JP5302799B2 - ゴルフクラブ用シャフト及びゴルフクラブ - Google Patents
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Description
しかし、プレイ中にはボールを交換することが認められていないことから、ドライバーを使用する際にもスピン系ボールを使用しなければならない。そのため、多くのプレイヤーがアイアンの精度と引き換えにドライバーでの飛距離を犠牲にしている。つまり、スピン系ボールを用いたドライバーショットでは、打ち出し角とスピン量とが最適でないため、スピン量過多の状態となり、高弾道・高スピンのいわゆる吹け上がった弾道となることが多い。
しかし、一般的にヘッドの重心を変えるとフィーリングが変わるため、ヘッドを決めてからシャフトを決めることが多い昨今では、ヘッドが限定されてしまうという問題点がある。
しかし、該シャフトはヘッドスピードが40m/秒前後のミドルヘッドスピーダーにとっては、シャフトが柔らかく感じ、タイミングが取りづらく、いわゆる「振り遅れ」の状態でヘッドがスイングについてこない状態となるものであった。そのため、フェースが開いてインパクトすることとなり、その結果、ダイナミックロフトが大きくなり、スピンが増えることで飛距離を損失するものであった。
[1]複数の強化繊維樹脂層で構成されるゴルフクラブ用シャフトであって、細径端部から170mmの位置を第一の測定位置として、そこから50mmずつ隔てたそれぞれの測定位置で下記測定方法によりEI値(kgf・mm2)を求め、細径端部から測定位置までの距離L(mm)をx軸、該測定位置でのEI値をy軸としてプロットしてグラフを作成し、前記グラフにおけるプロットを、細径端部からの距離が170〜500mmの領域Aと、細径端部からの距離が500〜800mmの領域Bとで、それぞれ別々に最小二乗法により一次式に近似したとき、前記領域Aにおける一次式の傾きaが−0.005×106≦a≦0.0015×106であり、かつ前記領域Bにおける一次式の傾きbが0.008×106≦b≦0.025×106であり、かつ、繊維配向角がシャフト長手方向に対して90°であり、弾性率20〜90ton/mm2の繊維強化樹脂により形成される、厚さ0.05mm以上のフープ補強層Xが、前記領域Aと前記領域Bの境界部が含まれるように設けられているゴルフクラブ用シャフト。
EI値測定法:前記測定位置が中心となるように支点間距離300mmでゴルフクラブ用シャフトを支持し、該測定位置に20kgの荷重をかけ、細径端部から測定位置までの距離L(mm)における曲げたわみ量W(mm)を計測し、下記式(1)によりEI値を求める方法。
EI=(1/48)×(F×D3/W) (1)
(ただし、式中、Fは測定位置にかける荷重(kg)であり、Dは支点間距離(mm)である。)
[2]細径端部からシャフト長の60%以内の領域に、繊維配向角がシャフト長手方向に対して0°であるチップ補強層Yが設けられ、前記フープ補強層Xが前記チップ補強層Yに重なっている前記[1]に記載のゴルフクラブ用シャフト。
[3]前記チップ補強層Yが複数層からなり、前記細径端部側にいくほど巻き数が増加する、前記[2]に記載のゴルフクラブ用シャフト。
[4]太径側端部からシャフト長の60%以内の領域に、繊維配向角がシャフト長手方向に対して0°であるバット補強層Zが設けられ、前記フープ補強層Xが前記バット補強層Zに重なっている前記[1]〜[3]のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトを有するゴルフクラブ。
本実施形態のシャフト10は、複数の強化繊維樹脂層で構成されるゴルフクラブ用シャフトであって、図1に示すように、細径端部10aから太径端部10bにかけて外径が漸増している。図1におけるd1、d2、d3、d4は、それぞれd1=170mm、d2=500mm、d3=800mm、d4=970mmである。
測定位置が中心となるように支点間距離300mmでシャフト10を2点で支持し、該測定位置に20kgの荷重をかけ、細径端部10aから測定位置までの距離L(mm)における曲げたわみ量W(mm)を計測し、下記式(1)によりEI値を求める。
EI=(1/48)×(F×D3/W) (1)
ただし、式中、Fは測定位置にかける荷重(kg)であり、Dは支点間距離(mm)である。すなわち、F=20であり、D=300である。
すなわち、図3に示すように、領域Aでは、細径端部10aから測定位置までの距離Lが170mm、220mm、270mm、320mm、370mm、420mm、470mmの7点についてEI値を測定し、距離Lをx軸、EI値をy軸にとって(x1,y1)〜(x7,y7)をそれぞれプロットして、最小二乗法により下記式(2)で表される一次式に近似する。
y=ax+α (170≦x≦500) (2)
y=bx+β (500≦x≦800) (3)
以上のように、領域A、Bの構成により、弾道の高さを維持しつつ、スピンを低減することができ、飛距離の損失を防ぐことができる。
一方、ボディターンスイングでは、太径端部10b側(バット側)が柔らかい方が、フォワードスイング中に手が先行するいわゆる「タメ」の状態を作りやすい。そのため、ボディターンスイングのプレイヤー用のシャフトとする場合には傾きcが負の値であることが好ましく、−0.004≦c<0であることがより好ましい。
また、シャフト10は、例えば、シートラップ成形、フィラメントワインディング成形、内圧成形等により製造できる。
シャフト10の細径端部10aの外径は、8.50〜9.40mmであることが好ましい。
シャフト10の太径端部10bの外径は、14.6〜16.0mmであることが好ましく、14.6〜15.5mmであることがより好ましい。
シャフト10の質量は、37〜80gであることが好ましい。
フープ補強層Xは、領域Aと領域Bとの境界部を含むように設けられており、繊維配向角がシャフト10の長手方向に対して90°である。シャフト10は傾きaと傾きbが前述の通りに制御されているため、スイング時に領域Aと領域Bの境界部近傍でシャフト10が屈曲する。フープ補強層Xを設けておくことにより、屈曲によるシャフトの潰れを防ぐことができ、シャフトがしなった状態から元の状態に戻るいわゆるしなり戻りを速める効果が得られる。これにより、良好なしなり感でしなり戻りの速度を速くでき、またヘッドの挙動が安定するため、優れたフィーリングが得られる。このしなり戻りの速度を高めることでヘッドスピードが40〜43m/秒のミドルヘッドスピーダーにとっても振りやすいフィーリングが得られる。
また、しなり戻りの速さに影響を与えるのは実質的にEI値の低い領域だけであり、その領域に設けられていれば充分な効果が得られる。そのため、できるだけシャフト10を軽くする点から、フープ補強層Xはシャフト10の細径端部10aから400〜800mmの領域に設けることが好ましく、430〜770mmの領域に設けることがより好ましい。ただし、フープ補強層Xは、シャフト10の細径端部10aから太径端部10bまで全領域に設けてもよい。
また、フープ補強層Xは、細径端部10aから0〜770mmの領域、又は430mmから太径端部10bまでの領域に設けてもよく、このように設ける方法は製造が容易である。
また、フープ補強層Xにおける繊維強化樹脂の巻き数は1以上とすることが好ましい。
前記引張弾性率が20ton/mm2以上であれば、しなり戻りの速さが向上し、振り遅れ感がなくなる。また、前記引張弾性率が90ton/mm2以下であれば、シャフト10に充分な強度が得られ、シャフト10の折損等を抑制できる。
フープ補強層Xを形成する繊維強化樹脂の具体例としては、例えば、TR350J050(引張弾性率:24ton/mm2)、MR350J050(引張弾性率:30ton/mm2)(以上、三菱レイヨン株式会社製)等のプリプレグが挙げられる。
また、フープ補強層Xを複数層とする場合は、その全体を合計したものの厚みが前記範囲内となるようにすることが好ましい。
チップ補強層Yを形成する繊維強化樹脂は、例えば、引張弾性率が20ton/mm2以上のものとしてはTR350C075S(三菱レイヨン株式会社製)、引張弾性率が46ton/mm2以上のものとしてはHRX350C075S(三菱レイヨン株式会社製)以上のグレードのプリプレグが挙げられる。
また、チップ補強層Yを複数層とする場合は、その全体を合計したものの厚みが前記範囲内となるようにすることが好ましい。
また、バット補強層Zを設ける場合には、スムーズなしなり戻りを達成し、振り遅れを防止する点から、フープ補強層Xがバット補強層Zの上に重なるようにフープ補強層Xを設けることが好ましい。この場合、フープ補強層Xはバット補強層Zの全体を覆うように重ねられていてもよく、バット補強層Zの細径端部10a側の一部のみを覆うように重ねられていてもよい。
すなわち、バット補強層Zとチップ補強層Yの存在しない領域には、フープ補強層Xが存在することが好ましい。
バット補強層Zを形成する繊維強化樹脂としては、例えば、TR350C075Sのプリプレグが挙げられる。
また、バット補強層Zを複数層とする場合は、その全体を合計したものの厚みが前記範囲内となるようにすることが好ましい。
まず、図4に示すように、マンドレル11に、バイアス層形成用貼り合わせプリプレグ12と、チップ補強層Y形成用プリプレグ13と、バット補強層Z形成用プリプレグ14と、フープ補強層X形成用プリプレグ15と、ストレート層形成用貼り合わせプリプレグ16とを内側から順に巻き付け、未硬化の成形品を得る。
次いで、未硬化の成形品を加熱炉等により加熱し、樹脂成分を硬化させることでシャフト10が得られる。
バイアス層形成用貼り合わせプリプレグ12の厚みは、0.02〜0.150mmであることが好ましい。
ストレート層形成用プリプレグ16により形成されるストレート層は、シャフト10のEI値を向上させる。ストレート層形成用プリプレグ16は、繊維配向角がシャフト10の長手方向に対して0°の強化繊維を含有するプリプレグである。
ストレート層形成用プリプレグ16の厚みは、0.05〜0.5mmであることが好ましい。
TR350C075S(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.062mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350C100S(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.083mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350C125S(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.103mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350C150S(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.145mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350C175S(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.168mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350J050(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.05mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350E100R(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.095mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350E125S(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.113mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350E150S(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.156mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MRX350C075R(引張弾性率30ton/mm2、厚さ0.063mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MRX350C100R(引張弾性率30ton/mm2、厚さ0.084mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MRX350C125R(引張弾性率30ton/mm2、厚さ0.106mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MRX350C150S(引張弾性率30ton/mm2、厚さ0.127mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MR350K020S(引張弾性率30ton/mm2、厚さ0.020mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MR350J050S(引張弾性率30ton/mm2、厚さ0.050mm、三菱レイヨン株式会社製)、
HRX35C075S(引張弾性率40ton/mm2、厚さ0.057mm、三菱レイヨン株式会社製)、
E1026C−10N(引張弾性率10ton/mm2、厚さ0.099mm、日本グラファイトファイバー株式会社製)、
E052AA−10N(引張弾性率5ton/mm2、厚さ0.109mm、日本グラファイトファイバー株式会社製)。
本実施形態のゴルフクラブ1は、図5(A)に示すように、シャフト10と、シャフト10の細径端部側に取り付けられるヘッド20と、シャフト10の太径端部側に取り付けられるグリップ30とを有する。ヘッド20は特に限定されず、公知のヘッドを適宜用いることができる。また、グリップ30も特に限定されず、公知のグリップを適宜用いることができる。
また、傾きaが負になるようにし、シャフト10の領域Aの細径端部10a側が硬く、領域Aの太径端部10b側が柔らかく、領域Bから太径端部10bまでが硬い構成とすると、シャフト10のヘッド20側近傍の屈曲を抑えつつ、領域Aと領域Bの境界部においてシャフト10を充分に屈曲させることが容易になり、スピン量を抑えつつ充分な打ち出し角を確保することがより容易になり、飛距離の損失を抑制しやすい。
本実施例で使用したプリプレグを以下に示す。
プリプレグA:TR350C075S(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.062mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグB:TR350C100S(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.083mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグC:TR350C150S(引張弾性率24ton/mm2、厚さ0.145mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグD:MRX350C075R(引張弾性率30ton/mm2、厚さ0.063mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグE:MR350K020S(引張弾性率30ton/mm2、厚さ0.020mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグF:MR350J050S(引張弾性率30ton/mm2、厚さ0.050mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグG:HRX35C075S(引張弾性率40ton/mm2、厚さ0.057mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグH:E1026C−10N(引張弾性率10ton/mm2、厚さ0.099mm、日本グラファイトファイバー株式会社製)
プリプレグI:E052AA−10N(引張弾性率5ton/mm2、厚さ0.109mm、日本グラファイトファイバー株式会社製)
細径端部の外径が3.65mmであり、細径端部から970mmの位置までの外径がテーパー度9.85/1000で漸増し、細径端部から300mmの位置の外径が6.95mmであり、細径端部から970mmの位置から太径端部までは外径が13.55mmで一定である全長1500mmのマンドレル11A(図6)を用いた。
次いで、該マンドレル11Aに対して、2枚のプリプレグGからなる台形状のバイアス層形成用貼り合わせプリプレグ12(繊維配向角+45°の強化繊維を含有するプリプレグと、繊維配向角−45°の強化繊維を含有するプリプレグとを貼り合わせたプリプレグ)を1層と、プリプレグDからなる台形状の第1のチップ補強層Y形成用プリプレグ13a(繊維配向角0°の強化繊維を含有するプリプレグ)を2層と、プリプレグDからなる三角形状の第2のチップ補強層Y形成用プリプレグ13b(繊維配向角0°の強化繊維を含有するプリプレグ)を3層と、プリプレグAからなる台形状のバット補強層Z形成用プリプレグ14(繊維配向角0°の強化繊維を含有するプリプレグ)を2層と、プリプレグGからなる台形状のフープ補強層X形成用プリプレグ15(繊維配向角90°の強化繊維を含有するプリプレグ)を1層と、プリプレグCからなる台形状のストレート層形成用プリプレグ16(配向角度0°の強化繊維を含有するプリプレグ)を3層とを順に巻き付けた。
第1のチップ補強層Y形成用プリプレグ13aは、マンドレル11Aの細径端部11aから500mmで巻き終わる寸法のものを用いた。第2のチップ補強層Y形成用プリプレグ13bは、マンドレル11Aの細径端部11aから550mmで巻き終わる寸法のものを用いた。バット補強層Z形成用プリプレグ14は、マンドレル11の細径端部11aから500mmの位置から巻き始め、傾斜部分が細径端部11aから800mmの位置までの寸法のものを用いた。フープ補強層X形成用プリプレグ15は、マンドレル11Aの細径端部11aから400mmの位置から巻き始め、細径端部11aから450mmの位置までが一方の傾斜部分で、かつ細径端部11aから550〜600mmの位置までが他方の傾斜部分となる寸法のものを用いた。
得られたシャフトは、領域Aにチップ補強層Yが形成されており、領域B及び領域Cにバット補強層Zが形成されており、領域Aと領域Bの境界を中心とするようにフープ補強層Xが形成されている。また、シャフトの重さは約65gであった。
また、得られたシャフトについてEI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.0007×106、b=0.017×106であった。また、α=3.1×106、β=−3.7×106であった。
(EI値)=(1/48)×(F×D3/W) (1)
ただし、式中、Fは測定位置にかける荷重(kg)であり、Dは支点間距離(mm)である。すなわち、F=20であり、D=300である。
マンドレル11Aの代わりに、細径端部の外径が4.0mmであり、細径端部から650mmの位置までの外径がテーパー度6.86/1000で漸増し、細径端部から650mmの位置から、細径端部から950mmの位置までの外径がテーパー度14.33/1000で漸増し、細径端部から950mmの位置から太径端部までは外径が13.9mmで一定である全長1500mmのマンドレルを用い、プリプレグBからなる台形状の第1のチップ補強層Y形成用プリプレグを4層(細径端部からの長さが内側に巻き付けるものからそれぞれ150、200、400、500mmである。)とし、第2のチップ補強層Y形成用プリプレグを用いなかった以外は、実施例1と同様にしてシャフトを得た。得られたシャフトには、細径端部から500mmの位置に屈曲部があり、該屈曲部までの部分にチップ補強部Yが形成されていることで実施例1のシャフトに比べて凹凸が少なかった。このような形態は、厚肉と低いEI値を両立できるため、強度の点からも有利である。
得られたシャフトの重さは約50gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.0010×106、b=0.009×106であった。また、α=2.5×106、β=−1.9×106であった。
細径端部の外径が4.6mmであり、細径端部から650mmの位置までの外径がテーパー度7.43/1000で漸増し、細径端部から650mmの位置から、細径端部から950mmの位置までの外径がテーパー度12.67/1000で漸増し、細径端部から950mmの位置から太径端部までは外径が13.9mmで一定である全長1500mmのマンドレルを用い、第1のチップ補強層Y形成用プリプレグを3層とし、第2のチップ補強層Y形成用プリプレグを用いず、またプリプレグFからなり、細径端部から430〜1190mmの領域に巻き付けるフープ補強層X形成用プリプレグを用いた以外は、実施例4と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約45gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.0015×106、b=0.008×106であった。また、α=2.4×106、β=−2.1×106であった。
フープ補強層X形成用プリプレグとしてプリプレグBを用い、第1のチップ補強層Y形成用プリプレグを用いず、三角形状の第2のチップ補強層Y形成用プリプレグを1層とした以外は、実施例3と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約50gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.0014×106、b=0.008×106であった。また、α=1.7×106、β=−1.6×106であった。
フープ補強層X形成用プリプレグを用いなかった以外は、実施例2と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約50gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=−0.001×106、b=0.015×106であった。また、α=2.5×106、β=−3.0×106であった。
第1のチップ補強層Y形成用プリプレグと第2のチップ補強層Y形成用プリプレグとしてプリプレグHを用いた以外は、実施例2と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約50gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.002×106、b=0.017×106であった。また、α=1.5×106、β=−2.8×106であった。
バット補強層Z形成用プリプレグとしてプリプレグHを用いた以外は、実施例3と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約45gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.0007×106、b=0.005×106であった。また、α=2.1×106、β=−1.2×106であった。
台形状の第1のチップ補強層Y形成用プリプレグを4層としてプリプレグHを用い、バット補強層Z形成用プリプレグとしてプリプレグIを用いた以外は、実施例1と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約65gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.003×106、b=0.005×106であった。また、α=1.2×106、β=−1.3×106であった。
フープ補強層X形成用プリプレグとしてプリプレグEを用いた以外は、実施例2と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約45gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似して領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.001×106、b=0.009×106であった。また、α=2.4×106、β=−2.1×106であった。
実施例及び比較例で得られたシャフトを有するゴルフクラブを作成し、以下に示す試験を行った。ゴルフクラブのヘッドは、エストリックス社製のヘッド(ロフト9.5度)とした。
(フィーリング評価)
ゴルフ熟練者6名により各ゴルフクラブにて各5球試打し、以下の基準によりしなり感、ヘッド挙動の安定性、しなり戻りの速さを評価した。
しなり感:
◎:よく感じる。
○:感じる。
×:感じない。
ヘッド挙動の安定性:
◎:よく安定する。
○:安定する。
×:安定しない。
しなり戻りの速さ:
◎:非常に速い。
○:速い。
×:速くない。
ミヤマエ製ショットロボ4を用い、ヘッドスピード40m/秒として各5球試打し、ボールの初速(m/秒)、打ち出し角度(deg)、バックスピン量(rpm)、アタックアングル(deg)、飛距離(yrd)を計測した。ボールは、スピン系ボール(Bridge Stone Tour Stage X01 R4)を用いた。
実施例及び比較例の各評価結果を表1に示す。
また、実施例2のシャフトは、細径端部側のテーパー度が6.86/1000とゆるく、実施例1よりもシャフトの太径端部側を重くすることができるため、さまざまな重量のヘッド、長尺クラブにも対応できる。また、細径端部側の先端を硬くすることが実施例1よりも容易でパターン数を減らすことができるため、コストダウンに繋がる。
また、軽量シャフトの場合、一般にトルクを犠牲にしなければならないが、実施例2のような2段テーパーマンドレルではトルクがでない。そこで実施例3のシャフトでは、傾きa、傾きbを調節したところ、トルクと飛距離の損失の抑制効果とが両立できた。
また、実施例4のシャフトは、ヘッドスピード40m/秒以上の人でもしなり戻りが充分に感じとれる点で優れる。
比較例2のシャフトは、領域Aにおける傾きaが大きいため、シャフトの細径端部側の先端が柔らかく、その近傍で屈曲が起こってロフトが寝すぎるため、バックスピン量が増え、実施例1に比べて飛距離が損失した。また、バックスイング時はシャフトの潰れが起きないが、細径端部側の先端と中間部の柔らかさがあいまってバックスイング時(トップの位置)にシャフトが鉛直方向にたれてスイングが崩れやすかった。そのため、ヘッド挙動の安定性に劣った。
比較例3のシャフトでは、領域Bにおける傾きbが小さいため、シャフトが充分に屈曲せず、ブローアングルが大きくならず、実施例1に比べて飛距離を損失した。また、しなり戻りの速さが遅く、シャフトが走るという感覚が得られなかった。また、このように傾きbが小さい場合に、シャフトにおける全体の振動数を合わせようとすると、太径端部側が柔らかいために必然的に他の部分が硬くなるため、傾きaと傾きbのEI値の谷が浅くなる。
比較例4のシャフトでは、シャフトが充分に屈曲せず、ブローアングルが大きくならないため、実施例2に比べて飛距離が損失した。
比較例5のシャフトでは、実施例3及び4に比べて、しなり戻りの速さが遅く、飛距離が損失した。これは、フープ補強層Xの厚みが充分でないためである。ヘッドスピード40m/秒前後のプレイヤーがしなり戻りを感じるためには、少なくともフープ補強層Xが引張弾性率20ton/mm2以上、かつ厚みが0.05mm以上の材料が必要である。
Claims (5)
- 複数の強化繊維樹脂層で構成されるゴルフクラブ用シャフトであって、
細径端部から170mmの位置を第一の測定位置として、そこから50mmずつ隔てたそれぞれの測定位置で下記測定方法によりEI値(kgf・mm2)を求め、細径端部から測定位置までの距離L(mm)をx軸、該測定位置でのEI値をy軸としてプロットしてグラフを作成し、
前記グラフにおけるプロットを、細径端部からの距離が170〜500mmの領域Aと、細径端部からの距離が500〜800mmの領域Bとで、それぞれ別々に最小二乗法により一次式に近似したとき、前記領域Aにおける一次式の傾きaが−0.005×106≦a≦0.0015×106であり、かつ前記領域Bにおける一次式の傾きbが0.008×106≦b≦0.025×106であり、
かつ、繊維配向角がシャフト長手方向に対して90°であり、弾性率20〜90ton/mm2の繊維強化樹脂により形成される、厚さ0.05mm以上のフープ補強層Xが、前記領域Aと前記領域Bの境界部が含まれるように設けられているゴルフクラブ用シャフト。
EI値測定法:前記測定位置が中心となるように支点間距離300mmでゴルフクラブ用シャフトを支持し、該測定位置に20kgの荷重をかけ、細径端部から測定位置までの距離L(mm)における曲げたわみ量W(mm)を計測し、下記式(1)によりEI値を求める方法。
EI=(1/48)×(F×D3/W) (1)
(ただし、式中、Fは測定位置にかける荷重(kg)であり、Dは支点間距離(mm)である。) - 細径端部からシャフト長の60%以内の領域に、繊維配向角がシャフト長手方向に対して0°であるチップ補強層Yが設けられ、前記フープ補強層Xが前記チップ補強層Yに重なっている請求項1に記載のゴルフクラブ用シャフト。
- 前記チップ補強層Yが複数層からなり、前記細径端部側にいくほど巻き数が増加する、請求項2に記載のゴルフクラブ用シャフト。
- 太径側端部からシャフト長の60%以内の領域に、繊維配向角がシャフト長手方向に対して0°であるバット補強層Zが設けられ、前記フープ補強層Xが前記バット補強層Zに重なっている請求項1〜3のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトを有するゴルフクラブ。
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