JP5191113B2 - エチレン系重合体組成物パウダー - Google Patents

エチレン系重合体組成物パウダー Download PDF

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Description

本発明は、成型加工性に優れ、かつ超高分子量ポリエチレン本来の特徴である耐磨耗性、耐衝撃性、自己潤滑性、耐ストレスクラック性等を有する超高分子量エチレン系重合体を含有するエチレン系重合体組成物パウダーに関するものである。
従来、超高分子量ポリエチレンは、汎用のポリエチレンに比べ、耐衝撃性、耐摩耗性、摺動性、耐薬品性、引張強度に優れており、エンジニアリングプラスチックとして摺動部品等に用いられていた。しかしながら、超高分子量ポリオレフィンは汎用のポリエチレンに比較して分子量が高いために溶融粘度が極めて高く流動性が悪いため、押出成形、射出成形、および製膜する際の加工性が非常に悪いという欠点がある。そのため、超高分子量ポリエチレンは、ほとんどの場合には圧縮成形により成形されており、一部ロッド等が極めて低速で押出成形されているにすぎない。また、超高分子量ポリエチレンは、近年では精密濾過膜、燃料電池用セパレーター、コンデンサー用セパレーター、機能膜の母材、リチウムイオン電池を初めとする電池用セパレーター等、種々の物質の分離や選択透過および隔離材等に微多孔膜として広く使用されている。これらの微多孔膜は、超高分子量ポリエチレンをはじめとした種々の樹脂等を流動パラフィン等の溶剤と混練し、延伸した後に溶剤等を除去することにより製造されている。この工程において、通常の超高分子量ポリエチレンを用いた場合には粒として溶け残るため、超高分子量ポリエチレンの使用が大幅に制限されていた。
従来、超高分子量ポリエチレンの成形加工性を改善する方法として、超高分子量ポリエチレンに低分子量ないし高分子量のポリオレフィンを添加する方法が報告されている。特許文献1には、135℃、デカリン中における極限粘度が10〜30デシリットル/gであり、かつ少なくとも2段階の重合反応によって得られる射出成形性の改良された超高分子量ポリエチレン組成物が開示されている。
また、特許文献2には、135℃デカリン中で測定した極限粘度が15デシリットル/gを超える超高分子量ポリオレフィンと135℃のデカリン中で測定した極限粘度が0.1〜5デシリットル/gである低分子量ないし高分子量ポリオレフィンとから実質的になり、上記超高分子量ポリオレフィンは該超高分子量ポリオレフィンと上記低分子量ないし高分子量ポリオレフィンとの総重量に対し20〜95重量%の範囲にあり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]cが10〜50デシリットル/gの範囲にあり、多段階重合法によって製造されたことを特徴とする成形用ポリオレフィン組成物が開示されている。
しかし、いずれも成形性が完全とはいえず、特に流動パラフィン等の溶剤と混練し延伸した際には未溶融の高分子量ポリオレフィンに起因すると思われる粒が多量に残存する場合があった。
一方、特許文献3には、少なくとも極限粘度[η]が6デシリットル/g以上の超高分子量ポリエチレンを99ないし50重量%と極限粘度[η]が1.5ないし4.5デシリットル/gのポリエチレンを1ないし50重量%とからなることを特徴とする超高分子量ポリエチレン組成物が開示されている。しかし、この組成物は超高分子量ポリエチレンパウダーと通常のポリエチレンパウダーとのブレンド物であるため成形性加工性が完全とは言えず、更なる改良が求められていた。
また、超高分子量ポリエチレンは、分子量が高く溶融時の流動性が悪いため、ポリエチレンの製造現場において通常のポリエチレンのようにペレットの形状に成形することが困難であるため、一般にパウダーの形状で出荷されている。このため、超高分子量ポリエチレンの成形時にはパウダー形状の超高分子量ポリエチレンが使用されている。その際、該パウダーの嵩密度が、その成形性や成形により得られる製品に大きく影響する場合があるため、該パウダーの嵩密度が適切な範囲にあることが望まれている。例えば、成形過程に溶媒または可塑剤との含浸過程や混練過程が存在する場合には、低分子量パラフィン等が超高分子量ポリエチレン粉末への含浸しやすいため、嵩密度が高すぎると成形加工性が悪化する場合がある。一方、嵩密度が低すぎる場合には、金型に充填する際に成形品に十分な質量の超高分子量ポリエチレンパウダーが入らない、また成形品に気泡が入りやすい、という問題が発生する。
これを解決するため、金型の容積を大きくして成形時間を延長する方法が考えられるが、金型の熱容量および放熱量が大きくなるため、消費される電力も著しく大きくなるという問題が発生する。また、この方法では、圧縮機の作動距離および作動時間も大きくする必要があるため、成形の効率が著しく低下する。また、超高分子量ポリエチレンの生産においても、生成する超高分子量ポリエチレンパウダーの嵩密度は非常に重要である。この嵩密度を上げることにより、重合器内において単位容積あたりに含まれる超高分子量ポリエチレンの重量を大きくすることが可能であるため、重合器内の超高分子量ポリエチレンパウダーの濃度を上げることができる。これにより、同一プロセスにおいても超高分子量ポリエチレンの生産性を高めることが可能となる。また、重合器から排出された超高分子量ポリエチレンパウダーを輸送し貯蔵する場合にも、この嵩密度は重要である。嵩密度が高い方が輸送時の詰まりが少なく、単位体積あたりの貯蔵量も増大させることが可能となる。
以上のように、超高分子量ポリエチレンパウダーの嵩密度は、超高分子量ポリエチレンに必要とされる極めて重要な特性のひとつである。しかし、特許文献1、特許文献2および特許文献3のいずれにも、この極めて重要な超高分子量ポリエチレンパウダーの嵩密度に関しては検討されていなかった。
特公平06−092457号公報 特許第2505752号公報 特開昭60−240748号公報
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、工業プロセスにおいて効率的に製造可能な超高分子量エチレン系重合体を含有する成形加工性に優れたエチレン系重合体組成物パウダーを提供することを目的とする。
本発明者は前記課題を解決するため鋭意検討した結果、工業プロセスにおいて効率的に製造可能な超高分子量エチレン系重合体を含有する成形加工性に優れたエチレン系重合体組成物パウダーを見いだし、本発明に到達した。
即ち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1] 固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなり、固体触媒成分[A]が、下記一般式1で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物(A−1)と下記一般式2で表されるチタン化合物(A−2)とを反応させることにより製造されるオレフィン重合用触媒を用いて、少なくとも低分子量成分と高分子量成分とからなる多段重合法により製造されたエチレン系重合体組成物パウダーであって、該エチレン系重合体組成物の粘度平均分子量が10万以上160万以下であり、低分子量成分が重量平均分子量が5000以上10万以下のエチレン系重合体であり、高分子量成分の粘度平均分子量(Mv)が100万以上400万以下で、質量分率が30質量%以上70質量%以下であり、該エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度が0.39g/cm 3 以上0.41g/cm 3 以下であることを特徴とする超高分子量エチレン系重合体を含有するエチレン系重合体組成物パウダー。
(M 1 )α(Mg)β(R 1 a (R 2 b c ・・・式1
(式中、M 1 は周期律表第1族、第2族、第12族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R 1 およびR 2 は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R 3 ,R 4 、−SR 5 (但し、R 3 、R 4 およびR 5 は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Yはそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0
<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(但し、nはM 1 の原子価))
Ti(OR 6 d (4-d) ・・・式2
(式中、dは0以上4以下の実数であり、R 6 は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
[2] 固体触媒成分[C]および有機金属化合物成分[B]からなり、固体触媒成分[C]が、下記一般式3で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物(C−1)と下記一般式4で表される塩素化剤(C−2)との反応により調製された担体(C−3)に一般式2で表されるチタン化合物(C−4)を担持することにより製造されるオレフィン重合用触媒を用いて、少なくとも低分子量成分と高分子量成分とからなる多段重合法により製造されたエチレン系重合体組成物パウダーであって、該エチレン系重合体組成物の粘度平均分子量が10万以上160万以下であり、低分子量成分が重量平均分子量が5000以上10万以下のエチレン系重合体であり、高分子量成分の粘度平均分子量(Mv)が100万以上400万以下で、質量分率が30質量%以上70質量%以下であり、該エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度が0.39g/cm 3 以上0.41g/cm 3 以下であることを特徴とする超高分子量エチレン系重合体を含有するエチレン系重合体組成物パウダー。
(M 2 )γ(Mg)δ(R 7 e (R 8 f (OR 9 g ・・・式3
(式中、M 2 は周期律表第1族、第2族、第12族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R 7 、R 8 およびR 9 はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、fおよびgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(但し、kはM 2 の原子価))
h SiCl i 10 (4-(h+i)) ・・・式4
(式中、R 10 は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
Ti(OR 6 d (4-d) ・・・式2
(式中、dは0以上4以下の実数であり、R 6 は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
] 上記[又は]のいずれかに記載のエチレン系重合体組成物パウダーから得られる微多孔膜。
本発明のエチレン系重合体組成物は、工業プロセスにおいて効率的に製造可能であり、成形加工性、特に微多孔膜を製造する際の成形加工性に優れた超高分子量ポリエチレン組成物を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明のエチレン系重合体組成物の具体的な態様について説明する。
本発明のエチレン系重合体組成物、該組成物に含有される低分子量成分および高分子量成分は、エチレン単独重合体およびエチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィン、炭素数3〜20の環状オレフィン、式CH2 =CHR11(但し、R11は炭素数6〜20のアリール基である。)で表される化合物、および炭素数4以上20以下の直鎖状、分岐状または環状のジエンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとを共重合させることにより製造されるエチレン系共重合体を包含するものである。
次に、本発明における低分子量成分について説明する。
本発明における低分子量成分とは重量平均分子量が5000以上10万以下であるエチレン系重合体のことであり、重量平均分子量が1万以上5万以下であることが好ましい。なお、本発明では、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。本発明における低分子量成分が重量平均分子量で5000以上10万以下の範囲であれば、成形加工性が良好で、微多孔膜にしたときの粒(欠点数)が少ない。該低分子量成分の分子量分布については特に制限は無いが、GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3以上20以下であることが好ましく、4以上13以下であることがさらに好ましい。
本発明においては、低分子量成分は比較的高い重合温度または、比較的高い気相の水素濃度の重合条件で得られる。この低分子量領域での分子量は、重合温度または気相の水素濃度で制御できる。つまり、比較的分子量の低い低分子量成分をつくりたい場合は、重合温度を高くするか、気相の水素濃度を高くすることで製造することができる。逆に比較的高い分子量の低分子量成分をつくりたい場合には、重合温度を低くするか、気相の水素濃度を低くすることで製造することができる。ここで気相のエチレンに対する水素濃度とは、気相の水素濃度(モル/リットル)を気相のエチレン濃度(モル/リットル)と気相の水素濃度(モル/リットル)との和で除することにより算出された値である。
次に、本発明における高分子量成分について説明する。
本発明における高分子量成分には特に制限はないが、粘度平均分子量(Mv)が100万以上400万以下である超高分子量エチレン系重合体のことであり、Mvは150万以上300万以下であることが好ましい。
本発明における高分子量成分の粘度平均分子量(Mv)が100万以上400万以下であれば、成形加工性が良く、成形品の耐磨耗性が良好である。また微多孔膜にしたときの粒(欠点数)が少なく、膜としての物性も良好である。
本発明においては、後段重合で生成する成分の分子量は直接測定できないので下記数式3を用いて算出する。
Mv2nd ={(Mvfinal )0.595 +(1−fB )(Mv1st )0.595 /fB 1/0.595
・・・数式3
(ここで、Mvfinal は多段重合により得られたエチレン系重合体組成物のMv、Mv1st は1段目の重合器で生成したエチレン系重合体のMv、Mv2nd は2段目の重合器で生成したエチレン系重合体のMv、fB は全体の生成量に対する2段目の重合器で生成した割合である。)
本発明においては、高分子量成分は比較的低い重合温度または、比較的低い気相の水素濃度の重合条件で得られる。この高分子量領域での分子量は、重合温度または気相の水素濃度で制御できる。つまり、比較的分子量の低い高分子量成分をつくる場合は、重合温度を高くするか、気相の水素濃度を高くすることで製造することができる。逆に比較的分子量の高い高分子量をつくる場合には、重合温度を低くするか、気相の水素濃度を低くすることで製造することができる。
本発明における多段重合法とは、例えば、特公昭35−15246号公報、特公昭46−11349号公報、特公昭48−42716号公報、特開昭51−47079号公報、特開昭52−19788号公報、特許2505752号公報等で報告されている公知技術であり、複数の重合器が通常は直列に連結された多段重合装置によりエチレンを単独重合またはエチレンとオレフィンとを共重合する方法である。本発明においては、少なくとも1つの重合器において低分子量成分であるMwが5000以上10万以下のエチレン系重合体を生成させ、少なくとも1つの重合器において高分子量成分であるMvが100万以上400万以下である超高分子量エチレン系重合体を生成させることが必要である。なお、これら低分子量成分および高分子量成分を生成させる重合器以外の重合器において、Mwが5000以上かつMvが400万以下の分子量のエチレン系重合体を生成させることができる。本発明においては、低分子量成分を生成させる重合器には特に制限は無く、第一段重合器であっても良いし、中間の重合器であっても良いし、最終段の重合器であってもよいし、二段以上の複数重合器であっても差し支えないが、第一段または中間の重合器であることが好ましい。また、高分子量成分を生成させる重合器には特に制限は無く、第一段重合器であっても良いし、中間の重合器であっても良いし、最終段の重合器であってもよいし、二段以上の複数重合器であっても差し支えないが、中間のまたは最終段重合器であることが好ましい。
本発明においては、エチレン系重合体組成物に含まれる高分子量成分の質量分率が30質量%以上70質量%以下であり、35質量%以上65質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明におけるエチレン系重合体組成物に含まれる高分子量成分の質量分率が30質量%以上70質量%以下であれば、成形加工性が良く、成形品の耐磨耗性が良好である。また微多孔膜にしたときの粒(欠点数)が少なく、膜としての物性も良好である。
本発明においては、エチレン系重合体組成物に含まれる高分子量成分の質量分率とは、高分子量成分の生成量を最終生成量で除することで求められる。実際には、高分子量成分の生成量は直接求められないので、最終生成量から予め実測しておいた一段目生成量を差し引いた値を最終生成量で除した値で求める。また、重合プロセスでの高分子量成分の質量分率の制御方法としては、高分子量重合体成分の重合反応器へ供給するエチレンの量を、高分子量成分の重合反応器へ供給するエチレンの量と低分子量重合体成分の重合反応器へ供給するエチレンの量との和で除することにより算出された値である。この比率をかえることにより、エチレン系重合体組成物に含まれる高分子量成分の質量分率制御することができる。つまり高分子量成分の質量分率を下げたい場合には、低分子量重合体重合反応器へ供給するエチレンの量多くし、高分子量重合反応器へ供給するエチレンの量を少なくする、逆に高分子量成分の質量分率を上げたい場合には、低分子量重合体重合反応器へ供給するエチレンの量を少なくし、高分子量重合反応器へ供給するエチレンの量を多くすることで制御できる。
本発明においては、エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度は、該重合体組成物パウダーをヘキサンおよびメタノールで洗浄した後、90℃で1時間乾燥させたパウダーの嵩密度をJIS−K−6721に従って測定することにより得られたものである。本発明においては、エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度が0.30g/cm3 以上0.45g/cm3 以下である。該エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度が0.30g/cm3 よりも高い場合には、金型に充填する際に成形品に十分な質量の超高分子量ポリエチレンパウダーが入る、また成形品に気泡が入り難い、という利点がある。また、該エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度が0.45cm3 よりも低い場合には、微多孔膜製造時の溶媒または可塑剤の含浸が充分であるため、成形性が良くなる利点がある。
本発明においては、エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度を制御する最良の方法としては、固体触媒成分の調整方法などを変えることにより得られる固体触媒の形状、粒径、粒度分布によって、生成するパウダーの嵩密度を制御することができる。エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度を比較的高くする場合、固体触媒の粒度を小さく、また粒度分布を狭く、形状も球状に近い固体触媒を使用することで達成できる。逆に、エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度を比較的低くする場合、固体触媒の粒径を大きく、また粒度分布を広く、形状も歪な形状や凝集状の固体触媒を使用することで達成できる。
またエチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度は、重合時のスラリー濃度(重合反応器中のポリマー量を重合反応器中のポリマー量と重合溶媒量のとの和で除することにより算出された値である)によっても制御することができる。つまり比較的高い嵩密度を得たい場合には、スラリー濃度を高くし、比較的低い嵩密度を得たい場合には、スラリー濃度を低くすることで、エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度を制御できる。
またエチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度は、重合温度によっても嵩密度を制御することができる。つまり比較的高い嵩密度を得たい場合には、比較的高い重合温度で重合することにより、比較的高い嵩密度のエチレン系重合体組成物が得られる。逆に比較的低い嵩密度を得たい場合には、比較的低い重合温度で重合することにより比較的低い嵩密度のエチレン系重合体組成物が得られる。
本発明において使用される触媒成分には特に制限は無いが、固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなり、固体触媒成分[A]が、下記一般式1で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物(A−1)と下記一般式2で表されるチタン化合物(A−2)とを反応させることにより製造されるオレフィン重合用触媒であることが好ましい。
(M1 )α(Mg)β(R1 a (R2 b c ・・・式1
(式中、M1 は周期律表第1族、第2族、第12族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R1 およびR2 は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R3 ,R4 、−SR5 (但し、R3 、R4 およびR5 は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Yはそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(但し、nはM1 の原子価))
Ti(OR6 d (4-d) ・・・式2
(式中、dは0以上4以下の実数であり、R6 は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
なお、本発明における不活性炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素およびシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。
まず、(A−1)について説明する。
(A−1)は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体のすべてを包含するものである。記号α、β、a、b、cの関係式nα+2β=a+b+cは金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
一般式1において、R1 およびR2 で表される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、たとえば、エチル、プロピル、ブチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基である。α>0の場合、金属原子M1 としては、周期律表第1族、第2族、第12族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子が使用でき、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、アルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が特に好ましい。
金属原子M1 に対するマグネシウムの比β/αには特に制限は無いが、0.1以上30以下であることが好ましく、0.5以上10以下であることがさらに好ましい。また、α=0である或る種の有機マグネシウム化合物を用いる場合、例えば、R1 が1−メチルプロピル等の場合には不活性炭化水素溶媒に可溶であり、このような化合物も本発明に好ましい結果を与える。一般式1において、α=0の場合のR1 、R2 は次に示す三つの群(1)、(2)、(3)のいずれか一つであることが推奨される。
(1)R1 、R2 の少なくとも一方が炭素数4以上6以下である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR1 、R2 がともに炭素数4以上6以下のアルキル基であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(2)R1 とR2 とが炭素数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR1 が炭素数2または3のアルキル基であり、R2 が炭素数4以上のアルキル基であること。 (3)R1 、R2 の少なくとも一方が炭素数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR1 、R2 に含まれる炭素数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
以下これらの基を具体的に示す。
(1)において炭素数4以上6以下である二級または三級のアルキル基としては、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、2−メチルブチル、2−エチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチル−2−エチルプロピル基等が挙げられ、中でも1−メチルプロピル基が特に好ましい。
次に(2)において炭素数2または3のアルキル基としてはエチル、1−メチルエチル、プロピル基等が挙げられ、中でもエチル基が特に好ましい。また炭素数4以上のアルキル基としては、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等が挙げられ、ブチル、ヘキシル基が特に好ましい。
さらに(3)において炭素数6以上の炭化水素基としては、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、2−ナフチル基等が挙げられる。炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、アルキル基の中でもヘキシル、オクチル基が特に好ましい。一般に、アルキル基に含まれる炭素数が増えると不活性炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘度が高くなるために必要以上に長鎖のアルキル基を用いることは取り扱い上好ましくない。なお、上記有機マグネシウム化合物は不活性炭化水素溶媒で希釈して使用されるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のルイス塩基性化合物が含有され、あるいは残存していても差し支えなく使用できる。
次にYについて説明する。
Yは、アルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R3 ,R4 、−SR5 (但し、R3 、R4 およびR5 はそれぞれ独立に炭素数12以上20以下の炭化水素基を表す。)、β−ケト酸残基材のいずれかである。
ここで、R3 、R4 およびR5 で表される炭化水素基としては、炭素数1以上12以下のアルキル基またはアリール基が好ましく、3以上10以下のアルキル基またはアリール基が特に好ましい。具体的には、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−エチル−4−メチルペンチル、2−プロピルヘプチル、2−エチル−5−メチルオクチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、ナフチル基等が挙げられ、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルペンチルおよび2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
また、Yはアルコキシ基またはシロキシ基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1−メチルエトキシ、ブトキシ、1−メチルプロポキシ、1,1−ジメチルエトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、2−メチルペントキシ、2−エチルブトキシ、2−エチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、2−エチル−4−メチルペントキシ、2−プロピルヘプトキシ、2−エチル−5−メチルオクトキシ、オクトキシ、フェノキシ、ナフトキシ基であることが好ましく、ブトキシ、1−メチルプロポキシ、2−メチルペントキシおよび2−エチルヘキソキシ基であることがさらに好ましい。シロキシ基としてはヒドロジメチルシロキシ、エチルヒドロメチルシロキシ、ジエチルヒドロシロキシ、トリメチルシロキシ、エチルジメチルシロキシ、ジエチルメチルシロキシ、トリエチルシロキシ基等が好ましく、ヒドロジメチルシロキシ、エチルヒドロメチルシロキシ、ジエチルヒドロシロキシ、トリメチルシロキシ基がさらに好ましい。
本発明において(A−1)の合成方法には特に制限は無く、一般式R1 MgXおよびR1 2Mg(R1 は前述の意味であり、Xはハロゲンである。)からなる群に属する有機マグネシウム化合物と、一般式M1 2 n およびM1 2 (n-1) H(M1 、およびR2 は前述の意味、nはM1 の原子価)からなる群に属する有機金属化合物とを不活性炭化水素溶媒中、25℃以上150℃以下で反応させ、必要な場合には続いて一般式Y−H(Yは前述の意味である)で表される化合物を反応させる、あるいはYで表される官能基を有する有機マグネシウム化合物および/または有機アルミニウム化合物を反応させることにより合成することが可能である。このうち、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物と一般式Y−Hで表される化合物とを反応させる場合、反応の順序については特に制限はなく、有機マグネシウム化合物中に一般式Y−Hで表される化合物を加えていく方法、一般式Y−Hで表される化合物中に有機マグネシウム化合物を加えていく方法、または両者を同時に加えていく方法のいずれの方法も用いることができる。
本発明において、(A−1)における全金属原子に対するYのモル組成比c/(α+β)の範囲は0≦c/(α+β)≦2であり、0≦c/(α+β)<1であることが好ましい。全金属原子に対するYのモル組成比が2よりも大きい場合には、(A−2)に対する(A−1)の反応性が低下しすぎる可能性がある。
次に、(A−2)について説明する。
(A−2)は次の一般式2で表されるチタン化合物である。
Ti(OR6 d (4-d) ・・・式2
(式中、dは0以上4以下の実数であり、R6 は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
上記一般式2において、dは0以上1以下であることが好ましく、dが0であることがさらに好ましい。また、R6 で表される炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、アリル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基、フェニル、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられるが、脂肪族炭化水素基が好ましい。Xで表されるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、塩素が好ましい。本発明において、(A−2)は四塩化チタンであることが最も好ましい。本発明においては上記から選ばれた化合物を2種以上混合して使用することが可能である。
次に、(A−1)と(A−2)との反応について説明する。
該反応は、不活性炭化水素溶媒中で行われることが好ましく、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒中で行われることがさらに好ましい。該反応における(A−1)と(A−2)とのモル比については特に制限は無いが、(A−1)に含まれるMg原子に対する(A−2)に含まれるTi原子のモル比(Ti/Mg)が0.1以上10以下であることが好ましく、0.3以上3以下であることがさらに好ましい。反応温度については、特に制限はないが、−80℃以上150℃以下の範囲で行うことが好ましく、−40℃〜100℃の範囲で行うことがさらに好ましい。(A−1)と(A−2)の添加順序には特に制限は無く、(A−1)に続いて(A−2)を加える、(A−2)に続いて(A−1)を加える、(A−1)と(A−2)とを同時に添加する、のいずれの方法も可能であるが、(A−1)と(A−2)とを同時に添加する方法が好ましい。
この(A−1)と(A−2)との反応は、固体の存在下にて行うこともできる。この固体は無機固体、有機固体のいずれでもよいが、無機固体を用いるほうが好ましい。無機固体として、下記のものが挙げられる。
(i)無機酸化物
(ii)無機炭酸塩、珪酸塩、硫酸塩
(iii)無機水酸化物
(iv)無機ハロゲン化物
(v)(i)〜(iv)なる複塩、固溶体ないし混合物
無機固体の具体例としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、水和アルミナ、マグネシア、トリア、チタニア、ジルコニア、リン酸カルシウム・硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム、マグネシウム・カルシウム、アルミニウムシリケート[(Mg・Ca)O・Al2 3 ・5SiO2 ・nH2 O]、珪酸カリウム・アルミニウム[K2 O・3Al2 3 ・6SiO2 ・2H2 O]、珪酸マグネシウム鉄[(Mg・Fe)2 SiO4 ]、珪酸アルミニウム[Al2 3 ・SiO2 ]、炭酸カルシウム、塩化マグネシウム、よう化マグネシウム等が挙げられるが、特に好ましくは、シリカ、シリカ・アルミナないし塩化マグネシウムが好ましい。該無機固体の比表面積には特に制限はないが、BET法により測定した比表面積が20m2 /g以上であることが好ましく、90m2 /g以上であることがさらに好ましい。
本発明においては、上記反応により得られた固体触媒[A]は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。
本発明において使用される触媒成分としては、固体触媒成分[C]および有機金属化合物成分[B]からなり、固体触媒成分[C]が、下記一般式3で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物(C−1)と下記一般式4で表される塩素化剤(C−2)との反応により調製された担体(C−3)に下記一般式2で表されるチタン化合物(C−4)を担持することにより製造されるオレフィン重合用触媒が好ましい。
(M2 )γ(Mg)δ(R7 e (R8 f (OR9 g ・・・式3
(式中、M2 は周期律表第1族、第2族、第12族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R7 、R8 およびR9 はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、fおよびgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(但し、kはM2 の原子価))
h SiCli 10 (4-(h+i)) ・・・式4
(式中、R10は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
Ti(OR6 d (4-d) ・・・式2
(式中、dは0以上4以下の実数であり、R6 は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
まず、(C−1)について説明する。
(C−1)は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体のすべてを包含するものである。一般式3の記号γ、δ、e、fおよびgの関係式kγ+2δ=e+f+gは金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
上記式中、R7 ないしR8 で表される炭化水素基は、それぞれアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、好ましくはR7 およびR8 は、それぞれアルキル基である。α>0の場合、金属原子M2 としては、周期律表第1族、第2族、第12族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子が使用でき、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、アルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が特に好ましい。
金属原子M2 に対するマグネシウムの比δ/γには特に制限は無いが、0.1以上30以下であることが好ましく、0.5以上10以下であることがさらに好ましい。また、γ=0である或る種の有機マグネシウム化合物を用いる場合、例えば、R7 が1−メチルプロピル等の場合には不活性炭化水素溶媒に可溶であり、このような化合物も本発明に好ましい結果を与える。一般式1において、α=0の場合のR7 、R8 は次に示す三つの群(1)、(2)、(3)のいずれか一つであることが推奨される。
(1)R7 、R8 の少なくとも一方が炭素数4〜6である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR7 、R8 がともに炭素数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(2)R7 とR8 とが炭素数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR7 が炭素数2または3のアルキル基であり、R8 が炭素数4以上のアルキル基であること。
(3)R7 、R8 の少なくとも一方が炭素数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR7 、R8 に含まれる炭素数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
以下、これらの基を具体的に示す。
(1)において炭素数4〜6である二級または三級のアルキル基としては、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、2−メチルブチル、2−エチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチル−2−エチルプロピル基等が用いられ、1−メチルプロピル基が特に好ましい。次に(2)において炭素数2または3のアルキル基としてはエチル、1−メチルエチル、プロピル基等が挙げられ、エチル基が特に好ましい。また炭素数4以上のアルキル基としては、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等が挙げられ、ブチル、ヘキシル基が特に好ましい。
さらに、(3)において炭素数6以上の炭化水素基としては、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、2−ナフチル基等が挙げられる。炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、アルキル基の中でもヘキシル、オクチル基が特に好ましい。一般に、アルキル基に含まれる炭素数が増えると不活性炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘度が高くなるために必要以上に長鎖のアルキル基を用いることは取り扱い上好ましくない。なお、上記有機マグネシウム化合物は不活性炭化水素溶液として使用されるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のルイス塩基性化合物が含有され、あるいは残存していても差し支えなく使用できる。
次にアルコキシ基(OR9 )について説明する。
9 で表される炭化水素基としては、炭素数1以上12以下のアルキル基またはアリール基が好ましく、炭素数3以上10以下のアルキル基またはアリール基が特に好ましい。具体的には、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−エチル−4−メチルペンチル、2−プロピルヘプチル、2−エチル−5−メチルオクチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、ナフチル基等が挙げられ、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルペンチルおよび2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
本発明においては、(C−1)の合成方法には特に制限は無いが、一般式R7 MgXおよびR7 2Mg(R7 は前述の意味であり、Xはハロゲン原子である。)からなる群に属する有機マグネシウム化合物と、一般式M2 8 k およびM7 8 (k-1) H(M2 、R8 およびkは前述の意味)からなる群に属する有機金属化合物とを不活性炭化水素溶媒中、室温〜150℃の間で反応させ、必要な場合には続いてR9 (R9 は前述の意味である。)で表される炭化水素基を有するアルコールまたは不活性炭化水素溶媒に可溶なR9 で表される炭化水素基を有するアルコキシマグネシウム化合物、および/またはアルコキシアルミニウム化合物と反応させる方法が好ましい。
このうち、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物とアルコールとを反応させる場合、反応の順序については特に制限は無く、有機マグネシウム化合物中にアルコールを加えていく方法、アルコール中に有機マグネシウム化合物を加えていく方法、または両者を同時に加えていく方法のいずれの方法も用いることができる。本発明において不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物とアルコールとの反応比率については特に制限はないが、反応の結果、得られるアルコキシ基含有有機マグネシウム化合物における、全金属原子に対するアルコキシ基のモル組成比g/(γ+δ)は0≦g/(γ+δ)≦2であり、0≦g/(γ+δ)<1であることが好ましい。
次に、(C−2)について説明する。
(C−2)は次の一般式4で表される、少なくとも一つはSi−H結合を有する演歌珪素化合物である。
h SiCli 10 (4-(h+i)) ・・・式4
(式中、R10は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
一般式4においてR10で表される炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基
、芳香族炭化水素基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、中でも炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル基等の炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。また、hおよびiはh+i≦4の関係を満たす0より大きな数であり、iが2以上3以下であることが好ましい。
これらの化合物としては、HSiCl3 、HSiCl2 CH3 、HSiCl2 2 5 、HSiCl2 (C3 7 )、HSiCl2 (2−C3 7 )、HSiCl2 (C4 9 )、HSiCl2 (C6 5 )、HSiCl2 (4−Cl−C6 4 )、HSiCl2 (CH=CH2 )、HSiCl2 (CH2 6 5 )、HSiCl2 (1−C107 )、HSiCl2 (CH2 CH=CH2 )、H2 SiCl(CH3 )、H2 SiCl(C2 5 )、HSiCl(CH3 2 、HSiCl(C2 5 2 、HSiCl(CH3 )(2−C3 7 )、HSiCl(CH3 )(C6 5 )、HSiCl(C6 5 2 等が挙げられ、これらの化合物またはこれらの化合物から選ばれた二種類以上の混合物からなる塩化珪素化合物が使用される。中でも、トリクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、エチルジクロロシランが好ましく、トリクロロシラン、モノメチルジクロロシランがさらに好ましい。
次に(C−1)と(C−2)との反応について説明する。
反応に際しては(C−2)を予め不活性炭化水素溶媒、1,2−ジクロルエタン、o−ジクロルベンゼン、ジクロルメタン等の塩素化炭化水素、もしくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系媒体、あるいはこれらの混合媒体を用いて希釈した後に利用することが好ましく、触媒の性能上、不活性炭化水素溶媒がさらに好ましい。(C−1)と(C−2)との反応比率には特に制限はないが、(C−1)に含まれるマグネシウム原子1モルに対する(C−2)に含まれる珪素原子が0.01モル100モル以下であることが好ましく、0.1モル以上10モル以下であることがさらに好ましい。
(C−1)と(C−2)との反応方法については特に制限は無く、(C−1)と(C−2)とを同時に反応器に導入しつつ反応させる同時添加の方法、(C−2)を事前に反応器に仕込んだ後に(C−1)を反応器に導入させる方法、または(C−1)を事前に反応器に仕込んだ後に(C−2)を反応器に導入させる方法のいずれの方法でも良いが、(C−2)を事前に反応器に仕込んだ後に(C−1)を反応器に導入させる方法が好ましい。上記反応により得られる担体(C−3)は、ろ過あるいはデカンテーション法により分離した後、不活性炭化水素溶媒を用いて充分に洗浄し、未反応物あるいは副生成物等を除去することが好ましい。
(C−1)と(C−2)との反応温度については特に制限は無いが、40℃以上100℃以下であることが好ましく、45℃以上100℃以下であり、より好ましくは50℃以上100℃以下であることがさらに好ましい。(C−1)と(C−2)とを同時に反応器に導入しつつ反応させる同時添加の方法においては、あらかじめ反応器の温度を所定温度に調節し、同時添加を行いながら反応器内の温度を所定温度に調節することにより、反応温度は所定温度に調節することが好ましい。(C−2)を事前に反応器に仕込んだ後に(C−1)を反応器に導入させる方法においては、該塩化珪素化合物を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調節し、該有機マグネシウム化合物を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に調節することにより、反応温度は所定温度に調節することが好ましい。(C−1)を事前に反応器に仕込んだ後に(C−2)を反応器に導入させる方法においては、(C−1)を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調節し、(C−2)を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に調節することにより、反応温度は所定温度に調節される。
(C−1)と(C−2)との反応を固体の存在下に行うこともできる。この固体は無機固体、有機固体のいずれでもよいが、無機固体を用いるほうが好ましい。無機固体として、下記のものが挙げられる。
(i)無機酸化物
(ii)無機炭酸塩、珪酸塩、硫酸塩
(iii)無機水酸化物
(iv)無機ハロゲン化物
(v)(i)〜(iv)なる複塩、固溶体ないし混合物
無機固体の具体例としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、水和アルミナ、マグネシア、トリア、チタニア、ジルコニア、リン酸カルシウム・硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム、マグネシウム・カルシウム、アルミニウムシリケート[(Mg・Ca)O・Al2 3 ・5SiO2 ・nH2 O]、珪酸カリウム・アルミニウム[K2 O・3Al2 3 ・6SiO2 ・2H2 O]、珪酸マグネシウム鉄[(Mg・Fe)2SiO4 ]、珪酸アルミニウム[Al2 3 ・SiO2 ]、炭酸カルシウム、塩化マグネシウム、よう化マグネシウム等が挙げられるが、特に好ましくは、シリカ、シリカ・アルミナないし塩化マグネシウムが好ましい。無機固体の比表面積は、好ましくは20m2 /g以上特に好ましくは90m2 /g以上である。
次に(C−4)について説明する。
本発明において、(C−4)は次の一般式2で表されるチタン化合物である。
Ti(OR6 d (4-d) ・・・式2
(式中、dは0以上4以下の実数であり、R6 は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
6 で表される炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、アリル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基、フェニル、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられるが、脂肪族炭化水素基が好ましい。Xで表されるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、塩素が好ましい。上記から選ばれた(C−4)を、2種以上混合して使用することが可能である。
(C−4)の使用量には特に制限は無いが、担体(C−3)に含まれるマグネシウム原子に対するモル比で0.01以上20以下が好ましく、0.05以上10以下が特に好ましい。
(C−4)の反応温度については、特に制限はないが、25℃以上150℃以下の範囲で行うことが好ましい。
本発明においては、(C−3)に対する(C−4)の担持方法については特に制限が無く、(C−3)に対して過剰な(C−4)を反応させる方法や第三成分を使用することにより(C−4)を効率的に担持する方法を用いても良いが、(C−4)と有機金属化合物(C−5)との反応により担持する方法が好ましい。
次に、有機金属化合物(C−5)について説明する。
(C−5)としては、次の一般式1(C−5a)および下記の一般式5(C−5b)で表されるものが好ましい。
(M1 )α(Mg)β(R1 a (R2 b c ・・・式1
(式中、M1 は周期律表第1族、第2族、第12族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R1 およびR2 は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R3 ,R4 、−SR5 (但し、R3 、R4 およびR5 は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Yはそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ただし、nはM1 の原子価))
まず、(C−5a)について説明する。
(C−5a)の使用量は、(C−4)に含まれるチタン原子に対する(C−5a)に含まれるマグネシウム原子のモル比で0.1以上10以下であることが好ましく、0.5以上5以下であることがさらに好ましい。(C−4)と(C−5a)との反応の温度については特に制限はないが、−80℃以上150℃以下であることが好ましく、−40℃以上100℃以下の範囲であることがさらに好ましい。
(C−5a)の使用時の濃度については特に制限は無いが、(C−5a)に含まれるチタン原子基準で0.1モル/リットル以上2モル/リットル以下であることが好ましく、0.5モル/リットル以上1.5モル/リットル以下であることがさらに好ましい。なお、(C−5a)の希釈には不活性炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
(C−3)に対する(C−4)と(C−5a)の添加順序には特に制限は無く、(C−4)に続いて(C−5a)を加える、(C−5a)に続いて(C−4)を加える、(C−4)と(C−5a)とを同時に添加する、のいずれの方法も可能であるが、(C−4)と(C−5a)とを同時に添加する方法が好ましい。(C−4)と(C−5a)との反応は不活性炭化水素溶媒中で行われるが、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒を用いることが好ましい。かくして得られた触媒は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。
次に、(C−5b)について説明する。
(C−5b)は次の一般式5で表される有機金属化合物である。
3 12 p (q-p) ・・・式5
(式中M3 は周期律表第1族、第2族、第12族、第13族からなる群に属する金属原子、R12は炭素数1〜20の炭化水素基であり、QはOR13、OSiR141516、NR1718、SR19およびハロゲンからなる群に属する基を表し、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、は水素原子または炭化水素基であり、pは0より大きな実数であり、qはM3 の原子価である。)
3 は周期律表第1族、第2族、第12族、第13族からなる群に属する金属原子であり、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、亜鉛、等が挙げられるが、マグネシウム、ホウ素、アルミニウムが好ましい。R12で表される炭化水素基はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、アルキル基であることが好ましい。
QはOR13、OSiR141516、NR1718、SR19およびハロゲンからなる群に属する基を表し、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、は水素原子または炭化水素基であり、Qがハロゲンであることが好ましい。(C−5b)の化合物名としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムアイオダイド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムアイオダイド、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムアイオダイド、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、トリエチルホウ素、トリメチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムブロミド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムメトキシド、メチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムエトキシド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ(2−メチルプロピル)アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等が挙げられ、中でも有機アルミニウム化合物が好ましい。また、これらの化合物を混合して使用することも可能である。pは0より大きな実数であり、0.5より大きな実数であることが好ましい。
(C−5b)の使用量は、(C−4)に含まれるチタン原子に対する(C−5b)に含まれるM3 原子のモル比で0.1以上10以下であることが好ましく、0.5以上5以下であることがさらに好ましい。(C−4)と(C−5b)との反応の温度については特に制限はないが、20℃以上150℃以下であることが好ましく、40℃以上100℃以下の範囲であることがさらに好ましい。
(C−5b)の使用時の濃度については特に制限は無いが、(C−5b)に含まれるM3 原子基準で0.1モル/リットル以上2モル/リットル以下であることが好ましく、0.5モル/リットル以上1.5モル/リットル以下であることがさらに好ましい。なお、(C−5b)の希釈には不活性炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
(C−3)に対する(C−4)と(C−5b)の添加方法には特に制限は無く、まず(C−4)を添加し、これに続いて(C−5b)を添加する方法、まず(C−5b)を添加し、これに続いて(C−4)を添加する方法、(C−4)と(C−5b)とを同時に添加する方法、のいずれの方法も可能であるが、まず(C−5b)を添加し、これに続いて(C−4)を添加する方法が好ましい。(C−4)と(C−5b)との反応は不活性炭化水素溶媒中で行われるが、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒を用いることが好ましい。かくして得られた触媒は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。
次に、本発明における有機金属化合物成分[B]について説明する。
本発明の固体触媒成分[A]は、有機金属化合物成分[B]と組み合わせることにより、高活性な重合用触媒となる。有機金属化合物成分[B]としては、周期律表第1族、第2族、第12族および第13族からなる群に属する金属を含有する化合物であることが好ましく、特に有機アルミニウム化合物および/又は有機マグネシウム化合物が好ましい。 有機アルミニウム化合物としては、下記一般式6で表される化合物を単独または混合して使用することが好ましい。
AlR20 j (3-j) ・・・式6
(式中、R20は炭素数1以上20以下の炭化水素基、Zは水素、ハロゲン、アルコキシ、アリロキシ、シロキシ基からなる群に属する基であり、jは2以上3以下の数である。)
上記の一般式6において、R20で表される炭素数1以上20以下の炭化水素基は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素を包含するものであり、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ(2−メチルプロピル)アルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリ(3−メチルブチル)アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ビス(2−メチルプロピル)アルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のハロゲン化アルミニウム化合物、ジエチルアルミニウムエトキシド、ビス(2−メチルプロピル)アルミニウムブトキシド等のアルコキシアルミニウム化合物、ジメチルヒドロシロキシアルミニウムジメチル、エチルメチルヒドロシロキシアルミニウムジエチル、エチルジメチルシロキシアルミニウムジエチル等のシロキシアルミニウム化合物およびこれらの混合物が好ましく、トリアルキルアルミニウム化合物が特に好ましい。
有機マグネシウム化合物としては、次の一般式3で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物が好ましい。
(M2 )γ(Mg)δ(R7 e (R8 f (OR9 g ・・・式3
(式中、M2 は周期律表第1族、第2族、第12族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R7 、R8 およびR9 はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、fおよびgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(但し、kはM2 の原子価))
この有機マグネシウム化合物は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジアルキルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。γ、δ、e、f、g、M2 、R7 、R8 、OR9 についてはすでに述べたとおりであるが、不活性炭化水素溶媒に可溶な化合物が望ましいため、β/αは0.5〜10の範囲にあることが好ましく、またM2 がアルミニウムである化合物がさらに好ましい。
固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]を重合条件下である重合系内に添加する方法については特に制限は無く、両者を別々に重合系内に添加しても良いし、あらかじめ両者を反応させた後に重合系内に添加しても良い。また組み合わせる両者の比率には特に制限は無いが、固体触媒成分[A]1gに対し有機金属化合物[B]は1ミリモル以上3000ミリモル以下であることが好ましい。
本発明のエチレン系重合体組成物は、懸濁重合法あるいは気相重合法を用いた多段重合法によりエチレンを共重合させることにより製造される。懸濁重合法においては、媒体として不活性炭化水素媒体を用いることができ、さらにオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
本発明における重合温度は、通常、30℃以上が好ましく、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、且つ100℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以下の範囲である。
重合圧力は、通常、0.01MPa以上2MPa以下が好ましく、より好ましくは0.1MPa以上1.5MPa以下、さらに好ましくは0.1MPa以上1.0MPa以下の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうことができる。
本発明の多段重合法では、製造するエチレン系重合体の分子量を水素濃度により制御する。低分子量成分を製造する重合器の気相のエチレンに対する水素濃度については特に制限は無いが、20モル%以上90モル%以下であることが好ましく、35モル%以上85モル%以下であることがさらに好ましい。高分子量成分を製造する重合器の気相のエチレンに対する水素濃度については特に制限は無いが、0モル%以上20モル%以下であることが好ましく、0モル%以上10モル%以下であることがさらに好ましい。なお、本発明においては、気相のエチレンに対する水素濃度とは、気相の水素濃度(モル/リットル)を気相のエチレン濃度(モル/リットル)と気相の水素濃度(モル/リットル)との和で除することにより算出された値である。
本発明のエチレン系重合体組成物は、耐摩耗性、低摩擦性および強度に優れていることから、ギヤーなどの摺動部材、軸受部材、人工関節代替品、スキー用滑走面材、研磨材、各種磁気テープのスリップシート、フレキシブルディスクのライナー、防弾部材、電池用セパレータ、各種フィルター、発泡体、フィルム、パイプ、繊維、糸、釣り糸、まな板等の用途の材料としても好適である等の特長を有している。
本発明のエチレン系重合体組成物は、通常の超高分子量ポリエチレンと同じ成形加工方法を用いて成形が可能である。例えば、金型に超高分子量ポリエチレン粉末を入れ、長時間加熱下圧縮成形する方法やラム押出機による押出し成形等の各種公知成形法により本発明の超高分子量エチレン共重合体の成形体を得ることができる。
また、本発明のエチレン系重合体組成物の成形体としては、エチレン系重合体組成物を適当な溶剤あるいは可塑剤と混合し、フィルム状に押し出し、延伸させた後、使用した溶剤あるいは可塑剤を抽出することでできる微多孔質のフィルムも含まれる。このフィルムは電池用セパレータ等に使用できる。この場合、シリカ等の無機材料と混合したフィルムにすることもできる。
本発明を実施例に基づいて説明する。
[重量平均分子量(Mw)の測定]
測定に使用した装置は、Waters社製GPC−2000であった。使用したカラムは、1本の昭和電工社製Shodex:AT−807Sと2本の東ソー社製TSK−GELGMH−H(S)であり、まず1本のShodex:AT−807Sを通り、次に2本のTSK−GELGMH−H(S)を通るように直列に接続して使用した。移動相溶媒として、10質量ppmのペンタエリスリチルテトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を含む1,2,4−トリクロロベンゼンを使用した。測定温度は140℃であった。移動相溶媒の流速は1.0ミリリットル/分であった。測定試料は、10mgのポリマーに対して1,2,4−トリクロロベンゼンを15ミリリットル加え、145℃で2時間溶解させた後、Waters社製GPC−2000シリーズの部品である(品番600000370)公称濾過サイズ0.5μmの焼結フィルターにて濾過することにより調製した。重量平均分子量は標準物質として東ソー社製の単分散のポリスチレンを用いて作成した検量線を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量に0.43(ポリエチレンのQファクター/ポリスチレンのQファクター=17.7/41.3)を乗ずることにより算出した。
[粘度平均分子量(Mv)の測定]
20ミリリットルのデカヒドロナフタレンにポリマー20mgをいれ、150℃、2時間攪拌してポリマーを溶解させた。その溶液を135℃の高温槽で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、標線間の落下時間(ts )を測定した。なお、ブランクとしてポリマーを入れていない、デカヒドロナフタレンのみの落下時間(tb )を測定した。以下の数式2に従いポリマーの比粘度(ηsp/C)をプロットし、濃度0に外挿した極限粘度([η])を求めた。
ηsp/C = (ts /tb −1)/0.1 ・・・数式2
この[η]から以下の数式1に従い、粘度平均分子量(Mv)を求めた。
Mv=(5.34×104 )×[η]1.49 ・・・数式1
[嵩密度の測定]
嵩密度は、エチレン系重合体組成物パウダーをヘキサンおよびメタノールで洗浄した後、90℃で1時間乾燥させたパウダーの嵩密度をJIS−K−6721に従って測定した。ヘキサンによる洗浄は、パウダー100gに25℃のヘキサン2000ミリリットルを添加してスラリー化し、十分に攪拌した後に静置し、パウダーが沈降した後の上澄み液1500ミリリットルを除去し、その後のスラリーを300メッシュの金網でろ過してパウダーを分離することにより行った。メタノールによる洗浄は、ヘキサンによる洗浄後のパウダー100gに、ヘキサンの替わりにメタノールを使用する以外はヘキサンによる洗浄と同様の操作を行うことにより行った。
[欠点数の測定]
微多孔膜の欠点数は、微多孔膜に存在する0.3mm2 以上の粒について、試料の全面観察を行うことにより、1m2 あたりの平均欠点数に換算して測定した。
[参考例]
固体触媒1の調製
充分に窒素置換された8リットルオートクレーブにヘキサン1600ミリリットルを添加した。5℃で攪拌しながら1モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液800mlと1モル/リットルの組成式AlMg5 (C4 9 11(OC3 7 2 で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液800ミリリットルとを1時間かけて同時に添加した。添加後、ゆっくりと昇温し、20℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1600ミリリットル除去し、ヘキサン1600ミリリットルで2回洗浄することにより、固体触媒成分[A]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は3.55ミリモルであった。
固体触媒2の調製
(1){(C−3)−1}担体の合成
充分に窒素置換された8リットルステンレス製オートクレーブに1モル/リットルのヒドロキシトリクロロシランヘキサン溶液1456ミリリットルを仕込み、50℃で攪拌しながら組成式AlMg5 (C4 9 11(OC3 7 2 で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1864ミリリットル(マグネシウム1336ミリモル相当)を4時間かけて滴下し、さらに50℃で1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、1800ミリリットルのヘキサンで4回洗浄した。この担体を分析した結果、担体1g当たりに含まれるマグネシウムが8.51ミリモルであった。
(2)固体触媒成分(C−1)の調製
上記担体160gを含有するヘキサンスラリー3500ミリリットルに50℃で攪拌しながら1モル/リットルの1−プロパノールヘキサン溶液136ミリリットルを20分かけて添加した。添加後、50℃で1時間反応を継続した。反応終了後、上澄み液1800ミリリットルを除去し、ヘキサンを1128ミリリットル添加し、温度を65℃にして1モル/リットルのジエチルアルミニウムクロリドヘキサン溶液672ミリリットルを1時間30分かけて添加した。添加後、65℃で1時間反応を継続した。反応終了後、上澄み液1800ミリリットルを除去し、ヘキサン1800ミリリットルで4回洗浄した。洗浄後のスラリーの上澄み168ミリリットルを除去し、50℃で攪拌しながら1モル/リットルのジエチルアルミニウムクロリドヘキサン溶液84ミリリットルを5分かけて添加し、引き続き1モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液84ミリリットルを5分かけて添加した。添加後、50℃で2時間反応を継続した。反応終了後、1800ミリリットルの上澄み液を除去し、1800ミリリットルのヘキサンで4回洗浄することにより、固体触媒成分(C−1)を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は0.51ミリモルであった。
固体触媒3の調製
(1){(C−3)−2}担体の合成
充分に窒素置換された8リットルステンレス製オートクレーブに2モル/リットルのヒドロキシトリクロロシランヘキサン溶液1000ミリリットルを仕込み、80℃で攪拌しながら組成式AlMg5 (C4 9 11(OC3 7 2 で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液2550ミリリットル(マグネシウム2.68モル相当)を4時間かけて滴下し、さらに80℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、1800ミリリットルのヘキサンで4回洗浄した。この固体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムが8.31ミリモルであった。
(2)固体触媒成分(C−2)の調製
上記担体110gを含有するヘキサンスラリー1970ミリリットルに20℃で攪拌しながら1モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液110ミリリットルと1モル/リットルの組成式AlMg5 (C4 9 11(OC3 7 2 で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液110ミリリットルとを同時に1時間かけて添加した。添加後、20℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1100ミリリットル除去し、ヘキサン1100ミリリットルで2回洗浄することにより、固体触媒成分(C−2)を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は0.96ミリモルであった。
固体触媒4の調製
参考例の固体触媒2の調製(1){(C−3)−1}においてヒドロキシトリクロロシランヘキサン溶液と有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液の反応温度を30℃にした他は固体触媒2と同様に行い固体触媒成分4を調製した。担体の分析では、担体1g当たりに含まれるマグネシウムが8.20ミリモルであり、固体触媒成分中に含まれるチタン量は0.49ミリモルであった。
〔実施例1〕
[重合]
(1段目)ヘキサン、エチレン、水素、触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300リットル重合反応器に連続的に供給した。重合圧力は0.45MPaであった。重合温度はジャケット冷却により85℃に保った。ヘキサンは40リットル/Hrで供給した。触媒として、トリイソブチルアルミニウムと固体触媒1とを使用した。固体触媒1は1.7g/hの速度で重合器に添加し、トリイソブチルアルミニウムは10ミリモル/hの速度で重合器に添加した。エチレン系重合体の製造速度は10kg/hであった。水素は気相のエチレンに対する水素濃度が72モル%になるようにポンプで連続的に供給した。触媒活性は13000g−PE/g−固体触媒であった。重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュドラムに抜き、未反応のエチレンおよび水素を分離した。分離した後、フラッシュドラムの内容物を連続的に2段目の重合器にスラリーポンプで輸送した。別途、重合器からエチレン系重合体を抜き取り、MwおよびMvを測定したところ、Mwは3万9千であり、Mvは2万8千であった。
(2段目)フラッシュドラムから内容物をスラリーポンプにてヘキサン40リットル/Hrと共に、攪拌装置が付いたベッセル型300リットル重合反応器に連続的に供給することにより、多段重合エチレン系重合体組成物を製造した。重合圧力は0.33MPaであった。なお、重合器にはエチレンのみを供給し、水素は供給しなかった。重合温度はジャケット冷却により65℃に保った。エチレン系重合体の製造速度は10kg/hであった。ポリエチレンの生産性は13000g/g−固体触媒であった。重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に溶媒分離工程を経て、乾燥工程へ送られた。塊状のポリマーの存在も無く、スラリー抜き取り配管も閉塞することなく、安定して連続運転ができた。最終的な触媒活性は26000g−PE/g−触媒であった。最終的に得られたエチレン系重合体組成物のMvは64万であった。以下の数式3に従って、2段目の重合器で生成したエチレン系重合体組成物のMvを計算したところ、Mvは181万であった。
Mv2nd ={(Mvfinal )0.595 +(1−fB )(Mv1st )0.595 /fB 1/0.595
・・・数式3
(ここで、Mvfinal は多段重合により得られたエチレン系重合体組成物のMv、Mv1st は1段目の重合器で生成したエチレン系重合体のMv、Mv2nd は2段目の重合器で生成したエチレン系重合体のMv、fB は最終生成量から予め実測しておいた1段目生成量を差し引いた値を最終生成量で除した値である。)
また、高分子量成分の質量分率は、(最終生成量−低分子量成分生成量)/(最終生成量)の計算で求めると50質量%であった。
また、最終的に得られたエチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度は0.39g/cm3 であった。
[微多孔膜の製造]
[重合]により得られたエチレン系重合体組成物14g、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-52 /s)26g、および酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]をエチレン系重合体組成物に対し1質量%添加し、予め溶融混練を行う前に、常温にて攪拌し高粘度のスラリー状混合物を調製した。調製した高粘度のスラリー状混合物をシリンダー内を窒素置換したラボプラストミル(東洋精機社製ラボプラストミル(Cモデル)、ローラーミキサーR60タイプ)に添加し、溶融混練を行った。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数50rpm、溶融混練時間10分であり、スラリー状混合物投入後、直ちに混錬を開始した。混練によりスラリー状混合物はゲル状混合物になった。得られたゲル状混合物をミキサー内より掻き取り、一旦常温にて固化させた後、厚み1mmのプレス用金型に入れてゲルシートを作成した。この際のプレス成型条件は、温度が190℃、圧力10MPaで5分加熱した後に、金型内に25℃冷却水を通水した冷却金型で同じく10MPaで5分冷却した後に厚み1mmのゲルシートを作成した。
得られたゲルシートを80mm角に切り抜き、イワモト製作所社製2軸延伸測定装置を用いて2軸延伸を行うことにより延伸フィルムを作成した。延伸はサンプル装着後、120℃雰囲気下で3分間保持した後、12mm/分の延伸速度で7×7倍の延伸倍率にて行った。
得られた延伸フィルムを取り出し、25℃で2分冷却した後、延伸フィルム中に含有されている流動パラフィンを塩化メチレンを用いて抽出しすることにより微多孔膜を作成した。抽出は、25℃にて、フィルム1枚に対して300ミリリットルの塩化メチレンを用いて行った。こうして得られた微多孔膜の膜厚は20から30μmであり、欠点数は0個であった。
〔比較例1〕
固体触媒として固体触媒3を用い、1段目の水素の気相濃度を70mol%とした以外は、実施例1と同様な方法で重合を行った。その結果、1段目の重合器で生成したポリエチレン系重合体のMwは4万であり、Mvは2.9万であった。また、1段目および2段目の重合器で生成したポリエチレン系重合体組成物のMvは69万であった。また、数式3に従い計算したところ、2段目の重合器で生成したエチレン系重合体のMvは188万であった。また高分子量成分の質量分率は50質量%であった。また、得られたエチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度は0.48g/cm3 と実施例1に較べ高かった。このエチレン系重合体組成物を用いて実施例1と同様に微多孔膜を製造した。得られた微多孔膜の欠点数は40個であった。
〔実施例2〕
固体触媒として固体触媒2を用い、1段目の水素の気相濃度を64モル%とした以外は、実施例1と同様な方法で重合を行った。その結果、1段目の重合器で生成したポリエチレン系重合体のMwは4万2千であり、Mvは3万であった。また、最終的に生成したポリエチレン系重合体組成物のMvは65万であった。また、数式3に従い計算したところ、2段目の重合器で生成したエチレン系重合体のMvは177万であった。また高分子量成分の質量分率は50質量%であった。また、得られたエチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度は0.41g/cm3 であった。
このエチレン系重合体組成物を用いて実施例1と同様に微多孔膜を製造した。得られた微多孔膜の欠点数は0個であった。
〔比較例2〕
固体触媒として固体触媒4を用い、実施例2と同様な方法で重合を行った。その結果、1段目の重合器で生成したポリエチレン系重合体のMwは3万8千であり、Mvは2万7千であった。また、最終的に生成したポリエチレン系重合体組成物のMvは163万であった。また、数式3に従い計算したところ、2段目の重合器で生成したエチレン系重合体のMvは160万であった。また高分子量成分の質量分率は50質量%であった。得られたエチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度は0.28g/cm3 と実施例に較べ低かった。重合後の、乾燥工程や粉体輸送時にブリッジをおこすなど連続的な安定生産ができなかった。
生産途中のエチレン系重合体組成物を用いて実施例1と同様に微多孔膜を製造した。得られた微多孔膜の欠点数は10個であった。
〔比較例3〕
固体触媒として固体触媒3を用い、2段目の重合温度を50℃とした以外は、実施例1と同様な方法で重合を行った。その結果、1段目の重合器で生成したポリエチレン系重合体のMwは3万8千であり、Mvは2万7千であった。また、最終的に生成したポリエチレン系重合体組成物のMvは163万であった。また、数式3に従い計算したところ、2段目の重合器で生成したエチレン系重合体のMvは490万であった。また高分子量成分の質量分率は50質量%であった。また、得られたエチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度は0.41g/cm3 であった。
このエチレン系重合体組成物を用いて実施例1と同様に微多孔膜を製造した。得られた微多孔膜の欠点数は49個であった。
〔比較例4〕
実施例1と同様の触媒を用いて、1段目の製造速度を15kg/hとし2段目での重合温度を40℃とし製造速度を5kg/hとした以外は、実施例1と同様な方法で重合を行った。その結果、1段目の重合器で生成したポリエチレン系重合体のMwは3万9千であり、Mvは2万8千であった。また、最終的に生成したポリエチレン系重合体組成物のMvは64万であった。また、数式3に従い計算したところ、2段目の重合器で生成したエチレン系重合体のMvは534万であった。また高分子量成分の質量分率は25質量%であった。また、得られたエチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度は0.35g/cm3 であった。
このエチレン系重合体組成物を用いて実施例1と同様に微多孔膜を製造した。得られた微多孔膜の欠点数は57個であった。
〔比較例5〕
実施例1と同様の触媒を用いて一段重合により生成したMvが2万8千のエチレン系重合体と、実施例1と同様の触媒を用いて一段重合により生成したMvが180万のエチレン系重合体を質量比1:1で混合したものを使用した以外は実施例1と同様に微多孔膜を製造した。該エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度は0.35g/cm3 であった。
微多孔膜の欠点数は60個であった。
本発明のエチレン系重合体組成物パウダーは、超高分子量エチレン系重合体を含有するために強度に優れ、成形加工性にも優れるため、ギヤーなどの摺動部材、軸受部材、人工関節代替品、スキー用滑走面材、スノーボード用滑走面材、研磨材、各種磁気テープのスリップシート、フレキシブルディスクのライナー、防弾部材、電池用セパレータ、各種フィルター、発泡体、フィルム、パイプ、繊維、糸、釣り糸、まな板等の分野で好適に利用でき、特に電池用セパレーターの分野において好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなり、固体触媒成分[A]が、下記一般式1で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物(A−1)と下記一般式2で表されるチタン化合物(A−2)とを反応させることにより製造されるオレフィン重合用触媒を用いて、少なくとも低分子量成分と高分子量成分とからなる多段重合法により製造されたエチレン系重合体組成物パウダーであって、該エチレン系重合体組成物の粘度平均分子量が10万以上160万以下であり、低分子量成分が重量平均分子量が5000以上10万以下のエチレン系重合体であり、高分子量成分の粘度平均分子量(Mv)が100万以上400万以下で、質量分率が30質量%以上70質量%以下であり、該エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度が0.39g/cm 3 以上0.41g/cm 3 以下であることを特徴とする超高分子量エチレン系重合体を含有するエチレン系重合体組成物パウダー。
    (M 1 )α(Mg)β(R 1 a (R 2 b c ・・・式1
    (式中、M 1 は周期律表第1族、第2族、第12族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R 1 およびR 2 は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R 3 ,R 4 、−SR 5 (但し、R 3 、R 4 およびR 5 は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Yはそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(但し、nはM 1 の原子価))
    Ti(OR 6 d (4-d) ・・・式2
    (式中、dは0以上4以下の実数であり、R 6 は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
  2. 固体触媒成分[C]および有機金属化合物成分[B]からなり、固体触媒成分[C]が、下記一般式3で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物(C−1)と下記一般式4で表される塩素化剤(C−2)との反応により調製された担体(C−3)に一般式2で表されるチタン化合物(C−4)を担持することにより製造されるオレフィン重合用触媒を用いて、少なくとも低分子量成分と高分子量成分とからなる多段重
    合法により製造されたエチレン系重合体組成物パウダーであって、該エチレン系重合体組成物の粘度平均分子量が10万以上160万以下であり、低分子量成分が重量平均分子量が5000以上10万以下のエチレン系重合体であり、高分子量成分の粘度平均分子量(Mv)が100万以上400万以下で、質量分率が30質量%以上70質量%以下であり、該エチレン系重合体組成物パウダーの嵩密度が0.39g/cm 3 以上0.41g/cm 3 以下であることを特徴とする超高分子量エチレン系重合体を含有するエチレン系重合体組成物パウダー。
    (M 2 )γ(Mg)δ(R 7 e (R 8 f (OR 9 g ・・・式3
    (式中、M 2 は周期律表第1族、第2族、第12族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R 7 、R 8 およびR 9 はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、fおよびgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(但し、kはM 2 の原子価))
    h SiCl i 10 (4-(h+i)) ・・・式4
    (式中、R 10 は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
    Ti(OR 6 d (4-d) ・・・式2
    (式中、dは0以上4以下の実数であり、R 6 は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載のエチレン系重合体組成物パウダーから得られる微多孔膜。
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