JP5313010B2 - ポリエチレン樹脂組成物とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエチレン樹脂組成物に関する。詳細には、溶融張力が高く成型加工性に優れ、耐衝撃性に優れ、耐ストレスクラッキング性に優れ、なおかつ熱安定性に優れたポリエチレン樹脂組成物とその製造方法に関する。
従来からエチレンの重合体または共重合体を製造するための触媒として、チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなる、いわゆるチーグラー触媒が知られている。この触媒は吹き込み成型、フィルム成型、射出成型、押し出し成型、等の様々な分野で使用されている。
このチーグラー触媒はいわゆる単段重合法、および二段重合法により様々な分子量分布・組成分布を有するポリエチレンが製造される。しかし、この触媒により得られるポリエチレンは、基本的には長鎖分岐を有していないため成型加工性に難があり、特に溶融張力が必要な吹き込み成型分野においては成形性の改良が求められていた。また、二段重合法により分子量分布を広げることにより、耐ストレスクラッキング性は向上するものの、耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性が低下する傾向があった。
一方、吹き込み成型分野においては、いわゆるフィリップス触媒により製造されるポリエチレンが広く使用されている。一般に、フィリップス触媒により製造されるポリエチレンは長鎖分岐を有しているため、溶融張力が高いという特徴を有する。しかし、このフィリップス触媒から得られるポリエチレンは末端ビニルが多いという特徴を有しているため、熱安定性に劣っていた。また、吹き込み成型品に必要な特性の一つである耐ストレスクラッキング性がチーグラー触媒で得られたポリエチレンと比較して劣っていた。このため、熱安定性および耐ストレスクラッキング性の向上が望まれていた。
これらを解決するため、特許文献1には1段階目でメタロセン触媒を用いて末端ビニル基を有するマクロモノマーを製造し、2段階目で別種のメタロセン触媒を用いてエチレンとマクロモノマーとを共重合することにより、ポリエチレンに長鎖分岐を導入する技術が開示されている。しかし、その技術は重合に使用されなかったマクロモノマーもポリエチレンに含まれて製品となるため、製品に含まれる末端ビニル基含量が増加し、製品は熱安定性に劣るという懸念がある。
これらのように、特に吹き込み成型分野において、溶融張力が高く成型加工性に優れ、耐衝撃性に優れ、耐ストレスクラッキング性に優れ、なおかつ熱安定性に優れた材料が求められていた。
特開2005−248013号公報
従って、本発明の課題は、溶融張力が高く成型加工性に優れ、耐衝撃性に優れ、耐ストレスクラッキング性に優れ、なおかつ熱安定性に優れたポリエチレン樹脂組成物とその製造方法を提供することである。
本発明者らは、このような現状に鑑みて、ポリエチレンを製造する際に使用する触媒系および条件を見出すべく鋭意検討して、本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下のとおりである。
1) 少なくとも低分子量成分を重合する工程と高分子量成分を重合する工程とをその構成に含む多段重合を利用し、下記の(a)および(b)の要件を満たすポリエチレン樹脂組成物の製造方法から得られ、
(a)多工程重合における低分子量成分を重合する工程において、
(a−1)重合器内の気相部における水素濃度が40モル%以上90モル%以下である
(a−2)重合器で製造されるポリエチレンのポリエチレン樹脂組成物全体に対する割合が、40重量%以上70重量%以下である
(a−3)重合器で製造されるポリエチレンのMFRが1g/10min以上1000g/10min以下である
(b)この多段重合に使用される触媒がチタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]と有機アルミニウム化合物[B]からなり、
(b−1)チタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]が、
(i)一般式(1)
Al Mg 3n 2m ・・・(1)
[式中、R およびR はそれぞれ独立して、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基を表し、nとmとは0よりも大きい値であり、m/nは0.1以上10以下である。]
で表されるアルミニウムとマグネシウムとを含む不活性炭化水素溶媒に可溶な錯体と、
(ii)少なくとも1個のハロゲン原子を含有するチタン化合物とを反応させることにより、不活性炭化水素溶媒に不溶な固体成分として生成し、
(b−2)有機アルミニウム化合物[B]が下記一般式(2)により表される。
AlR (3−p) ・・・(2)
[式中、R は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基、アリロキシ基、またはシロキシ基からなる群に含まれる基であり、pは1以上3以下の実数である。]
(b−3)当該多段重合に使用される触媒が、以下のオレフィン重合用触媒を除く。
固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分[A]が、不活性炭化水素溶媒に可溶である一般式1で表される有機マグネシウム化合物と一般式2で表される塩化珪素化合物との反応により合成される担体にチタン化合物を担持することにより調製されたものであり、当該チタン化合物の担体への担持が、実質的に、当該チタン化合物と還元剤との反応によって行われることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
一般式1:(M α (Mg) β (R (R
{式中、M は周期律表第1族および第3族からなる群に属する金属原子であり、R およびR は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、α、β、aおよびbは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、kα+2β=a+b(ただし、kはM の原子価を表す整数である。)}
一般式2:H SiCl (R (4−(c+d))
(式中、R は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、cとdは次の関係を満たす実数である。0<c≦4、0<d≦4、0<c+d≦4)
下記の要件を満たすことを特徴とする、ポリエチレン樹脂組成物。
(A)MFRが0.05g/10min以上2.0g/10min以下である。
(B)密度が950kg/m以上967kg/m以下である。
(C)MIRが65以上120以下である。
(D)スウェル比が1.50以上1.80以下である。
(E)溶融張力が6.5g以上8.2g以下である。
(F)溶融伸びが21m/min以上28m/min以下である。
(G)末端ビニル含有量が0.02個/1000C以上0.15個/1000C以下である。
(H)耐ストレスクラッキング性が10時間以上である。
(I)引張衝撃強度が80kJ/m以上である
2) 少なくとも低分子量成分を重合する工程と高分子量成分を重合する工程とをその構成に含む多段重合を利用したポリエチレン樹脂組成物の製造方法であり、下記の(a)および(b)の要件を満たすことを特徴とする、1)に記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
(a)多段重合における低分子量成分を重合する工程において、
(a−1)重合器内の気相部における水素濃度が40モル%以上90モル%以下である
(a−2)重合器で製造されるポリエチレンのポリエチレン樹脂組成物全体に対する割合が、40重量%以上70重量%以下である
(a−3)重合器で製造されるポリエチレンのMFRが1g/10min以上1000g/10min以下である
(b)この多段重合に使用される触媒がチタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]と有機アルミニウム化合物[B]からなり、
(b−1)チタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]が、
(i)一般式(1)
AlMg 3n 2m・・・(1)
[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基を表し、nとmとは0よりも大きい値であり、m/nは0.1以上10以下である。]
で表されるアルミニウムとマグネシウムとを含む不活性炭化水素溶媒に可溶な錯体と、
(ii)少なくとも1個のハロゲン原子を含有するチタン化合物とを反応させることにより、不活性炭化水素溶媒に不溶な固体成分として生成し、
(b−2)有機アルミニウム化合物[B]が下記一般式(2)により表される。
AlR (3−p) ・・・(2)
[式中、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基、アリロキシ基、またはシロキシ基からなる群に含まれる基であり、pは1以上3以下の実数である。]
(b−3)当該多段重合に使用される触媒が、以下のオレフィン重合用触媒を除く。
固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分[A]が、不活性炭化水素溶媒に可溶である一般式1で表される有機マグネシウム化合物と一般式2で表される塩化珪素化合物との反応により合成される担体にチタン化合物を担持することにより調製されたものであり、当該チタン化合物の担体への担持が、実質的に、当該チタン化合物と還元剤との反応によって行われ、有機金属化合物成分[B]が有機アルミニウム化合物であることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
一般式1:(M α (Mg) β (R (R
{式中、M は周期律表第1族および第3族からなる群に属する金属原子であり、R およびR は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、α、β、aおよびbは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、kα+2β=a+b(ただし、kはM の原子価を表す整数である。)}
一般式2:H SiCl (R (4−(c+d))
(式中、R は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、cとdは次の関係を満たす実数である。0<c≦4、0<d≦4、0<c+d≦4)
本発明により、溶融張力が高く成型加工性に優れ、耐ストレスクラッキング性に優れ、なおかつ熱安定性に優れたポリエチレン樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明におけるポリエチレン樹脂組成物とは、モノマーとしてエチレン単独あるいはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとを共重合することにより得られる樹脂を成分とした組成物である。なお、本発明における炭素数3以上のα−オレフィンとは、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。また、このうちのいくつかを組み合わせて、エチレンと共重合することもできる。
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物のMFRが0.05g/10min以上2.0g/10min以下であることが必要であり、0.1g/10min以上1.5g/10min以下であることが好ましく、0.15g/10min以上1.0g/10min以下であることがさらに好ましい。このMFRが0.05g/10min以上であれば、ポリエチレンの粘度が高すぎて成型加工性が悪化する懸念が回避され。また、2.0g/10min以下であれば、ポリエチレンの粘度が十分に高く、成型加工時のドローダウンの懸念が回避される。なお、本発明において、MFRとはポリマーのメルトフローレートのことであり、JIS K7120に従い、温度190℃、荷重2.16kgで測定される値である。このMFRは、ポリエチレン樹脂組成物を製造する際の重合器内の気相での水素濃度により調節することが可能であり、この水素濃度を高くすることによりMFRを低下させることが可能である。なお、本発明における重合器内の水素濃度とは、重合器内の気相部分をガスクロマトグラフィーを用いて分析することにより得られた水素濃度(単位はモル/リットル)とエチレン濃度(単位はモル/リットル)とを用いて、下記の数式(1)に従って算出された値のことであり、単位はモル%である。
水素濃度(モル%)=100×水素濃度(モル/リットル)/{水素濃度(モル/リットル)+エチレン濃度(モル/リットル)} ・・・数式(1)
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物の密度は950kg/m以上967kg/m以下であることが必要であり、950kg/m以上965kg/m以下であることが好ましく、950kg/m以上963kg/m以下であることがさらに好ましい。この密度が950kg/m以上であれば成型品の剛性が不足する懸念が回避され、967kg/m以下であれば成型品の長期耐久性の尺度である耐ストレスクラック性が足りない懸念が回避される。なお本発明においては、密度はJIS K7112の密度勾配管法により測定される。この密度は、ポリエチレン樹脂組成物を製造する際の重合器内の気相でのα−オレフィン濃度により調節することが可能であり、このα−オレフィン濃度を高くすることにより密度を低下させることが可能である。なお、本発明における重合器内のα−オレフィン濃度とは、重合器内の気相部分をガスクロマトグラフィーを用いて分析することにより得られたエチレン濃度(単位はモル/リットル)とα−オレフィン濃度(単位はモル/リットル)とを用いて、下記の数式(2)に従って算出された値のことであり、単位はモル%である。
α−オレフィン濃度(モル%)=100×α−オレフィン濃度(モル/リットル)/{α−オレフィン濃度(モル/リットル)+エチレン濃度(モル/リットル)} ・・・数式(2)
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物のMIRは65以上120以下であることが必要であり、70以上110以下であることが好ましく、75以上100以下であることがさらに好ましい。このMIRが65以上であれば成型品の臭気および溶出分が増加する懸念が回避され、120以下であれば耐衝撃性が不足する懸念が回避される。なお、本発明におけるMIRは、JIS K7120に従い、温度190℃、荷重21.6kgで測定される値を荷重2.16kgで測定される値で除すことにより算出される値である。このMIRは、ポリエチレン樹脂組成物を製造する際に、低分子量成分を重合する工程で製造されるポリエチレンの分子量と高分子量成分を重合する工程で製造されるポリエチレンの分子量により調節することが可能であり、低分子量成分の分子量と高分子量成分の分子量の差を拡大することにより、MIRを増加させることが可能である。
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物のスウェル比は1.50以上1.80以下であることが必要であり、1.55以上1.75以下であることがさらに好ましく、1.60以上1.70以下であることがさらに好ましい。このスウェル比が1.50以上1.80以下であれば成型加工性、特に吹き込み成型およびパイプ成型における成型加工性が悪化する懸念が回避される。なお、本発明のスウェル比は、MFRを測定する際に、190℃において21.6kgの荷重を用いてストランド状に10cm押出した後に空気中で冷却して得られた固体状のストランドの重量を測定して得られる値を、直径がオリフィスのストランド径である2.095mmであり長さが10cmの円柱状の該ポリエチレン樹脂組成物の重量で除すことにより得られた値である。このスウェル比はポリエチレン樹脂組成物のMFRにより調整することが可能であり、MFRを増大させることによりスウェル比は増大する。また、このスウェル比はMIRにより調整することが可能であり、MIRを低下させることによりスウェル比を増大させることが可能である。
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物の溶融張力は6.5g以上8.2g以下であることが必要であり、6.8g以上8.2g以下であることが好ましく、7.0g以上8.2g以下であることがさらに好ましい。この溶融張力が6.5g以上8.2g以下であれば、特に吹き込み成型および押し出し成型において、成型中の樹脂のドローダウンを初めとする成型加工性が悪化する懸念が回避される。なお、本発明の溶融張力はキャピログラフ1Cを用いて溶融樹脂を押出し、巻取り機にて巻き取る時の荷重として測定される値である。この溶融張力はポリエチレン樹脂組成物のMFRにより調節することが可能であり、MFRを低下させることにより溶融張力は増大する。
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物の溶融伸びは21m/min以上28m/min以下であることが必要であり、21m/min以上26m/min以下であることが好ましく、24m/min以下であることがさらに好ましい。この溶融伸びが21m/min以上28m/min以下であれば、特に吹き込み成型において、樹脂の均一な伸びが悪化する懸念が回避される。なお、本発明における溶融伸びは、溶融張力測定と同様に溶融樹脂を押出し、ストランドの巻取り速度を上げていき、ストランドが破断する巻取り速度として測定される値である。この溶融伸びは、ポリエチレン樹脂組成物のMFRにより調整することが可能であり、MFRを増大させることにより溶融伸びは増大する。
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物の末端ビニル含有量は0.02個/1000C以上0.15個/1000C以下であることが必要であり、0.03個/1000C以上0.12個/1000C以下であることが好ましく、0.04個/1000C以上0.1個/1000C以下であることがさらに好ましい。この末端ビニル基含有量が0.02個/1000C以上であれば、末端ビニル基の反応により適度に分岐が生成することにより、成型加工性が悪化する懸念が回避され、0.15個/1000C以下であれば末端ビニル基の反応によりポリエチレン主鎖の切断反応が併起することにより、ポリエチレン樹脂の劣化反応が進行する懸念が回避される。なお、本発明の末端ビニル基含有量は、新版 高分子分析ハンドブック(社団法人高分子分析化学会、高分子分析研究懇談会編、1995年初版)P.594の方法に従い、ビニル基は910cm−1のピークの吸光度、重合体の密度、およびフィルムの厚みから、下記の数式(3)を用いて算出される値である。この末端ビニル含有量は重合時に使用する触媒により調整することが可能であり、クロム触媒、いわゆるフィリップス触媒を用いた場合には顕著に増大し、ジルコニウム系メタロセン触媒を用いた場合には顕著に増大し、チタン系メタロセン触媒を用いた場合には顕著に低下する。また、この末端ビニル基含有量は、ポリエチレン樹脂組成物を製造する際の重合温度により調整することが可能であり、重合温度を高めることにより末端ビニル基含有量は増大する。
末端ビニル基含量(個/100C)=0.114×ΔA/(t×d/1000)
{ただし、dは重合体の密度(kg/m)、ΔAはピークの吸光度、tはフィルムの厚み(mm)} ・・・数式(3)
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物の引張衝撃強度は、耐衝撃性の尺度である。この引張衝撃強度は80kJ/m以上であり、85kJ/m以上であることが好ましく、90kJ/m以上であることがさらに好ましい。この引張衝撃強度が80kJ/m以上であれば、成型品が落下した際に破壊する懸念が回避される。また、この引張衝撃強度には上限はないが、120kJ/m以上であれば実用上有意差はない。なお、本発明の−10℃での引張衝撃強度はASTM−D1822に準拠して、−10℃にて測定される引張衝撃強度のことである。この引張衝撃強度は、ポリエチレン樹脂組成物の密度により調整することが可能であり、密度を低下させることにより引張衝撃強度を増大させることができる。また、この引張衝撃強度は、ポリエチレン樹脂組成物のMIRにより調整することが可能であり、MIRを低下させることにより引張衝撃強度を増大させることが可能である。
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物の耐ストレスクラッキング性は10時間以上であり、12時間以上であることが好ましく、16時間以上であることがさらに好ましい。この耐ストレスクラッキング性が10時間以上であれば、成型品が短時間でストレスクラックにより破壊する懸念が回避される。また、この耐ストレスクラッキング性の上限に制限はないが、150時間以上であれば実用上有意差はない。なお、本発明の耐ストレスクラッキング性はJIS K6922−2(ASTM D1693)に従って測定される値である。この耐ストレスクラッキング性は、ポリエチレン樹脂組成物の密度により調整することが可能であり、密度を低下させることにより耐ストレスクラッキング性を増大させることができる。また、この耐ストレスクラッキング性は、ポリエチレン樹脂組成物のMIRにより調整することが可能であり、MIRを増大させることにより耐ストレスクラッキング性を増大させることが可能である。
本発明におけるポリエチレン樹脂組成物の製造方法については特に制限はないが、少なくとも低分子量成分を重合する工程と高分子量成分を重合する工程とをその構成に含む多段重合を利用してポリエチレンを製造する方法により製造されることが好ましい。
本発明におけるポリエチレン樹脂組成物の製造方法においては、この低分子量成分を重合する工程において、重合器内の気相部における水素濃度が40モル%以上90モル%以下であることが好ましく、50モル%以上85モル%以下であることが好ましく、60モル%以上80モル%以下であることがさらに好ましい。この水素濃度が40モル%以上であれば低分子量成分の分子量が高くなるため、ポリエチレン樹脂組成物の流動性や耐ストレスクラック性が悪化する懸念が回避される。また、この水素濃度が90モル%以下であれば、重合器内のエチレン分圧が低くなりすぎないため、重合活性が低下してポリエチレン樹脂組成物中に含まれる触媒残渣含有量が高くなりすぎてポリエチレン樹脂組成物の熱安定性が悪化する懸念が回避される。また、この水素濃度は、重合器に添加するエチレンと水素とのモル比を制御することにより調整することが可能であり、エチレンに対する水素のモル比を増大させることにより水素濃度を増大させることが可能である。
本発明におけるポリエチレン樹脂組成物の製造方法においては、低分子量成分を重合する工程において重合器で製造されるポリエチレンのポリエチレン樹脂組成物全体に対する割合が、40重量%以上70重量%以下であることが好ましく、45重量%以上65重量%以下であることがさらに好ましく、50重量%以上63重量%以下であることがさらに好ましい。この割合が40重量%以上であれば低分子量成分の不足による成型加工性が悪化する懸念が回避され、70重量%以下であれば高分子量成分の不足によるポリエチレン樹脂組成物の諸物性の低下の懸念が回避される。なお、ポリエチレン樹脂組成物全体に対する、低分子量成分を重合する工程において重合器で製造される割合は下記の数式(4)により算出することができる。また、この低分子量成分を重合する工程の重合器で製造されるポリエチレンの全体に対する割合は、製造されるポリエチレン樹脂組成物の重量に対する低分子量成分を重合する工程における重合器で消費されるエチレンの重量とα−オレフィンの重量との和の比率で調節することが可能である。
低分子量成分を重合する工程において重合器で製造されるポリエチレンのポリエチレン樹脂組成物全体に対する割合(重量%)=100×低分子量成分を重合する工程において重合器で製造される量(重量)/製造されるポリエチレン樹脂組成物(重量) ・・・数式(4)
本発明におけるポリエチレン樹脂組成物の製造方法においては、低分子量成分を重合する工程において、重合器で製造されるポリエチレンのMFRが1g/10min以上1000g/10min以下であることが好ましく、10g/10min以上700g/10min以下であることがさらに好ましく、30g/10min以上500g/10min以下であることがさらに好ましい。この低分子量成分を重合する工程において、重合器で製造されるポリエチレンのMFRが1g/10min以上であれば、ポリエチレン樹脂組成物の流動性が低いため成型加工性が悪化する懸念が回避され、1000g/10min以下であれば耐ストレスクラッキング性が悪化する懸念が回避される。
本発明におけるポリエチレン樹脂組成物の製造方法においては、使用される触媒がチタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]と有機アルミニウム化合物[B]からなることが好ましい。
本発明においては、このチタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]が、
(i)一般式(1)
AlMg 3n 2m ・・・(1)
[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基を表し、nとmとは0よりも大きい値であり、m/nは0.1以上10以下である。]
で表されるアルミニウムとマグネシウムとを含む不活性炭化水素溶媒に可溶な錯体と、(ii)少なくとも1個のハロゲン原子を含有するチタン化合物とを反応させることにより生成することが好ましい。
次に、本発明における上記一般式(1)で表されるアルミニウムとマグネシウムとを含む不活性炭化水素溶媒に可溶な錯体について説明する。この錯体は一般式AlR で表される有機アルミニウム化合物と一般式MgR との反応により合成することが可能である。上記式中RないしRで表される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、好ましくはRはアルキル基である。アルミニウムに対するマグネシウムの比m/nは、任意に設定可能であるが、好ましくは0.1〜10、特に0.5〜10の範囲が好ましい。なお、本発明における不活性炭化水素溶媒とは、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンのような脂環式炭化水素を意味する。
次に、本発明における少なくとも1個のハロゲン原子を含有するチタン化合物について説明する。本発明におけるチタン化合物としては、例えば四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、エトキシチタントリクロリド、ブトキシチタントリクロリド、ジブトキシシタンジクロリド、トリブトキシシタンモノクロリド、これらの混合物、等が上げられ、四塩化チタンが好ましい。
本発明における、上記一般式(1)で表されるアルミニウムとマグネシウムとを含む不活性炭化水素溶媒に可溶な錯体と少なくとも1個のハロゲン原子を含有するチタン化合物との反応について説明する。本発明においては、本反応により不活性炭化水素溶媒に不溶な固体成分が生成する。本発明において、この反応には特に制限はないが、不活性炭化水素溶媒中で行われることが好ましく、―40℃以上100℃以下で行われることが好ましく、−30℃以上50℃以下で行われることがさらに好ましく、−25℃以上20℃以下で行われることがさらに好ましい。−40℃以上100℃以下であればこの反応が反応器内でほぼ均等にむらなく進行するため、生成する固体成分の粒径や特性に顕著な分布が発生する懸念を回避できる。これらの成分の反応比率には特に制限はないが、チタン原子に対するマグネシウム原子のモル比で0.2以上5以下であることが好ましく、0.5以上2以下であることがさらに好ましい。このモル比が0.2以上5以下であれば触媒活性が顕著に低下する懸念を回避できる。
本願発明では特定の構造を有する錯体を用いて調製されたチタン−マグネシウム複合型固体触媒により製造された特定のエチレン重合体組成物において、溶融張力が高く成型加工性に優れ、耐衝撃性に優れ、なおかつ熱安定性に優れたポリエチレン樹脂組成物を提供することができることは驚くべきことである。
次に本発明における有機アルミニウム化合物[B]について説明する。有機アルミニウム化合物[B]は下記一般式(2)により表されることが好ましい。
AlR (3−p) ・・・(2)
[式中、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基、アリロキシ基、またはシロキシ基からなる群に含まれる基であり、pは1以上3以下の実数である。]
本発明においては、上記の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ(2−メチルプロピル)アルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリ(3−メチルブチル)アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジ(2−メチルプロピル)アルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のハロゲン化アルミニウム化合物、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジ(2−メチルプロピル)アルミニウムブトキシド等のアルコキシアルミニウム化合物、ジメチルヒドロシロキシアルミニウムジメチル、エチルメチルヒドロシロキシアルミニウムジエチル、エチルジメチルシロキシアルミニウムジエチル等のシロキシアルミニウム化合物およびこれらの混合物が好ましく、トリアルキルアルミニウム化合物が特に好ましい。
かくして得られた触媒は、特にエチレンの重合およびエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合に対して、チタン当たりの活性が高く、かつ触媒当たりの活性が非常に高い特徴を有する。
重合溶媒としては、スラリー重合に通常使用される不活性炭化水素溶媒が用いられる。重合温度は室温以上120℃以下であり、50℃以上100℃以下であることが好ましい。重合圧力は常圧以上10MPa以下の範囲で実施される。得られる重合体の分子量は、重合系に存在させる水素の濃度を変化させるか、重合温度を変化させか、あるいは有機金属化合物[B]の濃度を変化させることによって調節することができる。
次に、実施例などに基づき、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例中のポリマーのメルトフローレート(MFR)は、JIS K7120に従い、東洋精機製メルトインデクサ−を用いて温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
実施例中のポリマーの密度は、JIS K7112の密度勾配管法により測定した。
実施例中のMIRは、JIS K7120に従い、東洋精機製メルトインデクサ−を用いて温度190℃、荷重21.6kgで測定される値を荷重2.16kgで測定される値で除すことにより算出した。
実施例中のスウェル比は、東洋精機製メルトインデクサ−を用いてMFRを測定する際に、190℃において21.6kgの荷重を用いてストランド状に10cm押出した後に空気中で冷却して得られた固体状のストランドの重量を測定して得られる値を、直径がオリフィスのストランド径である2.095mmであり長さが10cmの円柱状の該ポリエチレン樹脂組成物の重量で除すことにより得られた値である。
実施例中の溶融張力は、東洋精機製作所社製;キャピログラフ1Cを用い、温度190℃,オリフィス径2.095mm、オリフィス長さ8.02mm、ダウンスピード0.6cm/分の条件で溶融樹脂を押出し、巻取り機にて2.0m/分の速度で巻き取った時の荷重として測定した。単位はgである。
実施例中の溶融伸びは、MT測定と同条件で溶融樹脂を押出し、ストランドの巻取り速度を1m/1分の割合で上げていき、ストランドが破断する巻取り速度として測定した。単位は、m/分である。
実施例中の末端ビニル基含有量は、下記の方法により測定した。
1gの重合体を0.2mmのアルミ板上に載せた縦×横×厚みが5cm×5cm×0.5mmの金型に入れ、アルミ板を載せて180℃でプレスしてフィルムを作成した。このフィルムの赤外吸収スペクトルを日本分光製FT−IR5300Aを用いて測定した。ビニル基は910cm−1のピークの吸光度、重合体の密度、およびフィルムの厚みから、次式を用いて算出した。
末端ビニル基含量(個/100C)=0.114×ΔA/(t×d/1000)
{ただし、dは重合体の密度(kg/m)、ΔAはピークの吸光度、tはフィルムの厚み(mm)}
実施例中の引張衝撃強度はASTM−D1822に準拠し、厚さ1.1〜1.2mmのプレスシートからS型ダンベル試験片を切削し、−10℃で測定された。単位はJ/mである。
実施例中の耐ストレスクラッキング性は、なお、本発明の耐ストレスクラッキング性はJIS K 6922−2(ASTM D1693)に従って、界面活性剤としてIGEPAL CO 630(ローディア日華製)の10%水溶液を用いて、50℃にて測定した。
実施例中の触媒活性とは、チタン−マグネシウム複合型固体触媒成分1gあたり、一時間あたりのポリマー生成量(g)を表し、単位はg/g/hである。
実施例中の化合物および容器等は全て十分に脱水し脱酸素した後に使用した。
[実施例1]
(1)チタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]の調製
(1−1)不活性炭化水素溶媒に可溶な錯体の合成
ジブチルマグネシウム140gとトリエチルアルミニウム30gとを、ヘキサン1リットルと共に容量4リットルのステンレス製反応器にいれ、85℃で2時間撹拌しながら反応させることにより、組成AlMg(C(Cの錯体を合成した。
(1−2)固体成分の合成
容量8リットルのステンレス製反応器にヘキサン1.6リットルを添加し、これを−20℃に冷却した。この後、(1−1)で合成した錯体1リットルと0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液1リットルとを、同時に1時間かけて添加した。添加後、さらに−20℃で3時間反応させた。生成したスラリーを1時間沈降させた後、2リットルの上澄み液を除去し、2リットルのヘキサンを添加した、この操作を2回繰り返した。この反応により、120gの固体触媒[A−1]を調製した。
(2)重合
触媒として、固体触媒[A−1]とトリイソブチルアルミニウムを組み合わせて使用した。
最初に、1段目の重合では低分子量成分を製造するために、反応容積300リットルのステンレス製重合器1を用いた。γ線を使用した液面計により測定された重合器内の溶媒の体積とポリエチレンの体積との和は170Lであり、重合器から溶媒とポリエチレンとが定常的に抜き取られる体積あたりの速度は51リットル/hであった。従って、1段目の平均滞留時間は3.3時間であった。重合器1から低分子量成分は10kg/hの速度で抜き取られた。重合温度85℃、重合圧力1MPaの条件で、触媒は上記の固体触媒[A−1]を1g/h、上記の有機アルミニウム化合物[B−1]をAl原子換算で20ミリモル/h、またヘキサンは40リットル/hの速度で導入した。分子量調整剤としては水素を用い、エチレンと水素とを水素の気相濃度が69モル%、エチレンの供給量が10kg/hになるように重合器に供給し重合を行った。重合器1における触媒活性は3900g/g/hであった。重合器1で製造された低分子量成分のMFRは50g/10minであった。
ポリマースラリー中の水素を除去するため、重合器1内のポリマースラリー溶液を51リットル/hの速度で圧力0.15MPa、温度70℃のフラッシュドラムに導き、未反応のエチレン、水素を分離した後反応容積250リットルの重合器2にスラリーポンプで、ポリマースラリー溶液は51リットル/hの速度で、ヘキサンは95リットル/hの速度で、混合し昇圧して導入した。
次に、2段目の重合では高分子量成分を製造するために、反応容積300リットルのステンレス製重合器2を用いた。ポリマースラリー溶液とヘキサンとが合わせて146リットル/hの速度で重合器2に導入された。上記の有機アルミニウム化合物[B−1]をAl原子換算で47ミリモル/hで導入した。γ線を使用した液面系により測定された重合器内の溶媒の体積とポリエチレンの体積との和は146リットルであり、重合器から溶媒とポリエチレンとが定常的に抜き取られる体積あたりの速度は157リットル/hであった。従って、一段目の平均滞留時間は0.90時間であった。重合器2から、低分子量成分および高分子量成分からなるポリエチレン組成物は20kg/hの速度で抜き取られた。
重合器2では、温度83℃、圧力0.4MPaの条件下で、有機アルミニウム化合物[B−1]をAl原子換算で47.5ミリモル/hの速度で導入した。これに、エチレン、水素、1−ブテンを、全圧3.4MPa、水素の気相濃度が21モル%、1−ブテンの気相濃度が0.04モル%、エチレンの供給量と1−ブテンの供給量との和が10kg/hになるように重合器に導入して、重合器1で生成した低分子量部分と、重合器2で生成した高分子量部分の重量比(高分子量部分)/(低分子量部分)が50/50となるように高分子量部分を重合した。重合器2における重合活性は13400g/g/hであった。
上記重合により、MFRが0.46g/10分、MIRが89.3、密度が964kg/mであるパウダー状のポリエチレンを製造した。
(3)物性測定
上記重合により得られたパウダーを乾燥し、造粒することによりペレットを得た。このペレットを用いて物性測定を行った。その結果を表1に示す。
[比較例1]
(1)チタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]の調製
(1−1)不活性炭化水素溶媒に可溶な錯体の合成
ジブチルマグネシウム138gとトリエチルアルミニウム28.5gとを、ヘキサン1リットルと共に容量4リットルのステンレス製反応器にいれ、85℃で2時間撹拌しながら反応させることにより、組成AlMg(C(Cの錯体を合成した。続いて、この溶液を10℃に冷却し、1−オクタノール0.5モルを含有するヘキサン溶液0.5リットルを撹拌しながら、溶液の温度は10℃に保つように冷却しながら添加することにより、アルコキシ基含有有機アルミニウム−マグネシウム錯体を合成した。この溶液の一部を分取して加水分解した後に金属およびアルコールを定量することにより、上記錯体の組成はAlMg(O−C17(C2.7(C6.7であることが確認された。
(1−2)固体成分の合成
容量8リットルのステンレス製反応器にヘキサン1.6リットルを添加し、これを−20℃に冷却した。この後、(1−1)で合成した錯体1リットルと0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液1リットルとを、同時に1時間かけて添加した。添加後、さらに−20℃で3時間反応させた。生成したスラリーを1時間沈降させた後、2リットルの上澄み液を除去し、2リットルのヘキサンを添加した、この操作を2回繰り返した。この反応により、118gの固体触媒[A−2]を調製した。
(2)エチレンの重合
上記触媒を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、MFRが0.42g/10分、MIRが76.7、密度が964kg/mであるパウダー状のポリエチレンを製造した。
(3)物性測定
上記重合により得られたパウダーを乾燥し、造粒することによりペレットを得た。このペレットを用いて物性測定を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005313010
本発明により、溶融張力が高く成型加工性に優れ、耐ストレスクラッキング性に優れ、なおかつ熱安定性に優れたポリエチレン樹脂組成物を提供することができるため、各種ポリエチレン成型品、特に吹き込み成型品として好適に利用される。

Claims (2)

  1. 少なくとも低分子量成分を重合する工程と高分子量成分を重合する工程とをその構成に含む多段重合を利用し、下記の(a)および(b)の要件を満たすポリエチレン樹脂組成物の製造方法から得られ、
    (a)多工程重合における低分子量成分を重合する工程において、
    (a−1)重合器内の気相部における水素濃度が40モル%以上90モル%以下である
    (a−2)重合器で製造されるポリエチレンのポリエチレン樹脂組成物全体に対する割合が、40重量%以上70重量%以下である
    (a−3)重合器で製造されるポリエチレンのMFRが1g/10min以上1000g/10min以下である
    (b)この多段重合に使用される触媒がチタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]と有機アルミニウム化合物[B]からなり、
    (b−1)チタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]が、
    (i)一般式(1)
    Al Mg 3n 2m ・・・(1)
    [式中、R およびR はそれぞれ独立して、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基を表し、nとmとは0よりも大きい値であり、m/nは0.1以上10以下である。]
    で表されるアルミニウムとマグネシウムとを含む不活性炭化水素溶媒に可溶な錯体と、
    (ii)少なくとも1個のハロゲン原子を含有するチタン化合物とを反応させることにより、不活性炭化水素溶媒に不溶な固体成分として生成し、
    (b−2)有機アルミニウム化合物[B]が下記一般式(2)により表される。
    AlR (3−p) ・・・(2)
    [式中、R は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基、アリロキシ基、またはシロキシ基からなる群に含まれる基であり、pは1以上3以下の実数である。]
    (b−3)当該多段重合に使用される触媒が、以下のオレフィン重合用触媒を除く。
    固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分[A]が、不活性炭化水素溶媒に可溶である一般式1で表される有機マグネシウム化合物と一般式2で表される塩化珪素化合物との反応により合成される担体にチタン化合物を担持することにより調製されたものであり、当該チタン化合物の担体への担持が、実質的に、当該チタン化合物と還元剤との反応によって行われることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
    一般式1:(M α (Mg) β (R (R
    {式中、M は周期律表第1族および第3族からなる群に属する金属原子であり、R およびR は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、α、β、aおよびbは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、kα+2β=a+b(ただし、kはM の原子価を表す整数である。)}
    一般式2:H SiCl (R (4−(c+d))
    (式中、R は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、cとdは次の関係を満たす実数である。0<c≦4、0<d≦4、0<c+d≦4)
    下記の要件を満たすことを特徴とする、ポリエチレン樹脂組成物。
    (A)MFRが0.05g/10min以上2.0g/10min以下である。
    (B)密度が950kg/m以上967kg/m以下である。
    (C)MIRが65以上120以下である。
    (D)スウェル比が1.50以上1.80以下である。
    (E)溶融張力が6.5g以上8.2g以下である。
    (F)溶融伸びが21m/min以上28m/min以下である。
    (G)末端ビニル含有量が0.02個/1000C以上0.15個/1000C以下である。
    (H)耐ストレスクラッキング性が10時間以上である。
    (I)引張衝撃強度が80kJ/m以上である
  2. 少なくとも低分子量成分を重合する工程と高分子量成分を重合する工程とをその構成に含む多段重合を利用したポリエチレン樹脂組成物の製造方法であり、下記の(a)および(b)の要件を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
    (a)多工程重合における低分子量成分を重合する工程において、
    (a−1)重合器内の気相部における水素濃度が40モル%以上90モル%以下である
    (a−2)重合器で製造されるポリエチレンのポリエチレン樹脂組成物全体に対する割合が、40重量%以上70重量%以下である
    (a−3)重合器で製造されるポリエチレンのMFRが1g/10min以上1000g/10min以下である
    (b)この多段重合に使用される触媒がチタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]と有機アルミニウム化合物[B]からなり、
    (b−1)チタン−マグネシウム複合型固体触媒[A]が、
    (i)一般式(1)
    AlMg 3n 2m・・・(1)
    [式中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基を表し、nとmとは0よりも大きい値であり、m/nは0.1以上10以下である。]
    で表されるアルミニウムとマグネシウムとを含む不活性炭化水素溶媒に可溶な錯体と、
    (ii)少なくとも1個のハロゲン原子を含有するチタン化合物とを反応させることにより、不活性炭化水素溶媒に不溶な固体成分として生成し、
    (b−2)有機アルミニウム化合物[B]が下記一般式(2)により表される。
    AlR (3−p) ・・・(2)
    [式中、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基、アリロキシ基、またはシロキシ基からなる群に含まれる基であり、pは1以上3以下の実数である。]
    (b−3)当該多段重合に使用される触媒が、以下のオレフィン重合用触媒を除く。
    固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分[A]が、不活性炭化水素溶媒に可溶である一般式1で表される有機マグネシウム化合物と一般式2で表される塩化珪素化合物との反応により合成される担体にチタン化合物を担持することにより調製されたものであり、当該チタン化合物の担体への担持が、実質的に、当該チタン化合物と還元剤との反応によって行われることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
    一般式1:(Mα(Mg)β(R(R
    {式中、Mは周期律表第1族および第3族からなる群に属する金属原子であり、RおよびRは炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、α、β、aおよびbは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、kα+2β=a+b(ただし、kはMの原子価を表す整数である。)}
    一般式2:HSiCl(R(4−(c+d))
    (式中、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、cとdは次の関係を満たす実数である。0<c≦4、0<d≦4、0<c+d≦4)
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