JP5314515B2 - 空気入りタイヤに作用する力の推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、サイドウォール部におけるタイヤ歪を歪センサにより測定することにより、タイヤに作用する作用力を推定する推定方法に関する。
近年、タイヤのサイドウォール部にn個の歪センサをタイヤ周方向の異なる位置に取り付け、所定のタイヤ回転角度位置Qにてタイヤ歪を同時に測定するとともに、これによって得たn個の同時のセンサ出力V1〜Vnによって、タイヤに作用する前後力Fx、横力Fy、上下力Fzをそれぞれ推定する技術が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
ここで、各歪センサが計測するタイヤ歪εは、前後力Fxによる歪みεxと、横力Fyによる歪みεyと、上下力Fzによる歪みεzとの和(ε=εx+εy+εz)としてしか測定されない。しかし、異なる周方向位置においては、前後力Fxとその歪みεxとの関係、横力Fyとその歪みεyとの関係、及び上下力Fzとその歪みεzとの関係が、周方向の位置毎に、それぞれ異なって現れるという特性を有する。従ってこの特性の差を利用し、異なる周方向位置で同時に測定したn個のセンサ出力V1〜Vnを用いることにより、そのとき作用した作用力Fx、Fy、Fzをそれぞれ分離させて推定することが可能となる。
特開2005−126008号公報
しかしながら実際には、作用力Fx、Fy、Fzがタイヤ歪みεに及ぼす影響が、周方向の位置毎に異なるとはいえ、その差はそれほど大きくなくかつ不明瞭である。そのため、測定したタイヤ歪εから作用力Fx、Fy、Fzをそれぞれ高精度で分離させて推定することは難しく、推定精度を十分に高めることができなかった。
本発明は、測定したタイヤ歪εから作用力をそれぞれ高精度で分離させて推定することができ、推定精度を高めうる空気入りタイヤに作用する力の推定方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、タイヤのサイドウォール部におけるタイヤ歪を測定する歪センサのセンサ出力により、タイヤに作用する前後力Fxと上下力Fzとを推定する推定方法であって、
タイヤのサイドウォール部に、周方向に互いに間隔を隔てて取り付きかつサイドウォール部におけるタイヤ歪を測定する3個以上のn個の歪センサと、
タイヤの回転角度位置を検出するタイヤ角度センサとを用いるとともに、
所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて、各前記歪センサによってタイヤ歪を同時に測定することによりn個のセンサ出力V1、V2、・・・Vnをうる歪測定ステップと、
前記n個のセンサ出力V1、V2、・・・Vnを、下記の推定式(1)、(2)に代入することにより前後力Fxと上下力Fzとの推定値を求める演算ステップとを含むとともに、
Fx=f(Px(v)) ---推定式(1)
Fz=f(Pz(v)) ---推定式(2)
前記推定式(1)、(2)中のPx(v)、Pz(v)は、それぞれ前記センサ出力V1、V2、・・・Vnを用いた合成変数であって、
しかも前記合成変数Px(v)、Pz(v)は、前後力Fxと上下力Fzとをそれぞれ違えたタイヤ荷重負荷試験を事前に行い、
(ア) このタイヤ荷重負荷試験にて負荷した荷重Fx、Fzと、そのとき前記所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて各歪みセンサが計測したセンサ出力V1、V2、・・・Vnとを変数とした複数の標本データDを求め、
(イ) 前記標本データDに対して主成分分析を行い、各変数Fx、Fz、V1、V2、・・・Vnにおける第1から第k(k≧2)主成分までの因子負荷量を得るとともに、
(ウ) このうちの第1主成分と第2主成分とを基準軸とした座標系において、変数Fx、Fz、V1、V2、・・・Vnの因子負荷量の散布図を求め、
(エ) 前記散布図において、ベクトルFzと直交する直交ベクトルFx’、及びベクトルFxと直交する直交ベクトルFz’を、それぞれベクトルV1、V2、・・・Vnから選択される少なくとも2つの選択ベクトルを用いて合成するとともに、この合成した直交ベクトルFx’を前記合成変数Px(v)とし、かつ直交ベクトルFz’を前記合成変数Pz(v)としたことを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記推定式(1)、(2)は、それぞれ合成変数Px(v)、Pz(v)の二次式で示されることを特徴としている。
Fx=A1・Px(v)+A2・Px(v)+A3 ---推定式(1A)
Fz=B1・Pz(v)+B2・Pz(v)+B3 ---推定式(2A)
又請求項3の発明では、前記推定式(1)、(2)は、それぞれ合成変数Px(v)、Pz(v)の一次式で示されることを特徴としている。
Fx=A2・Px(v)+A3 ---推定式(1B)
Fz=B2・Pz(v)+B3 ---推定式(2B)
又請求項4の発明では、前記選択ベクトルは、ベクトルV1、V2、・・・Vnから選択される2つベクトルからなることを特徴としている。
又請求項5の発明は、タイヤのサイドウォール部におけるタイヤ歪を測定する歪センサのセンサ出力により、タイヤに作用する前後力Fx、横力Fy、上下荷重Fz、オーバーターニングモーメントMx、転がり抵抗モーメントMy、セルフアライニングトルクMzから選択される3つ以上の作用力F1、F2、・・・Fi(i=3〜6)を推定する推定方法であって、
タイヤのサイドウォール部に、周方向に互いに間隔を隔てて取り付きかつサイドウォール部におけるタイヤ歪を測定する3個以上のn個の歪センサと、
タイヤの回転角度位置を検出するタイヤ角度センサとを用いるとともに、
所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて、各前記歪センサによってタイヤ歪を同時に測定することによりn個のセンサ出力V1、V2、・・・Vnをうる歪測定ステップと、
前記n個のセンサ出力V1、V2、・・・Vnを、下記の推定式(1)〜(i)に代入することにより前記作用力F1、F2、・・・Fiの推定値を求める演算ステップとを含むとともに、
F1=f(P1(v)) ---推定式(1)
F2=f(P2(v)) ---推定式(2)

Fi=f(Pi(v)) ---推定式(i)
前記推定式(1)〜(i)中のP1(v)、P2(v)、・・・Pi(v)は、前記センサ出力V1、V2、・・・Vnを用いた合成変数であって、
しかも前記合成変数P1(v)、P2(v)、・・・Pi(v)は、前記作用力F1、F2、・・・Fiをそれぞれ違えたタイヤ荷重負荷試験を事前に行い、
(ア) このタイヤ荷重負荷試験にて負荷した荷重F1、F2、・・・Fiと、そのとき前記所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて各歪みセンサが計測したセンサ出力V1、V2、・・・Vnとを変数とした複数の標本データDを求め、
(イ) 前記標本データDに対して主成分分析を行い、各変数F1、F2、・・・Fi、V1、V2、・・・Vnにおける第1から第k(k≧i)主成分までの因子負荷量を得るとともに、
(ウ) このうちの第1主成分、第2主成分、・・・第i主成分を基準軸とした座標系において、変数F1、F2、・・・Fi、V1、V2、・・・Vnの因子負荷量の散布図を求め、
(エ) 前記散布図において、
ベクトルF1、F2、・・・Fiのうちで、ベクトルF1以外の各ベクトルに直交する直交ベクトルF1’、ベクトルF2以外の各ベクトルに直交する直交ベクトルF2’、・・・ベクトルFi以外の各ベクトルに直交する直交ベクトルFi’を、それぞれベクトルV1、V2、・・・Vnから選択される少なくともi個の選択ベクトルを用いて合成するとともに、
この合成した直交ベクトルF1’、F2’、・・・Fi’を前記合成変数P1(v)、P2(v)、・・・Pi(v)としたことを特徴としている。
本願第1の発明では、横力Fyが作用しない直進走行状態において、所定のタイヤ回転角度位置Qかつ、周方向の異なる複数(n)位置で、タイヤ歪を同時に測定する。そして、そのときのn個のセンサ出力V1、V2、・・・Vnを、予め設定した推定式に代入することにより前後力Fxと上下力Fzとをそれぞれ推定する。
このとき、前後力Fxの推定式(1)を、上下力Fzとは完全に独立した、即ち上下力Fzに影響されない合成変数Px(v)の関数として設定し、又上下力Fzの推定式(2)を、前後力Fxとは完全に独立した、即ち前後力Fxに影響されない合成変数Pz(v)の関数として設定することに特徴がある。
Fx=f(Px(v)) ---推定式(1)
Fz=f(Pz(v)) ---推定式(2)
具体的には、事前のタイヤ荷重負荷試験により、荷重Fx、Fzと、センサ出力V1、V2、・・・Vnとを変数とした複数の標本データDを求め、それを主成分分析することにより、各変数Fx、Fz、V1、V2、・・・Vnにおける第1から第k(k≧2)主成分までの因子負荷量を得るとともに、このうちの第1主成分と第2主成分とを基準軸とした座標系において、変数Fx、Fz、V1、V2、・・・Vnの因子負荷量の散布図を求める。
そして、前記散布図において、ベクトルFzと直交する直交ベクトルFx’、及びベクトルFxと直交する直交ベクトルFz’を、それぞれベクトルV1、V2、・・・Vnから選択される少なくとも2つの選択ベクトルを用いて合成するとともに、この合成した直交ベクトルFx’を前記合成変数Px(v)とし、かつ直交ベクトルFz’を前記合成変数Pz(v)とする。
このように、上下力Fzに影響されない合成変数Px(v)を用いて前後力Fxの推定式を設定しているため、前後力Fxの推定精度を高めることができる。又上下力Fzの推定式では、前後力Fxに影響されない合成変数Pz(v)を用いているため、上下力Fzの推定精度を高めることができる。
本願第2の発明では、前後力Fx、横力Fy、上下荷重Fz、オーバーターニングモーメントMx、転がり抵抗モーメントMy、セルフアライニングトルクMzから選択される3つ以上の作用力F1、F2、・・・Fi(i=3〜6)を推定する方法であって、作用力F1の推定式を、この作用力F1以外の作用力に影響されない合成変数P1(v)の関数として設定し、又作用力F2の推定式を、この作用力F2以外の作用力に影響されない合成変数P2(v)の関数として設定し、又作用力Fiの推定式を、この作用力Fi以外の作用力に影響されない合成変数Pi(v)の関数として設定することに特徴がある。
F1=f(P1(v)) ---推定式(1)
F2=f(P2(v)) ---推定式(2)

Fi=f(Pi(v)) ---推定式(i)
従って、本願第2の発明では、前後力Fx、横力Fy、上下荷重Fz、オーバーターニングモーメントMx、転がり抵抗モーメントMy、セルフアライニングトルクMzから選択される3つ以上の作用力F1、F2、・・・Fi(i=3〜6)の推定精度を高めることができる。
本発明のタイヤに作用する力の推定方法に用いる空気入りタイヤを示す断面図である。 (A)、(B)は、歪みセンサの一実施例を示す平面図及び斜視図である。 歪みセンサの配置位置を説明する略図である。 第1主成分と第2主成分とを基準軸とした変数の因子負荷量の散布図である。 (A)、(B)は、選択ベクトルによる、直交ベクトルFx’、Fz’の合成を例示する説明図である。 第1主成分、第2主成分、第3主成分を基準軸とした変数の因子負荷量の散布図である。 ベクトルF2、F3と直交する直交ベクトルF1’を示す概念図である。 3つの選択ベクトルによる、直交ベクトルF1’の合成を例示する説明図である。 (A)は、上下力Fzの実測値と直交ベクトルFz’の計算値との関係を示すグラフ、(B)は上下力Fzの実測値と直交ベクトルFz’の計算値との関係を示すグラフである。 (A)、(B)は、前後力Fx、上下力Fzの実測値と、推定式を用いて前後力Fx、上下力Fzを推定した値とを比較したグラフである。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明の推定方法に用いられる空気入りタイヤ1を示す断面図であり、図において、前記空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7とを具える。
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば70〜90°の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aから形成される。このカーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間に跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを一連に具える。又前記プライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間には、前記ビードコア5からタイヤ半径方向外方にのびる断面三角形状のビード補強用のビードエーペックスゴム8が配設される。
又前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜35゜の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成され、各ベルトコードがプライ間相互で交差することにより、ベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強している。なお該ベルト層7の半径方向外側には、本例では、高速走行性能および高速耐久性等を高める目的で、バンドコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で配列させたバンド層9を設けている。
そして本実施形態のタイヤ1では、少なくとも一方側のサイドウォール部3に、3個以上のn個の歪センサSをタイヤ周方向に互いに間隔を隔てて取り付けている。又本例では、車軸に、タイヤの回転角度位置Qを測定する角度センサ(図示しない)を設けている。この角度センサとして、タイヤ軸芯廻りの回転角度を測定する例えばレゾルバ、エンコーダ等の角度センサが好適に採用しうるが、他に、例えば反射板をタイヤに貼り付け、車体側に設ける光センサを用いて前記反射板の通過を検出する如く構成することもでき、又車両に配されるABS(アンチロックブレーキシステム)のパルス信号などから回転角度を測定しうる如く構成することもできる。この角度センサは、本願の推定精度の観点から、その分解能が少なくとも10°以下、さらには5°以下、さらには1°以下のものを採用するのが好ましい。
本例では、図3に概念的に示すように、サイドウォール部3に、6個(n=6)の歪センサSが、タイヤ軸芯を中心とした一つの円周線上に等間隔を隔てて取り付けられる場合が例示される。歪センサSを取り付ける領域R(図1に示す)は、タイヤ断面高さhの中間高さ位置Mを中心として、該タイヤ断面高さhの25%の距離Lを半径方向内外に隔てる領域範囲が好ましく、特には、前記距離Lをタイヤ断面高さhの20%、さらには15%とし、前記中間高さ位置Mにより近い領域範囲が好ましい。なお前記タイヤ断面高さhは、ビードベースラインBLからタイヤ赤道上のトレッド面までの半径方向高さを意味する。
次に、前記歪センサSは、図2(A)、(B)に示すように、磁石11と、この磁石11に間隔を有して向き合う磁気センサ素子12とを弾性材13を介して一体化したブロック状のモールド体20として形成される。なお図中の符号Kは、センシングのゲインが最大となるゲイン最大線をKを意味する。前記磁気センサ素子12としては、ホール素子、及びMR素子(磁気抵抗効果素子)、TMF−MI素子、TMF−FG素子、アモルファス歪センサ等が採用でき、特にコンパクトさ、感度、取り扱い易さ等の観点からホール素子が好適に採用できる。又前記歪センサSでは、サイドウォール部3の動きに追従して柔軟に弾性変形しうることが重要であり、そのために、前記弾性材13として各種のゴム弾性材料が採用される。特に、熱可塑性エラストマ(TPE)は、注型成形や射出成形等のプラスチック成形が可能であり、前記歪センサSを製造するという観点から好適に採用できる。
前記歪センサSとしては、1つの磁石11と1つの磁気センサ素子12とで形成した図2の1−1タイプ以外にも、1つの磁石11と複数(t個、例えば2個)の磁気センサ素子12とで形成した1−tタイプ、或いは複数(t個、例えば2個)の磁石11と1つの磁気センサ素子12とで形成したt−1タイプのものも使用できる。なお図中の符号12sは磁気センサ素子12の受感部面、符号11sは磁石11の磁極面を示す。
又歪センサSは、図3の如く、それぞれ前記ゲイン最大線Kが、タイヤ半径方向線に対して10〜80°の角度αで傾斜するように取り付けられる。これにより、種々な向きのタイヤ歪εを検出しうる。なお前記角度αは、好ましくは20〜70°、さらには30〜60°、さらには40〜50°の角度が望ましい。又歪センサSには、測定されたタイヤ歪の出力を、車両制御システムの電子制御装置(ECU)に発信する発信手段を内蔵するのが好ましい。この発信手段は、送受信回路、制御回路、メモリー等をチップ化した半導体と、アンテナとから構成され、前記電子制御装置(ECU)からの質問電波を受信したとき、これを電気エネルギーとして使用し、メモリー内の歪出力のデータを応答電波として発信しうる。
次に、前記歪センサSのセンサ出力Vにより、タイヤに作用する前後力Fxと上下力Fzとを推定する第1実施形態の推定方法を説明する。
この第1実施形態の推定方法は、横力Fyが作用しない直進走行状態を想定したものであり、
(A) 所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて、各前記歪センサSによってタイヤ歪を同時に測定することにより、n個のセンサ出力V1、V2、・・・Vnをうる歪測定ステップと、
(B) 前記n個のセンサ出力V1、V2、・・・Vnを、下記の推定式(1)、(2)に代入することにより前後力Fxと上下力Fzとの推定値を求める演算ステップとを含んで構成される。
本例では、図3に例示する如く、タイヤ軸芯を通って接地面に向かって垂直に下した垂直線を0°とするタイヤ軸芯廻りの座標系(タイヤ回転方向をプラス(+)とする。)を採用し、基準線X0から特定の歪センサS1までの位相角度βが所定の値、例えば325°となるタイヤの回転角度状態を、前記タイヤ回転角度位置Qとして設定している。なお、例えば前記位相角度βが+15°の時、+30°の時、或いは+45°の時をタイヤ回転角度位置Qとして設定しうるなど、タイヤ回転角度位置Qは適宜設定される。本例ではn=6の場合が示されており、各歪センサS1〜Snは、プラス側に順次配列している。
そして第1実施形態の推定方法では、演算ステップにて用いる前後力Fxの推定式(1)を、上下力Fzに影響されない合成変数Px(v)の関数として設定し、又上下力Fzの推定式(2)を、前後力Fxに影響されない合成変数Pz(v)の関数として設定することに特徴がある。
Fx=f(Px(v)) ---推定式(1)
Fz=f(Pz(v)) ---推定式(2)
前記合成変数Px(v)、Pz(v)は、それぞれセンサ出力V1、V2、・・・V6の関数であって、負荷条件である前後力Fxと上下力Fzとをそれぞれ違えた事前のタイヤ荷重負荷試験によって、タイヤ毎に、さらには、前記タイヤ回転角度位置Q毎に、下記の手法によって設定される。
具体的には、事前のタイヤ荷重負荷試験において負荷した荷重Fx、Fzと、そのとき前記所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて同時に計測した各歪みセンサSのセンサ出力V1、V2、・・・V6とを変数とした複数(m)の標本データDを求める。下記の表1は、タイヤ回転角度位置Q(β=325°)にて実際に測定した標本データDの一部を示したものであり、データ数mは、推定精度の観点から80以上、さらには100以上、さらには120以上で多いほど好ましい。ここで、負荷条件が同一である場合にも、例えば10周目のタイヤ回転角度位置Qと、20周目のタイヤ回転角度位置Qとでは、測定するセンサ出力V1、V2、・・・V6にバラツキがある。このようなバラツキも推定精度に反映させるために、前記標本データDには、負荷条件が同一の場合(周回数は異なる。)のデータも含ませることが好ましい。
Figure 0005314515
次に、前記標本データDに対して主成分分析を行い、各変数Fx、Fy、V1、V2、・・・V6における第1から第k(k≧i)主成分までの因子負荷量を求める。以下の表2は、前記表1の標本データDを主成分分析した分析結果である。
Figure 0005314515
そしてこの分析結果から、図4に示すように、第1主成分と第2主成分とを基準軸とした座標系(本例では第1主成分をX軸、第2主成分をY軸とした座標系)において、変数Fx、Fz、V1、V2、・・・V6の因子負荷量の散布図を求める。なお以下に、各変数Fx、Fy、V1、V2、・・・V6の前記座標系におけるベクトルを、ベクトルFz、Fx、ベクトルV1、V2、・・・V6という。
次に、前記散布図において、前記ベクトルFzに直交する直交ベクトルFx’、及び前記ベクトルFxに直交する直交ベクトルFz’を、それぞれベクトルV1、V2、・・・V6から選択される少なくとも2つの選択ベクトルを用いて合成する。そしてこの合成された直交ベクトルFx’、及び直交ベクトルFz’を、前記推定式(1)、(2)で用いる前記合成変数Px(v)、Pz(v)として採用する。なお散布図は、コンピュータ内での単なるデータの集合であっても良い。
直交ベクトルFx’=Px(v)
直交ベクトルFz’=Pz(v)
ここで、ベクトルV1、V2、・・・V6の全てが選択ベクトルとして選択される場合、前記直交ベクトルFx’、及び直交ベクトルFz’は、以下の式(3)、(4)にて表される。なお式中のa1〜a6、b1〜b6は係数である。
直交ベクトルFx’=a1・ベクトルV1+a2・ベクトルV2+a3・ベクトルV3+a4・ベクトルV4+a5・ベクトルV5+a6・ベクトルV6 −−−(3)
直交ベクトルFz’=b1・ベクトルV1+b2・ベクトルV2+b3・ベクトルV3+b4・ベクトルV4+b5・ベクトルV5+b6・ベクトルV6 −−−(4)
図5(A)には、直交ベクトルFx’の合成の一例が例示されている。本例では、前記直交ベクトルFx’が、2つのベクトルV1、V6を選択ベクトルとして合成される場合が例示されている。この場合、前記式(3)において、選択ベクトル以外の項の係数a2〜a5は0であって、前記直交ベクトルFx’は以下の式(3a)にて表される。
直交ベクトルFx’=a1・ベクトルV1+a6・ベクトルV6 −−−(3a)
前記選択ベクトルとしては、前記座標軸系の原点を通って前記ベクトルFzと直交する直線をTとしたとき、この直線Tからの角度γが最も小さいベクトルVγ1(本例ではベクトルV6に相当する)を含むことが好ましい。特に、前記直線Tからの角度γが、前記ベクトルVγ1とは逆回りの向きで最も小さいベクトルVγ2(本例ではベクトルV1に相当する)と、前記ベクトルVγ1とを含むことが好ましい。即ち、ベクトルVγ1は、直線Tからの右回り方向において角度γが最小なベクトルであり、ベクトルVγ2は、直線Tからの左回り方向において角度γが最小なベクトルである。
同様に図5(B)に、直交ベクトルFz’の合成の一例が例示されており、本例では、前記直交ベクトルFz’が、2つのベクトルV2、V5を選択ベクトルとして合成される場合が例示されている。この場合、前記式(4)において、選択ベクトル以外の項の係数b1、b3、b4、b6は0であって、前記直交ベクトルFz’は以下の式(3b)にて表される。
直交ベクトルFz’=b2・ベクトルV2+b5・ベクトルV5 −−−(4a)
なおベクトルV5は角度γが最小のベクトルVγ1に相当し、ベクトルV2は、角度γがベクトルVγ1とは逆回りの向きで最小のベクトルVγ2に相当する。
次に、直交ベクトルFx’、Fz’について、より具体的に説明する。
ベクトルFzの座標を(X2,Y2)とした場合、その直交ベクトルFx’の座標は(Y2,−X2)、又は(−Y2,X2)で示される。又直交ベクトルFx’の選択ベクトルV1、V6の座標を(XV1,Yv1)、(XV6,YV6)としたとき、直交ベクトルFx’は、例えば、下記の式で表現される。
直交ベクトルFx’(Y2,−X2)=a1・ベクトルV1(XV1,YV1)+a6・ベクトルV6(XV6,YV6
ここから、係数a1、a6は、以下のように求めることができる。
Figure 0005314515
より具体的には、前記表1の主成分分析結果の場合、ベクトルFz(X2,Y2)=(0.263,0.964)、ベクトルV1(XV1,YV1)=(−0.947,−0.314)、ベクトルV6(XV6,YV6)=(−0.933,0.348)であるので、前記式(5)から、係数a1=−0.145、係数a6=−0.886と求まる。即ち、直交ベクトルFx’は、以下の式(3a1)として示される。
直交ベクトルFx’=−0.145・ベクトルV1−0.886・ベクトルV6
−−−(3a1)
同様に、ベクトルFxの座標を(X1,Y1)とした場合、その直交ベクトルFz’の座標は(Y1,−X1)、又は(−Y1,X1)で示される。又直交ベクトルFz’の選択ベクトルV2、V5の座標を(XV2,YV2)、(XV5,YV5)としたとき、直交ベクトルFz’は、例えば、下記の式で表現される。
直交ベクトルFz’(Y1,−X1)=b2・ベクトルV2(XV2,YV2)+b5・ベクトルV5(XV5,YV5
ここから、係数b2、b5は、以下のように求めることができる。
Figure 0005314515
具体的には、前記表1の主成分分析結果の場合、ベクトルFx(X1,Y1)=(0.994,−0.082)、ベクトルV2(XV2,YV2)=(−0.859,−0.509)、ベクトルV5(XV5,YV5)=(−0.654,0.750)であるので、前記式(6)から係数b2=−0.725、係数b5=0.827と求まる。即ち、直交ベクトルFz’は、以下の式(4a1)として示される。
直交ベクトルFz’=−0.725・ベクトルV2+0.827・ベクトルV5
−−−(4a1)
そして、これら直交ベクトルFx’、及び直交ベクトルFz’である合成変数Px(v)、Pz(v)を用いて、前記推定式(1)、(2)を設定するのである。
Fx=f(Px(v))=f(Fx’)---推定式(1)
Fz=f(Pz(v))=f(Fz’)---推定式(2)
このとき、推定式(1)、(2)としては、以下のように、前記合成変数Px(v)、Pz(v)の二次式にて設定することができる。
Fx=A1・Px(v)+A2・Px(v)+A3 ---推定式(1A)
Fz=B1・Pz(v)+B2・Pz(v)+B3 ---推定式(2A)
具体的には、本例の場合、
Fx=A1(−0.145V1−0.886V6)+A2(−0.145V1−0.886V6)+A3
---推定式(1A)
Fz=B1(−0.725V2+0.827V5)+B2(−0.725V2+0.827V5)+B3
---推定式(2A)
として設定することができる。なお、上記式中の係数A1〜A3、B1〜B3は、前記標本データDを推定式(1A)、(2A)に代入して重回帰分析を行うことにより求めることができる。
本例の場合、前後力Fxの推定式は、2つのセンサ出力V1、V6の関数として表される。従って、本例では、前記歪測定ステップによって測定したセンサ出力V1、V2、・・・V6のうちの2つのセンサ出力V1、V6を、前記推定式(1A)に代入することにより、そのとき作用した前後力Fxを推定することができる。又上下力Fzの推定式では、2つのセンサ出力V2、V5の関数として表される。従って、本例では、前記歪測定ステップによって測定したセンサ出力V1、V2、・・・V6のうちの2つのセンサ出力V2、V5を、前記推定式(2A)に代入することにより、そのとき作用した上下力Fzを推定することができる。
このように、第1実施形態の推定方法では、上下力Fzに影響されない合成変数Px(v)の関数として前後力Fxの推定式を設定し、又前後力Fxに影響されない合成変数Pz(v)の関数として上下力Fzの推定式を設定している。そのため、前後力Fxと上下力Fzとを正確に分離させることができ、前後力Fxと上下力Fzとの推定精度をより高めることができる。
ここで、第1実施形態においては、本例のように、直交ベクトルFx’、Fz’を、それぞれ2つの選択ベクトルを用いて合成した場合には、前記式(5)、(6)に示すように、直交ベクトルFx’、Fz’の係数a、bを一義的に設定することができる。しかし、3つ以上のj個(j≦n)の選択ベクトルにより合成する場合には、係数a、bは一義的には設定されず、係数a、bは、前記式(3)、(4)を満足しうる範囲で適宜設定することができる。この場合には、前後力Fx、及び上下力Fzの推定式(1)、(2)は、それぞれj個のセンサ出力の関数として表されることとなる。
なお他の例として、前記推定式(1)、(2)を、以下のように、前記合成変数Px(v)、Pz(v)の一次式にて設定することもできる。
Fx=A2・Px(v)+A3 ---推定式(1B)
Fz=B2・Pz(v)+B3 ---推定式(2B)
この場合にも、係数A2〜A3、B2〜B3は、前記標本データDを推定式(1B)、(2B)に代入して重回帰分析を行うことにより求めることができる。
次に、第2実施形態の推定方法を説明する。
この第2実施形態の推定方法では、タイヤの作用力のうちの前後力Fx、横力Fy、上下荷重Fz、オーバーターニングモーメントMx、転がり抵抗モーメントMy、セルフアライニングトルクMzから選択される3つ以上の作用力F1、F2、・・・Fi(i=3〜6)を推定する方法であって、実質的には、演算ステップに用いる推定式(1)〜(i)、及びその設定方法のみ前記第1実施形態の場合と相違する。
F1=f(P1(v)) ---推定式(1)
F2=f(P2(v)) ---推定式(2)

Fi=f(Pi(v)) ---推定式(i)
第2実施形態では、前記作用力F1、F2、・・・Fiをそれぞれ違えたタイヤ荷重負荷試験を事前に行い、
(ア) このタイヤ荷重負荷試験にて負荷した荷重F1、F2、・・・Fiと、そのとき前記所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて各歪みセンサが計測したセンサ出力V1、V2、・・・Vnとを変数とした複数の標本データDを求め、
(イ) 前記標本データDに対して主成分分析を行い、各変数F1、F2、・・・Fi、V1、V2、・・・Vnにおける第1から第k(k≧i)主成分までの因子負荷量を得るとともに、
(ウ) このうちの第1主成分、第2主成分、・・・第i主成分を基準軸とした座標系において、変数F1、F2、・・・Fi、V1、V2、・・・Vnの因子負荷量の散布図を求め、
(エ) 前記散布図において、
ベクトルF1、F2、・・・Fiのうちで、ベクトルF1以外の各ベクトルに直交する直交ベクトルF1’、ベクトルF2以外の各ベクトルに直交する直交ベクトルF2’、・・・ベクトルFi以外の各ベクトルに直交する直交ベクトルFi’を、それぞれベクトルV1、V2、・・・Vnから選択される少なくともi個の選択ベクトルを用いて合成するとともに、この合成した直交ベクトルF1’、F2’、・・・Fi’を、前記推定式(1)、(2)〜(i)で用いる前記合成変数P1(v)、P2(v)、・・・Pi(v)として採用している。
又第1実施形態と同様、前記推定式(1)、(2)〜(i)は、それぞれ合成変数P1(v)、P2(v)、・・・Pi(v)の二次式、或いは一次式にて示すことができる。
以下に、6つのセンサ出力V1、V2、・・・V6を用いて、前後力Fx、横力Fy、上下力Fzである3つの作用力F1(=Fx)、F2(=Fy)、F3(=Fz)を推定する場合を代表して説明する。即ちn=6、i=3の場合を説明する。
まず作用力F1〜F3をそれぞれ違えたタイヤ荷重負荷試験を事前に行い、このタイヤ荷重負荷試験にて負荷した荷重F1〜F3と、そのとき同時に計測したセンサ出力V1、V2、・・・V6とを変数とした複数(m)の標本データDを求める。データ数mは、前記第1実施形態の場合と同様であり、又標本データDには、負荷条件が同一(周回数は異なる。)の時のデータも含ませることが好ましい。
次に、前記標本データDに対して主成分分析を行い、各変数F1、F2、F3、V1、V2、・・・V6における第1から第k(k≧3)主成分までの因子負荷量を求める。以下の表3は、主成分分析結果の一例である。
Figure 0005314515
そしてこの分析結果から第1主成分、第2主成分、第3主成分を基準軸とした座標系(本例では第1主成分をX軸、第2主成分をY軸、第3主成分をZ軸とした座標系)において、変数F1、F2、F3、V1、V2、・・・Vnの因子負荷量の散布図(図6に略示する。)を求める。そして、ベクトルF1、F2、F3のうちで、ベクトルF1以外のベクトルF2、F3に直交する直交ベクトルF1’、ベクトルF2以外のベクトルF1、F3に直交する直交ベクトルF1’、ベクトルF3以外のベクトルF1、F2に直交する直交ベクトルF3’を、それぞれベクトルV1、V2、・・・V6から選択される少なくとも3個の選択ベクトルを用いて合成する。
図7に代表して略示するように、例えば、直交ベクトルF1’は、本例では、ベクトルF2、F3を含む平面Tsと直角なベクトルで示される。又図8には、3つの選択ベクトルVa1、Va2、Va3を用いて直交ベクトルF1’を合成する場合が略示されており、この直交ベクトルF1’は、以下の式(7)で示すことができる。
直交ベクトルF1’=a1・ベクトルVa1+a2・ベクトルVa2+a3・ベクトルVa3
−−−(7)
なお選択ベクトルとしては、前記ベクトルV1、V2、・・・V6のうちで前記直交ベクトルF1’の周囲を円錐状に囲む3つのベクトルを含むことが好ましく、特に、前記直交ベクトルF1’との角度がより小さいものが好ましく選択される。
ここで、直交ベクトルF1’の座標を(XF1’,YF1’,F1’)、その選択ベクトルVa1、Va2、Va3の座標を(XVa1,YVa1,ZVa1)、(XVa2,YVa2,ZVa2)、(XVa3,YVa3,ZVa3)としたとき、前記係数a1〜a3は、以下のように一義的に求めることができる。
Figure 0005314515
同様に、直交ベクトルF2’はその選択ベクトルVb1、Vb2、Vb3を用いて以下の式(8)で示すことができる。
直交ベクトルF2’=b1・ベクトルVb1+b2・ベクトルVb2+b3・ベクトルVb3
−−−(8)
又直交ベクトルF2’の座標を(XF2’,YF2’,F1’)、その選択ベクトルVb1、Vb2、Vb3の座標を(XVb1,YVb1,ZVb1)、(XVb2,YVb2,ZVb2)、(XVb3,YVb3,ZVb3)としたとき、前記係数b1〜b3は、以下のように一義的に求めることができる。
Figure 0005314515
又同様に、直交ベクトルF3’はその選択ベクトルVc1、Vc2、Vc3を用いて以下の式(9)で示すことができ、又直交ベクトルF3’の座標を(XF3’,YF3’,ZF3’)、その選択ベクトルVc1、Vc2、Vc3の座標を(XVc1,YVc1,ZVc1)、(XVc2,YVc2,ZVc3)、(XVc3,YVc3,ZVc3)としたとき、前記係数c1〜c3は、以下のように一義的に求めることができる。
直交ベクトルF3’=c1・ベクトルVc1+c2・ベクトルVc2+c3・ベクトルVc3
−−−(9)
Figure 0005314515
このように、第2実施形態の推定方法においては、作用力F2、F3に影響されない合成変数P1(v)の関数として作用力F1の推定式を設定し、かつ作用力F1、F3に影響されない合成変数P2(v)の関数として作用力F2の推定式を設定し、かつ作用力F1、F2に影響されない合成変数P3(v)の関数として作用力F3の推定式を設定している。そのため、作用力F1とF2とF3とを正確に分離させることができ、作用力F1、F2、F3の推定精度をより高めることができる。
なお第2実施形態の場合にも、推定式(1)、(2)、(3)は、それぞれ合成変数P1(v)、P2(v)、P3(v)の二次式、
F1=A1・P1(v)+A2・P1(v)+A3 ---推定式(1A)
F2=B1・P2(v)+B2・P2(v)+B3 ---推定式(2A)
F3=C1・P3(v)+C2・P3(v)+C3 ---推定式(3A)
或いは一次式にて示すことができ、
F1=A2・P1(v)+A3 ---推定式(1B)
F2=B2・P2(v)+B3 ---推定式(2B)
F3=C2・P3(v)+C3 ---推定式(3B)
又式中の係数A1〜A3、B1〜B3は、C1〜C3は前記標本データDを推定式(1A)〜(3A)、推定式(1B)〜(3B)に代入して重回帰分析を行うことにより求めることができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明の作用効果を確認するため、サイドウォール部に6(n=6)個の歪センサを、同一円周線上に等間隔を隔てて取り付けた空気入りタイヤ(サイズ245/40R18)を試作した。歪センサは、それぞれ1つの磁石と、1つのホール素子との対からなり、ゲイン最大線間の角度θは45°である。
リム(18×8JJ)、内圧(230kPa)、速度(10km/h)の条件にて、事前のタイヤ荷重負荷試験を行い、タイヤ回転角度位置(β=325°)における標本データD(前記表1に示す。)をうるとともに、この標本データDを主成分分析し、その第1主成分と第2主成分とを基準軸とした座標系において、変数Fx、Fz、V1、V2、・・・V6の因子負荷量の散布図(図4に示す)を求めた。なお主成分分析結果は、前記表2に示される。
そして、ベクトルFzに直交する直交ベクトルFx’を、選択ベクトルV1、V6から合成するとともに、ベクトルFxに直交する直交ベクトルFz’を、選択ベクトルV2、V5から合成した。
Fx’=−0.145V1−0.886V6−−−(3a1)
Fz’=−0.725V2+0.827V5−−−(4a1)
そして、前後力Fx=0にて、上下力Fzを3kNから8kNまで変化せるとともに、そのときの上下力Fzの実測値と、上式(4a1)で演算した直交ベクトルFz’の計算値との関係を、図9(A)に示す。又上下力Fz=6kN(一定)にて、前後力Fxを0から3.6kNまで変化せるとともに、そのときの前後力Fxの実測値と、上式(4a1)で演算した直交ベクトルFz’の計算値との関係を、図9(B)に示す。
図9(A)、(B)に示すように、上下力Fzと直交ベクトルFz’とは線形で相関が高く、逆に直交ベクトルFz’は、前後力Fxの値に関係なく一定値をとることが確認できた。又図示しないが、同様に、前後力Fxと直交ベクトルFx’とは線形で相関が高く、逆に直交ベクトルFx’は、上下力Fzの値に関係なく一定値をとることが確認できた。
即ち、直交ベクトルFx’、Fz’を用いることで、前後力Fxと上下力Fzとを完全に分離できたことが確認できる。
又前後力Fx、上下力Fzの推定式を、前記直交ベクトルFx’、Fz’の二次式で設定した。そしてタイヤ荷重負荷試験を行い、タイヤに作用した前後力Fx、上下力Fzを6分力計にて測定するとともに、そのとき計測した歪出力から、前記推定式を用いて前後力Fx、上下力Fzを推定した。そしてその結果を図10(A)、(B)に示す。図のように、前後力Fx、上下力Fzを高精度で推測しうるのが確認できる。
本発明で推測した作用力の情報を利用することで、車両の安全性の向上や乗員の疲労軽減を図ることができる。例えば、乗員数や乗員の配置、荷物の積載位置などによって変化する車輪毎の荷重(上下力)を推測し、この情報を用いて通常ブレーキやABS作動時に車輪毎のブレーキ配分を最適化することで、車両の安全性を向上することができる。又電子制御サスペンションに上下力の情報を伝達することで、ショックアブソーバの減衰力を変化させ、その状況における最適な減衰力にすることで、乗り心地性が向上し、乗員の疲労を低減できる。
1 空気入りタイヤ
3 サイドウォール部
S 歪センサ

Claims (5)

  1. タイヤのサイドウォール部におけるタイヤ歪を測定する歪センサのセンサ出力により、タイヤに作用する前後力Fxと上下力Fzとを推定する推定方法であって、
    タイヤのサイドウォール部に、周方向に互いに間隔を隔てて取り付きかつサイドウォール部におけるタイヤ歪を測定する3個以上のn個の歪センサと、
    タイヤの回転角度位置を検出するタイヤ角度センサとを用いるとともに、
    所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて、各前記歪センサによってタイヤ歪を同時に測定することによりn個のセンサ出力V1、V2、・・・Vnをうる歪測定ステップと、
    前記n個のセンサ出力V1、V2、・・・Vnを、下記の推定式(1)、(2)に代入することにより前後力Fxと上下力Fzとの推定値を求める演算ステップとを含むとともに、
    Fx=f(Px(v)) ---推定式(1)
    Fz=f(Pz(v)) ---推定式(2)
    前記推定式(1)、(2)中のPx(v)、Pz(v)は、それぞれ前記センサ出力V1、V2、・・・Vnを用いた合成変数であって、
    しかも前記合成変数Px(v)、Pz(v)は、前後力Fxと上下力Fzとをそれぞれ違えたタイヤ荷重負荷試験を事前に行い、
    (ア) このタイヤ荷重負荷試験にて負荷した荷重Fx、Fzと、そのとき前記所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて各歪みセンサが計測したセンサ出力V1、V2、・・・Vnとを変数とした複数の標本データDを求め、
    (イ) 前記標本データDに対して主成分分析を行い、各変数Fx、Fz、V1、・・・Vnにおける第1から第k(k≧2)主成分までの因子負荷量を得るとともに、
    (ウ) このうちの第1主成分と第2主成分とを基準軸とした座標系において、変数Fx、Fz、V1、V2、・・・Vnの因子負荷量の散布図を求め、
    (エ) 前記散布図において、ベクトルFzと直交する直交ベクトルFx’、及びベクトルFxと直交する直交ベクトルFz’を、それぞれベクトルV1、V2、・・・Vnから選択される少なくとも2つの選択ベクトルを用いて合成するとともに、この合成した直交ベクトルFx’を前記合成変数Px(v)とし、かつ直交ベクトルFz’を前記合成変数Pz(v)としたことを特徴とする空気入りタイヤに作用する力の推定方法。
  2. 前記推定式(1)、(2)は、それぞれ合成変数Px(v)、Pz(v)の二次式で示されることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤに作用する力の推定方法。
    Fx=A1・Px(v)+A2・Px(v)+A3 ---推定式(1A)
    Fz=B1・Pz(v)+B2・Pz(v)+B3 ---推定式(2A)
  3. 前記推定式(1)、(2)は、それぞれ合成変数Px(v)、Pz(v)の一次式で示されることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤに作用する力の推定方法。
    Fx=A2・Px(v)+A3 ---推定式(1B)
    Fz=B2・Pz(v)+B3 ---推定式(2B)
  4. 前記選択ベクトルは、ベクトルV1、V2、・・・Vnから選択される2つのベクトルからなることを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤに作用する力の推定方法。
  5. タイヤのサイドウォール部におけるタイヤ歪を測定する歪センサのセンサ出力により、タイヤに作用する前後力Fx、横力Fy、上下荷重Fz、オーバーターニングモーメントMx、転がり抵抗モーメントMy、セルフアライニングトルクMzから選択される3つ以上の作用力F1、F2、・・・Fi(i=3〜6)を推定する推定方法であって、
    タイヤのサイドウォール部に、周方向に互いに間隔を隔てて取り付きかつサイドウォール部におけるタイヤ歪を測定する3個以上のn個の歪センサと、
    タイヤの回転角度位置を検出するタイヤ角度センサとを用いるとともに、
    所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて、各前記歪センサによってタイヤ歪を同時に測定することによりn個のセンサ出力V1、V2、・・・Vnをうる歪測定ステップと、
    前記n個のセンサ出力V1、V2、・・・Vnを、下記の推定式(1)〜(i)に代入することにより前記作用力F1、F2、・・・Fiの推定値を求める演算ステップとを含むとともに、
    F1=f(P1(v)) ---推定式(1)
    F2=f(P2(v)) ---推定式(2)

    Fi=f(Pi(v)) ---推定式(i)
    前記推定式(1)〜(i)中のP1(v)、P2(v)、・・・Pi(v)は、前記センサ出力V1、V2、・・・Vnを用いた合成変数であって、
    しかも前記合成変数P1(v)、P2(v)、・・・Pi(v)は、前記作用力F1、F2、・・・Fiをそれぞれ違えたタイヤ荷重負荷試験を事前に行い、
    (ア) このタイヤ荷重負荷試験にて負荷した荷重F1、F2、・・・Fiと、そのとき前記所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて各歪みセンサが計測したセンサ出力V1、V2、・・・Vnとを変数とした複数の標本データDを求め、
    (イ) 前記標本データDに対して主成分分析を行い、各変数F1、F2、・・・Fi、V1、V2、・・・Vnにおける第1から第k(k≧i)主成分までの因子負荷量を得るとともに、
    (ウ) このうちの第1主成分、第2主成分、・・・第i主成分を基準軸とした座標系において、変数F1、F2、・・・Fi、V1、V2、・・・Vnの因子負荷量の散布図を求め、
    (エ) 前記散布図において、
    ベクトルF1、F2、・・・Fiのうちで、ベクトルF1以外の各ベクトルに直交する直交ベクトルF1’、ベクトルF2以外の各ベクトルに直交する直交ベクトルF2’、・・・ベクトルFi以外の各ベクトルに直交する直交ベクトルFi’を、それぞれベクトルV1、V2、・・・Vnから選択される少なくともi個の選択ベクトルを用いて合成するとともに、
    この合成した直交ベクトルF1’、F2’、・・・Fi’を前記合成変数P1(v)、P2(v)、・・・Pi(v)としたことを特徴とする空気入りタイヤに作用する力の推定方法。
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