制御部8は、内部メモリに記憶された保留情報の件数が、保留解除条件として予め設定された一定件数(例えば、10件等)に到達したときに、保留情報に基づいて外部端末装置に対し印刷ジョブの要求信号を送信する構成とすることができる。すなわち、機器制御部8は、内部メモリに記憶された保留情報の件数が予め設定され一定件数(10件等)に到達すると、内部メモリに記憶されている全ての保留情報に対応する印刷ジョブを、該当する外部端末装置から順次受信し、これらをまとめて実行(順次実行)することで、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができ、これにより画像形成装置の低消費電力化を図ることができる。
また、機器制御部8は、保留解除条件として前回印刷動作終了時からの一定時間という条件(これは、実施形態1で説明した保留解除条件3である。)も含み、前回印刷動作終了時から一定時間が経過した場合には、上記保留解除条件に係わらず、保留情報に基づいて外部端末装置に対し印刷ジョブの要求信号を送信する構成とすることができる。前回印刷動作終了時から一定時間が経過したとき、内部メモリに記憶されている保留情報の件数に関係なく、内部メモリに記憶されている全ての保留情報に対応する印刷ジョブを外部端末装置から順次受信し、これらをまとめて実行(順次実行)することで、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができる。また、利用者にとっても、保留を許可した印刷ジョブの実行時期がある程度予測できるので、印刷のタイミングに合わせて印刷物を取りに行くことができる。
なお、これらの保留解除条件は、実施形態1と同様、操作部4からの操作により、デジタル複合機1のユーザ側で任意の設定変更できるように構成しておけばよい。
次に、上記した印刷ジョブの保留及び実行処理について、図7A,図7B,図8に示すフローチャート、及び、図4及び図5に示す外部端末装置側の表示画面例を参照して説明する。ただし、図7A,図7Bはデジタル複合機1側の処理動作を示すフローチャート、図8は外部端末装置側の処理動作を示すフローチャートである。
任意の外部端末装置(例えば、外部パソコン35)は、デジタル複合機1に対して印刷ジョブを送信すると(ステップS501)、デジタル複合機1からの確認要求信号の受信待ちとなる(ステップS502)。
一方、デジタル複合機1の機器制御部8は、機器の電源オン状態において、ユーザによるコピー実行指示またはFAX受信による印刷指示が入力されたか否か(ステップS301)、及び、端末装置32,33や外部パソコン35等の外部端末装置から印刷ジョブを受信したか否か(ステップS302)を常に監視している。
そして、この状態において、外部端末装置から送信されてきた印字ジョブを受信すると(ステップS302でYesと判断されると)、現在印刷動作中か否かを判断し(ステップS303)、印刷動作中でない場合(ステップS303でNoと判断された場合)には、次に、レディー状態(すなわち、すぐに印刷を実行できる状態)であるか否かを判断する(ステップS304)。
その結果、レディー状態でない場合(ステップS304でNoと判断された場合)には、デジタル複合機1が節電モードであるので、機器制御部8は、外部端末装置に対して印刷を直ちに実行するか、印刷を一旦保留にするかの確認要求信号を送信し(ステップS305)、応答信号の受信待ちとなる(ステップS306)。
一方、外部端末装置では、デジタル複合機1からの確認要求信号を受信すると(ステップS502でYesと判断されると)、図4に示す確認要求画面が表示される。ここで、「印刷を直ちに実行する(保留否信号を送信する)。」を選択した場合(ステップS503でNoと判断された場合)には、印刷を直ちに実行する旨の命令である保留否信号が送信されるので、外部端末装置は、引き続いて、実行させる印刷ジョブの印刷データをデジタル複合機1に送信して処理を終了する。
一方、「印刷を一旦保留したあとで印刷を実行する(保留許可信号を送信する)。」を選択した場合(ステップS503でYesと判断した場合)には、保留許可信号がデジタル複合機1に送信されるので、外部端末装置では、印刷データを送信することなく、一旦内部メモリに保存し(ステップS504)、デジタル複合機1からの印刷ジョブの要求信号の受信待ちとなる(ステップS505)。
一方、デジタル複合機1の機器制御部8は、応答信号を受信すると(ステップS306でYesと判断されると)、その応答信号が保留許可信号であるのか、保留否信号であるのかを判断し(ステップS307)、保留許可信号である場合(ステップS307でYesと判断された場合)には、受信した印刷ジョブを破棄する一方、外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブの実行を一旦保留状態としたことを示す保留情報を内部メモリに記憶する(ステップS308)。ここで、保留情報には、印刷ジョブを送信してきた外部端末装置の固有情報が含まれており、機器制御部8は、この固有情報を確認することで、印刷ジョブの送信元を特定できるようになっている。
次に、機器制御部8は、内部メモリに記憶されている保留情報が一定の保留解除条件を満たしているか否かを判断する(ステップS309)。ここで、一定の保留解除条件とは、上記した保留解除条件4である。
すなわち、機器制御部8は、内部メモリに記憶された保留情報の件数(すなわち、印刷ジョブの保留件数)が予め設定された一定件数(例えば、10件等)に到達したか否かを判断する。
その結果、保留解除条件4を満たしていない場合には、次に受信する印刷ジョブの保留情報を内部メモリに記憶すべく、ステップS301に戻って、再び待機状態となる。
一方、保留解除条件4を満たしている場合、すなわち、一定の保留情報の件数が一定の件数に到達している場合(ステップS309でYesと判断された場合)には、節電モードからの復帰動作を開始する(ステップS310)。これと同時に、内部メモリに記憶している各保留情報に基づいてそれぞれ外部端末装置を特定し、この外部端末装置に対して印刷ジョブの要求信号を送信し(ステップS311)、外部端末装置からの印刷ジョブを印刷データとの受信待ちとなる(ステップS312)。機器制御部8では、保留情報の数だけ、特定した外部端末装置に対してそれぞれ印刷ジョブの要求信号を送信することになる。
一方、外部端末装置は、デジタル複合機1からの印刷ジョブの要求信号を受信すると(ステップS505でYesと判断されると)、印刷ジョブとともに印刷データを再度デジタル複合機1に送信して(ステップS506)、処理を終了する。
一方、デジタル複合機1は、外部端末装置から印刷ジョブと印刷データとを受信すると(ステップS312でYesと判断されると)、節電モードからの復帰動作によって印刷可能な状態になってから、印刷ジョブを実行する(ステップS313)。
一方、ステップS307において、外部端末装置からの応答信号が保留否信号であると判断した場合(ステップS307でNoと判断した場合)には、緊急を要する印刷であるので、この場合には印刷をすぐに実行することで、柔軟に対応する。すなわち、ステップS310へと動作を進めて、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)を実施し、印刷可能な状態になると、今回受信した印刷ジョブを最初に印刷し、次に、その時点で内部メモリに記憶されている各保留情報に基づいてそれぞれ外部端末装置を特定し、この外部端末装置に対して印刷ジョブの要求信号を送信する(ステップS311)。つまり、外部端末装置から印刷ジョブの即実行の要求(保留否信号を受信)があった場合には、その印刷ジョブの実行に続けて、内部メモリに記憶されている全ての保留情報に対応する印刷ジョブもまとめて実行することで、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができる。
このとき、機器制御部8は、外部端末装置から送信されてきた印刷ジョブを実行した場合には、印刷を要求してきた外部端末装置に対して印刷開始もしくは印刷中のメッセージを送信するとともに、印刷ジョブの実行による印刷完了後には、印刷を要求してきた外部端末装置に対して印刷完了メッセージを送信する(ステップS314)。
図5(a)〜(c)は、このメッセージを受信した外部端末装置の表示部に表示されるメッセージ画面例を示している。外部端末装置の表示部に表示されるメッセージ画面としては、同図(a)に示す印刷開始を知らせるメッセージ、同図(b)に示す印刷中を知らせるメッセージ、同図(c)に示す印刷完了を知らせるメッセージの3種類のメッセージがある。そして、それぞれの画面には、右下に「OK」ボタンがあるので、このボタンを押すことで、その確認信号がデジタル複合機1に送信されるようになっている。
すなわち、この場合には、印刷ジョブが複数の外部端末装置から順次送信されてくるため、デジタル複合機1側では、受信した順番に印刷ジョブを実行することになる。そのため、任意の外部端末装置から送信した印刷ジョブがどのタイミングで実行されているのかは、外部端末装置側では正確には分からない。従って、印刷開始もしくは印刷中のメッセージ、または、印刷完了メッセージを該当する外部端末装置に送信することで、外部端末装置を使用するユーザは、印刷ジョブの実行による印刷完了時期が予測できるので、印刷物を放置させることなく、適切な時間に印刷物をとりに行くことが可能となる。ただし、印刷開始のメッセージ、印刷中のメッセージ、及び、印刷完了のメッセージは、いずれか1つ、またはいずれか2つを送信する構成としてもよい。
この後、機器制御部8は、全ての印刷ジョブの実行を完了すると(ステップS315でYesと判断されると)、レディー状態に移行し、このレディー状態が予め設定された所定時間(例えば、1分等)が経過したか否かを判断する(ステップS316)。そして、レディー状態が所定時間経過すると、再び節電モードに移行して(ステップS317)、ステップS301に戻り、待機状態に復帰する。
一方、ステップS301において、コピー実行指示またはFAX受信による印刷指示が入力された場合(ステップS301でYesと判断された場合)には、ステップS318へと動作を進め、デジタル複合機1がレディー状態(すなわち、すぐに印刷を実行できる状態)であるか否かを判断する。その結果、レディー状態である場合(ステップS318でYesと判断された場合)には、直ちに、指示のあったコピー動作または受信したFAXデータの印刷動作を開始する(ステップS319)。一方、レディー状態でなかった場合(ステップS318でNoと判断された場合)には、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)を実施し(ステップS320)、印刷可能な状態になると、指示のあったコピー動作または受信したFAXデータの印刷動作を開始する(ステップS319)。
すなわち、コピーの実行指示である場合、ユーザは、すぐにコピーしたいためにあえてデジタル複合機1の前まで来ているので、ここで印刷を保留すると、かえって効率が悪くなる。そのため、この場合にはその印刷ジョブをすぐに実行することで、柔軟に対応している。また、ファクシミリの印刷要求である場合、ファクシミリは第三者からの送信ジョブであり、緊急性も高いと考えられるので、この場合には印刷ジョブをすぐに実行することで、柔軟に対応している。すなわち、コピーやFAXの印刷要求である場合には、一定の印刷ジョブ件数やデータ量に到達していなくても、節電モードからの復帰動作と印刷ジョブの実行とを行うことになる。
この後、内部メモリに保留情報が記憶されているか否かを確認し(ステップS321)、保留情報が記憶されている場合(ステップS321でYesと判断された場合)には、ステップS311へと動作を進め、その時点で内部メモリに記憶している各保留情報に基づいてそれぞれ外部端末装置を特定し、この外部端末装置に対して印刷ジョブの要求信号を送信する。すなわち、指示のあったコピー動作または受信したFAXデータの印刷動作を行った場合には、その印刷ジョブの実行に続けて、内部メモリに記憶されている保留情報に対応する印刷ジョブもまとめて実行することで、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができる。
一方、指示のあったコピー動作または受信したFAXデータの印刷動作を終了した後、内部メモリに保留情報が記憶されていない場合(ステップS321でNoと判断された場合)には、レディー状態に移行してステップS316へと動作を進め、このレディー状態が予め設定された一定時間(例えば、1分等)経過したか否かを判断する。そして、レディー状態が一定時間経過すると(ステップS316でYesと判断されると)、再び節電モードに移行して(ステップS317)、ステップS301に戻り、待機状態に復帰する。
また、外部端末装置から印刷ジョブを受信したときに、デジタル複合機1がすでに別の印刷ジョブの実行中であった場合(ステップS303においてYesと判断された場合)には、ステップS313へと動作を進め、その時点で内部メモリに記憶されている全ての保留情報に対応する印刷ジョブを引き続き実行する。すなわち、印刷動作中であった場合には、その印刷ジョブの実行に続けて、内部メモリに記憶されている全ての保留情報に対応する印刷ジョブをまとめて実行することで、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができる。
また、ステップS304での判断の結果、レディー状態である場合(ステップS304でYesと判断された場合)には、直ちに印刷を実行できる状態であるので、この場合もステップS313へと動作を進め、受信した印刷ジョブを実行後、その時点で内部メモリに記憶されている全ての保留情報に対応する印刷ジョブを引き続き実行する。
なお、機器制御部8は、上記ステップS301〜ステップS321の処理と並行して、上記保留解除条件3を考慮した印刷ジョブの保留及び実行処理も実施している。ただし、保留解除条件3を考慮した印刷ジョブの保留及び実行処理は、すでに実施形態1で図3を用いて説明した通りであるので、ここでは説明を省略する。
すなわち、前回印刷動作終了時から一定時間が経過したとき、内部メモリに記憶されている保留情報の件数に関係なく、内部メモリに記憶されている全ての保留情報に対応した印刷ジョブをまとめて実行することで、節電モードからの復帰動作(すなわち、加熱動作)の動作回数を減らすことができる。また、利用するユーザにとっては、内部メモリに記憶されている保留情報の件数が一定件数になかなか到達しないために、要求した印刷ジョブが長時間保留状態にされてしまうことは好ましいことではない。従って、印刷動作が実施されないまま一定時間が経過したとき、内部メモリに保留情報がが記憶されている場合には、その時点で必ず印刷動作を実施することで、印刷ジョブの長時間の保留状態を回避することができる。これにより、利用するユーザは、保留を許可した印刷ジョブの実行時期がある程度予測できる(すなわち、少なくとも一定時間後には印刷が実施される)ので、印刷のタイミングに合わせて印刷物を取りに行くことができる。