JP2013139018A - 粉砕物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】短時間で被粉砕原料を小粒径化することが可能な、生産性に優れた振動粉砕機及び粉砕物の製造方法を提供する。
【解決手段】内部に円柱形の空間を有し、該円柱形の空間の中心軸が略水平になるように配置され、該中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能に保持された容器、該容器内部に振動可能に配置された円筒状媒体、及び該円筒状媒体内側に振動可能に配置された複数の粉砕媒体を備えた振動粉砕機であって、該粉砕媒体の外径に対する、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体の内径の比(粉砕媒体が接する円筒状媒体の内径/粉砕媒体の外径)が2.1以上であり、かつ、該粉砕媒体の体積の積算値が、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体内側の空間容積の25%を超える値である振動粉砕機、並びに該振動粉砕機の該容器内部に被粉砕原料を導入し、該容器を振動させて該被粉砕原料を粉砕処理する工程を有する、粉砕物の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、粉砕物の製造方法及び糖の製造方法に関する。
物質を小粒径化して比表面積を増大させることにより、その物質の反応性が向上し、また、かさ密度等のハンドリング性に関与する性質が変化することは一般によく知られている。物質を小粒径化する方法において、最も基本的な単位プロセスの一つとして粉砕プロセスが挙げられ、古くは鉱物の粉砕や、炭酸カルシウム等の無機物の粉砕が行われており、その利用分野も非常に多岐に渡る。
また、結晶構造を有する物質は一般に反応性が乏しく、利用が困難であった。特定の粉砕プロセスでは、粉砕と同時に物質を非晶化することが可能となり、その反応性を著しく向上させることができる。その結果、化学反応によって非晶化物に各種の官能基を結合させ、その価値を飛躍的に高めることができる。
近年では、環境問題への意識の高まりからバイオマス材料が注目されており、セルロース含有原料を粉砕して微粒化したセルロースや非晶化されたセルロースは、セルロースエーテル等のセルロース誘導体の原料や、化粧品、食品、バイオマス材料等の工業原料に用いられている。上記セルロース含有原料の粉砕に用いられる、様々な粉砕機も提案されている。例えば、特許文献1には、木質材を破砕した後、その破砕物を、粉砕媒体としてロッドを装入した上段の第1粉砕筒、及び粉砕媒体としてボールを装入した下段の第2粉砕筒を備える振動式粉砕機に供して粉砕する方法により、全体の90重量%以上を粒径100μm以下の粉末にまで粉砕できることが開示されている。また特許文献2及び3には、嵩密度が100〜500kg/m3のセルロース含有原料を、ボール又はロッドを充填した振動ミル等の粉砕機で処理して、非晶化セルロースを製造する方法が開示されている。
さらに特許文献4には、より微粒化を行う粉砕機として、円筒容器内に、突起の付いた厚板円板を粉砕媒体として複数枚挿入し、円筒容器を上下振動させて木質系バイオマスを粉砕する装置が開示されており、特許文献5には、同じく微粒化を行う粉砕機として、円筒容器内に、複数の凸部が形成され、中央に軸方向の穴部が形成された回転体を粉砕媒体として挿入し、円筒容器を公転させて木質系バイオマスを粉砕する装置が開示されている。
また、近年、環境問題への取り組みなどから、セルロースを含有するバイオマス材料から糖を製造し、それを発酵法などでエタノールや乳酸などへ変換する試みがなされている。セルロースを含有するバイオマス材料をセルラーゼなどの酵素により処理し、該セルロースを糖化して糖を製造する方法においては、その前処理工程として、該セルロース含有原料を粉砕して微粒化及び非晶化させる処理を行うことが有用である。例えば、セルロース含有原料をロッドを充填した振動ミルで処理して、セルロースI型結晶化度を低減した非晶化セルロースを調製した後に、該非晶化セルロースにセルラーゼ及び/又はヘミセルラーゼを作用させて糖化する方法が知られている(特許文献6)。
特開2004−188833号公報 特許第4160108号公報 特許第4160109号公報 特開2008−93590号公報 特開2009−233542号公報 特開2009−171951号公報
しかし、特許文献1〜4に記載の粉砕機を用いた粉砕方法では、例えば10分以内といった短い時間で、セルロース含有原料の微粒化や非晶化を行うことは困難であった。特許文献5では微粒化の速度がある程度速くなることが提案されているものの、円筒状容器と回転体の凸部においてのみでしか粉砕が行われないため、装置のサイズが大きくなった場合には、容量に対する粉砕効率が低下することが容易に想像される。また、回転体に凸部を設けることは、加工が困難でコストがかかることだけでなく、凸部の磨耗により粉砕効率が低下することも問題である。
本発明は、短時間で被粉砕原料を小粒径化することが可能な、振動粉砕機を用いた粉砕物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、内部に円柱形の空間を有し、該円柱形の空間の中心軸が略水平になるよう配置され、該中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能に保持された容器、該容器内部に振動可能に配置された円筒状媒体、及び該円筒状媒体内側に振動可能に配置された複数の粉砕媒体を備えた振動粉砕機であって、該粉砕媒体の外径に対する、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体の内径の比が一定値以上であり、該粉砕媒体の体積の積算値が、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体内側の空間容積の一定値以上である振動粉砕機を用いることによって、前記課題を解決できること、また上記振動粉砕機を用いて製造されたセルロース含有原料の粉砕物は、酵素による糖化処理が効率よく進行することを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕、〔2〕及び〔3〕を提供する。
〔1〕内部に円柱形の空間を有し、該円柱形の空間の中心軸が略水平になるように配置され、該中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能に保持された容器、該容器内部に振動可能に配置された円筒状媒体、及び該円筒状媒体内側に振動可能に配置された複数の粉砕媒体を備えた振動粉砕機であって、該粉砕媒体の外径に対する、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体の内径の比(粉砕媒体が接する円筒状媒体の内径/粉砕媒体の外径)が2.1以上であり、かつ、該粉砕媒体の体積の積算値が、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体内側の空間容積の25%を超える値である振動粉砕機を用い、該振動粉砕機の該容器内部に被粉砕原料を導入し、該容器を振動させて該被粉砕原料を粉砕処理する工程を有する、粉砕物の製造方法、
〔2〕内部に円柱形の空間を有し、該円柱形の空間の中心軸が略水平になるように配置され、該中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能に保持された容器、該容器内部に振動可能に配置された円筒状媒体、及び該円筒状媒体内側に振動可能に配置された複数の粉砕媒体を備えた振動粉砕機であって、該粉砕媒体の外径に対する、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体の内径の比(粉砕媒体が接する円筒状媒体の内径/粉砕媒体の外径)が2.1以上であり、かつ、該粉砕媒体の体積の積算値が、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体内側の空間容積の25%を超える値である、振動粉砕機、
〔3〕前記〔1〕の方法でセルロース含有原料の粉砕物を製造する工程と、該粉砕物を酵素で糖化処理する工程とを有する、糖の製造方法。
本発明の振動粉砕機、及び該振動粉砕機を用いた粉砕物の製造方法によれば、短時間で被粉砕原料を小粒径化し、及び、短時間で結晶性の被粉砕原料を低結晶化することができ、粉砕物製造の生産性を向上させることができる。
また、本発明の製造方法によって得られたセルロース含有原料の粉砕物を酵素で糖化処理することにより、効率よく糖を製造することができる。
本発明の第1の実施形態の振動粉砕機において、粉砕媒体として円柱状の棒状媒体3aを用いた一例を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の振動粉砕機において、粉砕媒体として球状媒体3bを用いた一例を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態の振動粉砕機において、粉砕媒体として円柱状の棒状媒体3aを用いた一例を示す斜視図である。 図3に示す振動粉砕機の、容器の中心軸に対し垂直な面方向に切断した断面図である。 比較例8で用いた振動粉砕機において、軸方向に分割された円柱状の棒状媒体3cの配置状態を示す図である。 比較例8で用いた振動粉砕機において、軸方向に分割された円筒状媒体2a及び軸方向に分割された円柱状の棒状媒体3cの一部を容器1内部から取り出した部分拡大図である。
本発明の粉砕物の製造方法は、内部に円柱形の空間を有し、該円柱形の空間の中心軸が略水平になるように配置され、該円柱の中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能に保持された容器(以下「粉砕容器」ともいう)、該粉砕容器内部に振動可能に配置された円筒状媒体、及び該円筒状媒体内側に振動可能に配置された複数の粉砕媒体を備えた振動粉砕機であって、該粉砕媒体の外径に対する、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体の内径の比(粉砕媒体が接する円筒状媒体の内径/粉砕媒体の外径)が2.1以上であり、かつ、該粉砕媒体の体積の積算値が、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体内側の空間容積の25%を超える値である振動粉砕機を用い、該振動粉砕機の該粉砕容器内部に被粉砕原料を導入し、該粉砕容器を振動させて該被粉砕原料を粉砕処理する工程を有することを特徴とする。
[振動粉砕機]
本発明の振動粉砕機の第1及び第2の実施形態につき、それぞれ図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
本発明の振動粉砕機の第1の実施形態の一例を図1及び図2に示す。本発明の第1の実施形態の振動粉砕機は、内部に円柱形の空間を有し、該円形の空間の中心軸が略水平になるように配置され、該円柱の中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能に保持された粉砕容器1と、該粉砕容器1内部に振動可能に配置された円筒状媒体2と、該円筒状媒体2内に設けられた、複数の粉砕媒体3a及び/又は3bとを備える。図1及び図2において、円筒状媒体2は軸方向に分割されており、2aは円筒状媒体2を軸方向に分割したうちの1つの円筒状媒体である。また、図1及び図2においては、粉砕容器1内部に配置される円筒状媒体2、及び粉砕媒体3a及び/又は3bを表示するため、粉砕容器1の一部及び粉砕容器の保持部を省略して図示する。
本発明に用いられる粉砕媒体としては、例えば棒状媒体や球状媒体が挙げられる。図1には粉砕媒体として円柱状の棒状媒体3aを示し、図2には球状媒体3bを示す。以下、上記棒状媒体3a及び/又は球状媒体3bを総称して「粉砕媒体3」ともいう。
本発明の第1の実施形態の振動粉砕機において、粉砕媒体3の外径に対する、該粉砕媒体3が接する円筒状媒体2の内径の比(円筒状媒体2の内径/粉砕媒体3の外径)は2.1以上である。また、粉砕媒体3の体積の積算値は、該粉砕媒体3が接する円筒状媒体2の内側の空間容積の25%を超える値である。
<粉砕容器>
粉砕容器1は、内部に円柱形の空間を有し、該円柱形の空間の静止状態の中心軸が略水平方向になるように配置され、該中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能な状態で保持されている。ここで、「円柱形の空間の中心軸」とは、該円柱の円形な2つの底面の重心を通る仮想の直線を意味し、「略水平方向」とは、水平面となす角度が−10〜10°である方向のことを指す(以下、「略水平方向」を単に「水平」ともいう)。粉砕容器1の材質は特に限定されないが、例えば鉄、鋼鉄、ステンレススチール等の金属や合金を用いることができ、焼入れ等の処理が行われていてもよい。
粉砕容器1の内部の空間の形状は、均一に粉砕を行う観点から、底面が正円や楕円等の略円形の円柱形であることが好ましい。
粉砕容器1の大きさは特に限定されない。例えば、粉砕容器1の内径は、50〜1500mmが好ましく、80〜1200mmがより好ましく、100〜1000mmが更に好ましい。また、粉砕容器1の内部の円柱形の空間の中心軸(以下、「粉砕容器の軸」ともいう。)方向の長さは、100〜10000mmが好ましく、120〜8000mmがより好ましく、150〜6000mmが更に好ましい。本発明において粉砕容器1の内径とは、粉砕容器1の軸から粉砕容器1内面までの最短距離の2倍を意味し、該円柱形である内部空間の底面が正円形である時は、該正円の直径に等しく、楕円形である時は、該楕円の短径に等しい。
粉砕容器1は、粉砕時には粉砕容器1の軸に対し略垂直な面内方向に振動する。本発明における粉砕容器1の振動とは、粉砕容器1の軸の軌跡が直線を描く運動だけを指すものでなく、楕円、又は正円を描く運動を含む。粉砕容器1の振動数、振幅は特に限定されないが、振動数と振幅を増加させることで、粉砕容器1、粉砕容器内部に配置された円筒状媒体2、及び該円筒状媒体2内側に配置された粉砕媒体3に与えられる加速度を大きくすることができ、被粉砕原料の粉砕速度を高めることができる。
よって、粉砕容器1の振動数は、8Hz以上であることが好ましく、10Hz以上であることがより好ましく、12Hz以上であることが更に好ましい。振幅は、粉砕速度の観点から、5mm以上であることが好ましく、6mm以上であることがより好ましく、7mm以上であることが更に好ましい。
一方、装置負荷の観点からは、粉砕容器1の振動数は40Hz以下であることが好ましく、35Hz以下であることがより好ましく、30Hz以下であることが更に好ましい。また振幅は25mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましく、18mm以下であることが更に好ましい。
粉砕容器1の軸の軌跡が直線を描かない場合、粉砕容器1の振動は複数の異なる長さの振幅を有するが、本発明において粉砕容器1の振動の振幅とは、粉砕容器1の振動の振幅の内、最も長い振幅を意味し、例えば粉砕容器1の軸の軌跡が楕円を描く場合、該楕円の長径を意味する。
粉砕容器1の振動機構は、振動モーター、偏心錘又は偏心加振装置等からなり、これらの機構は周知の機構と同様である。上記機構は、例えば、上述した特開2004−188833号公報の他、特開2008−93534号公報や特開2008−132469号公報等にも開示されている。
粉砕容器1内部への被粉砕原料の導入は、予め粉砕容器1内に導入してもよく、また粉砕処理を行いながら導入口4から連続的に導入してもよい。工業的に連続生産を行う観点からは、粉砕処理を行いながら被粉砕原料を粉砕容器1内部に連続的に導入する方が好ましい。このとき、導入口4を粉砕容器一端の上部に設け、排出口5を導入口4とは反対側の端の下部に設けることで、連続処理が可能となる。排出口5の手前には、被粉砕原料を粉砕容器1内に滞留させて粉砕を十分に行わせるために、開口部の開口面積を制限したスリットを設けてもよい。なお、図1及び図2において、導入口4及び排出口5の図示は省略する。
粉砕容器1の周囲には、冷却用のジャケットを付帯させ、粉砕時に冷却を行ってもよい。また、被粉砕原料が酸化等の雰囲気の影響を受ける場合には、窒素パージ等を行うノズルを粉砕容器1の導入口4及び/又は排出口5付近の粉砕容器上に設けてもよい。
また、粉砕容器1と円筒状媒体2との衝突による粉砕容器1内の損傷を防止するため、粉砕容器1内にライニングとして筒状または曲板状の鋼板を挿入してもよい。ライニングと円筒状媒体2の衝突によりライニングが損傷した場合でも、ライニングは容易に交換することが可能であり、装置メンテナンスの観点からは好ましい。ライニングの厚みは特に限定されないが、耐久性の観点から、好ましくは1〜30mm、より好ましくは3〜20mm、更に好ましくは5〜16mmである。
<円筒状媒体>
円筒状媒体2は、図1及び図2に示すように、粉砕容器1の軸と円筒状媒体2の中心軸(以下「円筒状媒体の軸」ともいう)とを略平行にした状態で、粉砕容器1内部に振動可能に配置される。ここで「振動可能に配置」とは、粉砕容器1を振動させた際に、円筒状媒体2が、粉砕容器1内で粉砕容器1の軸に対して垂直な面方向、及び軸方向に振動可能な状態に配置されることをいう。
本発明の振動粉砕機は、粉砕容器1を振動させることにより、円筒状媒体2が粉砕容器1内で振動し、この円筒状媒体2の振動により、円筒状媒体2内に振動可能に配置された複数の粉砕媒体3による粉砕速度が向上するため、より短時間で被粉砕原料を小粒径化することができ、及び、セルロース等の結晶性の物質を低結晶化することができる。
図1及び図2に示すように、円筒状媒体2内側に、円筒状媒体2の軸に垂直な面内に複数の粉砕媒体3が存在するように配置することにより、粉砕媒体3の衝突力及び粉砕媒体3同士及び円筒状媒体2と粉砕媒体3との衝突回数を増加させ被粉砕原料の粉砕速度を向上することができる。この粉砕速度の観点から、後述する粉砕媒体3の外径に対する、該粉砕媒体3が接する円筒状媒体2の内径の比(粉砕媒体3が接する円筒状媒体2の内径/粉砕媒体3の外径)は、2.1以上であり、2.2以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましい。また、粉砕媒体3の外径に対する、該粉砕媒体3が接する円筒状媒体2の内径の比は500以下であることが好ましく、350以下であることがより好ましく、100以下であることが更に好ましく、50以下であることが更により好ましく、25以下であることが更により一層好ましい。
本発明において円筒状媒体の内径とは、円筒状媒体の軸から、円筒状媒体の内面までの最短距離の2倍を意味する。
粉砕媒体3については後述するが、粉砕媒体3の外径とは、円柱状又は四角形以上の多角形の角柱状の棒状媒体3aの場合は棒状媒体の長さ方向に垂直な円形又は四角形以上の多角形である切断面において、その重心を通り断面の外縁に両端を有する直線のうち、最も長い直線の長さ、即ち断面が正円であれば、該正円の直径を意味し、球状媒体3bの場合は球の直径を意味する。
円筒状媒体2の材質は特に限定されない。例えば鉄、アルミ、鋼鉄、ステンレススチール等の金属や合金、ジルコニア等のセラミクスを用いることができる。ステンレススチールや鋼鉄は焼入れ等の処理が行われていてもよい。
円筒状媒体2の形状は、粉砕容器1内部で円筒状媒体2を振動させた際に、粉砕容器1の振動による運動エネルギーを効率よく円筒状媒体2に伝導して円筒状媒体2の運動性を向上させ、さらに円筒状媒体2内側に存在する粉砕媒体3の衝突エネルギーを大きくし、粉砕媒体3同士及び円筒状媒体2と粉砕媒体3との衝突回数を増加させ被粉砕原料の粉砕速度を向上する観点から、円筒状媒体2の内側空間の断面が正円状、楕円状等の略円形状、及び六角形以上の多角形状の筒型であることが好ましく、正円状の筒型がより好ましい。円筒状媒体2の外向き表面及び内向き表面には突起があってもよいが、円筒状媒体2の磨耗による粉砕効率の低下を防ぐ観点から、突起がないことが望ましい。
粉砕容器1の内径と、該粉砕容器1の内部に接する円筒状媒体2の外径との差(粉砕容器1の内径−円筒状媒体2の外径)は、3〜60mmであることが好ましく、5〜55mmであることがより好ましく、8〜50mmであることが更に好ましく、10〜45mmであることが更により好ましい。円筒状媒体2の外径と粉砕容器1の内径との差が上記範囲であると、粉砕媒体3による被粉砕原料の粉砕速度を高めることができる。粉砕容器1内にライニングを挿入した場合には、粉砕容器1の内径と、該粉砕容器1の内部に接する円筒状媒体2の外径との差から、更にライニングの厚みの2倍の長さを差し引いた値が上記範囲内であることが好ましい。
本発明において、円筒状媒体の外径とは、円筒状媒体の軸から円筒状媒体の外側表面までの最長距離の2倍を意味し、例えば円筒状媒体の軸に垂直な断面の外周の形状が正円形である場合は、正円の直径を、楕円形である場合は、該楕円の長径を意味し、多角形である場合は、該多角形の重心から頂点までの距離の内、最長のものの2倍を意味する。
円筒状媒体2の強度の観点から、円筒状媒体2の外径に対する該円筒状媒体2の厚みの比(円筒状媒体2の厚み/円筒状媒体2の外径)は、0.02以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.05以上が更に好ましく、0.1以上であることが更により好ましい。
また、円筒状媒体2内における粉砕媒体3の充填量を増やし、粉砕媒体3同士及び円筒状媒体2と粉砕媒体3との衝突回数を増加させ、被粉砕原料の粉砕速度を向上する観点から、円筒状媒体2の外径に対する該円筒状媒体2の厚みの比は0.7以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましい。
ここで「円筒状媒体の厚み」とは、円筒状媒体を形成する部材の厚みを意味し、円筒状媒体の軸方向の長さを意味しない。円筒状媒体2の厚みが部位によって異なる場合は、円筒状媒体の厚みとは、最も厚い部位の厚みを意味する。
円筒状媒体2の軸方向の長さは、粉砕容器1の軸方向の長さより短い限り、特に限定されないが、円筒状媒体2と粉砕媒体3との接触面積を大きくして粉砕速度を高める観点から、粉砕容器1内部の円柱形の空間の軸方向の長さに対する、円筒状媒体2の軸方向の長さの比(円筒状媒体2の軸方向の長さ/粉砕容器1内部の円柱形の空間の軸方向の長さ)は、0.80〜0.995であることが好ましく、0.85〜0.99であることがより好ましく、0.90〜0.98であることが更に好ましい。
さらに、粉砕容器1を振動させた際に、粉砕媒体3が円筒状媒体2の内側から外側に出ると、粉砕容器1内における円筒状媒体2の振動を妨げる。よって粉砕容器1内部の円柱形の空間の軸方向の長さと、円筒状媒体2の軸方向の長さとの差が、図1における棒状媒体3aの軸方向の長さ、又は図2における球状媒体3bの直径よりも小さくなることが好ましい。
円筒状媒体2は、円筒状媒体2の軸方向に複数に分割されていてもよい。図1及び図2において、2aは、円筒状媒体2を軸方向に分割したうちの1つの円筒状媒体を示す。粉砕容器1内に導入された被粉砕原料を円筒状媒体2内に拡散させ粉砕物の流動性をよくし、円筒状媒体2内での被粉砕原料の粉砕を効率的に行う観点から、円筒状媒体2は、図1及び図2に示したように、円筒状媒体2の軸方向に複数に分割されていることが好ましい。これにより、円筒状媒体2の外側に存在する被粉砕原料が、分割された円筒状媒体2a間の隙間を通じて円筒状媒体2aの外側から内側へ移動することが可能になり、円筒状媒体2a内側に拡散しやすくなるため、より粉砕速度を高めることができる。
円筒状媒体2の分割の間隔(すなわち、円筒状媒体2aの軸方向の長さ)に特に制限はないが、粉砕効率の観点から、100mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましく、30mm以下が更に好ましい。分割された円筒状媒体2aの強度を確保する観点から、該間隔は3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上が更に好ましい。
円筒状媒体2外部の被粉砕原料を円筒状媒体2内部に移動し拡散させ、被粉砕原料の粉砕を効率的に行う観点から、円筒状媒体2には、円筒状媒体2の筒外表面と内表面とを貫通する穴を設けてもよい。穴の形は特に限定されず、例えば円状、三角形以上の多角形状の穴が挙げられる。また、円筒状媒体2の筒の縁部に、筒外表面と内表面を結ぶ、中心軸と垂直方向の溝を設けてもよい。円筒状媒体2が軸方向に複数に分割されている場合、該分割断面、すなわち円筒状媒体2aの縁部に、前記円筒状媒体2の縁部と同様の溝を設けてもよい。
<粉砕媒体>
本発明の振動粉砕機は、図1及び図2に示すように、粉砕媒体3を複数備え、該粉砕媒体3は円筒状媒体2の内側に、振動可能に配置される。粉砕媒体3の形状は、図1に示すような円柱状の棒状媒体3aでもよく、図2に示すような球状媒体3bでもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
粉砕媒体3の材質は特に限定されない。例えば鉄、アルミ、鋼鉄、ステンレススチール等の金属や合金、ジルコニア等のセラミクスを用いることができる。鋼鉄は焼入れ等の処理が行われていてもよい。
粉砕媒体3は、円筒状媒体2の内側に、該粉砕媒体3の体積の積算値が、該粉砕媒体3が接する円筒状媒体2の内側の空間容積の25%を超える値となるように、複数配置される。粉砕媒体3が1個のみである場合や、粉砕媒体3の体積の積算値(容器内に存在する複数の粉砕媒体の体積の総和)が、円筒状媒体2の内側の空間容積の25%以下である場合には、被粉砕原料の粉砕速度が低下する。
ここで、円筒状媒体2の内側の空間容積とは、円筒状媒体2の内側空間の、円筒状媒体2の軸に垂直な断面の面積に、円筒状媒体2の軸方向の長さを掛けた、円柱状の空間容積のことを指す。
棒状媒体3aの形状は、円筒状媒体2との衝突による磨耗を抑制する観点から、円柱状又は四角形以上の多角形の角柱であることが好ましく、円柱状であることがより好ましく、断面が正円である円柱状であることが更に好ましい。
棒状媒体3aの外径は、衝突力を大きくし、被粉砕原料の粉砕速度を向上する観点から、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、7mm以上であることが更に好ましい。また、棒状媒体3aの数を増やし、衝突力及び粉砕媒体3a同士及び円筒状媒体2と粉砕媒体3aとの衝突回数を増加させて被粉砕原料の粉砕速度を高める観点から、上記外径は60mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、45mm以下であることが更に好ましい。
ここで、棒状媒体の外径とは、棒の長さ方向に垂直な断面上にあって、該断面の重心を通り、断面の外周に両端を有する直線の長さをいい、断面の形状が正円である場合は、該正円の直径をいう。
棒状媒体3aの長さは、粉砕容器1内部の円柱形の空間の中心軸方向の長さより短い限り、特に限定されないが、円筒状媒体2と粉砕媒体3との接触面積を大きくして粉砕速度を高める観点から、粉砕容器1内部の円柱形の空間の軸方向の長さに対する、棒状媒体3aの長さの比(棒状媒体の長さ/粉砕容器1内部の円柱形の空間の軸方向の長さ)は、0.80〜0.995であることが好ましく、0.85〜0.99であることがより好ましく、0.90〜0.98であることが更に好ましい。
装置のメンテナンスを容易にするために、棒状媒体3aは、長さ方向に複数に分割されていてもよい。
球状媒体3bの外径は、衝突力を大きくし、粉砕速度を向上する観点から、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、7mm以上であることが更に好ましい。また、球状媒体3bの衝突力及び粉砕媒体3b同士及び円筒状媒体2と粉砕媒体3bとの衝突回数を増加させ、粉砕速度を向上する観点から、上記外径は60mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、45mm以下であることが更に好ましい。
粉砕媒体3同士及び円筒状媒体2と粉砕媒体3との衝突回数を増加させ粉砕速度を向上する観点から、粉砕媒体3の体積の積算値は、該粉砕媒体3が接する円筒状媒体2の内側の空間容積の25%を超える値であり、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。また、被粉砕原料を充填する空間を増やし、生産性を向上する観点から、粉砕媒体3の体積の積算値は、該粉砕媒体3が接する円筒状媒体2の内側の空間容積の91%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、89%以下であることが更に好ましい。
(第2の実施形態)
本発明に係る振動粉砕機の第2の実施形態を、図3及び図4を用いて説明する。
図3は、本発明に係る振動粉砕機の第2の実施形態の一例の斜視図を示し、図4は、図3に示される振動粉砕機の、粉砕容器1の軸に垂直な断面図を示す。図3においては、粉砕容器1内部に配置される円筒状媒体21及び22、及び粉砕媒体3を表示するため、粉砕容器1の一部及び粉砕容器1の保持部を省略して図示する。
本発明に係る振動粉砕機の第2の実施形態は、図3及び図4に示すように、円筒状媒体として、外径及び内径の異なる複数の円筒状媒体を有し、該複数の円筒状媒体が、粉砕容器1の軸と円筒状媒体の軸とを略平行にした状態で、入れ子状に配置されてなる点が第1の実施形態と異なる。
図3及び図4には、第2の実施形態の一例として、外径及び内径の異なる2種類の円筒状媒体21及び22を備えた振動粉砕機を示す。円筒状媒体21内に、円筒状媒体21の内径よりも外径が小さい円筒状媒体22が挿入されることにより、円筒状媒体21及び22は入れ子状に配置される。同様に、第2の実施形態においては、外径及び内径の異なる3種類以上の円筒状媒体を用いてもよく、この場合も、全ての円筒状媒体は粉砕容器1内に入れ子状に配置される。
なお、いずれの円筒状媒体も、粉砕容器1内部に振動可能に配置される。
本発明に係る振動粉砕機の第2の実施形態における全ての円筒状媒体について、該円筒状媒体の材質、形状、厚み、及び軸方向の長さの好ましい範囲については、第1の実施形態と同じである。また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様、円筒状媒体は、軸方向に分割されていることが好ましい。図3及び図4において、2bは円筒状媒体21を軸方向に分割したうちの一つの円筒状媒体を示し、2c(図示せず)は円筒状媒体22を軸方向に分割したうちの一つの円筒状媒体を示す。
本発明に係る振動粉砕機の第2の実施形態において、「粉砕媒体が接する円筒状媒体」とは、最も内側に配置された円筒状媒体、すなわち図3及び図4における円筒状媒体22を指す。そして、円筒状媒体22内の円筒状媒体の軸に垂直な面内に複数の粉砕媒体3が存在するよう配置し、粉砕媒体3の衝突力及び粉砕媒体3同士及び円筒状媒体2と粉砕媒体3との衝突回数を増加させる観点から、粉砕媒体3の外径に対する、該粉砕媒体3が接する円筒状媒体22の内径の比(粉砕媒体3が接する円筒状媒体22の内径/粉砕媒体3の外径)は、2.1以上であり、2.2以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましい。また、粉砕媒体3の外径に対する、円筒状媒体22の内径の比は500以下であることが好ましく、350以下であることがより好ましく、100以下であることが更に好ましく、50以下であることが更により好ましく、25以下であることが特に好ましい。
粉砕容器1の内径と、該粉砕容器1の内側に接する円筒状媒体、すなわち、図3及び図4に例示される円筒状媒体21の外径との差(粉砕容器1の内径−円筒状媒体21の外径)は、3〜60mmであることが好ましく、5〜55mmであることがより好ましく、8〜50mmであることが更に好ましく、10〜45mmであることが更により好ましい。粉砕容器1の内径と円筒状媒体21の外径との差が上記範囲であると、粉砕媒体3による被粉砕原料の粉砕速度を高めることができる。
上記と同様の理由から、入れ子状に配置されてなる円筒状媒体のうち、外側に配置された円筒状媒体の内径と、その内側に接する円筒状媒体の外径との差(図3及び図4においては、円筒状媒体21の内径−円筒状媒体22の外径)は、3〜60mmであることが好ましく、5〜55mmであることがより好ましく、8〜50mmであることが更に好ましく、10〜45mmであることが更により好ましい。
ここで、粉砕媒体3は、入れ子状に配置された円筒状媒体のうち、最も内側に配置された円筒状媒体、すなわち、図3及び図4における円筒状媒体22の内側に振動可能に配置される。第2の実施形態において用いられる粉砕媒体の材質、個数、及び好ましい形状については、第1の実施形態と同じである。
また、本発明に係る振動粉砕機の第2の実施形態において、粉砕媒体3の体積の積算値は、該粉砕媒体3が接する円筒状媒体、すなわち、入れ子状に配置された円筒状媒体のうち、最も内側に配置された円筒状媒体(図3及び図4における円筒状媒体22)の内側の空間容積の25%を超える値であり、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。また、被粉砕原料を充填する空間を増やす観点から、粉砕媒体3の体積の積算値は、該粉砕媒体3が接する円筒状媒体22の内側の空間容積の91%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、89%以下であることが更に好ましい。
[粉砕物の製造方法]
本発明の粉砕物の製造方法は、上述した本発明の振動粉砕機を用い、該振動粉砕機の粉砕容器1内部に被粉砕原料を導入し、該粉砕容器1を振動させて該被粉砕原料を粉砕処理する工程を有することを特徴とする。
<被粉砕原料>
本発明の粉砕物の製造方法において粉砕される被粉砕原料の種類については、特に限定されず、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。その中でも特に、植物茎類・葉類、木材類、海草類、生ゴミ、パルプ類、紙類、動物の死骸、糞尿、植物殻類、甲殻類、プランクトン等のバイオマス原料を効率よく粉砕できる。これらバイオマス原料の成分としては、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン、デンプン等の多糖類やリグニン、フィブロイン、セリシン、コラーゲン等のタンパク質等が挙げられる。
これらバイオマス原料の中でも、結晶性のセルロースを含むセルロース含有原料や結晶性のキチンを含有するキチン含有原料は、被粉砕原料として本発明の粉砕物の製造方法に用いた場合、粉砕と共に低結晶化が起こり、セルロースの誘導体化時の反応性が改善するため、本発明の被粉砕原料として好適である。
上記セルロース含有原料としては、各種木材チップ、各種樹木の剪定枝材、間伐材、枝木材、建築廃材、工場廃材等の木材類;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等のパルプ類;新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等の紙類;バガス(サトウキビの搾りかす)、パーム空果房(EFB)、稲わら、とうもろこし茎等の植物茎・葉類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻等の植物殻類等が挙げられる。これらの中では、セルロース含有原料の粉砕物をセルロースエーテル等のセルロース誘導体の原料や、化粧品、食品、バイオマス材料等の工業原料として用いる場合には、高重合度のセルロースを含有することからパルプ類や木材類が好ましく、セルロース含有原料の粉砕物を糖化の原料として用いる場合には、植物茎・葉類が好ましい。
本発明において被粉砕原料として用いられるセルロース含有原料は、該セルロース含有原料から水を差し引いた残余の成分中のセルロース含有量(α−セルロース含有量)が20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましく、70質量%以上がより更に好ましく、75質量%以上がより更に一層好ましい。α−セルロース含有量の上限は100質量%である。ここで、α−セルロース含有量は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
セルロース含有原料中のセルロースは、結晶部位及びアモルファス部位からなる。本発明において、セルロースI型結晶化指数とは、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したもので、下記計算式(1)により定義される。具体的なX線回折の測定条件については実施例で示す。
セルロースI型結晶化指数(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔I22.6は、X線回折におけるセルロースI型結晶の格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
ここで、セルロースI型とは、天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化指数とは、セルロースの結晶領域量の全量に対するセルロースI型の割合を意味する。
本発明において被粉砕原料として用いられるセルロース含有原料中のセルロースのセルロースI型結晶化指数には特に限定はない。しかしながら、通常、セルロースの結晶化指数を低減するための粉砕処理においては、セルロース鎖の切断による重合度低下が伴う。この平均重合度が高いセルロース含有粉砕物を得る観点、及び原料コストの観点から、セルロース含有原料としては、結晶化指数を低減するための粉砕処理に、より曝されていないセルロース含有原料を用いることが好ましい。よって、本発明において被粉砕原料として用いられるセルロース含有原料中のセルロースのI型結晶化指数は、33%を超えることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、60%以上であることがより更に好ましい。
一方、結晶化度が95%を超える極めて結晶化度の高いセルロース含有原料の入手が困難であることから、セルロース含有原料中のセルロースのI型結晶化指数は、90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましい。
以上の観点から、セルロース含有原料中のセルロースのI型結晶化指数は、33%を超えることが好ましく、40〜100%がより好ましく、50〜90%が更に好ましく、60〜85%であることがより更に好ましい。
本発明において、振動粉砕機により粉砕される被粉砕原料は、原料の種類にもよるが、後述する裁断処理、粗砕処理及び/又は乾燥処理を行ってもよい。
(裁断処理)
本発明において、振動粉砕機により粉砕される被粉砕原料は、その形状や大きさによっては、予め裁断処理を行うことが好ましい。
被粉砕原料がセルロース含有原料の場合、セルロース含有原料を裁断処理する方法としては、セルロース含有原料の種類や形状により適宜選択することができるが、例えば、シュレッダー、スリッターカッター及びロータリーカッターから選ばれる1種以上の裁断機を使用する方法が挙げられる。
シート状のセルロース含有原料を用いる場合、裁断機としてシュレッダー又はスリッターカッターを使用することが好ましく、生産性の観点から、スリッターカッターを使用することがより好ましい。
スリッターカッターとは、シートの長手方向に沿った縦方向にロールカッターで縦切りして、細長い短冊状とし、次に、固定刃と回転刃でシートの幅方向に沿って短く横切りする裁断機であって、スリッターカッターを用いることにより、さいの目形状のセルロース含有原料を容易に得ることができる。スリッターカッターとしては、株式会社ホーライ製のシートペレタイザ、株式会社荻野精機製作所製のスーパーカッター等を好ましく使用でき、これらの装置を使用すると、シート状のセルロース含有原料を約1〜20mm角に裁断することができる。
間伐材、剪定枝材、建築廃材等の木材類、あるいはシート状以外のセルロース含有原料を裁断する場合には、ロータリーカッターを使用することが好ましい。ロータリーカッターは、回転刃とスクリーンから構成され、ロータリーカッターを用いることで回転刃によりスクリーンの目開き以下に裁断されたセルロース含有原料を容易に得ることができる。なお、必要に応じて固定刃を設け、回転刃と固定刃により裁断することもできる。
ロータリーカッターを使用する場合、得られる粗粉砕物の大きさは、スクリーンの目開きを変えることにより、制御することができる。スクリーンの目開きは、1〜70mmが好ましく、2〜50mmがより好ましく、3〜40mmが更に好ましい。スクリーンの目開きが1mm以上であれば、適度な嵩高さを有する粗粉砕物が得られ、取り扱い性が向上する。スクリーンの目開きが70mm以下であれば、後の振動粉砕機における粉砕処理において、被粉砕原料として適度な大きさを有するために、粉砕に要する負荷を軽減することができる。
裁断処理後に得られるセルロース含有原料の大きさは、好ましくは1〜70mm角、より好ましくは2〜50mm角である。1〜70mm角に裁断することにより、後の乾燥処理を効率よく容易に行うことができ、また後の粉砕処理において、粉砕に要する負荷を軽減することができる。
(粗砕処理)
被粉砕物原料、好ましくは前記裁断処理で得られた被粉砕物原料は必要に応じて粗砕処理することができる。
粗砕処理は、圧縮せん断力を作用させて機械的に粉砕する方法として従来よく用いられる衝撃式の粉砕機、例えば、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル等を用いて行うことができる。
被粉砕原料がセルロース含有原料である場合は、粗粉砕物の綿状化を抑制し、粗粉砕物の取り扱い性、質量ベースの処理能力を向上させる観点から、押出機による処理が好ましい。押出機処理により、圧縮せん断力を作用させて、セルロース含有原料を粉末化させ、嵩密度を更に高めることができる。
押出機は、単軸、二軸のどちらの形式でもよいが、搬送能力を高める等の観点から、二軸押出機が好ましい。
二軸押出機は、シリンダの内部に2本のスクリューが回転自在に挿入された押出機であり、従来から公知のものが使用できる。2本のスクリューの回転方向は、同一でも逆方向でもよいが、搬送能力を高める観点から、同一方向の回転が好ましい。
また、スクリューの噛み合い条件としては、完全噛み合い、部分噛み合い、非噛み合いの各形式の押出機のいずれでもよいが、処理能力を向上させる観点から、完全噛み合い型、部分噛み合い型が好ましい。
押出機は、強い圧縮せん断力を加える観点から、スクリューのいずれかの部分に、いわゆるニーディングディスク部を備えることが好ましい。
ニーディングディスク部とは、複数のニーディングディスクで構成され、これらを連続して、一定の位相で、例えば90°ずつずらしながら組み合わせたものであり、スクリューの回転にともなって、ニーディングディスク間あるいはニーディングディスクとシリンダの間の狭い隙間にセルロース含有原料を強制的に通過させることで極めて強いせん断力を付与することができる。スクリューの構成としては、ニーディングディスク部と複数のスクリューセグメントとが交互に配置されることが好ましい。二軸押出機の場合、2本のスクリューが同一の構成を有することが好ましい。
粗砕処理の方法は、前記セルロース含有原料、好ましくは前記裁断処理して得られたセルロース含有原料を押出機に投入し、連続的に処理する方法が好ましい。せん断速度は、10sec-1以上が好ましく、20〜30000sec-1がより好ましく、50〜3000sec-1が更に好ましく、500〜3000sec-1が特に好ましい。せん断速度が10sec-1以上であれば、有効に粉砕が進行する。その他の処理条件は、特に制限はないが、処理温度は5〜200℃が好ましい。
また、押出機によるパス回数は、1パスでも十分効果を得ることができるが、セルロースの結晶化指数及び重合度を低下させる観点から、1パスで不十分な場合は、2パス以上行うことが好ましい。また、生産性の観点からは、1〜10パスが好ましい。パスを繰り返すことにより、粗大粒子が粉砕され、粒径のばらつきが少ない粉末状セルロース含有原料を得ることができる。2パス以上行う場合、生産能力を考慮し、複数の押出機を直列に並べて処理を行ってもよい。
粗砕処理後に得られるセルロース含有原料のメジアン径は、後述する粉砕処理工程において振動粉砕機中にセルロース含有原料を効率的に分散させる観点から、0.3〜1mmの範囲が好ましく、0.35〜0.7mmがより好ましく、0.4〜0.6mmが更に好ましい。このメジアン径が1mm以下であれば、振動粉砕機中にセルロース含有原料を効率的に分散させることができ、後述する粉砕処理に長時間を要することなく所定の粒径に到達することができる。一方、このメジアン径の下限は、生産性の観点から、0.3mm以上が好ましい。なお、前記のメジアン径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
(乾燥処理)
被粉砕原料がバイオマス原料、特にセルロース含有原料の場合、被粉砕物原料、好ましくは前記裁断処理及び/又は粗砕処理して得られた被粉砕原料を、振動粉砕機による粉砕処理前に乾燥処理することが好ましい。
一般に、市販のパルプ類、植物茎類・葉類、木材類、海草類、生ゴミ、紙類、動物の死骸、糞尿、植物殻類、甲殻類、プランクトン等の一般に利用可能なバイオマス原料は、5質量%を超える水分を含有しており、通常5〜30質量%程度の水分を含有している。したがって本発明では、粉砕効率を向上させる観点から、乾燥処理を行うことによって、バイオマス原料の水分含量を4.5質量%以下に調整することが好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、2質量%以下が更により好ましく、1質量%以下が特に好ましい。この水分含量が4.5質量%以下であれば、粉砕効率は向上し、また、被粉砕原料がセルロース含有原料やキチン含有原料などの結晶性のバイオマス原料である場合には、低結晶化速度が向上し、短時間の粉砕処理で効率的に低結晶化を行うことができ、被粉砕原料がセルロース含有原料である場合には、後述のセルロース含有原料中のセルロースのセルロースI型結晶化指数を低下させることができる。一方、この水分含量の下限は、生産性及び乾燥効率の観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上である。これらの観点から、本発明の製造方法に用いるバイオマス原料中の水分含量は、0.2〜4.5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましく、0.4〜2質量%が更に好ましく、0.4〜1質量%がより更に好ましい。
前記の水分含量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
乾燥方法は、公知の乾燥手段を適宜選択すればよく、例えば、熱風受熱乾燥法、伝導受熱乾燥法、除湿空気乾燥法、冷風乾燥法、マイクロ波乾燥法、赤外線乾燥法、天日乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法等が挙げられる。
前記の乾燥方法において、公知の乾燥機を適宜選択して使用することができ、例えば、「粉体工学概論」(社団法人日本粉体工業技術会編集 粉体工学情報センター1995年発行)176頁に記載の乾燥機等が挙げられる。
これらの乾燥方法及び乾燥機は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。乾燥処理はバッチ処理、連続処理のいずれでも可能であるが、生産性の観点から連続処理が望ましい。
連続乾燥機は、伝熱効率の観点から伝導受熱型の横型攪拌乾燥機が好ましい。更に、微粉が発生しにくく、また、連続排出の安定性の観点から、二軸の横型攪拌乾燥機が好ましい。二軸の横型攪拌乾燥機としては、株式会社奈良機械製作所製の二軸パドルドライヤーを好ましく使用できる。
乾燥処理における温度は、乾燥手段、乾燥時間等により一概には決定できないが、10〜250℃が好ましく、25〜180℃がより好ましく、50〜150℃が更に好ましい。乾燥処理時間は0.01〜2時間が好ましく、0.02〜1時間がより好ましい。必要に応じて減圧下で乾燥処理を行ってもよく、圧力は1〜120kPaが好ましく、50〜105kPaがより好ましい。
(粉砕処理)
被粉砕原料、又は必要に応じて以上の裁断処理、粗砕処理及び/又は乾燥処理を適宜行った被粉砕原料を、本発明の振動粉砕機によって粉砕する。本発明においてこれを「粉砕処理」と称する場合がある。
本発明の粉砕物の製造方法は、被粉砕原料を、本発明の振動粉砕機の粉砕容器1内部に導入し、粉砕容器1を振動させて被粉砕原料を粉砕処理する工程を有する。該粉砕処理方法は、予め被粉砕原料を振動粉砕機の粉砕容器1内部に導入し一定時間の処理後に粉砕物を取り出すバッチ処理でもよく、被粉砕原料を導入口から連続的に導入しながら、同時に排出口から粉砕物を連続的に排出させる連続処理でもよい。工業的に連続生産を行う観点からは、連続処理が好ましい。
粉砕処理がバッチ処理の場合、粉砕処理時の被粉砕原料の充填量に特に限定はないが、媒体をスムーズに振動させる観点から、粉砕容器1内に充填された被粉砕原料の体積が、粉砕容器1内部の空間体積から円筒状媒体及び粉砕媒体の体積を差し引いた体積(以下、「粉砕容器内実容積」ともいう)の99体積%以下であることが好ましく、95体積%以下であることがより好ましく、90体積%以下であることが更に好ましく、85体積%以下であることが更により好ましく、80体積%以下であることが更により一層好ましい。
一方、被粉砕原料が少ないと、粉砕に関係のない円筒状媒体と粉砕媒体、又は粉砕媒体同士の衝突が増え、粉砕効率が低下する。よって粉砕効率を向上させる観点から、充填された被粉砕原料の体積は、容器内実容積の1体積%以上であることが好ましく、3体積%以上であることがより好ましく、5体積%以上であることが更に好ましく、10体積%以上であることがより更に好ましく、15体積%以上であることが一層好ましい。
ここで、粉砕容器1内に充填された被粉砕原料の体積とは、充填された被粉砕原料の重量を、該被粉砕原料の見かけ比重(固め)で除して得られた体積を意味する。
粉砕処理が連続処理である場合、粉砕処理時の、被粉砕原料の粉砕容器1内の滞留量の好ましい様態は、粉砕処理がバッチ処理である場合の「被粉砕原料の充填量」を「被粉砕原料の粉砕容器1内の滞留量」に、「充填された被粉砕原料の体積」を「粉砕容器1内に滞留している被粉砕原料の体積」に読み替えることを除き、同様である。
粉砕処理時の粉砕容器の振動数、振幅、及びそれらの好ましい範囲は、前述の粉砕容器の項で述べたものと同様である。
粉砕処理は、所望の粒径、または所望の低結晶化が起きた粉砕物が得られるまで行えばよい。処理量によっても必要時間は変化するため、粉砕処理に要する時間は一概には決められないが、通常1分間〜10時間の範囲であり、得られる粉砕物の粒径、粉砕処理時の低結晶化の量、及び生産効率の観点から、2分間〜3時間が好ましく、3分間〜1時間がより好ましく、5分間〜30分間が更に好ましい。
本発明の製造方法により製造される粉砕物は、メジアン径を1〜80μmに低減したものであることが好ましい。求められるメジアン径は、被粉砕原料にもよるが、粉砕物のメジアン径が80μm以下になるとハンドリング性が向上すると共に、比表面積が増大し、種々の化学反応性等が向上する。粉砕物のメジアン径は、実施例で示す測定方法により求めることができる。
被粉砕原料がセルロース含有原料の場合、該セルロース含有原料のメジアン径が80μm以下になると、ハンドリング性が向上するとともに比表面積が増加することで、セルロースを化学反応させる際の反応剤との接触面積が増大し、化学反応性を向上させることができ、また、後述する糖の製造方法においては、酵素による糖化処理を行う際の酵素との接触面積が増大し、糖化速度及び糖化率を向上させることができる。
また、被粉砕原料がセルロース含有原料やキチン含有原料などの結晶性の物質を含有する原料である場合、本発明の粉砕物の製造方法により、粉砕と共に被粉砕物の低結晶化が進行するため、被粉砕物の化学反応性を向上させることができ、酵素による糖化速度、及び糖化率を向上させることができる。
被粉砕原料がセルロース含有原料の場合、本発明方法により製造される粉砕物は、好ましくは、含有されるセルロースの、前記計算式(1)から算出されるセルロースI型結晶化指数を33%以下に低減したものである。
結晶化指数は、セルロースの物理的、化学的性質とも関係し、その値が大きいほど、セルロースの結晶性が高く、非結晶部分が少ないため、硬度、密度等は増すが、伸び、柔軟性、水や溶媒に対する溶解性、化学反応性及び酵素による糖化速度、糖化率は低下する。
セルロースのI型結晶化指数が33%以下であれば、セルロースの化学反応性及び酵素による糖化速度、糖化率は高い。この観点から、本発明の製造方法により製造される粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は、33%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましく、5%以下がより更に好ましい。
本発明の粉砕物の製造方法によって粉砕処理を行った場合、粉砕時間等によっては、前記計算式(1)から得られるセルロースI型結晶化指数は、負の値になることがある。該粉砕処理によっても、セルロース鎖の切断による重合度低下が伴うため、より平均重合度が高いセルロース含有粉砕物を得る観点から、また粉砕処理の生産性の観点から、本発明の製造方法により製造される粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は、−30%以上が好ましく、−20%以上がより好ましく、−10%以上が更に好ましい。
[糖の製造方法]
本発明の糖の製造方法は、前述した本発明の粉砕物の製造方法によりセルロース含有原料の粉砕物を製造する工程と、該粉砕物を酵素で糖化処理する工程とを有する。
被粉砕原料としてセルロース含有原料を用いた場合、本発明の粉砕物の製造方法で得られた粉砕物(以下「粉砕処理セルロース」ともいう)は、酵素により効率よく糖化処理することができる。したがって本発明の粉砕物の製造方法は、セルロース含有原料を酵素により糖化処理して糖を製造する方法における前処理としても有効である。
本発明の糖の製造方法において、粉砕処理セルロースを酵素で処理して得られる糖としては、グルコースの他、セロビオース、セロトリオース等といった、水溶性の還元糖が挙げられる。
また、セルロース含有原料が、ヘミセルロースを含有する場合、粉砕処理セルロースを酵素で糖化処理することで、キシロース、キシロビオース、キシロトリオース等といった水溶性の還元糖も得ることができる。
糖化処理後にエタノール発酵や乳酸発酵等の発酵の原料として使用する場合には、単糖(グルコース、キシロース)まで分解することが好ましい。
(糖化処理)
本発明の糖化処理において用いられる酵素としては、糖化効率の観点からセルラーゼが好ましく、セルロース含有原料がヘミセルロースを含有する場合は、糖化効率向上の観点から、ヘミセルラーゼと併用することが好ましい。
ここで、セルラーゼとは、セルロースのβ−1,4−グルカンのグリコシド結合を加水分解する酵素を指し、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ又はβ−グルコシダーゼなどと称される酵素の総称である。本発明に使用されるセルラーゼとしては、市販のセルラーゼ製剤や、動物、植物、微生物由来のものが含まれる。
セルラーゼの具体例としては、セルクラスト1.5L(ノボザイムズ社製、商品名)などのトリコデルマ リーゼ(Trichoderma Reesei)由来のセルラーゼ製剤やバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N145(FERM P-19727)株由来のセルラーゼ、またはバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N252(FERM P-17474)、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N115(FERM P-19726)、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N440(FERM P-19728)、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N659(FERM P-19730)などの各株由来のセルラーゼ、更には、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、アスペルギルス アクレアタス(Aspergillus acleatus)、クロストリジウム サーモセラム(Clostridium thermocellum)、クロストリジウム ステルコラリウム(Clostridium stercorarium)、クロストリジウム ジョスイ(Clostridium josui)セルロモナス フィミ(Cellulomonas fimi)、アクレモニウム セルロリティクス(Acremonium celluloriticus)、イルペックス ラクテウス(Irpex lacteus)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、フミコーラ インソレンス(Humicola insolens)由来のセルラーゼ混合物やパイロコッカス ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)由来の耐熱性セルラーゼなどが挙げられる。これらの中で、好ましくはトリコデルマ リーゼ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、あるいはフミコーラ インソレンス(Humicola insolens)由来のセルラーゼ、例えばセルクラスト1.5L(ノボザイムズ社製、商品名)、TP−60(明治製菓株式会社製、商品名)、CellicCTec2(ノボザイムズ社製、商品名)、Accellerase DUET(ジェネンコア社製、商品名)、あるいはウルトラフロL(ノボザイムズ社製、商品名)を用いることにより、効率よく糖を製造することができる。
また、セルラーゼの1種であるβ−グルコシダーゼの具体例としては、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)由来の酵素(例えば、ノボザイム188(ノボザイムズ社製、商品名)やメガザイム社製β-グルコシダーゼ)やトリコデルマ リーゼ(Trichoderma reesei)、ペニシリウム エメルソニイ(Penicillium emersonii)由来の酵素などが挙げられる。
ヘミセルラーゼの具体例としては、CellicHTec2(ノボザイムズ社製、商品名)などのトリコデルマ リーゼ(Trichoderma reesei)由来のヘミセルラーゼ製剤やバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N546(FERM P-19729)由来のキシナラーゼのほか、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、フミコーラ インソレンス(Humicola insolens)、バチルス アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)由来のキシラナーゼ、更には、サーモマイセス(Thermomyces)、オウレオバシジウム(Aureobasidium)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、クロストリジウム(Clostridium)、サーモトガ(Thermotoga)、サーモアスクス(Thermoascus)、カルドセラム(Caldocellum)、サーモモノスポラ(Thermomonospora)属由来のキシラナーゼなどが挙げられる。
糖化工程においては、糖化効率の向上の観点から、上記セルラーゼから選ばれる1種以上の酵素を用いることが好ましく、必要に応じて上記ヘミセルラーゼから選ばれる1種以上の酵素を併用することが好ましい。
糖化工程において、粉砕処理セルロースを酵素で糖化処理する場合の処理条件は、該粉砕処理セルロース中のセルロースの結晶化度や、使用する酵素の種類により適宜選択することができる。
例えば、酵素としてCellicCTec2(ノボザイムズ社製、商品名)を使用し、バガス(サトウキビ搾りかす)由来のセルロース含有原料を基質とする場合は、0.5〜20%(w/v)の基質懸濁液に対してCellicCTec2を0.001〜15%(v/v)となるように添加し、pH2〜10の緩衝液中、反応温度10〜90℃で、反応時間30分〜5日間、好ましくは0.5〜3日間反応させることにより糖を製造することができる。
上記緩衝液のpHは、用いる酵素の種類により適宜選択することが好ましく、例えば上記CellicCTec2を用いる場合、好ましくはpH3〜7、より好ましくはpH4〜6である。
また、上記反応温度は、用いる酵素の種類により適宜選択することが好ましく、例えば上記CellicCTec2を用いる場合には、好ましくは20〜70℃、より好ましくは40〜60℃である。
実施例で被粉砕原料として用いたパルプ及び粉砕物のメジアン径及び水分含量、パルプ中及びパルプの粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数、パルプ中のα−セルロース含有量、パルプの見かけ比重(固め)は、以下に記載の方法で行った。
(1)メジアン径の測定
粉砕処理後のパルプ及びキチンのメジアン径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置〔株式会社堀場製作所製「LA−920」〕を用いて測定した。測定条件は、粒径測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体としてエタノールを用い、体積基準のメジアン径を、温度25℃にて測定した。具体的にはメジアン径の測定前に、粉砕処理後のパルプ又はキチンをエタノールに添加して添加後の透過率が70〜95%になる濃度に調整し、1分間超音波分散処理を行って、分散を行った後、測定を行った。
(2)水分含量の測定
水分含量は、赤外線水分計〔株式会社島津製作所製「MOC−120H」〕を使用し、120℃にて測定を行い、30秒間の重量変化率が 0.05%以下となる点を測定の終点とした。
(3)結晶化指数の算出
パルプ中、又はパルプの粉砕物中のセルロースのI型の結晶化指数は、パルプ、又はパルプの粉砕物のX線回折強度を、X線回折装置〔株式会社リガク製「Rigaku RINT 2500VC X−RAY diffractometer」〕を用いて以下の条件で測定し、前記計算式(1)に基づいて算出した。
測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation,管電圧:40kv,管電流:120mA,測定範囲:回折角2θ=5〜45°、X線のスキャンスピードは10°/minで測定した。測定用サンプルは面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製した。
(4)α−セルロース含有量の測定
パルプ中のα−セルロース含有量は、日本木材学会編、木質科学実験マニュアル、(2000年、文永堂出版発行)の95−96頁に記載の方法に基づき、測定した。
即ち、初めに原料を10〜20g計量し、ソックスレー抽出器に入れ、エタノールと1,2−ジクロロエタンの体積比が1:2である混合溶剤を約150mL加えて6時間煮沸還流した。抽出後の試料を60℃の真空乾燥機で4時間乾燥させ、脱脂試料を得た。得られた脱脂試料2.5gを300mL三角フラスコにとり、蒸留水約150mL、及び亜塩素酸ナトリウム1.0g、及び酢酸0.2mLを加え、三角フラスコにゆるく蓋をして、70〜80℃の湯浴上で時々内容物を振りながら、1時間加熱した。その後、温度を保ったまま亜塩素酸ナトリウム1.0g、及び酢酸0.2mLを加え、70〜80℃の湯浴上での1時間の加熱をした。その後、亜塩素酸ナトリウム及び酢酸を加えて加熱する前記と同様の作業を2回繰り返した。白色の内容物を、1G−3ガラスフィルターで吸引ろ過し、冷水及びアセトンで洗浄後、105℃の乾燥機中で6時間真空乾燥し、デシケーター中で放冷した。放冷後、フィルター上の残渣をホロセルロース試料とした。該ホロセルロース量は、ろ過前後におけるフィルターの増加重量として求め、さらに以下の式で原料中のホロセルロース分B(質量%)を求めた。
B=フィルター増加重量/2.5g×100
前記ホロセルロース試料1.0gを300mLビーカーにとり、17.5%水酸化ナトリウム水溶液25mLを加え、ビーカーを時計皿で覆い、20℃の恒温槽中で3分間放置した後、5分間ガラス棒を使って試料を軽くつぶし、膨潤状態とした。ビーカーを時計皿で再度覆って20℃で放置し、試料に水酸化ナトリウム水溶液を加えてから30分後に、蒸留水25mLを加え、正確に1分間攪拌した。次いで、5分間放置した後、1G−3ガラスフィルターで吸引ろ過し、ろ液が中性になるまで20℃の水で手早く洗浄した。ろ取した内容物に、さらに10%酢酸40mLを注ぎ、吸引ろ過して液をできるだけ除去し、1Lの煮沸水で洗浄後、105℃の乾燥機中で6時間真空乾燥し、デシケーター中で放冷した。放冷後、フィルター上の残渣をα−セルロース試料とした。該α−セルロース量は、ろ過前後におけるフィルターの増加重量として求め、さらに以下の式でホロセルロース中のα−セルロース量C(質量%)を求めた。
C=フィルター増加重量/1.0g×100
次に、得られたα−セルロース試料を575℃で12時間乾燥した。乾燥前及び乾燥後の重量を秤量することにより、以下の式で灰分D(質量%)を求めた。
D=乾燥後重量/乾燥前重量×100
以上の結果から、灰分を差し引いた原料中のα−セルロース含有量E(質量%)を以下の式によって求めた。
E=B×C÷100×(1−D÷100)
(5)見かけ比重(固め)の測定
見かけ比重(固め)の測定は、嵩密度は、パウダーテスター〔ホソカワミクロン株式会社製〕を用いて測定した。規定の容器(容量100mL)の上部に付属のキャップを付け足して、容量が約200mLとなるようにした。サンプルがパルプの場合、スコップを用いて、パルプを静かに容器に投入し、容器内をパルプで充満した。試料がキチン粉末の場合、目開き710μmのふるいを振動させて、シュートを通じてサンプルを落下させ、容器に投入した。パウダーテスターのタッピング機能を利用して、タッピングを180秒間、180回行った。タッピング終了後、キャップを静かに外し、100mLの容器の上にある余分なサンプルをすりきり、100mLの容器中のサンプル重量を測定して見かけ比重(固め)を算出した。
(6)糖化率の算出
実施例10〜12及び比較例9〜11において、以下の手順で水溶性の還元糖の定量を行った。
糖化処理終了後、遠心分離によって沈殿物と上清液を分離し、上清液中の還元糖量を高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)により行った。HPLC法による還元糖量測定の測定条件を以下に示す。
サンプリング液を0.085Nの硫酸水溶液と混合して反応を停止させ、混合液を孔径0.2μmのセルロースアセテートフィルターでろ過後希釈し、グルコース、セロビオース、セロトリオース、キシロース、キシロビオース、キシロトリオースを、カラム:Transgenomic ICSep ICE−ION−300、カラム温度:40℃、溶離液:0.0085Nの硫酸水溶液、流速:0.4ml/min、検出器:RIの条件にてHPLCで定量した。
得られた還元糖量の値から、糖化率を求めた。糖化率は下記の計算式により算出した。
糖化率(%)=上清中の還元糖量濃度(g/ml)/(セルロース含有粉砕物濃度(g/ml(乾燥原料換算))×ホロセルロース含有量(g/g−セルロース含有原料))×0.9×100
上記の計算式中0.9は、脱水されたグルコースの分子量をグルコースの分子量で除した値である。
実施例1(第1の実施形態の粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕)
〔裁断処理〕
被粉砕原料として、セルロース含有原料であるシート状木材パルプ〔テンベック製「HV+」、800mm×600mm×1.0mm、結晶化指数80%、α−セルロース含有量96質量%、水分含量8.0質量%〕を、スリッターカッターであるシートペレタイザ〔株式会社ホーライ製「SG(E)−220」〕にかけ、約3mm×1.5mm×1.0mmの大きさに裁断した。
〔乾燥処理〕
裁断処理により得られたパルプを、2軸横型攪拌乾燥機〔株式会社奈良機械製作所製、2軸パドルドライヤー「NPD−1.6W(1/2)」〕を用いて乾燥した。乾燥温度は140℃とし、あらかじめパルプを8kg仕込み、60分間バッチ処理で乾燥して、パルプの水分含量を0.8質量%とした。その後、装置を2°傾け、連続処理にてパルプを乾燥した。このときパルプの供給速度は18kg/hであった。連続処理で得られた乾燥パルプの水分含量も0.8質量%であった。得られた乾燥パルプは、保管中の吸湿を防ぐため、粉砕処理の直前までアルミ製の袋で保管した。X線回折強度から算出した乾燥処理後のパルプ中のセルロースのI型結晶化指数は81%であった。
〔粉砕処理〕
バッチ式振動ミル〔中央化工機株式会社製「MB−1」、粉砕容器内径142mm、容器の軸方向長さ226mm、容器全容量3.58L〕の粉砕容器内部に、軸方向に10個に均等に分割された外径126mm、内径98mm、軸方向長さ210mmのステンレス製の円筒状媒体(即ち、分割された個々の円筒状媒体の軸方向の長さは21mmである)を、該円筒状媒体の軸方向が粉砕容器の軸方向と平行になる向きに配置した。さらに円筒状媒体内側に、粉砕媒体として、外径30mm、長さ210mmのステンレス製の、円柱状の棒状媒体を6本配置した。このとき、円筒状媒体の内側の空間容積に対する棒状媒体の体積の積算値の比は、56.2%であった。
さらに乾燥処理により得られたパルプ100g(見かけ比重(固め)0.18g/mL)をバッチ式振動ミルの粉砕容器内部に仕込み、振幅8mm、振動数20Hzの条件で粉砕容器を振動させた。振動を10分間行った後、粉砕物を回収した。得られた粉砕物のメジアン径は62.4μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は2.0%であった。
実施例2(第1の実施形態の粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕)
円筒状媒体内側に配置する粉砕媒体を、ステンレス製の、外径10mm、長さ210mmの円柱状の棒状媒体55本とした以外は、実施例1と同様の方法で粉砕を行った。このとき、円筒状媒体の内側の空間容積に対する棒状媒体の体積の積算値の比は、57.3%であった。得られた粉砕物のメジアン径は70.9μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は20.7%であった。
実施例3(第1の実施形態の粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕)
円筒状媒体内側に配置する粉砕媒体を、直径30mmのステンレス製の球状媒体とし、該球状媒体を52個配置した以外は、実施例1と同様の方法で粉砕を行った。このとき、円筒状媒体の内側の空間容積に対する球状媒体の体積の積算値の比は、46.4%であった。得られた粉砕物のメジアン径は79.0μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は12.1%であった。
実施例4(第1の実施形態の粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕)
粉砕容器内部に配置する円筒状媒体として、軸方向に分割していない外径126mm、内径98mm、軸方向の長さ210mmのステンレス製の円筒状媒体を用いた以外は、実施例1と同様の方法で粉砕を行った。このとき、円筒状媒体の内側の空間容積に対する棒状媒体の体積の積算値の比は、56.2%であった。得られた粉砕物のメジアン径は68.4μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は−1.9%であった。
実施例5(第1の実施形態の粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕)
粉砕容器内部に配置する円筒状媒体の材質をアルミニウム製とし、該円筒状媒体内側に配置する外径30mm、長さ210mmのステンレス製の円柱状の棒状媒体の本数を7本とした以外は、実施例1と同様の方法で粉砕を行った。このとき、円筒状媒体の内側の空間容積に対する棒状媒体の体積の積算値の比は、65.6%であった。得られた粉砕物のメジアン径は63.6μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は−7.8%であった。
実施例6(第1の実施形態の粉砕機によるキチン含有原料の粉砕)
被粉砕原料として、キチン(和光純薬工業製)を使用した。原料キチンのメジアン径は170.8μm、水分含量は8.6%であった。このキチン原料を、棚乾燥機〔アドバンテック(ADVANTEC)社製 真空定温乾燥器「DRV320DA」〕を用いて、乾燥後のキチンの水分含量が0.7%になるように乾燥した。
乾燥したキチン100g(見かけ比重(固め)0.20g/mL)を、実施例1の〔粉砕処理〕と同様の方法で粉砕した。得られた粉砕キチンのメジアン径は24.0μmであった。
実施例7(第2の実施形態の粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕)
粉砕容器内部に、軸方向に10個に均等に分割された外径126mm、内径98mm、軸方向長さ210mmのステンレス製の円筒状媒体Aを、該円筒状媒体Aの軸方向が粉砕容器の軸方向と平行になる向きに配置し、さらにこの円筒状媒体Aの内側に、軸方向に10個に均等に分割された外径82mm、内径54mm、軸方向長さ210mmのステンレス製の円筒状媒体Bを円筒状媒体Bの軸方向が粉砕容器の軸方向と平行になる向きに配置し、さらに円筒状媒体Bの内側に、外径20mm、長さ210mmのステンレス製の、円柱状の棒状媒体3本を配置した以外は、実施例1と同様の方法で粉砕を行った。このとき、円筒状媒体Bの内側の空間容積に対する棒状媒体の体積の積算値の比は、41.2%であった。得られた粉砕物のメジアン径は63.4μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は11.3%であった。
実施例8(第1の実施形態の粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕)
実施例1と同様の裁断処理、乾燥処理を行って乾燥パルプを得た。次に、粉砕処理として、バッチ式振動ミル〔中央化工機株式会社製「FV−10」、粉砕容器内径284mm、容器の軸方向長さ520mm、容器全容量32.9L〕の粉砕容器内部に、軸方向に10個に均等に分割された外径267mm、内径237mm、軸方向長さ510mmのステンレス製の円筒状媒体(即ち、分割された個々の円筒状媒体の軸方向の長さは51mmである)を、該円筒状媒体の軸方向が粉砕容器の軸方向と平行になる向きに配置した。さらに円筒状媒体内側に、粉砕媒体として、外径30mm、長さ510mmのステンレス製の、円柱状の棒状媒体を30本配置した。このとき、円筒状媒体の内側の空間容積に対する棒状媒体の体積の積算値の比は、48.1%であった。さらに乾燥処理により得られたパルプ920g(見かけ比重(固め)0.18g/mL)をバッチ式振動ミルの粉砕容器内部に仕込み、振幅8mm、振動数20Hzの条件で粉砕容器を振動させた。振動を10分間行った後、粉砕物を回収した。得られた粉砕物のメジアン径は63.5μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は26.0%であった。
実施例9(第1の実施形態の粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕)
乾粉砕容器内部に配置する円筒状媒体として、軸方向に20個に均等に分割された外径267mm、内径237mm、軸方向長さ510mmのステンレス製の円筒状媒体(即ち、分割された個々の円筒状媒体の軸方向の長さは25.5mmである)を、該円筒状媒体の軸方向が粉砕容器の軸方向と平行になる向きに配置し、さらに円筒状媒体内側に、粉砕媒体として、外径30mm、長さ510mmのステンレス製の、円柱状の棒状媒体を46本配置し、また粉砕容器の振動数を16Hzの条件とした以外は、実施例8と同様の方法で粉砕を行った。このとき、円筒状媒体の内側の空間容積に対する棒状媒体の体積の積算値の比は、73.7%であった。得られた粉砕物のメジアン径は63.0μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は9.2%であった。
比較例1
粉砕容器内部に円筒状媒体を配置せず、外径30mm、長さ210mmのステンレス製の円柱状の棒状媒体6本のみを粉砕容器内部に配置した以外は、実施例1と同様の方法で粉砕を行った。得られた粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は68.5%であった。また、粉砕後の粉砕処理物はチップ状のままであり、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置でメジアン径を測定することはできなかった。
比較例2
粉砕容器内部に配置する外径30mm、長さ210mmのステンレス製の円柱状の棒状媒体の本数を13本とした以外は、比較例1と同様の方法で粉砕した。得られた粉砕物のメジアン径は84.0μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は33.3%であった。
比較例3
粉砕容器内部に配置する粉砕媒体を、外径10mm、長さ210mmのステンレス製の円柱状の棒状媒体117本とした以外は、比較例1と同様の方法で粉砕した。得られた粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は58.6%であった。また、粉砕後の粉砕処理物はチップ状のままであり、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置でメジアン径を測定することはできなかった。
比較例4
粉砕容器内部に配置する粉砕媒体を、直径30mmのステンレス製の球状媒体115個とした以外は、比較例1と同様の方法で粉砕した。得られた粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は64.2%であった。また、粉砕後の粉砕物はチップ状のままであり、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置でメジアン径を測定することはできなかった。
比較例5
粉砕容器内部に軸方向に10個に均等に分割された外径126mm、内径98mm、軸方向長さ210mmのステンレス製の円筒状媒体を、該円筒状媒体の軸方向が粉砕容器の軸方向と平行になる向きに配置し、円筒状媒体内側には粉砕媒体を配置せずに粉砕を行った以外は、実施例1と同様の方法で粉砕を行った。得られた粉砕物のメジアン径は93.7μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は45.0%であった。
比較例6
円筒状媒体内側に配置する粉砕媒体を、外径30mm、長さ210mmのステンレス製の円柱状の棒状媒体1本とした以外は、実施例1と同様の方法で粉砕を行った。このとき、円筒状媒体の内側の空間容積に対する棒状媒体の体積の積算値の比は、9.4%であった。得られた粉砕物のメジアン径は157.6μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は46.0%であった。
比較例7
円筒状媒体内側に配置する粉砕媒体を、外径30mm、長さ210mmのステンレス製の棒状媒体2本とした以外は、実施例1と同様の方法で粉砕を行った。このとき、円筒状媒体の内側の空間容積に対する棒状媒体の体積の積算値の比は、18.7%であった。得られた粉砕物のメジアン径は109.1μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は35.6%であった。
比較例8
円筒状媒体内側に配置する粉砕媒体を、軸方向に10個に均等に分割された外径74mm、長さ210mmのステンレス製の棒状媒体1本とした以外(図5及び図6)は、実施例1と同様の方法で粉砕を行った。このとき、円筒状媒体の内側の空間容積に対する棒状媒体の体積の積算値の比は、57.0%であった。得られた粉砕物のメジアン径は88.1μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は36.6%であった。
Figure 2013139018
実施例10(第1の実施形態による粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕及び糖化処理)
〔粉砕処理〕
バッチ式振動ミル〔中央化工機株式会社製「MB−1」、粉砕容器内径142mm、容器の軸方向長さ226mm、容器全容量3.58L〕の粉砕容器内部に、軸方向に10個に均等に分割された外径126mm、内径98mm、軸方向長さ210mmのステンレス製の円筒状媒体(即ち、分割された個々の円筒状媒体の軸方向の長さは21mmである)を、該円筒状媒体の軸方向が粉砕容器の軸方向と平行になる向きに配置した。さらに円筒状媒体内側に、粉砕媒体として、外径30mm、長さ210mmのステンレス製の、円柱状の棒状媒体を6本配置した。このとき、円筒状媒体の内側の空間容積に対する棒状媒体の体積の積算値の比は、56.2%であった。
被粉砕原料として、セルロース含有原料であるバガス〔サトウキビの搾りかす、結晶化度51.7%、ホロセルロース含有量71.3質量%、α−セルロース含有量37.3質量%、水分含量8.0質量%〕を用いた。バガス50gをバッチ式振動ミルの粉砕容器内部に仕込み、振幅8mm、振動数20Hzの条件で粉砕容器を振動させた。振動を5分間行った後、粉砕物を回収した。得られた粉砕物のメジアン径は27.2μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は17.0%であった。
〔糖化処理〕
粉砕処理より得られたバガス粉砕物1.5g(乾燥原料換算)を、共栓三角フラスコ(柴田科学社製、30ml)に投入し、水と100mM酢酸緩衝液3mlを添加して30mlスケールとし、pHが5.0となるように調整した。
バガス粉砕物(乾燥原料換算で1.5g相当)に対して、酵素タンパク量が15mgとなるようにセルラーゼ酵素標品CellicCTec2(ノボザイムズ社製、商品名)を加えて、振とう攪拌(150rpm、TAITEC社製BR−21UM)しながら50℃で24時間糖化処理を行った。
反応終了後、遠心分離(2000×g、3分間)によって沈殿物と上清液を分離し、上清液に遊離した還元糖量を上述したHPLC法によって定量して糖化率を求めた。24時間後の糖化率は16.6%であった。
実施例11(第1の実施形態による粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕及び糖化処理)
粉砕時間を15分間とした以外は、実施例10と同様の方法で粉砕及び糖化処理を行った。得られた粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は4.3%であった。24時間後の糖化率は38.9%であった。
実施例12(第1の実施形態による粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕及び糖化処理)
粉砕時間を30分間とした以外は、実施例10と同様の方法で粉砕及び糖化処理を行った。得られた粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は4.0%であった。24時間後の糖化率は46.2%であった。
比較例9(第1の実施形態による粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕及び糖化処理)
粉砕容器内部に円筒状媒体を配置せず、外径30mm、長さ210mmのステンレス製の円柱状の棒状媒体13本のみを粉砕容器内部に配置した以外は、実施例10と同様の方法で粉砕及び糖化処理を行った。得られた粉砕物のメジアン径は94.2μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は43.5%であった。24時間後の糖化率は13.5%であった。
比較例10(第1の実施形態による粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕及び糖化処理)
粉砕容器内部に円筒状媒体を配置せず、外径30mm、長さ210mmのステンレス製の円柱状の棒状媒体13本のみを粉砕容器内部に配置した以外は、実施例11と同様の方法で粉砕及び糖化処理を行った。得られた粉砕物のメジアン径は29.8μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は18.6%であった。24時間後の糖化率は26.9%であった。
比較例11(第1の実施形態による粉砕機によるセルロース含有原料の粉砕及び糖化処理)
粉砕容器内部に円筒状媒体を配置せず、外径30mm、長さ210mmのステンレス製の円柱状の棒状媒体13本のみを粉砕容器内部に配置した以外は、実施例12と同様の方法で粉砕及び糖化処理を行った。得られた粉砕物のメジアン径は28.1μm、粉砕物中のセルロースのI型結晶化指数は5.7%であった。24時間後の糖化率は38.4%であった。
Figure 2013139018
表1及び表2に示すように、本発明の粉砕物の製造方法によれば、小粒径の粉砕物を短時間で効率的に得ることができ、及び結晶性の被粉砕原料を短時間で低結晶化することができる。また、表2に示すように、本発明の方法で製造された粉砕処理セルロースを酵素で糖化処理することにより、効率よく糖を製造することができる。
本発明の振動粉砕機、及び該振動粉砕機を用いた粉砕物の製造方法は、小粒径の粉砕物を短時間で効率的に得ることができ、及び結晶性の被粉砕原料を短時間で低結晶化することができるため、生産性に優れ、工業的製法として有用である。被粉砕原料がバイオマス原料である場合、得られた小粒径の低結晶化バイオマスは、化粧品、食品、バイオマス材料、樹脂の補強剤等の工業原料として特に有用である。また、本発明の製造方法によって得られたセルロース含有原料の粉砕物を酵素で糖化処理することにより、効率よく糖を製造することができる。
1 粉砕容器
2、21、22 円筒状媒体
2a、2b 軸方向に分割された円筒状媒体
3a 円柱状の棒状媒体
3b 球状媒体
3c 軸方向に分割された円柱状の棒状媒体

Claims (17)

  1. 内部に円柱形の空間を有し、該円柱形の空間の中心軸が略水平になるように配置され、該中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能に保持された容器、該容器内部に振動可能に配置された円筒状媒体、及び該円筒状媒体内側に振動可能に配置された複数の粉砕媒体を備えた振動粉砕機であって、該粉砕媒体の外径に対する、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体の内径の比(粉砕媒体が接する円筒状媒体の内径/粉砕媒体の外径)が2.1以上であり、かつ、該粉砕媒体の体積の積算値が、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体内側の空間容積の25%を超える値である振動粉砕機を用い、該振動粉砕機の該容器内部に被粉砕原料を導入し、該容器を振動させて該被粉砕原料を粉砕処理する工程を有する、粉砕物の製造方法。
  2. 前記粉砕媒体が、外径3〜60mmの棒状媒体である、請求項1に記載の粉砕物の製造方法。
  3. 前記容器内部の円柱形の空間の中心軸方向の長さに対する、前記棒状媒体の長さの比(棒状媒体の長さ/容器内部の円柱形の空間の中心軸方向の長さ)が、0.80〜0.995である、請求項2に記載の粉砕物の製造方法。
  4. 前記粉砕媒体が、外径3〜60mmの球状媒体である、請求項1に記載の粉砕物の製造方法。
  5. 前記容器の内径と、該容器の内部に接する前記円筒状媒体の外径との差(容器の内径−該容器の内部に接する該円筒状媒体の外径)が、3〜60mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の粉砕物の製造方法。
  6. 前記容器内部の円柱形の空間の中心軸方向の長さに対する、前記円筒状媒体の中心軸方向の長さの比(円筒状媒体の中心軸方向の長さ/容器内部の円柱形の空間の中心軸方向の長さ)が、0.80〜0.995である、請求項1〜5のいずれかに記載の粉砕物の製造方法。
  7. 前記円筒状媒体の外径に対する該円筒状媒体の厚みの比(円筒状媒体の厚み/円筒状媒体の外径)が、0.02〜0.7である、請求項1〜6のいずれかに記載の粉砕物の製造方法。
  8. 前記円筒状媒体として、外径及び内径の異なる複数の円筒状媒体を有し、該複数の円筒状媒体が前記容器内部に入れ子状に配置されてなる、請求項1〜7のいずれかに記載の粉砕物の製造方法。
  9. 前記入れ子状に配置されてなる複数の円筒状媒体において、外側に配置された円筒状媒体の内径と、その内側に接する円筒状媒体の外径との差が3〜60mmである、請求項8に記載の粉砕物の製造方法。
  10. 前記被粉砕原料が、バイオマス原料である、請求項1〜9のいずれかに記載の粉砕物の製造方法。
  11. 前記被粉砕原料が、セルロース含有原料である、請求項1〜10のいずれかに記載の粉砕物の製造方法。
  12. 前記セルロース含有原料が、該セルロース含有原料から水を差し引いた残余の成分中のセルロース含有量が20質量%以上であり、下記計算式(1)で示されるセルロースI型結晶化指数が33%を超えるセルロース含有原料である、請求項11に記載の粉砕物の製造方法。
    セルロースI型結晶化指数(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
    〔I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
  13. 前記セルロース含有原料を前記粉砕処理して得られる粉砕物が、前記計算式(1)で示されるセルロースI型結晶化指数が33%以下の粉砕物である、請求項11又は12に記載の粉砕物の製造方法。
  14. 前記バイオマス原料の水分含量が、0.2〜4.5質量%である、請求項10〜13のいずれかに記載の粉砕物の製造方法。
  15. 内部に円柱形の空間を有し、該円柱形の空間の中心軸が略水平になるように配置され、該中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能に保持された容器、該容器内部に振動可能に配置された円筒状媒体、及び該円筒状媒体内側に振動可能に配置された複数の粉砕媒体を備えた振動粉砕機であって、該粉砕媒体の外径に対する、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体の内径の比(粉砕媒体が接する円筒状媒体の内径/粉砕媒体の外径)が2.1以上であり、かつ、該粉砕媒体の体積の積算値が、該粉砕媒体が接する該円筒状媒体内側の空間容積の25%を超える値である、振動粉砕機。
  16. 請求項11〜13のいずれかに記載の方法でセルロース含有原料の粉砕物を製造する工程と、該粉砕物を酵素で糖化処理する工程とを有する、糖の製造方法。
  17. 酵素が、セルラーゼである、請求項16に記載の糖の製造方法。
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