JP5317707B2 - クロロシラン統合プラント内での高沸点化合物の再利用方法 - Google Patents

クロロシラン統合プラント内での高沸点化合物の再利用方法 Download PDF

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Description

本発明は、トリクロロシランの製造、ケイ素析出、及び微細なシリカの製造を含む半導体シリコンを製造するクロロシラン統合プラント内での高沸点化合物の再利用方法に関する。
半導体シリコン製造用統合プラントにおいて、流動層反応器内で治金ケイ素とHClから、又は治金ケイ素とSiCl/Hから粗原料シランとしてトリクロロシランが製造される。次に、粗原料シランは、蒸留/精製により精製され、トリクロロシランを得る。精製トリクロロシランから多結晶シリコンが析出し、とりわけ、四塩化ケイ素(SiCl)が形成される。四塩化ケイ素の利用(例えば、トリクロロシランを形成するための水素化、又は微細なシリカ若しくはケイ酸エステルを製造するための燃焼)は従来公知である。クロロシラン、特に、トリクロロシランと水素との混合物からの多結晶シリコンの析出時には、四塩化ケイ素だけでなく、高沸点クロロシランを含む留分も形成する(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1)。ここで、「高沸点クロロシラン」とは、ケイ素、塩素、場合によっては、水素、酸素、及び炭素からなり、テトラクロロシランの沸点よりも高い沸点を有する(1013hPaで57℃)化合物を意味する。これらの化合物は、好ましくは、ジシランHCl6−nSi(n=0〜4)と好ましくはケイ素数2〜4の高級オリゴ(クロロ)シラン、及びジシロキサンHCl6−nSiO(n=0〜4)と好ましくはケイ素数2〜4の高級シロキサンであり、環状オリゴシロキサン、及びそのメチル誘導体を含む。この留分は、以下、高沸点留分とも言う。
よって、ケイ素析出反応体からのオフガスは、ジクロロシラン、トリクロロシラン、及び四塩化ケイ素を含み、その量は、0.001重量%〜2重量%であり、高沸点クロロシランの生成状態に応じて変わる。一般的な組成は、高沸点クロロシランが、例えば、50重量%のSiCl、35重量%未満のSiHCl、10重量%のSiCl(2異性体)、5重量%のSiCl(2異性体)、及び1重量%よりも多い高級シラン(例えば、SiCl)を含む。
多結晶シリコンの析出時のオフガスは、実質的にそのまま多結晶シリコンの製造に再利用できる。オフガスは、凝縮され、続いて蒸留される。ここで、低沸点溶剤の留分は、大気条件下(1013hPa)で沸点が40℃未満のシラン(例えば、モノクロロシラン、ジクロロシラン、及びトリクロロシラン)を含み、高沸点クロロシランから蒸留することで分離されケイ素の析出に再利用される。四塩化ケイ素は、四塩化ケイ素と高沸点クロロシランとの残留混合物からの蒸留により部分的に分離し、例えば、水素化によってトリクロロシランへ変換され、再度ケイ素の析出に再利用される。四塩化ケイ素と残留物として残るいくらか濃縮された高沸点クロロシランの混合物は、更に、様々な方法で処理可能である。この高沸点留分は、実質的にすべてジシラン(ヘキサクロロジシラン、ペンタクロロジシラン、テトラクロロジシラン、及びトリクロロジシラン)、及びオリゴシラン(トリシラン及びテトラシラン)からなる。この留分が高純度であるため、経済的に有利に用いられる。
また、特許文献2は、半導体に使用するためのこの高沸点留分の塩素化、及びそれに続くSiClの分離方法を開示する。
この高沸点留分は、また、更に下記処理工程により、再利用可能なトリクロロシラン及び四塩化ケイ素を得られることが知られている。また、特許文献3は、この留分をトリクロロシラン製造用流動層反応器に再循環することを開示する。
特許文献4は、高温で活性炭を塩化水素と接触させることでケイ素の析出から得られたジシランの分離を開示する。
特許文献5は、高温反応器での四塩化ケイ素及び水素と高沸点留分の反応を開示する。
更に、特許文献6は、有機窒素、又はリン化合物を介してこれらの高沸点留分の分離する可能性を開示する。
これら全ての方法において、高沸点留分からトリクロロシラン及び四塩化ケイ素を得るために、高沸点留分が水素及び/又は塩化水素により分離される。これらの各方法において、追加的な処理工程のため技術的に高コストとなる。
例えば、特許文献7及び8に開示する火炎熱分解(flammenpyrolyse)による二酸化ケイ素粉末の製造は公知である。二酸化ケイ素粉末の出発原料は、概して、四塩化ケイ素である。四塩化ケイ素以外に、メチルトリクロロシラン、トリクロロシラン、又は四塩化ケイ素とこれらの混合物もまた用いられる。塩素を含まないシラン又はシロキサンもまた使用できる。特許文献8によると、二量体クロロシラン及びシロキサンもまた使用できる。
独国特許第3024319号明細書(Goeppinger) 米国特許第6846473号明細書 特開平1‐188414(吉富、大阪チタニウム製造株式会社 1988) 特開平09‐263405(若松、株式会社トクヤマ 1996) 米国特許出願公開第2002/0187096号明細書(Kendig,Landis,McQuiston Dow Corning 2001) 独国特許出願公開第3503262号明細書 独国特許第2620737号明細書 欧州特許出願公開第790213号明細書 Sirtl, J.Electrochem.Soc. 121(1974) 919 Sirtl, Z.Anorg.Allg.Chemie 332(1964) 113
本発明は、クロロシランと水素からの多結晶シリコン析出時のオフガスから得る高沸点クロロシランを利用する経済的な方法を提供することを目的とする。これらの高沸点留分を利用する公知の方法とは対照的に、装置の観点からは追加的な費用を伴わずに既存のクロロシラン統合プラント内で達成されるべきである。
本発明の目的は、焼成シリカ(pyrogener Kieselsaeure)を製造するための方法によって達成され、クロロシランと水素からの多結晶シリコン析出時のオフガスが濃縮され、次に蒸留塔で分別され、この蒸留塔からの底部留分が0.5重量%〜20重量%の高沸点クロロシラン及び99.5重量%〜80重量%の四塩化ケイ素を含む高沸点留分であり、この高沸点留分は完全に蒸発し、クロロシラン蒸気がバーナーに供給され、炎の中で空気又は酸素と水素と反応して焼成シリカを得る。
本発明の方法は、多結晶シリコンの製造時に生じる高沸点シラン(高沸点留分)の利用方法を可能にするものであって、特に装置面からは、焼成シリカ製造装置は、一般的に過剰な四塩化ケイ素を利用するためにクロロシラン統合プラントに既に設けられている装置をそのまま利用できる利点がある。
第一の工程において、多結晶シリコン析出時のオフガスは、蒸留塔で分別され、3つの留分を生じる。ここで、ジクロロシラン及びトリクロロシランを含む留分(この留分の沸点は40℃未満)が塔頂で留去され、多結晶シリコン析出に再利用される。第2の留分が蒸留塔の側部取出し口(Blasenseitenabzug)から取り出される。これは、トリクロロシラン及び高沸点留分をそれぞれ0.01%未満含む実質的に純粋な四塩化ケイ素(STC)(沸点:57℃)を含む。ここで得た半導体の純粋な四塩化ケイ素(STC)は、半導体産業におけるCVDプロセスに使用、再度水素化してトリクロロシランの形成、又は焼成シリカの製造に利用できる。この蒸留塔の底部留分は、蒸留塔が操作される方法次第で、四塩化ケイ素(高沸点留分)とのバランスをとって0.5重量%〜20重量%の高沸点クロロシランを含む。
この高沸点留分は、金属含量(各金属において10ppbw未満)とホウ素含量(10ppbw未満)が非常に低いため、焼成シリカの製造に極めて適切である。
本発明の方法の変形では、高沸点留分が気化して燃焼に移る前に、四塩化ケイ素を更に分離するために、高沸点留分が下流側の蒸留工程で再度蒸留される。この工程において、高沸点クロロシランは50重量%まで濃縮できる。
焼成シリカを製造するために高沸点留分中の水素規定量を設定するために、高沸点留分が気化して燃焼に移る前に、高沸点留分が塩素と反応するのが好ましい。この目的のため、高沸点留分中のSiH化合物の量が決まり、これから算出される塩素量が高沸点留分に加えられることで、高沸点留分が気化して燃焼に移る前に、高沸点留分中の水素量が減る。この工程は、好ましくは紫外線照射下で行われる。
シリカの製造は、テトラクロロシランの代わりに高沸点留分を含む上記の留分を使って先行技術の公知の方法で行われる。高沸点留分を含む留分は、完全に気化し、クロロシラン蒸気が空気又は酸素含有ガス混合物、及び水素と混ざり、次に反応器に送られ、ガス混合物が炎内で反応して焼成シリカを得る。ガスは、同様に炎に個別に供給できる。
空気又は酸素含有ガス混合物に対するクロロシラン蒸気の混合比は、好ましくは、0.06〜0.18であり、水素に対するクロロシラン蒸気の混合比は、好ましくは、0.25〜0.60(体積比)である。
ガス流から分離した固体の酸化ケイ素粉末は、好ましくは、熱風又は水蒸気を含む空気により精製される。
二酸化ケイ素粉末を製造する上記高沸点留分の使用は、装置の観点から追加的な費用を伴わずに既存のクロロシラン統合プラント内で高沸点留分が処理され、価値のある生成物(焼成シリカ)を得ることが可能であることが分かった。この操作形態は、環境を汚染する廃棄物を生成しない。多結晶シリコンの製造を経済的に最適化する上記の利点以外に、化合物のより大きなエネルギー量のため、二酸化ケイ素の製造に使用される燃料の量が10%〜40%減ることが分かった。更に、金属やホウ素成分が特に低い二酸化ケイ素粉末がこの方法で製造される。
従って、本発明は、また、比表面積が5〜600m/g、pHが3.8〜4.5であり、ホウ素含有量が2ppm未満、好ましくは、1.5ppm未満、並びに鉄、ニッケル、クロム、銅、及び亜鉛の全含量が5ppm未満、好ましくは0.5ppm未満の微量な金属を含む焼成シリカを提供する。
二酸化ケイ素粉末中のホウ素含有量が4ppm未満と少ないと、多くの用途に有利である。そのようなシリカは、分散、特に半導体産業におけるケモメカニカル研磨に有利に使用できる。
本発明を下記実施例で説明する。実施例において、シリカの比表面積は、DIN66131、及び66132に基づいて窒素吸収によって決めた。pHの測定は、DIN/ISO 787/9に基づく方法を用いて4%濃度水性分散液で行われる。ホウ素含有量は、フッ化水素酸に酸化ケイ素粉末5gを分散して決めた。硝酸に分散混合物を混入後、得られた溶液のホウ素含有量をICP‐AES法(誘導結合プラズマ発光分光分析)によって決める。
本発明の実施例を以下に示す。
実施例1(比較例)
純粋な四塩化ケイ素を約160℃で気化し、空気と水素(比率0.1:0.5)をそれぞれ混合し、独国特許第2620737C2号明細書に記載のように反応器内で焼成し、最終的に分離した二酸化ケイ素を得た。
反応で、BET比表面積が199m/g、pHが4.13の二酸化ケイ素を得た。二酸化ケイ素粉末のホウ素含有量は2.2ppmであった。
実施例2
ケイ素析出から得たクロロシラン混合物(モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン及び0.5重量%未満の高沸点留分を含む)を蒸留塔で蒸留し、ケイ素析出に再利用するモノクロロシラン(MCS)、ジクロロシラン、及びトリクロロシランを分離する。底部留分は、四塩化ケイ素中に0.5重量%〜2重量%の高沸点留分を含む。
四塩化ケイ素の代わりに上記の底部留分を使用した以外は、実施例1に記載のように、この混合物を焼成シリカの製造に使用した。得られた二酸化ケイ素粉末は、BET比表面積が201m/g、pHが4.16であり、ホウ素含有量は1.5ppm未満であった。
実施例3
実施例2の底部留分を蒸留塔で蒸留し、約25重量%の高沸点留分を含むクロロシラン混合物を得た。このクロロシラン混合物は、実施例2と類似した方法で焼成シリカの製造に使用された。
得られた二酸化ケイ素粉末は、BET比表面積が198m/g、pHが4.15であり、ホウ素含有量は1ppm未満であった。
実施例4
実施例2の底部留分をガスクロマトグラフィーにより分析し、SiH化合物の含有量を算出した。これによりSiH基を完全に塩素化するために必要な塩素の量を求めた。この底部留分は、Si−H化合物をSi‐Cl化合物に変えるために、水銀灯の照射下でSi‐H1モル当り塩素1.1モルと反応させ、次に蒸留した。得られたこの底部留分は、約25%のSiCl、及びppm範囲でごく微量のSi‐H化合物を含んでいた。この底部留分を、実施例2に類似した方法で、二酸化ケイ素に変換した。得られた二酸化ケイ素粉末は、BET比表面積が204m/g、pHが4.11であり、ホウ素含有量は1.5ppm未満であった。

Claims (5)

  1. 焼成シリカの製造方法であって、
    クロロシラン及び水素からの多結晶シリコン析出時のオフガスが濃縮され、次に蒸留塔で分別され、前記蒸留塔の底部留分が、0.5重量%〜20重量%の高沸点クロロシラン及び99.5重量%〜80重量%の四塩化ケイ素を含む高沸点留分であり、前記高沸点留分が完全に蒸発し、前記クロロシラン蒸気がバーナーに供給され、炎の中で空気又は酸素及び水素と反応して焼成シリカを得ることを特徴とする焼成シリカの製造方法。
  2. 高沸点留分が気化して燃焼に移る前に、四塩化ケイ素を更に分離するために、前記高沸点留分が下流側の蒸留工程で再度蒸留される請求項1に記載の方法。
  3. 高沸点留分が気化して燃焼に移る前に、前記高沸点留分が塩素と反応する請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
  4. 塩素との反応が紫外線照射下で行われる請求項3に記載の方法。
  5. クロロシラン蒸気は、空気又は酸素含有ガス混合物に対して混合比0.06〜0.18(体積比)で存在し、且つ水素に対して混合比0.25〜0.60(体積比)で存在する請求項1から4のいずれかに記載の方法。
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