JP2000026533A - 高密度エチレン系重合体およびその製造方法 - Google Patents

高密度エチレン系重合体およびその製造方法

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JP2000026533A
JP2000026533A JP19995598A JP19995598A JP2000026533A JP 2000026533 A JP2000026533 A JP 2000026533A JP 19995598 A JP19995598 A JP 19995598A JP 19995598 A JP19995598 A JP 19995598A JP 2000026533 A JP2000026533 A JP 2000026533A
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mir
lizod
hmi
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English (en)
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Takashi Nozaki
貴司 野崎
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性と衝撃強度の物性バランスに優れた高
密度エチレン系重合体。 【解決手段】 密度d0.945g/cm3〜0.980
g/cm3、MI(g/10分:190℃、2.16kg荷
重MFR)0.1〜1.0、HMI(g/10分:19
0℃、21.6kg荷重MFR)10〜100、MIR
(HMI/MI)50以上、23℃でのアイゾット衝撃
値RIZOD(kgf・cm/cm2)1以上、且つlog(R
IZOD)>−0.745×log(MI)+0.78
1、log(RIZOD)>27.027×d−24.
184、log(RIZOD)>−0.472×log
(MIR)+2.15の関係を満たし、−25℃でのア
イゾット衝撃値LIZOD(kgf・cm/cm2)1以上、且
つlog(LIZOD)>−0.642×log(M
I)+0.641、log(LIZOD)>58.82
4×d−54.765、log(LIZOD)>−0.
963×log(MIR)+3.2の関係を満たす高密
度エチレン系重合体とその製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な高密度エチ
レン系重合体に関するものであり、さらに詳しくは、従
来公知の高密度エチレン系重合体に比較して、機械的物
性および溶融流動性に優れた高密度エチレン系重合体お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高密度エチレン系重合体は、種々の成形
方法によって成形され多くの実用に供されている。その
高密度ポリオレフィンを成形する方法としては、例えば
フィルム成形体を得る代表的な例として、高密度ポリオ
レフィンを溶融し空気を吹き込みながら金型から押出し
つつ延伸するインフレーション法がある。
【0003】また、型枠を使用し所望の形状の成形体を
得る方法として、溶融した高密度エチレン系重合体に空
気を吹き込み膨張させ型枠通りの成形体を製造するブロ
ー成形法、また溶融した高密度エチレン系重合体を型枠
に圧入して成形体を得るインジェクション成形法、或い
は一旦インジェクション法により成形したプリフォーム
を成形可能な温度に保持してブロー成形するインジェク
ション−ブロー法等がある。
【0004】このように高密度エチレン系重合体の成形
方法には種々の方法が知られているが、これらの方法に
共通しているのは、高密度エチレン系重合体を先ず加熱
することにより溶融状態とし、これを押出し、成形する
という点である。従って、高密度エチレン系重合体の加
熱・溶融時の挙動即ち溶融特性、特に溶融流動性は、樹
脂を成形加工するうえで極めて重要な物性といえる。
【0005】本発明でいう溶融流動性とは、主として樹
脂を加熱・溶融して押出し機から押出す時の押出し負荷
に対応するもので、かかる溶融流動性の目安となる指標
としては、MI、HMIさらにはMIR等が使用され
る。本発明においてMIとは、190℃における2.1
6kg荷重でのMFR(メルトフローレート)であり、
HMIとは190℃における21.6kg荷重でのMF
Rであり、MIRとは、HMIとMIの比(MIR=H
MI/MI)である。一般に上記のMI、HMIおよび
MIRが大きいほど溶融流動性に優れていると言える。
【0006】従来、溶融流動性に優れた高密度エチレン
系重合体は、チタン系のチーグラー触媒を用いた多段重
合法あるいはクロム系触媒を用いた一段重合法によって
得られるのが一般的である。またチタン系のチーグラー
触媒を用いた一段重合で、溶融流動性の優れた高密度エ
チレン系重合体を得るには、分子量分布の広いポリエチ
レンを製造することが可能である触媒を使用する必要が
ある。
【0007】広い分子量分布を得る触媒としては、遷移
金属化合物を多種類組み合わせたものや、ある特定の表
面積及び多孔度を持つ固体触媒、あるいはチタン系チー
グラー触媒にハロゲン化合物を組み合わせて分子量分布
を広げる方法等が知られている。(例えば、特公昭52
−37037号、同53−8588号及び特開平6−2
20117号、特開平9−151208号、25841
89号の各公報等)。
【0008】かかる触媒および重合法によれば、分子量
分布が広く溶融流動性に優れたポリエチレンを製造する
ことが可能である。しかしながら分子量分布が広いポリ
エチレンは、成形加工性に優れるものの、反面ポリエチ
レン樹脂の重要な機械的特性の一つである耐衝撃性が悪
く、近年省資源の点から要求が強まっている、薄肉にし
たボトル製品などの原料に使用した場合、耐衝撃強度が
不充分という欠点があった。
【0009】上記問題点を解決するため、最近メタロセ
ン触媒を用い、機械的強度に優れ且つ成形加工性に優れ
た高密度エチレン系重合体を得る試みがなされている。
(たとえば、特開平9−59741号公報)。しかしこ
のポリエチレンでも、溶融流動性および耐衝撃性等の機
械的物性は必ずしも充分ではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術を改良するものであって、従来公知の高密度
エチレン系重合体に比較して、機械的物性とくに耐衝撃
性に優れ且つ溶融流動性に優れた高密度エチレン系重合
体およびその製造方法を提供することを課題とするもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討した結果、有機マグネシウム化合
物、Si−H結合含有クロルシラン化合物、アルコール
及びチタン化合物を必須成分とするオレフィン重合用固
体触媒成分と有機金属化合物成分およびハロゲン化炭化
水素からなるオレフィン重合触媒を用いることによって
得られる高密度エチレン系重合体が、押出し等の溶融流
動性に優れ、しかも驚くべきことに、その機械的強度に
おいて、耐衝撃性が極めて優れていることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は第1に、[a]密度d
が0.945g/cm3以上0.980g/cm3以下で
あり、[b]190℃における2.16kg荷重でのM
FRをMI(g/10分)としたとき、そのMIが0.
1以上1.0以下であり、[c]190℃における2
1.6kg荷重でのMFRをHMI(g/10分)とし
たとき、そのHMIが10以上100以下であり、
[d]HMIとMIとの比HMI/MIをMIRとした
とき、そのMIRが50以上であり、[e]23℃で測
定したアイゾット衝撃値をRIZOD(kgf・cm/
cm2)としたとき、そのRIZODが1以上であり、
且つRIZODとMI、d、MIRとがそれぞれ、lo
g(RIZOD)>−0.745×log(MI)+
0.781、log(RIZOD)>27.027×d
−24.184、log(RIZOD)>−0.472
×log(MIR)+2.15で示される関係を満た
し、[f]−25℃で測定したアイゾット衝撃値をLI
ZOD(kgf・cm/cm2)としたとき、そのLI
ZODが1以上であり、且つLIZODとMI、d、M
IRとがそれぞれ、log(LIZOD)>−0.64
2×log(MI)+0.641、log(LIZO
D)>58.824×d−54.765、log(LI
ZOD)>−0.963×log(MIR)+3.2で
示される関係を満たすことを特徴とする高密度エチレン
系重合体を提供するものであり、第2にそれを製造する
方法を提供するものである。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
高密度エチレン系重合体とは、エチレンの単独重合体又
は、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとを共重
合させることにより得ることができる。本発明の高密度
エチレン系重合体の密度,d(g/cm3)は0.94
5以上0.980以下、好ましくは0.945以上0.
965以下である。尚、本発明における密度は、AST
MD1505に従って測定される。
【0014】また、本発明の高密度エチレン系重合体
は、190℃における2.16kg荷重でのMFRをM
I(g/10分)としたとき、そのMIが0.1以上
1.0以下である。さらに、本発明の高密度エチレン系
重合体は、190℃における21.6kg荷重でのMF
RをHMI(g/10分)としたとき、そのHMIが1
0以上、好ましくは20以上である。そしてHMIは1
00以下であり、好ましくは50以下である。
【0015】さらに、本発明の高密度エチレン系重合体
は、HMIとMIとの比MIRが50以上である。尚、
本発明におけるMIおよびHMIは、各々ASTM D
1238における条件Eおよび条件Fに従い測定され
る。
【0016】本発明の高密度エチレン系重合体は、23
℃で測定したアイゾット衝撃値をRIZOD(kgf・
cm/cm2)としたとき、そのRIZODが1以上で
あり、且つRIZODとMI、d、MIRとがそれぞ
れ、log(RIZOD)>−0.745×log(M
I)+0.781、log(RIZOD)>27.02
7×d−24.184、log(RIZOD)>−0.
472×log(MIR)+2.15で示されるいずれ
の関係も満たし、−25℃で測定したアイゾット衝撃値
をLIZOD(kgf・cm/cm2)としたとき、そ
のLIZODが1以上であり、且つLIZODとMI、
d、MIRとがそれぞれ、log(LIZOD)>−
0.642×log(MI)+0.641、log(L
IZOD)>58.824×d−54.765、log
(LIZOD)>−0.963×log(MIR)+
3.2で示されるいずれの関係も満たすものである。
【0017】但し、本発明における23℃で測定したア
イゾット衝撃値RIZOD(kgf・cm/cm2)及
び−25℃で測定したアイゾット衝撃値LIZOD(k
gf・cm/cm2)は、ハンマーとして30kgのも
のを用い、JIS K7110に記載の方法に従って求
めることができる値のことである。尚、この条件下で試
験片が破断しないものも、数値は計算できることから、
その場合はその計算により得られる値をRIZOD及び
LIZODとする。
【0018】上記した本発明の高密度エチレン系重合体
は、固体触媒成分[A]が、(A−1)(i)一般式
(M1)α(Mg)β(R1)p(R2)q(OR3)r
〔式中、M1は周期律表第I族〜第III族に属する金
属原子であり、R1、R2及びR3は炭素数2〜20の炭
化水素基であり、α,β,p,q及びrは次の関係を満
たす数である。 0≦α,0<β,0≦p,0≦q,0≦r,p+q>
0, 0≦r/(α+β)≦2,kα+2β=p+q+r(た
だし、kはM1の原子価)〕で示される炭化水素溶媒に
可溶な有機マグネシウム成分1モルと、
【0019】(ii)一般式HaSiClb
4 4-(a+b)(式中、R4は炭素数1〜20の炭化水素基で
あり、aとbとは次の関係を満たす数である。0<a,
0<b,a+b≦4)で示されるSi−H結合を有する
クロルシラン化合物0.01〜100モルを反応させて
得られる固体中に含まれるC−Mg結合1モルに対し
て、 (A−2)アルコール を0.05〜20モル反応させて得られる固体を、ある
いはさらに (A−3)一般式M25 st-s (式中M2は周期律表第I〜III族に属する金属原
子、R5は炭素数1〜20の炭化水素基であり、QはO
6,OSiR789,NR1011,SR12およびハロ
ゲンから選ばれた基を表し、R6,R7,R8,R9
10,R11,R12は水素原子または炭化水素基であり、
0<s,tはM2の原子価)で示される有機金属化合物
を、反応させて得られる固体に、
【0020】(A−4)チタニウム化合物 を、前記(A−3)成分の存在下或いは非存在下に反応
させて得られる固体触媒成分[A]、有機金属化合物成
分[B]および[C]ハロゲン化炭化水素からなるオレ
フィン重合触媒の存在下に、エチレンもしくはエチレン
と炭素数3以上のα−オレフィンとを重合することによ
って製造することができる。
【0021】本発明に用いられる有機マグネシウム化合
物としては、一般式(M1)α(Mg)β(R1)p(R
2)q(OR3)r[式中、M1は周期律表第I族〜第I
II族に属する金属原子であり、R1、R2及びR3は炭
素数2〜20の炭化水素基であり、α,β,p,q及び
rは次の関係を満たす数である。0≦α,0<β,0≦
p,0≦q,0≦r,0≦r/(α+β)≦2,kα+
2β=p+q+r(ただし、kはM1の原子価)]で表
される。
【0022】この化合物は、炭化水素溶媒に可溶な有機
マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、R
2Mgおよびこれらと他の金属化合物との錯体の全てを
包含するものである。記号α、β、p、q、rの関係式
kα+2β=p+q+rは、金属原子の原子価と置換基
との化学量論性を示している。
【0023】上記式中R1ないしR2で表される炭化水素
基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基
であり、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、アミル、ヘキシル、デシル、シクロヘキシル、フェ
ニル基等が挙げられ、好ましくはR1はアルキル基であ
る。
【0024】α>0の場合、金属原子M1としては、周
期律表第I族〜第III族に属する金属元素が使用で
き、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリ
リウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられる
が、特にアルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が好
ましい。
【0025】金属原子M1に対するマグネシウムの比β
/αは、任意に設定可能であるが、好ましくは0.1〜
30、特に0.5〜10の範囲が好ましい。またα=0
である、ある種の有機マグネシウム化合物を用いる場
合、例えばR 1がsec−ブチル等は炭化水素溶媒に可
溶性であり、このような化合物も本発明に好ましい結果
を与える。
【0026】一般式(M1)α(Mg)β(R1)p(R
2)q(OR3)rにおいて、α=0の場合のR1、R2
次に示す三つの群(1)、(2)、(3)のいずれか一
つであることが推奨される。
【0027】(1)R1、R2の少なくとも一方が炭素原
子数4〜6である二級または三級のアルキル基であるこ
と、好ましくはR1、R2がともに炭素原子数4〜6であ
り、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であ
ること。
【0028】(2)R1とR2とが炭素原子数の互いに相
異なるアルキル基であること、好ましくはR1が炭素原
子数2または3のアルキル基であり、R2が炭素原子数
4以上のアルキル基であること。
【0029】(3)R1、R2の少なくとも一方が炭素原
子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR1
2がともに炭素原子数6以上のアルキル基であるこ
と。
【0030】以下これらの基を具体的に示す。(1)に
おいて炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキ
ル基としてはsec−ブチル、tert−ブチル、2−
メチルブチル、2−エチルプロピル、2,2−ジメチル
プロピル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、
2,2−ジメチルブチル、2−メチル−2−エチルプロ
ピル等が用いられ、sec−ブチルは特に好ましい。
【0031】次に(2)において炭素原子数2または3
のアルキル基としてはエチル基、プロピル基が挙げら
れ、エチル基は特に好ましい。また炭素原子数4以上の
アルキル基としては、ブチル基、アミル基、ヘキシル
基、オクチル基等が挙げられ、ブチル基、ヘキシル基は
特に好ましい。
【0032】(3)において炭素原子数6以上のアルキ
ル基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フ
ェニル基等が挙げられ、アルキル基である方が好まし
く、ヘキシル基は特に好ましい。
【0033】一般にアルキル基の炭素原子数を増やすと
炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘性が高くな
る傾向であり、必要以上に長鎖のアルキル基を用いるこ
とは取り扱い上好ましくない。なお、上記有機マグネシ
ウム化合物は炭化水素溶液として用いられるが、該溶液
中に微量のエーテル、エステル、アミン等のコンプレッ
クス化剤がわずかに含有されあるいは残存していても差
し支えなく用いることができる。
【0034】次にアルコキシ基(OR3)について説明
する。R3で表される炭化水素基としては、炭素原子数
3〜10のアルキル基またはアリール基が好ましい。具
体的には、たとえば、n−プロピル、n−ブチル、se
c−ブチル、tert−ブチル、アミル、ヘキシル、2
−メチルペンチル、2−エチルブチル、2−エチルペン
チル、2−エチルヘキシル、2−エチル−4−メチルペ
ンチル、2−プロピルヘプチル、2−エチル−5−メチ
ルオクチル、n−オクチル、n−デシル、フェニル基等
が挙げられ、好ましくはn−ブチル、sec−ブチル、
2−メチルペンチル及び2−エチルヘキシルである。
【0035】これらの有機マグネシウム化合物もしくは
有機マグネシウム錯体は、一般式R 1MgX、R1 2Mg
(R1は前述の意味であり、Xはハロゲンである)で示
される有機マグネシウム化合物と、一般式、M12 k
たはM12 k-1H(M1、R2、kは前述の意味である)
で示される有機金属化合物とを、ヘキサン、ヘプタン、
シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の不活性炭化水
素媒体中、室温〜150℃の間で反応させ、必要な場合
には続いてR3で表される炭化水素基を有するアルコー
ルまたは炭化水素溶媒に可溶な上記R3で表される炭化
水素基を有するヒドロカルビルオキシマグネシウム化合
物、及び/またはヒドロカルビルオキシアルミニウム化
合物と反応させる方法により得られる。
【0036】このうち炭化水素に可溶な有機マグネシウ
ム成分とアルコールとを反応させる場合、反応の順序に
ついては、有機マグネシウム成分中にアルコールを加え
ていく方法、アルコール中に有機マグネシウム成分を加
えていく方法、または両者を同時に加えていく方法のい
ずれの方法も用いることができる。
【0037】本発明において炭化水素に可溶な有機マグ
ネシウム成分とアルコールとの反応比率については特に
制限はないが、反応の結果、得られるアルコキシ基含有
有機マグネシウム成分における、全金属原子に対するア
ルコキシ基のモル組成比r/(α+β)の範囲は0≦r
/(α+β)≦2であり、0≦r/(α+β)<1が特
に好ましい。
【0038】次いで、本発明で用いられるSi−H結合
を有するクロルシラン化合物について説明する。クロル
シラン化合物としては一般式、HaSiClb4 4-(a+b)
(式中、R4は炭素数1〜20の炭化水素基であり、a
とbとは次の関係を満たす数である。0<a,0<b,
a+b≦4)で表される。上記式においてR4で表され
る炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素
基、芳香族炭化水素基であり、たとえば、メチル、エチ
ル、ブチル、アミル、ヘキシル、デシル、シクロヘキシ
ル、フェニル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜1
0のアルキル基であり、メチル、エチル、プロピル等の
低級アルキル基が特に好ましい。また、a及びbはa+
b≦4の関係を満たす0より大きな数であり、特にbが
2または3であることが好ましい。
【0039】これらの化合物としては、HSiCl3
HSiCl2CH3、HSiCl225、HSiCl2
−C37、HSiCl2iso−C37、HSiCl2
−C 49、HSiCl265、HSiCl2(4−Cl
−C64)、HSiCl2CH=CH2、HSiCl2
265、HSiCl2(1−C107)、HSiCl2
CH2CH=CH2、H2SiClCH3、H2SiClC2
5、HSiCl(CH32、HSiCl(C252
HSiClCH3(iso−C37)、HSiClCH3
(C65)、HSiCl(C652等が挙げられ、こ
れらの化合物またはこれらの化合物から選ばれた二種類
以上の混合物からなるクロルシラン化合物が使用され
る。
【0040】クロルシラン化合物としては、トリクロル
シラン、モノメチルジクロルシラン、ジメチルクロルシ
ラン、エチルジクロルシランが好ましく、トリクロルシ
ラン、モノメチルジクロルシランが特に好ましい。
【0041】次に有機マグネシウム成分とクロルシラン
化合物との反応について説明する。反応に際してはクロ
ルシラン化合物を予め不活性反応溶媒体、たとえば、n
−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、
1,2−ジクロルエタン、o−ジクロルベンゼン、ジク
ロルメタン等の塩素化炭化水素、もしくはエーテル、テ
トラヒドロフラン等のエーテル系媒体、あるいはこれら
の混合媒体を用いて希釈した後利用することが好まし
い。触媒の性能上、脂肪族炭化水素媒体が好ましい。
【0042】反応の温度については特に制限されない
が、反応の進行上、好ましくはクロルシランの沸点以上
もしくは40℃以上で実施される。2種成分の反応比率
にも特に制限はないが、通常有機マグネシウム成分1モ
ルに対し、クロルシラン化合物0.01〜100モルで
あり、好ましくは有機マグネシウム成分1モルに対し、
クロルシラン化合物0.1〜10モルの範囲である。
【0043】反応方法については2種成分を同時に反応
帯に導入しつつ反応させる同時添加の方法、もしくはク
ロルシラン化合物を事前に反応帯に仕込んだ後に、有機
マグネシウム成分を反応帯に導入しつつ反応させる方
法、あるいは有機マグネシム成分を事前に仕込み、クロ
ルシラン化合物を添加する方法があるが、クロルシラン
化合物を事前に反応帯に仕込んだ後に、有機マグネシウ
ム成分を反応帯に導入しつつ反応させる方法が好ましい
結果を与える。
【0044】上記反応によって得られる固体成分はろ別
またはデカンテーション法によって分離した後、n−ヘ
キサン、n−ヘプタン等の不活性溶媒を用いて充分に洗
浄し、未反応物あるいは副生成物等を除去することが好
ましい。
【0045】有機マグネシウム成分とクロルシラン化合
物との反応を無機担体の存在下に行うこともできる。無
機担体としては、下記のものを用いることができる。 (iii)無機酸化物 (iv)無機炭酸塩、珪酸塩、硫酸塩 (v)無機水酸化物 (vi)(iii)〜(vi)なる複塩、固溶体ないし
混合物。
【0046】無機担体の具体例としては、シリカ、アル
ミナ、シリカアルミナ、水和アルミナ、マグネシア、ト
リア、チタニア、ジルコニア、リン酸カルシウム、硫酸
バリウム、硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム、マグネ
シウム・カルシウム、アルミニウムシリケート[(Mg
・Ca)O・Al23・5SiO2・nH20]、珪酸カ
リウム・アルミニウム・[K2O・3Al23・6Si
2・2H2O]、珪酸マグネシウム鉄[(Mg・Fe)
2SiO4]、珪酸アルミニウム(Al23・Si
2)、炭酸カルシウム等が挙げられるが、特に好まし
くは、シリカないしシリカ・アルミナが好ましい。無機
担体の比表面積が、好ましくは20m2/g以上特に好
ましくは90m2/g以上である。
【0047】次に固体と反応させるアルコールについて
説明する。アルコールとしては炭素数1〜20の飽和又
は不飽和のアルコールを例示することができる。このよ
うなアルコールとしては、メチルアルコール、エチルア
ルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ア
ミルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキサノ
ール、フェノール、クレゾール等が挙げられ、C3から
8の直鎖アルコールは特に好ましい。
【0048】アルコールの使用量は、固体(A−1)中
に含まれるC−Mg結合1モル当たり、0〜20モルで
あり、好ましくは0.1〜10モル、特に好ましくは
0.2〜8モルである。固体(A−1)とアルコールと
の反応は、不活性媒体の存在下または非存在下において
行う。不活性媒体としては前述の脂肪族、芳香族ないし
脂環式炭化水素のいずれを用いても良い。反応時の温度
は特に制限はないが、好ましくは室温から200℃で実
施される。本発明においては、アルコールを反応させた
後、さらに特定の有機金属化合物を反応させることも可
能である。
【0049】この有機金属化合物成分は、一般式、M2
5 st-s(式中M2は周期律表第I〜III族に属する
金属原子、R5は炭素数1〜20の炭化水素基であり、
QはOR6,OSiR789,NR1011,SR12およ
びハロゲンから選ばれた基を表し、R6,R7,R8
9,R10,R11,R12は水素原子または炭化水素基で
あり、0<s,tはM2の原子価)で表される。M2は周
期律表第I〜III族に属する金属原子であり、たとえ
ばリチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグ
ネシウム、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、特
にマグネシウム、ホウ素、アルミニウムが好ましい。
【0050】R5で表される炭化水素基はアルキル基、
シクロアルキル基またはアリル基であり、たとえばメチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、オ
クチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げ
られ、好ましくはアルキル基である。QはOR6,OS
iR789,NR1011,SR12およびハロゲンから
選ばれた基を表し、R6,R7,R8,R9,R10,R11
12は水素原子または炭化水素基であり、特にQはハロ
ゲンであることが好ましい。
【0051】これらの例としてはメチルリチウム、ブチ
ルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグ
ネシウムブロミド、メチルマグネシウムアイオダイド、
エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロ
ミド、エチルマグネシウムアイオダイド、ブチルマグネ
シウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチル
マグネシウムアイオダイド、ジブチルマグネシウム、ジ
ヘキシルマグネシウム、トリエチルホウ素、トリメチル
アルミニウム、ジメチルアルミニウムブロミド、ジメチ
ルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムメトキ
シド、
【0052】メチルアルミニウムジクロリド、メチルア
ルミニウムセスキクロリド、トリエチルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウム
ブロミド、ジエチルアルミニウムエトキシド、エチルア
ルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロ
リド、トリーn−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブ
チルアルミニウム、トリ−iso−ブチルアルミニウ
ム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オク
チルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムなど
が挙げられ、特に有機アルミニウム化合物が好ましい。
【0053】有機金属化合物の使用量は、アルコールに
対するモル比で、0〜20であり、好ましくは0.1〜
10である。反応の温度については特に制限はないが、
室温から反応媒体の沸点未満の範囲が好ましい。
【0054】次いでチタニウム化合物について説明す
る。チタニウム化合物としては、一般式Ti(OR13
u4-uで表されるチタン化合物が用いられる。式中uは
0≦u≦4の数であり、R13で表される炭化水素基とし
ては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘ
キシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、デ
シル、アリル等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル、
2−メチルシクロヘキシル、シクロペンチル等の脂環式
炭化水素基、フェニル、ナフチル等の芳香族炭化水素基
等が挙げられるが、脂肪族炭化水素基が好ましい。Xで
表されるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げ
られるが、塩素が好ましい。上記から選ばれたチタン化
合物を、2種以上混合した形で用いることは可能であ
る。
【0055】固体物質とチタン化合物との反応は不活性
反応媒体を用いるが、不活性反応媒体としてはたとえ
ば、ヘキサン、ヘプタンの如き脂肪族炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる
が、脂肪族炭化水素が好ましい。
【0056】チタン化合物の使用量は固体成分に含まれ
るC−Mg結合1モル当たり、0.5モル以下が好まし
く、特に好ましくは0.1モル以下である。反応温度に
ついては、特に制限はないが、室温ないし150℃の範
囲で行うことが好ましい。この場合、前記有機金属化合
物成分を存在させることも可能である。
【0057】その際添加順序としては、有機金属化合物
に続いてチタン化合物を加える。チタン化合物に続いて
有機金属化合物を加える、両者を同時に添加するのいず
れの方法も可能であるが、有機金属化合物成分に続いて
チタン化合物を加えることが好ましい。この場合、有機
金属化合物とチタン化合物のモル比は、好ましくは0.
1〜10、特に好ましくは0.5〜2である。
【0058】かくして得られた固体触媒成分[A]は、
有機金属化合物成分[B]およびハロゲン化炭化水素成
分[C]とともにエチレンの重合または共重合に使用さ
れる。本発明において使用される有機金属化合物成分
[B]としては、周期律表第I〜III族の化合物で、
特に有機アルミニウム化合物および/又は有機マグネシ
ウムを含む錯体が好ましい。
【0059】有機アルミニウム化合物としては、トリメ
チルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−
プロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、
トリiso−ブチルアルミニウム、トリn−アミルアル
ミニウム、トリiso−アミルアルミニウム、トリn−
ヘキシルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウ
ム、トリn−デシルアルミニウム等のトリアルキルアル
ミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、
【0060】エチルアルミニウムジクロリド、ジiso
−ブチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセ
スキクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のハロ
ゲン化アルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシ
ド、ジiso−ブチルアルミニウムブトキシド等のアル
コキシアルミニウム、ジメチルヒドロシロキシアルミニ
ウムジメチル、エチルメチルヒドロシロキシアルミニウ
ムジエチル、エチルジメチルシロキシアルミニウムジエ
チル等のシロキシアルキルアルミニウムおよびこれらの
混合物が用いられ、特にトリアルキルアルミニウムは最
も高い活性が達成されるため好ましい。
【0061】有機マグネシウムを含む錯体としては、前
述の一般式(M1)α(Mg)β(R1)p(R2)q
(OR3)rで示される錯体であり、α、β、p、q、
r、M1、R1、R2、OR3についてはすでに述べたとお
りであるが、炭化水素可溶性錯体が望ましいため、β/
αは0.5〜10が好ましく、また特にM1がアルミニ
ウムである錯体が好ましい。
【0062】本発明の[C]成分として用いられるハロ
ゲン化炭化水素成分としては、例えば炭素数1ないし1
5程度の脂肪族、脂環族または芳香族のハロゲン化炭化
水素を挙げることができる。例えば、メチルクロリド、
エチルクロリド、プロピルクロリド、ブチルクロリド、
ヘキシルクロリド、塩化ビニル、塩化アルリル、ジクロ
ルメタン、ジクロルエタン、ジクロルプロパン、ジクロ
ルブタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロルエ
チレン、ヘキサクロルエタン、シクロヘキシルクロリ
ド、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ベンジルクロ
リド、メチルブロミド、エチルブロミド、プロピルブロ
ミド、ヘキシルブロミド、臭化ビニル、臭化アルリル、
ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、
ジブロモブタンなどが例示できる。
【0063】本発明の触媒系で重合するオレフィンとし
ては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オ
クテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセ
ン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコ
セン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、このうちの
いくつかを組み合わせて、共重合することもできる。
【0064】重合溶媒としては、スラリー重合に通常使
用される炭化水素溶媒が用いられる。具体的には、イソ
ブタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族
炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系
炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の
脂環式炭化水素の単独あるいは混合物が用いられる。
【0065】各触媒成分の使用量は適宜に変更、選択で
きるが、例えば反応容積1リットル当たり、固体触媒成
分をチタン原子に換算して、好ましくは0.0001〜
1ミリモル、また有機金属化合物は固体触媒成分1gに
対して1〜3000ミリモル、ハロゲン化炭化水素成分
は、ハロゲン化炭化水素成分[C]/有機金属化合物成
分[B]のモル比を0.001ないし10、とくに0.
05ないし5となるように使用するのが好ましい。
【0066】本発明における3成分の重合器への送入態
様は、とくに限定されるものではなく、例えば固体触媒
成分[A]、有機金属化合物成分[B]、ハロゲン化炭
化水素成分[C]を各々別個に重合器に送入する方法、
あるいは成分[A]と成分[C]を接触させた後に成分
[B]と接触させて重合する方法、成分[B]と成分
[C]を接触させた後に成分[A]と接触させて重合す
る方法、予め成分[A]と成分[B]と成分[C]と接
触させて重合する方法などを採用することができる。重
合温度は室温〜100℃、好ましくは50℃〜90℃で
ある。
【0067】重合圧力は常圧ないし100気圧の範囲で
実施される。得られる重合体の分子量は、重合系に水素
を存在させるか、あるいは重合温度を変化させることに
よって調節することができる。かくして得られた高密度
エチレン系重合体は、溶融流動性や成形加工性に優れて
いると同時に耐衝撃性が著しく優れる。しかも、重合体
中の残存触媒量が少ないといった特徴を有する。
【0068】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明の実
施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例
に限定されるものではない。
【0069】
【実施例】実施例1 (1)クロルシラン化合物との反応によるマグネシウム
含有固体の合成 充分に窒素置換された15リットルの反応器に、トリク
ロルシラン(HSiCl 3)を2モル/リットルのn−
ヘプタン溶液として2740ミリリットル仕込み、攪拌
しながら65℃に保ち、組成式AlMg6(C25
3(n−C4910.8(On−C491.2で示される有
機マグネシウム成分のn−ヘプタン溶液7リットル(マ
グネシウム換算で5モル)を1時間かけて加え、更に6
5℃にて1時間攪拌下反応させた。反応終了後、上澄み
液を除去し、n−ヘキサン7リットルで4回洗浄を行
い、固体物質スラリーを得た。この固体を分離・乾燥し
て分析した結果、固体1グラム当たり、Mg8.62ミ
リモル、Cl17.1ミリモル、n−ブトキシ基(On
−C49)0.84ミリモルを含有していた。
【0070】(2)固体触媒の合成 上記(1)で得た固体500gを含有するスラリーを、
n−ブチルアルコール1モル/リットルのn−ヘキサン
溶液1080ミリリットルとともに、攪拌下50℃で1
時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リット
ルのn−ヘキサンで1回洗浄した。このスラリーを50
℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1モル/リッ
トルのn−ヘキサン溶液1510ミリリットルを攪拌下
加えて1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、
7リットルのn−ヘキサンで2回洗浄した。このスラリ
ーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1モ
ル/リットルのn−ヘキサン溶液200ミリリットルお
よび四塩化チタン1モル/リットルのn−ヘキサン溶液
200ミリリットルを加えて、2時間反応した。反応終
了後上澄みを除去し、内温を50℃に保った状態で、7
リットルのn−ヘキサンで4回洗浄して、固体触媒成分
[A−1]をヘキサンスラリー溶液として得た。
【0071】(3)エチレンの重合 (2)で合成した固体触媒成分を用い、内容量230リ
ットルのジャケット付き重合槽で、液位170リットル
でn−ヘキサン溶媒によりエチレン−ブテン−1共重合
の連続重合を行った。重合槽へは、上記固体触媒成分
[A−1]を1.0g/hr、トリイソブチルアルミニ
ウム9ミリモル/hr、1,2−ジクロルエタン1ミリ
モル/hr、精製n−ヘキサン60リットル/hr、エ
チレン10kg/hr、ブテン−1 0.3リットル/
hr、水素190リットル/hrの割合で連続的に供給
して重合温度75℃、全圧10K/cm3G、平均滞留
時間1.7時間で連続重合を行った。
【0072】平均重合活性は11000g−ポリマー/
g−触媒・hrであった。このようにして製造されたポ
リエチレンを、ステアリン酸カルシウム 300pp
m、イルガノックス1076 300ppmとともに、
44mmΦの押出し機で190℃にて混練り、押出しを
行いペレットとした。このようにして得られたペレット
のMIは0.26g/10min、HMIは20.0g
/10min、MIRは76.9、密度は0.9592
g/cm3、23℃で測定したアイゾット衝撃試験で
は、試験片は破断せず、−25℃で測定したアイゾット
衝撃試験でも、試験片は破断しなかった。尚、計算によ
り求められた値は23℃で79kgf・cm/cm2
−25℃で84kgf・cm/cm2であった。
【0073】実施例2 実施例1において、1,2−ジクロルエタンの代わりに
1,2−ジブロモプロパンを使用した以外は実施例1と
同様にして重合した結果、平均重合活性は11500g
−ポリマー/g−触媒・hrであり、実施例1と同じ条
件でペレットを製造した結果、得られたペレットのMI
は0.28g/10min、HMIは19.8g/10
min、MIRは70.7、密度は0.9602g/c
3、23℃で測定したアイゾット衝撃試験では、試験
片は破断せず、−25℃で測定したアイゾット衝撃試験
でも、試験片は破断しなかった。尚、計算により求めら
れた値は23℃で75kgf・cm/cm2、−25℃
で74kgf・cm/cm2であった。
【0074】実施例3 固体触媒成分の合成を以下の条件で行った。充分に窒素
置換された15リットルの反応器に、トリクロルシラン
(HSiCl 3)を1mol/lのn−ヘプタン溶液と
して5700ml仕込み、攪拌しながら65℃に保ち、
組成式AlMg6(C253(n−C4912で示され
る有機マグネシウム錯体成分5250mmol(マグネ
シウム基準で)を含むn−ヘプタン溶液を2時間かけて
加え、更に65℃にて1時間攪拌下反応させた。反応終
了後、上澄み液を除去し、n−ヘキサン7リットルで4
回洗浄を行い、固体物質スラリーを得た。この固体を分
離・乾燥して分析した結果、固体1グラム当たり、Mg
10.2mmol、Cl20.6mmolを含有してい
た。
【0075】次に、上記固体500グラム含有するスラ
リーを、n−ブチルアルコール1mol/lのn−ヘキ
サン溶液2540mlとともに、攪拌下50℃で1時間
反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルの
n−ヘキサンで1回洗浄した。このスラリーを50℃に
保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1mol/lのn
−ヘキサン溶液1140mlを攪拌下加えて1時間反応
させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−
ヘキサンで2回洗浄した。このスラリーを50℃に保
ち、ジエチルアルミニウムクロリド1mol/lのn−
ヘキサン溶液260mlおよび四塩化チタニウム1mo
l/lのn−ヘキサン溶液260ml加えて、2時間反
応した。反応終了後上澄みを除去し、内温を50℃に保
った状態で、7リットルのn−ヘキサンで4回洗浄し
て、固体触媒成分[A−2]を得た。
【0076】この触媒を用いて実施例1と同様にして重
合した結果、平均重合活性は11000g−ポリマー/
g−触媒・hrであり、実施例1と同じ条件でペレット
を製造した結果、得られたペレットのMIは0.56g
/10min、HMIは50.4g/10min、MI
Rは90.0、密度は0.9578g/cm3、23℃
で測定したアイゾット衝撃試験では、試験片は破断せ
ず、−25℃で測定したアイゾット衝撃試験でも、試験
片は破断しなかった。尚、計算により求められた値は2
3℃で53kgf・cm/cm2、−25℃で45kg
f・cm/cm2であった。
【0077】実施例4 実施例1において、ブテン−1を2.0リットル/h
r、水素140リットル/hrの割合で供給した以外
は、実施例1と同様にして重合した結果、平均重合活性
は17000g−ポリマー/g−触媒・hrであり、実
施例1と同じ条件でペレットを製造した結果、得られた
ペレットのMIは0.30g/10min、HMIは2
0.8g/10min、MIRは69.3、密度は0.
9504g/cm3、23℃で測定したアイゾット衝撃
試験では、試験片は破断せず、−25℃で測定したアイ
ゾット衝撃試験でも、試験片は破断しなかった。尚、計
算により求められた値は23℃で50kgf・cm/c
2、−25℃で40kgf・cm/cm2であった。
【0078】比較例1〜21 ブロー成形法に適しているとされている市販のポリエチ
レンについて、アイゾット衝撃試験を実施した。その結
果を表1に示す。いずれのものもアイゾット衝撃値が本
発明の高密度エチレン系重合体に比べ低いものであっ
た。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】本発明における高密度エチレン系重合体
は、溶融流動性や成形加工性に優れていると同時に耐衝
撃性が著しく優れる。しかも重合体中の残存触媒量が少
ないといった特徴を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J028 AA01A AB01A AC04A AC05A AC06A AC07A BA01B BA02A BA03A BB00B BB01A BB01B BB02A BC01A BC04A BC04B BC05A BC05B BC06A BC06B BC07A BC07B BC12A BC13A BC14A BC15A BC15B BC16A BC16B BC17A BC17B BC19A BC24A BC24B BC27B BC30A BC35A CA02C CA25A CA27A CA28A CA29A CA30A CA49A CA54A CB12C CB14C CB23A CB25A EA01 EB02 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EC01 EC02 FA02 FA09 GA07 GA08 GB01 4J100 AA02P AA03P AA04P AA07P AA15P AA19P AA20P AA21P CA01 DA15 DA42 DA43 DA52 FA02 FA08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 [a]密度dが0.945g/cm3
    上0.980g/cm3以下であり、[b]190℃に
    おける2.16kg荷重でのMFRをMI(g/10
    分)としたとき、そのMIが0.1以上1.0以下であ
    り、[c]190℃における21.6kg荷重でのMF
    RをHMI(g/10分)としたとき、そのHMIが1
    0以上100以下であり、[d]HMIとMIとの比H
    MI/MIをMIRとしたとき、そのMIRが50以上
    であり、[e]23℃で測定したアイゾット衝撃値をR
    IZOD(kgf・cm/cm2)としたとき、そのR
    IZODが1以上であり、且つRIZODとMI、d、
    MIRとがそれぞれ、log(RIZOD)>−0.7
    45×log(MI)+0.781、log(RIZO
    D)>27.027×d−24.184、log(RI
    ZOD)>−0.472×log(MIR)+2.15
    で示される関係を満たし、そして[f]−25℃で測定
    したアイゾット衝撃値をLIZOD(kgf・cm/c
    2)としたとき、そのLIZODが1以上であり、且
    つLIZODとMI、d、MIRとがそれぞれ、log
    (LIZOD)>−0.642×log(MI)+0.
    641、log(LIZOD)>58.824×d−5
    4.765、log(LIZOD)>−0.963×l
    og(MIR)+3.2で示される関係を満たす高密度
    エチレン系重合体。
  2. 【請求項2】 密度dが0.965以下である請求項1
    記載の高密度エチレン系重合体。
  3. 【請求項3】 固体触媒成分[A]が、(A−1)
    (i)一般式(M1)α(Mg)β(R1)p(R2)q
    (OR3)r〔式中、M1は周期律表第I族〜第III族
    に属する金属原子であり、R1、R2及びR3は炭素数2
    〜20の炭化水素基であり、α,β,p,q及びrは次
    の関係を満たす数である。 0≦α,0<β,0≦p,0≦q,0≦r,p+q>
    0, 0≦r/(α+β)≦2,kα+2β=p+q+r(た
    だし、kはM1の原子価)〕で示される炭化水素溶媒に
    可溶な有機マグネシウム成分1モルと、 (ii)一般式HaSiClb4 4-(a+b)(式中、R4
    炭素数1〜20の炭化水素基であり、aとbとは次の関
    係を満たす数である。0<a,0<b,a+b≦4)で
    示されるSi−H結合を有するクロルシラン化合物0.
    01〜100モルを反応させて得られる固体中に含まれ
    るC−Mg結合1モルに対して、 (A−2)アルコール を0.05〜20モル反応させて得られる固体を、ある
    いはさらに (A−3)一般式M25 st-s (式中M2は周期律表第I〜III族に属する金属原
    子、R5は炭素数1〜20の炭化水素基であり、QはO
    6,OSiR789,NR1011,SR12およびハロ
    ゲンから選ばれた基を表し、R6,R7,R8,R9
    10,R11,R12は水素原子または炭化水素基であり、
    0<s,tはM2の原子価)で示される有機金属化合物
    を、反応させて得られる固体に、 (A−4)チタニウム化合物 を、前記の(A−3)成分の存在下或いは非存在下に反
    応させて得られる固体触媒成分[A]、有機金属化合物
    成分[B]および[C]ハロゲン化炭化水素からなるオ
    レフィン重合触媒の存在下に、エチレン単独もしくはエ
    チレンと炭素数3以上のα−オレフィンとを、得られる
    重合体が[a]密度dが0.945g/cm3以上0.
    980g/cm3以下であり、[b]190℃における
    2.16kg荷重でのMFRをMI(g/10分)とし
    たとき、そのMIが0.1以上1.0以下であり、
    [c]190℃における21.6kg荷重でのMFRを
    HMI(g/10分)としたとき、そのHMIが10以
    上100以下であり、[d]HMIとMIとの比HMI
    /MIをMIRとしたとき、そのMIRが50以上であ
    り、[e]23℃で測定したアイゾット衝撃値をRIZ
    OD(kgf・cm/cm2)としたとき、そのRIZ
    ODが1以上であり、且つRIZODとMI、d、MI
    Rとがそれぞれ、log(RIZOD)>−0.745
    ×log(MI)+0.781、log(RIZOD)
    >27.027×d−24.184、log(RIZO
    D)>−0.472×log(MIR)+2.15で示
    される関係を満たし、[f]−25℃で測定したアイゾ
    ット衝撃値をLIZOD(kgf・cm/cm2)とし
    たとき、そのLIZODが1以上であり、且つLIZO
    DとMI、d、MIRとがそれぞれ、log(LIZO
    D)>−0.642×log(MI)+0.641、l
    og(LIZOD)>58.824×d−54.76
    5、log(LIZOD)>−0.963×log(M
    IR)+3.2で示される関係を満たすように重合させ
    ることを特徴とする高密度エチレン系重合体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記の密度dが0.965以下である請
    求項3記載の高密度エチレン系重合体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008038065A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリオレフィンの製造方法およびポリオレフィン樹脂組成物
JP2014043518A (ja) * 2012-08-27 2014-03-13 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリエチレン樹脂組成物、パイプ、及び継手
JP2017025339A (ja) * 2016-10-25 2017-02-02 旭化成株式会社 ポリエチレン樹脂組成物、パイプ、及び継手

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