JP5306997B2 - 編地の編成方法および編地 - Google Patents

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Description

本発明は、互いに離れたベース編地部の間に、実質的にウェール方向に編糸が掛け渡されたようになる縦糸柄部を有する編地、または織物の柄を模した織柄部を有する編地と、それらの編成方法に関するものである。
横編機を用いて編地の途中に複数本の編糸が並列した状態で長く掛け渡されたような組織柄を編成する方法として、特許文献1に記載の編地の編成方法がある。この方法では、編地のコース編成中の所定区間をミスすることで、ミスされた区間に給糸された編糸が渡り糸となって水平方向に延ばされる。この編成を、各コースを編成する際に繰り返すことで、編地の途中に複数本の編糸がコース方向(編成時の編幅(水平)方向)に長く掛け渡されたいわゆるミス柄を形成することができる。
一方、横編機を用いてインレイ編地を編成する方法として、特許文献2に記載の編成方法がある。この方法では、ベース編地部の編成中にインレイ糸(挿入糸)を編目の間に挿通したインレイ編地を編成する。具体的には、まず割り増やし編成によりベース編地部のループとインレイ糸保持用ループを前後の針床の針に係止させる。次に、これらループ上にインレイ糸を掛け渡して、インレイ糸保持用ループをベース編地部のループと重ね、その後、次コースのループを形成する。
特開2006−225776号公報 特開2000−96398号公報
このように、編地の途中で、そのウェール方向(編成によりコースが増加されていく方向)に複数本の編糸が並列され、かつコース方向に編糸が掛け渡されたようなミス柄を有する編地や、編地の途中にインレイ糸が挿通された編地は既に提案されている。しかし、編地の途中に、コース方向に複数本の編糸が並列され、かつウェール方向に編糸が掛け渡されたような組織柄を有する編地や、織物のように、縦糸と横糸とが交差して織柄を形成したような編地は提案されていない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、互いに離れたベース編地部の間に、実質的にウェール方向に編糸が掛け渡されたような縦糸柄部を有する編地とその編成方法とを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、互いに離れたベース編地部の間に、織物を模したような織柄部を有する編地とその編成方法とを提供することにある。
本発明に係る縦糸柄部を有する編地の編成方法は、左右方向に延び、かつ前後方向に対向する少なくとも一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、かつ前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて編地を編成する方法である。この編成方法は、ベース編地部を編成する過程と、別のベース編地部を編成する過程と、これら両ベース編地部を編成する過程の間に、編地の編成終了後において、両編地部の間で実質的にウェール方向に編糸が掛け渡されたようになる縦糸柄部を形成する過程とを含む。この縦糸柄部の形成過程は、ベース編地部における最終コースの編目を起点として、起点から引き出された編糸を左右の少なくとも一方向に離れた針に掛け渡して起点側に戻ることで掛け目を形成するステップと、起点となった編目に伏せ目処理をして最終コースの編目を減らすステップとを含む。そして、前記別のベース編地部の編成過程は、前記掛け目に対して行うことを特徴とする。
また、本発明に係る縦糸柄部を有する編地は、左右方向に延び、かつ前後方向に対向する少なくとも一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、かつ前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて編成された編地である。そして、この編地は、ベース編地部と、別のベース編地部と、ベース編地部から別のベース編地部に向かって、実質的にウェール方向に編糸を折り返すように掛け渡すことで両ベース編地部をつなぐ縦糸柄部と、前記ベース編地部の最終コースに形成された伏せ目処理部とを備えることを特徴とする。
一方、本発明に係る織柄部を有する編地の編成方法は、左右方向に延び、かつ前後方向に対向する少なくとも一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、かつ前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて編地を編成する方法である。この編成方法は、前記縦糸柄部を縦糸として利用する。つまり、この方法は、ベース編地部を編成する過程と、別のベース編地部を編成する過程と、これら両ベース編地部を編成する過程の間に、縦糸と編幅方向に渡る横糸とが交差して織柄部を形成する過程とを含む。ここで、織柄部を形成する過程は、ベース編地部における最終コースの編目を起点として、起点から引き出された編糸を左右の少なくとも一方向に離れた針に掛け渡して起点側に戻ることで縦糸となる複数の掛け目を形成するステップと、起点となった編目を伏せ目処理して最終コースの編目を減らすステップと、複数の掛け目の一部を対向する針床に目移しするステップと、目移しされた掛け目と目移しされていない掛け目との間に横糸となる編糸を給糸するステップと、前記掛け目を目移しするステップと横糸を給糸するステップとを繰り返すステップとを含む。そして、前記別のベース編地部の編成は、前記掛け目に続けて行うことを特徴とする。
さらに、本発明に係る織柄部を有する編地は、左右方向に延び、かつ前後方向に対向する少なくとも一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、かつ前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて編成された編地である。この編地は、前記縦糸柄部を縦糸として利用する。つまり、この編地は、ベース編地部と、別のベース編地部と、両ベース編地部の間に形成された織柄部と、前記ベース編地部の最終コースに形成された伏せ目処理部とを備える。そして、織柄部は、ベース編地部から別のベース編地部に向かって、実質的にウェール方向に編糸を折り返すように掛け渡すことで両ベース編地部をつなぐループ状の縦糸と、この縦糸と交差し、編地の表裏に現われる横糸とからなることを特徴とする。
本発明の縦糸柄部を有する編地の編成方法によれば、ベース編地部の最終コースの編目を起点として、針床の左右の少なくとも一方向に離れた針に掛け目を形成すると共に、ベース編地部の最終コースの編目に伏せ目処理を行うことで、横編み機により、実質的にウェール方向に編糸が掛け渡されたような縦糸柄部をベース編地部に続いて形成することができる。さらに、この掛け目に別のベース編地部の編成を行うことで、両ベース編地部の途中に実質的にウェール方向に編糸が掛け渡されたような縦糸柄部を形成することができる。
また、本発明の縦糸柄部を有する編地によれば、ベース編地部から別のベース編地部に向かって、実質的にウェール方向に編糸を折り返すように掛け渡して両ベース編地部をつなぐ縦糸柄部と、ベース編地部の最終コースに形成された伏せ目処理部とを備えることで、従来にない新規なデザインの編地とすることができる。その他、本発明の編地は、縦糸柄部を有することで、軽量で通気性に優れる編地とすることができる。
本発明の織柄部を有する編地の編成方法によれば、ベース編地部の最終コースの編目を起点として、針床の左右の少なくとも一方向に離れた針に掛け目を形成すると共に、ベース編地部の最終コースの編目に伏せ目処理を行うことで、横編み機により、実質的にウェール方向に編糸を折り返すように掛け渡して両ベース編地部をつなぐループ状の縦糸を形成することができる。そのため、この掛け目の一部を対向する針床に目移しし、その状態で歯口に横糸を給糸し、順次同様に掛け目の目移しと横糸の給糸を繰り返せば、目移しする掛け目の数や場所に応じて種々のパターンの織柄部を形成することができる。さらに、この掛け目に別のベース編地部の編成を行うことで、両ベース編地部の途中に織柄部を形成することができる。
また、本発明の織柄部を有する編地によれば、実質的にウェール方向に編糸を折り返すように掛け渡して両ベース編地部をつなぐループ状の縦糸と、この縦糸と交差し、編地の表裏に現われる横糸とで織柄部を構成することで、織物を模した織柄部を有する新規なデザインの編地とすることができる。
本発明に係る縦糸柄部を有するワンピースの一例の平面図である。 ワンピースの身頃に形成される縦糸柄部の繊維形状を示す拡大写真である。 本発明に係る織柄部を有する編地の一例の平面図である。 織柄部の繊維形状を示す拡大写真である。 本発明の編成方法で編成された織柄部のうち、横糸を配さず縦糸のみを形成した繊維形状を示す拡大参考写真である。 ベース編地部と縦糸柄部とを交互に複数編成する方法の一例を示す概略説明図である。 実施例1の編成方法を応用して形成したワンピースの平面図であって、(A)は身頃の周方向の一部に縦糸柄部が形成されているもの、(B)は種々の形状の縦糸柄部が形成されているものを示す。 捻じれた縦糸柄部を有する本発明編地の一例の繊維形状を示す拡大写真である。 実施例1に係る縦糸柄部を形成するための編成工程第一図である。 実施例1に係る縦糸柄部を形成するための編成工程第二図である。 実施例1に係る縦糸柄部を形成するための編成工程第三図である。 実施例1に係る縦糸柄部を形成するための編成工程第四図である。 実施例1に係る縦糸柄部を形成するための編成工程第五図である。 実施例2に係る織柄部を形成するための編成工程第一図である。 実施例2に係る織柄部を形成するための編成工程第二図である。
符号の説明
1 ワンピース
2 身頃 21 前身頃 22 後身頃
3,3A,3a,3b,3c,3d,31,32,33,34,35,36 縦糸柄部
4,4A,4B,4a,4b,4c,4d,4e ベース編地部
41 伏せ目処理部
7,8 給糸口
10 編地
20 捨て編地
5 織柄部
51 縦糸
52 横糸
〔縦糸柄部を有する編地〕
縦糸柄部を有する本発明編地は、少なくとも一対のベース編地部と、縦糸柄部と、伏せ目処理部とを備える。図1は後述する実施例で編成したワンピースの前身頃側から見た平面図、図2はその部分拡大写真である。図1に示すように、このワンピース1は、前身頃21と後身頃22とを有する身頃2からなり、前身頃21と後身頃22とは連続した一つの筒状編地になっている。
このワンピース1は、身頃2の途中に、実質的にウェール方向に掛け渡された編糸で形成される縦糸柄部3を有する。この縦糸柄部3は、互いに離れて配される複数のベース編地部4の間で身頃の全周に亘って形成されている。また、図2に示すように、本発明の編地をより詳細に見ると、一方のベース編地部4Aと他方の(別の)ベース編地部4Bとの間に縦糸柄部3が形成された領域を有し、一方のベース編地部4Aの最終コースには伏せ目処理部41を備える。このような編地は、ベース編地部4の編成と、縦糸柄部3の形成を交互に行うことで得られる。
〔織柄部を有する編地〕
一方、織柄部を有する本発明編地は、少なくとも一対のベース編地部と、織柄部と、伏せ目処理部とを備える。図3は後述する実施例2で編成した一枚ものの編地の平面図、図4は、その部分拡大写真である。
編地10に備える織柄部5は、実質的にウェール方向に掛け渡された縦糸51と、この縦糸51に交差する横糸52で形成される。縦糸51は、ベース編地部4A,4Bを構成する編目に比べてループ長が長い編目を構成し、互いに離れて配される2つのベース編地部4A,4Bの間で両ベース編地部を連結している。一方、横糸52は、実質的にコース方向に伸びて、並列される縦糸51の間を縫うように縦糸51と交差している。つまり、本発明の横糸52は、重ねられた編目の間にインレイ糸が挟み込まれた特許文献2とは異なり、コース方向に隣接する縦糸51に挟み込まれている。また、図4に示すように、本発明の編地10をより詳細に見ると、一方のベース編地部4Aと他方の(別の)ベース編地部4Bとの間に織柄部5が形成され、一方のベース編地部4Aの最終コースには伏せ目処理部41を備える。
以上の縦糸柄部を有する編地と、織柄部を有する編地とは、外観が大きく相違する。しかし、織柄部は、後述するように、縦糸柄部を構成する編糸の間に横糸を配した構成であり、両者の編成方法も共通する箇所が多い。そこで、本発明の編地と編成方法に関し、以下に、共通部分はまとめて、共通しない部分は個別により詳しく説明する。
<ベース編地部>
ベース編地部(別のベース編地部)は、後述する縦糸柄部(織柄部)以外の編成組織からなる編地部分である。つまり、本発明の編地は、縦糸柄部(織柄部)を介して互いにウェール方向に離れた少なくとも一対のベース編地部を有する。これら一対のベース編地部は、縦糸柄部(織柄部)によりウェール方向に分離されて独立していても良いし、縦糸柄部(織柄部)の側方(コース方向)にまで延長されて互いに接合された状態になっていてもよい。ベース編地部の編成は、平編み、ゴム編、ガーター編など、各種編組織を単独で又は組み合わせて行うことができる。複数存在するベース編地部の各々は同じ色や柄や編組織であってもよいし、異なる色や柄や編組織であってもよい。
<縦糸柄部>
縦糸柄部は、ウェール方向に離れて存在する一対のベース編地部の間をつなぐ領域で、伏せ目処理された一方のベース編地部の最終コースから延びて他方のベース編地部の第一コースに掛け渡される編糸で構成される。この編糸は、一方のベース編地部側を基端とし、他方のベース編地部側を折返し端としたループ状に形成される。ここでは、このループ状の編糸を折返し単位とする。この折り返し単位(編成時の掛け目)は、通常、ベース編地部の編目の長さよりも長尺に形成され、折り返し単位の長さは任意に選択可能である。ベース編地部の編目の長さが種々存在する場合、折返し単位の長さを、ベース編地部の編目の平均長さ又は最大長さよりも長尺にすることが考えられる。折返し単位の数は、少なくとも一つあればよく、一方のベース編地部の最終コースの編目の数と同一の数にすることも異なる数にすることも可能である。さらに、折返し単位を構成する往路の編糸と復路の編糸とは交差していてもよいし、交差していなくてもよい。この縦糸柄部は、ベース編地部と同一の編糸で構成してもよいし、別の色や素材の糸で構成してもよい。
<織柄部>
織柄部は、織物を模した柄が形成され、ウェール方向に離れて存在する一対のベース編地部の間をつなぐ領域である。この織柄部は、伏せ目処理された一方のベース編地部の最終コースから延びて他方のベース編地部の第一コースに掛け渡される縦糸を備える。この縦糸は、前述した縦糸柄部を利用している。つまり、横糸を配さず、この縦糸のみで両ベース編地部をつないだ編地の写真は図5に示すように、図2と同様になる。図5に示すように、縦糸51は、一方のベース編地部4A側を基端とし、他方のベース編地部4B側を折返し端としたループ状に形成される。ここでは、このループ状の縦糸51を折返し単位とする。この折り返し単位(編成時の掛け目)は、通常、ベース編地部の編目の長さよりも長尺に形成され、折り返し単位の長さは任意に選択可能である。ベース編地部の編目の長さが種々存在する場合、折返し単位の長さを、ベース編地部の編目の平均長さ又は最大長さよりも長尺にすることが考えられる。通常、折り返し単位の長さは2cm以上、より好ましくは3cm以上の長さを備える。また、折返し単位の数は、少なくとも一つあればよく、一方のベース編地部の最終コースの編目の数と同一の数にすることも異なる数にすることも可能である。さらに、折返し単位を構成する往路の編糸と復路の編糸とは交差していてもよいし、交差していなくてもよい。この縦糸は、ベース編地部と同一の編糸で構成してもよいし、別の色や素材の糸で構成してもよい。
一方、織柄部の横糸は、実質的にウェール方向に掛け渡される縦糸に交差する方向に延びる編糸である。この横糸は、縦糸の表と裏に少なくとも1回ずつ現れるように縦糸と交差される。つまり、この織柄部の縦糸と横糸は、織物における縦の織り糸と横の織り糸の交差状態と同様の交差状態になる。また、横糸は、理論上、少なくとも1本あれば良いが、複数本とすることで、織柄部のデザインを種々変更できるので好ましい。そして、横糸も、縦糸と同種(同色)や異種(異色)の糸を採用することができる。
ここで、横糸は、縦糸と交差する箇所でニットされないので、縦糸から外れないように固定することが好ましい。例えば、後述する実施例に示すように、編成する編地10とは編幅方向に離れた位置で独立して編成される捨て編地20に横糸52をニットして固定する(図3を参照)。横糸52を捨て編地20にニットした場合は、編地の編成が終了したときに、横糸52が編地の編幅よりも長くなるように裁断し、横糸52を編地の編幅方向端部で縦糸51やベース編地部に結びつけたり、あるいは、横糸52同士を結んだりして、横糸52が縦糸51から外れないようにする。その他、実施例に例示するように、ベース編地部のコース方向端部において、コース方向中間部よりも縦糸と横糸との交差回数が多くなるようにして、横糸が縦糸から外れ難くなるようにしても良い。
<伏せ目処理部>
伏せ目処理部は一方のベース編地部の最終コース、つまり折返し単位の基端側に形成されている。この伏せ目処理を行うことで、一方のベース編地部の最終コース側から編目が緩むことを抑制し、ベース編地部と縦糸柄部(織柄部)の適正な形を保持することができる。
<縦糸柄部または織柄部の縦糸の形成過程>
縦糸柄部の形成過程には、「掛け目を形成するステップ」と「伏せ目処理を行うステップ」が含まれる。織柄部を形成する際にも、まず先に縦糸をベース編地部につなげ、続いて、縦糸の間に横糸をはめ込むように配する。織柄部の縦糸は、縦糸柄部と同様に、「掛け目を形成するステップ」と「伏せ目処理を行うステップ」を用いてベース編地部につなげる。
(掛け目を形成するステップ)
掛け目を形成するステップは、ベース編地部における最終コースの編目を起点として、起点から左右の少なくとも一方向に離れた針に編糸を掛け渡して起点に戻ることを行う。つまり、編成時においては、起点から針床の左右方向(コース方向)の少なくとも一方に編糸を引き出して掛け目を形成するが、編地の編成終了後には、一方のベース編地部が下になり、他方のベース編地部が上になるため、一方のベース編地部の重みで折返し単位(編成時の掛け目)は下方に引っ張られ、一対のベース編地部の間で実質的にウェール方向に編糸が掛け渡された縦糸柄部(縦糸)が形成される。
縦糸柄部(縦糸)のウェール方向の長さは、編糸で掛け目を形成する際、起点となる針と起点から離れた針との距離(以下、離隔距離という)により規定される。この起点から離れた針は、起点となる針に隣接する針であってもよいが、起点から複数針分離れた針に編糸を掛け渡すことで、長尺の掛け目を容易に形成することができる。
また、起点から引き出した編糸の取り扱いについては、直接起点から離れた針に編糸を掛けても良いし、引き出した編糸を起点から離れた針に掛けるまでの間に、編地の編成終了後に解ける仮編みを行ってもよい。後者の場合、例えば、起点となる編目を対向する針床の針に目移しし、空針となった起点が係止されていた1針のみでウェール方向に数ウェール仮編みする。その間、他の針では何ら編成を行わない。そして、その仮編み後に、仮編み部の先端部(起点から離れた側の端部)から左右方向の離れた針に編み糸を掛け、起点側に折り返せばよい。この仮編み部分は、編地の編成終了後に縦糸柄部を挟む一対のベース編地部を引っ張ると解け、両編地部間を掛け渡すように形成されるループ状の折返し単位の一部となる。この方法によれば、離隔距離が比較的短い場合でも、仮編み部分で掛け目の長さを稼げるため、離隔距離よりも長い折返し単位を形成することができる。もっとも、起点から引き出した編糸は、起点から離れた針に掛けるまでの間に、編成(上記仮編みは含まない)は行わないようにする。起点から引き出した編糸で他の針により編成を行うと、編成された編目が新たな起点になってしまうからである。
さらに、起点から離れた針に編糸を掛け渡す左右の方向は、左右のいずれかであっても良いし、左右の双方としてもよい。起点から左右の双方に離れた針に掛け目を形成する場合、例えば、起点から右側に離れた針に編糸を掛け、続いて起点から左側に離れた針に編糸を掛けて、その後、編糸を起点側に折り返すようにすればよい。この場合、掛け渡された編糸のうち、別のベース編地部が連続して編成される針に係止される編糸のみが、掛け目として針床に残り、この掛け目以外の針に係止される編糸は、別のベース編地部の編成を開始する前に針床から払われ、折り返し単位の長さを稼ぐ仮の掛け目となる。
その他、編成される編地が前後の針床の各々に係止されて互いに連続する編地部を有し、前後の針床に係止された編地部の各々を編成する際に、ベース編地部を編成する過程と、縦糸柄部(織柄部)を形成する過程とを行う場合、この縦糸柄部(織柄部)を形成する際の掛け目を形成するステップにおいて、起点から離れた針に編糸を掛け渡す左右の方向を、前後の針床に係止された一方の編地部と他方の編地部とで同一方向とすることが好ましい。
筒状やC字状などに編地を編成する際、前後の針床の各々に係止されて互いに連続する編地部が編成されることになる。ここで、前針床に係止された編地部と後針床に係止された編地部の双方に縦糸柄部(織柄部)を形成する場合、起点から離れた針に編糸を掛け渡す左右の方向を、前後の針床に係止された一方の編地部と他方の編地部とで同一方向とすれば、掛け目に続く別のベース編地部を編成し始める際、前後の編地部で掛け目の針床左右方向の位置が対応していることになる。そのため、前後の針床に係止された各々の掛け目に対して連続して別のベース編地部を編成する際、各ベース編地部が互いに針床の幅方向にずれて離れることなく編成を行うことができる。
もちろん、前針床に係止される編地部では、起点から右(左)側に離れた針に掛け目を形成し、後針床に係止される編地部では、起点から左(右)側に離れた針に掛け目を形成してもよい。その場合、掛け目に続く別のベース編地部の編成前に、前後の針床に係止される掛け目をラッキングと目移しによって互いに対向する位置に移動させることが好ましい。
また、ベース編地部の編成と縦糸柄部(織柄部)の形成とを交互に繰り返し行う場合、つまり、別のベース編地部の編成に続いて、この別の編地部の最終コースに対してさらに縦糸柄部(織柄部)の形成過程と、その縦糸柄部(織柄部)に続くさらに別のベース編地部の編成過程とを順次交互に繰り返して行う場合、各縦糸柄部(織柄部)を形成する際の掛け目を形成するステップにおいて、起点から離れた針に編糸を掛け渡す左右の方向を、縦糸柄部(織柄部)を形成する過程毎に逆にすることが好ましい。
縦糸柄部の編成を例にすれば、図6に示すように、第一ベース編地部4aの編成→第一縦糸柄部3aの形成→第二ベース編地部4bの編成→第二縦糸柄部3bの形成→第三ベース編地部4cの編成→第三縦糸柄部3cの形成…という工程で編地の編成を行う場合を想定する。この場合、第一縦糸柄部3aで掛け目を形成する際には、起点より左側に離れた針に糸を掛け渡す。一方、第二縦糸柄部3bで掛け目を形成する際には、起点より右側に離れた針に糸を掛け渡す。以下、順次縦糸柄部3c、3dの形成過程毎に、起点から編糸を針に掛け渡す左右方向を交互に変える。このような方法で編地を編成すれば、全てのベース編地部4a〜4eを針床上の一定幅領域で編成できるため、針床で編成に要する領域を最小に抑えることができる。
もちろん、針床の幅に余裕がある限り、各縦糸柄部(織柄部)の形成過程で、起点から編糸を針に掛け渡す左右方向を同一としても構わない。
なお、掛け目を形成するステップは、前後の針床に係止される編地部の編幅方向の側縁から行うことが好ましい。編地部の側縁の外側には、通常空針が並列されているため、この空針を起点から離れた針として編糸を掛け渡すことに利用できる。前後の針床に係止される編地部における編幅方向の中間の編目を起点として掛け目の形成を行う場合、起点の左右方向の針にはベース編地部の編目が係止されているため、これらの編目を予め別の針床に目移しして空針状態としておけばよい。
(伏せ目処理を行うステップ)
掛け目の起点となった編目を伏せ目処理するステップにより、ベース編地部のうち、針床に係止される最終コースの編目を減らすことができる。つまり、掛け目を形成することに加えて、ベース編地部の最終コースの編目を順次伏せ目処理により減らすことで、最終的に掛け目のみが針床上に係止された状態とすることができる。それにより、掛け目に連続して別のベース編地部を編成することが可能になる。また、伏せ目処理により、ベース編地部の編目が最終コース側から緩まないようにできることは既に述べたが、さらに伏せ目処理により、編成終了後、ある折返し単位の編糸を引っ張っても、隣接する折返し単位の編糸が引き寄せられることを抑制でき、各折返し単位の編糸の長さを安定させることができる。
通常、この伏せ目処理をするステップは、掛け目を形成するステップを行いながらなされる。例えば、起点から針床の左右方向に離れた針に編糸を繰り出し、その間にベース編地部のうち、折り返し単位の基端となる編目を伏せ目処理する。その後、離れた針に繰り出された編糸を起点にまで戻す。
<織柄部の横糸の形成過程>
一方、織柄部の横糸は、「掛け目を目移しするステップ」と「前後の針床に分かれた掛け目の間に給糸するステップ」を用いて、上述した縦糸の間に織り込ませる。
(掛け目を目移しするステップ)
複数の掛け目を形成するステップが終了したら、この掛け目の一部を対向する針床に目移しする。この目移しにより、目移しされた掛け目が一方の針床に係止され、目移しされない掛け目が他方の針床に係止されて、掛け目が前後の針床に分かれて係止されることになる。
(前後の針床に分かれた掛け目の間に給糸するステップ)
このステップにより、前後の針床に分かれて係止される掛け目の間に編糸(横糸)を給糸して、この横糸をコース方向に並列される複数の縦糸と交差させると共に、縦糸で編地の表側と裏側から挟み込ませることができる。
これら横糸の形成において、掛け目を目移しする数や、どの掛け目を目移しするかは、任意に選択できる。また、縦糸の間に挟み込まれるように給糸される横糸の数も任意に選択できる。これら選択できるパラメーターを組み合わせることで、織物の3原組織である平織、綾織、朱子織、および、これらを組み合わせた織組織からなる織柄部を編地に形成できる。
その後、同様に掛け目の目移しと横糸の給糸を繰り返して行うことで、織柄部を形成する。この繰り返しステップにおいて、目移しされる掛け目は繰り返し毎に同じでも良いし異なっても良く、任意の掛け目を選択することができる。そして、掛け目の目移しと横糸の給糸を繰り返すことで、一方の針床に係止される掛け目と他方の針床に係止される掛け目の交差する箇所で横糸が押し下げられ、縦糸の間に横糸が織り込まれた織柄部が形成されることになる。
<縦糸柄部または織柄部の形成態様>
本発明の編地では、一枚ものの編地の幅方向に亘って一様な長さの折返し単位で水平方向に延びる縦糸柄部(織柄部)を形成した編地の他、以下の縦糸柄部(織柄部)の形成態様が含まれる。
(1)筒状編地の全周に亘って一様な長さの折返し単位で水平方向に延びる縦糸柄部(織柄部)を形成する。筒状編地の場合も、一枚ものの編地で縦糸柄部(織柄部)を編成する場合と同様の編成方法で編成できる。縦糸柄部(織柄部)を有する筒状編地を編成するには、4枚ベッド横編機や、トランスファージャックを有する2枚ベッド横編機を使用することが好ましい。これらの横編機であれば、下部に配置される前後の針床で、筒状編地の前後の編地部を編成し、上部に配置される前後の針床(あるいはトランスファージャック)を、編地部の編目の目移しに使用できるので、縦糸柄部(織柄部)を有する筒状編地を総針状態で編成できる。
(2)編地におけるベース編地部の幅方向の一部に単数または複数の縦糸柄部(織柄部)を形成する。縦糸柄部を例にすれば、図7の(A)に示すように、ワンピース1の身頃2におけるベース編地部の幅方向の一部に単数または複数の縦糸柄部31,32を形成する。このような縦糸柄部または織柄部は、前後の身頃の双方に設けられていてもよいし、片方に設けられていても良い。また、縦糸柄部(織柄部)が前後の身頃21、22に亘って形成されていても良い。編地の一部に単数又は複数の縦糸柄部(織柄部)を形成することは、1枚ものの編地や筒状編地の他、カーディガンのように開き部を有するC字状の編地などにも適用できる。
(3)編地のコース方向に対して斜めに傾いて伸びるように縦糸柄部(織柄部)を形成しても良い。縦糸柄部の場合、図7(B)に示すように、ワンピース1の身頃2におけるベース編地部の幅方向全長に亘って形成される縦糸柄部33〜36を編成することができる。例えば、縦糸柄部を形成する際の掛け目の長さを一定として、身頃2の斜め方向に延びる縦糸柄部33や、V字状に形成される縦糸柄部34が挙げられる。
また、縦糸柄部を形成する際の掛け目の長さを変えて、身頃2の一方の脇から他方の脇に向かって拡がる縦糸柄部を形成することもできる。例えば、折返し単位の基端側が水平に並び、折り返し端側が傾斜して並ぶ縦糸柄部35や、折返し単位の基端側と折返し端側の双方が傾斜して並ぶ縦糸柄部36などが挙げられる。
織柄部の場合、横糸が編地のコース方向に対して斜めに傾いて伸びるように織柄部を形成する。横糸を編地のコース方向に対して傾けて形成するには、例えば折り返し単位の基端側となるベース編地部の上端縁がコース方向に対して斜めになるように形成する。この場合、織柄部を形成する前に、ベース編地部の編幅を順次小さくするようにして、ベース編地部における折り返し単位の基端側に異なるコースの編目が並んだ状態とし、その後、掛け目を形成する。これにより、ベース編地部の折り返し単位の基端側が、編地のコース方向に対して斜めになった状態になり、その結果、横糸を縦糸に交差するように渡らしたときに、横糸が編地のコース方向に対して傾いて形成され、ベース編地部に連続して形成される織柄部も斜めになった状態になる。編地のコース方向に対して斜めに形成される織柄部としては、例えば、織柄部を形成する際の掛け目の長さを一定として、編地の斜め方向に帯状に延びる織柄部や、V字状に形成される織柄部が挙げられる。
また、織柄部を形成する際の掛け目の長さを変えて、編地のコース方向における一端から他端に向かって拡がる織柄部を形成することもできる。この場合、ベース編地部の折り返し単位の基端側に同一コースの編目が並んでいれば、折返し単位の基端側が水平に並び、折り返し端が傾斜して並ぶ織柄部となり、ベース編地部の折り返し単位の基端側に異なるコースの編目が並んでいれば、折返し単位の基端側と折返し端の双方が傾斜して並ぶ織柄部となる。
なお、各折り返し単位の長さが連続的に変化する縦糸柄部(織柄部)を形成する場合、起点から離れた針に編糸を掛け渡す方向を、ベース編地部の左右方向のうち、長い折り返し単位となる側として掛け目の形成を行うことが好ましい。例えば、図7(B)の縦糸柄部36では右側ほど長い折り返し単位となっているため、この折返し単位を形成する際の掛け目は起点から右側に離れた針に編糸を掛け渡すことで形成すればよい。長い掛け目ほど右側の針に掛け渡され、順次短い掛け目ほど左側の針に掛け渡されることになるため、このようにすれば、各掛け目を構成する編糸の長さが異なっても、掛け目が一つの針に複数掛け渡されることを抑制できる。
<捻じれた縦糸柄部>
複数の折返し単位からなる縦糸柄部には捻じれを形成することもできる。つまり、本発明編地において、ベース編地部から別のベース編地部に折り返すように掛け渡されてループ状となった編糸を折返し単位とし、この折返し単位のベース編地部側を基端とし、別のベース編地部側を折返し端とするとき、複数の折返し単位のコース方向の並列順が、基端側と折返し端側とで逆転するように構成することが好ましい。このような編地は、例えば図8に示すように、ベース編地部4Aの最終コースに伏せ目処理部41が形成され、このベース編地部4Aと他のベース編地部4Bとの間に、一群の折返し単位ごとに捻じれが形成された縦糸柄部3Aが形成されている。
この構成の編地によれば、縦糸柄部を構成する複数の折返し単位群に捻じれが加わった斬新なデザインの編地とすることができる。
このような捻じれた縦糸柄部を形成するには、掛け目の起点側を基端とし、基端とは反対側の端部を折返し端とするとき、複数の掛け目に対して別のベース編地部を編成するのに先立って、これら掛け目の編幅方向における基端の並列順と折返し端の並列順とを逆転させておくステップを含むことが好適である。掛け目の編幅方向における基端の並列順と折返し端の並列順とを逆転させるためのより具体的な手法としては、掛け目を形成する際に上記並列順を逆転させる方法と、掛け目を形成した後に上記並列順を逆転させる方法とがある。
前者としては、例えば、起点の並列順が針床上の左から右に向かってA〜Eであった場合、起点Aからの掛け目を起点Aから近い左側の針に形成し、起点B…Eからの掛け目を順次起点Aに対応する掛け目よりも左側のより遠い針に形成することが挙げられる。この方法によれば、各掛け目の長さは均一ではなくなるが、掛け目の折返し端側の並列順は、左から右に向かってE〜Aとなり、捻じれを有する縦糸柄部を形成することができる。
後者としては、掛け目を形成した後、これら掛け目の編幅方向の並列順を、掛け目の対向する針床への目移しと針床のラッキングにより逆転させることが挙げられる。例えば、掛け目の折返し端側の並列順が前針床上の左から右に向かってA〜Eであった場合、これらの掛け目群を一旦後針床に目移しする。次に、後針床を右方向に掛け目の数より1針少ないピッチ分右側にラッキングする。そして、掛け目Aを対向する針床に目移しして戻し、順次掛け目Bは後針床を2針分、掛け目Cは後針床を4針分…というように左にラッキングさせてから前針床に各掛け目B、C…を目移しで戻していく。それにより、掛け目の折返し端側の並列順は、前針床の左側から右側に向かって順次E〜Aとなり、捻じれを有する縦糸柄部を形成することができる。
<横編み機>
本発明の編成方法は、4枚ベッドの横編み機で行える他、前針床、後針床からなる2枚ベッドの横編機でも行うことができる。2枚ベッドの横編機を用いて編地を編成する場合は、一本おきに空針を設けた状態で編地を編成してもよい。また、2枚ベッドの横編機を用いる場合、前後針床の一方または両方の上位にトランスファージャックを列設したトランスファージャックベッドを設けて編地を編成するようにしてもよい。
次に、縦糸柄部の編成に係る本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。本例は、左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する前後一対の針床を有し、後針床が左右にラッキング可能で、しかも、前後の針床間で編目の目移しが可能な4枚ベッドの横編機を用いて編地を編成する。
4枚ベッド横編機は、下部前針床と下部後針床の上に、下部の針床と同ピッチで多数の編針が列設された上部前針床と上部後針床を備えている。以下、下部前針床を単にFDと、下部後針床をBDと、上部前針床をFUと、上部後針床をBUという。
このBUの針は、FDの針に係止される編目の目移しに用い、FUの針は、BDに係止される編目の目移しに用いる。編目の目移しに使用するFUおよびBUを用いることにより、リンクス、ガーター、リブなどの表目と裏目が混在した組織柄を編成したり、編目の回し込みや、編目の重ねを行うことができる。
本例で使用する横編機は、さらに、編機の編幅方向に摺動可能に設けられる給糸口を備える。そして、この横編機では、針床上を移動し、編成に用いるカムシステムS2と、目移しに用いるカムシステムS1、カムシステムS3とが搭載された、いわゆる3カムシステムのキャリッジを備える。以下、カムシステムS1、カムシステムS2、カムシステムS3を単にS1、S2、S3という。編成工程において、キャリッジの進行方向の先行側からのカムシステムを常にS1,S2,S3としている。これらカムシステムによりキャリッジの1回の往動または復動する間に、給糸口から給糸される編糸での編成を行なう。
本例では、この横編機を使用して、図1に示したノースリーブのワンピースを筒状に編成する。
このワンピース1は、後身頃22の編地部は、主としてBDを、空針を設けることなく総針状態で使用して編成される。前身頃21の編地部は、主としてFDを、空針を設けることなく総針状態で使用して編成される。
以下、身頃に縦糸柄部を形成する編成方法の一例を図9〜13の編成工程図に基づいて説明する。
図9〜13では、身頃2のある部分において、平編みで筒状に編成されたベース編地部に連続して縦糸柄部を形成していく編成工程が示されている。
図9〜13の編成工程図において、説明の便宜上、身頃の編目の数は、実際の編成で使用される数よりも少なく表示している。これらの図に示すアルファベットA〜Rは、前後に対向配置したFD、BD、FU、BUの針を示す。これらの図の各編成ブロックにおいて、左端の数字は編成ブロック番号を示し、その隣の括弧内の符合は、編成工程において使用するカムを示す。また、これらの図の右端欄の矢印は、後針床のラッキング方向とラッキングピッチを示し、その左隣の欄は、編成方向を示している。さらに、図中の白丸は、旧ループを、黒丸は、その編成ブロックにおいてニットされた編目を、山型の印は、掛け目を示す。
図9に示す編成ブロックSは、身頃の編成途中の段階で、縦糸柄部が編成される前の状態を示している。編成ブロックSでは、FDとBDの針L〜Qに編目が係止されて、身頃が編成されている状態を示している。FDに係止されている編目は、前身頃の編地の編目であり、BDに係止されている編目は後身頃の編地の編目である。FDとBDの針に係止される編目は繋がっており、身頃2は、筒状に編成されている。
図9の編成ブロック1では、まず、キャリッジを右方向に移動させ、給糸口7からBDに給糸して、S2により後身頃の編地の一部(BDの針L,M)を編成する。
次の編成ブロック2では、キャリッジを左方向に移動させて、編成ブロック1で編成したBDの針Mに係止される編目を、S1により、FUの針Mに目移しする。
また、編成ブロック2では、S1よりも後方を走行するS2により、BDの針Cに編糸を掛け渡し、掛け目を形成する。この針Cに掛け渡される編糸は、FUの針Mに目移しされた編目に連続している。この針Mから針Cまでの長さが、縦糸柄部の形成長さになるので、身頃のデザインをどのようにするかに応じて、針Mから延びる編糸をBDのどの針に掛け渡すかを決定すれば良い。
さらに、編成ブロック2では、S2の後方を走行するS3により、BDの針Lに係止されている編目をFUの針Lに目移しする。
次の編成ブロック3では、まず、後針床を左に1ピッチラッキングする。このラッキングにより、BDの針LからFUの針Lに目移しされた編目が、BDの針Mに対向した位置になる。
また、編成ブロック3では、ラッキング後にキャリッジを右方向に移動させ、S1によりFUの針Lに預けられていた編目をBDの針Mに目移しする。この目移しにより、もともと、BDの針Lに係止されていた編目が、その隣の針Mに移動する。
次の編成ブロック4では、まず、後針床を右に1ピッチラッキングして、前後の針床の対向状態を編成ブロックSの状態に戻す。
同じく編成ブロック4では、ラッキング後にキャリッジを左方向に移動させ、S1により、FUの針Mに預けられていた編目をBDの針Mに返す。この目移しにより、BDの針Mに重ね目が形成される。この重ね目は、重ねられる編目(編成ブロック2と3で、BDの針LからBDの針Mに移動した編目)が、身頃の表側に現れて、凸形状をなす、いわゆる目立てがされた状態である。また、上記S1により、BDの針Nに係止されている編目をFUの針Nに目移しし、次の掛け目を形成する前処理を同時に行なう。
次の編成ブロック5では、キャリッジを右方向に移動させ、給糸口7からBDに給糸して、S2により、重ね目(BDの針Mの編目)に編目を形成する。このとき、BUの針Mの編目を起点として針Cに編糸を掛け渡して起点まで戻ってくる掛け目の形成ステップが一回行われたことになる。また、上述したブロック2〜5における編目の目移しとニットは、いわゆる伏せ目処理であり、これ以外の公知の伏せ目処理方法を使用しても良い。例えば、重ね目をするときに、BDの針Lに係止される編目が針Mの編目の裏側に重ねられて、凸形状が目立たない、いわゆる目立てがされない状態としても良い。
次に、図10に示す編成ブロック6では、キャリッジを左方向に移動させ、給糸口7から給糸して、S2により、BDの針Dに編糸を掛け渡して掛け目を形成する。
また、同編成ブロック6では、S2の後方を走行するS3により、BDの針Mに係止される編目をFUの針Mに目移しする。
そして、図10における編成ブロック7以降の編成では、掛け目の形成と伏せ目処理を繰り返すようにする。具体的には、編成ブロック7では、後針床を左に1ピッチラッキングした後、もともとBDの針Mに係止され、FUの針Mに預けておいた編目を、BDの針Nに目移しする。
次いで、編成ブロック8では、後針床のラッキングピッチを元に戻しておいて(右方向に1ピッチラッキングしておいて)、編成ブロック4(図9を参照)でFUの針Nに預けておいた編目を、BDの針Nに返して目立てがされた重ね目を形成する。また、同編成ブロックでは、次の重ね目の準備として、BDの針Oに係止される編目を、FUの針Oに目移ししておく。
さらに、編成ブロック9では、BDの針Nの重ね目に新たな編目を形成する。この時点で、BDの針Nの編目を起点として針Dに編糸を掛け渡して起点まで戻ってくる掛け目の形成ステップが一回行われたことになる。また、編成ブロック6から9の目移しとニットで、2回目の伏せ目処理が行われたことになる。
そして、編成ブロック10では、BDの針Nにできた新たな編目から編糸を伸ばして、BDの針Eに掛け目を形成すると共に、上記新たな編目をFUの針Nに目移しする。編成ブロック10が終了した時点での編目の状態は、編成ブロック6が終了した時点の編目の状態と比較して、掛け目の数が一つ増えて、BDに係止される後身頃の編目の数が一つ減った状態になる。以降は、編成ブロック7〜10を繰り返す。
図11の編成ブロック11に、編成ブロック7〜10を繰り返し、後身頃の編目に対応した5つ目の掛け目を形成した状態を示す。この編成ブロック11が終了すると、BDの針Gに5つ目の掛け目が形成され、BDの針P,Qに係止されていた後身頃の編目がFUの針P,Qにそれぞれ預けられた状態になる。
5つ目の掛け目が形成されたら、編成ブロック12に示すように、後針床を左に1ピッチラッキングした後、キャリッジを右方向に移動させ、FUの針Pに預けられていた編目をBDの針Qに目移しする。
次いで、編成ブロック13では、後針床のラッキングを元に戻して、キャリッジを左方向に移動させ、編成ブロック12でBDの針Qに目移しした編目(元は、BDの針Pに係止されていた編目)に、FUの針Qの編目(元は、BDの針Qに係止されていた編目)を重ねて重ね目を形成する。
編成ブロック14では、キャリッジを右方向に移動させ、編成ブロック13で形成した重ね目にニットを行なう。
また、編成ブロック15では、キャリッジを左方向に移動させ、BDの針Hに6つ目の掛け目を形成する。
そして、編成ブロック16では、キャリッジを右方向に移動させ、BDの針Qに係止される編目をFDの針Qに重ねて、その重ね目にニットを行なう。以上の編成工程により、BDの針L〜Qで編成していた後身頃の編目に対応する掛け目がBDの針C〜Hに形成される。
後身頃に対応する掛け目の形成が終了したら、図12に示すように、前身頃に対応する掛け目の形成を行なう。前身頃に対応する掛け目の形成も、図9〜11を参照して説明した編成方法と基本的に同じである。なお、前身頃のベース編地部に対応する掛け目を起点から左側に離れた針に形成したのと同様に、以下の編成ブロックでは、後身頃のベース編地部に対応する掛け目も起点から左側に離れた針に形成することで、縦糸柄部に連続するベース編地部を編成し易くした。
まず、編成ブロック17では、キャリッジを左方向に移動させ、FDに係止される前身頃の編地を1コース編成する。続いて、キャリッジを右方向に移動させ、FDの針L,Mにニットを行なって、編目を形成する。
編成ブロック18では、図9を参照して説明した編成ブロック2と同様に、FDの針Mの編目をBUの針Mに目移しし、次いで、目移しした編目から伸ばした編糸で、FDの針Cに掛け目を作る。また、FDの針Lの編目をBUの針Lに目移しする。
編成ブロック19では、まず、後針床を右方向に1ピッチラッキングした後、BUの針Lに預けておいた編目をFDの針Mに目移しする。
次の編成ブロック20では、まず、後針床をラッキングして元の位置に戻し、BUの針Mに預けておいた編目をFDの針Mに目移しして重ね目を形成する。同時に、FDの針Nの編目をBUの針Nに目移ししておく。
編成ブロック21では、編成ブロック20で形成した重ね目にニットを行なう。この編成ブロック21により伏せ目が形成され、前身頃の編目が一つ減った状態になる。
伏せ目形成後の編成ブロック22では、まず、FDの針Dに掛け目を形成し、次いで、FDの針Mに係止される編目(編成ブロック21で形成した編目)をBUの針Mに目移しする。この編成ブロック22により、伏せ目により減少した編目に対応する掛け目が形成された状態になる。
そして、編成ブロック23で、後針床を右方向に1ピッチラッキングした後、BUの針Mの編目をFDの針Nに目移しする。この編成が終了した時点で、既に述べた編成ブロック19が終了した状態からFDに係止される前身頃の編目が一つ減り、減った編目に対応する掛け目がFDに形成された状態になる。
これ以降は、編成ブロック20〜23と同様の編成を繰り返すことにより、前身頃の編目が伏せ目処理されつつ、減った編目に対応する掛け目が形成され、図13の編成ブロック24の状態になる。編成ブロック24に示すように、平編で編成されていたBDとFDの針L〜Qに係止されていた編目に連続して形成される掛け目は、それぞれBDとFDの針C〜Hに係止される。
なお、この編成ブロック24では省略されているが、伏せ目処理される最後の一目は、公知の伏せ目処理方法による解れ止めのためのニットが行なわれているので、針床から編目を払ってしまっても、編地が解れることがない。
最後に、編成ブロック25,26により、掛け目にニットを行なって、掛け目に連続した編目を形成することで、縦糸柄部に連続して次のベース編地部を編成することができる。そして、ベース編地部を所定コース分だけ編成した後、再び図9〜13の編成工程を行なって縦糸柄部を編成することができる。つまり、ベース編地部と縦糸柄部の編成を繰り返すことで、身頃の長さ方向に所望の数の縦糸柄部を形成することができる。
そして、各縦糸柄部を形成する過程において、起点から離れた針に編糸を掛け渡す針床の左右方向を、交互にすることで、針床上で編成に要する領域幅を極力小さくすることができる。
以上のように編地を編成することにより、今までにない新規な組織柄である縦糸柄部を身頃に形成することができ、デザイン的に優れた編地を形成できる。また、縦糸柄部を有することにより、編地を軽く仕上げることができる上、編地の通気性を向上させることができるので、編地の着心地が良い。
次に、織柄部の編成に係る本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。本例では、左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する前後一対の針床(前針床FBと後針床BB)を有し、後針床が左右にラッキング可能で、しかも、前後の針床間で編目の目移しが可能な2枚ベッドの横編機を用いて、図3に示した一枚ものの編地を編成する。
本例で使用する横編機は、さらに、横編機の編幅方向に摺動可能に設けられる給糸口を備える。そして、この横編機では、針床上に列設される編針に編成動作を行なわせるカムシステムを備え、針床上を往復するキャリッジにより、給糸口から給糸される編糸で編成を行なう。
この横編機で編成する編地10は、主としてFBを、空針を設けることなく総針状態で使用して編成される。また、図3に示すように、この編地10とは別に、織柄部5の横糸52を固定するための捨て編地20を編地10の両側に設けている。
以下、編地に織柄を形成する編成方法の一例を図14〜15の編成工程図に基づいて説明する。この図14〜15では、編地のある部分において、平編みで編成されたベース編地部に連続して織柄部を形成していく編成工程が示されている。
図14〜15の編成工程図において、説明の便宜上、編地の編目の数は、実際の編成に使用される数よりも少なく表示している。これらの図に示すアルファベットA〜ZはFBの針を、a〜zはFBに対向配置されるBBの針を示す。また、図中の各編成ブロックにおける左端欄の数字、白丸、黒丸、山型の印、および矢印の意義は実施例1と同様である。
図14に示す編成ブロックSは、編地の編成途中の段階で、織柄部が編成される前の状態を示している。編成ブロックSでは、FBの針K〜Yに編目が係止されて、ベース編地部が編成されている状態を示している。ここで、本例では、ベース編地部の編幅を一定として編成しているが、織柄部の編成直前に順次編幅を減らすようにしても良い。この場合、ベース編地部のうち、織柄部と連結される部分で異なるコースの編目が並んだ状態となる。従って、このベース編地部に連続して形成される織柄部の横糸は、編地のコース方向に対して傾いて形成され、その結果、編地のコース方向に対して傾いた織柄部を有する編地を編成できる。
図14の編成ブロック1では、まず、給糸口7からFBに給糸して、編地の一部(FBの針K,L)を編成する。
次の編成ブロック2では、編成ブロック1で編成したFBの針Lに係止される編目を、BBの針lに目移しする。次いで、BBの針lに目移しされた編目からFBの針Cに編糸を掛け渡し、掛け目を形成する。この針lから針Cまでの長さが、織柄部のウェール方向長さになるので、編地のデザインをどのようにするかに応じて、針lから延びる編糸をFBのどの針に掛け渡すかを決定すれば良い。
そして、編成ブロック3では、FBの針Kに係止されている編目をBBの針kに目移しする。
次の編成ブロック4では、まず、BBを右に1ピッチラッキングする。このラッキングにより、編成ブロック3でFBの針KからBBの針kに目移しされた編目が、FBの針Lに対向した位置になる。次いで、このBBの針kに預けられていた編目をFBの針Lに目移しする。この目移しにより、もともと、FBの針Kに係止されていた編目が、その隣の針Lに移動する。さらに、この編成ブロック4では、BBを左に1ピッチラッキングして、前後の針床の対向状態を編成ブロックSの状態に戻し、BBの針lに預けられていた編目をFBの針Lに返す。この目移しにより、FBの針Lに重ね目が形成される。この重ね目は、重ねられる編目(FBの針KからFBの針Lに移動した編目)が、編地の表側に現れて、凸形状をなす、いわゆる目立てがされた状態である。
次の編成ブロック5では、FBの針Cに掛け目を形成した給糸口7を右方向(針L側)に移動させて、FBに給糸し、重ね目(FBの針Lの編目)に連続する編目を形成する。このとき、FBの針Lの編目を起点として針Cに編糸を掛け渡して起点まで戻ってくる掛け目の形成ステップが一回行われたことになり、ベース編地部の伏せ目処理部から伸びる長尺の折り返し単位(縦糸)が形成される。
ここで、上述したブロック2〜5における編目の目移しとニットは、いわゆる伏せ目処理であり、これ以外の公知の伏せ目処理方法を使用しても良い。例えば、重ね目をするときに、FBの針Kに係止される編目が針Lの編目の裏側に重ねられて、凸形状が目立たない、いわゆる目立てがされない状態としても良い。
以降は、上述した編成ブロック2〜5と同様の編成をFBに係止される残りの編目L〜Yに対して行う。これら編成ブロック2〜5の繰り返しにより、編成ブロックSでFBの針K〜Yに係止されていた編目が、伏せ目処理によりFBから払われると共に、伏せ目処理により減少した編目に対応する掛け目が、FBの針C〜Qに形成された状態になる(図15の編成ブロック6を参照)。つまり、ベース編地部は、伏せ目処理部から長尺のループ状に伸びる縦糸(FBの針C〜Qに係止される掛け目)にぶら下がった状態になる。ここで、掛け目を掛け渡す長さを順次異ならせるようにして、掛け目の上端部がベース編地部に対して斜めになるようにしても良い。
なお、この編成ブロック6では省略されているが、伏せ目処理される最後の一目は、公知の伏せ目処理方法による解れ止めのためのニットが行なわれているので、その編目を針床から払ってしまっても、編地が解れることがない。
次に、編成ブロック7で、FBの針F、G、H、L、M、Nに係止される掛け目を、それぞれ対向するBBの針f、g、h、l、m、nに目移しする。この操作により、掛け目が前後の針床に分かれて配置される。
そして、編成ブロック8で、ベース編地部を編成する給糸口7とは異なる給糸口8を、編地を横断するように往復させて、前後の針床に分かれて係止される掛け目の間に編糸(横糸)を給糸する。この編成ブロック8により、コース方向に並ぶ長尺の掛け目の間に横糸が挟まれた状態になる。なお、本例では、この編成ブロック8の操作は、意図するデザインの織柄部とするために複数回行なったが、1回でもかまわない。
編成ブロック9では、編成ブロック7でBBに目移しした掛け目をFBに返すと共に、編成ブロック7で目移ししなかったFBの掛け目(FBの針C、D、E、I、J、K、O、P、Qに係止される掛け目)を、BBに目移しする。この目移しの操作において、FBとBBに係止されていた掛け目の位置が入れ替わるときに、これらの掛け目の交差部分が、横糸を挟み込みつつベース編地部側に押し下げる。
上述した横糸は、ベース編地部にも縦糸にもニットされていないが、図3に示すように、編地を挟んで左右に設けられた捨て編地20にはニットされており、編地10から抜けてしまわないようになっている。捨て編地20にニットされている横糸52は、後述する全ての編成が終了したときに、ベース編地部の編幅よりも長めに裁断し、縦糸やベース編地部に結びつけて固定すると良い。また、長めに裁断した横糸52同士を結ぶと、横糸が縦糸から外れないようにできるだけでなく、編地のコース方向両端部から垂れ下がるフリンジ状の部分を形成できる。
その他、上述のように捨て編地を設けることなく、横糸の編成を行うこともできる。具体的には、縦糸の間に挿入した横糸を、編地の編幅方向端部の縦糸に引っ掛けるようにして折り返すことを繰り返し、一連長の横糸で織柄部の横糸の編成を行う。この場合、編地の織柄部のコース方向両端部において、中間部よりも縦糸と横糸との交差回数が多くなるようにする。例えば、本例では、図15の編成ブロック8、9(後述する編成ブロック10、11)において、前後の針床に分かれて係止される掛け目の間に横糸を複数本まとめて挿入して、縦糸に挟み込ませているのに対して、針CおよびQの位置(織柄部のコース方向両端部)において、横糸を一本挿入するごとに掛け目を目移しして、横糸を縦糸に挟み込ませる。この一連の編成により、織柄部のコース方向両端部において、中間部よりも縦糸と横糸との交差回数が多くなり、横糸が編地のコース方向にずれ難くなるので、織柄部の交差状態が崩れ難い。また、この編成における横糸は、一連長の編糸であるので、一端側をベース編地部に、他端を別のベース編地部に固定するだけで、横糸が縦糸から外れないようにすることができる。なお、この編成工程では、コース方向両端部での掛け目の目移しの回数が多く、糸切れの虞がある。そこで、両端部の掛け目(図15の針CとQの掛け目)に加えて、両端部近傍の2〜3の掛け目(例えば、図15においては針DやPの掛け目)を順次使用して、特定の掛け目の目移しの回数を少なくしても良い。
上記の編幅方向端部の縦糸に横糸を引っ掛けるようにして編成する方法は、筒状編地の全周に亘って織柄部を形成するときにも好適に利用できる。筒状編地は、その前後の編地部がそれぞれ前後の針床に分かれて係止される。そこで、前側編地部に横糸を挿入し、続けて同じ横糸を、前側編地部の端部の縦糸および後側編地部の端部の縦糸のうち、少なくとも一方に引っ掛けて引き返し、後側編地部に挿入する。このとき、横糸を引っ掛けて引き返す縦糸の位置が、編幅方向端部から編幅中央に寄り過ぎていると、横糸が前後の編地部をショートカットするように渡ってしまう。この場合、編地の周長に対して、横糸の一周の長さが短く、横糸を引っ掛けた箇所から編幅方向端部までの横糸が引っ掛けられていない縦糸の領域が、筒状部として有効に利用できない。従って、横糸を折り返す縦糸の位置は、編幅方向端部からせいぜい4〜5本目までとすることが好ましい。
次の編成ブロック10では、編成ブロック8と同様に、編地を横断するように、給糸口8を複数回往復させて、FBとBBに係止される掛け目の間に横糸を挟みこませる。
そして、上述した編成ブロック7〜10を複数回繰り返す。これら編成ブロック7〜10により、図3、4に示すように縦糸51と横糸52が格子状に交差する織柄部5を編地10に形成できる。
最後に、全ての掛け目をFBの針に返し(編成ブロック11)、返した掛け目にニットを行なって、掛け目に連続した編目を形成することで、織柄部に連続して次のベース編地部を編成することができる(編成ブロック12)。
以上のように編地を編成することにより、ニット製品としては今までになかった、縦糸と横糸が交差した新規な組織柄である織柄部を編地部に形成でき、デザイン的に優れた編地とできる。
なお、ベース編地部を所定コース分だけ編成した後、再び図14〜15の編成工程を行なって織柄部を編成することができる。つまり、ベース編地部と織柄部の編成を繰り返すことで、編地のウェール方向に所望の数の織柄部を形成することができる。
本発明の編成方法は、編地のウェール方向に編糸を折り返すように掛け渡して長尺のループ状とした縦糸柄部を備える新規な組織柄を編成することに好適に利用可能である。また、本発明の編地は、ベース編地部の途中に縦糸柄部を有するニット製品に利用できる。さらに、本発明の編成方法は、編地のウェール方向に編糸を折り返すように掛け渡して形成した長尺のループ状の縦糸と、この縦糸に交差する横糸とからなる織柄部を備える新規な組織柄を編成することに好適に利用可能である。そして、本発明の編地は、ベース編地部の途中に織柄部を有するニット製品に利用できる。

Claims (8)

  1. 左右方向に延び、かつ前後方向に対向する少なくとも一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、かつ前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて編地を編成する方法であって、
    ベース編地部を編成する過程と、
    別のベース編地部を編成する過程と、
    これら両ベース編地部を編成する過程の間に、編地の編成終了後において、両編地部の間で実質的にウェール方向に編糸が掛け渡されたようになる縦糸柄部を形成する過程とを含み、
    この縦糸柄部の形成過程は、
    ベース編地部における最終コースの編目を起点として、起点から引き出された編糸を左右の少なくとも一方向に離れた針に掛け渡して起点側に戻ることで掛け目を形成するステップと、
    起点となった編目を伏せ目処理して最終コースの編目を減らすステップとを含み、
    前記別のベース編地部の編成過程は、前記掛け目に対して行うことを特徴とする編地の編成方法。
  2. 編成される編地が前後の針床の各々に係止されて互いに連続する編地部を有し、
    前後の針床に係止された編地部の各々を編成する際に、前記ベース編地部を編成する過程と、縦糸柄部を形成する過程とを行い、
    この縦糸柄部を形成する際の掛け目を形成するステップにおいて、起点から離れた針に編糸を掛け渡す左右の方向が、前後の針床に係止された一方の編地部と他方の編地部とで同一方向であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の編地の編成方法。
  3. 別のベース編地部の編成に続いて、この編地部の最終コースに対してさらに縦糸柄部の形成過程と、その縦糸柄部に続くさらに別のベース編地部の編成過程とを順次交互に繰り返して行い、
    各縦糸柄部を形成する際の掛け目を形成するステップにおいて、起点から離れた針に編糸を掛け渡す左右の方向が、縦糸柄部を形成する過程毎に逆になることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の編地の編成方法。
  4. 掛け目の起点側を基端とし、基端とは反対側の端部を折返し端とするとき、複数の掛け目に対して別のベース編地部を編成するのに先立って、これら掛け目の編幅方向における基端の並列順と折返し端の並列順とを逆転させておくステップを含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の編地の編成方法。
  5. さらに、前記掛け目を縦糸とし、この縦糸と編幅方向に渡る横糸とが交差して織柄部を形成する過程を備え、
    この織柄部を形成する過程は、
    複数の掛け目の一部を対向する針床に目移しするステップと、
    目移しされた掛け目と目移しされていない掛け目との間に横糸となる編糸を給糸するステップと、
    掛け目を目移しするステップと横糸を給糸するステップとを繰り返すステップとを含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の編地の編成方法。
  6. 左右方向に延び、かつ前後方向に対向する少なくとも一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、かつ前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて編成された編地であって、
    ベース編地部と、
    別のベース編地部と、
    ベース編地部から別のベース編地部に向かって、実質的にウェール方向に編糸を折り返すように掛け渡すことで両ベース編地部をつなぐ縦糸柄部と、
    前記ベース編地部の最終コースに形成された伏せ目処理部とを備えることを特徴とする編地。
  7. ベース編地部から別のベース編地部に折り返すように掛け渡されてループ状となった編糸を折返し単位とし、この折返し単位のベース編地部側を基端とし、別のベース編地部側を折返し端とするとき、
    複数の折返し単位のコース方向の並列順が、基端側と折返し端側とで逆転するように構成されたことを特徴とする請求の範囲第6項に記載の編地。
  8. 両ベース編地部の間に形成された織柄部を備え、
    この織柄部は、
    両ベース編地部をつなぐ縦糸柄部からなる縦糸と、
    この縦糸と交差し、編地の表裏に現われる横糸とからなることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の編地。
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