JP2015123080A5 - - Google Patents

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セルロース系バイオマスのスラリー用連続式反応器
本発明は、糖類をアルコール発酵又は乳酸発酵のような発酵手段によってエタノール(バイオエタノール)又はポリ乳酸のようなバイオケミカルを製造するために利用される、セルロース系バイオマスを超臨界状態又は亜臨界状態で加水分解して糖化液を製造する方法及び装置に適した、連続式反応器に関する。
バイオマスエネルギー利用の一環として、植物の主成分であるセルロース又はヘミセルロースを分解して糖化液を製造し、糖をアルコール発酵させることによってエタノールを得ようとする試みがある。そこでは、得られたエタノールは、燃料用として主として自動車燃料に一部混入させたり、ガソリンの代替燃料として利用したりすることが計画されている。
さらに近年では、セルロース又はヘミセルロースを分解して得られた糖化液を乳酸発酵に供してL-乳酸を製造し、これを重合させてバイオベースポリマーの一種であるポリ乳酸を製造することも工業的に行われるようになっている。ポリ乳酸は、生分解性プラスチックとして注目されている。
植物の主な成分には、セルロース(炭素6個から構成されるC6単糖であるグルコースの重合物)、ヘミセルロース(炭素5個から構成されるC5単糖とC6単糖の重合物)、リグニン、デンプンが含まれるが、エタノールはC5単糖、C6単糖、それらの複合体であるオリゴ糖のような糖類を原料として、酵母菌のような微生物の発酵作用によって生成される。
セルロース又はヘミセルロースのようなセルロース系バイオマスを糖類に分解するには、1)硫酸など強酸の酸化力により加水分解する方法、2)酵素により分解する方法、3)超臨界水又は亜臨界水の酸化力を利用する方法、の3種類が工業的に利用されようとしている。しかし、1)の酸分解法は、添加した酸が酵母菌又は乳酸菌のような発酵用細菌に対して阻害物質となることから、セルロース又はヘミセルロースを糖類に分解した後、糖類を発酵させる前に添加した酸の中和処理が必須であり、その処理費用の点で経済的に実用化困難な面がある。2)の酵素分解法は、常温常圧処理が可能ではあるが、有効な酵素が見出されておらず、発見されたとしても酵素の生産コストが高くなることが予想されており、経済性の面で未だ工業規模では実現の目処が立っていない。
3)の超臨界水又は亜臨界水によってセルロース系バイオマスを加水分解して糖類とする方法として、セルロース粉末を240〜340℃の加圧熱水と接触させて加水分解することを特徴とする非水溶性多糖類の製造方法が、特許文献1に開示されている。特許文献2は、細片されたバイオマスを140〜230℃で飽和水蒸気圧以上に加圧した熱水で所定時間加水分解してヘミセルロースを分解抽出し、その後セルロースの分解温度以上に加熱した加圧熱水で加水分解してセルロースを分解抽出する方法を開示している。特許文献3は、平均重合度100以上のセルロースを、温度250℃以上450℃以下、圧力15MPa以上450MPa以下の超臨界水又は亜臨界水と0.01秒以上5秒以下接触反応させ、その後冷却して温度250℃以上350℃以下、圧力15MPa以上450MPa以下の亜臨界水と1秒以上10分以下接触させて加水分解することを特徴とするグルコース及び/又は水溶性セロオリゴ糖の製造方法を開示している。
特許文献4は、木質バイオマスから、高収率、高効率で糖類を得ることに加え、C5糖類とC6糖類を含む糖類と、C6糖類を含む糖類を分離して回収することができる糖類の製造方法を開示している。特許文献4の糖類の製造方法は、木質バイオマスに、高温高圧水を加えたスラリーを加熱処理する第1スラリー加熱工程(S1)と、加熱処理されたスラリーを、液体成分と、固体成分とに分離する第1分離工程(S2)と、分離された固体成分に、水を加えてスラリーとし、当該スラリーを加熱処理する第2スラリー加熱工程(S3)と、加熱処理されたスラリーを、液体成分と、固体成分とに分離する第2分離工程(S4)と、分離された液体成分から水を除去して糖類を取得する有用成分取得工程(S5)と、を含み、有用成分取得工程(S5)において、糖類を取得することに加え、さらに、第1分離工程(S2)で分離された液体成分から水を除去して、糖類を取得することを特徴とする。
特許文献5は、セルロース及び/又はヘミセルロース由来の、セロビオース、セロオリゴ糖類、キシロース、アラビノース、グルコースからなる群より選択されるいずれかを基質として含む環境(medium)で、L-乳酸を生産可能な乳酸菌(但し、エンテロコッカス・ムンヅティ(Enterococcus mundtii) NITE BP-965を除く)を培養し、L-乳酸を得る工程を含む、L-乳酸の生産方法を開示している。
特許文献6は、処理装置の処理経路を経て排出される含液固形物を、管を介して固液分離装置に対して送り、固液分離を行う処理設備であって、前記固液分離により生成する液分の一部を前記処理装置の処理経路内に供給するように構成したことを特徴とする含液固形物の処理設備を開示している。バイオマスを高温高圧下で加水分解して連続して糖化液を得る場合、スクリューフィーダーのような搬送手段を内部に備える連続式反応器が使用されることが一般的であり、特許文献6では、そのような連続式反応器が使用されている。
特許文献7は、特許文献6の処理設備と同様のバイオマス処理装置を開示している。特許文献7のバイオマス処理装置は、水又は糖化液を反応器内にスプレーすることにより、原料の炭化、及び炭化物による閉塞を軽減するとされている。
特許文献8は、糖化液の過分解を防止するため、圧力容器から取り出された高温高圧スラリーをフラッシュ蒸発させるセルロース系バイオマスの糖化分解方法及び糖化分解装置を開示している。
特開2000−186102号公報 特開2002−59118号公報 特開2003−212888号公報 特開2010−81855号公報 特開2013−165719号公報 特開2006−68606号公報 特開2012−22号公報 国際公開第2008/050740号
超臨界水又は亜臨界水によってセルロース系バイオマスを加水分解して糖類とする場合、熱水処理するセルロース系バイオマススラリー中のバイオマス濃度(固形物濃度)が高い方が、同じエネルギーによって加熱可能なバイオマス量が増加するため、エネルギー効率が高い。また、バイオマス濃度が高い方がより高濃度の糖化液が得られるため、発酵工程に供する糖化液を濃縮する際の濃縮負荷も軽減し得る。通常、バイオマススラリーの固形物濃度は、5〜10質量%に調整される。
ところが、エネルギー効率を向上させるためにセルロース系バイオマススラリーの固形物濃度を高めると、スラリーの流動性が低下して、配管を用いてスラリーを輸送することが困難となる。このことは、連続式反応器を用いてバイオマススラリーを連続的に加水分解する上で大きな障害となる。また、セルロース系バイオマススラリーのバイオマス濃度を高めると、間接熱交換器における熱伝導率が低下するという問題も生じる。
連続式反応器を用いてバイオマススラリーを連続的に熱水処理する場合、高温蒸気と十分に撹拌してバイオマススラリーを十分に加熱すると共に、熱水処理時間を一定に維持するために、加熱されたスラリーを反応器内部でプラグフローとして移動させる必要がある。バイオマススラリーを高濃度とする場合には、撹拌強度を従来よりも上げなければならないが、単に撹拌強度を上げるだけではプラグフローが崩れてしまい、未反応のバイオマススラリー又は糖類の過分解産物が連続式反応器の出口へと排出されることになる。その結果、糖化率が低下することになる。
特許文献6に開示されている処理設備は、反応器出口のスラリーに糖化液を混合するため、反応器出口の閉塞は防止できても、高濃度のバイオマススラリーを反応器内でプラグフローさせるための構成を備えていない。特許文献7に開示されている処理装置も、高濃度のバイオマススラリーを反応器内でプラグフローさせるための構成を備えていない。
ここで、反応器から取り出された高温高圧のバイオマススラリーは、すぐに亜臨界状態以下の温度に冷却しなければ、糖類が有機酸に過分解され、糖類の収率が低下してしまう。特許文献8の糖化分解方法及び糖化分解装置はバッチ式であるが、本発明者等は、セルロース系バイオマススラリーの固形物濃度を高めた場合、フラッシュタンク入口にある減圧弁が目詰まりしやすくなることを確認した。従って、セルロース系バイオマススラリーの固形物濃度を高めることは、高温高圧スラリーをフラッシュ蒸発によって冷却する際にも、問題を引き起こす。特許文献6及び7には、フラッシュ蒸発による高温高圧スラリーの冷却は、開示されていない。
本発明は、連続式反応器によってセルロース系バイオマスのスラリーを超臨界状態又は亜臨界状態で熱水処理することにより糖化スラリーを得る糖化液製造方法に適した、スラリーのプラグフローを維持し得る連続式反応器の提供を目的とする
バイオマススラリーの糖化反応には、温度(超臨界状態又は亜臨界状態)及び水分が必要であり、破砕されたバイオマス原料と、蒸気と、水分とを激しく混合する必要がある。バイオマススラリーの固形物濃度を高める場合には、より激しい撹拌が必要となる。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、固形物濃度15質量%以上50質量%以下に調整されたセルロース系バイオマスのスラリーを超臨界状態又は亜臨界状態で熱水処理する場合、糖化反応の進行につれてバイオマスの一部が可溶化し、スラリーの粘度が低下する点に注目した。さらに、本発明者等は、固形物濃度が従来よりも高い糖化スラリーに含有されている固形物(連続式反応器内で発生した固着物のような固形物)をカッターポンプのような破砕装置によって細かく破砕することにより、糖化スラリーをフラッシュ蒸発させても減圧弁が目詰まりしにくいことに注目した。その結果、本発明者等は、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、
セルロース系バイオマスのスラリーを超臨界状態又は亜臨界状態で熱水処理する連続式反応器であって、
セルロース系バイオマスのスラリー及び蒸気を混合する二軸式スクリュー、二軸式パドル、オーバル翼又はニーダを備える前段部と、
蒸気と混合されたスラリーをプラグフローとして出口方向へと移動させるピン羽根又は板羽根を備える後段部とから構成されていることを特徴とする、連続式反応器に関する。
本発明は、セルロース系バイオマスのスラリー及び蒸気を混合する前段部と、蒸気と混合されたスラリーをプラグフローとして出口方向へと移動させる後段部とから構成される連続式反応器であって、セルロース系バイオマスのスラリーを超臨界状態又は亜臨界状態で熱水処理することを特徴とする。
前段部においては、二軸式スクリュー、二軸式パドル、オーバル翼又はニーダによって、破砕されたバイオマス原料と蒸気と水分とを激しく混合する。加水分解が進行してスラリーの粘度が低下する後段部においては、前段部のような激しい混合を行うとスラリーのプラグフローが維持できなくなるためピン羽根又は板羽根によって緩やかな混合を行う。この特徴により、本発明の連続式反応器は、バイオマススラリーと蒸気とを十分に撹拌しつつ、反応器内のプラグフローを維持することが可能となる。
前記前段部は、入口側の1/4〜1/2であることが好ましい。
前記前段部の二軸式スクリュー、二軸式パドル、オーバル翼又はニーダと、前記後段部のピン羽根又は板羽根とは、同じ回転軸上に設けられていることが好ましい。
本発明の連続式反応器は、回転軸を2本並列して有することが好ましい。
本発明によれば、セルロース系バイオマスのスラリーを安定して連続的に熱水処理可能であり、固形物濃度15質量%以上50質量%以下に調整されたセルロース系バイオマスのスラリーを処理可能である。
比較例1の糖化液製造装置の模式図を示す。 実施例の糖化液製造装置の模式図を示す。 連続式反応器の別例を示す。 破砕装置の一例の模式図を示す。 比較例2の糖化液製造装置の模式図を示す。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の記載に限定されない。
[比較例1/予備試験]
セルロース系バイオマスとして、稲藁を使用した。稲藁は、まず粉砕機によって平均粒径100〜200μmに粉砕された。粉砕された稲藁に水を加えて混合し、固形物濃度7質量%のバイオマスの原料スラリーを調製した。この原料スラリーを、間接加熱型シェルアンドチューブ型反応器41(自社製)の入口43に高圧ポンプを用いて供給した。間接加熱型シェルアンドチューブ型反応器41内は、温度180℃、圧力2MPaに調整された。図1は、比較例1の糖化液製造装置の模式図を示す。間接加熱型シェルアンドチューブ型反応器41の内部には、スラリー加熱チューブ42が設けられているが、撹拌装置は設けられていない。間接加熱型シェルアンドチューブ型反応器41の出口44から取り出された糖化スラリーは、経路6、減圧弁7を経てフラッシュタンク8へと供給された。
試験開始後、24時間経過後から、徐々に反応器内の圧力損失が増加し、72時間経過後には運転継続困難となった。その時点で運転を中止し、開放点検したところ、反応器内部が付着物によって閉塞されていた。原料スラリーの固形物濃度を3質量%とした場合にも、ほぼ同様の結果となった。
このことから、反応器内部には、付着物を除去するための撹拌手段(撹拌機)が必要であり、反応器出口側又はその下流側には、反応器から剥離した付着物(原料スラリーに含有される固形物が焦げて固まった固化体)を破砕する破砕機も必要と判断された。原料スラリーの固形物濃度を従来よりも高くする場合には、なおさら上記構成が必要になると判断された。
[実施例]
予備試験と同じ稲藁を用いて、固形物濃度30質量%の原料スラリーを調製した。この原料スラリーを用いて、図2に示す糖化液製造装置によって糖化液を製造した。原料スラリーは、連続式反応器21の入口2へと供給される。連続式反応器21の入口2へは、蒸気も供給され、原料スラリーを加熱するために使用される。
連続式反応器21は、2種類の撹拌装置を内部に備え、その回転軸3は、モータM1によって駆動される。前段部の撹拌装置4は、スクリュー、パドル、オーバル翼又はニーダである。後段部の撹拌装置22は、ピン羽根又は板羽根である。図2では、回転軸は1本に描かれているが、実際には回転軸は水平方向に2本並列しており、それぞれに撹拌装置4及び撹拌装置22が備わっている。すなわち、撹拌装置4及び撹拌装置22は、図2では二軸式となっている。
連続式反応器21の入口2から投入された原料スラリーは、前段部の撹拌装置4によって蒸気と激しく混合され、所定温度まで加熱及び加圧されながら、出口5方向(図2では右側)へと移動される。高温高圧となった原料スラリーは、後段部へと移動される間に、含有されているセルロース又はヘミセルロースの一部が加水分解され、糖へと分解され、粘度も低下する(糖化スラリー)。撹拌装置4によって糖化スラリーを出口5まで搬送しようとすると、撹拌装置4付近の糖化スラリーは出口5へと前進するが、撹拌装置4から離れた連続式反応器21内壁付近の糖化スラリーは後退し、結果として糖化スラリーのプラグフローが崩れてしまう。
プラグフローが崩れた場合、撹拌装置4付近の糖化スラリーは、所定時間よりも熱水処理時間が短くなり、セルロース又はヘミセルロースの糖類への加水分解が不十分となる。一方、反応容器内壁付近の糖化液スラリーは、所定時間よりも熱水処理時間が長くなり、セルロース又はヘミセルロースの加水分解によって得られた糖類が有機酸のような過分解物へと変化してしまう。
そこで、連続式反応器21には、後段部の撹拌装置22としてピン羽根又は板羽根が設けられている。ピン羽根又は板羽根は、スクリュー、パドル、オーバル翼又はニーダと比較して、撹拌物の推進力が小さいため、前段部の撹拌機4によって原料スラリーと蒸気とを激しく混合するために、モータM1によって回転軸の回転数を増大させても、糖化スラリーのプラグフローが崩れにくい。その結果、後段部を搬送する糖化スラリーの熱水処理時間が制御しやすく、糖化収率を向上させ得るという効果が得られる。後段部の撹拌装置22の周速は、0.5m/秒以上に調整されることが好ましい。
連続式反応器21の出口5から取り出された高温高圧の糖化スラリーは、反応器から剥離した付着物を含有する場合が多い。さらに、原料スラリーの固形物濃度が高いほど、固形物濃度及び粘度が高い。そのため、直接フラッシュタンク8へと供給してフラッシュ蒸発させようとすれば、減圧弁7(通常はアングル弁)に付着物及び/又は固形物が目詰まりしやすい。そこで、本発明では、糖化スラリーに、後段の糖化スラリーの固液分離によって得られる糖化液の一部を混合して希釈し、粘度をさらに低下させた上で、破砕装置23を用いて、希釈された糖化スラリーに含有されている固形物を細かく破砕することが好ましい。
図3は、連続式反応器の構造の別例を示す。連続式反応器の必要容量を大きくする場合、前段部51と後段部55とが分離した構造とすることが好ましい。図3では、撹拌装置4を備える前段部51と、撹拌装置22を備える後段部55とが、独立したケーシングとなっており、両者で連続式反応器56が構成されている。撹拌装置4の回転軸3は、モータM1aによって駆動され、撹拌装置22の回転軸57は、モータM1bによって駆動される。
前段部51及び後段部55の機能は、図2に示される連続式反応器21の前段部及び後段部と同じである。前段部51の入口2から投入された原料スラリーは、撹拌装置4によって蒸気と激しく混合され、所定温度まで加熱及び加圧されながら、出口52へと移動される。高温高圧となった原料スラリーは、移送経路53を経て、後段部55の入口54へと供給される。移送経路53は、密閉系である。
連続式反応器56においては、後段部55の内容積を前段部51の内容積よりも大きくすることが好ましい。後段部55の撹拌機22は、二軸式でもよく、一軸式でもよい。
図4は、破砕装置23の一例の模式図を示す。破砕装置23は、混合室31と破砕刃25とスクリーン24とを有する。混合室31には、撹拌装置32が備えられている。撹拌装置32の回転軸33は、モータM2によって駆動される。破砕刃25も回転軸33に接続されている。糖化スラリー入口34には、糖化スラリー供給配管28が接続されており、連続式反応器21の出口5から取り出された糖化スラリーが供給される。糖化液入口35には、糖化液供給配管27が接続されており、後述する固液分離装置から得られる糖化液の一部が供給される。糖化スラリー入口34と糖化液入口35を一体化してもよい。
混合室31へと供給された糖化スラリーと糖化液は、撹拌装置32によって撹拌され、糖化スラリーが希釈される。撹拌装置32は、スクリュー又はパドルであることが好ましい。希釈された糖化スラリーは、破砕刃25によって固形物が粉砕されながら、混合室31とスクリーン24の間を循環する。破砕刃25は、カッター状又は石臼状であることが好ましい。破砕刃25とスクリーン24とのクリアランスを0.05〜0.5mmとすることにより、スクリーン24は、固定刃としての役割を兼用することもある。
スクリーン24を通過できるほど、固形物が十分に粉砕された希釈糖化スラリーは、出口36から経路26へと取り出される。スクリーン24は、ステンレスのような金属製であり、その網目の開孔径は、1〜5mmであることが好ましい。
経路26へと取り出された希釈糖化スラリーは、減圧弁7を経由してフラッシュタンク8へと供給される。ここで、希釈糖化スラリーがフラッシュタンク内でフラッシュ蒸発し、糖類の過分解が生じない温度にまで急冷される。本発明では、フラッシュ蒸発させる糖化スラリーを、その糖類濃度を下げないように糖化液によって希釈し、かつ、含有される固形物を破砕装置23によって粉砕することが好ましい。糖化液によって糖化スラリーを希釈することにより、原料スラリーの固形物濃度が従来よりも高くても、減圧弁7に固形物が目詰まりしにくい。
フラッシュ蒸気は、フラッシュ経路9から取り出され、必要に応じて熱回収される。冷却された糖化スラリーは、経路10から取り出され、経路10を経て固液分離装置11へと供給される。固液分離装置11の具体例は、デカンター、ドラムフィルター、ベルトフィルター、ディスクフィルター又はフィルタープレスである。糖化液は、必要に応じて逆浸透膜装置又は蒸留装置のような濃縮装置へと供給され、糖濃度が高められた後、アルコール発酵又は乳酸発酵のような発酵工程を行う発酵装置へと供給される。
ここで、固液分離装置11から取り出された糖化液の一部は、上述したように、糖化液供給配管27を経て破砕装置23の糖化液入口35へと供給される。糖化スラリーの希釈液として糖化液を使用することにより、糖化スラリーを希釈しても糖濃度は低下せず、濃縮装置(濃縮工程)における負荷増大を抑制し得る。運転開始時には、糖化スラリーの希釈に使用し得る糖化液が存在しないが、この場合は水ではなく、発酵工程に適した糖類の水溶液を希釈液として使用することが好ましい。
調製された原料スラリーと蒸気(200℃、1.45MPa)とを連続式反応器(全容積200L、有効容積90L)に供給(供給量235kg/時)し、反応器内を165℃、0.9MPaに維持した。連続式反応器の前段部の撹拌装置はパドル46枚であり、後段部の撹拌装置はピン羽根80枚である。撹拌装置の周速は、0.7m/秒とした。蒸気と混合した後の原料スラリーの固形物濃度は、25質量%とした。この条件では、連続式反応器内に水又は糖化液を噴霧しなくても、原料スラリー(糖化スラリー)のプラグフローが24時間以上安定しており、原料スラリーの炭化、及び炭化物による閉塞は認められなかった。糖化率は、計画値の70%であった。
連続式反応器から取り出された糖化スラリーを、混合室の容積3L、破砕刃がカッター4枚付きインペラ、撹拌装置がパドル、スクリーンの網目の開孔径が3mmである破砕装置に供給(供給量1175kg/時)し、糖化スラリーに対して糖化液を5倍の割合で混合した。モータM2の回転数は、100rpmとした。この破砕装置から取り出された希釈糖化スラリーを、減圧弁(アングル弁、配管接続25A)を経て、内容積1.8m3のフラッシュタンクへと供給し、フラッシュ蒸発させた。この条件では、24時間経過しても減圧弁に閉塞は認められなかった。
[比較例2]
図5に示される糖化液製造装置の連続式反応器1は、撹拌装置4として二軸式スクリューを備える一般的な反応器であり、回転軸3は、モータMによって駆動される。連続式反応器1の寸法は、実施例で使用した連続式反応器21と同じである。
蒸気を供給せず、常温で原料スラリーの模擬液と着色液とを連続式反応器1に供給して混合するトレーサテストを行ったところ、撹拌装置4による完全混合槽列状態となっており、プラグフローが崩れていることが確認された。
[比較例3]
破砕装置23を使用せず、糖化スラリーを糖化液によって希釈しないこと以外、すべて実施例と同様に操作した。定常運転中にグルコースを間欠的に投入し、連続式反応器21内部の流動解析を行った結果、完全混合槽列モデルとして4槽相当のプラグフローが維持できていた。糖化率は、計画値の70%に達していた。
しかし、24時間以上連続運転した場合、減圧弁7が頻繁に閉塞し、実用上大きなトラブルが生じた。
本発明のバイオマススラリー用連続式反応器は、セルロース系バイオマスを加水分解し、糖化液を製造するための装置として、バイオエネルギー分野及びバイオケミカル分野において有用である。
1,21:連続式反応器
2:連続式反応器の入口(投入口)
3,33:回転軸
4:撹拌装置(スクリュー)
5:連続式反応器の出口(取出口)
6,10,26:経路
7:減圧弁
8:フラッシュタンク
9:フラッシュ経路
11:固液分離装置
22:撹拌装置(ピン羽根)
23:破砕装置
24:スクリーン
25:破砕刃
27:糖化液供給配管
28:糖化スラリー供給配管
31:混合室
32:撹拌装置
34:糖化スラリー入口
35:糖化液入口
36:破砕装置の出口
37:回転軸支持部材
41:間接加熱型シェルアンドチューブ型反応器
42:原料スラリー加熱チューブ
43:間接加熱型シェルアンドチューブ型反応器の入口(投入口)
44:間接加熱型シェルアンドチューブ型反応器の出口(取出口)
45:蒸気入口
46:凝縮水出口
51:前段部
52:前段部の出口
53:移送経路
54:後段部の入口
55:後段部
56:連続式反応器
57:回転軸
M,M1,M1a,M1b,M2:モータ

Claims (4)

  1. セルロース系バイオマスのスラリーを超臨界状態又は亜臨界状態で熱水処理する連続式反応器であって
    セルロース系バイオマスのスラリー及び蒸気を混合する二軸式スクリュー、二軸式パドル、オーバル翼又はニーダを備える前段部と、
    蒸気と混合されたスラリーをプラグフローとして出口方向へと移動させるピン羽根又は板羽根を備える後段部とから構成されていることを特徴とする、連続式反応器
  2. 前記前段部が入口側の1/4〜1/2である、請求項1に記載の連続式反応器。
  3. 前記前段部の二軸式スクリュー、二軸式パドル、オーバル翼又はニーダと、
    前記後段部のピン羽根又は板羽根とが、
    同じ回転軸上に設けられている、請求項1又は2に記載の連続式反応器。
  4. 回転軸を2本並列して有する、請求項3に記載の連続式反応器。
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