JP2013085523A - キシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法 - Google Patents

キシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】効率よくキシランから分解糖を製造することのできる方法の提供。
【解決手段】次の工程(1)〜(3):
(1)キシラン含有原料に圧縮剪断応力を加えて粉砕し、キシラン含有粉砕物を得る工程、
(2)工程(1)で得られるキシラン含有粉砕物を、水の存在下、165℃以上195℃を超えない温度範囲で加熱処理する工程、
(3)工程(2)で得られる加熱処理物から、固液分離により液体部を得る工程、
を有する、キシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、キシラン、特にキシラン含有バイオマスから、キシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖(以下、総称して「分解糖」ともいう)を製造する方法に関する。
キシランは、ヘミセルロースの主要部分を占める、β−1,4結合のD−キシロース残基から成る多糖である。紅藻や緑藻に含まれるキシランには、β−1,3結合を含むものもある。キシランは、ホモ多糖として存在することは稀で、キシロース残基にL−アラビノフラノース残基、D−グルクロン酸残基、4−O−メチル−D−グルクロン酸残基等の枝を持つものが多い。キシランは、特に陸生の木本や草本に広く分布し、木材や稲ワラ、バガス等の農産廃棄物、産業・家庭廃棄物等に見出される。
近年、食糧問題や化石資源の枯渇によるエネルギー問題等の解決手段の1つとして、バイオマスから有用物質を製造する技術が注目されており、とりわけ非食糧資源であるセルロース系のバイオマスを有効利用する技術開発が望まれている。
一方、キシランの分解物であるキシロビオース、キシロオリゴ糖は、整腸作用やミネラル吸収促進作用等の様々な生理機能が明らかにされ、機能性素材として食品、医薬品等に広く利用されている。また、キシロースは、フラン樹脂の原料やナイロン重合の原料、エタノール等有用物質製造の糖源として利用されている。
一般に、キシランの分解物を得る方法としては、キシラン含有原料を前処理し、必要に応じてキシラナーゼ等の酵素により分解する方法が知られている。前処理方法としては、例えば、酸・アルカリを用いた化学的処理法、爆砕等の物理的処理法、水熱処理法等があり、特に、生産性が高く、コスト面でも有利なことから水熱処理法が注目されている。
例えば、キシラン含有天然物から予め110℃以上140℃以下の熱水で抽出される成分を除去した水不溶性の残査を、前記処理温度以上200℃以下の熱水で処理し、キシロース及びキシロオリゴ糖を製造する方法(特許文献1)、グラインダー等で粉砕された広葉樹の原料中に、180〜200℃の高温高圧水を循環させることにより、原料中のヘミセルロースを加水分解抽出するキシロオリゴ糖の製造方法(特許文献2)、細片された植物系バイオマスを140〜230℃で飽和蒸気圧以上に加圧した熱水で加水分解してヘミセルロースを分解抽出し、さらに加圧熱水温度を上げてセルロースを分解抽出し、セルロースをガス化する植物系バイオマスの加圧熱水分解方法(特許文献3)等が報告されている。
また、バイオマスに含まれるヘミセルロースを酵素を使って加水分解する前段階で、過酸化水素水を使った熱水処理を行う糖化方法(特許文献4)が報告されている。
特開2000−236899号公報 特開2006−75067号公報 特開2002−59118号公報 特開2007−74993号公報
しかしながら、前記従来技術の方法によっては、生成したキシロースが過分解される場合や、反対に、キシランの加水分解が十分に進行しない場合があるために、分解糖の生成量が全体として少なくなる場合があることが判明した。
そこで、本発明の課題は、効率よくキシランから分解糖を製造することのできる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討したところ、キシランを特定の方法で粉砕した後に、水の存在下、165℃以上195℃を超えない温度範囲で加熱処理すれば、キシロースの過分解を抑えつつ、効率よく分解糖を製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の工程(1)〜(3):
(1)キシラン含有原料に圧縮剪断応力を加えて粉砕し、キシラン含有粉砕物を得る工程、
(2)工程(1)で得られるキシラン含有粉砕物を、水の存在下、165℃以上195℃を超えない温度範囲で加熱処理する工程、
(3)工程(2)で得られる加熱処理物から、固液分離により液体部を得る工程、
を有する、キシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、キシランの分解糖を効率よく製造することができる。本発明方法はキシランを含有するバイオマスにも適用可能であり、セルロース系バイオマスを有効利用する技術として期待できる。
工程(1)は、キシランを含有する原料に圧縮剪断応力を加えて粉砕し、キシランを含有する粉砕物を得る工程である。
本発明におけるキシランは、D−キシロース残基がβ−1,4結合又はβ−1,3結合した多糖であるが、その構成糖中にはキシロース以外にアラビノース、グルクロン酸、4−O−メチルグルクロン酸、グルコース、ガラクトース等が含まれていてもよい。
本発明におけるキシランの分子量は、特に限定されないが、一般的には1,000以上5,000,000以下であることが好ましい。
また、本発明において、キシラン含有原料として、キシラン自体の他、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含有するセルロース系バイオマスを用いることもできる。
バイオマスとは、生物由来の有機資源で、化石資源を除いたものである。セルロース系バイオマスは、例えば、綿、木材系パルプ、ケナフ、麻、小径木、間伐材、おが屑、木屑、古紙、新聞紙、包装紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ダンボール等の木質系;バガス、スイッチグラス、エレファントグラス、トウモロコシの芯、稲ワラ、ムギワラ等の草本系のバイオマスがある。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
キシラン含有原料は、圧縮剪断応力を加えて粉砕する前に、予め粗粉砕しておいてもよい。粗粉砕する方法は特に制限されず、例えば、粉砕機として、グラインダー・ロールカッター等のカッター式粉砕機、ハンマーミル等の衝撃式粉砕機、コロイドミル等の摩砕式粉砕機等を用いることができる。
粗粉砕は、キシラン含有原料の平均粒径が、1〜15cm、更に3〜5cmとなるように行うのが好ましい。
キシラン含有原料に圧縮剪断応力を加えて粉砕するには、圧縮剪断式粉砕機を用いることができる。圧縮剪断式粉砕機は、圧縮応力と剪断応力の両方を付加できる機械で、例えば、振動ロッドミル、振動ボールミル等が挙げられる。なかでも、生産効率の点から、振動ロッドミルが好ましい。ロッドは、特に制限されないが、外径が0.1〜100mm、更に0.5〜50mmのものが好ましい。また、ロッドの充填率(振動ミルの攪拌部の容積に対するロッドの見かけの体積)は、機種により異なるが、10〜97%が好ましく、15〜95%がより好ましい。
粉砕時間、粉砕機の回転数等の粉砕条件は、所望の粉砕物を形成するために適宜設定すればよい
工程(1)で得られるキシラン含有粉砕物の平均粒径は、0.002〜0.3mm、更に0.005〜0.2mm、更に0.01〜0.05mmであることが生産効率の点から好ましい。なお、本明細書において平均粒径とは、レーザー回折散乱法により体積基準に従って求められる平均値をいう。
高い糖化率を得られるという観点より、キシラン含有粉砕物における結晶化度は30%以下であることが好ましく、5〜30%がより好ましく、5〜25%が更に好ましく、5〜20%が更に好ましく、5〜15%が更に好ましい。
本明細書において、結晶化度は、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したセルロースI型結晶化度で表し、下記計算式(1)により定義される。なお、計算式(1)で定義されたセルロースI型結晶化度では計算上マイナスの値になる場合があるが、マイナスの値の場合はセルロースI型結晶化度は0%とする。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
セルロースI型結晶化度は、セルロースの結晶化度を表すものであるが、キシラン含有バイオマスにおいてはセルロースを含むことが多いため、本発明においては、キシラン含有粉砕物の結晶化度を表すものとして、セルロースI型結晶化度を用いている。
また、キシラン含有原料に圧縮剪断応力を加えて粉砕し、キシラン含有粉砕物を得る工程における粉砕の程度は、キシラン含有粉砕物における結晶化度が、キシラン含有原料における結晶化度の0.15〜0.8倍となることが好ましく、更に0.2〜0.7倍、更に0.2〜0.6倍となることが好ましい。
工程(2)は、工程(1)より得られたキシラン含有粉砕物を、水の存在下、165℃以上195℃を超えない温度範囲で加熱処理する工程である。加熱処理方法としては、特に制限されず、公知の方法を適用できる。バッチ攪拌式でも連続流通式でもよい。加熱処理の際に用いる水は、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、精製水等が例示される。
加熱処理に供するキシラン含有粉砕物はスラリー状であるのが好ましく、該スラリー中のキシラン含有粉砕物の濃度は、流動性の点から、1〜400g/L、更に5〜300g/L、更に8〜200g/Lとするのが好ましい。
加熱処理の温度は、165℃以上であり、かつ195℃を超えない範囲であるが、さらに192℃を超えない温度、更に190℃を超えない温度であるのが、過分解を防ぐ点、生産効率の点から好ましい。また、加熱処理の温度は、170℃以上、更に180℃以上であるのが、生産効率の点から好ましい。加熱の手段は、例えば、水蒸気、電気が挙げられる。
165℃以上195℃を超えない温度範囲で加熱処理する時間は、反応方法や原料の状態によって異なるが、過分解を防ぐ点、生産効率の点から、10〜90分が好ましく、更に15〜80分、更に20〜70分、更に35〜55分が好ましい。なお、加熱処理する時間とは、規定されている温度範囲に含まれる状態の時間の合計を意味し、温度が当該範囲に含まれている限り、温度が変化しても構わない。従って、昇温及び降温の時間も、当該温度範囲に含まれる限り加熱処理する時間に含むものとする。また、温度が変化した結果、断続的に当該温度範囲に含まれる場合は、当該温度範囲に含まれる時間の総計をもって当該時間とする。
また、加熱処理時の圧力は、水の飽和蒸気圧又はそれ以上に設定するのが好ましく、更にゲージ圧力で0.3〜10MPa、更に0.4〜8MPa、更に0.6〜6MPaが好ましい。水の飽和蒸気圧以上に加圧する手段としては、水蒸気以外の気体を存在させる方法が挙げられ、当該気体としては、例えば、空気、不活性ガス等が挙げられ、不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム等が挙げられる。加熱処理を連続流通式で行う場合は、ポンプによる加圧と出口圧力調整器を組み合わせて系内の圧力を設定してもよい。
加熱処理により、固体として存在していたキシランからキシロース、キシロビオース、及び/又はキシロオリゴ糖が生成し、液体部に溶解する。
工程(3)は、工程(2)で得られた加熱処理物から固液分離により液体部を得る工程である。加熱処理物から固体部を除去することで、未分解のキシラン、グルカン、リグニン等を除去することができる。
加熱処理物から前記固液分離により液体部を得る方法としては、特に制限されず、必要に応じ冷却しながら、ろ過、遠心分離、沈降分離により行うことができる。工程(3)の温度は、100℃以下、好ましくは80℃以下が好ましい。
本発明方法によれば、キシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖が生成される。キシロオリゴ糖としては3〜10のキシロース単位を有するものをいい、例えば、キシロトリオース、キシロテトラオース、キシロペントース、キシロヘキサオース、キシロヘプタオース等が挙げられる。
また、本発明方法によれば、40%以上、更に50〜100%、更に55〜98%の糖化率でキシランから分解糖を製造することができる。なお、糖化率とは、加水分解反応により生成した水溶性糖(キシロース、キシロビオース及びキシロオリゴ糖)の合計質量を、キシラン含有原料の質量で割った値を云い、後記記載の方法で求めることができる。
得られる分解糖は、また、分解糖を糖源として、微生物発酵を行ったり、化学変換したりすることにより、エタノール、乳酸、ポリ乳酸、キシリトール等の有用物質を製造することができる。
<水溶性糖濃度(キシロース濃度、キシロビオース濃度、キシロオリゴ糖濃度)の測定>
日立製作所製高速液体クロマトグラフを用い、昭和電工製カラムAsahipak NH2P−50 4E (4.5mmφ×250m)を装着し、カラム温度20℃でグラジエント法により行った。移動相A液はアセトニトリル、B液は30%メタノール水とし、1.00mL/分で送液した。グラジエント条件は以下のとおりである。
時間(分) A液(%) B液(%)
0 20 80
45 50 50
45.1 20 80
55 20 80
試料注入量は5μL、検出はESA Biosciences社製コロナCAD検出器を用いた。
<粉砕物の平均粒径の測定>
レーザー回折式粒度分布計(ベックマン・コールター社製、LS 13 320)により体積基準の平均粒径を測定した。
<結晶化度の測定>
本発明における結晶化度(セルロースI型結晶化度)は、株式会社リガク製の「RigakuRINT 2500VC X-RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定したサンプルのX線回折強度を、Segal法による前記計算式(1)に基づいて算出した。
測定用サンプルは面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製した。測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation,管電圧:40kV,管電流:120mA,測定範囲:回折角2θ=5〜45°、X線のスキャンスピード:10°/minで測定した。
<水溶性糖の収率の算出>
キシロースの収率(%)=工程(3)で得られた液体部中のキシロース質量/工程(1)で用いたキシラン含有原料の質量×100
キシロビオース及びキシロオリゴ糖の合計収率(%)=工程(3)で得られた液体部中のキシロビオース及びキシロオリゴ糖の合計質量/工程(1)で用いたキシラン含有原料の質量×100
<糖化率の算出>
糖化率は、上記の「キシロースの収率(%)」と「キシロビオース及びキシロオリゴ糖の合計収率(%)」の和とした。
実施例1
乾燥した稲ワラをグラインダーで粒径が3〜5cmとなるように粗粉砕した。稲ワラにおける結晶化度は38%であった(以下、同じ)。
振動ロッドミル((株)中央化工機製MB−1、容器全容積3.5L)に外径30mmのロッドを13本充填し(充填率74%)、粗粉砕した稲ワラ100gを仕込み、1,200サイクル/分で10分間振動することにより、粉砕稲ワラを得た。粉砕稲ワラの体積基準の平均粒径は0.04mm、結晶化度は29%であった。
この粉砕稲ワラ(キシラン含有量15.2質量%)10gと水90gを混合したスラリーを、バッチ式水熱処理装置(日東高圧製Start200New Quick、容積180mL)に入れ、上部空間を窒素置換し、加熱した。昇温速度は3.4℃/分とし、180℃に到達後、直ちに冷却した。165℃〜195℃にあった時間は35分であった。室温まで冷却後、ろ過により固体部(固形分残渣)をろ別し、液体部85.4gを得た。これを0.2μmのフィルターでろ過し、得られた濾液の水溶性糖濃度を測定した。水溶性糖として、キシロース、キシロビオース及びキシロオリゴ糖が測定された。
実施例2
水熱処理において180℃に到達後、180℃で30分保持した後に冷却した以外は実施例1と同様にして水溶性糖を得た。165℃〜195℃にあった時間は55分であった。
実施例3
水熱処理において180℃に到達後、180℃で60分保持した後に冷却した以外は実施例1と同様にして水溶性糖を得た。165℃〜195℃にあった時間は85分であった。
実施例4
乾燥した稲ワラをグラインダーで粒径が3〜5cmとなるように粗粉砕した。振動ロッドミル((株)中央化工機製MB−1、容器全容積3.5L)に外径30mmのロッドを13本充填し(充填率74%)、粗粉砕した稲ワラ100gを仕込み、1,200サイクル/分で30分間振動することにより、粉砕稲ワラを得た。粉砕稲ワラの体積基準平均粒径は0.01mm、結晶化度は20%であった。
この粉砕稲ワラ(キシラン含有量15.2質量%)10gと水90gを混合したスラリーを、バッチ式水熱処理装置(日東高圧製Start200New Quick、容積180mL)に入れ、上部空間を窒素置換し、加熱した。昇温速度は3.4℃/分とし、180℃に到達後、180℃で30分間保持した後、直ちに冷却した。165℃〜195℃にあった時間は55分であった。室温まで冷却後、ろ過により固体部(固形分残渣)をろ別し、液体部85.5gを得た。これを0.2μmのフィルターでろ過し、得られた濾液の水溶性糖濃度を測定した。水溶性糖として、キシロース、キシロビオース及びキシロオリゴ糖が測定された。
実施例5
水熱処理において到達温度を190℃にした以外は実施例1と同様にして水溶性糖を得た。処理中、ゲージ圧は1.3MPaに達した。165℃〜195℃にあった時間は40分であった。
実施例6
乾燥した稲ワラをグラインダーで粒径が3〜5cmとなるように粗粉砕した。振動ロッドミル((株)中央化工機製MB−1、容器全容積3.5L)に外径30mmのロッドを13本充填し(充填率74%)、粗粉砕した稲ワラ100gを仕込み、1,200サイクル/分で60分間振動することにより、粉砕稲ワラを得た。粉砕稲ワラの体積基準平均粒径は0.01mm、結晶化度は8%であった。
この粉砕稲ワラ(キシラン含有量15.2質量%)10gと水90gを混合したスラリーを、バッチ式水熱処理装置(日東高圧製Start200New Quick、容積180mL)に入れ、上部空間を窒素置換し、加熱した。昇温速度は3.4℃/分とし、180℃に到達後、180℃で30分間保持した後、直ちに冷却した。165℃〜195℃にあった時間は55分であった。室温まで冷却後、ろ過により固体部(固形分残渣)をろ別し、液体部85.8gを得た。これを0.2μmのフィルターでろ過し、得られた濾液の水溶性糖濃度を測定した。水溶性糖として、キシロース、キシロビオース及びキシロオリゴ糖が測定された。
実施例7
水熱処理において到達温度を190℃にした以外は実施例6と同様にして水溶性糖を得た。処理中、ゲージ圧は1.3MPaに達した。165℃〜195℃にあった時間は40分であった。
比較例1
水熱処理において到達温度を200℃にした以外は実施例1と同様にして水溶性糖を得た。処理中、ゲージ圧は1.6MPaに達した。165℃〜195℃にあった時間は40分であった。
比較例2
水熱処理において到達温度を200℃にして、200℃で30分保持した後に冷却した以外は実施例1と同様にして水溶性糖を得た。処理中、ゲージ圧は1.6MPaに達した。165℃〜195℃にあった時間は85分であった。
比較例3
水熱処理において到達温度を160℃にして、160℃で30分保持した後に冷却した以外は実施例4と同様にして水溶性糖を得た。処理中、ゲージ圧は0.6MPaに達した。165℃〜195℃にあった時間は0分であった。
比較例4
岩谷産業(株)製グラインダー(ラボミルサー800DG、容積260mL)に乾燥した稲ワラ40gを仕込んで20,000r/minで10分間攪拌することにより、粉砕稲ワラを得た。粉砕稲ワラの体積基準の平均粒径は0.27mm、結晶化度は38%であった。この粉砕稲ワラ(キシラン含有量15.2質量%)10gと水90gを混合し、その後実施例1と同様にして加熱処理を行い、水溶性糖を得た。
比較例5
20,000r/minで120分間攪拌した以外は比較例4と同様にして粉砕稲ワラを得た。粉砕稲ワラの体積基準の平均粒径は0.05mm、結晶化度は35%であった。この粉砕稲ワラ(キシラン含有量15.2質量%)10gと水90gを混合し、その後実施例1と同様にして加熱処理を行い、水溶性糖を得た。
各実施例及び比較例の条件と結果を表1と2に示す。
Figure 2013085523
Figure 2013085523
表1から明らかなように、キシランを含有する原料を振動ロッドミルで粉砕後、165℃〜195℃を超えない温度範囲で加熱処理した実施例1〜7では、いずれも糖化率が高く、分解糖の収率は高かった。
これに対し、195℃を超えて加熱処理した比較例1及び2、165℃未満で加熱処理した比較例3は、キシロースが過分解されるか、或いは加水分解が十分進行せず、分解糖の収率は低かった。また、振動ロッドミルの代わりにグラインダーを用いて粉砕した比較例4及び5は、糖化率が低かった。

Claims (7)

  1. 次の工程(1)〜(3):
    (1)キシラン含有原料に圧縮剪断応力を加えて粉砕し、キシラン含有粉砕物を得る工程、
    (2)工程(1)で得られるキシラン含有粉砕物を、水の存在下、165℃以上195℃を超えない温度範囲で加熱処理する工程、
    (3)工程(2)で得られる加熱処理物から、固液分離により液体部を得る工程、
    を有する、キシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法。
  2. 165℃以上195℃を超えない温度範囲で加熱処理する時間が10〜90分である、請求項1記載のキシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法。
  3. 工程(1)における圧縮剪断応力が振動ロッドミルを用いて得られるものである、請求項1又は2記載のキシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法。
  4. 前記加熱処理を水の飽和蒸気圧以上の圧力で行う、請求項1〜3のいずれか1記載のキシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法。
  5. キシラン含有原料としてキシラン含有バイオマスを用いる、請求項1〜4のいずれか1項記載のキシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法。
  6. 工程(1)で得られるキシラン含有粉砕物における結晶化度が30%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のキシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法。
  7. 工程(1)で得られるキシラン含有粉砕物における結晶化度が、キシラン含有原料における結晶化度の0.15〜0.8倍である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のキシロース、キシロビオース及び/又はキシロオリゴ糖の製造方法。
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