JP2017153379A - 草本系バイオマスを原料とするキシロオリゴ糖の製造方法 - Google Patents

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達司 川本
詠美子 富永
Emiko Tominaga
詠美子 富永
松下 響
Hibiki Matsushita
響 松下
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Abstract

【課題】草本系バイオマスを原料として、不純物濃度が低いキシロオリゴ糖を容易に製造する方法を提供すること。【解決手段】草本系バイオマス原料を圧搾することにより不純物を搾汁中に排出する圧搾工程、圧搾工程後の固形物をアルカリ溶液により洗浄するアルカリ洗浄工程、アルカリ洗浄工程後の固形物を水により洗浄する水洗浄工程、および水洗浄工程後の固形物を加熱処理した後にキシロオリゴ糖含有液を得る高温処理工程を含む、キシロオリゴ糖の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、イネ科植物などの草本系バイオマスを原料としてキシロオリゴ糖を製造する方法に関する。
数個の単糖がグリコシド結合により結合されてなるオリゴ糖は、ビフィズス菌などの腸内善玉菌を増殖させる作用を有することが知られている。特に、大豆オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、およびキシロオリゴ糖は、特定保健用食品における関与成分として指定されており、その整腸作用が広く知られている。
キシロオリゴ糖は複数のキシロースが結合してなるオリゴ糖であり、トウモロコシの芯などの草本系バイオマスに含まれるヘミセルロース中のキシランを加水分解して粗糖液を得て、それをイオン交換樹脂などにより精製することにより製造できることが知られている。しかし、粗糖液には多種多様な不純物が含まれるため、その精製は容易ではない。
オリゴ糖を含む粗糖液の精製方法として、例えば特許文献1では、粗糖液に紫外線を照射することにより、イオン交換樹脂による処理では除去が難しいエステル化合物などの非イオン性の不純物を、イオン交換樹脂により簡単に除去できる酸とアルコールに分解する方法が提案されている。また、特許文献2では、粗糖液を活性アルミナで処理することにより、不純物のみを吸着させて精製する方法が提案されている。
特開2006−265285号 特開2007−246497号
特許文献1の方法では、紫外線の照射だけでは不純物は除去することはできず、残存する酸またはアルカリ成分をイオン交換樹脂で除去する必要がある。しかし、イオン交換樹脂による処理は高コストであるため、イオン交換樹脂に依存した精製は最小限とすることが望ましい。また、特許文献2の方法では、比較的多量の活性アルミナを用いる必要があるため、活性アルミナの回収および再生が必要となる上、着色成分の除去効果が不十分であるという問題がある。従って、不純物濃度が低いオリゴ糖溶液を、比較的容易に製造する方法が求められている。
本発明者らは上述したような問題を検討した結果、原料の草本系バイオマスを最初に圧搾することにより不純物を搾汁中に排出することができ、さらに圧搾後の固形物をアルカリ溶液および水で洗浄した後に加熱処理することで、不純物が少ないキシロオリゴ糖含有液が得られることを見出した。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)草本系バイオマスを原料とするキシロオリゴ糖の製造方法であって、
原料を圧搾することにより不純物を搾汁中に排出する圧搾工程、
圧搾工程後の固形物をアルカリ溶液により洗浄するアルカリ洗浄工程、
アルカリ洗浄工程後の固形物を水により洗浄する水洗浄工程、および
水洗浄工程後の固形物を加熱処理した後にキシロオリゴ糖含有液を得る高温処理工程
を含む、前記方法。
(2)前記高温処理工程において、加熱処理前に固形物の含水率を70〜95%に調整することを含む、(1)に記載の方法。
(3)前記水洗浄工程を、50〜100℃の温水を用いて1〜100時間かけて行う、(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記アルカリ溶液を、圧搾工程後の固形物の乾燥重量1kgあたり溶質が0.1〜1.0モルとなる量で用いる、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記高温処理工程において、加熱処理が150〜220℃で行われる、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記圧搾工程が、原料を圧搾する第一圧搾工程と、第一圧搾工程で得た固形物に加水した後に再度圧搾する第二圧搾工程とを含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)草本系バイオマスの搾汁後の残渣を原料とするキシロオリゴ糖の製造方法であって、
原料をアルカリ溶液により洗浄するアルカリ洗浄工程、
アルカリ洗浄工程後の固形物を水により洗浄する水洗浄工程、および
水洗浄工程後の固形物を加熱処理した後にキシロオリゴ糖含有液を得る高温処理工程
を含む、前記方法。
本発明の方法によれば、圧搾工程および各洗浄工程により、原料に含まれる不純物を加水分解の前に大幅に低減させることができ、不純物の少ないキシロオリゴ糖含有液を効率よく製造することができる。
本発明の方法では、原料として草本系バイオマスを用いる。草本系バイオマスとは、イネ科植物などの草本植物の葉、茎および種子などからなるバイオマスであり、分解してキシロオリゴ糖となるキシランが含まれるものであれば、いずれの草本植物に由来するものであってもよい。代表的な草本系バイオマスとしては、イネ、ムギ、トウモロコシ、ソルガム、サトウキビ、ネピアグラスなどに由来するものが挙げられる。作物植物を用いる場合は、食料と競合しない部位、例えば稲わらやトウモロコシの芯、コーンストーバ、サトウキビバガス(搾汁後の残渣)を用いることが好ましい。一方、ネピアグラスのような非作物植物であれば、その全体を利用することができる。ネピアグラスは、食料生産に適さない土地での栽培が可能であり、かつ単位面積当りの生産量が高いため、草本系バイオマス原料として特に好ましい。
本発明の方法では、まず圧搾工程において草本系バイオマス原料を圧搾する。原料は、水分を含むものであることが好ましく、その含水率は60重量%以上、特に70重量%以上、とりわけ80重量%以上であることがより好ましい。原料の含水率は、例えば60〜90重量%の範囲、より好ましくは70〜90重量%の範囲である。生育中のイネ科植物は、60〜90重量%の含水率であることが知られている。従って、例えばネピアグラスのように全体を原料として用いることができる原料であれば、収穫後に乾燥処理等を行わずにそのまま圧搾することができる。収穫後の乾燥前のネピアグラスの含水率は70〜80重量%程度であることが知られている。あるいは、既に乾燥した原料を用いる場合は、圧搾の前に加水により含水率を調整してもよい。圧搾により、主にカリウム、ナトリウム、マグネシウム、リン、イオウなどのミネラル分およびその他の灰分が搾汁中に排出される。なお、本明細書で言及する含水率は、測定対象からサンプルを抜き出し、サンプルの採取直後の重量と乾燥重量とを測定して算出することができる。
圧搾は、1回のみ行ってもよく、あるいは2回以上行ってもよい。圧搾を2回以上行う場合、2回目以降の圧搾は、前段の圧搾で得た固形物に加水した後に行うことが好ましい。特に、ネピアグラスのような非作物植物であって、収穫後に乾燥させずに圧搾できる原料を用いる場合には、圧搾工程が、原料を圧搾する第一圧搾工程と、第一圧搾工程で得た固形物に加水した後に再度圧搾する第二圧搾工程とを含むことが好ましい。加水は、前段の圧搾で得た固形物の含水率が60重量%以上、特に70重量%以上、とりわけ80重量%以上となるように行うことが好ましい。
圧搾は、搾油などの技術分野において公知の圧搾装置を利用して行うことができる。公知の圧搾装置としては、スクリュープレス式のもの、フィルタープレス式のもの、およびローラープレス式のものなどが知られている。なお、サトウキビバガスのような、既に圧搾による搾汁が行われた草本系バイオマスの残渣を原料として用いる場合は、圧搾工程(2回以上圧搾を行う場合は、特に第一圧搾工程)は省略することもできる。
圧搾工程の後に行われるアルカリ洗浄工程では、圧搾工程で得た固形物をアルカリ溶液により洗浄する。具体的には、圧搾工程で得た固形物とアルカリ溶液とを混合し、好ましくは撹拌した後、遠心分離などにより固液分離を行って固形分を取り出す。アルカリ洗浄工程により、原料に含まれる酢酸などの酸成分の含量を低減させることができる。固形物とアルカリ溶液との混合は常温で行ってもよいが、50℃以上、特に60℃以上、とりわけ70℃以上の温度、より具体的には50〜100℃の範囲の温度で行うと、より効率よく酸成分を除去できるため好ましい。また、固形物とアルカリ溶液は、30分以上、特に1時間以上、とりわけ2時間以上の時間をかけて撹拌し混合することが酸成分除去の効率の観点から好ましい。
アルカリ溶液は、好ましくはアルカリ水溶液であり、より好ましくはアルカリ金属水酸化物の水溶液である。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが挙げられる。安価である水酸化ナトリウムの水溶液がアルカリ溶液として好ましい。アルカリ溶液の濃度は、圧搾工程で得た固形物の乾燥重量1kgあたり、水酸化ナトリウムなどの溶質が0.1〜1.0モルとなる量、より好ましくは0.3〜0.7モルとなる量で、例えば0.05〜0.5重量%、より好ましくは0.08〜0.1重量%の濃度のものを用いると、十分な洗浄効果が得られる上、次の水洗浄工程後にアルカリ溶液が残存することがないため好ましい。用いるアルカリ溶液の重量は、固形物の乾燥重量に対して10倍以上、特に15倍以上、とりわけ20倍以上であると、洗浄効率の観点から好ましい。アルカリ洗浄工程は1回のみ行ってもよく、あるいは2回以上繰り返してもよい。
アルカリ洗浄工程の後に行われる水洗浄工程では、アルカリ洗浄工程で得た固形物を水により洗浄する。具体的には、アルカリ洗浄工程で得た固形物と水とを混合し、好ましくは撹拌した後、遠心分離などにより固液分離を行って固形分を取り出す。水洗浄工程により、アルカリ洗浄工程で残存したアルカリ溶液と原料由来の不純物の両方を除去することができる。洗浄に用いる水の重量は、固形物の乾燥重量に対して5倍以上、特に10倍以上、とりわけ15倍以上、さらに20倍以上であると、洗浄効率の観点から好ましい。水は常温水でもよいが、温水を用いると洗浄効率が高まり好ましい。温水は、50℃以上、特に60℃以上、とりわけ70℃以上の温度、より具体的には50〜100℃の範囲の温度とすると、洗浄効率の観点から好ましい。
水洗浄工程は1回のみ行ってもよく、あるいは2回以上繰り返してもよい。処理時間、すなわち固形物と水とを混合する(好ましくは撹拌する)時間は、水洗浄工程全体で1時間以上、特に12時間以上、とりわけ24時間以上、具体的には1〜100時間、特に12〜100時間、とりわけ24〜100時間の範囲とすると、洗浄効率および作業効率の観点から好ましい。水洗浄工程を2回以上繰り返す場合は、1回ごとに条件を変えて行ってもよい。例えば、最初に高温水(70℃以上、より好ましくは80℃以上)により短時間(例えば1時間以内)の洗浄を1回または2回以上行い、その後に、それよりも温度が低い温水(50℃以上)により長時間(例えば12時間以上、より好ましくは24時間以上)の洗浄を行うようにすると、より洗浄効率が高まるため好ましい。
水洗浄工程の後に行われる高温処理工程では、水洗浄工程後の固形物を加熱処理してヘミセルロース(特にキシラン)を加水分解し、その処理物からキシロオリゴ糖含有液を得る。水洗浄工程後の固形物は、予め含水率を70重量%以上としておくことが、加水分解の効率の観点から好ましい。また、得られる糖含有液の糖濃度が過度に低くならないためには、含水率は95重量%以下とすることが好ましい。従って、好ましい含水率の範囲は70〜95重量%である。なお、静置条件下で加熱処理する場合、固形物の含水率は、固形物が水分を保持できる範囲である70〜75重量%とすることが好ましい。また、流動条件下で加熱処理する場合、固形物の含水率は、流動性を維持できる90重量%以上とすることが好ましい。
加熱処理は、処理スケールなどに応じて、水蒸気爆砕や蒸煮などの公知の方法を用いて行うことができる。処理温度は、ヘミセルロースの加水分解が生じる温度、具体的には150℃以上、特に160℃以上、とりわけ170℃以上とすることが好ましい。一方、加水分解が過度に進行してキシロオリゴ糖の重合度が低下しないよう、処理温度は220℃以下、特に210℃以下、とりわけ200℃以下とすることが好ましい。加熱処理は1回のみ行ってもよく、あるいは2回以上繰り返してもよいが、ヘミセルロースの加水分解が過度に進行しないよう、その処理時間は高温処理工程全体で15分間以下、特に10分間以下、とりわけ6分以下とすることが好ましい。一方、ヘミセルロースの加水分解が十分に進行するよう、処理時間は高温処理工程全体で3分間以上、特に4分間以上とすることが好ましい。
加熱処理後の生成物は、遠心分離などにより固液分離を行って、キシロオリゴ糖含有液と糖抽出絞り滓に分離する。キシロオリゴ糖含有液は、比較的少量の不純物が依然として含まれている粗糖液であるが、活性炭やイオン交換樹脂を用いた公知の精製方法を用いることにより、従来法で得られる粗糖液よりも容易に精製することができる。
本発明の方法で得られる粗糖液は、圧搾工程、アルカリ洗浄工程および水洗浄工程を経ずに原料を加水分解して得られる粗糖液と比較して、ミネラル分、特にカリウム、マグネシウム、リン、イオウおよびシリカの含量、ならびに灰分の含量が低いことを特徴とする。具体的には、水洗浄工程後に得られ、高温処理工程において粗糖液の製造に用いられる固形物におけるカリウム、マグネシウム、リン、イオウまたはシリカの含量は、出発原料における含量に対して35重量%以下、場合によっては30重量%以下あるいは20重量%以下となり得る。特にリンの含量は5重量%以下あるいは3重量%以下となり得る。灰分の含量は20重量%以下となり得る。また、420nmにおける吸光度を指標とすることができる着色物質の含量は、出発原料における含量に対して25重量%以下となりうる。さらに、ミネラル分および酸成分の指標となる粗糖液の電気伝導度は、圧搾工程、アルカリ洗浄工程および水洗浄工程を経ずに原料を加水分解して得られる粗糖液と比較して20%以下に低下し得る。
本発明の方法により得られるキシロオリゴ糖は、平均重合度が高いことを特徴とする。一般的に、オリゴ糖はその重合度が高いほど整腸効果が高いことが知られているため、平均重合度が高いキシロオリゴ糖は価値が高い。例えば、従来法により製造された市販のキシロオリゴ糖は重合度が2〜3程度であることが多いが、本発明の方法によれば、平均重合度が5以上、特に6以上、とりわけ8以上、さらに10以上のキシロオリゴ糖を得ることができる。なお、キシロオリゴ糖の平均重合度はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)またはサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)などの手法によって算出することができる。
キシロオリゴ糖含有液と共に得られる糖抽出搾り滓は、出発原料である草本系バイオマスと比較して、ミネラル分および灰分の含量が低く、さらに大半のヘミセルロースがキシロオリゴ糖へと加水分解された結果、リグニンおよびセルロース含量が高いという特徴を有する。従って、糖抽出搾り滓自体も様々な産業分野で有用なバイオマスとして利用できる。
例えば、ヘミセルロース成分が少なく、相対的にセルロース成分が多い特徴を活かして、糖抽出搾り滓をエタノールなどのバイオ燃料の製造原料として利用することができる。具体的には、糖抽出搾り滓を従来公知の方法によりグルコースまたはセロビオースを含有する酵素糖化液に転換し、それをアルコール発酵させることによりバイオ燃料を製造することができる。そのような酵素糖化液であれば、キシロースを利用する能力を有しない非遺伝子組換微生物を利用したバイオ燃料製造の原料とすることができる。また、糖抽出搾り滓を原料として用いると、キシロースの過分解物であるフルフラールや酢酸などの発酵阻害物の量が少なくなり、高い発酵効率が期待される。従って、本発明は別の側面において、草本系バイオマスを原料とする上述のキシロオリゴ糖の製造方法において得られる糖抽出搾り滓を発酵させることを含む、バイオ燃料の製造方法に関する。
また、糖抽出搾り滓は灰分含量が低いことから、それを成形乾燥することで灰の発生が少ない高品質ボイラー燃料として利用することができる。糖抽出搾り滓は、上述のとおりリグニンおよびセルロース含量が高いため、元の草本系バイオマスと比べて発熱量が高くなることが期待される。従って、本発明は別の側面において、草本系バイオマスを原料とする上述のキシロオリゴ糖の製造方法において得られる糖抽出搾り滓を成形乾燥することを含む、固形燃料の製造方法に関する。
本発明の方法は、特別な装置などを利用することなく、従来用いられている圧搾設備、アルカリに対応した洗浄および脱液設備、および加熱処理設備を用意することにより、比較的容易に実施できるため、低コストでキシロオリゴ糖を製造する方法として有利である。なお、本発明の方法の圧搾工程、アルカリ洗浄工程、水洗浄工程および高温処理工程の各工程についてこれまで詳細に説明したが、本発明の方法はこれらの工程のみならず、必要に応じて任意の段階に任意の工程が含まれていてもよい。本発明の方法により得られるキシロオリゴ糖は重合度が高いため、ヒトおよび他の動物における健康に資する効果が高く有用である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<1.粗糖液の調製>
[実施例1]
(1)圧搾
沖縄産のネピアグラス茎を10cm長さに裁断し、原料として使用した。搾油用のスクリュープレスを用いてネピアグラスを圧搾した。173kgのネピアグラスから圧搾原料41kgを得た。圧搾原料の成分構成を表1に示す。
Figure 2017153379
(2)加水圧搾
得られた圧搾原料32kgに、64kgの水を均一に添加し、再度圧搾することで28kgの加水圧搾原料を得た。
(3)アルカリ溶液洗浄
5Lのプラスチック製容器に、177g(乾燥重量125g)のネピアグラス加水圧搾原料を入れ、温水3.3Lおよび1mol/LのNaOH水溶液67mLを加え、温度調節機能付きウォーターバス中、80℃で2時間撹拌した。固形分を取り出すため、濾布遠心分離器(H−110、コクサン社製)を用いてアルカリ洗浄液を除去し、350gの固形分を得た。
(4)温水洗浄
5Lのプラスチック製容器に、350gのアルカリ洗浄固形物を入れ、熱湯3.2Lを加え、80℃で0.7時間撹拌した。濾布遠心分離器を用いて洗浄液を除去し、固形分を取り出した。この洗浄固形物に再度熱湯3.2Lを加え、80℃で0.7時間撹拌した。濾布遠心分離器を用いて洗浄液を除去し、固形分を取り出した。さらに、洗浄固形物に蒸留水4Lを加え、50℃で48時間撹拌した。濾布遠心分離器を用いて洗浄液を除去し、洗浄原料として320gの固形分を得た。
(5)高温処理(水蒸気爆砕)
洗浄原料147gに蒸留水33gを加え含水率を70%に調整し、水蒸気爆砕装置(日東高圧社製)を用いて200℃で10分間加熱処理を実施した。含水率90%の加熱処理物から濾布遠心分離器を用いて糖抽出搾り滓を除去し、約400gの粗糖液を得た。
[実施例2]
実施例1の高温処理を蒸煮装置(高橋汽缶社製)を用いて実施し、高温処理条件を200℃で4分間とした以外は、実施例1と同様にして原料の乾燥重量に対して5.7倍量の粗糖液(一番粗糖液)を得た。次に、一番粗糖液を得る際に生じた糖抽出搾り滓に蒸留水を加え含水率を70%に調整し、蒸煮装置を使って200℃で4分間の加熱処理を再度実施した。含水率90%の加熱処理物から濾布遠心分離器を用いて糖抽出搾り滓を除去し、原料(ネピアグラス茎)の乾燥重量に対して3.7倍量の粗糖液(二番粗糖液)を得た。
[比較例1]
アルカリ溶液洗浄を実施しない以外は、実施例1と同様にして粗糖液を調製した。
[比較例2]
加水圧搾、アルカリ溶液洗浄および温水洗浄を実施しない以外は、実施例1と同様にして粗糖液を調製した。
[比較例3]
原料をネピアグラスからサトウキビバガスに変更し、アルカリ溶液洗浄を実施しない以外は、実施例1と同様にして粗糖液を調製した。
[実施例3]
高温処理を蒸煮装置を用いて実施し、高温処理条件を200℃のまま保持時間を4〜10分間に変えた以外は実施例2と同様にして粗糖液を作製した。
<2.粗糖液の分析>
表2に実施例1および2ならびに比較例1〜3で得られた粗糖液の分析結果を示す。糖度は、糖度計(PR−201、アタゴ社製)を用いて測定した。単糖(キシロースおよびグルコース)ならびに酢酸の濃度は、液体クロマトグラフィにより測定した。pHは、卓上pHメーター(F−55、pH電極9618−10Dを使用、ホリバ社製)を用いて測定した。電気伝導度は、含有されるイオン(灰分および酸)の量の指標として、汎用電気伝導率用セル(3552−10D、ホリバ社製)を用いて測定した。波長420nmにおける吸光度は、含有される着色成分の指標として、紫外可視分光光度計(Ultrospec 2100pro、Amersham Biosciences社製)を用いて測定した。キシロオリゴ糖の糖平均重合度はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)またはサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)などの手法を用いて測定した。
Figure 2017153379
実施例1で高温処理後に得られた粗糖液における糖平均重合度は13と大きく、酢酸濃度、電気伝導度および吸光度が低かった。実施例2では、一番粗糖液および二番粗糖液のいずれにおいても酢酸濃度、電気伝導度および吸光度が低かったが、特に二番粗糖液ではそれらが一番粗糖液に比べて半減していた。ただし、糖平均重合度は測定しなかったものの、二番粗糖液では単糖であるキシロースの濃度が増加していることから、二回の高温処理によりキシロオリゴ糖の糖平均重合度が低下している可能性が推察された。
一方、アルカリ溶液洗浄を行わなかった比較例1では、酢酸濃度が実施例1の約4倍であり、アルカリ溶液洗浄が酢酸濃度の低減に寄与していることがわかった。また、比較例1では糖平均重合度が4と低く、アルカリ溶液洗浄がキシロオリゴ糖の重合度の維持に関与していることが示唆された。
加水圧搾、アルカリ溶液洗浄および温水洗浄を行わなかった比較例2では、酢酸濃度が高いのみならず、電気伝導度および吸光度のいずれも高くなり、加水圧搾および温水洗浄の少なくともいずれかが、灰分および着色成分の低減に寄与していることがわかった。
原料にネピアグラスに代えてサトウキビバガスを用い、アルカリ溶液洗浄を行わなかった比較例3では、酢酸濃度が高く、また糖平均重合度も低かった。なお、サトウキビバガスは製糖時に繰り返し圧搾されているため、細胞壁が壊れやすく、キシランが分解しやすい傾向があるため、それが糖平均重合度が低くなった一因となったことが考えられた。
表3に、実施例3における高温処理の保持時間ごとの粗糖液の糖平均重合度を示す。高温処理の時間が長くなるほど糖平均重合度が低下する傾向がわかった。
Figure 2017153379
<3.固形分に残存するミネラルおよび灰分含量の分析>
表4に、実施例1と同様に実施した各工程で得られた固形分(圧搾原料、加水圧搾原料、洗浄原料および糖抽出搾り滓)に含まれるミネラルおよび灰分の含量(重量%)を分析した結果を示す。ミネラル含量はICP分析により行った。灰分含量は、絶乾原料を600℃に加熱して測定した。洗浄原料では、圧搾原料と比較して灰分量が80%低減されており、加水圧搾、アルカリ溶液洗浄および温水洗浄による灰分除去の効果が確認された。また、糖抽出搾り滓のミネラルおよび灰分の含量は極めて少なかった。
Figure 2017153379

Claims (7)

  1. 草本系バイオマスを原料とするキシロオリゴ糖の製造方法であって、
    原料を圧搾することにより不純物を搾汁中に排出する圧搾工程、
    圧搾工程後の固形物をアルカリ溶液により洗浄するアルカリ洗浄工程、
    アルカリ洗浄工程後の固形物を水により洗浄する水洗浄工程、および
    水洗浄工程後の固形物を加熱処理した後にキシロオリゴ糖含有液を得る高温処理工程
    を含む、前記方法。
  2. 前記高温処理工程において、加熱処理前に固形物の含水率を70〜95%に調整することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記水洗浄工程を、50〜100℃の温水を用いて1〜100時間かけて行う、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記アルカリ溶液を、圧搾工程後の固形物の乾燥重量1kgあたり溶質が0.1〜1.0モルとなる量で用いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記高温処理工程において、加熱処理が150〜220℃で行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記圧搾工程が、原料を圧搾する第一圧搾工程と、第一圧搾工程で得た固形物に加水した後に再度圧搾する第二圧搾工程とを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 草本系バイオマスの搾汁後の残渣を原料とするキシロオリゴ糖の製造方法であって、
    原料をアルカリ溶液により洗浄するアルカリ洗浄工程、
    アルカリ洗浄工程後の固形物を水により洗浄する水洗浄工程、および
    水洗浄工程後の固形物を加熱処理した後にキシロオリゴ糖含有液を得る高温処理工程
    を含む、前記方法。
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