JP2716615B2 - エチレン系重合体組成物の製造方法 - Google Patents

エチレン系重合体組成物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にインフレーション
成形、中空成形のごとき成形用途に好適な物性を有する
エチレン系重合体組成物を優れた触媒効率で製造するこ
とができるエチレン系重合体組成物の製造方法に関す
る。更に詳しくは、特定の触媒を用いてオレフィンの3
段重合により、溶融時の溶融張力が分子量の割に高く、
また溶融弾性(ダイスエル比)も高いという特性を持っ
たエチレン系重合体組成物を効率よく製造する方法に関
するものである。
【従来の技術】
【0002】オレフィン重合体の成形においては、近年
ますます高速化、形態の複雑化、精密化、大型化が進行
しており、一方、成形条件の変化や変動に対する適応性
も求められている。例えば、インフレーションフィルム
は高速で成形する場合でかつ多少の条件の変動があって
もバブルのゆれが少なく安定して成形されることが求め
られている。中空成形の分野においては、大型であって
もドローダウン現象が起こりにくいこと、ピンチオフ部
の融着性が良好なこと等が望ましい。
【0003】成形品の良好な物性を保ったまま、上記の
成形加工上の要求を出来るだけ満足させるためには、一
定の平均分子量、MFRを持ち、分子量分布がある程度
以上広く、かつ溶融時の溶融張力(メルトテンション)
が分子量の割に高いことが望ましく、このことがほぼ必
要条件に近いと一般に考えられている。又溶融弾性(ダ
イスエル比)がある程度高いことが好ましい。
【0004】このような平均分子量、MFRの割に高い
溶融張力を持ったエチレン系重合体又はその組成物を製
造するために各種の方法が提案されている。これらの方
法は、ラジカル発生剤を混合する方法(特開昭58−
29841,特開昭59−89341等)、触媒の種
類を選択する方法(特開昭63−304006,特願平
2−75606等)、実質上特定の触媒や重合条件を
用いて超高分子量成分を製造する工程を含む多段重合に
よる方法(特公昭59−10724,特開昭59−22
7913,特開昭61−14207,特開昭61−13
0310,特開昭62−25105,特開昭64−79
204,特開平2−155906等)等に分類される。
【0005】このうち、ラジカル発生剤による方法は、
樹脂の劣化や他の添加剤との反応のおそれがある等の問
題点があり、触媒の種類のみによる方法では溶融張力の
向上が十分でない。また多段重合による方法については
最近多数の特許出願がされており、その多くは特許請求
の範囲に広範囲の触媒が使用できるように記載されてい
るものの、実質的には限定された触媒と重合条件の組合
せでオレフィン重合を行なうことにより、特定の分子量
範囲や共重合組成の超高分子量成分を特定量含有するエ
チレン系重合体組成物が得られている。又混合相手とな
る低分子量成分の数や分子量の共重合組成の範囲も個々
の場合で異なっている。これは、同じ極限粘度〔η〕の
超高分子量重合体でも触媒等によって分子量分布や構造
が異なり溶融張力に対する効果や適当な混合相手も異な
るためであろう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようにこれまでに
開示された技術では、あるものは溶融張力の改善が十分
でなく、又一般的に、使用する触媒の種類が限定される
うえに、それぞれの技術(触媒)を適用して所望の物性
を有するエチレン系重合体組成物を得るためには、重合
体中の超高分子量成分の極限粘度〔η〕や含量等が特定
の狭い範囲のものでなければならないという問題があっ
た。例えば、遷移金属としてチタンとバナジウムを併用
する点では本発明と共通する触媒を使用している特開昭
61−130310では極限粘度〔η〕が20以上でな
いと効果がない。特公昭59−10724の技術(触
媒)の適用範囲は超高分子量成分含量1.0〜10%で
ある。特開昭59−227913では超高分子量成分の
極限粘度〔η〕が11(好ましくは12)以上、含量が
5〜23%に限られる上に、最終重合体の〔η〕が2.
5(好ましくは3.0)以上でなければならない。一
方、特開昭62−25105では含量は5%以下でかつ
超高分子量成分は30℃未満で重合されなければならな
い。他の特許出願にも類似の狭い限定がある。
【0007】プラントで使用される触媒や重合体の組成
等がこのような限定を持つ事、特に超高分子量成分の極
限粘度〔η〕の下限が高いことや適用できる超高分子量
成分の含量の幅が狭いことは、その触媒で生産できる高
い溶融張力を持った製品の種類を限定し多様なニーズに
基づく物性バランスの変更や製造コスト上の配慮による
変更を困難にするため工業的に非常に不都合である。
又、一部の特許出願では重合温度を狭い範囲に限定して
いるがこれも不都合である。このため、超高分子量成分
を極少量から多量にまで含有させることができ、広い含
量にわたってブツ、ゲル等を生成せず高い溶融張力を発
現でき、しかも混合不良に由来する物性加工性の低下を
避ける為比較的低い極限粘度の超高分子量成分でそれを
可能にする触媒・プロセスの開発が要望されていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、3段重合
用触媒として、高活性で、超高分子量成分の合成に重合
温度等に特別の制限が無く、極少量から多量の超高分子
量成分の含量にわたってブツ、ゲル等を生成せず高い溶
融張力を発現でき、比較的低い極限粘度の超高分子量成
分でそれを可能にする触媒の探求に鋭意努めた結果、チ
タンとバナジウムを含有し特定の方法で合成した遷移金
属成分を用いることにより上記の目標を達成できること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、遷移金属化合物および
有機アルミニウム化合物から成る触媒の存在下でエチレ
ン系重合体を製造するにあたり、遷移金属化合物とし
て、下記(A)、(B)、(C)、(D)の各成分、 (A)ヒドロポリシロキサンとグリニヤール試薬を反応
させて得られる化合物、または該化合物にさらにアルコ
ール、アルデヒドおよびケトンより選ばれる1種類以上
の親核的試薬を反応させて得られる化合物 (B)一般式(I)で表わされるチタン化合物 Ti(OR)m 4-m ……(I) (R,はC1 〜C12の炭化水素基、Xはハロゲン原子、
0≦m≦4) (C)一般式(II)または(III )で表わされるバナジ
ウム化合物 V0(OR1 n 3-n …(II) (R1 はC1 〜C12の炭化水素基、Xはハロゲン原子、
0≦n≦3) VX4 ……(III ) (Xはハロゲン原子) (D)ハロゲン化ケイ素化合物、および/またはハロゲ
ン化有機アルミニウム化合物 を、成分(D)を最後に反応させる方法で反応させて得
られる生成物を用い、かつ、重合工程として (a)工程:極限粘度〔η〕が0.4以上1.5以下で
あるポリオレフィンを生成する工程 (b)工程:極限粘度〔η〕が0.7以上6以下である
ポリオレフィンを生成する工程 (c)工程:極限粘度〔η〕が6以上20以下であるポ
リオレフィンを生成する工程 の3工程を任意の順序で行ない、各工程における重合量
を、重量比で、{(a)工程の重合量+(b)工程の重
合量}:(c)工程の重合量=100:0.3〜10
0:40、(a)工程の重合量:(b)工程の重合量=
70:30〜30:70となるように調整して、エチレ
ン又はエチレンとαオレフィンを重合もしくは共重合さ
せ、最終生成物の極限粘度〔η〕を1〜3.3とせしめ
ることを特徴とするエチレン系重合体組成物の製造方法
である。
【0010】本発明においてエチレン系重合体とは、エ
チレン単独重合体又はエチレンとエチレンに対し20%
以下の他のオレフィンとの共重合体をいう。
【0011】本発明の成分(A)の合成に使用されるヒ
ドロポリシロキサンは一般式 R2 a b SiO (R2 はC1 〜C12の炭化水素基またはアルコキシ基あ
るいはフェノキシ基、aは0または1、bは1または2
でかつa+b=2である。)で表される構造単位をもつ
鎖状または環状の含ケイ素化合物である。ヒドロポリシ
ロキサンの重合度は特に限定する必要はなく液状低重合
物から固体状のものまで使用できる。ヒドロポリシロキ
サンの末端構造は特に大きな影響を及ぼさず、不活性基
例えばトリアルキルシリル基またはヒドロアルキルシリ
ル基で封鎖されていてもさしつかえない。具体的な例と
しては、テトラメチルジシロキサン、テトラエチルジシ
ロキサン、ジフェニルジシロキサン、トリメチルシクロ
トリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサ
ン、メチルヒドロポリシロキサン、フェニルヒドロポリ
シロキサン、エトキシヒドロポリシロキサン、シクロオ
クチルヒドロポリシロキサン、クロルフェニルヒドロポ
リシロキサンが挙げられるが、これらのヒドロポリシロ
キサンの中でもR2 がアルキル基またはフェニル基であ
るものが一般的である。
【0012】成分(A)合成のもう一方の原料として使
用されるグリニヤール試薬は、含ハロゲン有機化合物と
金属マグネシウムとの反応で得られる一般式 (MgR3 2p ・(MgR3 X)q (R3 はC1 〜C12の炭化水素基、Xはハロゲン原子、
また、pおよびqは0〜1の数を表し、p+q=1)で
示される化合物、およびそのエーテル錯体、またはそれ
らの混合物である。例えばp=0,q=1の場合は、い
わゆる狭義のグリニヤール試薬であってMgR3 Xであ
る。p=1,q=0の場合はMgR3 2で示されるジヒド
ロカルビルマグネシウムである。p,qが中間の種々の
値をとった場合は、(MgR3 2p ・(MgR3 X)q
で示される有機ハロゲン化マグネシウムであるが、その
中ではMgR3 Xが最も一般的に用いられる。
【0013】上記グリニヤール試薬は公知の方法で、ジ
エチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン等のエーテル系溶媒中で、またはヘプタン、トルエン
等の炭化水素系溶媒中適当量のエーテル、アミン等の錯
化剤の存在下において容易に合成される。
【0014】一般式MgR3 Xの具体例としては、メチ
ルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロラ
イド、エチルマグネシウムブロマイド、n−プロピルマ
グネシウムクロライド、n−ブチルマグネシウムクロラ
イド、tert−ブチルマグネシウムクロライド、n−
オクチルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウ
ムクロライド、が挙げられる。また、一般式MgR3 2
具体例としては、ジエチルマグネシウム、ジ−n−プロ
ピルマグネシウム、n−ブチルエチルマグネシウム、ジ
−tert−ブチルマグネシウム、ジ−n−オクチルマ
グネシウム、ジフェニルマグネシウム、が挙げられる。
【0015】ヒドロポリシロキサンとグリニヤール試薬
を反応させる方法としては次の様な方法がとられる。適
当な溶媒中で合成したグリニヤール試薬に、撹拌しなが
らヒドロポロシロキサンをゆっくり添加し、全量添加後
加熱して所定時間反応させる。あるいはグリニヤール試
薬を合成するときと同じように、適当な溶媒中に金属マ
グネシウムを分散させ撹拌しながら含ハロゲン有機化合
物とヒドロポリシロキサンの混合物を所定の温度で滴下
したのち所定時間反応させてもよい。反応は、20〜1
00℃好ましくは30〜80℃で1〜5時間行なう。1
00℃以上ではSi−H結合が分解し好ましくない。ヒ
ドロポリシロキサンとグリニヤール試薬との仕込比はM
gR3 :Si(mol比)で1:1〜1:20、好まし
くは1:1〜1:5である。
【0016】MgR3 Xとメチルヒドロポリシロキサン
の反応は、次のように進行することが知られている。
【0017】ヒドロポリシロキサンとグリニヤール試薬
の反応物は、テトラヒドロフラン中で合成したグリニヤ
ール試薬を用いた場合は溶液で得られ鎖状のエーテル化
合物を使用した場合には懸濁状で得られる。
【0018】成分(A)は上記ヒドロポリシロキサンと
グリニヤール試薬との反応生成物をそのまま用いること
もできるが、この反応生成物に更に親核的試薬を反応さ
せてもよい。ここに用いられる親核的試薬はアルコー
ル、アルデヒドおよびケトンであり、その具体例として
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−
ブタノール、sec−ブタノール、オクタノール、2−
エチルヘキサノール、n−デカノール、ステアリルアル
コール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フ
ェノール、クレゾール、ホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド、プロピルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、
イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソヘキサ
アルデヒド、n−オクチルアルデヒド、2−エチルヘキ
サアルデヒド、デカアルデヒド、ステアルアルデヒド、
ベンズアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ジ
−n−ブチルケトン、ジ−n−オクチルケトン、エチル
ヘキシルケトン、ベンゾフェノン、シクロヘキサノンが
挙げられる。
【0019】ヒドロポリシロキサンとグリニヤール試薬
を反応させて得られる化合物と上記親核的試薬との反応
は、該化合物に親核的試薬を撹拌下に滴下することによ
って行なわれる。滴下終了後、30〜100℃で1〜5
時間反応させることが好ましい場合もある。この反応は
炭化水素溶媒中で行なう事も出来る。親核的試薬の使用
量は、ヒドロポリシロキサンとグリニヤール試薬を反応
させて得られる化合物中のSi−H基1mol当り1.
0mol以下であり、かつ、Mg1g−atomに対し
て0.5mol以上が好ましい。親核的試薬の使用量が
上記Si−H基1mol当り1.0mol以上にすると
触媒活性の低下を招く場合があり、Mg1g−atom
に対して0.5mol以下ではグリニヤール試薬の溶媒
であるエーテル化合物の除去が不十分となり好ましくな
い。
【0020】ヒドロポリシロキサンとグリニヤール試薬
の反応物もしくは該反応物と親核的試薬との反応混合物
からグリニヤール試薬の溶媒であるエーテル化合物を除
去し、不活性炭化水素に可溶または懸濁状の成分(A)
を得る方法としては、反応混合物にエーテルより高沸点
の不活性炭化水素を添加し蒸留でエーテル化合物を溜去
する方法がのぞましい。この際の釜温は、150℃以
下、特に100℃以下が好ましい。釜温が150℃以上
に上昇すると副反応物の生成が多くなり触媒活性が低下
する。成分(A)中のエーテル化合物残量は少ない程良
く、Mg1g−atom当り0.4mol以下、特に
0.2mol以下が好ましい。
【0021】本発明の成分(B)に用いられるチタン化
合物は下記一般式(I)で表わされる。 Ti(OR)m 4-m ……(I) (RはC1 〜C12の炭化水素基、Xはハロゲン原子、好
ましくは塩素原子、0≦m≦4) これらの具体例とし
て、TiCl4 ,TiBr4 ,Ti(OC4 9 3
l,Ti(OC4 9 2 Cl2 ,Ti(OC4 9
Cl3 ,Ti(OC4 9 4 ,Ti(OC3 7 3
Cl,Ti(OC3 7 4 ,Ti(OC2 6 4
を挙げることができる。
【0022】本発明の成分(C)に用いられるバナジウ
ム化合物は一般式(II)又は(III)で表わされ
る。 VO(OR3−n …… (II) (RはC〜C12の炭化水素基、Xはハロゲン原
子、0≦n≦3) VX……(III) (Xはハロゲン原子)
【0023】これらの具体例として、VOCl3 ,VO
(OC25 )Cl2 ,VO(OC2 5 2 Cl,V
O(OC3 7 )Cl2 ,VO(OC4 9 )Cl2
VO(OC2 5 3 ,VO(OC4 93 ,VCl
4 等を挙げる事が出来るが、これらのバナジウム化合物
のうち、特に一般式(II)のバナジウム化合物でXが塩
素原子であるものが一般的である。
【0024】本発明の成分(B)及び成分(C)は、炭
化水素溶媒に可溶の場合は炭化水素溶液として用いるの
が便利である。
【0025】本発明の成分(D)に用いられるハロゲン
化ケイ素化合物は、好ましくは一般式R4 r SiX4-r
(R4 は水素原子またはC1 〜C8 の炭化水素基、Xは
ハロゲン原子、かつ0≦r≦3)で表される化合物であ
る。その具体例としては、SiCl4 ,SiBr4 ,H
SiCl3 ,CH3 SiCl3 ,C2 5 SiCl3
n−C3 7 SiCl3 ,C6 5 SiCl3 ,(CH
3 2 SiCl2 ,(C2 5 2 SiCl2 ,(CH
3 3 SiClを挙げる事が出来る。
【0026】又、ハロゲン化有機アルミニウム化合物
は、一般式R5 s AlX3-s (R5 はC1 〜C12の炭化
水素基、Xはハロゲン原子、かつ1≦s≦2)で表され
る化合物である。その具体例としては、(CH3 2
lCl,CH3 AlCl2 ,(C2 5 2 AlCl,
2 5 AlCl2 ,(C2 5 1.5 AlCl1.5
(i−C4 9 2 AlCl,(i−C4 9 )AlC
2 ,(n−C9 172 AlCl等を挙げる事ができ
るが、(C2 5 2 AlCl,C2 5 AlCl2
(C2 5 1.5 AlCl1.5 等のアルキルアルミニウ
ムクロライドが好適に使用される。
【0027】(D)成分として上記ハロゲン化ケイ素化
合物、ハロゲン化有機アルミニウム化合物はそれぞれ単
独で又は両者の混合物として用いることができる。
【0028】次に、成分(A),(B),(C),
(D)間の配合割合について述べる。遷移金属原料成分
である成分(B)及び(C)は、成分(A)中のMg1
g−atomに対し、成分(B)は0.001〜0.5
molが、成分(C)は0.01〜1molが必要であ
る。この範囲を外れると本発明の効果が得られなかった
り、活性が著しく低下したりする。好ましい配合範囲
は、それぞれ0.01〜0.3molと0.03〜0.
5molである。成分(D)は、成分(A)中のMg1
g−atomに対し、ハロゲン化ケイ素化合物が0.1
〜5.0mol、好ましくは0.5〜2.0、ハロゲン
化有機アルミニウム化合物の場合は0.1〜50mo
l、好ましくは0.5〜10molとなるような割合で
配合される。
【0029】遷移金属原料成分である成分(B)及び
(C)はあらかじめ混合反応させて用いることもでき
る。この場合はn−ヘキサン、デカリン、トルエン等の
炭化水素溶媒中、20〜150℃で行なうのが好まし
い。
【0030】本発明において遷移金属化合物は成分
(A)、(B)、(C)および(D)の反応によって得
られるが、そのうち成分(D)は最後に反応させる必要
がある。これ以外の順序では、本発明の各成分を用いて
も、活性が非常に低下したり本発明の特徴が得られなく
なる。成分(A),(B),(C)間の反応順序は特に
限定しないが、遷移金属原料成分である成分(B)と
(C)を混合反応させ、その反応混合物と成分(A)を
反応させるのが通常の方法である。
【0031】上記各成分の反応は、n−ヘキサン、デカ
リン、トルエン等の脂肪属又は芳香属炭化水素溶媒中で
行なうことが望ましい。また、いずれの反応において
も、反応温度は10〜100℃、反応時間は10分〜5
時間である。
【0032】反応終了後、反応生成物はそのまま本発明
の触媒を構成する遷移金属化合物として使用することが
できる。また、この反応生成物を濾過して得た固体成
分、更にこれをヘキサン、ヘプタン及び灯油等の不活性
炭化水素溶媒で洗浄して得た固体成分のいずれも本発明
の目的を達成する為の触媒を構成する遷移金属化合物と
して用いられる。
【0033】本発明の触媒を構成するもう一つの成分で
ある有機アルミニウム化合物は、一般式R4 c AlY
3-C (R4 はC1 〜C12の炭化水素基、Yは水素原子、
ハロゲン原子またはアルコキシド基、かつ1≦c≦3)
で表される化合物である。その具体例としては、Al
(CH3 3 ,Al(C2 5 3 ,Al(i−C4
9 3 ,(C2 5 2 AlCl,(C2 5 1.5
lCl1.5 ,(C2 5 2 AlH,(i−C4 9
2 AlCl,(i−C4 9 2 AlH,(C2 5
2 Al(OC2 5 )を挙げることが出来る。
【0034】本発明のオレフィンの重合に使用される触
媒は、上記遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物と
を接触させることにより容易に調整できる。両者の割合
は、上記遷移金属化合物中のTiとVのg−atom数
の合計と有機アルミニウム化合物のmol数の比で1:
1〜1000、好ましくは1:10〜200である。
【0035】本発明の効果は、上記の触媒を用いてオレ
フィンを前述したような3段階で重合させることによっ
てえられる。(a),(b),(c)各工程では、それ
ぞれ異なった極限粘度をもつエチレン系重合体が、最終
生成物に対して特定の量だけ製造される。これは、最終
生成物が、中空成形品や押出成形品、フィルム成形品と
してバランスのとれた物性加工性を持つ為に必要である
と同時に、本発明の触媒によって製造された特徴ある超
高分子部分が全体と良く混合し、本発明の効果、即ち、
MFRの割に高い溶融張力を持つ重合体組成物を比較的
極限粘度の低い超高分子量成分を含有させることによっ
て得ることを発現する為に必要な条件である。そしてこ
の超高分子量成分の含有量は微量から多量まで幅広い範
囲とすることができる。
【0036】(a)工程で製造されるエチレン系重合体
の極限粘度が0.4以下の場合これと良く混合するよう
に(b),(c)両工程の極限粘度を選ぶと全体に分子
量の小さい部分が多くなり過ぎ最終生成物の強度が低下
して好ましくない。一方、強度が維持されるように
(b),(c)両工程の極限粘度を選ぶと、(b),
(c)両工程成分と(a)工程成分との混合が良くなく
最終生成物を成形したときにブツ、ゲルやフィッシュア
イが生じてしまう。また(b)工程で製造されるエチレ
ン系重合体の極限粘度が6以上になると(a)工程で製
造される成分との混合が良くなく、前記と同様の結果を
生じる。(a)工程で製造されるエチレン系重合体の極
限粘度が1.5以上になると最終生成物の成形加工時の
流動性が不足する。(a),(b)両工程で製造される
エチレン系重合体の極限粘度がそれぞれの下限値以下の
場合は、超高分子量成分である(c)工程成分と
(a),(b)両工程成分の混合が不十分になり、ブ
ツ、ゲルを生じたり、場合によってはMFRの割に高い
溶融張力を得ることができない。
【0037】更に超高分子量成分である(c)工程成分
の極限粘度が6以下の場合は、本発明の特徴である「M
FRの割に高い溶融張力」を得ることができない。一
方、(c)工程成分の極限粘度が20以上の場合は、
(a),(b)両工程成分との混合が不十分で最終生成
物を成形したときにブツ、ゲルやフィシュアイが生じ、
又、溶融弾性の剪断速度依存性が大きくなる。
【0038】本発明による方法では、超高分子量成分で
ある(c)工程で製造されるエチレン系重合体の混合量
は、(a),(b)両工程で製造されるエチレン系重合
体の合計量の0.3%〜40%である。このように、所
望の物性を与えるのに効果的な超高分子量成分の混合量
が、微量から比較的多量まで幅広くとれること、しかも
比較的低い極限粘度の超高分子量成分で可能なことが、
本発明の特徴である。しかしこれが0.3%以下になる
と本発明の特徴である「MFRの割に高い溶融張力」を
得ることができない。また40%以上では(a),
(b)両工程で製造されるエチレン系重合体との混合が
不十分になり、上に述べた欠点を生じる。
【0039】(a)工程で製造されるエチレン系重合体
と(b)工程で製造されるエチレン系重合体の重量比
は、70:30〜30:70の範囲である。この範囲外
では、両成分相互の混合が不十分になるか、超高分子量
成分である(c)工程で製造されるエチレン系重合体と
の混合が良好でなく、本発明の目的を達成できない。
【0040】以上の条件を満たす限りにおいて、
(a)、(b)及び(c)の3工程の実施順序はいずれ
の順序でも本発明の効果を得ることができる。但し、
(c)工程生成物の混合割合が小さい場合は(c)工程
を最初に実施する方が重合装置の効率上望ましい。
【0041】最終生成物の極限粘度〔η〕は1以上3.
3以下であり、この極限粘度範囲は190℃、2.16
Kg荷重におけるMFRが0.02〜3.8g/10分
に相当する。極限粘度が1未満では全体の分子量が低す
ぎて物性が劣り、3.3を超えると加工性が悪くなり、
いずれも本発明の目的に適合しない。本発明においては
最終生成物の極限粘度〔η〕が3.3以下という、比較
的分子量が小さいにもかかわらず、溶融張力及びダイス
エル比の大きい重合体が得られる。これは本発明の大き
な特徴の一つである。
【0042】本発明の方法は、特にエチレンの重合体及
びエチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン1
−オクテン等のα−オレフィンとの共重合体から成る組
成物の製造に有用である。エチレンとα−オレフィンと
の共重合体の場合、α−オレフィンは3段重合の全部、
あるいは一部の工程のみに導入することができるが、特
に(c)工程においてエチレン重合を行ない、(a)
(b)両工程にて共重合を行なう方法、あるいは3工程
をすべて共重合で行なう方法が好ましい。共重合体中の
α−オレフィンの含量は、α−オレフィンの種類によっ
ても異なるがエチレンに対し0〜20モル%である。
【0043】本発明の重合方法は、スラリー重合、気相
重合、溶液重合何れの重合方法にも適用できる。重合圧
力は、常圧〜50kg/cmである。本発明におい
て、各重合工程の極限粘度の調節は導入する水素の分圧
および重合温度を用いて行なう。また、各工程における
重合量の調節は、バッチ重合の場合はエチレンまたはエ
チレンとαオレフィンの仕込量の積算値を用いて、連続
重合の場合は3基の重合槽への単位時間当りのエチレン
またはエチレンとαオレフィンの仕込量を調節すること
によって行なう。
【0044】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】実施例等における共通の物性測定方法は次
の通りである。 MFR:JIS k 7210 温度 190℃、荷重2.16kgのときのメルトイン
デックス 極限粘度〔η〕:デカリン中 135℃で測定した。 溶融張力:東洋精機製作所製メルトテンションテスター
を用い、樹脂温度190℃、押出速度 10mm/mi
n、巻取り速度6.28m/min、ノズル径2.09
mmφ、ノズル長さ8.0mmの条件で測定した。 ダイスエル比:メルトインデックス測定装置を用い、樹
脂温度190℃、剪断速度300sec-1 で押出した
パリソンの冷却後のストランド径のオリフィス径に対す
る半径方向の膨張度(%)を下記の式により測定した。
ダイスエル比(%)=[(D−D 0 )/D 0 ]×100 (D 0 :オリフィス径、D:ストランド径
【0046】実施例1 (1)遷移金属触媒成分の製造 予め内部を良く乾燥、窒素置換したガラス反応器にn−
ブチルマグネシウムクロライド(0.670mol)の
テトラヒドロフラン溶液300mLを仕込み、末端をト
リメチルシリル基で置換したメチルヒドロポリシロキサ
ン(25℃での粘度30センチストークス)42.0m
L(Siとして0.7g−atom)を撹拌下冷却しな
がら徐々に滴下した。全量添加後、70℃で1時間撹拌
し、室温まで冷却して暗褐色の溶液を得た。この溶液に
トルエン400mLを添加後、約160mmHgの減圧
下でテトラヒドロフランとトルエンの混合液480mL
を蒸留除去した。さらに、再度トルエン480mLを添
加後、同様の減圧下でテトラヒドロフランとトルエンの
混合液480mLを蒸留除去した。得られた溶液をトル
エンで希釈し、成分(A)のトルエン溶液(Mg:1.
35mol/L)を得た。
【0047】次に、内部を良く乾燥、窒素置換したガラ
ス反応器にトルエン200mLを採取し、撹拌しながら
Ti(Oi−C3 7 4 7.5mL(25mmol)
及びVOCl3 9.5mL(100mmol)を加え、
80℃で1時間反応を行なった後室温に冷却した。
【0048】予め内部を良く乾燥、窒素置換したガラス
反応器にトルエン40mL及び上記で得た成分(A)の
トルエン溶液を50mL(Mg:67.5mmol)採
取した。撹拌しながら上記で得たチタン成分とバナジウ
ム成分の混合液29.3mL(Ti:3.37mmo
l,V:13.5mmol)をゆっくり添加し、50℃
で1時間反応させた。ついで、SiCl4 67.5mm
olを含むトルエン溶液17.6mLを撹拌下でゆっく
り滴下し、更に50℃で1時間反応させた。続いてEt
AlCl2 270mmolを含むトルエン溶液90mL
を撹拌しながら30分間で滴下し、終了後、更に70℃
で1時間反応させた。得られたスラリーにn−ヘキサン
を加え、可溶性成分を傾斜濾別した。この操作を6回繰
返して、固体の遷移金属触媒成分を得た。この遷移金属
触媒成分を分析した結果、固体1g中にMg165m
g,Ti18.4mg,V70.1mgが含まれてい
た。
【0049】(2)エチレンの重合及び共重合 内部を乾燥し、エチレン置換した1.5L容のステンレ
ス製オートクレーブにn−ヘキサン600mLを仕込
み、40℃に昇温、Al(i−C4 9 3 10mmo
lを添加した後、(1)で製造した固体の遷移金属触媒
成分100mgを加え、続いて水素を0.10kg/c
2を導入し、内温を40℃に保ったままでエチレンを
連続的に導入しながら、全圧4.5kg/cm2 −Gで
(c)工程の重合反応を行なった。11.7Lのエチレ
ンが消費された時点でエチレン供給を止め残留エチレン
を窒素置換した後冷却し、フラスコに移し秤量したとこ
ろ14.4gで、その極限粘度〔η〕は19.2であっ
た。そのうち触媒量3.2mg相当量(エチレン重合体
0.60g)をn−ヘキサン600mLと共に窒素置換
した1L容のステンレス製オートクレーブに仕込み、A
l(i−C4 9 3 1.0mmolを添加した。つい
で、75℃に昇温後、0.8kg/cm2 の水素圧をか
け、1−ブテン1.2gを加えたのちエチレンを連続的
に導入、全圧を5.0kg/cm2 −G、温度を75℃
に保って(b)工程の重合反応を行なった。47.8L
(59.8g)のエチレンが消費された時点でエチレン
供給を止め、脱圧、置換、冷却後極限粘度測定用の試料
0.8gを採取したのち、80℃に昇温後、5.0kg
/cm2 の水素圧をかけ、1−ブテン1.2gを加え
た。直ちにエチレンを連続的に導入、全圧を9.0kg
/cm2 −G、温度を80℃に保って(a)工程の重合
反応を行なった。47.2L(59g)のエチレンが消
費された時点でエチレン供給を止め、脱圧、置換、冷却
後溶剤を分離、乾燥して最終生成物のエチレン共重合体
118g(極限粘度〔η〕:2.11,MFR:0.2
9/10分)を得た。(b)工程の重合終了後の生成物
の極限粘度〔η〕の測定値は3.35であり、これから
計算される(b)工程で生成したエチレン共重合体の極
限粘度〔η〕は3.22である。又、(a)工程で生成
したエチレン共重合体の極限粘度〔η〕は0.85であ
る。最終生成物のエチレン共重合体の溶融張力は12.
1g、ダイスエル比は102%であった。
【0050】実施例2 実施例1で製造した触媒を用い、かつ(c)工程の重合
反応を、全圧を4.0kg/cm2 −Gとしエチレン供
給量を8.2Lとしたこと以外は実施例1と同一方法で
行なった。収量は10.2gで極限粘度は18.3であ
った。そのうち触媒量6mg相当量(エチレン重合体
0.61g)をn−ヘキサン600mLと共に窒素置換
した1L容のステンレス製オートクレーブに仕込み、エ
チレン供給量を29.4Lと28.8Lとし、水素圧を
0.7kg/cm2 及び4.5kg/cm2 としたこと
以外は実施例1と同一方法で(b)工程と(a)工程の
重合反応を行なった。最終生成物のエチレン共重合体の
収量は72.5g、極限粘度〔η〕は2.26、MFR
は0.22/10分であった。(b)工程の重合終了後
の生成物の極限粘度〔η〕の測定値は3.64であり、
これから計算される(b)工程で生成したエチレン共重
合体の極限粘度〔η〕は3.40である。又、(a)工
程で生成したエチレン共重合体の極限粘度〔η〕は0.
85である。最終生成物のエチレン共重合体の溶融張力
は13.8g、ダイスエル比は102%であった。
【0051】実施例3 (1)遷移金属触媒成分 実施例1と同一の製造方法で固体の遷移金属触媒成分を
製造した。 (2)エチレンの重合及び共重合 内部を乾燥し、エチレン置換した1.5L容のステンレ
ス製オートクレーブにn−ヘキサン600mLを仕込
み、40℃に昇温、Al(i−C4 9 3 10mmo
lを添加した後、(1)で製造した固体の遷移金属触媒
成分100mgを加え、続いて水素を0.10kg/c
2導入し、内温を40℃に保ったままでエチレンを連
続的に導入しながら、全圧4kg/cm2 −Gで(c)
工程の重合反応を行なった。36.7Lのエチレンが消
費された時点でエチレン供給を止め残留エチレンを窒素
置換した後冷却し、フラスコに移し秤量したところ4
5.8gで、その極限粘度〔η〕は18.6であった。
そのうち触媒量6mg相当量(エチレン重合体2.75
g)をn−ヘキサン600mLと共に窒素置換した1L
容のステンレス製オートクレーブに仕込み、Al(i−
4 9 3 1.0mmolを添加した。ついで、75
℃に昇温後、0.7kg/cm2の水素圧をかけ、1−
ブテン1.2gを加えたのちエチレンを連続的に導入、
全圧を5.0kg/cm2 −G、温度を75℃に保って
(b)工程の重合反応を行なった。28L(35g)の
エチレンが消費された時点でエチレン供給を止め、脱
圧、置換、冷却後極限粘度測定用の試料0.8gを採取
したのち、80℃に昇温後、4.7kg/cm2 の水素
圧をかけ、1−ブテン1.2gを加えた。直ちにエチレ
ンを連続的に導入、全圧を9.0kg/cm2 −G、温
度を80℃に保って(a)工程の重合反応を行なった。
27.4L(34.3g)のエチレンが消費された時点
でエチレン供給を止め、脱圧、置換、冷却後溶剤を分
離、乾燥して最終生成物のエチレン共重合体71.5g
(極限粘度〔η〕:2.52,MFR:0.11/10
分)を得た。(b)工程の重合終了後の生成物の極限粘
度〔η〕の測定値は3.42であり、これから計算され
る(b)工程で生成したエチレン共重合体の極限粘度
〔η〕は3.18である。又、(a)工程で生成したエ
チレン共重合体の極限粘度〔η〕は0.68である。最
終生成物のエチレン共重合体の溶融張力は30.4g、
ダイスエル比は145%であった。
【0052】実施例4 (1)遷移金属触媒成分 実施例1と同一の製造方法で固体の遷移金属触媒成分を
製造した。 (2)エチレンの重合及び共重合 内部を乾燥し、エチレン置換した1.5L容のステンレ
ス製オートクレーブにn−ヘキサン600mLを仕込
み、40℃に昇温、Al(i−C4 9 3 10mmo
lを添加した後、(1)で製造した固体の遷移金属触媒
成分100mgを加え、続いて水素を0.15kg/c
2導入し、内温を40℃に保ったままでエチレンを連
続的に導入しながら、全圧5kg/cm2 −Gで(c)
工程の重合反応を行なった。45Lのエチレンが消費さ
れた時点でエチレン供給を止め残留エチレンを窒素置換
した後冷却し、フラスコに移して秤量したところ56.
3gで、その極限粘度〔η〕は12.2であった。その
うち触媒量12mg相当量(エチレン重合体6.75
g)をn−ヘキサン600mLと共に窒素置換した1L
容のステンレス製オートクレーブに仕込み、Al(i−
4 9 3 1.0mmolを添加した。ついで、75
℃に昇温後、3.2kg/cm2の水素圧をかけ、1−
ブテン1.2gを加えたのちエチレンを連続的に導入、
全圧を9.0kg/cm2 −G、温度を75℃に保って
(b)工程の重合反応を行なった。20.5L(25.
6g)のエチレンが消費された時点でエチレン供給を止
め、脱圧、置換、冷却後極限粘度測定用の試料0.8g
を採取したのち、80℃に昇温後、4.0kg/cm2
の水素圧をかけ、1−ブテン1.2gを加えた。直ちに
エチレンを連続的に導入、全圧を9.0kg/cm2
G、温度を80℃に保って(a)工程の重合反応を行な
った。19.8L(24.8g)のエチレンが消費され
た時点でエチレン供給を止め、脱圧、置換、冷却後溶剤
を分離、乾燥して最終生成物のエチレン共重合体56.
4g(極限粘度〔η〕:2.31,MFR:0.25/
10分)を得た。(b)工程の重合終了後の生成物の極
限粘度〔η〕の測定値は3.73であり、これから計算
される(b)工程で生成したエチレン共重合体の極限粘
度〔η〕は1.42である。又、(a)工程で生成した
エチレン共重合体の極限粘度〔η〕は0.51である。
最終生成物のエチレン共重合体の溶融張力は22.3
g、ダイスエル比は120%であった。
【0053】実施例5 (1)遷移金属触媒成分 実施例1と同一の製造方法で固体の遷移金属触媒成分を
製造した。 (2)エチレンの重合及び共重合 内部を乾燥し、エチレン置換した1.5L容のステンレ
ス製オートクレーブにn−ヘキサン600mLを仕込
み、40℃に昇温、Al(i−C4 9 3 10mmo
lを添加した後、(1)で製造した固体の遷移金属触媒
成分100mgを加え、続いて水素を1.25kg/c
2導入し、1−ブテン3.6gを加え、内温を40℃
に保ったままでエチレンを連続的に導入しながら、全圧
5kg/cm2 −Gで(c)工程の重合反応を行なっ
た。59Lのエチレンが消費された時点でエチレン供給
を止め残留エチレンを窒素置換した後冷却し、フラスコ
に移して秤量したところ73.5gで、その極限粘度
〔η〕は6.8であった。そのうち触媒量20mg相当
量(エチレン重合体15.6g)をn−ヘキサン600
mLと共に窒素置換した1L容のステンレス製オートク
レーブに仕込み、Al(i−C4 9 3 1.0mmo
lを添加した。ついで、75℃に昇温後、2.5kg/
cm2 の水素圧をかけ、1−ブテン1.2gを加えたの
ちエチレンを連続的に導入、全圧を9.0kg/cm2
−G、温度を75℃に保って(b)工程の重合反応を行
なった。22.8L(28.5g)のエチレンが消費さ
れた時点でエチレン供給を止め、脱圧、置換、冷却後極
限粘度測定用の試料0.8gを採取したのち、80℃に
昇温後、4.4kg/cm2 の水素圧をかけ、1−ブテ
ン1.2gを加えた。直ちにエチレンを連続的に導入、
全圧を9.0kg/cm2 −G、温度を80℃に保って
(a)工程の重合反応を行なった。22L(27.5
g)のエチレンが消費された時点でエチレン供給を止
め、脱圧、置換、冷却後溶剤を分離、乾燥して最終生成
物のエチレン共重合体62.7g(極限粘度〔η〕:
2.30,MFR:0.23/10分)を得た。(b)
工程の重合終了後の生成物の極限粘度〔η〕の測定値は
3.52であり、これから計算される(b)工程で生成
したエチレン共重合体の極限粘度〔η〕は1.56であ
る。又、(a)工程で生成したエチレン共重合体の極限
粘度〔η〕は0.44である。最終生成物のエチレン共
重合体の溶融張力は21.8g、ダイスエル比は127
%であった。
【0054】比較例1 (1)遷移金属触媒成分の製造 実施例1に於いて、VOCl3 を使用せず、代りにTi
(Oi−C3 7 4 の使用量を50mmolに増加
し、それ以外の条件は実施例1と同様にして固体の遷移
金属触媒成分を製造した。この遷移金属触媒成分を分析
した結果、固体1g中にMg183mg,Ti34.4
mgが含まれていた。
【0055】(2)エチレンの重合及び共重合 前記(1)で製造した固体の遷移金属触媒成分を用い、
実施例2と同様の条件でエチレンの重合及び共重合を行
なった。但し、(c)工程では全圧を5.5kg/cm
2 とし、(b)工程では水素圧0.5kg/cm2
(a)工程では水素圧を3.8kg/cm2 とした。
(c)工程生成物の極限粘度〔η〕は18.7であっ
た。(b)工程でのエチレン消費量は29.5L(3
6.9g)、(b)工程終了後の生成物の極限粘度
〔η〕の測定値は3.74でこれから計算される(b)
工程で生成したエチレン共重合体の極限粘度〔η〕は
3.49であった。(a)工程でのエチレン消費量は2
8.6L(35.8g)で、最終生成物は、収量:7
2.5g、極限粘度:2.34、MFR:0.21であ
った。(a)工程で生成したエチレン共重合体の極限粘
度〔η〕は0.90であった。又、最終生成物の溶融張
力は8.4g、ダイスエル比は84%であった。
【0056】比較例2 比較例1で製造した固体の遷移金属触媒成分を用い、実
施例4と同様の条件でエチレンの重合及び共重合を行な
った。但し、(c)工程では全圧を5.5kg/cm2
とし、(b)工程では水素圧を2.8kg/cm2
(a)工程では水素圧を3.4kg/cm2 とした。
(c)工程生成物の極限粘度〔η〕は、12.7で、触
媒12mg相当の7.1gを以下に使用した。(b)工
程でのエチレン消費量は21.5L(26.9g)、
(b)工程終了後の生成物の極限粘度〔η〕の測定値は
3.83でこれから計算される(b)工程で生成したエ
チレン共重合体の極限粘度〔η〕は1.38であった。
(a)工程でのエチレン消費量は20.8L(26g)
で、最終生成物は、収量:59.2g、極限粘度:2.
36、MFR:0.21であった。(a)工程で生成し
たエチレン共重合体の極限粘度〔η〕は0.52と計算
される。又、最終生成物の溶融張力は8.5g、ダイス
エル比は88%であった。比較例2の結果を実施例4と
対比すれば明らかなように、VOCl 3 を添加した本発
明の触媒を用いると、最終生成物の極限粘度が同等程度
のものでも、溶融張力、ダイスエル比とも大幅に向上
し、本発明は分子量の割に溶融張力、溶融弾性が高く、
成形用途に好適なエチレン系重合体を得るための有利な
方法であることがわかる。
【0057】比較例3 (1)遷移金属触媒成分 実施例1と同一の製造方法で固体の遷移金属触媒成分を
製造した。 (2)エチレンの重合及び共重合(2段重合) 内部を乾燥し、窒素置換した1.5L容のステンレス製
オートクレーブにn−ヘキサン600mLを仕込み、A
l(i−C1.0mmolを添加した後、
(1)で製造した固体の遷移金属触媒成分6mgを加
え、75℃に昇温した。続いて水素を0.6kg/cm
導入し、1−ブテン1.2gを添加し、内温を75℃
に保ったままでエチレンを連続的に導入しながら、全圧
5kg/cm−Gで高分子量成分製造工程の重合反応
を行なった。エチレン23L(28.8g)が消費され
た時点でエチレン供給を止め、脱圧、窒素置換、冷却後
極限粘度測定用の試料0.8gを採取したのち、80℃
に昇温後、4.5kg/cmの水素圧をかけ、1−ブ
テン1.2gを加えた。直ちにエチレンを連続的に導
入、全圧を9.0kg/cm−G、温度を80℃に保
って低分子量成分製造工程の重合反応を行なった。2
2.3L(27.9g)のエチレンが消費された時点で
エチレン供給を止め、脱圧、置換、冷却後溶剤を分離、
乾燥して最終生成物のエチレン共重合体56.1g(極
限粘度[η]:2.31,MFR:0.22/10分)
を得た。高分子量成分の極限粘度[η]は3.80、低
分子量成分の極限粘度[η]は0.82、最終生成物の
溶融張力は8.1g、ダイスエル比は83%であった。
【0058】実施例6 (1)遷移金属触媒成分 実施例1と同一の製造方法で固体の遷移金属触媒成分を
製造した。 (2)エチレンの重合及び共重合 内部を乾燥し、エチレン置換した1.5L容のステンレ
ス製オートクレーブにn−ヘキサン600mLを仕込
み、50℃に昇温、Al(n−C6 133 10mmo
lを添加した後、(1)で製造した固体の遷移金属触媒
成分50mgを加え、温度を50℃に保ったままでエチ
レンを連続的に導入しながら、全圧4.5kg/cm2
−Gで(c)工程の重合反応を行なった。4.5Lのエ
チレンが消費された時点でエチレン供給を止め残留エチ
レンを窒素置換した後冷却し、フラスコに移して秤量し
たところ5.6gで、その極限粘度〔η〕は18.4で
あった。そのうち触媒量6mg相当量(エチレン重合体
0.68g)をn−ヘキサン600mLと共に窒素置換
した1L容のステンレス製オートクレーブに仕込み、A
l(n−C6133 1.5mmolを添加した。つい
で、80℃に昇温後、5.8kg/cm2 の水素圧をか
け、プロピレン1.2gを加えたのちエチレンを連続的
に導入、全圧を9.0kg/cm2 −G、温度を80℃
に保って(a)工程の重合反応を行なった。25L(3
1.3g)のエチレンが消費された時点でエチレン供給
を止め、脱圧、置換、冷却後極限粘度測定用の試料0.
8gを採取したのち、75℃に昇温後、0.4kg/c
2 の水素圧をかけ、プロピレン1.2gを加えた。直
ちにエチレンを連続的に導入、全圧を5.0kg/cm
2 −G、温度を75℃に保って(b)工程の重合反応を
行なった。36L(45g)のエチレンが消費された時
点でエチレン供給を止め、脱圧、置換、冷却後溶剤を分
離、乾燥して最終生成物のエチレン共重合体76.5g
(極限粘度〔η〕:3.02,MFR:0.038/1
0分)を得た。(b)工程の重合終了後の生成物の極限
粘度〔η〕の測定値は0.90であり、これから計算さ
れる(a)工程で生成したエチレン共重合体の極限粘度
〔η〕は0.52である。又、(b)工程で生成したエ
チレン共重合体の極限粘度〔η〕は4.51である。最
終生成物のエチレン共重合体の溶融張力は24.3g、
ダイスエル比は98%であった。
【0059】実施例7 (1)遷移金属触媒成分 チタン成分とバナジウム成分の混合反応液を製造する際
にVOCl3 9.5mL(100mmol)の代りにV
OCl3 13.8mL(150mmol)を使用し、触
媒合成時にそのトルエン溶液29.8mLを添加した以
外は、実施例1と同一の製造方法で固体の遷移金属触媒
成分を製造した。生成した固体触媒を分析した結果、触
媒1g中の含有量はTi:16.5mg、V:77.1
mgであった。
【0060】(2)エチレンの重合及び共重合 内部を乾燥し、エチレン置換した1.5L容のステンレ
ス製オートクレーブにn−ヘキサン600mLを仕込
み、50℃に昇温、Al(C10mmolを
添加した後、(1)で製造した固体の遷移金属触媒成分
100mgを加え、続いて水素を0.10kg/cm
導入し、内温を40℃に保ったままでエチレンを連続的
に導入しながら、全圧4kg/cm−Gで(c)工程
の重合反応を行なった。33.5Lのエチレンが消費さ
れた時点でエチレン供給を止め残留エチレンを窒素置換
した後冷却し、フラスコに移し秤量したところ42g
で、その極限粘度[η]は18.2であった。そのうち
触媒量6mg相当量(エチレン重合体2.52g)をn
−ヘキサン600mLと共に窒素置換した1L容のステ
ンレス製オートクレーブに仕込み、Al(C
1.0mmolを添加した。ついで、75℃に昇温後、
0.7kg/cmの水素圧をかけ、1−ブテン1.2
gを加えたのちエチレンを連続的に導入、全圧を5.0
kg/cm−G、温度を75℃に保って(b)工程の
重合反応を行なった。41L(51.3g)のエチレン
が消費された時点でエチレン供給を止め、脱圧、置換、
冷却後極限粘度測定用の試料0.8gを採取したのち、
80℃に昇温後、5.0kg/cmの水素圧をかけ、
1−ブテン1.2gを加えた。直ちにエチレンを連続的
に導入、全圧を9.0kg/cm−G、温度を80℃
に保って(a)工程の重合反応を行なった。22.5L
(28.1g)のエチレンが消費された時点でエチレン
供給を止め、脱圧、置換、冷却後溶剤を分離、乾燥して
最終生成物のエチレン共重合体78.8g(極限粘度
[η]:2.22,MFR:0.23/10分)を得
た。(b)工程の重合終了後の生成物の極限粘度[η]
の測定値は4.83であり、これから計算される(b)
工程で生成したエチレン共重合体の極限粘度[η]は
3.63である。又、(a)工程で生成したエチレン共
重合体の極限粘度[η]は0.61である。最終生成物
のエチレン共重合体の溶融張力は19.6g、ダイスエ
ル比は132%であった。
【0061】実施例8 (1)遷移金属触媒成分 実施例1と同一の製造方法で固体の遷移金属触媒成分を
製造した。 (2)エチレンの重合及び共重合 内部を乾燥し、エチレン置換した1.5L容のステンレ
ス製オートクレーブにn−ヘキサン600mLを仕込
み、40℃に昇温、Al(i−C4 9 3 10mmo
lを添加した後、(1)で製造した固体の遷移金属触媒
成分50mgを加え、続いて水素を0.30kg/cm
2 導入し、1−ブテン1.8gを添加した後、内温を4
0℃に保ったままでエチレンを連続的に導入しながら、
全圧5kg/cm2 −Gで(c)工程の重合反応を行な
った。21.4Lのエチレンが消費された時点でエチレ
ン供給を止め残留エチレンを窒素置換した後冷却し、フ
ラスコに移して秤量したところ26.7gで、その極限
粘度〔η〕は14.2であった。そのうち触媒量12m
g相当量(エチレン重合体6.41g)をn−ヘキサン
600mLと共に窒素置換した1L容のステンレス製オ
ートクレーブに仕込み、Al(i−C4 9 3 1.0
mmolを添加した。ついで、(b)工程の重合反応
を、水素圧を3.8kg/cm2 とし、エチレン消費量
を15L(18.8g)とした以外は実施例4と同一条
件で行なった。更に、極限粘度測定用の試料0.8gを
採取したのち、(a)工程の重合反応を、エチレン消費
量を26.5Lとした以外は実施例4と同一条件で行な
った。26.5L(33.1g)のエチレンが消費され
た時点でエチレン供給を止め、脱圧、置換、冷却後溶剤
を分離、乾燥して最終生成物のエチレン共重合体58.
1g(極限粘度〔η〕:2.35,MFR:0.17/
10分)を得た。(b)工程の重合終了後の生成物の極
限粘度〔η〕の測定値は4.89であり、これから計算
される(b)工程で生成したエチレン共重合体の極限粘
度〔η〕は1.71である。又、(a)工程で生成した
エチレン共重合体の極限粘度〔η〕は0.48である。
最終生成物のエチレン共重合体の溶融張力は24.6
g、ダイスエル比は119%であった。
【0062】実施例9 (1)遷移金属触媒成分 予め内部を良く乾燥、窒素置換したガラス反応器にn−
ブチルマグネシウムクロライド(0.670mol)の
ジ−イソプロピルエーテル溶液400mLを仕込み、末
端をトリメチルシリル基で置換したメチルヒドロポリシ
ロキサン(25℃での粘度30センチストークス)4
2.0mL(Siとして0.7g−atom)を撹拌下
冷却しながら徐々に滴下した。滴下後、1時間撹拌を続
け褐色透明な反応生成物を得た。この溶液に、n−ヘプ
タン250mLを添加、希釈した後、室温で2−エチル
ヘキサノール0.67molを1時間かけて滴下反応さ
せた。滴下終了後、約200mmHgで減圧蒸留を行な
い、500mLを溜出させジ−イソプロピルエーテルを
除去した。n−ヘプタンで希釈し、無色透明な成分A)
の溶液(Mg:1.0mol/L)を得た。
【0063】次に、内部を良く乾燥、窒素置換したガラ
ス反応器にn−ヘプタン200mLを採取し、撹拌しな
がらTiCl4 5.5mL(50mmol)及びVOC
3 9.5mL(100mmol)を加え、80℃で1
時間反応を行なった後室温に冷却した。
【0064】予め内部を良く乾燥、窒素置換したガラス
反応器にn−ヘプタン40mL及び上記で得た成分
(A)のn−ヘプタン溶液を10mL(Mg:10mg
−atom)採取した。撹拌しながら上記で得たチタン
成分とバナジウム成分の混合液2.6mL(Ti:0.
60mmol,V:1.2mmol)をゆっくり添加
し、室温で1時間反応させた。次に、液温を25℃に保
持したままエチルアルミニウムセスキクロライドのn−
ヘプタン溶液(1.0mol/L)を20mL添加した
後、1時間反応を行ない、遷移金属触媒成分を得た。
【0065】(2)エチレンの重合及び共重合 内部を乾燥し、エチレン置換した1.5L容のステンレ
ス製オートクレーブにn−ヘキサン600mLを仕込
み、40℃に昇温、Al(i−C4 9 3 10mmo
lを添加した後、(1)で製造した遷移金属触媒成分
5.0mLを加え、続いて水素を0.10kg/cm2
導入し、内温を40℃に保ったままでエチレンを連続的
に導入しながら、全圧5.5kg/cm2 −Gで(c)
工程の重合反応を行なった。10.3Lのエチレンが消
費された時点でエチレン供給を止め残留エチレンを窒素
置換した後冷却し、フラスコに移し秤量したところエチ
レン重合体生成量は12.9gで、その極限粘度〔η〕
は18.8であった。そのうち0.56gをn−ヘキサ
ン600mLと共に窒素置換した1L容のステンレス製
オートクレーブに仕込み、Al(i−C4 9 3 1.
0mmolを添加した。ついで、75℃に昇温後、0.
8kg/cm2 の水素圧をかけ、1−ブテン1.2gを
加えたのちエチレンを連続的に導入、全圧を9.0kg
/cm2 −G、温度を75℃に保って(b)工程の重合
反応を行なった。44.8L(56g)のエチレンが消
費された時点でエチレン供給を止め、脱圧、置換、冷却
後極限粘度測定用の試料0.8gを採取したのち、80
℃に昇温後、2.2kg/cm2 の水素圧をかけ、1−
ブテン1.2gを加えた。直ちにエチレンを連続的に導
入、全圧を9.0kg/cm2 −G、温度を80℃に保
って(a)工程の重合反応を行なった。44L(55
g)のエチレンが消費された時点でエチレン供給を止
め、脱圧、置換、冷却後溶剤を分離、乾燥して最終生成
物のエチレン共重合体110g(極限粘度〔η〕:2.
16,MFR:0.27/10分)を得た。(b)工程
の重合終了後の生成物の極限粘度〔η〕の測定値は3.
57であり、これから計算される(b)工程で生成した
エチレン共重合体の極限粘度〔η〕は3.42である。
又、(a)工程で生成したエチレン共重合体の極限粘度
〔η〕は0.70である。最終生成物のエチレン共重合
体の溶融張力は12.5g、ダイスエル比は104%で
あった。
【0066】実施例10 (1)遷移金属触媒成分 実施例9と同一の製造方法で固体の遷移金属触媒成分を
製造した。 (2)エチレンの重合及び共重合 内部を乾燥し、エチレン置換した1.5L容のステンレ
ス製オートクレーブにn−ヘキサン600mLを仕込
み、40℃に昇温、Al(i−C4 9 3 10mmo
lを添加した後、(1)で製造した遷移金属触媒成分
5.0mLを加え、続いて水素を0.15kg/cm2
導入し、内温を40℃に保ったままでエチレンを連続的
に導入しながら、全圧5kg/cm2 −Gで(c)工程
の重合反応を行なった。48.5Lのエチレンが消費さ
れた時点でエチレン供給を止め残留エチレンを窒素置換
した後冷却し、フラスコに移して秤量したところ生成し
たエチレン共重合体は60.6gで、その極限粘度
〔η〕は14.2であった。そのうち、7.58gをn
−ヘキサン600mLと共に窒素置換した1L容のステ
ンレス製オートクレーブに仕込み、Al(i−C
4 9 3 1.0mmolを添加した。ついで、75℃
に昇温後、1.3kg/cm2 の水素圧をかけ、1−ブ
テン1.2gを加えたのちエチレンを連続的に導入、全
圧を9.0kg/cm2 −G、温度を75℃に保って
(b)工程の重合反応を行なった。27.5L(34.
4g)のエチレンが消費された時点でエチレン供給を止
め、脱圧、置換、冷却後極限粘度測定用の試料0.8g
を採取したのち、80℃に昇温後、1.8kg/cm2
の水素圧をかけ、1−ブテン1.2gを加えた。直ちに
エチレンを連続的に導入、全圧を9.0kg/cm2
G、温度を80℃に保って(a)工程の重合反応を行な
った。27L(33.8g)のエチレンが消費された時
点でエチレン供給を止め、脱圧、置換、冷却後溶剤を分
離、乾燥して最終生成物のエチレン共重合体67.4g
(極限粘度〔η〕:1.99,MFR:0.42/10
分)を得た。(b)工程の重合終了後の生成物の極限粘
度〔η〕の測定値は3.54であり、これから計算され
る(b)工程で生成したエチレン共重合体の極限粘度
〔η〕は1.19である。又、(a)工程で生成したエ
チレン共重合体の極限粘度〔η〕は0.45である。最
終生成物のエチレン共重合体の溶融張力は18.2g、
ダイスエル比は122%であった。
【0067】表1に、実施例1〜10及び比較例1〜3
の(a)(b)(c)各工程成分の極限粘度〔η〕と混
合割合および最終製品の極限粘度〔η〕、MFR、溶融
張力(表ではMS)、DSP(ダイスエル比を%で表し
たもの)をまとめて示す。
【0068】
【表1】
【0069】実施例11 3L容のステンレス製オートクレーブを用い、実施例3
の2倍量のスケールで実施例3と同様な条件で(c)工
程を実施した。得られた(c)工程生成物のうち55g
([η]:18.2)を30Lのステンレス製オートク
レーブに入れ、実施例3の20倍量のスケールで実施例
3と同様な条件で(b)、(a)両工程を実施した。最
終生成エチレン共重合体の収量は1450gであり、そ
の物性はMFR:0.12,[η]:2.50,MS:
29.5g,DSP:146%であった。
【0070】この試料を用い、ドイツHAAKE社製レ
オコード90に単軸押出しアタッチメントとフィルムダ
イを装着し、スクリュー径19mm,ダイ外径25.4
mm,折径150mm、設定樹脂温200℃、押出し量
2Kg/hrでフィルム成型を行なった。シワ、タルミ
のないフィルムが得られ、ゲルやブツは無かった。フィ
ッシアイは1個/50×50mmであった。
【0071】実施例12 10L容のステンレス製オートクレーブを用い、実施例
8の7倍量のスケールで実施例8と同様な条件で(c)
工程を実施した。得られた(c)工程生成物のうち12
8g([η]:18.2)を30Lのステンレス製オー
トクレーブに入れ、実施例3の20倍量のスケールで実
施例3と同様な条件で(b)、(a)両工程を実施し
た。最終生成エチレン共重合体の収量は1160gであ
り、その物性はMFR:0.16,[η]:2.38,
MS:24.8g,DSP:118%であった。
【0072】この試料を用い、実施例11と同様にフィ
ルム成型を行なった。シワ、タルミのないフィルムが得
られ、ゲルやブツは無かった。フィッシアイは2個/5
0×50mmであった。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば4成分を反応させて得ら
れる化合物を遷移金属成分とした重合触媒を用い、かつ
重合工程として超高分子量成分の製造工程を含み、かつ
各工程での生成重合体の重合量と極限粘度とを特定した
3段重合によりエチレン又はエチレンとαオレフィンを
重合もしくは共重合させることにより、超高分子量成分
を含有するエチレン系重合体組成物が得られる。この方
法で得られたエチレン系重合体組成物はMFRの割に高
い溶融張力を有し、かつ中空成形の際のピンチオフ融着
性が良好であるので、中空成形のごとき成形用途に、あ
るいはまた、インフレーション成形用途に好適である。
【0074】本発明方法では高い溶融張力その他所望の
物性を与えるのに効果的な超高分子量成分の混合量が、
微量から比較的多量まで幅広くとれるという特徴を有し
ている。また本発明によれば超高分子量成分が比較的低
い極限粘度であっても、物性改良の効果があるため、他
の成分とよく混合し、成形加工性も優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で用いる触媒の調製工程を表した
図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加勢 啓三 千葉県市原市五井南海岸11−2 丸善ポ リマー株式会社内 (72)発明者 溝上 康二 千葉県市原市五井南海岸11−2 丸善ポ リマー株式会社内 (72)発明者 松本 毅 千葉県市原市五井南海岸11−2 丸善ポ リマー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−227913(JP,A) 特開 昭63−309505(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移金属化合物および有機アルミニウム
    化合物から成る触媒の存在下でエチレン系重合体を製造
    するにあたり、遷移金属化合物として、下記(A)、
    (B)、(C)、(D)の各成分、 (A)ヒドロポリシロキサンとグリニヤール試薬を反応
    させて得られる化合物、または該化合物にさらにアルコ
    ール、アルデヒドおよびケトンより選ばれる1種類以上
    の親核的試薬を反応させて得られる化合物 (B)一般式(I)で表わされるチタン化合物 Ti(OR)m 4-m ……(I) (R,はC1 〜C12の炭化水素基、Xはハロゲン原子、
    0≦m≦4) (C)一般式(II)または(III )で表わされるバナジ
    ウム化合物 V0(OR1 n 3-n …(II) (R1 はC1 〜C12の炭化水素基、Xはハロゲン原子、
    0≦n≦3) VX4 ……(III ) (Xはハロゲン原子) (D)ハロゲン化ケイ素化合物、および/またはハロゲ
    ン化有機アルミニウム化合物 を、成分(D)を最後に反応させる方法で反応させて得
    られる生成物を用い、かつ、重合工程として (a)工程:極限粘度〔η〕が0.4以上1.5以下で
    あるポリオレフィンを生成する工程 (b)工程:極限粘度〔η〕が0.7以上6以下である
    ポリオレフィンを生成する工程 (c)工程:極限粘度〔η〕が6以上20以下であるポ
    リオレフィンを生成する工程 の3工程を任意の順序で行ない、各工程における重合量
    を、重量比で、{(a)工程の重合量+(b)工程の重
    合量}:(c)工程の重合量=100:0.3〜10
    0:40、(a)工程の重合量:(b)工程の重合量=
    70:30〜30:70となるように調整して、エチレ
    ン又はエチレンとαオレフィンを重合もしくは共重合さ
    せ、最終生成物の極限粘度〔η〕を1〜3.3とせしめ
    ることを特徴とするエチレン系重合体組成物の製造方
    法。
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