JP2012170442A - 糖化方法、エタノール製造方法、及びセルロース前処理方法 - Google Patents

糖化方法、エタノール製造方法、及びセルロース前処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い糖濃度を有する糖液を得ることができる糖化方法、該糖化方法により得られた糖液をエタノール発酵し、エタノールを製造するエタノール製造方法、及び該糖化方法に用いることのできるセルロース前処理方法の提供。
【解決手段】セルロース含有原料から糖液を得る糖化方法であって、セルロース含有原料を、加熱・加圧下にて軟化する熱軟化工程と、前記熱軟化工程により得られた熱軟化物を加熱・加圧下にて解繊する解繊工程と、前記解繊工程により得られた前処理物を糖化処理し、糖液を得る糖化工程と、を有することを特徴とする糖化方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い糖濃度を有する糖液を高収率で得ることができる糖化方法、該糖化方法により得られた糖液をエタノール発酵し、エタノールを製造するエタノール製造方法、及び該糖化方法に用いることのできるセルロース前処理方法に関する。
近年、地球温暖化防止策として、植物性バイオマスからエタノールを効率よく製造し、エネルギーや化学原料として利用する試みが国内外で進められている。植物性バイオマスとしては、食糧供給と競合しないセルロース系バイオマスを用いてエタノールを製造する方法が注目されている。
セルロース系バイオマスからエタノールを製造するための方法としては、まず、セルロース系バイオマスを前処理した後に、酵素による糖化処理を行って糖を得、得られた糖をエタノール発酵してエタノールを製造する方法が一般的に用いられている。
特許文献1には、リグノセルロース系バイオマスから糖類を製造する方法として、原料を加圧熱水で処理する熱水処理工程、その熱水処理物を機械的粉砕する機械的粉砕処理工程及びその機械的粉砕物を酵素で糖化処理する糖化処理工程を含むリグノセルロース系バイオマス処理方法が開示されている。
また、特許文献2には、常圧以上5MPa以下、180℃以上374℃以下の熱水によりバイオマスを処理して得られたバイオマス処理液を、100℃以上180℃未満に冷却し、リグニン物質の前記熱水に対する溶解度を低下させ、前記熱水に溶解した抽出物を液状のリグニン物質とバイオマス水溶液とに分離するリグニン物質分離方法が開示されている。
特開2006−136263号公報 特開2006−255676号公報
しかしながら、上記特許文献1〜2に開示された前処理方法やリグニン物質分離方法では、未だセルロース含有原料の前処理が不十分であり、そのため得られる糖液の糖濃度が不十分であるという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、高い糖濃度を有する糖液を高収率で得ることができる糖化方法、該糖化方法により得られた糖液をエタノール発酵し、エタノールを製造するエタノール製造方法、及び該糖化方法に用いることのできるセルロース前処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、セルロース系バイオマス等のセルロース含有原料を加熱・加圧下にて熱軟化した後に、加熱・加圧下にて解繊を行うことにより、効率的にセルロースの前処理を行うことができ、且つ、該前処理により得られる前処理物を糖化することにより高濃度の糖液が高収率で得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)セルロース含有原料から糖液を得る糖化方法であって、セルロース含有原料を、加熱・加圧下にて軟化する熱軟化工程と、前記熱軟化工程により得られた熱軟化物を加熱・加圧下にて解繊する解繊工程と、前記解繊工程により得られた前処理物を糖化処理し、糖液を得る糖化工程と、を有することを特徴とする糖化方法、
(2)熱軟化処理槽内の処理物の水分値が、10〜90質量%であることを特徴とする(1)の糖化方法、
(3)前記熱軟化工程における加熱温度が、120〜250℃であることを特徴とする(1)又は(2)の糖化方法、
(4)前記解繊工程における加熱温度が120〜250℃であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかの糖化方法、
(5)前記セルロース含有原料が、バガス、稲わら、麦わら、籾殻、麦殻、キャッサバ残渣、ヤシガラ及びコーンストーバーからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかの糖化方法、
(6)(1)〜(5)いずれかの糖化方法により得られた糖液をエタノール発酵し、エタノールを製造することを特徴とするエタノール製造方法、
(7)セルロース含有原料の糖化の前処理方法であって、セルロース含有原料を、加熱・加圧下にて軟化する熱軟化工程と、前記熱軟化工程により得られた熱軟化物を加熱・加圧下にて解繊する解繊工程と、を有することを特徴とするセルロース前処理方法、
を提供するものである。
本発明の糖化方法により、セルロース含有原料から高い糖濃度を有する糖液を高収率で得ることができる。
また、本発明のエタノール製造方法は、前記糖化方法により得られた糖液をエタノール発酵することにより、より効率的にエタノールを製造することができる。
実施例1の工程を示すブロック図である。 比較例1の工程を示すブロック図である。 比較例2の工程を示すブロック図である。
≪糖化方法≫
本発明の糖化方法は、セルロース含有原料を、加熱・加圧下にて軟化する熱軟化工程と、前記熱軟化工程により得られた熱軟化物を加熱・加圧下にて解繊する解繊工程と、前記解繊工程により得られた前処理物を糖化処理し、糖液を得る糖化工程と、を有する。
以下、工程ごとに説明する。
(熱軟化工程)
本発明における熱軟化工程では、セルロース含有原料を、加熱・加圧下にて軟化する。
本発明において用いられるセルロース含有原料は、セルロースを含有するものであれば特に限定されるものではなく、草本系バイオマスであってもよく、木質系バイオマスであってもよく、その他のセルロースを含有するバイオマスであってもよい。セルロース含有原料としては、稲、麦、キャッサバ、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ、麻、綿花、ソルガム、エリアンサス、キャッサバ等の栽培作物等であってもよいが、廃棄の対象とされ得るものであって、セルロース含有量が比較的多いものであることが好ましい。具体的には、稲わら、麦わら、籾殻、麦殻、キャッサバ残渣、コーンストーバー、バガス、ヤシガラ等の農業(穀物)残渣、竹、木材チップ、間伐材等の林業残渣、古紙、古着等が挙げられる。中でも、草本系バイオマス等のソフトセルロース系バイオマスであることが好ましく、安価で大量に入手可能であることから、バガス、稲わら、麦わら、籾殻、麦殻、キャッサバ残渣、ヤシガラ、コーンストーバー等の穀物残渣であることがより好ましい。本発明においては、これらのセルロース含有原料のうち、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
セルロース含有原料は、そのまま熱軟化工程に用いてもよく、あらかじめ細断してもよい。例えば、セルロース含有原料がバガスの場合、砂糖工場等において搾汁されたバガスは概ね短径が20mm以下、且つ、長径が100mm以下程度のものであるため、予めバガスを裁断する必要はない。また、セルロース含有原料の細断を行う場合、その方法は特に限定されるものではなく、公知の方法により行うことができる。
熱軟化工程に用いられるセルロース含有原料の水分値は、特に限定されるものではないが、10〜90質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、40〜65質量%であることがさらに好ましい。水分値を上記範囲内とすることにより、熱軟化工程においてより効率的にセルロース含有原料を軟化することができる。
セルロース含有原料の水分値が上記範囲内にない場合には、乾燥するか、又は細断後に水分を添加する等により、あらかじめ上記範囲内に調製しておくことが好ましい。セルロース含有原料を乾燥又は加水する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法で調整することができる。
セルロース含有原料を、加熱・加圧下にて軟化する方法は特に限定されるものではなく、通常セルロース含有原料の加熱・加圧による軟化に用いられる方法を採用することができる。具体的には例えば、水蒸気を供給した水熱反応器にセルロース含有原料を投入し、横型のスクリューコンベア、一軸や二軸パドル式のダイジェスターおよび竪型ダイジェスター等を用いてセルロース含有原料を処理することにより、熱軟化工程を行うことができる。
熱軟化工程における加熱温度は、120〜250℃であることが好ましく、140〜250℃であることがより好ましく、170〜220℃であることがさらに好ましい。
熱軟化工程における加圧条件は、常圧以上であれば特に限定されるものではないが、0.1〜4.0MPaGであることが好ましく、0.3〜4.0MPaGであることがより好ましく、0.7〜2.3MPaGであることがさらに好ましい。
また、熱軟化工程における処理時間は、特に限定されるものではなく、上記加熱温度や加圧条件に応じて適宜決定することができる。具体的には例えば、210〜230℃、1.9〜2.8MPaGで熱軟化工程を行う場合、その処理時間は、5〜20分であることが好ましく、5〜15分であることがより好ましい。
上記加熱温度、加圧条件及び処理時間の範囲内とすることにより、セルロース含有原料の過度の揮発を抑え、糖化処理に用いることのできる原料を減らさず糖収率を上げることができる。
本発明では、熱軟化工程によりセルロース含有原料を軟化した後に、後述する解繊工程を行うことで、解繊工程におけるセルロースのミクロフィブリル化を容易とすることができる。熱軟化工程を行わない場合、糖収率(セルロース含有原料重量に対する得られた糖重量、単位:%)が低下する。例えば、熱軟化工程の後に解繊工程を行い、得られた前処理物を糖化した際の糖収率が50%程度であるのに対して、熱軟化工程を行わずに解繊工程のみで得られた前処理物を糖化した際の糖収率は20%程度以下となる。また、熱軟化工程を行わなかった場合には、解繊工程の後に従来の機械粉砕工程を行った場合であっても、糖収率は改善しない。
さらに、熱軟化工程は、セルロース含有原料の加熱殺菌も兼ねるため、該工程を行うことにより、後段のプロセスにおける雑菌によるコンタミネーションのリスクを顕著に低減することができる。
熱軟化工程を水熱処理で行う場合、軟化に加えて、ヘミセルロース及びリグニンの一部が分解するため、前処理物は単なる熱処理を行う場合と比較してより糖化されやすい状態となる。
(解繊工程)
本発明における解繊工程では、前記熱軟化工程により得られた熱軟化物を加熱・加圧下にて解繊する。
本発明において熱軟化物の解繊を行う方法は、熱軟化物が好適に解繊される方法であれば特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、通常製紙産業において用いられるパルプ解繊機を用い、該解繊機内を加熱・加圧条件として解繊を行うことができる。解繊機として具体的には、高濃度ディスクリファイナー(固形物濃度3〜30%)等が挙げられる。解繊工程において用いられる解繊機はセルロース含有原料及び熱軟化物の種類や性状によって適宜選択することができる。
また、解繊工程において上記のように解繊機内を加熱・加圧条件下とする方法は特に限定されるものではない。具体的には、熱軟化工程後に大気開放し、その後に新たに解繊機内に水蒸気等を導入してもよいが、エネルギー効率の観点から、熱軟化工程後に大気開放せず、熱軟化工程後の熱軟化物及び熱軟化工程時の雰囲気を解繊機内に導入し、解繊処理を行うことが好ましい。
より具体的には、熱軟化処理槽と、解繊処理槽を同一の圧力容器として密閉構造とする方法が挙げられる。これらを同一の圧力容器とし、熱軟化処理槽の蒸気を解繊槽内に導入して解繊機の内部を加熱・加圧条件とした上で、熱軟化処理物の温度を下げることなく解繊機に導入することで、加熱・加圧条件下で解繊処理を行うことが可能となる。この方法を用いることにより、解繊工程における消費エネルギーを低減し、さらに、新たに解繊機内を加熱・加圧条件下とするためのエネルギー量も低減することができる。
解繊工程における加熱温度は、120〜250℃であることが好ましく、140〜250℃であることがより好ましく、170〜220℃であることがさらに好ましい。
熱軟化工程における加圧条件は、常圧以上であれば特に限定されるものではないが、0.1〜4.0MPaGであることが好ましく、0.3〜4.0MPaGであることがより好ましく、0.7〜2.3MPaGであることがさらに好ましい。
上記加熱温度、及び加圧条件の範囲内とすることにより、セルロース含有原料の過度の揮発を抑え、糖化処理に用いることのできる原料を減らさず糖収率を上げることができる。
本発明では、解繊処理後の前処理物が、短径が1mm以下、長径が20mm以下のサイズとなるように解繊処理を行うことが好ましい。具体的には例えば、ディスク径φ305mmのディスクリファイナーを、回転数1800rpm、クリアランス0.3mmで運転することにより、熱軟化物を解繊処理することができる。
本発明の解繊工程では、解繊処理に用いる熱軟化物の固形分濃度を、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは25〜50重量%とする。固形分濃度を10重量%以上とすることで、解繊工程後に得られる前処理物中のセルロース濃度を高く保つことができる。そして、適度な流動性を有し、かつセルロース濃度が充分に高い前処理物を、糖化処理及びその後のエタノール発酵に用いることにより、発酵後のエタノール濃度を充分に高くすることができる。
熱軟化物の固形分濃度を上記範囲内とする方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、熱軟化工程後の熱軟化物に、必要に応じて液体成分を添加してもよい。ここで液体成分としては、水であってもよく、糖やエタノールを含有する液体であってもよい。
本発明では、熱軟化工程後の熱軟化物に対して解繊処理を行うことにより、より効率よく前処理を行うことができ、得られる糖液の糖濃度を向上させることができる。
また、本発明では熱軟化工程のみならず解繊工程をも加熱・加圧下で行うことで、前処理物中の雑菌を低減することができるため、雑菌により糖が消費されるおそれがなく、糖化工程後に高濃度の糖を有する糖液を得ることができる。加えて、加熱・加圧下で解繊処理を行うことにより、解繊処理によりサイズの小さくなった熱軟化物のセルロース繊維の内部まで熱が到達するようになり、より効率的に滅菌がなされる。
さらに、本発明では、従来用いられている機械粉砕処理に替えて、加熱・加圧下の解繊処理を行うことにより、必要となる消費エネルギー量を大幅に低減することができる。具体的には、湿式摩砕型粉砕機を運転させた場合のエネルギーが、セルロース含有原料乾燥重量1トンあたり4000kWhであるのに対し、解繊処理の場合の消費エネルギーは、セルロース含有原料乾燥重量1トンあたり500kWh以下、さらには、120℃〜200℃の飽和蒸気圧下で解繊することで200kWh以下に抑えることができる。
(糖化工程)
本発明における糖化工程では、前記解繊工程により得られた前処理物を糖化処理し、糖液を得る。
本発明において、前処理物を糖化処理する方法は特に限定されるものではなく、公知慣用の方法により行うことができる。例えば、上記熱軟化工程及び解繊工程により得られた前処理物に、セルラーゼ等の糖化酵素を添加して酵素処理を行うことにより、セルロースやヘミセルロースを糖化した糖液が得られる。糖化酵素については公知慣用のものでよく、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)由来のものであっても、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)由来のものであっても構わない。
≪エタノール製造方法≫
上記本発明の糖化方法により得られた糖液をエタノール発酵し、エタノールを製造することができる。
本発明において、エタノール発酵を行う方法は、特に限定されるものではなく、公知慣用の方法により行うことができる。例えば、上記糖化方法により得られた糖液に、エタノール発酵能を有する公知の微生物を添加し、糖液をエタノール発酵することにより、エタノールが得られる。エタノール発酵能を有する微生物としては、例えば、サッカロミセス属の酵母等が挙げられる。
このとき、前記糖化工程とエタノール発酵とは、別個の槽内で独立に行ってもよく、同一の槽内で、同時に行ってもよい。
また、得られたエタノール溶液を、公知の方法により濃縮、精製し、純度の高いエタノールを得ることもできる。
≪セルロース前処理方法≫
本発明のセルロース前処理方法は、セルロース含有原料を、加熱・加圧下にて軟化する熱軟化工程と、前記熱軟化工程により得られた熱軟化物を加熱・加圧下にて解繊する解繊工程と、を有する。
本発明のセルロース前処理方法における熱軟化工程、解繊工程はそれぞれ上述したものと同様である。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1、比較例1〜2]
解繊処理の有無及びタイミングによる、糖濃度、糖収率及び雑菌数の違いについて検討した。
(実施例1)
セルロース含有原料1として、5段ミルで搾汁した後、屋外で1ヶ月程度静置したバガスを用いた。バガスに対して粉砕処理等は行わず、その形状は繊維状若しくは短冊状であり、短径は2mm以下、長径は100mm以下であった。
このバガスを水洗したもの(水分値80%)を、プラグスクリューフィーダーを用いて100kg−wet/hrで水熱反応器2に供給した。プラグスクリューフィーダーで脱水されるため、水熱反応器2内に供給されるバガスは、44kg−wet/hr、水分値55%となる。水熱反応器2内は水蒸気3を供給することにより22.5MPa、220℃に保たれ、水熱反応器2内に設置されたスクリューコンベアにより、供給されたバガスは10分かけて熱軟化処理された後に解繊機4へと送られた。
解繊機4は、供給用スクリューと、ディスクミルタイプのリファイナー(ディスク径φ305mm)とから構成されている。解繊機4は、配管により水熱反応器2と連通しているため、解繊機4内は水熱反応器2と同様の加熱・加圧条件である。供給用スクリューにより解繊機4内に供給された熱軟化処理バガスは、回転数1800rpm、クリアランス0.3mmで運転されるディスクリファイナーにより解繊され、短径1mm以下、長径20mm以下のサイズとなった。
解繊処理された前処理物6は、排出機構5を経て大気開放され、受けホッパ7に搬送された。排出機構5は、オリフィスにより加圧側(水熱反応器2、解繊機4)と、常圧側(受けホッパ7)との間に圧力差を生じさせるものである。受けホッパ7は、サイクロンとホッパとから構成され、サイクロンによって蒸気と前処理物6とが分離され、分離された前処理バガスはホッパに溜められる。
ホッパに貯留された前処理物6は、フライトコンベア8を経て、予め蒸気で滅菌された糖化槽9に、267kg−wet/hr(水分値70%)で供給された。糖化槽9内には、併せて、酵素10としてアクレモニウム・セルロリティカス培養液(タンパク質濃度10g/L、比活性10FPU/mL)80kg、水453kgを供給し、糖化処理を行い、糖液を得た。なお、糖化槽9は、外部に備えたジャケット内に冷却水を流通させることにより内部を常に50℃に保ち、適宜20%苛性ソーダ水溶液を注入することにより内部を常にpH4.8に維持した。
糖化処理中、一定間隔で糖化槽9内の液を無菌的にサンプリングし、糖濃度及び雑菌数の測定を行った。具体的には、糖濃度は、サンプルを超純水で20倍に希釈したものをシリンジフィルターでろ過し、これをアミネックスカラムHPX−87P(商品名、BIO−RAD社製)を装備した高速液体クロマトグラフィー(L7000シリーズ、日立製作所社製)を用いて測定した。また、雑菌数は、シャーレに作成したLB寒天培地に、無希釈、10倍希釈、100倍希釈のサンプルを0.5mL塗布し、37℃の恒温培養槽内で24時間保持した後、目視にてコロニー数を測定し、雑菌数とした。72時間後の糖収率を算出した結果と併せて、糖濃度及び雑菌数の結果を表1に示す。また、図1に実施例1の工程をブロック図として示す。
(比較例1)
解繊処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして糖液を得、糖濃度及び雑菌数を測定した。糖濃度、糖収率及び雑菌数の結果を表1に示す。また、図2に比較例1の工程をブロック図として示す。
(比較例2)
水熱反応器2内での処理の後に大気開放を行い、100℃の常圧下にて解繊処理を行った以外は、実施例1と同様にして糖液を得、糖濃度及び雑菌数を測定した。糖濃度、糖収率及び雑菌数の結果を表1に示す。また、図3に比較例2の工程をブロック図として示す。
Figure 2012170442
表1の結果から、本発明に係る実施例1の糖化方法を用いて得られた糖液は、糖濃度及び糖収率が最も高く、雑菌数も少なかった。一方、比較例1〜2で得られた糖液は、実施例1に比して、糖濃度及び糖収率が低かった。特に比較例2の糖液は雑菌数が顕著に多いため、糖液中の糖が雑菌に消費され、低い糖濃度及び糖収率となった。
本発明の糖化方法を用いることにより、セルロース含有原料から高い糖濃度を有する糖液を得ることができるため、バイオマスからの糖製造やエタノール製造の分野で好適に利用可能である。
1 セルロース含有原料
2 水熱反応器
3 水蒸気
4 解繊機(加圧)
5 排出機構
6 前処理物
7 受けホッパ
8 フライトコンベア
9 糖化槽
10 酵素

Claims (7)

  1. セルロース含有原料から糖液を得る糖化方法であって、
    セルロース含有原料を、加熱・加圧下にて軟化する熱軟化工程と、
    前記熱軟化工程により得られた熱軟化物を加熱・加圧下にて解繊する解繊工程と、
    前記解繊工程により得られた前処理物を糖化処理し、糖液を得る糖化工程と、を有することを特徴とする糖化方法。
  2. 熱軟化処理槽内の処理物の水分値が、10〜90質量%であることを特徴とする請求項1に記載の糖化方法。
  3. 前記熱軟化工程における加熱温度が、120〜250℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の糖化方法。
  4. 前記解繊工程における加熱温度が120〜250℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の糖化方法。
  5. 前記セルロース含有原料が、バガス、稲わら、麦わら、籾殻、麦殻、キャッサバ残渣、ヤシガラ及びコーンストーバーからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の糖化方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項記載の糖化方法により得られた糖液をエタノール発酵し、エタノールを製造することを特徴とするエタノール製造方法。
  7. セルロース含有原料の糖化の前処理方法であって、
    セルロース含有原料を、加熱・加圧下にて軟化する熱軟化工程と、
    前記熱軟化工程により得られた熱軟化物を加熱・加圧下にて解繊する解繊工程と、を有することを特徴とするセルロース前処理方法。

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