JP5302799B2 - ゴルフクラブ用シャフト及びゴルフクラブ - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフクラブ用シャフト及びゴルフクラブに関する。
ゴルフクラブにおいては、従来飛距離を伸ばすためにヘッドスピードの向上、ボールの打ち出し角やスピン量の最適化といった研究が数多くなされている。ゴルフボールについては、スピンがかかりやすいスピン系ボールとスピンがかかりにくいディスタンス系ボールの2種類がある。なかでも、ボールをグリーン上で止めるためにはスピンをかける必要があり、スコアメイクにはアイアンの精度が欠かせない点から、多くのプレイヤーがスピン系ボールを選択している。
しかし、プレイ中にはボールを交換することが認められていないことから、ドライバーを使用する際にもスピン系ボールを使用しなければならない。そのため、多くのプレイヤーがアイアンの精度と引き換えにドライバーでの飛距離を犠牲にしている。つまり、スピン系ボールを用いたドライバーショットでは、打ち出し角とスピン量とが最適でないため、スピン量過多の状態となり、高弾道・高スピンのいわゆる吹け上がった弾道となることが多い。
そこで、吹け上がりを防止して飛距離を向上させるゴルフクラブとして、例えば、ゴルフクラブのシャフトの先端剛性を高め、ゴルフクラブヘッドの重心の位置をヘッド後方側に位置させたゴルフクラブが示されている(特許文献1)。該ゴルフクラブでは、シャフトの先端剛性を高めることで、インパクト時のロフト角であるダイナミックロフトを小さくしてボールの吹け上がりを防止している。つまり、測定時のロフト角であるリアルロフトを小さくするのと同等の効果を得ることで、ボールの飛び出し角を小さくし、低弾道・低スピンでのショットを可能としている。また、シャフトのみを規定するとボールの飛び出し角が小さくなりすぎて飛距離を損失するため、該ゴルフクラブではさらにヘッドの重心を規定することでスピン量を抑えつつ充分に飛び出し角を大きくしている。
しかし、一般的にヘッドの重心を変えるとフィーリングが変わるため、ヘッドを決めてからシャフトを決めることが多い昨今では、ヘッドが限定されてしまうという問題点がある。
一方、スイングのヘッドスピードが遅いローヘッドスピーダーはボールの弾道が上がりにくいため飛距離が出にくい。そこで、ヘッドスピードが遅くても弾道を高くするシャフトとして、シャフト先端からシャフト全長の35〜45%(400mm〜600mm)の領域の曲げ剛性(EI値)を略一定に保つ構成のゴルフクラブ用シャフトが示されている(特許文献2)。該シャフトは、ローヘッドスピーダーにとって打ちやすさが感じられるシャフトである、と記載されている。
しかし、該シャフトはヘッドスピードが40m/秒前後のミドルヘッドスピーダーにとっては、シャフトが柔らかく感じ、タイミングが取りづらく、いわゆる「振り遅れ」の状態でヘッドがスイングについてこない状態となるものであった。そのため、フェースが開いてインパクトすることとなり、その結果、ダイナミックロフトが大きくなり、スピンが増えることで飛距離を損失するものであった。
特開2007−61403号公報 特開平11−9744号公報
本発明は、フィーリングに優れ、打ち出し角が充分でかつ低スピンの弾道が達成された、飛距離の損失が少ないゴルフクラブ用シャフト、及び該ゴルフクラブ用シャフトを用いたゴルフクラブの提供を目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]複数の強化繊維樹脂層で構成されるゴルフクラブ用シャフトであって、細径端部から170mmの位置を第一の測定位置として、そこから50mmずつ隔てたそれぞれの測定位置で下記測定方法によりEI値(kgf・mm)を求め、細径端部から測定位置までの距離L(mm)をx軸、該測定位置でのEI値をy軸としてプロットしてグラフを作成し、前記グラフにおけるプロットを、細径端部からの距離が170〜500mmの領域Aと、細径端部からの距離が500〜800mmの領域Bとで、それぞれ別々に最小二乗法により一次式に近似したとき、前記領域Aにおける一次式の傾きaが−0.005×10≦a≦0.0015×10であり、かつ前記領域Bにおける一次式の傾きbが0.008×10≦b≦0.025×10であり、かつ、繊維配向角がシャフト長手方向に対して90°であり、弾性率20〜90ton/mmの繊維強化樹脂により形成される、厚さ0.05mm以上のフープ補強層Xが、前記領域Aと前記領域Bの境界部が含まれるように設けられているゴルフクラブ用シャフト。
EI値測定法:前記測定位置が中心となるように支点間距離300mmでゴルフクラブ用シャフトを支持し、該測定位置に20kgの荷重をかけ、細径端部から測定位置までの距離L(mm)における曲げたわみ量W(mm)を計測し、下記式(1)によりEI値を求める方法。
EI=(1/48)×(F×D/W) (1)
(ただし、式中、Fは測定位置にかける荷重(kg)であり、Dは支点間距離(mm)である。)
[2]細径端部からシャフト長の60%以内の領域に、繊維配向角がシャフト長手方向に対して0°であるチップ補強層Yが設けられ、前記フープ補強層Xが前記チップ補強層Yに重なっている前記[1]に記載のゴルフクラブ用シャフト。
[3]前記チップ補強層Yが複数層からなり、前記細径端部側にいくほど巻き数が増加する、前記[2]に記載のゴルフクラブ用シャフト。
[4]太径側端部からシャフト長の60%以内の領域に、繊維配向角がシャフト長手方向に対して0°であるバット補強層Zが設けられ、前記フープ補強層Xが前記バット補強層Zに重なっている前記[1]〜[3]のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトを有するゴルフクラブ。
本発明のゴルフクラブ用シャフト及びゴルフクラブは、フィーリングに優れ、打ち出し角が充分でかつ低スピンの弾道が達成されており、飛距離の損失が少ない。
本発明のゴルフクラブ用シャフトの実施形態の一例を示した概略説明図である。 ゴルフクラブ用シャフトの曲げ剛性(EI値)の計測方法の一例を示した概略図である。 距離Lをx軸とEI値をy軸としてプロットし、最小二乗法により一次式に近似した様子を示したグラフである。 本発明のゴルフクラブ用シャフトの製造に用いるプリプレグの裁断形状と巻き付け順序とを示した説明図である。 本発明のゴルフクラブの一実施形態例を示した正面図(A)、及び該ゴルフクラブのスイング時の様子を示した側面図(B)である。 実施例1におけるゴルフクラブ用シャフトの製造に用いたプリプレグの裁断形状と巻き付け順序とを示した説明図である。
以下、本発明のゴルフクラブ用シャフト及び該ゴルフクラブ用シャフトを用いたゴルフクラブについて詳細に説明する。図1に、本発明のゴルフクラブ用シャフトの実施形態の一例を示す。
本実施形態のシャフト10は、複数の強化繊維樹脂層で構成されるゴルフクラブ用シャフトであって、図1に示すように、細径端部10aから太径端部10bにかけて外径が漸増している。図1におけるd、d、d、dは、それぞれd=170mm、d=500mm、d=800mm、d=970mmである。
シャフト10は、以下の条件を満たすものである。細径端部10aから170〜500mmの領域Aと、細径端部10aから500〜800mmの領域Bにおいてそれぞれ曲げ剛性(EI値、単位:kgf・mm)を測定し、細径端部10aから測定位置までの距離L(mm)をx軸、該測定位置でのEI値をy軸としてプロットしてグラフを作成する。そして、該グラフにおけるプロットを、領域Aと領域Bにおいてそれぞれ最小二乗法により一次式に近似したとき、領域Aにおける一次式の傾きaが−0.005×10≦a≦0.0015×10であり、領域Bにおける一次式の傾きbが0.008×10≦b≦0.025×10である。
EI値の測定方法は、以下に示す通りである。
測定位置が中心となるように支点間距離300mmでシャフト10を2点で支持し、該測定位置に20kgの荷重をかけ、細径端部10aから測定位置までの距離L(mm)における曲げたわみ量W(mm)を計測し、下記式(1)によりEI値を求める。
EI=(1/48)×(F×D/W) (1)
ただし、式中、Fは測定位置にかける荷重(kg)であり、Dは支点間距離(mm)である。すなわち、F=20であり、D=300である。
曲げたわみ量Wの計測の具体例としては、例えば、図2に示すように、距離d=300mmとなるように支持部材31、32でシャフトの2点を支持し、その支持部材31、32の中間点(d=150mm、d=150mm)である測定位置に荷重部材33(荷重20kg)で荷重をかけ、該測定位置における曲げたわみ量Wを計測する方法が挙げられる。
測定位置は、細径端部10aから170mmの位置を第一の測定位置として、そこから50mmずつ隔てたそれぞれの位置とする。
すなわち、図3に示すように、領域Aでは、細径端部10aから測定位置までの距離Lが170mm、220mm、270mm、320mm、370mm、420mm、470mmの7点についてEI値を測定し、距離Lをx軸、EI値をy軸にとって(x,y)〜(x,y)をそれぞれプロットして、最小二乗法により下記式(2)で表される一次式に近似する。
y=ax+α (170≦x≦500) (2)
同様に、領域Bでは、細径端部10aから520mm、570mm、620mm、670mm、720mm、770mmの6点についてEI値を測定し、距離Lをx軸、EI値をy軸にとって(x,y)〜(x13,y13)をそれぞれプロットして、最小二乗法により下記式(3)で表される一次式に近似する。
y=bx+β (500≦x≦800) (3)
領域Aでは、(x,y)、(x,y)、・・・、(x,y)から最小二乗法により傾きaが得られる。同様に、領域Bでは、(x,y)、(x,y)、・・・、(x13,y13)から最小二乗法により傾きbが得られる。
Figure 0005302799
ただし、m=7、n=13である。
領域Aにおける傾きaは、−0.005×10≦a≦0.0015×10であり、−0.005×10≦a≦0.0010×10であることが好ましく、−0.005×10≦a≦0であることがより好ましい。シャフト10の細径端部10a側の先端は硬ければ硬いほどよく、スピン量を減少させる点から、領域Aは太径端部10b側(細径端部10aから500mmの位置側)よりも細径端部10a側(細径端部10aから170mmの位置側)の方が硬い方が好ましい。傾きaが−0.005×10以上であれば、スピン量が多くなりすぎることを抑制できる。傾きaが0.0015×10以下であれば、領域Aの細径端部10a側に引張弾性率が特別に高いプリプレグを使わなくてもよくなるため、充分な強度が得られ、同時にスピンの低減が可能となる。すなわち、領域AのEI値の傾きを小さくすることで、インパクト直前でのヘッドの返りが小さくなる。そのため、ダイナミックロフトが起きてインパクトすることとなり、スピン量を減らすことができる。しかし、傾きaの規定のみではスピンは減らせるものの、充分な打ち出し角を得ることができない。そのため、以下に示すように領域Bを規定する。
領域Bにおける傾きbは、0.008×10≦b≦0.025×10であり、0.009×10≦b≦0.025×10であることが好ましく、0.010×10≦b≦0.025×10であることがより好ましい。傾きbが0.008×10以上であれば、充分な打ち出し角が得られ、飛距離が向上する。また、傾きbが大きいほどスイング時にシャフトが「走る」という感覚が得られやすい。傾きbが0.025×10以下であれば、領域Bから太径端部10bまでの領域においてシャフト10に充分な強度が得られやすい。このように、傾きa、bを規定することでシャフトの中間部近傍に剛性の低い部分が生まれる。インパクト時にはこの中間部が大きく「くの字」状に屈曲することで、ヘッドの軌道が下から上へ向かう軌道となり、打ち出し角を高くすることができる。
以上のように、領域A、Bの構成により、弾道の高さを維持しつつ、スピンを低減することができ、飛距離の損失を防ぐことができる。
また、シャフト10の細径端部10aから800〜970mmの領域Cにおいて、領域A及び領域Bと同様にしてEI値を測定し、最小二乗法により一次式y=cx+γに近似したときの傾きcは、適宜選定できる。領域Cにおいては、細径端部10aからの距離Lが820mm、870mm、920mm、970mmの4点についてEI値を測定し、プロットする。また、シャフト長によっては920mmまでで線形近似を行う。
例えば、いわゆるリストターンスイングでは、太径端部10b側(バット側)が硬い方がクラブを振ったときにリストの動きに合わせてクラブが速やかに反応するため、クラブを思い通りに動かしやすい。そのため、リストターンスイングのプレイヤー用のシャフトとする場合には傾きcが0≦c≦0.008であることが好ましい。
一方、ボディターンスイングでは、太径端部10b側(バット側)が柔らかい方が、フォワードスイング中に手が先行するいわゆる「タメ」の状態を作りやすい。そのため、ボディターンスイングのプレイヤー用のシャフトとする場合には傾きcが負の値であることが好ましく、−0.004≦c<0であることがより好ましい。
シャフト10は、細径端部10aから170mmの位置のEI値が1.5×10〜3.0×10kgf・mmであることが好ましく、1.8×10〜3.0×10kgf・mmであることがより好ましい。
シャフト10の材質としては、例えば、エポキシ樹脂等のマトリクス樹脂が、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、スチール繊維等の繊維で強化された繊維強化樹脂が挙げられる。
また、シャフト10は、例えば、シートラップ成形、フィラメントワインディング成形、内圧成形等により製造できる。
シートラップ成形の場合、プリプレグに巻き回す棒状の芯金(マンドレル)は特に限定されず、テーパー度が9.0/1000以上のマンドレルが好ましい。また、テーパー度が9.0/1000未満で、細径端部側ほどEI値が低い一般的な構成のマンドレルを用いることもできる。
シャフト10の全長は、1092〜1194mmであることが好ましい。
シャフト10の細径端部10aの外径は、8.50〜9.40mmであることが好ましい。
シャフト10の太径端部10bの外径は、14.6〜16.0mmであることが好ましく、14.6〜15.5mmであることがより好ましい。
シャフト10の質量は、37〜80gであることが好ましい。
シャフト10は、領域Aにおける傾きaと領域Bにおける傾きbとが前記条件となるように制御され、少なくともフープ補強層Xが設けられているシャフトであり、それ以外の構成は特に限定されない。傾きa及び傾きbは、領域Aと領域Bを形成するプリプレグの種類、巻き数、層数等を調節することにより適宜調節できる。
フープ補強層Xは、領域Aと領域Bとの境界部を含むように設けられており、繊維配向角がシャフト10の長手方向に対して90°である。シャフト10は傾きaと傾きbが前述の通りに制御されているため、スイング時に領域Aと領域Bの境界部近傍でシャフト10が屈曲する。フープ補強層Xを設けておくことにより、屈曲によるシャフトの潰れを防ぐことができ、シャフトがしなった状態から元の状態に戻るいわゆるしなり戻りを速める効果が得られる。これにより、良好なしなり感でしなり戻りの速度を速くでき、またヘッドの挙動が安定するため、優れたフィーリングが得られる。このしなり戻りの速度を高めることでヘッドスピードが40〜43m/秒のミドルヘッドスピーダーにとっても振りやすいフィーリングが得られる。
また、特開2009−22622号公報には、シャフトのグリップ端からシャフト全長の15%を隔てた点Pから、全長の45%を隔てた点Qまでの重点補強領域内のみに、強化繊維のシャフト軸線に対する配向角が90°±10°以内の部分補強フープ層を少なくとも1層備えているゴルフシャフトが記載されている。これに対し、本発明のシャフトでは、領域Aと領域Bとの境界部分に、曲げ変形によりつぶし変形しやすい部分を予め設けておき、領域Aと領域Bの両方に重なるようにフープ層Xを配している点で異なる。これにより、シャフトの変形しやすい部分を効果的に補強すると同時に、前述の剛性分布の効果を最大限に発揮できる。
フープ補強層Xは、領域Aと領域Bの境界部を補強できる領域に設けられていればよく、フープ補強層Xのシャフト長手方向に沿った長さは100mm以上であることが好ましい。
また、しなり戻りの速さに影響を与えるのは実質的にEI値の低い領域だけであり、その領域に設けられていれば充分な効果が得られる。そのため、できるだけシャフト10を軽くする点から、フープ補強層Xはシャフト10の細径端部10aから400〜800mmの領域に設けることが好ましく、430〜770mmの領域に設けることがより好ましい。ただし、フープ補強層Xは、シャフト10の細径端部10aから太径端部10bまで全領域に設けてもよい。
また、フープ補強層Xは、細径端部10aから0〜770mmの領域、又は430mmから太径端部10bまでの領域に設けてもよく、このように設ける方法は製造が容易である。
フープ補強層Xは、単層からなっていてもよく、複数層からなっていてもよい。フープ補強層Xは、しなり戻りを速くできる点から、複数層として設け、軽量化を考慮しつつできるだけ厚く、硬いものにすることが好ましい。
また、フープ補強層Xにおける繊維強化樹脂の巻き数は1以上とすることが好ましい。
フープ補強層Xを形成する繊維強化樹脂の引張弾性率は、20〜90ton/mmであり、30〜46ton/mmであることがより好ましい。ここで、引張弾性率は、JIS R 7608に準拠して測定された値である。
前記引張弾性率が20ton/mm以上であれば、しなり戻りの速さが向上し、振り遅れ感がなくなる。また、前記引張弾性率が90ton/mm以下であれば、シャフト10に充分な強度が得られ、シャフト10の折損等を抑制できる。
フープ補強層Xを形成する繊維強化樹脂の具体例としては、例えば、TR350J050(引張弾性率:24ton/mm)、MR350J050(引張弾性率:30ton/mm)(以上、三菱レイヨン株式会社製)等のプリプレグが挙げられる。
フープ補強層Xの厚みは、0.05mm以上であり、0.05〜0.15mmであることが好ましく、0.07〜0.10mmであることがより好ましい。フープ補強層Xの厚みが0.05mm以上であれば、しなり戻りが速くなる。また、フープ補強層Xの厚みが0.15mm以下であれば、シャフト10に充分な強度が得られやすく、また軽量化が容易である。
また、フープ補強層Xを複数層とする場合は、その全体を合計したものの厚みが前記範囲内となるようにすることが好ましい。
また、シャフト10の細径端部10aからシャフト長の60%以内の領域には、繊維配向角がシャフト長手方向に対して0°であるチップ補強層Yが設けられていることが好ましい。チップ補強層Yを設けることにより、ヘッドがインパクト直前に寝てボールに当たる現象を防ぎ、スピン量を減らすことができる。
チップ補強層Yは、単層からなっていてもよく、複数層からなっていてもよい。また、チップ補強層Yは外観に優れる点から、細径端部10a側に向かうに従って巻き数が順次増加するように設けられていることが好ましい。また、チップ補強層Yを台形状、三角形状等の複数のプリプレグで形成する場合、半数を逆切りにして巻くとさらに外観が向上する。すなわち、三角形状のプリプレグであれば、その複数のプリプレグの斜辺が交差するように巻き付けてチップ補強層Yを形成することが好ましい。
また、チップ補強層Yを設ける場合には、スムーズなしなり戻りを達成し、ふり遅れを防ぐ点から、フープ補強層Xがチップ補強層Yの上に重なるようにフープ補強層Xを設けることが好ましい。この場合、フープ補強層Xはチップ補強層Yの全体を覆うように重ねられていてもよく、チップ補強層Yの太径端部10b側の一部のみを覆うように重ねられていてもよい。
チップ補強層Yを形成する繊維強化樹脂の引張弾性率は、20〜46ton/mmであることが好ましく、20〜30ton/mmであることがより好ましい。前記引張弾性率が20ton/mm以上であれば、インパクト直前のヘッドのロフトが寝るという現象を防ぐことでスピン量を減らしやすい。また、前記引張弾性率が46ton/mm以下であれば、シャフト10に充分な強度が得られやすく、シャフト10の折損等を抑制しやすい。
チップ補強層Yを形成する繊維強化樹脂は、例えば、引張弾性率が20ton/mm以上のものとしてはTR350C075S(三菱レイヨン株式会社製)、引張弾性率が46ton/mm以上のものとしてはHRX350C075S(三菱レイヨン株式会社製)以上のグレードのプリプレグが挙げられる。
チップ補強層Yの厚みは、0.07〜0.50mmであることが好ましく、0.125〜0.50mmであることがより好ましい。チップ補強層Yの厚みが0.07mm以上であれば、ヘッドロフトがインパクトの直前に寝る現象を防ぎやすい。また、チップ補強層Yの厚みが0.50mm以下であれば、シャフト10に充分な強度が得られやすく、また軽量化が容易である。
また、チップ補強層Yを複数層とする場合は、その全体を合計したものの厚みが前記範囲内となるようにすることが好ましい。
また、シャフト10の太径端部10bからシャフト長の60%以内の領域には、繊維配向角がシャフト長手方向に対して0°であるバット補強層Zが設けられていることが好ましい。バット補強層Zを設けることにより、シャフト10の太径端部10b側のしなりが抑制されることで、フィーリングを良いものとすることができ、打球方向がより安定する。
バット補強層Zは、単層からなっていてもよく、複数層からなっていてもよい。
また、バット補強層Zを設ける場合には、スムーズなしなり戻りを達成し、振り遅れを防止する点から、フープ補強層Xがバット補強層Zの上に重なるようにフープ補強層Xを設けることが好ましい。この場合、フープ補強層Xはバット補強層Zの全体を覆うように重ねられていてもよく、バット補強層Zの細径端部10a側の一部のみを覆うように重ねられていてもよい。
すなわち、バット補強層Zとチップ補強層Yの存在しない領域には、フープ補強層Xが存在することが好ましい。
バット補強層Zを形成する繊維強化樹脂の引張弾性率は、5〜46ton/mmであることが好ましく、10〜30ton/mmであることがより好ましい。前記引張弾性率が5ton/mm以上であれば、打球方向がより安定しやすい。また、前記引張弾性率が46ton/mm以下であれば、シャフト10に充分な強度が得られやすく、シャフト10の折損等を抑制しやすい。
バット補強層Zを形成する繊維強化樹脂としては、例えば、TR350C075Sのプリプレグが挙げられる。
バット補強層Zの厚みは、0.05〜0.30mmであることが好ましく、0.05〜0.25mmであることがより好ましい。バット補強層Zの厚みが0.05mm以上であれば、打球方向を安定化させやすい。また、バット補強層Zの厚みが0.30mm以下であれば、シャフト10に充分な強度が得られやすく、また軽量化が容易である。
また、バット補強層Zを複数層とする場合は、その全体を合計したものの厚みが前記範囲内となるようにすることが好ましい。
シャフト10がフープ補強層X、チップ補強層Y及びバット補強層Zを有する場合には、傾きa及び傾きbの制御の容易性、外観等の点から、チップ補強層Yとバット補強層Zが重ならないように設け、該チップ補強層Yの太径端部10b側の一部とバット補強層Zの細径端部10a側の一部の上にフープ補強層Xが重なるように設けられていることが好ましい。
シャフト10の製造方法の一例を以下に示す。ただし、本発明のゴルフクラブ用シャフトの製造方法、及びそれにより得られる形態は以下のものには限定されない。
まず、図4に示すように、マンドレル11に、バイアス層形成用貼り合わせプリプレグ12と、チップ補強層Y形成用プリプレグ13と、バット補強層Z形成用プリプレグ14と、フープ補強層X形成用プリプレグ15と、ストレート層形成用貼り合わせプリプレグ16とを内側から順に巻き付け、未硬化の成形品を得る。
次いで、未硬化の成形品を加熱炉等により加熱し、樹脂成分を硬化させることでシャフト10が得られる。
バイアス層形成用貼り合わせプリプレグ12により形成されるバイアス層は、シャフト10のねじり剛性を向上させる。バイアス層形成用貼り合わせプリプレグ12は、繊維配向角がシャフト10の長手方向に対して−γ°である強化繊維と、+γ°である強化繊維を含有するプリプレグである。ここで、γ°は、20°〜70°であることが好ましい。
バイアス層形成用貼り合わせプリプレグ12の厚みは、0.02〜0.150mmであることが好ましい。
チップ補強層Y形成用プリプレグ13、バット補強層Z形成用プリプレグ14、フープ補強層X形成用プリプレグ15は、前述したチップ補強層Y、バット補強層Z、フープ補強層Xをそれぞれ形成するためのプリプレグである。
ストレート層形成用プリプレグ16により形成されるストレート層は、シャフト10のEI値を向上させる。ストレート層形成用プリプレグ16は、繊維配向角がシャフト10の長手方向に対して0°の強化繊維を含有するプリプレグである。
ストレート層形成用プリプレグ16の厚みは、0.05〜0.5mmであることが好ましい。
以下、本発明のゴルフクラブ用シャフトに使用できるプリプレグの具体例を列挙するが、これらに限定されるものではない。
TR350C075S(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.062mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350C100S(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.083mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350C125S(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.103mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350C150S(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.145mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350C175S(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.168mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350J050(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.05mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350E100R(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.095mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350E125S(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.113mm、三菱レイヨン株式会社製)、
TR350E150S(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.156mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MRX350C075R(引張弾性率30ton/mm、厚さ0.063mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MRX350C100R(引張弾性率30ton/mm、厚さ0.084mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MRX350C125R(引張弾性率30ton/mm、厚さ0.106mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MRX350C150S(引張弾性率30ton/mm、厚さ0.127mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MR350K020S(引張弾性率30ton/mm、厚さ0.020mm、三菱レイヨン株式会社製)、
MR350J050S(引張弾性率30ton/mm、厚さ0.050mm、三菱レイヨン株式会社製)、
HRX35C075S(引張弾性率40ton/mm、厚さ0.057mm、三菱レイヨン株式会社製)、
E1026C−10N(引張弾性率10ton/mm、厚さ0.099mm、日本グラファイトファイバー株式会社製)、
E052AA−10N(引張弾性率5ton/mm、厚さ0.109mm、日本グラファイトファイバー株式会社製)。
本発明のゴルフクラブは、前述のゴルフクラブ用シャフトを有するクラブである。以下、本発明のゴルフクラブ用シャフトを有するゴルフクラブの作用について説明する。図5に、本発明のゴルフクラブ用シャフトの実施形態の一例を示す。
本実施形態のゴルフクラブ1は、図5(A)に示すように、シャフト10と、シャフト10の細径端部側に取り付けられるヘッド20と、シャフト10の太径端部側に取り付けられるグリップ30とを有する。ヘッド20は特に限定されず、公知のヘッドを適宜用いることができる。また、グリップ30も特に限定されず、公知のグリップを適宜用いることができる。
通常のゴルフクラブでは、シャフトの領域Aにおける傾きaは0.002×10以上であり、シャフトの中間部に比べてヘッド側の先端部に近いほど柔らかくなっている。そのため、ヘッドに近い柔らかい部分でシャフトが大きく屈曲し、ロフトが上側に向いて寝た状態でボールに当たることで、打ち出し角が大きくなって弾道が高くなる。しかし、屈曲がヘッドに近い部分で起きるほどロフトが顕著に寝るため、それに応じてスピン量が多くなってしまい、結果的に飛距離を損失することになる。
これに対し、ゴルフクラブ1では、シャフト10における領域Aの傾きaと領域Bの傾きbとを前述の通りに制御することにより、領域Bに対して領域AのEI値が低くなっているが、傾きaを0.0015×10以下とするためにシャフト10の細径端部10a側を通常のシャフトよりも硬くすることができる。そのため、シャフト10のヘッド20側の近傍においてシャフト10が大きく屈曲することが抑えられる。また、傾きbを傾きaに対して約5.33倍(従来は大きくても3.5倍)大きく設定することにより、領域Aと領域Bとの境界部、すなわち細径端部10aから500mmの位置の近傍でシャフト10がより屈曲する(図5(B))。これにより、ロフトが上側に向きすぎることを抑制しつつ、傾ヘッド軌道が上方へ向くことによりスピン量を抑え、かつ充分な打ち出し角を確保して飛距離の損失を抑えることができる。
また、傾きaが負になるようにし、シャフト10の領域Aの細径端部10a側が硬く、領域Aの太径端部10b側が柔らかく、領域Bから太径端部10bまでが硬い構成とすると、シャフト10のヘッド20側近傍の屈曲を抑えつつ、領域Aと領域Bの境界部においてシャフト10を充分に屈曲させることが容易になり、スピン量を抑えつつ充分な打ち出し角を確保することがより容易になり、飛距離の損失を抑制しやすい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
本実施例で使用したプリプレグを以下に示す。
プリプレグA:TR350C075S(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.062mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグB:TR350C100S(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.083mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグC:TR350C150S(引張弾性率24ton/mm、厚さ0.145mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグD:MRX350C075R(引張弾性率30ton/mm、厚さ0.063mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグE:MR350K020S(引張弾性率30ton/mm、厚さ0.020mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグF:MR350J050S(引張弾性率30ton/mm、厚さ0.050mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグG:HRX35C075S(引張弾性率40ton/mm、厚さ0.057mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグH:E1026C−10N(引張弾性率10ton/mm、厚さ0.099mm、日本グラファイトファイバー株式会社製)
プリプレグI:E052AA−10N(引張弾性率5ton/mm、厚さ0.109mm、日本グラファイトファイバー株式会社製)
[実施例1]
細径端部の外径が3.65mmであり、細径端部から970mmの位置までの外径がテーパー度9.85/1000で漸増し、細径端部から300mmの位置の外径が6.95mmであり、細径端部から970mmの位置から太径端部までは外径が13.55mmで一定である全長1500mmのマンドレル11A(図6)を用いた。
次いで、該マンドレル11Aに対して、2枚のプリプレグGからなる台形状のバイアス層形成用貼り合わせプリプレグ12(繊維配向角+45°の強化繊維を含有するプリプレグと、繊維配向角−45°の強化繊維を含有するプリプレグとを貼り合わせたプリプレグ)を1層と、プリプレグDからなる台形状の第1のチップ補強層Y形成用プリプレグ13a(繊維配向角0°の強化繊維を含有するプリプレグ)を2層と、プリプレグDからなる三角形状の第2のチップ補強層Y形成用プリプレグ13b(繊維配向角0°の強化繊維を含有するプリプレグ)を3層と、プリプレグAからなる台形状のバット補強層Z形成用プリプレグ14(繊維配向角0°の強化繊維を含有するプリプレグ)を2層と、プリプレグGからなる台形状のフープ補強層X形成用プリプレグ15(繊維配向角90°の強化繊維を含有するプリプレグ)を1層と、プリプレグCからなる台形状のストレート層形成用プリプレグ16(配向角度0°の強化繊維を含有するプリプレグ)を3層とを順に巻き付けた。
第1のチップ補強層Y形成用プリプレグ13aは、マンドレル11Aの細径端部11aから500mmで巻き終わる寸法のものを用いた。第2のチップ補強層Y形成用プリプレグ13bは、マンドレル11Aの細径端部11aから550mmで巻き終わる寸法のものを用いた。バット補強層Z形成用プリプレグ14は、マンドレル11の細径端部11aから500mmの位置から巻き始め、傾斜部分が細径端部11aから800mmの位置までの寸法のものを用いた。フープ補強層X形成用プリプレグ15は、マンドレル11Aの細径端部11aから400mmの位置から巻き始め、細径端部11aから450mmの位置までが一方の傾斜部分で、かつ細径端部11aから550〜600mmの位置までが他方の傾斜部分となる寸法のものを用いた。
次いで、幅20mm、厚さ0.04mmのポリプロピレン製のテープをピッチ2mmで巻き付けて未硬化の成形品を固定した後、加熱炉を用いて145℃で2時間加熱し、樹脂成分を硬化させ、シャフトを得た。
得られたシャフトは、領域Aにチップ補強層Yが形成されており、領域B及び領域Cにバット補強層Zが形成されており、領域Aと領域Bの境界を中心とするようにフープ補強層Xが形成されている。また、シャフトの重さは約65gであった。
また、得られたシャフトについてEI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.0007×10、b=0.017×10であった。また、α=3.1×10、β=−3.7×10であった。
EI値は、図2に例示した方法で曲げたわみ量W(mm)を計測し、下記式(1)により求めた(以下、同じ。)。
(EI値)=(1/48)×(F×D/W) (1)
ただし、式中、Fは測定位置にかける荷重(kg)であり、Dは支点間距離(mm)である。すなわち、F=20であり、D=300である。
[実施例2]
マンドレル11Aの代わりに、細径端部の外径が4.0mmであり、細径端部から650mmの位置までの外径がテーパー度6.86/1000で漸増し、細径端部から650mmの位置から、細径端部から950mmの位置までの外径がテーパー度14.33/1000で漸増し、細径端部から950mmの位置から太径端部までは外径が13.9mmで一定である全長1500mmのマンドレルを用い、プリプレグBからなる台形状の第1のチップ補強層Y形成用プリプレグを4層(細径端部からの長さが内側に巻き付けるものからそれぞれ150、200、400、500mmである。)とし、第2のチップ補強層Y形成用プリプレグを用いなかった以外は、実施例1と同様にしてシャフトを得た。得られたシャフトには、細径端部から500mmの位置に屈曲部があり、該屈曲部までの部分にチップ補強部Yが形成されていることで実施例1のシャフトに比べて凹凸が少なかった。このような形態は、厚肉と低いEI値を両立できるため、強度の点からも有利である。
得られたシャフトの重さは約50gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.0010×10、b=0.009×10であった。また、α=2.5×10、β=−1.9×10であった。
[実施例3]
細径端部の外径が4.6mmであり、細径端部から650mmの位置までの外径がテーパー度7.43/1000で漸増し、細径端部から650mmの位置から、細径端部から950mmの位置までの外径がテーパー度12.67/1000で漸増し、細径端部から950mmの位置から太径端部までは外径が13.9mmで一定である全長1500mmのマンドレルを用い、第1のチップ補強層Y形成用プリプレグを3層とし、第2のチップ補強層Y形成用プリプレグを用いず、またプリプレグFからなり、細径端部から430〜1190mmの領域に巻き付けるフープ補強層X形成用プリプレグを用いた以外は、実施例4と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約45gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.0015×10、b=0.008×10であった。また、α=2.4×10、β=−2.1×10であった。
[実施例4]
フープ補強層X形成用プリプレグとしてプリプレグBを用い、第1のチップ補強層Y形成用プリプレグを用いず、三角形状の第2のチップ補強層Y形成用プリプレグを1層とした以外は、実施例3と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約50gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.0014×10、b=0.008×10であった。また、α=1.7×10、β=−1.6×10であった。
[比較例1]
フープ補強層X形成用プリプレグを用いなかった以外は、実施例2と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約50gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=−0.001×10、b=0.015×10であった。また、α=2.5×10、β=−3.0×10であった。
[比較例2]
第1のチップ補強層Y形成用プリプレグと第2のチップ補強層Y形成用プリプレグとしてプリプレグHを用いた以外は、実施例2と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約50gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.002×10、b=0.017×10であった。また、α=1.5×10、β=−2.8×10であった。
[比較例3]
バット補強層Z形成用プリプレグとしてプリプレグHを用いた以外は、実施例3と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約45gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.0007×10、b=0.005×10であった。また、α=2.1×10、β=−1.2×10であった。
[比較例4]
台形状の第1のチップ補強層Y形成用プリプレグを4層としてプリプレグHを用い、バット補強層Z形成用プリプレグとしてプリプレグIを用いた以外は、実施例1と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約65gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似してA領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.003×10、b=0.005×10であった。また、α=1.2×10、β=−1.3×10であった。
[比較例5]
フープ補強層X形成用プリプレグとしてプリプレグEを用いた以外は、実施例2と同様にしてシャフトを得た。
得られたシャフトの重さは約45gであった。また、EI値の測定を行い、最小二乗法により一次式に近似して領域の傾きaとB領域の傾きbとを求めたところ、a=0.001×10、b=0.009×10であった。また、α=2.4×10、β=−2.1×10であった。
[評価方法]
実施例及び比較例で得られたシャフトを有するゴルフクラブを作成し、以下に示す試験を行った。ゴルフクラブのヘッドは、エストリックス社製のヘッド(ロフト9.5度)とした。
(フィーリング評価)
ゴルフ熟練者6名により各ゴルフクラブにて各5球試打し、以下の基準によりしなり感、ヘッド挙動の安定性、しなり戻りの速さを評価した。
しなり感:
◎:よく感じる。
○:感じる。
×:感じない。
ヘッド挙動の安定性:
◎:よく安定する。
○:安定する。
×:安定しない。
しなり戻りの速さ:
◎:非常に速い。
○:速い。
×:速くない。
(ボールの初速、打ち出し角度、バックスピン量、アタックアングル、飛距離)
ミヤマエ製ショットロボ4を用い、ヘッドスピード40m/秒として各5球試打し、ボールの初速(m/秒)、打ち出し角度(deg)、バックスピン量(rpm)、アタックアングル(deg)、飛距離(yrd)を計測した。ボールは、スピン系ボール(Bridge Stone Tour Stage X01 R4)を用いた。
実施例及び比較例の各評価結果を表1に示す。
Figure 0005302799
表1に示すように、本発明のシャフトを用いた実施例1〜4のゴルフクラブでは、充分な打ち出し角が得られ、かつバックスピン量も少なく、飛距離の損失が抑えられていた。また、フィーリングにも優れていた。
また、実施例2のシャフトは、細径端部側のテーパー度が6.86/1000とゆるく、実施例1よりもシャフトの太径端部側を重くすることができるため、さまざまな重量のヘッド、長尺クラブにも対応できる。また、細径端部側の先端を硬くすることが実施例1よりも容易でパターン数を減らすことができるため、コストダウンに繋がる。
また、軽量シャフトの場合、一般にトルクを犠牲にしなければならないが、実施例2のような2段テーパーマンドレルではトルクがでない。そこで実施例3のシャフトでは、傾きa、傾きbを調節したところ、トルクと飛距離の損失の抑制効果とが両立できた。
また、実施例4のシャフトは、ヘッドスピード40m/秒以上の人でもしなり戻りが充分に感じとれる点で優れる。
一方、比較例1のシャフトは、フープ補強層Xが形成されていないため、しなり戻りの速さも遅く、頼りない印象を受けるものであった。
比較例2のシャフトは、領域Aにおける傾きaが大きいため、シャフトの細径端部側の先端が柔らかく、その近傍で屈曲が起こってロフトが寝すぎるため、バックスピン量が増え、実施例1に比べて飛距離が損失した。また、バックスイング時はシャフトの潰れが起きないが、細径端部側の先端と中間部の柔らかさがあいまってバックスイング時(トップの位置)にシャフトが鉛直方向にたれてスイングが崩れやすかった。そのため、ヘッド挙動の安定性に劣った。
比較例3のシャフトでは、領域Bにおける傾きbが小さいため、シャフトが充分に屈曲せず、ブローアングルが大きくならず、実施例1に比べて飛距離を損失した。また、しなり戻りの速さが遅く、シャフトが走るという感覚が得られなかった。また、このように傾きbが小さい場合に、シャフトにおける全体の振動数を合わせようとすると、太径端部側が柔らかいために必然的に他の部分が硬くなるため、傾きaと傾きbのEI値の谷が浅くなる。
比較例4のシャフトでは、シャフトが充分に屈曲せず、ブローアングルが大きくならないため、実施例2に比べて飛距離が損失した。
比較例5のシャフトでは、実施例3及び4に比べて、しなり戻りの速さが遅く、飛距離が損失した。これは、フープ補強層Xの厚みが充分でないためである。ヘッドスピード40m/秒前後のプレイヤーがしなり戻りを感じるためには、少なくともフープ補強層Xが引張弾性率20ton/mm以上、かつ厚みが0.05mm以上の材料が必要である。
1 ゴルフクラブ 10 シャフト 10a 細径端部 10b 太径端部

Claims (5)

  1. 複数の強化繊維樹脂層で構成されるゴルフクラブ用シャフトであって、
    細径端部から170mmの位置を第一の測定位置として、そこから50mmずつ隔てたそれぞれの測定位置で下記測定方法によりEI値(kgf・mm)を求め、細径端部から測定位置までの距離L(mm)をx軸、該測定位置でのEI値をy軸としてプロットしてグラフを作成し、
    前記グラフにおけるプロットを、細径端部からの距離が170〜500mmの領域Aと、細径端部からの距離が500〜800mmの領域Bとで、それぞれ別々に最小二乗法により一次式に近似したとき、前記領域Aにおける一次式の傾きaが−0.005×10≦a≦0.0015×10であり、かつ前記領域Bにおける一次式の傾きbが0.008×10≦b≦0.025×10であり、
    かつ、繊維配向角がシャフト長手方向に対して90°であり、弾性率20〜90ton/mmの繊維強化樹脂により形成される、厚さ0.05mm以上のフープ補強層Xが、前記領域Aと前記領域Bの境界部が含まれるように設けられているゴルフクラブ用シャフト。
    EI値測定法:前記測定位置が中心となるように支点間距離300mmでゴルフクラブ用シャフトを支持し、該測定位置に20kgの荷重をかけ、細径端部から測定位置までの距離L(mm)における曲げたわみ量W(mm)を計測し、下記式(1)によりEI値を求める方法。
    EI=(1/48)×(F×D/W) (1)
    (ただし、式中、Fは測定位置にかける荷重(kg)であり、Dは支点間距離(mm)である。)
  2. 細径端部からシャフト長の60%以内の領域に、繊維配向角がシャフト長手方向に対して0°であるチップ補強層Yが設けられ、前記フープ補強層Xが前記チップ補強層Yに重なっている請求項1に記載のゴルフクラブ用シャフト。
  3. 前記チップ補強層Yが複数層からなり、前記細径端部側にいくほど巻き数が増加する、請求項2に記載のゴルフクラブ用シャフト。
  4. 太径側端部からシャフト長の60%以内の領域に、繊維配向角がシャフト長手方向に対して0°であるバット補強層Zが設けられ、前記フープ補強層Xが前記バット補強層Zに重なっている請求項1〜3のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトを有するゴルフクラブ。
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