JP5300846B2 - リグノセルロースまたはセルロースを含有する物質の処理方法 - Google Patents

リグノセルロースまたはセルロースを含有する物質の処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5300846B2
JP5300846B2 JP2010522557A JP2010522557A JP5300846B2 JP 5300846 B2 JP5300846 B2 JP 5300846B2 JP 2010522557 A JP2010522557 A JP 2010522557A JP 2010522557 A JP2010522557 A JP 2010522557A JP 5300846 B2 JP5300846 B2 JP 5300846B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substance
cellulose
temperature
mixture
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010522557A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2010013324A1 (ja
Inventor
優久雄 片山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
K E M Corp
Original Assignee
K E M Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by K E M Corp filed Critical K E M Corp
Publication of JPWO2010013324A1 publication Critical patent/JPWO2010013324A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5300846B2 publication Critical patent/JP5300846B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
    • C12P7/02Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group
    • C12P7/04Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group acyclic
    • C12P7/06Ethanol, i.e. non-beverage
    • C12P7/08Ethanol, i.e. non-beverage produced as by-product or from waste or cellulosic material substrate
    • C12P7/10Ethanol, i.e. non-beverage produced as by-product or from waste or cellulosic material substrate substrate containing cellulosic material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C13SUGAR INDUSTRY
    • C13KSACCHARIDES OBTAINED FROM NATURAL SOURCES OR BY HYDROLYSIS OF NATURALLY OCCURRING DISACCHARIDES, OLIGOSACCHARIDES OR POLYSACCHARIDES
    • C13K1/00Glucose; Glucose-containing syrups
    • C13K1/02Glucose; Glucose-containing syrups obtained by saccharification of cellulosic materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P2201/00Pretreatment of cellulosic or lignocellulosic material for subsequent enzymatic treatment or hydrolysis
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/10Biofuels, e.g. bio-diesel

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Description

本発明は、リグノセルロースを含む物質又はセルロースを含む物質を機械的力により処理して、エチルアルコールへと転化可能な物質へと転化する(以下で糖化と言うことがある)方法に関する。
リグノセルロースはリグニンと結合したセルロースであり、リグニンが存在しているためにセルラーゼや微生物による分解が困難である。従って、濃硫酸や希硫酸による加水分解が一般に行われてきた。しかしこの方法では、酸腐食によりプラント寿命が通常の半分以下となる。加水分解の後に中和処理が必要であり、処理コストが嵩む。
最近になって亜臨界や臨界温度での加水分解が提案されているが、22.1 MPa以上の圧力および374 ℃以上の温度という過酷な条件のために、装置コストが多大なものとなり実用化が進んでいない。
特開2007−104983号公報は、リグノセルロースの酵素加水分解の前処理方法を開示し、そこではリグノセルロース原料を酸処理し、固液分離し、残渣を叩解機を用いて粉砕処理する。
特開平10−327900号公報は、セルロースから水溶性オリゴ糖類および単糖類の製造する方法を開示し、そこではセルロース粉末を200〜300℃の加圧熱水と接触させて加水分解して水溶性オリゴ糖を製造し、更にはこれを酵素加水分解する。
特開2007−104983号公報 特開平10−327900号公報
本発明は、酸などの化学薬品を使用せず、使用する水の量が少なく、リグノセルロースあるいはセルロースから機械的手段よって、エチルアルコールへと転化可能な物質を得る方法を提供する。
本発明は、リグノセルロースを含む物質又はセルロースを含む物質を酵母によってエチルアルコールに転化可能な物質に転化する方法において、該物質1重量部と水0.5〜5重量部とから成る混合物を、圧力の観点で閉じた容器中で150〜270℃の温度で高剪断力を与える条件下で攪拌して該物質を1〜20μmの最大寸法の平均値へと破砕することによって、該物質の分解を起こして、該物質中のセルロースの少なくとも15重量%をエチルアルコールへと転化可能な物質へと転化すること
該容器が、その中心軸方向に延びる回転軸、該回転軸に備えられた前進翼及び後退翼を有し、該前進翼により前進方向へと上記混合物を運ぶ送り量の計算値と、該後退翼により後退方向へと上記物質を運ぶ戻り量の計算値との比が1:0.6〜0.9であること、
攪拌により該物質に0.1〜20 MPaの剪断力が懸かること、および
該破砕を行う容器内の圧力が、該水の飽和蒸気圧より0.1〜3.5MPaだけ高く、ただし7.0MPa(ゲージ圧)以下であることを特徴とする方法である。
本発明によれば、リグノセルロースあるいはセルロースの1〜20 μmへの粉砕と同時にセルロースが、エチルアルコールへと転化可能な物質へと転化される。従って、エチルアルコールを簡便かつ安価に製造することができる。
本発明者は、リグノセルロースを含む物質を高温・高圧・高剪断力ニーダーにより粉砕することによって、リグノニンをセルロースから分離することを試み、するとこの粉砕工程においてセルロースの一部がドライ・イーストなどの酵母によってエチルアルコールに転化可能な物質へと転化することを見出した。
本発明者は更に、上記のようにリグノセルロースを含む物質を高温・高圧・高剪断力ニーダーにより粉砕することによって好ましくは100〜500μmへと小さくし、さらに該物質を特定の条件下でニーダーで処理すると、該物質を1〜20μmへと更に小さく出来、その際に被処理物の温度を測定する熱電対が、該被処理物の温度に比べて少なくとも50℃、特には少なくとも100℃、より特には200℃高いまたは低い温度に相当する異常電流を捕捉することを発見した。そして、その後に得られた処理物を分析すると、セルロースの相当割合が減成を起こして、セルロースの少なくとも15%が、酵母によりアルコールへと転化されうる糖へと転化していることを見出した。特定の理論により拘束されるものではないが、熱電対が拾った上記の異常電流は、セルロースが剪断力によって切断されてラジカルが生じ、このラジカルからの電子が異常電流として捕捉されたと推定される。1〜20μmへの破砕によってセルロースの化学結合の物理的切断が起き、それによって生じるラジカルによって効率的な加水分解反応が起きると考えられる。その結果、リグニンがセルロースから解離しやすくなり、解離したリグニンを濾過残渣から抽出分離すると、次のセルラーゼによる発酵工程においてリグニンによる発酵の阻害を防ぐことができる。しかも、本発明に従いリグノセルロースを含む物質を処理した後に得られる混合物を濾過して得られる、セルロースを含有する濾過残渣中のセルロースの20重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは50重量%以上が、10〜100個のグルコース単位が結合した長さを有する。この10〜100個のグルコース単位が結合した長さを有する物質は、麹菌によるアルコール発酵が可能であるので、高価なセルラーゼの代わりに安価な麹菌による発酵が出来る。
発生したラジカルは、次にさらなるセルロースの切断を引き起こし、この繰り返しにより本発明が達成したセルロースの少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも45重量%を、ドライ・イーストなどの酵母によってエチルアルコールに転化可能な物質へと転化しうる。さらに、麹菌により低分子化された濾過残渣のセルロースの糖化を含めたエチルアルコールに転化可能な物質へと転化の割合は、少なくとも20重量%まで、より好ましくは35重量%まで、更に好ましくは50重量%まで達成できる。
従来のリグノセルロースの酵素加水分解の前処理としてのボールミルによる機械的な粉砕と230℃以上の熱水抽出手段によるリグノセルロースの処理においても、セルロースから糖への転化が見られたが、その割合は高々15%程度であったことに鑑みれば、本発明の結果は驚くべきである。
なお、製紙スラッジ、オカラ、酒かす、焼酎かす、農産廃棄物等のセルロース含有物質については、加熱処理過程の1〜20μmへの破砕と破砕によって生じる化学結合の物理的切断によって生じるラジカルによる効率的な加水分解反応のみでよい。この方法を用いることによって、セルロース含有物からドライ・イーストなどの酵母によってエチルアルコールに転化可能な物質を安価に製造することができる。
攪拌の際に該混合物の温度を測定する熱電対が、図3に示すように該混合物の温度に比べて少なくとも100℃高いまたは低い温度に相当する異常電流を捕捉することから、剪断力によってセルロース結合の物理的切断によって生じたラジカルが放出した電子を拾ったと思われることから、ラジカル発生が起き、セルロースがより低分子化されたと結論付けた。(図5参照)
本発明を実施するのに適した装置の概略を図1に示す。図1は、円筒形の容器20をその軸方向の中心で破断して、攪拌装置の外観を示すものである。モーター9に連結された回転軸5に、原料投入口4からの原料を送り込むスクリュウ11、非処理物を軸方向に前進させる前進翼12、及び前方へ送られた被処理物の流れの方向を反転させて軸に近い領域で後方へ戻す後退翼13が連結されている。各前進翼12は、軸の円周方向に等間隔で取り付けられた4つの羽根から成り、羽根の向きは軸が回転されたときに被処理物を前進させるように角度を付けられている。前方の前進翼12'は、軸の円周方向に等間隔で取り付けられた4つの細長い取り付け板14により支持され、該4つの細長い取り付け板14の相互の間を被処理物が流れうる。後退翼13は、軸が回転されたときに被処理物を後方へと逆流させる。処理時に発生した水蒸気及び他の気体により容器内の圧力が所定の値を超える場合には、水蒸気及び他の気体の一部が排出管1から排出される。投入口近くの圧力は、ブルドン管圧力計によってモニターされる。投入口の温度は熱電対3によってモニターされる。容器の処理区域における温度及び圧力は、熱電対及び圧力伝送器6並びにサニタリー型オイルフリー圧力センサーASG702並びに熱電対7によってモニターされる。後述するように、容器内の圧力を高めるための高圧の不活性ガスを導入するために不活性ガス管8が備えられている。容器を加熱するためのジャッケトが更に備えられている(図示せず)。
本発明の一つの態様において、軸5を回転させながら原料と水の混合物を原料投入口から徐々に投入し、送り込みスクリュウ11により前進させ、所定量の原料を投入したなら、原料投入口を閉じる。生成物取出口10は閉じられている。
原料がリグノセルロースを含む物質、たとえばバガス、間伐材、稲藁、麦藁、竹、とうもろこしの芯あるいは軸である場合には、一般に該原料は当初、数mm乃至数百mmの大きさを有するであろう。これを、上記の装置内で予め100〜500μmの最大寸法の平均値を有するように細かくすることが好ましい。その際に、好ましくは被処理物の温度を0〜50℃、より好ましくは5〜30℃に設定し、圧力は大気圧である。この工程を、以下では予備粉砕工程と言うことがある。
次に、本発明に従う工程を行う。この段階において、原料と水との重量比は、原料1重量部と水0.5〜5重量部、好ましくは原料1重量部と水1〜3重量部に設定される。予備粉砕工程において既に所定の比率に設定しておくことが予備粉砕の効率的実施の点からも好ましい。
次に容器を加熱して、被処理物の温度を150〜270℃、好ましくは160〜260℃、より好ましくは170〜250℃とする。この本発明に従う工程において、原料を1〜20μmの最大寸法の平均値へと破砕すること、および該原料中のセルロースの少なくとも15%重量を、酵母によりアルコールへと転化されうる物質へと転化することを行うに十分な剪断力を原料にかけることが重要である。上記した装置を格別の工夫無しに運転しただけでは、このような高剪断力は生じない。前進翼により原料を進める能力と、後退翼により原料を後ろへ戻す能力とのバランスを故意に崩して、該前進翼により前進方向へと上記混合物を運ぶ送り量の計算値と、該後退翼により後退方向へと上記物質を運ぶ戻り量の計算値との比を1:0.6〜0.9、好ましくは1:0.65〜0.85、より好ましくは1:0.7〜0.8に設定する。これによって、原料の流れがかき乱されて、原料は激しく揉まれることになる。送り量と戻り量の比を上記と逆にしても同じことであるが、装置の設計上からは、上記のようにするのか容易である。この比を上記の範囲の外、例えば1:1にすると、本発明が意図するほどの高い転化率(セルロースの少なくとも15%重量をアルコールへと転化されうる物質へと転化すること)を実現できない。その理由は、おそらく前進流と戻り流が比較的整然と流れるので、高い剪断力が生じないのであろう。
本発明は、攪拌装置中で、塊状のリグノセルロースと0.5〜5倍量の水を加熱温度における飽和水蒸気圧力以上の圧力下で150〜270℃の温度に加熱し、且つリグノセルロースに0.1〜20MPaの剪断力を与えることにより、塊状で硬いリグノセルロースを原料として用いた場合ばかりでなく、リグノセルロースと比べ比較的柔らかな製紙スラッジ、オカラ、酒かす、焼酎かす、農産廃棄物等のセルロース含有物質を原料として用いた場合にも、本発明の剪断によるセルロースの物理的分解による減成が起こり、リグノセルロースの場合と同様に酵母によってエチルアルコールへと転化可能な物質へと転化される。
また、本発明は、上記(1)記載の方法により、リグノセルロースから解離され易くなったリグニンを濾過残渣である破砕があまり進んでいないセルロース(以下、未破砕セルロースと言うことがある)から抽出分離することによって、従来リグニンが阻害要因であったセルラーゼでの分解が容易にできるところの方法である。
リグノセルロースを含む物質の処理後の混合物(スラリー)を濾過して得られる濾過残渣のセルロースの20重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは50重量%以上が、好ましくは10〜 100個のグルコースが結合した程度の分子量を持っている。これを麹菌によるアルコール発酵に付すことにより、セルロースの分解残渣中に含まれるセルロースの少なくとも15重量%をエチルアルコールに転化できる。
本発明方法により生成する単糖類の量は、生成する糖類の1〜5%であり(高速液体クロマトグラフィにより確認した)、キシロースの生成量は最大1%である。キシロース単体はアルコール発酵が出来ないが、オリゴ糖や多糖の構成糖であれば発酵可能である。
本発明においてリグノセルロースを含む物質としては、バガス、間伐材、稲藁、麦藁、竹、トウモロコシの芯や軸が挙げられ、セルロースを含む物質としては、農産廃棄物、製紙スラッジ、オカラ、酒かす、焼酎かすが挙げられる。
本発明の好ましい態様において、塊状(縦横50〜200mm、厚さ5〜10mm)のリグノセルロースが、100〜500 μmへ予備粉砕され、次に150〜270℃の温度で1〜20 μmへの破砕が行われる。予備粉砕の段階においても原料のセルロースの2〜5重量%の糖化が起きるので、ボールミルなどの従来方法による粉砕(糖化が殆ど起きない)に比べて、本予備粉砕のほうが好ましい。上述した本発明を実施するのに適した装置の小型のプロトタイプとしての例は図1に示され、20リットル、5.5kWのモーターを持つ密閉型攪拌装置であり、予備粉砕は常温・常圧下でリグノセルロースを100〜500 μmに粉砕する。次に、本発明に従う破砕を5分間〜3時間、好ましくは30分間〜2時間、例えば60分間行うと、1〜20 μmにまで粉砕される。この際に蒸気発生により圧力が上昇し、好ましくは更に不活性気体により圧力を上げるので、剪断力が増加し、リグノセルロースが1〜20 μmまでに粉砕される。
また、該攪拌装置はバッチ式、又は圧力の点では閉じている連続式のいずれであってもよい。連続式の攪拌装置は、塊状のリグノセルロースの装入及び生成スラリーの抜き出し、並びに炭酸ガスや水素などの発生ガスの抜き出しを本発明の所定の条件を維持しつつ連続的に実施し得るものであればよい。
リグノセルロースを含む物質又はセルロースを含む物質の1重量部あたり水0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは1.5重量部以上、かつ5重量部以下、好ましくは4.5重量部以下、より好ましくは4重量部以下を加える。水の添加量は、生成スラリーの抜き出し易さと処理後の混合物中のエチルアルコールへと転化可能な物質の濃度が40%を超えないようにする観点から決められる。
加熱温度は、上限が270℃、好ましくは260℃、より好ましくは250℃であり、下限が150℃、好ましくは175℃、より好ましくは200℃である。温度が上記上限を超えてはセルロースが熱分解し、かつ装置コストが著しく高くなり、上記下限未満ではアルコール発酵が可能な物質への分解の効果が得られない。加熱時間は、上限が好ましくは3時間、より好ましくは2時間、更に好ましくは1時間、特に好ましくは30分間であり、下限が好ましくは5分間、より好ましくは10分間、更に好ましくは20分間である。該加熱により、リグノセルロースやセルロースの1〜20μmへの粉砕で生じる物理的化学結合切断で発生したラジカルによる加水分解による、アルコール発酵が可能な物質への分解が促進される。
破砕中の圧力の下限は、加熱温度における飽和水蒸気圧力より上の圧力、好ましくは加熱温度における飽和水蒸気圧力+0.1MPa以上の圧力、より好ましくは加熱温度における飽和水蒸気圧力+1.0MPa以上の圧力である。該圧力を保持することにより、加えた水を液体状態に保つことができ、沸騰状態を回避でき剪断力を維持できる。また、該圧力の上限は、好ましくは加熱温度における飽和水蒸気圧力+3.0MPa、より好ましくは加熱温度における飽和水蒸気圧力+2.0MPa、更に好ましくは加熱温度における飽和水蒸気圧力+1.5MPaである。但し、最大圧力は分解によって発生する二酸化炭素等のガスを閉じ込めておくためには、加熱温度の最大値270℃における飽和水蒸気圧+1.5MPa(=約7.0MPa)が好ましい。上記上限を超えても効果に大きな相違がなく、装置コストが高くなるばかりで好ましくない。また、圧力が大きいほど剪断力が増すので、加熱によりリグノセルロースまたはセルロースから発生する二酸化炭素を主成分とする分解ガス、加えた水の気化による水蒸気により、さらには好ましくは不活性ガス、例えば、窒素、アルゴン等を使用して、試料に掛かる圧力を上記範囲内で調節することが好ましい。
本発明において剪断力は、上記のように加圧によってさらに高められる。本発明に従う破砕時(及び予備粉砕時)の剪断力の上限は、20MPa、好ましくは10MPa、より好ましくは5MPa、更に好ましくは3MPaであり、下限は0.1MPa、好ましくは0.3MPa、より好ましくは0.5MPaである。上記上限を超えては、モーター動力負荷が大きくなり処理コストが嵩む、上記下限未満では、予備粉砕が不十分であると共に、本発明に従う粉砕時におけるセルロースの分解が十分に起きない。該剪断力は攪拌装置内に備えられた攪拌羽根により与えられる。
PCT/JP2004/013551号に記載した粘度(20℃)が既知の標準物質、例えば、日本グリース株式会社製の粘度校正用標準液(JIS Z8809)JS100粘度86mPa・s、JS14000粘度12Pa・s及びJS160000粘度140Pa・sを夫々、図1に示す攪拌装置、に入れて、温度20℃において、備えられた攪拌羽根を20回転/分で回転して回転軸にかかるトルクを測定する。粘度(20℃)が140Pa・sを超える値については、アスファルトに灯油を混合して調製した混合液(例えば、東機産業株式会社製のBS型粘度計を用いて測定した粘度(20℃)が6400Pa・sである混合液)を使用して上記と同じくトルクを測定する。ここで、上記測定液は、攪拌装置内の攪拌羽根全体が該液中に完全につかるまで入れられる。また、攪拌装置に測定液を入れない空の状態におけるトルクを測定する(このときの剪断力をゼロとする)。このようにして、粘度既知の各測定液のトルクを読み取り、下記式
(数1)
剪断力(Pa)=[粘度(Pa・s)×剪断速度(s-1)]/トルクの読み取り値
から剪断力を求めて、例えば図2に示すトルクと剪断力との関係を得る。上記の式中、剪断速度は下記式で表される。下記式においてsin3.0°は、図1に示す装置固有の値である。該値は攪拌羽根の形状により求められ、攪拌羽根の形状により相違する。
(数2)
剪断速度(s-1)≒2×3.14×(1秒当りの回転数)÷sin3.0°
このように、上記の関係から、回転軸にかかるトルクを測定することにより剪断力を求めることができる。攪拌羽根を備えた攪拌装置の軸トルクは装置特有のものであるため、装置が変わればトルクも変化する。従って、使用する装置毎に、上記の様に図2のようなトルクと剪断力との関係を得ればよい。このようにして、いかなる装置においても、回転軸にかかるトルクを測定することにより、剪断力を求めることができる。
図1に示す装置において、投入口方向からの流れと出口方向からの流れがぶつかり合い攪拌装置外壁に向かって流れを作り、この流れの強さが7の位置で圧力として検出できる。この検出された圧力値と軸トルクの測定値を用いて図2から求めた剪断力が、株式会社山武のサニタリー型オイルフリー圧力センサーASG702を用いて測定した値と同じであることが分かった。
図1に示す装置において、送り量1.0に対して戻り量を0.6〜1.0とするいくつかの攪拌羽根を用いて、リグノセルロースを予備粉砕で100〜500 μmに粉砕し、次に常温・常圧下でさらに1時間処理しても粒度に変化は見られなかった。そこで常温下で窒素ガスで1.5 MPaまで加圧し、さらに60分間の剪断処理をしたところ1〜20 μmにまで粉砕されることを見出した。このように加圧によって剪断力が増加することが観測された。
この現象を図4に示した。木材チップ4kgに対して水12kgを徐々に投入すると、10分を過ぎた頃からモーター電流値が最大値の27アンペア近くまで上昇し1.0MPaの剪断力が掛かり、木材チップが100〜500 μmに粉砕されるにしたがってモーターの電流値が下がってくる。投入から1時間後に、図1の4投入口のバルブを閉じ、投入開始から1時間50分経ったときからライン8から窒素ガスを攪拌装置内に導入して10分間かけて1.5MPaまで加圧した。加圧終了直後からモーターの電流値が上がり始め剪断力が再び掛かり始め、7.4アンペアだったモーターの電流値が21.5アンペアまで上昇した。この時、株式会社山武のサニタリー型オイルフリー圧力センサーASG702が示す剪断力は、窒素ガスでの加圧による圧力より0.035MPa大きい1.535MPaを示した。図2のモーターの軸トルクと剪断力の関係から、0.035MPaの剪断力が掛かっていることが分かる。このことから株式会社山武のサニタリー型オイルフリー圧力センサーASG702が剪断力の測定に使用可能であるとの結論を得た。
上記の本発明の方法によれば、破砕処理後の攪拌装置中に、リグノセルロースに含まれていた水と0.5〜5倍量加えられた水と未破砕セルロース、リグニン及び、少量の単糖類を含む2糖類以上の多糖類を含む混合物(水スラリー)が得られる。該混合物スラリーは濾過され、糖類を含む溶液部分とリグニンと未破砕セルロースからなる濾過残渣に別けられる。この濾過残渣をn−ヘキサン、アセトンなどの有機溶媒に浸漬することによって、本発明に従う高温・高圧・高剪断処理によって剥がれたあるいは剥がれ易くなったリグニンを容易に分離することが出来る。リグニンを分離した後の濾過残渣は未破砕セルロースであり、セルラーゼで容易に糖化される。リグニンを分離しないセルロースを含んだ残渣も、剪断力によって濾過残渣の20%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは50重量%以上が、グルコースが10〜100個程度結合したのと同等の分子量を持った物質になっているので、麹菌によって少なくとも20重量%をエチルアルコールを製造できる物質に転化できる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1において使用したリグノセルロース類は、下記の表1の性状を有する。
(表1)
木材チップ
大きさ 縦横40〜50mm、厚さ5〜10mm
水分 13.5重量%
稲藁
大きさ 長さ50〜100mmに切断したもの
水分 3.1重量%
バガス
大きさ 縦横10〜50mm、厚さ2〜4mm
水分 55.6重量%
上記の表1における水分は株式会社ケット科学研究所製の赤外線水分計FD−720を用いて測定した。
下記において剪断力の測定には、株式会社山武のサニタリー型オイルフリー圧力センサーASG702を使用した。
攪拌装置として、図1に示されている攪拌装置を使用した。攪拌羽根を交換することによって、試料投入口4のスクリュウフィダ―の送り量の計算値と反対側からの戻り量の計算値を送り1.0に対して戻り0.6〜1.0の間で変更できる。内容量は、20リットルであり、5.5kWのモーターを備えられていた。先ず撹拌羽根を20rpmで回転させながら、所定量の試料と水を常温常圧下で試料投入口4に入れた。投入完了時には圧力センサーASG702(図1の7)の指示は1.0MPa(ゲージ圧:以下同じ)を示した。次いで、羽根の回転を20rpmに維持しつつ窒素で1.8MPaまで加圧後、加熱を開始し、処理温度を195℃に調節した。該温度に達した後、投入口4側にある圧力計2はこの温度における飽和蒸気圧3.0MPaを示していたが、攪拌装置中間位置の圧力センサー7の指示は3.12MPaであり、モーター電流値は、23アンペア(最大負荷の83.6%)であった。しかし時間経過に従って20μm以下への粉砕が進行し、スラリー状の被処理物の粘度低下に伴って圧力センサー7(剪断力を測定する)の指示が投入口4の圧力計2と同じ指示を示した。容器内の温度及びモーター回転数を20rpmに保持しつつ1時間処理した。その後、環境温度まで冷却して生成スラリーを取り出した。RUN−1からRUN−9の実験結果を表2に示した。
比較データーとしてRUN−0に195℃への昇温過程と195℃における反応過程において剪断力を全く発生しない撹拌羽根を用いた実験を行い、1〜20μmへの2次粉砕が必須であることを証明した。
2次粉砕がある場合のBrix.値は、表2のRUN−1に示すように5.5 wt.%、糖化度27.1 wt.%となっているが、2次粉砕がない場合には、RUN−0に示すように予備粉砕後のBrix.値が2.1%が3.3%、糖化度14.0 wt.%へと僅かに増加しただけであった。
RUN−0からRUN−9までの予備粉砕時の剪断力は、5.5KWモータートルクの最大値が250kg・m剪断力1.0を示す条件で行った。
本発明を見出す前の実験では、試料投入口からの送り量の計算値と取出し口からの戻り量の計算値が1対1である攪拌羽根を使用した。ここでは本発明に従い、送り量の計算値1に対して戻り量の計算値0.8撹拌羽根を作成して使用した。図5に示す木材チップを用いた二つの場合の比較において、195℃で略2wt.%、240℃で略9wt.%の糖化度の増加が得られた。
(表2)
Figure 0005300846
試料の性質、処理条件、処理後に得られた生成スラリーの性状等を表2に示す。表2中の糖化度(=(圧搾絞り器からの濾過液の総重量×糖度(%))/投入試料中のセルロース重量)は、生成スラリーを濾過して得た濾液について、株式会社アタゴ製ポケット糖度計PAL−1を用いて常温にて測定した値(糖度)から算出した。ここで、試料中のセルロース量は、生成スラリーの残渣からn−ヘキサンを用いて抽出したリグニン重量と原料の含水率から求めた。またガス発生重量は、加圧用窒素ガスや分解ガスを含むスラリーの入った反応装置を常温にまで冷却後、ガス容量とガスクロマトグラムによる組成分析から求めたものである。
糖度計の示す値から計算で求めた数値が得られた糖の重量に相当するか否かと、アルコール発酵に使用可能な糖が生成しているか否かを確認するために、木材チップのRUN−1の220℃生成スラリーと稲藁のRUN−4の 220℃生成スラリーの各50ml(これらの試料の糖度は何れも5.5%)、および参照用として砂糖の6%溶液50mlを夫々三角フラスコに入れ、オリエンタル酵母工業株式会社製のドライイースト1gを各フラスコに入れ、スラリーの粘度低下の目的で水を加えて全容積を100mlとした。これに1l用のテドラー(R)バッグ付きのゴム栓をして発生炭酸ガス量の測定が出来るようし、アズワン株式会社製小型振とう式恒温器PIC−100を用いて40℃で72時間の発酵処理を行った。発生炭酸ガス量の測定では、生成糖の略半分(48.5〜49.1%)に相当する炭酸ガスの発生が確認された。そこで、この発酵生成液を濾過し、濾液を株式会社タカラ・サーミスタ製の沸点式濃度計:BMS−L850−12を用いて測定したところ、木材チップのRUN−1の220℃生成スラリーのアルコール度数は、1.68、稲藁のRUN−4の 220℃生成スラリー50mlのアルコール度数は1.64、砂糖のアルコール度数は、1.84(アルコール転化率49.1重量%)であった。この結果から、株式会社アタゴ製ポケット糖度計PAL−1の測定値は有意であると判明した。
240〜260℃での剪断処理による糖化液から投入原料の含有水分を差し引いた重量の9〜13.9%のアルコールを得ることが出来た。
240℃、260℃の木材チップ、稲藁、バガスの生成スラリーは、アルコール発酵の阻害物質であるアセトアルデヒド、ヒドロメチルフルフラール、バニリンなどを含有していることが判明した。従って、糖化処理品をローターリーエバポレーターを用いて減圧下で処理してから発酵に付したところ、これら物質はロータリーエバポレーターによって容易に除去できる物質であることが確認された。この事から、240〜270℃での高剪断処理においては、生成スラリー物質の温度が110〜150℃での脱圧、取出しを行うことによってこれらの阻害物質を容易に除去できることが判った。
上記温度範囲での取出しによって取り切れない僅かに残る阻害物質は、生成スラリーに対して1〜3重量%の量の木炭を加えることによって除去で来ることを確認した。
また、リグニンは熱と剪断力によってセルロースから解離するので、リグニンとセルロースを含んだ濾過残渣からn−ヘキサンを用いてリグニンを抽出分離し、セルロース単体とすることが出来ることを確認した。
乾燥米麹に澱粉若しくは糖が残っていてそれが発酵してアルコールになったかどうかを調べるために、水200g、乾燥米麹10g、乾燥酵母1g、腐敗菌の進入防止のためのヨーグルト2gを瓶に入れ室温(約25〜30℃)で1日当り3回撹拌させながら10日間放置すると乾燥米麹の持っていたと思われる80.2%の澱粉若しくは糖(重量で8.02g)がアルコールになったことを確認した。そこで、RUN−8で得た生成スラリーを濾過し、残渣を乾燥した物100g、水200g、乾燥米麹(株式会社伊勢惣製の低音乾燥品名:みやここうじ)10g、乾燥酵母1g、腐敗菌の進入防止のためのヨーグルト2gを瓶に入れ室温(約25〜30℃)で放置すると(ただし1日当り3回撹拌した)、2日目からモロミ臭がし始め、4日目からアルコール臭がし始めて粘稠だった試料が柔らかくなり始め、透明な液が表面に出てきた。発酵を始めて10日目に圧搾濾過して、濾液アルコール度数を測定した(株式会社タカラ・サーミスタ製の沸点式濃度計:BMS−L850−12を使用)ところ、13.4であった。原料残渣の約42gと乾燥米麹の持っていた澱粉若しくは糖の約8gがアルコール発酵(アルコールとして24.5g)に使用されたことが判った。

実施例2
セルロースを略100%含むトイレットペーパー5kgを原料として用い,これを10kgの水に浸して実験装置に入れた。実験に使用した装置は、実施例1と同じ撹拌羽根の送り量の計算値1.0に対し戻り量の計算値が0.8のものを用いた。実験条件は、220℃、1時間である。実験結果を表3に示す。糖化率は30.4%であった。原料トイレットペーパーからのアルコール収率は、糖化率30.4%あるので略15%となる。このように、リグニンを含まないセルロースの高剪断力ニーダーを用いた糖化はリグノセルロースの場合と比べ容易である。
(表3)
Figure 0005300846
産業上の利用可能性
本発明により、糖化しようとするバガス、間伐材、稲藁、麦藁、竹やトウモロコシの芯や軸などの塊状(縦横50〜200mm、厚さ5〜10mm)のリグノセルロース試料と重量比でその0.5〜5倍の水分を加えた混合物を高剪断力を用いて粉砕し、150〜270℃の加熱処理過程での温度上昇に伴う圧力上昇や不活性ガス、例えば、窒素、アルゴン等による更なる加圧によって剪断力がさらに上昇し20μm以下への破砕が起こる。この時の破砕によって生じる化学結合の物理的切断によって生じるラジカルによって、効率的な分解反応が起きること見出した。さらにより低い剪断力下で製紙スラッジ、オカラ、酒かす、焼酎かす、農産廃棄物等も20μm以下への破砕で生じるこのラジカルによって、リグニンのセルロースからの解離とセルロースのラジカル分解と平行して起きる分解によって糖類を効率的に得、さらに濾過残渣から未糖化のセルロースから解離され易くなったリグニンをn−ヘキサンで抽出分離し、セルロースを得るところの方法を提供するものである。また、生成する単糖類の量は、生成する糖類の1〜5%で、キシロースの生成量は最大1%である。キシロース単体ではアルコール発酵が行えないが、オリゴ糖や多糖の構成糖であれば発酵が行えるところの方法である。
さらにリグニンを分離しないセルロースを含んだ残渣も、剪断力によって濾過残渣の約半分がグルコースが百個程度結合したアラビノースと同等の分子量を持った物質にまで低分子かされているために、麹菌によってアルコール発酵に付すことにより、少なくともセルロースの分解残渣の15重量%をエチルアルコールを製造できるところの方法である。
また、リグノセルロースを含む物質の糖化後の混合物は、加熱温度が200℃以上で攪拌の際に該混合物の温度を測定する熱電対が、該混合物の温度に比べて少なくとも300℃高いまたは低い温度に相当する異常電流を捕捉する場合において、酵母によるアルコール発酵の阻害物質であるアセトアルデヒド、ヒドロメチルフルフラール、バニリンなどが少量生成するが、生成物温度が100〜105℃での脱圧で殆んどが二酸化炭素などの発生ガスと共に除去できるが若干残る阻害物質は、木炭の粉を生成物スラリーの1〜3%を加えることによって除去し発酵用原料とすることが出来るところの方法である。
この方法を用いることによって、リグノセルロースやセルロースからアルコール発酵用糖類を安価に製造することができる。
本発明において使用できる密閉型攪拌装置の概略図 図1に示した装置におけるトルクと剪断力との関係を示したグラフ 熱電対の出力電流の時間経過を示すグラフ モーターの電流値の時間経過を示すグラフ ニーダーの送り量の計算値と戻り量の計算値との比をパラメーターとし、糖化度と処理温度の関係を示すグラフ
符号の説明
1.蒸気/生成ガス排出口
2.ブルドン管圧力計
3.熱電対
4.試料投入口
5.剪断力を与えることが出来る撹拌羽根
6.熱電対と圧力伝送器
7.サニタリー型オイルフリー圧力センサーASG702と熱電対
8.不活性ガスによる加圧ライン
9.モーター
10.試料排出口
11,送り翼
12.前進翼
13.後退翼
14.取り付け板
20.円筒形の容器

Claims (16)

  1. リグノセルロースを含む物質又はセルロースを含む物質を酵母によってエチルアルコールに転化可能な物質に転化する方法において、該物質1重量部と水0.5〜5重量部とから成る混合物を、圧力の観点で閉じた容器中で150〜270℃の温度で高剪断力を与える条件下で攪拌して該物質を1〜20μmの最大寸法の平均値へと破砕することによって、該物質の分解を起こして、該物質中のセルロースの少なくとも15重量%をエチルアルコールへと転化可能な物質へと転化すること
    該容器が、その中心軸方向に延びる回転軸、該回転軸に備えられた前進翼及び後退翼を有し、該前進翼により前進方向へと上記混合物を運ぶ送り量の計算値と、該後退翼により後退方向へと上記物質を運ぶ戻り量の計算値との比が1:0.6〜0.9であること、
    攪拌により該物質に0.1〜20 MPaの剪断力が懸かること、および
    該破砕を行う容器内の圧力が、該水の飽和蒸気圧より0.1〜3.5MPaだけ高く、ただし7.0MPa(ゲージ圧)以下であること
    を特徴とする方法。
  2. 上記の比が1:0.65〜0.85である請求項記載の方法。
  3. 上記の比が1:0.7〜0.8である請求項記載の方法。
  4. 剪断力が0.3〜10 MPaである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 攪拌の際に該混合物の温度を測定する熱電対が、該混合物の温度に比べて少なくとも50℃高いまたは低い温度に相当する異常電流を捕捉する請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 攪拌の際に該混合物の温度を測定する熱電対が、該混合物の温度に比べて少なくとも100℃高いまたは低い温度に相当する異常電流を捕捉する請求項に記載の方法。
  7. 原料である該物質が100〜500μmの最大寸法の平均値を有する請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 該容器内の圧力を、加圧された不活性気体を用いて当該温度における水の飽和蒸気圧よりも高くする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  9. 破砕工程が5分間〜3時間行われる、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  10. 該リグノセルロースを含む物質が、バガス、間伐材、稲藁、麦藁、竹、とうもろこしの芯および軸から成る群から選択され、セルロースを含む物質が、農産廃棄物、製紙スラッジ、オカラ、酒かす、焼酎かすから成る群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. リグノセルロースを含む物質の該処理後の混合物を濾過すると、セルロースを含有する濾過残渣中のセルロースの20重量%以上が、10〜100個のグルコース単位が結合した程度の分子量を有する請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項記載の方法により得られた混合物を酵母によるアルコール発酵に付すことによりエチルアルコールを製造する方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項記載の方法により得られた混合物を濾過し、濾液を酵母によるアルコール発酵に付すことによりエチルアルコールを製造する方法。
  14. 濾過残渣を麹菌による糖化処理に付し、生成した糖を酵母によるアルコール発酵に付す請求項13記載のエチルアルコールを製造する方法。
  15. 請求項1〜11のいずれか1項記載の方法により得られた混合物を、温度110〜150℃で常圧でのストリッピング処理に付して、酵母によるアルコール発酵に対する阻害物質の少なくとも一部を除去し、しかる後にアルコール発酵に付す請求項1214のいずれか1項に記載の方法。
  16. ストリッピング処理後の発酵用混合物に、該混合物に対して1〜3重量%の量の木炭の粉を加え、しかる後にアルコール発酵に付す請求項15記載の方法。
JP2010522557A 2008-07-30 2008-07-30 リグノセルロースまたはセルロースを含有する物質の処理方法 Expired - Fee Related JP5300846B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2008/063678 WO2010013324A1 (ja) 2008-07-30 2008-07-30 リグノセルロースまたはセルロースを含有する物質の処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2010013324A1 JPWO2010013324A1 (ja) 2012-01-05
JP5300846B2 true JP5300846B2 (ja) 2013-09-25

Family

ID=41610048

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010522557A Expired - Fee Related JP5300846B2 (ja) 2008-07-30 2008-07-30 リグノセルロースまたはセルロースを含有する物質の処理方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20110129890A1 (ja)
JP (1) JP5300846B2 (ja)
CN (1) CN102112619B (ja)
CA (1) CA2732361A1 (ja)
WO (1) WO2010013324A1 (ja)

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2739451A1 (en) * 2008-10-17 2010-04-22 Mascoma Corporation Production of pure lignin from lignocellulosic biomass
JP2012170442A (ja) * 2011-02-24 2012-09-10 Tsukishima Kikai Co Ltd 糖化方法、エタノール製造方法、及びセルロース前処理方法
JP2012231683A (ja) * 2011-04-28 2012-11-29 Equos Research Co Ltd セルロースの糖化方法
BR112014006621B1 (pt) * 2011-09-20 2021-08-10 Iogen Energy Corporation Métodos para produzir uma matéria-prima lignocelulósica hidrolisada ou pré-tratada
JP5938879B2 (ja) * 2011-11-30 2016-06-22 株式会社エクォス・リサーチ セルロースからの水可溶性成分の抽出方法及びセルロース可溶化の前処理方法
RU2609246C2 (ru) * 2011-12-16 2017-01-31 Марк ТЁЛЛЕ Способ приготовления измельченной зерновой барды
JP2014124619A (ja) * 2012-12-27 2014-07-07 Equos Research Co Ltd 加熱粉砕装置
JP2014124620A (ja) * 2012-12-27 2014-07-07 Equos Research Co Ltd 加熱粉砕装置
JP6307789B2 (ja) 2013-01-07 2018-04-11 東レ株式会社 糖液の製造装置及び糖液の製造方法
US20160348193A1 (en) * 2013-12-25 2016-12-01 Kato Biomass Technology Co., Ltd. Lignocellulose biomass treatment device, treatment method, treated product, and saccharification method
JP5600203B1 (ja) * 2013-12-26 2014-10-01 川崎重工業株式会社 バイオマスを原料とする糖化液製造方法及び糖化液製造装置
EP3088529B1 (en) * 2013-12-26 2019-07-24 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Saccharified solution production method using biomass as raw material, saccharified solution production device
JP5753959B1 (ja) * 2015-01-08 2015-07-22 株式会社日立製作所 植物性バイオ燃料改質方法、システムおよび生産方法
JP6492724B2 (ja) * 2015-02-10 2019-04-03 王子ホールディングス株式会社 リグノセルロース含有バイオマスの破砕方法
JP2015142595A (ja) * 2015-05-12 2015-08-06 株式会社エクォス・リサーチ セルロースの可溶化方法
JP7411178B2 (ja) * 2019-02-22 2024-01-11 良平 森 セルロースを含む木質材料からアルコールを製造する方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006087350A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 Tsukishima Kikai Co Ltd エタノール製造方法
JP2006223152A (ja) * 2005-02-16 2006-08-31 Hitachi Zosen Corp セルロース溶剤による溶解と加水分解の組合せによるバイオマス処理方法
JP2006246711A (ja) * 2005-03-08 2006-09-21 Tsukishima Kikai Co Ltd リグノセルロースの前処理方法
JP2006281024A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Tsukishima Kikai Co Ltd 吸着剤、その製造方法、並びにアルコール又は有機酸の製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5704555A (en) * 1993-08-02 1998-01-06 Illinois Institute Of Technology Single-screw extruder for solid state shear extrusion pulverization and method
US5972118A (en) * 1995-10-27 1999-10-26 Tennessee Valley Authority Concentrated sulfuric acid hydrolysis of lignocellulosics
JP2002239360A (ja) * 2001-02-21 2002-08-27 Fuji Carbon Kk 被処理材撹拌処理装置
JP4396944B2 (ja) * 2003-07-18 2010-01-13 優久雄 片山 含水石炭の脱水方法
JP4416175B2 (ja) * 2004-09-16 2010-02-17 優久雄 片山 含水可燃性固体の脱水方法
ES2369605T3 (es) * 2004-11-29 2011-12-02 Inbicon A/S Hidrólisis enzimática de biomasas que tienen un alto contenido de materia seca (ms).
JP2008104404A (ja) * 2006-10-25 2008-05-08 Juon:Kk 糖化液製造方法及びエタノールの製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006087350A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 Tsukishima Kikai Co Ltd エタノール製造方法
JP2006223152A (ja) * 2005-02-16 2006-08-31 Hitachi Zosen Corp セルロース溶剤による溶解と加水分解の組合せによるバイオマス処理方法
JP2006246711A (ja) * 2005-03-08 2006-09-21 Tsukishima Kikai Co Ltd リグノセルロースの前処理方法
JP2006281024A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Tsukishima Kikai Co Ltd 吸着剤、その製造方法、並びにアルコール又は有機酸の製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013012190; 「高効率でエタノール転換」, 日刊工業新聞, 2007.09.11, p.15 *

Also Published As

Publication number Publication date
CN102112619A (zh) 2011-06-29
WO2010013324A1 (ja) 2010-02-04
JPWO2010013324A1 (ja) 2012-01-05
US20110129890A1 (en) 2011-06-02
CN102112619B (zh) 2014-08-20
CA2732361A1 (en) 2010-02-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5300846B2 (ja) リグノセルロースまたはセルロースを含有する物質の処理方法
JP5126728B2 (ja) リグノセルロース系バイオマス処理方法
JP4990271B2 (ja) セルロース系バイオマスの糖化分解方法及び糖化分解装置
AU2005282168B2 (en) Process for producing a pretreated feedstock
KR101037125B1 (ko) 바이오에탄올 생산을 위한 바이오매스 전처리법
JP6779505B2 (ja) セロオリゴ糖の製造方法
EP3088529B1 (en) Saccharified solution production method using biomass as raw material, saccharified solution production device
EP2225387B1 (en) Process for producing saccharide
JP4619917B2 (ja) リグノセルロースの前処理方法
AU2009287318A1 (en) Method for low water hydrolysis or pretreatment of polysaccharides in a lignocellulosic feedstock
JPH08503126A (ja) バイオマスの前処理方法
JP5442284B2 (ja) 草本系バイオマスの酵素加水分解処理の前処理方法及び草本系バイオマスを原料とするエタノール製造方法
JP4568878B2 (ja) バイオマス分解方法及び分解装置
US7879379B1 (en) Method of pretreating citrus waste
JP5590613B2 (ja) 植物またはキノコからの有効成分の高効率抽出法
JP2015122994A (ja) バイオマスを原料とする糖化液製造方法及び糖化液製造装置
JP2013085523A (ja) キシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法
CN115109102A (zh) 含纤维寡糖的组合物的制造方法和含纤维寡糖的组合物
JP6141806B2 (ja) セルロース系バイオマスのスラリー用連続式反応器
WO2015053027A1 (ja) セルロース含有バイオマスの処理方法
JP6375645B2 (ja) リグノセルロースからのエタノール製造方法
JP2015123080A5 (ja)
JP2015159755A (ja) リグノセルロース含有バイオマスからのエタノール製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130327

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130522

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130613

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130618

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees