JP2006176357A - ヘキサクロロジシランの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来より生産性が高いヘキサクロロジシランの製造方法を提供する。
【解決手段】 シーメンス法による多結晶シリコンの製造工程で生じる排ガスを原料とし、蒸留操作の繰り返しプロセスによりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を分離抽出する。テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )の含有濃度がある程度以上に上昇したプロセス後半で、内部が加熱・加圧された活性炭充填塔4に中間蒸留物を通す。ヘキサクロロジシラン以外のクロロシラン類がヘキサクロロジシランに変成し、ヘキサクロロジシランの含有濃度が上昇する。
【選択図】 図1
【解決手段】 シーメンス法による多結晶シリコンの製造工程で生じる排ガスを原料とし、蒸留操作の繰り返しプロセスによりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を分離抽出する。テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )の含有濃度がある程度以上に上昇したプロセス後半で、内部が加熱・加圧された活性炭充填塔4に中間蒸留物を通す。ヘキサクロロジシラン以外のクロロシラン類がヘキサクロロジシランに変成し、ヘキサクロロジシランの含有濃度が上昇する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、シリコン製造原料としてのジシラン(Si2 H6 )の製造原料や同位体シリコン単結晶の製造原料などに使用されるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法に関する。
近年のエレクトロニクス技術の発達により、アモルファスシリコンなどの半導体用シリコンの需要が増加している。そのような中で、シリコン製造原料としてのジシラン(Si2 H6 )は、化学気相蒸着(CVD)によるシリコン膜の成膜速度がモノシラン(SiH4 )と比べて非常に大きく、電気特性も優れていることが知られている。
このジシラン(Si2 H6 )は、通常ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を原料として製造される。そして、このヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法としては、シリコンの粉末、或いはフェロシリコン、カルシウムシリコン、マグネシウムシリコンなどの金属珪化物の粉末と塩素を高温で反応させる方法が一般的である。
しかしながら、このヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法では、製造原料であるシリコンや金属珪化物から製品への不純物の混入が避けられない。また、反応時に生成される四塩化珪素やオクタクロロトリシランなどの高級塩化物の生成が、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の収率を低下させる問題もあった。
このような事情から、最近になって高純度のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を高収率で製造する方法の開発が進められており、その一つが特許文献1に記載された方法である。
特許文献1に記載されたヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法では、シーメンス法により高純度の多結晶シリコンを製造する際にシリコン生成反応炉から排出される排ガスから、蒸留操作の繰り返しによりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )が回収される。この方法によると、シリコン或いは金属珪化物と塩素との反応を用いた従来法により生成されるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )よりも金属不純物が少ない製品が得られる。そして、こうして製造されたヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )からジシラン(Si2 H6 )を製造すると、従来法で製造されたヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )からジシラン(Si2 H6 )を製造する場合と比べて、純度及び収率が上がることが確認されている。
一方、このヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )は、最近では同位体シリコン単結晶の製造原料としても注目を集めている。
すなわち、一般的に存在するシリコンでは、質量数が28のSi28が約92.2%、同29のSi29が約4.7%、同30のSi30が約3.1%の割合で存在している。このため、通常のシリコン原料を使用して製造されたシリコン単結晶や、そのシリコン単結晶を加工して製造された半導体デバイスでも、特殊な処理を行わない限りは、ほぼ同様の割合でSi28、Si29及びSi30が存在することになる。
ところが、質量数が28のSi28の存在割合を高めた同位体シリコン単結晶を使用すると、様々な物質の改質が可能になることが知られ始めた。その効果の一つが熱伝導率の向上である。熱伝導率が向上したシリコン単結晶を使用することにより、半導体デバイスの使用温度が低下し、動作速度の増大や歩留り向上が実現される。
このようなことから、Si28の存在割合を高めた同位体シリコン単結晶の注目度が増大しているわけである。そして、このような同位体シリコン単結晶の製造方法の一つとして、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を一次原料とする方法がある。
ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を一次原料とする同位体シリコン単結晶の製造方法では、まず一次原料であるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )をフッ化亜鉛(ZnF2 )などの金属フッ化物と反応させて、二次原料であるフッ化珪素(Si2 F6 )を生成させる。次いで、このフッ化珪素(Si2 F6 )を遠心分離法やレーザー分離法等により処理してSi28を濃縮させる。そのあと、Si28が濃縮したフッ化珪素(Si2 F6 )を直接シリコンにしたり、或いは四塩化珪素等のクロロシラン類にしてから、クロロシラン類の熱分解や水素還元により多結晶シリコンを生成させる。このようなシリコンから製造されたシリコン単結晶は、Si28の存在割合が高く、前述したように動作速度や歩留りの点で優れた半導体デバイスの製造を可能にする。
このように、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )は、従来からのジシラン(Si2 H6 )の製造原料としてだけでなく、同位体シリコン単結晶を製造する際の一次原料としても注目を集めている。このため、より生産性が高く、製造コストを低減できるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法が求められている。
本発明の目的は、従来より生産性が高いヘキサクロロジシランの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らはシーメンス法により高純度の多結晶シリコンを製造する際の排ガスから蒸留操作の繰り返しプロセスによりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を製造する方法を基礎とし、その収率を上げる方法について鋭意調査研究を行った。その結果、プロセスの途中において、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を含むクロロシラン類の中間蒸留物を活性炭層に通すならば、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の含有比率が上がり、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の生産性が向上することが判明した。
すなわち、シーメンス法による高純度多結晶シリコンの製造では、トリクロロシラン(SiHCl3 )及び水素(H2 )がシリコン生成反応炉に導入され、シリコンが生成する。その結果として、反応炉からは未反応物質及び各種の副生物を含むガスが排出される。この排ガスに含まれる主なクロロシラン類を沸点の低い順番に示すと、ジクロロシラン(SiH2 Cl2 )、トリクロロシラン(SiHCl3 )、四塩化珪素(SiCl4 )、ペンタクロロジシラン(Si2 HCl5 )、テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )、オクタクロロトリシラン(Si3 Cl8 )などである。
この排ガスから蒸留操作によりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を製造する場合、水素を分離除去した後のクロロシラン混合物に蒸留操作を繰り返し、沸点が低いクロロシラン類を順番に除去していくが、蒸留途中の混合物を活性炭層に通し、その際の温度及び圧力を調整することにより、ヘキサクロロジシラン以外のクロロシラン類がヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )へ効率的に変成し、混合物におけるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の含有濃度が上がることにより、製品であるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の生産量が増大するのである。
本発明のヘキサクロロジシランの製造方法は、かかる知見に基づいて開発されたものであり、テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )を含むクロロシラン類の混合物から蒸留操作によりテトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )を分離抽出するヘキサクロロジシランの製造方法であって、前記混合物を活性炭層に通過させる工程を含んでいる。
本発明のヘキサクロロジシランの製造方法においては、テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )を含むクロロシラン類の混合物を活性炭層に通過させることにより、テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )の含有濃度が上がる。このため、分離抽出法が同じであれば、製品であるテトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )の生産量が増大し、生産量が同じでよければ分離抽出法が簡略化され、いずれの場合も生産性の向上により生産コストが低減する。
活性炭による処理においては、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )への変成を促進するために加熱及び加圧が重要である。すなわち、各種クロロシラン類は活性炭中では不均化反応を起こす。この不均化反応において温度、圧力を調整すれば特定のクロロシラン類の組成を高めることが可能であり、今回特にヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の組成を高めることが可能な温度条件及び圧力条件についても見付け出すことに成功した。好ましい温度範囲は80〜200℃であり、好ましい圧力範囲は0.05〜0.5MPaGである。また、塩素又は塩酸若しくはその両方を前記混合物と共に活性炭層に通過させるのも好ましい操作である。
合理的な製法は、前記混合物から蒸留操作の繰り返しプロセスによりテトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )を分離抽出する際に、中間蒸留物を活性炭層に通す方法であり、テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )の含有濃度がある程度以上(好ましくは10重量%以上)に上昇したプロセス後半で中間蒸留物を活性炭層に通す方法が特に高効率で好ましい。
ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造原料としては、シーメンス法による多結晶シリコンの製造工程で生じる排ガスが純度確保及び経済性の点から好ましい。
本発明のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法は、テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )を含むクロロシラン類の混合物を活性炭層に通すことにより、テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )の含有濃度を上げ、これにより生産性を高め、製造コストを低減することができる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示すヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造フロー図である。
本実施形態では、シーメンス法による高純度多結晶シリコンの製造工程で生じる排ガスから蒸留操作の繰り返しによりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )が製造される。
具体的には、トリクロロシラン(SiHCl3 )及び水素(H2 )が原料ガスとしてシリコン生成反応炉1に導入される。反応炉1内では、多結晶シリコンからなるシードが通電により加熱されており、トリクロロシラン(SiHCl3 )の熱分解反応及び水素(H2 )による還元反応等によりシードの表面に多結晶シリコンが析出し、シードが成長することにより、高純度多結晶シリコンが製造される。
反応炉1内でのこのような反応の結果として、反応炉1からは未反応のトリクロロシラン(SiHCl3 )及び水素(H2 )を含み、且つクロロシラン系の各種副生物を含むガスが排出される。排ガスに含まれる主なクロロシラン類は、前述したとおり、沸点の低い順番にジクロロシラン(SiH2 Cl2 )、トリクロロシラン(SiHCl3 )、四塩化珪素(SiCl4 )、ペンタクロロジシラン(Si2 HCl5 )、テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )、オクタクロロトリシラン(Si3 Cl8 )などである。
反応炉1から排出される排ガスは、先ず図示されないコンデンサに送られる。ここでの冷却凝集(冷却温度は−30〜−40℃)により、排ガス中から沸点が相対的に低いクロロシラン類が液体として分離除去され、水素が取り出される。取り出された水素は反応炉1でのシリコン生成反応に再使用される。
排ガスから分離されたクロロシラン類の混合液は、先ず第1蒸留塔2に送られる。第1蒸留塔2は多段式蒸留塔である。ここでは、クロロシラン類のなかの比較的低沸点のジクロロシラン(SiH2 Cl2 )及びトリクロロシラン(SiHCl3 )が蒸留操作により精製分離される。分離されたジクロロシラン(SiH2 Cl2 )及びトリクロロシラン(SiHCl3 )は、冷却凝集の後、反応炉1でのシリコン生成反応に再使用される。
残った比較的高沸点のクロロシラン類の混合液は、第2蒸留塔3へ送られる。第2蒸留塔3も多段式蒸留塔である。ここでは、導入されたクロロシラン類のなかで比較的低沸点の四塩化珪素(SiCl4 )が精製分離されて塔頂部から取り出される。取り出された四塩化珪素(SiCl4 )は、冷却凝集の後、トリクロロシラン(SiHCl3 )の生成原料として再利用される。
通常はこれで蒸留操作を終えるが、本実施形態では、第2蒸留塔3の塔底部に残った比較的高沸点のクロロシラン類の混合液のなかからヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を分離抽出するために、その混合液が活性炭充填塔4を経て第3蒸留塔5へ送られる。
活性炭充填塔4は、内部に活性炭が充填されており、且つその内部が加圧・加熱されている。ここに導入されるクロロシラン類は、残余の四塩化珪素(SiCl4 )の他、ペンタクロロジシラン(Si2 HCl5 )、テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )、オクタクロロトリシラン(Si3 Cl8 )などである。このクロロシラン類の混合液は、活性炭充填塔4内でガス化して活性炭層を通過することにより、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の含有濃度が上がる。
活性炭による処理では前述したとおり温度及び圧力が重要である。活性炭充填塔4の塔内温度は80〜200℃の範囲内が好ましく、100〜160℃の範囲内が特に好ましい。また、塔内圧力は0.05〜0.5MPaGの範囲内が好ましい。塔内の温度や圧力が低すぎると、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )への変成反応が進行しにくく、生産性が十分に上がらない。逆に、塔内の温度や圧力が高すぎると、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )以外のクロロシラン変成量が多くなり、相対的にヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の濃度上昇が阻害される。この点において、活性炭による処理での温度及び圧力は重要である。
第3蒸留塔5は、第1蒸留塔2及び第2蒸留塔3と同様、多段式蒸留塔である。ここには、活性炭充填塔4から排出されるガスが冷却凝縮されて導入される。すなわち、第2蒸留塔3の塔底部に残った比較的高沸点で、且つ活性炭層通過によりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の含有濃度が上がったクロロシラン類の混合液が導入される。そして、塔頂部からは、残余の四塩化珪素(SiCl4 )を含むペンタクロロジシラン(Si2 HCl5 )及びテトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )が取り出される。中段部からは、テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )に次いで沸点が高いヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )が取り出される。更に沸点が高いオクタクロロトリシラン(Si3 Cl8 )及びその他の高沸点物は塔底部に残る。
こうして、製品であるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )が分離抽出される。製品純度を高めるために、必要に応じて蒸留操作が更に繰り返される。なお、各蒸留塔では、精製度を高めるために、各塔頂部で精製物質が所定の比率で還流される。抽出量に対する還流量の割合は還流比と呼ばれている。
こうして製造されるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )は、シリコンの粉末、或いはフェロシリコン、カルシウムシリコン、マグネシウムシリコンなどの金属珪化物の粉末と塩素を高温で反応させる旧来法で製造したヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )と比べて、金属不純物量が少なく、生産コストも安価である。その上、活性炭充填塔4でヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の含有濃度を高めたために、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の生産量が増大し、生産コストが一層安価となる。
本発明の実施効果を検証するために、上記方法で実際にヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を製造し、その際に活性炭充填塔4の入口及び出口でクロロシラン類の組成を調査した。第1蒸留塔2での蒸留操作条件は理論段30、還流比8とした。第2蒸留塔3での蒸留操作条件は理論段10、還流比5とした。活性炭充填塔4での処理条件は温度120℃、圧力0.4MPaG、混合液の供給量1m3 /hrとした。第3蒸留塔5での蒸留操作条件は理論段40、還流比20とした。純度を上げるために、第3蒸留塔5と同じ条件で更に1回蒸留操作を実施した。
活性炭充填塔4へ供給する混合液の組成をガスクロマトグラフィにより測定した。測定結果を表1に示す。また、活性炭充填塔4から排出されるガスを冷却凝縮して得たクロロシラン類の混合液、すなわち第3蒸留塔5へ供給する混合液の組成をガスクロマトグラフィにより測定した結果を表2に示す。
表1及び表2から分かるように、活性炭充填塔4に導入される混合液中のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の濃度は18重量%であるが、活性炭充填塔4から排出される混合液においては、これが25重量%に増加している。すなわち、活性炭層の通過によりヘキサクロロジシラン量が約1.4倍に増加した。同時に、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )より低沸点のペンタクロロジシラン(Si2 HCl5 )及びテトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )の各濃度が下がり、高沸点のオクタクロロトリシラン(Si3 Cl8 )の濃度が若干上昇している。
この結果、活性炭充填塔4で処理したクロロシラン類の混合液を蒸留し、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を回収すれば、従来より効率よくヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を生産することが可能になる。すなわち、従来は第2蒸留塔3により抽出された蒸留混合液1トンに対して何回も蒸留操作を繰り返し、仮に極限までヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を濃縮しても、得られるヘキサクロロジシラン量は最大で180kgであるが、活性炭充填塔4で処理することにより、この量は最大で250kgに増加する。これにより、本例では生産量が約40%増加する。また生産量が従来のままの180kgでよければ、蒸留プロセスが簡略化され、いずれの場合も生産コストが低減する。
実施例1の条件でヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を生産する際、活性炭充填塔4へクロロシラン液(1m3 /hr)と共に塩素ガス(20m3 /hr)を供給した。活性炭充填塔4から排出されるガスを冷却凝縮して得たクロロシラン液の組成をガスクロマトグラフィにより測定した結果を表3に示す。塩素ガスの添加によりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の生産性が更に上がる。
実施例1の条件でヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を生産する際、活性炭充填塔4へクロロシラン液(1m3 /hr)と共に塩酸ガス(15m3 /hr)を供給した。活性炭充填塔4から排出されるガスを冷却凝縮して得たクロロシラン液の組成をガスクロマトグラフィにより測定した結果を表4に示す。塩酸ガスの添加は塩素ガスの添加より更に効果的である。
実施例1の条件でヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を生産する際、活性炭充填塔4へクロロシラン液(1m3 /hr)と共に塩素ガス(10m3 /hr)及び塩酸ガス(8m3 /hr)を供給した。活性炭充填塔4から排出されるガスを冷却凝縮して得たクロロシラン液の組成をガスクロマトグラフィにより測定した結果を表5に示す。塩素ガスと塩酸ガスを混合して添加する操作も効果的であり、この例では従来の約2倍のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の生産が可能である。
塩素ガスや塩酸ガスの添加がヘキサクロロジシラン濃度の上昇に有効な理由としては、先の活性炭中において塩素ガスや塩酸ガスはクロロシラン類の不均化反応における触媒的な作用を果たすことが考えられる。
塩素ガスや塩酸ガスの好ましい添加量は、液中のクロロシラン類の合計モル数をA、塩素(塩酸)ガスの合計モル数をBとして、A/B=10〜20の範囲内である。すなわち、塩素ガスや塩酸ガスは触媒的な物質であるため、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を増加させる反応を促進するだけの最小量は添加しなければならない。しかし、必要以上に添加すると反応後においてクロロシラン類との分離にコストがかかるようになる。両方の条件を満足するのがA/B=10〜20の範囲内である。
1 シリコン生成反応炉
2,3,5 蒸留塔
4 活性炭充填塔
2,3,5 蒸留塔
4 活性炭充填塔
Claims (5)
- テトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )を含むクロロシラン類の混合物から蒸留操作によりテトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )を分離抽出するヘキサクロロジシランの製造方法であって、前記混合物を活性炭層に通過させる工程を含むことを特徴とするヘキサクロロジシランの製造方法。
- 前記混合物を活性炭層に通過させる際の温度を80〜200℃、圧力を0.05〜0.5MPaGとする請求項1に記載のヘキサクロロジシランの製造方法。
- 前記混合物を塩素又は塩酸若しくはその両方と共に活性炭層に通過させる請求項1に記載のヘキサクロロジシランの製造方法。
- 前記混合物から蒸留操作の繰り返しプロセスによりテトラクロロジシラン(Si2 H2 Cl4 )を分離抽出する際に、前記繰り返しプロセスの後半で中間蒸留物を活性炭層に通す請求項1に記載のヘキサクロロジシランの製造方法。
- シーメンス法による多結晶シリコンの製造工程で生じる排ガスを製造原料とする請求項1に記載のヘキサクロロジシランの製造方法。
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