JP2006169012A - ヘキサクロロジシラン及びその製造方法 - Google Patents

ヘキサクロロジシラン及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 フッ化珪素(Si2 6 )を製造する場合の歩留りを高めることが可能なヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を製造する。
【解決手段】 シーメンス法により高純度の多結晶シリコンを製造する際の排ガスから蒸留によりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を製造する。蒸留に多段式蒸留塔を用い、最終蒸留での塔頂比を大きくすることにより、 製造されるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )中のテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の含有濃度を2000重量ppm以下、好ましくは1000重量ppm以下に低下させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シリコン製造原料としてのジシラン(Si2 6 )の製造原料や同位体シリコン単結晶の製造原料などに使用されるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )及びその製造方法に関する。
近年のエレクトロニクス技術の発達により、アモルファスシリコンなどの半導体用シリコンの需要が増加している。そのような中で、シリコン製造原料としてのジシラン(Si2 6 )は、化学気相蒸着(CVD)によるシリコン膜の成膜速度がモノシラン(SiH4 )と比べて非常に大きく、電気特性も優れていることが知られている。
このジシラン(Si2 6 )は、通常ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を原料として製造される。そして、このヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法としては、シリコンの粉末、或いはフェロシリコン、カルシウムシリコン、マグネシウムシリコンなどの金属珪化物の粉末と塩素を高温で反応させる方法が一般的である。
しかしながら、このヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法では、製造原料であるシリコンや金属珪化物から製品への不純物の混入が避けられない。また、反応時に生成される四塩化珪素やオクタクロロトリシランなどの高級塩化物の生成が、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の収率を低下させる問題もあった。
このような事情から、最近になって高純度のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を高収率で製造する方法の開発が進められており、その一つが特許文献1に記載された方法である。
国際公開第02/12122号パンフレット
特許文献1に記載されたヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法では、シーメンス法により高純度の多結晶シリコンを製造する際にシリコン生成反応炉から排出される排ガスから蒸留によりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )が回収される。この方法によると、シリコン或いは金属珪化物と塩素との反応を用いた従来法により生成されるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )よりも金属不純物が少ない製品が得られる。そして、こうして製造されたヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )からジシラン(Si2 6 )を製造すると、従来法で製造されたヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )からジシラン(Si2 6 )を製造する場合と比べて、純度及び収率が上がることが確認されている。
すなわち、特許文献1に記載されたヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法は、ジシラン(Si2 6 )の製造原料として使用されるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を製造する場合は有効である。
一方、このヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )は、最近では同位体シリコン単結晶の製造原料としても注目を集めている。
すなわち、一般的に存在するシリコンでは、質量数が28のSi28が約92.2%、同29のSi29が約4.7%、同30のSi30が約3.1%の割合で存在している。このため、通常のシリコン原料を使用して製造されたシリコン単結晶や、そのシリコン単結晶を加工して製造された半導体デバイスでも、特殊な処理を行わない限りは、ほぼ同様の割合でSi28、Si29及びSi30が存在することになる。
ところが、質量数が28のSi28の存在割合を高めた同位体シリコン単結晶を使用すると、様々な物質の改質が可能になることが知られ始めた。その効果の一つが熱伝導率の向上である。熱伝導率が向上したシリコン単結晶を使用することにより、半導体デバイスの使用温度が低下し、動作速度の増大や歩留り向上が実現される。
このようなことから、Si28の存在割合を高めた同位体シリコン単結晶の注目度が増大しているわけである。そして、このような同位体シリコン単結晶の製造方法の一つとして、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を一次原料とする方法がある。
ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を一次原料とする同位体シリコン単結晶の製造方法では、まず一次原料であるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )をフッ化亜鉛(ZnF2 )などの金属フッ化物と反応させて、二次原料であるフッ化珪素(Si2 6 )を生成させる。次いで、このフッ化珪素(Si2 6 )を遠心分離法やレーザー分離法等により処理してSi28を濃縮させる。そのあと、Si28が濃縮したフッ化珪素(Si2 6 )を直接シリコンにしたり、或いは四塩化珪素等のクロロシラン類にしてから、クロロシラン類の熱分解や水素還元により多結晶シリコンを生成させる。このようなシリコンから製造されたシリコン単結晶は、Si28の存在割合が高く、前述したように動作速度や歩留りの点で優れた半導体デバイスの製造を可能にする。
このような同位体シリコン単結晶の製造方法では、製品である同位体シリコン単結晶の歩留りを向上させることが重要である。同位体シリコン単結晶の歩留りを向上させるためには、二次原料であるフッ化珪素(Si2 6 )の製造歩留りを高める必要がある。そして、フッ化珪素(Si2 6 )の製造歩留りを高めるためには、一次原料であるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の純度を向上させる必要がある。
しかしながら、前述した特許文献1に記載のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法では、その製品中の金属不純物量を低減できるものの、その製品を使用してフッ化珪素(Si2 6 )を製造した場合、製造歩留りを高めるには不十分であることが判明した。
本発明の目的は、フッ化珪素(Si2 6 )を製造した場合の歩留りを高めることが可能なヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らはシーメンス法により高純度の多結晶シリコンを製造する際の排ガスから蒸留によりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を製造する方法に着目し、鋭意調査研究の結果、製品中の不純物であるテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の濃度が、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )からフッ化珪素(Si2 6 )を製造する場合の歩留りの重要因子であることを突き止めた。
すなわち、シーメンス法による高純度多結晶シリコンの製造では、トリクロロシラン(SiHCl3 )及び水素(H2 )がシリコン生成反応炉に導入され、シリコンが生成する。その結果として、反応炉からは未反応物質及び各種の副生物を含むガスが排出される。この排ガスに含まれる主なクロロシラン類を沸点の低い順番に示すと、ジクロロシラン(SiH2 Cl2 )、トリクロロシラン(SiHCl3 )、四塩化珪素(SiCl4 )、ペンタクロロジシラン(Si2 HCl5 )、テトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )、オクタクロロトリシラン(Si3 Cl8 )などである。
ここで、ジクロロシラン(SiH2 Cl2 )はトリクロロシラン(SiHCl3 )に容易に転化させることができ、トリクロロシラン(SiHCl3 )と共にシリコン生成原料として再利用される。四塩化珪素(SiCl4 )もトリクロロシラン(SiHCl3 )の生成原料として再利用される。このため、シリコン生成反応炉から排出される排ガスが、冷却凝集による水素除去処理の後、蒸留処理により精製され、これらの有用物質が分離抽出される。
具体的には、予備蒸留操作で比較的沸点が低いジクロロシラン(SiH2 Cl2 )及びトリクロロシラン(SiHCl3 )が分離される。次いで、本蒸留操作で四塩化珪素(SiCl4 )が分離される。残った高沸点のクロロシラン類に2回目の蒸留操作を行い、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を分離回収する。これが特許文献1に記載されたヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法である。
本発明者らは、以前よりシーメンス法による高純度多結晶シリコンの製造工程で生じる排ガスの蒸留技術について研究を続けており、今回、排ガスから蒸留分離されるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を、フッ化珪素(Si2 6 )の製造原料に使用したときの現象について鋭意調査解析を行った。その結果、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )中の不純物でありこれまで問題視されることのなかったテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )がフッ化珪素(Si2 6 )の製造歩留りに重大な悪影響を与えていることを突き止めた。
本発明のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )及びその製造方法は、かかる知見に基づいて開発されたものであり、そのヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )はテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の含有濃度を2000重量ppm以下、好ましくは1000重量ppm以下に制限したものである。
また、本発明のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法は、蒸留操作によりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )中のテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )を2000重量ppm以下、好ましくは1000重量ppm以下に低下させるものである。
ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )は、シーメンス法による多結晶シリコンの製造工程で生じる排ガスから製造するのが、純度確保及び経済性の点から好ましい。
製造方法を問わず、製造されたヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )はクロロシラン系の不純物を不可避的に含む。その不純物としてテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )がある。この不純物はこれまで問題視されることがなかったが、同位体シリコン単結晶をヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )からフッ化珪素(Si2 6 )を経て製造する場合にあっては、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )からフッ化珪素(Si2 6 )を製造する際の歩留りに対して、その含有濃度から想定される以上の重大な悪影響を与えることが判明し、これを減らすことにより、その製造歩留りを劇的に向上させ得ることが明らかになった。
ちなみに、シーメンス法による多結晶シリコンの製造工程で生じる排ガスから蒸留操作によりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を製造する場合、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )中のテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の通常濃度は5000重量ppm以上である。このテトラクロロジシラン濃度を低下させるためには、例えばテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )を分離抽出するための蒸留操作において、多段式蒸留塔を使用し、ここでの塔頂還流比を大きくすればよい。このように簡単にテトラクロロジシラン濃度を低下できることが、蒸留操作を用いることの利点でもある。
テトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )以外の不純物については、テトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )ほどではないにしろ、不純物濃度が同位体シリコン単結晶の製造歩留りに影響を与えることは事実であるので、少ないほどよく、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の純度で表して99重量%以上が好ましく、99.5重量%以上が特に好ましい。
本発明のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )は、クロロシラン系の不純物であるテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の含有濃度が2000重量ppm以下、好ましくは1000重量ppm以下に制限されていることにより、これを使用してフッ化珪素(Si2 6 )を製造した場合の歩留りを高めることができ、ひいてはフッ化珪素(Si2 6 )から同位体シリコン単結晶を製造する場合の歩留りを向上させることができる。
また、本発明のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法は、蒸留操作によりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )中のテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の濃度を2000重量ppm以下、好ましくは1000重量ppm以下に低下させることにより、フッ化珪素(Si2 6 )の製造に適したヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を簡単かつ経済的に製造でき、これによりフッ化珪素(Si2 6 )の製造コスト、ひいては同位体シリコン単結晶の製造コストを効果的に低減することができる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示すヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造フロー図である。
本実施形態では、シーメンス法による高純度多結晶シリコンの製造工程で生じる排ガスから蒸留操作によりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )が製造される。具体的には、トリクロロシラン(SiHCl3 )及び水素(H2 )が原料ガスとしてシリコン生成反応炉1に導入される。反応炉1内では、多結晶シリコンからなるシードが通電により加熱されており、トリクロロシラン(SiHCl3 )の熱分解反応及び水素(H2 )による還元反応等によりシードの表面に多結晶シリコンが析出し、シードが成長することにより、高純度多結晶シリコンの製造が行われる。
反応炉1内でのこのような反応の結果として、反応炉1からは未反応のトリクロロシラン(SiHCl3 )及び水素(H2 )を含み、且つクロロシラン系の各種副生物を含むガスが排出される。排ガスに含まれる主なクロロシラン類は、前述したとおり、沸点の低い順番にジクロロシラン(SiH2 Cl2 )、トリクロロシラン(SiHCl3 )、四塩化珪素(SiCl4 )、ペンタクロロジシラン(Si2 HCl5 )、テトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )、オクタクロロトリシラン(Si3 Cl8 )などである。
反応炉1から排出される排ガスは、先ず図示されないコンデンサに送られる。ここでの冷却凝集により、排ガス中から沸点が相対的に低いクロロシラン類が分離除去され、水素が取り出される。取り出された水素は反応炉1でのシリコン生成反応に再使用される。
排ガスから分離されたクロロシラン類は、先ず予備蒸留塔2に送られる。予備蒸留塔2では、クロロシラン類のなかの比較的低沸点のジクロロシラン(SiH2 Cl2 )及びトリクロロシラン(SiHCl3 )が蒸留操作により精製分離される。分離されたジクロロシラン(SiH2 Cl2 )及びトリクロロシラン(SiHCl3 )は、反応炉1でのシリコン生成反応に再使用される。
残った比較的高沸点のクロロシラン類は、1段目の本蒸留塔3へ送られる。1段目の本蒸留塔3は多段式蒸留塔である。ここでは、導入されたクロロシラン類のなかで比較的低沸点の四塩化珪素(SiCl4 )が精製分離されて塔頂部から取り出される。取り出された四塩化珪素(SiCl4 )は、トリクロロシラン(SiHCl3 )の生成原料として再利用される。
通常はこれで蒸留操作を終えるが、本実施形態では、本蒸留塔3の塔底部に残った比較的高沸点のクロロシラン類のなかからヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を分離抽出するために、そのクロロシラン類が2段目の本蒸留塔4へ送られる。
2段目の本蒸留塔4は、1段目の本蒸留塔3と同様、多段式蒸留塔である。ここには、本蒸留塔3の塔底部に残った比較的高沸点のクロロシラン類が導入され、塔頂部からは、四塩化珪素(SiCl4 )を微量含むペンタクロロジシラン(Si2 HCl5 )及びテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )が取り出される。また、中段部からは、テトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )に次いで沸点が高いヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )が取り出され、更に沸点が高いオクタクロロトリシラン(Si3 Cl8 )及びその他の高沸点物は塔底部に残る。
こうして、製品であるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )が分離抽出される。2段目の本蒸留塔4での精製度を高めるために、その塔頂部では所定の比率で精製物質が還流される。抽出量に対する還流量の割合は還流比と呼ばれている。1段目の本蒸留塔3でも同様に塔頂還流が行われている。
こうして製造されるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )は、シリコンの粉末、或いはフェロシリコン、カルシウムシリコン、マグネシウムシリコンなどの金属珪化物の粉末と塩素を高温で反応させる旧来法で製造したヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )と比べて、金属不純物量が少なく、製造コストも安価である。しかし、これを原料として、同位体シリコン単結晶を製造するためのフッ化珪素(Si2 6 )を製造した場合、歩留りを十分に高めることまではできない。
そこで本実施形態では、テトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )を分離抽出するたの最終蒸留工程である2段目の本蒸留塔4における蒸留操作により、当該蒸留塔から取り出されるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )中のテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の濃度を2000重量ppm以下、好ましくは1000重量ppm以下に低下させる。具体的には、この操作は、2段目の本蒸留塔4における還流比を大きくすることにより実行される。この簡単な操作で塔頂部からのテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の除去率が上がる。その結果、中段部から取り出されるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )中のテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の含有濃度が低下し、これを使用してフッ化珪素(Si2 6 )を製造する場合の歩留りを顕著に向上させることが可能となる。
本発明の実施効果を検証するために、2段目の本蒸留塔4における還流比を様々に変更した。このときのヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )中のテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の含有濃度を測定した。還流比と含有濃度との関係を表1に示す。1段目の本蒸留塔3における還流比は10(一定)とした。2段目の本蒸留塔4における還流比は基準値に対する倍率で表した。製造された各ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )に同一量のフッ化亜鉛(ZnF2 )を反応させて、フッ化珪素(Si2 6 )を製造した。製造歩留りの指標として、未反応のヘキサクロロジシラン量を調査した。すなわち、未反応のヘキサクロロジシラン量が少ないほど歩留りが高いことを意味する。その調査結果を表2に示す。未反応のヘキサクロロジシラン量は、還流比が基準値の条件で製造したヘキサクロロジシランを用いたときを1とする相対的な比率で表した。
Figure 2006169012
Figure 2006169012
表1及び表2から分かるように、2段目の本蒸留塔4における還流比を大きくするに従って、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )中のテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の含有濃度が低下する。そして、テトラクロロジシラン濃度の低いヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を使用する程、フッ化珪素(Si2 6 )の製造歩留りが向上する。ここにおける歩留り向上効果は、テトラクロロジシラン濃度から予測される以上の非常に顕著なものである。すなわち、ヘキサクロロジシラン中のテトラクロロジシラン濃度が18000重量ppm(1.8重量%)から2000重量ppm(0.2重量%)へ1.6重量%減少するだけで、未反応ヘキサクロロジシラン量は約1/3に激減し、18000重量ppm(1.8重量%)から950重量ppm(0.095重量%)へ約1.7重量%減少すれば1/10の大幅減少となる。
本発明の一実施形態を示すヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造フロー図である。
符号の説明
1 シリコン生成反応炉
2 予備蒸留塔
3,4 本蒸留塔

Claims (4)

  1. テトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の含有濃度が2000重量ppm以下であるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )。
  2. フッ化珪素(Si2 6 )の製造原料である請求項1に記載のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )。
  3. ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を分離抽出するための蒸留操作により、ヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )中のテトラクロロジシラン(Si2 2 Cl4 )の濃度を2000重量ppm以下に低下させるヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法。
  4. シーメンス法による多結晶シリコンの製造工程で生じる排ガスから、蒸留操作によりヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )を製造する請求項3に記載のヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 )の製造方法。
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