JP2013192472A - 糖の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セルロース原料から糖を効率よく製造することができる、生産性に優れた糖の製造方法を提供する。
【解決手段】下記工程(1)及び工程(2)を有する、糖の製造方法である。
工程(1):セルロース原料を、無機酸の存在下で粉砕処理して粉砕処理物を得る工程
工程(2):前記粉砕処理物を、酵素を用いて糖化処理する工程
【選択図】なし
【解決手段】下記工程(1)及び工程(2)を有する、糖の製造方法である。
工程(1):セルロース原料を、無機酸の存在下で粉砕処理して粉砕処理物を得る工程
工程(2):前記粉砕処理物を、酵素を用いて糖化処理する工程
【選択図】なし
Description
本発明は、糖の製造方法に関する。
近年、環境問題への取り組みなどから、セルロースを含有するバイオマス材料から糖を製造し、それを発酵法などでエタノールや乳酸などへ変換する試みがなされている。バイオマス材料などのセルロース含有原料をセルラーゼなどの酵素により処理し、該セルロースを糖化して糖を製造する方法においては、糖化効率の向上などを目的として、あらかじめセルロース含有原料に対し種々の前処理を行うことが知られている。該前処理としては、例えば、セルロース含有原料をロッドを充填した振動ミルで処理して、セルロースI型結晶化度を低減した非晶化セルロースを調製する方法(特許文献1)、過酸化水素を用いてセルロース又はヘミセルロースを熱水処理する方法(特許文献2及び3)、木質系バイオマスを水、水溶性有機溶剤、及び有機酸を含む薬液に浸漬させて軟化させた後に粉砕処理を行う方法(特許文献4)、及び、バイオマスを酸の存在下で水熱処理する方法(特許文献5,6)などが知られている。
また、セルロースの糖化方法については、特定のセルラーゼを用いることで糖化効率を向上させることが知られている(特許文献7)。
また、セルロースの糖化方法については、特定のセルラーゼを用いることで糖化効率を向上させることが知られている(特許文献7)。
しかしながら、特許文献1〜7に記載の方法は、糖化効率、生産性において十分に満足できるものではなく、更に効率のよい条件で糖化効率を向上させることが求められている。
そこで、本発明は、セルロース原料から糖を効率よく製造することができる、生産性に優れた糖の製造方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、セルロース原料から糖を効率よく製造することができる、生産性に優れた糖の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、無機酸の存在下でセルロース原料を粉砕処理し、その後に酵素を用いて糖化処理することにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、下記工程(1)及び工程(2)を含む糖の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)を提供する。
工程(1):セルロース原料を、無機酸の存在下で粉砕処理して粉砕処理物を得る工程(以下、単に「工程(1)」ともいう。)
工程(2):前記粉砕処理物を、酵素を用いて糖化処理する工程(以下、単に「工程(2)」ともいう。)
すなわち、本発明は、下記工程(1)及び工程(2)を含む糖の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)を提供する。
工程(1):セルロース原料を、無機酸の存在下で粉砕処理して粉砕処理物を得る工程(以下、単に「工程(1)」ともいう。)
工程(2):前記粉砕処理物を、酵素を用いて糖化処理する工程(以下、単に「工程(2)」ともいう。)
本発明の製造方法によれば、セルロース原料の糖化効率が向上し、セルロース原料から糖を効率よく製造することができる。
[糖の製造方法]
(工程(1))
本発明の製造方法は、工程(1)として、セルロース原料を、無機酸の存在下で粉砕処理して粉砕処理物を得る工程を有する。
本発明の製造方法により糖化効率及び糖収率が向上する理由は明らかではないが、工程(1)においてセルロース原料を無機酸と共に粉砕処理することにより、セルロース原料中に無機酸が均一に分散され、セルロースの非晶化、小粒子径化及び低分子量化と、無機酸による脱リグニン化、脱ヘミセルロース化作用が同時に起こり、その後の糖化処理が効率よく進行すると推測される。
(工程(1))
本発明の製造方法は、工程(1)として、セルロース原料を、無機酸の存在下で粉砕処理して粉砕処理物を得る工程を有する。
本発明の製造方法により糖化効率及び糖収率が向上する理由は明らかではないが、工程(1)においてセルロース原料を無機酸と共に粉砕処理することにより、セルロース原料中に無機酸が均一に分散され、セルロースの非晶化、小粒子径化及び低分子量化と、無機酸による脱リグニン化、脱ヘミセルロース化作用が同時に起こり、その後の糖化処理が効率よく進行すると推測される。
<セルロース原料>
セルロース原料の種類には特に制限はなく、カラマツやヌマスギなどの針葉樹、アブラヤシ、ヒノキなどの広葉樹から得られる各種木材;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプなどのパルプ類;新聞紙、ダンボール、雑誌、上質紙などの紙類;バガス(サトウキビの搾りかす)、パーム空果房(EFB)、稲わら、とうもろこし茎などの植物茎・葉・果房類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻などの植物殻類などが挙げられる。
上記のうち、糖化効率向上、入手容易性及び原料コストの観点から、木材及びそれらのウッドパルプ、植物茎・葉・果房類が好ましい。木材及びそれらのウッドパルプとしては、カラマツやヌマスギなどの針葉樹及びそれらのウッドパルプがより好ましく、カラマツのウッドパルプが更に好ましい。植物茎・葉・果房類としては、バガス、パーム空果房がより好ましい。
セルロース原料の種類には特に制限はなく、カラマツやヌマスギなどの針葉樹、アブラヤシ、ヒノキなどの広葉樹から得られる各種木材;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプなどのパルプ類;新聞紙、ダンボール、雑誌、上質紙などの紙類;バガス(サトウキビの搾りかす)、パーム空果房(EFB)、稲わら、とうもろこし茎などの植物茎・葉・果房類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻などの植物殻類などが挙げられる。
上記のうち、糖化効率向上、入手容易性及び原料コストの観点から、木材及びそれらのウッドパルプ、植物茎・葉・果房類が好ましい。木材及びそれらのウッドパルプとしては、カラマツやヌマスギなどの針葉樹及びそれらのウッドパルプがより好ましく、カラマツのウッドパルプが更に好ましい。植物茎・葉・果房類としては、バガス、パーム空果房がより好ましい。
本発明の製造方法に用いられるセルロース原料は、ホロセルロース含有量が20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上がより更に好ましい。セルロース原料中のホロセルロース含有量は、実施例に記載の方法により測定される。なお、本発明においてホロセルロース含有量とは、セルロース及びヘミセルロースの合計含有量をいう。
セルロース原料中の水分量は、粉砕効率の向上、結晶化度の低減、及び糖化効率の向上などの観点から、セルロース原料の乾燥重量に対して40質量%以下であることが好ましい。水分量の下限はセルロース原料に対して0質量%であるが、セルロース原料中の水分量を0質量%にすることは困難であるため、該水分量はセルロース原料の乾燥重量に対して0.01〜40質量%であることが好ましく、0.1〜35質量%であることがより好ましく、1〜30質量%であることが更に好ましい。
なお、セルロース原料を公知の方法で乾燥させることにより(以下、「乾燥処理」ともいう。)、水分量を適宜調整することができる。
セルロース原料中の水分量は市販の赤外線水分計などを用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、セルロース原料を公知の方法で乾燥させることにより(以下、「乾燥処理」ともいう。)、水分量を適宜調整することができる。
セルロース原料中の水分量は市販の赤外線水分計などを用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
<無機酸>
工程(1)で使用される無機酸の具体例としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、フッ化水素酸などが挙げられる。このうち、糖化効率の向上、生成した糖の変性抑制、及び粉砕機の劣化防止の観点から、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸及びホウ酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、塩酸及びリン酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、塩酸が更に好ましい。
工程(1)における無機酸の使用量は、糖化効率の向上、生成した糖の変性抑制、及び粉砕機の劣化防止の観点から、セルロース原料に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることが更に好ましい。
なお、無機酸として塩酸を用いる場合には、その使用量は、糖化効率の向上、生成した糖の変性抑制、及び粉砕機の劣化防止の観点から、セルロース原料に対して好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは2〜10質量%である。無機酸としてリン酸を用いる場合には、その使用量は、上記と同様の観点から、セルロース原料に対して好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは2〜10質量%である。
工程(1)で使用される無機酸の具体例としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、フッ化水素酸などが挙げられる。このうち、糖化効率の向上、生成した糖の変性抑制、及び粉砕機の劣化防止の観点から、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸及びホウ酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、塩酸及びリン酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、塩酸が更に好ましい。
工程(1)における無機酸の使用量は、糖化効率の向上、生成した糖の変性抑制、及び粉砕機の劣化防止の観点から、セルロース原料に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることが更に好ましい。
なお、無機酸として塩酸を用いる場合には、その使用量は、糖化効率の向上、生成した糖の変性抑制、及び粉砕機の劣化防止の観点から、セルロース原料に対して好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは2〜10質量%である。無機酸としてリン酸を用いる場合には、その使用量は、上記と同様の観点から、セルロース原料に対して好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは2〜10質量%である。
セルロース原料への無機酸の添加方法に特に限定はなく、セルロース原料中に無機酸を一括添加してもよく、分割添加してもよい。無機酸を一括添加する場合は、セルロース原料中に無機酸を均一に分散させる観点から、セルロース原料に無機酸を添加した後に撹拌混合するか、セルロース原料を撹拌しながら無機酸を添加して混合することが好ましい。
無機酸の添加は、後述する粉砕処理を行う装置の中で行ってもよいし、別途撹拌及び混合を行う装置で行ってもよい。
上記撹拌及び混合を行う装置は、無機酸をセルロース原料中に分散可能な装置であれば特に限定はない。例えば、リボン型混合機、パドル型混合機、円錐遊星スクリュー型混合機、粉体、高粘度物質、樹脂などの混錬に用いられるニーダーなどの混合機が挙げられる。これらの中では、水平軸型パドル型混合機がより好ましく、具体的には、チョッパー翼を有する水平軸型のパドル型混合機であるレディゲミキサー(中央機工株式会社製;特徴的なスキ状ショベルを用いる混合機、チョッパー翼を設置可能)、プロシェアミキサー(太平洋機工株式会社製;独自形状のショベル翼による浮遊拡散混合と多段式チョッパー翼による高速剪断分散の2つの機能を備えた混合機)が更に好ましい。
無機酸の添加は、後述する粉砕処理を行う装置の中で行ってもよいし、別途撹拌及び混合を行う装置で行ってもよい。
上記撹拌及び混合を行う装置は、無機酸をセルロース原料中に分散可能な装置であれば特に限定はない。例えば、リボン型混合機、パドル型混合機、円錐遊星スクリュー型混合機、粉体、高粘度物質、樹脂などの混錬に用いられるニーダーなどの混合機が挙げられる。これらの中では、水平軸型パドル型混合機がより好ましく、具体的には、チョッパー翼を有する水平軸型のパドル型混合機であるレディゲミキサー(中央機工株式会社製;特徴的なスキ状ショベルを用いる混合機、チョッパー翼を設置可能)、プロシェアミキサー(太平洋機工株式会社製;独自形状のショベル翼による浮遊拡散混合と多段式チョッパー翼による高速剪断分散の2つの機能を備えた混合機)が更に好ましい。
<粉砕処理>
粉砕処理は、セルロース原料を小粒子径化し、かつ該セルロース原料中に無機酸を可及的に均一に分散させる操作である。
粉砕処理は、公知の粉砕機を用いて行うことができる。用いられる粉砕機に特に制限はなく、セルロース原料を小粒子径化することができ、無機酸をセルロース原料中に可及的に分散できる装置であればよい。
粉砕機の具体例としては、高圧圧縮ロールミルや、ロール回転ミルなどのロールミル、リングローラーミル、ローラーレースミル又はボールレースミルなどの竪型ローラーミル、転動ボールミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、振動チューブミル、遊星ボールミル又は遠心流動化ミルなどの容器駆動媒体ミル、塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル又はアニュラー式ミルなどの媒体攪拌式ミル、高速遠心ローラーミルやオングミルなどの圧密せん断ミル、乳鉢、石臼、マスコロイダー、フレットミル、エッジランナーミル、ナイフミル、ピンミル、カッターミルなどが挙げられる。これらの中では、セルロース原料の粉砕効率及び生産性の向上の観点から、容器駆動式媒体ミル又は媒体攪拌式ミルが好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル又は振動チューブミルなどの振動ミルが更に好ましく、振動ロッドミルがより更に好ましい。
粉砕処理は、セルロース原料を小粒子径化し、かつ該セルロース原料中に無機酸を可及的に均一に分散させる操作である。
粉砕処理は、公知の粉砕機を用いて行うことができる。用いられる粉砕機に特に制限はなく、セルロース原料を小粒子径化することができ、無機酸をセルロース原料中に可及的に分散できる装置であればよい。
粉砕機の具体例としては、高圧圧縮ロールミルや、ロール回転ミルなどのロールミル、リングローラーミル、ローラーレースミル又はボールレースミルなどの竪型ローラーミル、転動ボールミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、振動チューブミル、遊星ボールミル又は遠心流動化ミルなどの容器駆動媒体ミル、塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル又はアニュラー式ミルなどの媒体攪拌式ミル、高速遠心ローラーミルやオングミルなどの圧密せん断ミル、乳鉢、石臼、マスコロイダー、フレットミル、エッジランナーミル、ナイフミル、ピンミル、カッターミルなどが挙げられる。これらの中では、セルロース原料の粉砕効率及び生産性の向上の観点から、容器駆動式媒体ミル又は媒体攪拌式ミルが好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル又は振動チューブミルなどの振動ミルが更に好ましく、振動ロッドミルがより更に好ましい。
粉砕方法としては、バッチ式、連続式のどちらでもよい。
粉砕に用いる装置及び/又は媒体の材質は特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラスなどが挙げられるが、セルロース原料の粉砕効率向上の観点から、鉄、ステンレス、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、更に工業的利用の観点から、鉄又はステンレスが好ましく、腐食防止の観点から、ステンレスが更に好ましい。
用いる装置が振動ミルであって、媒体がロッドの場合には、セルロース原料の粉砕効率向上の観点から、ロッドの外径は好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mmの範囲である。ロッドの大きさが上記の範囲であれば、セルロース含有原料を効率的に小粒子径化させることができるとともに、ロッドのかけらなどが混入してセルロースが汚染されるおそれが少ない。
振動ミルにおけるロッドの充填率は、振動ミルの機種により好適な範囲が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%、更に好ましくは30〜80%である。充填率がこの範囲内であれば、セルロース原料とロッドとの接触頻度が向上するとともに、媒体であるロッドの動きを妨げずに、セルロース原料の粉砕効率を向上させることができる。ここで、ロッドの充填率とは、振動ミルの攪拌部の容積に対するロッドの見かけ上の体積をいう。
粉砕に用いる装置及び/又は媒体の材質は特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラスなどが挙げられるが、セルロース原料の粉砕効率向上の観点から、鉄、ステンレス、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、更に工業的利用の観点から、鉄又はステンレスが好ましく、腐食防止の観点から、ステンレスが更に好ましい。
用いる装置が振動ミルであって、媒体がロッドの場合には、セルロース原料の粉砕効率向上の観点から、ロッドの外径は好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mmの範囲である。ロッドの大きさが上記の範囲であれば、セルロース含有原料を効率的に小粒子径化させることができるとともに、ロッドのかけらなどが混入してセルロースが汚染されるおそれが少ない。
振動ミルにおけるロッドの充填率は、振動ミルの機種により好適な範囲が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%、更に好ましくは30〜80%である。充填率がこの範囲内であれば、セルロース原料とロッドとの接触頻度が向上するとともに、媒体であるロッドの動きを妨げずに、セルロース原料の粉砕効率を向上させることができる。ここで、ロッドの充填率とは、振動ミルの攪拌部の容積に対するロッドの見かけ上の体積をいう。
〔粉砕処理時の水分量〕
工程(1)における粉砕処理時の水分量は、セルロース原料の乾燥重量に対して40質量%以下であることが好ましい。該水分量が40質量%以下であれば、セルロース原料の粉砕効率、及びセルロース原料と無機酸との混合・浸透・拡散性が向上し、糖化処理が効率よく進行する。工程(1)におけるセルロース原料中の水分量の下限値は、粉砕効率向上の観点から、粉砕時のセルロース原料の乾燥重量に対して0質量%であるが、セルロース原料中の水分量を0質量%にすることは困難であるため、該水分量はセルロース原料の乾燥重量に対して2〜40質量%であることがより好ましく、更に好ましくは2〜30質量%、更に好ましくは2〜25質量%、更に好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは4〜20質量%である。
工程(1)の粉砕処理時の水分量は、乾燥処理などによりセルロース原料や前記無機酸に含まれる水分量を低減することや、粉砕処理時に水を添加して水分量を上げることなどにより、適宜調整することができる。
工程(1)における粉砕処理時の水分量は、セルロース原料の乾燥重量に対して40質量%以下であることが好ましい。該水分量が40質量%以下であれば、セルロース原料の粉砕効率、及びセルロース原料と無機酸との混合・浸透・拡散性が向上し、糖化処理が効率よく進行する。工程(1)におけるセルロース原料中の水分量の下限値は、粉砕効率向上の観点から、粉砕時のセルロース原料の乾燥重量に対して0質量%であるが、セルロース原料中の水分量を0質量%にすることは困難であるため、該水分量はセルロース原料の乾燥重量に対して2〜40質量%であることがより好ましく、更に好ましくは2〜30質量%、更に好ましくは2〜25質量%、更に好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは4〜20質量%である。
工程(1)の粉砕処理時の水分量は、乾燥処理などによりセルロース原料や前記無機酸に含まれる水分量を低減することや、粉砕処理時に水を添加して水分量を上げることなどにより、適宜調整することができる。
工程(1)における粉砕処理時の温度は、操作コストの観点、及びセルロース原料の劣化抑制の観点から、−100〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましく、5〜100℃が更に好ましい。
工程(1)における粉砕処理時間は、セルロース原料が小粒子径化されるよう適宜調整すればよい。用いる粉砕機や使用するエネルギー量などによって変わるが、通常0.1分〜12時間であり、セルロース原料の粒子径の低下の観点、及びエネルギーコストの観点から、0.1分〜2時間が好ましく、より好ましくは5分〜1時間である。
工程(1)における粉砕処理時間は、セルロース原料が小粒子径化されるよう適宜調整すればよい。用いる粉砕機や使用するエネルギー量などによって変わるが、通常0.1分〜12時間であり、セルロース原料の粒子径の低下の観点、及びエネルギーコストの観点から、0.1分〜2時間が好ましく、より好ましくは5分〜1時間である。
<粉砕処理物>
工程(1)でセルロース原料を粉砕処理して得られる粉砕処理物の結晶化度は、糖化効率の向上及び糖収率の向上の観点から、40%以下が好ましく、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。なお、結晶化度は、下記計算式(1)により求められる値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (1)
(式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。)
工程(1)でセルロース原料を粉砕処理して得られる粉砕処理物の結晶化度は、糖化効率の向上及び糖収率の向上の観点から、40%以下が好ましく、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。なお、結晶化度は、下記計算式(1)により求められる値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (1)
(式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。)
粉砕処理物中のセルロースの分子量は、糖化効率の向上及び糖収率の向上の観点から、8万以下が好ましく、より好ましくは5万以下、更に好ましくは3万以下である。
粉砕処理物の平均粒子径は、後述する工程(2)における糖化効率の向上及び糖収率の向上の観点から、500μm以下が好ましく、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは0.1〜200μm、より更に好ましくは1〜150μmである。なお、粉砕処理物の平均粒子径は、実施例に記載の方法により測定される。
(洗浄/中和工程)
本発明の製造方法では、工程(1)で用いた無機酸や、セルロース原料中に含まれる夾雑物を除去するために、工程(1)の後に、前記粉砕処理物を洗浄する工程及び/又は中和する工程を有することが好ましい(以下、「洗浄/中和工程」ともいう。)。また、洗浄/中和工程は、糖化効率の向上及び糖収率の向上の観点から、後述する工程(2)の前に行うことが好ましい。
本発明の製造方法では、工程(1)で用いた無機酸や、セルロース原料中に含まれる夾雑物を除去するために、工程(1)の後に、前記粉砕処理物を洗浄する工程及び/又は中和する工程を有することが好ましい(以下、「洗浄/中和工程」ともいう。)。また、洗浄/中和工程は、糖化効率の向上及び糖収率の向上の観点から、後述する工程(2)の前に行うことが好ましい。
<洗浄工程>
洗浄工程は、例えば、工程(1)で得られたセルロース原料の粉砕処理物を遠心分離した後、イオン交換水などの洗浄液を用いてpHが中性付近、好ましくはpHが4〜7になるまで洗浄を繰り返す方法などにより行うことができる。
洗浄工程は、例えば、工程(1)で得られたセルロース原料の粉砕処理物を遠心分離した後、イオン交換水などの洗浄液を用いてpHが中性付近、好ましくはpHが4〜7になるまで洗浄を繰り返す方法などにより行うことができる。
<中和工程>
中和工程は、例えば、工程(1)で得られたセルロース原料の粉砕処理物に適量の塩基性化合物を添加して撹拌することにより行うことができる。用いられる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物などが挙げられるが、生産性、糖化効率の向上及び糖収率の向上の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化カルシウムを用いることがより好ましく、水酸化ナトリウムを用いることが更に好ましい。
中和工程は、例えば、工程(1)で得られたセルロース原料の粉砕処理物に適量の塩基性化合物を添加して撹拌することにより行うことができる。用いられる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物などが挙げられるが、生産性、糖化効率の向上及び糖収率の向上の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化カルシウムを用いることがより好ましく、水酸化ナトリウムを用いることが更に好ましい。
洗浄工程及び中和工程は、いずれか一方の工程のみを行ってもよいし、両方の工程を連続して行ってもよい。糖化率向上の観点からは、洗浄工程のみを行うことが好ましく、工程(2)で得られる糖収率の向上の観点からは、中和工程のみを行うことが好ましい。
(工程(2))
本発明の製造方法は、工程(2)として、前記粉砕処理物を、酵素を用いて糖化処理する工程を有する。
工程(1)を経て得られた粉砕処理物は、非晶化・小粒子径化・低分子量化され、また脱リグニン化・脱ヘミセルロース化されているため、酵素で処理することにより、グルコースもしくはキシロースといった単糖や、セロビオース、セロトリオース、キシロビオース、キシロトリオースといったオリゴ糖などの混合物を効率よく得ることができる。糖化処理後にエタノール発酵や乳酸発酵に使用する場合などを考慮すると、単糖まで分解することが好ましい。
本発明の製造方法は、工程(2)として、前記粉砕処理物を、酵素を用いて糖化処理する工程を有する。
工程(1)を経て得られた粉砕処理物は、非晶化・小粒子径化・低分子量化され、また脱リグニン化・脱ヘミセルロース化されているため、酵素で処理することにより、グルコースもしくはキシロースといった単糖や、セロビオース、セロトリオース、キシロビオース、キシロトリオースといったオリゴ糖などの混合物を効率よく得ることができる。糖化処理後にエタノール発酵や乳酸発酵に使用する場合などを考慮すると、単糖まで分解することが好ましい。
工程(2)で使用される酵素としては、糖化効率の向上の観点から、セルラーゼやヘミセルラーゼが挙げられる。ここで、セルラーゼとは、セルロースのβ−1,4−グルカンのグリコシド結合を加水分解する酵素を指し、エンドグルカナーゼ、エクソグルカナーゼまたはセロビオヒドロラーゼ、及びβ−グルコシダーゼなどと称される酵素の総称である。本発明に使用されるセルラーゼとしては、市販のセルラーゼ製剤や、動物、植物、微生物由来のものが含まれる。
セルラーゼの具体例としては、セルクラスト1.5L(ノボザイムズ社製、商品名)などのトリコデルマ リーゼ(Trichoderma Reesei)由来のセルラーゼ製剤やバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N145(FERM P-19727)株由来のセルラーゼ、またはバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N252(FERM P-17474)、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N115(FERM P-19726)、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N440(FERM P-19728)、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N659(FERM P-19730)などの各株由来のセルラーゼ、更には、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、アスペルギルス アクレアタス(Aspergillus acleatus)、クロストリジウム サーモセラム(Clostridium thermocellum)、クロストリジウム ステルコラリウム(Clostridium stercorarium)、クロストリジウム ジョスイ(Clostridium josui)セルロモナス フィミ(Cellulomonas fimi)、アクレモニウム セルロリティクス(Acremonium celluloriticus)、イルペックス ラクテウス(Irpex lacteus)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、フミコーラ インソレンス(Humicola insolens)由来のセルラーゼ混合物やパイロコッカス ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)由来の耐熱性セルラーゼなどが挙げられる。これらの中で、トリコデルマ リーゼ(Trichoderma Reesei)、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、あるいはフミコーラ インソレンス(Humicola insolens)由来のセルラーゼが好ましく、例えばセルクラスト1.5L(ノボザイムズ社製、商品名)、TP−60(明治製菓株式会社製、商品名)、CellicCTec2(ノボザイムズ社製、商品名)、Accellerase DUET(ジェネンコア社製、商品名)、あるいはウルトラフロL(ノボザイムズ社製、商品名)を用いることが好ましい。
また、セルラーゼの1種であるβ−グルコシダーゼの具体例としては、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)由来の酵素(例えば、ノボザイム188(ノボザイムズ社製、商品名)やβ−グルコシダーゼ(メガザイム社製))やトリコデルマ リーゼ(Trichoderma Reesei)、ペニシリウム エメルソニイ(Penicillium emersonii)由来の酵素などが挙げられる。
また、ヘミセルラーゼの具体例としては、CellicHTec2(ノボザイムズ社製、商品名)などのトリコデルマ リーゼ(Trichoderma Reesei)由来のヘミセルラーゼ製剤やバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N546(FERM P-19729)由来のキシラナーゼのほか、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、フミコーラ インソレンス(Humicola insolens)、バチルス アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)由来のキシラナーゼ、更には、サーモマイセス(Thermomyces)、オウレオバシジウム(Aureobasidium)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、クロストリジウム(Clostridium)、サーモトガ(Thermotoga)、サーモアスクス(Thermoascus)、カルドセラム(Caldocellum)、サーモモノスポラ(Thermomonospora)属由来のキシラナーゼなどが挙げられる。
工程(2)で使用される酵素は、糖化効率の向上の観点から、上記セルラーゼ及びヘミセルラーゼから選ばれる1種以上であることが好ましい。
糖化処理の条件は、粉砕処理物中のセルロースの結晶化度や、使用する酵素の種類により適宜選択することができる。例えば、0.5〜40%(w/v)に調整した粉砕処理物の懸濁液に対して、酵素を、該粉砕処理物に対する酵素タンパク量が0.1〜10質量%となるように添加し、pH2〜10の緩衝液中、反応温度10〜90℃で、反応時間30分〜5日間、好ましくは0.5〜3日間反応させることにより糖を製造することができる。
前記緩衝液のpHは、用いる酵素の種類により適宜選択することが好ましく、糖化効率の向上の観点から、好ましくはpH3〜7、より好ましくはpH4〜6である。
また、前記反応温度は、用いる酵素の種類により適宜選択することが好ましく、糖化効率向上の観点から、好ましくは20〜70℃、より好ましくは40〜60℃である。前記反応時間は、用いる酵素の種類により適宜選択することが好ましく、糖化効率の向上の観点から、好ましくは0.5〜3日間、より好ましくは0.5〜2日間である。
前記緩衝液のpHは、用いる酵素の種類により適宜選択することが好ましく、糖化効率の向上の観点から、好ましくはpH3〜7、より好ましくはpH4〜6である。
また、前記反応温度は、用いる酵素の種類により適宜選択することが好ましく、糖化効率向上の観点から、好ましくは20〜70℃、より好ましくは40〜60℃である。前記反応時間は、用いる酵素の種類により適宜選択することが好ましく、糖化効率の向上の観点から、好ましくは0.5〜3日間、より好ましくは0.5〜2日間である。
以下の実施例において、「%」は特に断りのない場合を除き、「質量%」を意味する。また、セルロース原料中のセルロース含有量としては、ホロセルロース含有量を用いた。
(1)セルロース原料中のホロセルロース含有量の算出
粉砕したセルロース原料を、エタノール−ジクロロエタン混合溶剤(1:1)で6時間ソックスレー抽出を行い、抽出後のサンプルを60℃で真空乾燥した。得られた試料2.5gに水150ml、亜塩素酸ナトリウム1.0g及び酢酸0.2mlを添加し、70〜80℃で1時間加温した。引き続き亜塩素酸ナトリウム及び酢酸を添加して加温する操作を、試料が白く脱色するまで3〜4回繰り返し行った。白色の残渣をグラスフィルター(1G−3)でろ過し、冷水及びアセトンで洗浄した後、105℃で恒量になるまで乾燥し、残渣重量を求めた。下記式によりホロセルロース含有量を算出し、これをセルロース含有量とした。
セルロース含有量(%)=[残渣重量(g)/セルロース含有原料の採取量(g:酸を除いた乾燥原料換算)]×100
粉砕したセルロース原料を、エタノール−ジクロロエタン混合溶剤(1:1)で6時間ソックスレー抽出を行い、抽出後のサンプルを60℃で真空乾燥した。得られた試料2.5gに水150ml、亜塩素酸ナトリウム1.0g及び酢酸0.2mlを添加し、70〜80℃で1時間加温した。引き続き亜塩素酸ナトリウム及び酢酸を添加して加温する操作を、試料が白く脱色するまで3〜4回繰り返し行った。白色の残渣をグラスフィルター(1G−3)でろ過し、冷水及びアセトンで洗浄した後、105℃で恒量になるまで乾燥し、残渣重量を求めた。下記式によりホロセルロース含有量を算出し、これをセルロース含有量とした。
セルロース含有量(%)=[残渣重量(g)/セルロース含有原料の採取量(g:酸を除いた乾燥原料換算)]×100
(2)セルロース原料の水分量の測定
セルロース原料の水分量の測定には、赤外線水分計「FD−610」(株式会社ケット科学研究所製)を使用した。150℃にて測定を行い、30秒間の重量変化率が0.1%以下となる点を測定の終点とした。測定された水分量の値を、セルロース原料の乾燥重量に対する質量%に換算した。
セルロース原料の水分量の測定には、赤外線水分計「FD−610」(株式会社ケット科学研究所製)を使用した。150℃にて測定を行い、30秒間の重量変化率が0.1%以下となる点を測定の終点とした。測定された水分量の値を、セルロース原料の乾燥重量に対する質量%に換算した。
(3)セルロース原料及び粉砕処理物の結晶化度の測定
X線回折装置「Rigaku MiniFlexII」(株式会社リガク製)を用いて、以下の条件で測定した回折スペクトルのピーク強度から、前記計算式(1)に基づいて算出した。
X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:30kV、管電流:15mA
測定範囲:2θ=5〜35°
測定サンプル:面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮して作成
X線のスキャンスピード:40°/min
得られた結晶化度が負の値をとった場合は、全て結晶化度0%とした。
X線回折装置「Rigaku MiniFlexII」(株式会社リガク製)を用いて、以下の条件で測定した回折スペクトルのピーク強度から、前記計算式(1)に基づいて算出した。
X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:30kV、管電流:15mA
測定範囲:2θ=5〜35°
測定サンプル:面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮して作成
X線のスキャンスピード:40°/min
得られた結晶化度が負の値をとった場合は、全て結晶化度0%とした。
(4)粉砕処理物の平均粒子径の測定
粉砕処理物の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−950」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定試料として粉砕処理物0.1gを5mLの水に加え、超音波で1分間処理した試料分散液を用いた。体積基準のメジアン径を、温度25℃にて測定し、これを平均粒子径とした。
粉砕処理物の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−950」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定試料として粉砕処理物0.1gを5mLの水に加え、超音波で1分間処理した試料分散液を用いた。体積基準のメジアン径を、温度25℃にて測定し、これを平均粒子径とした。
(6)生成糖量濃度の測定
実施例及び比較例において、DNS法(「生物化学実験法 還元糖の定量法」学会出版センター)に基づき、以下の手順で糖の定量を行った。
工程(2)の糖化処理工程終了後、遠心分離によって沈殿物と上清液を分離した。DNS溶液(0.5%−3,5−ジニトロサリチル酸、30%−酒石酸ナトリウムカリウム四水和物、1.6%−水酸化ナトリウム)1mLに適量の上清液を加え、100℃で5分間加熱発色させ、冷却後、波長535nmで比色定量した。グルコースを標準糖とした検量線より、上清液中の還元糖量濃度(以下、単に「生成糖量濃度」ともいう。単位:g/L)を定量した。
実施例及び比較例において、DNS法(「生物化学実験法 還元糖の定量法」学会出版センター)に基づき、以下の手順で糖の定量を行った。
工程(2)の糖化処理工程終了後、遠心分離によって沈殿物と上清液を分離した。DNS溶液(0.5%−3,5−ジニトロサリチル酸、30%−酒石酸ナトリウムカリウム四水和物、1.6%−水酸化ナトリウム)1mLに適量の上清液を加え、100℃で5分間加熱発色させ、冷却後、波長535nmで比色定量した。グルコースを標準糖とした検量線より、上清液中の還元糖量濃度(以下、単に「生成糖量濃度」ともいう。単位:g/L)を定量した。
[実施例1〜9及び比較例1〜5(セルロース原料:乾燥針葉樹松チップ)]
実施例1
(乾燥処理)
針葉樹松チップ(ホロセルロース含有量71.2質量%、結晶化度52%、水分量10.0質量%)を減圧乾燥機「VO−320」(アドバンテック東洋株式会社製)の中に入れ、窒素流通下の条件で12時間減圧乾燥し、ホロセルロース含有量71.2質量%、水分量0.5〜2.1質量%の乾燥針葉樹松チップを得た。
(工程(1))
得られた乾燥針葉樹松チップを乾燥重量で100g、及び塩酸(濃度35質量%)0.29g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し0.1質量%相当量)を、バッチ式振動ミル「MB−1」(中央化工機株式会社製、容器全容積3.5L、ロッドとして、φ30mm、長さ218mm、断面形状が円形のSUS304製ロッドを13本使用、充填率:57%)に投入し、30分間粉砕処理して、平均粒子径38μm、結晶化度0%の粉砕処理物を得た。なお、粉砕処理時の水分量を表1に示す。
(洗浄工程)
得られた粉砕処理物2gを、遠沈管(IWAKI製、容量:50mL、φ29mm×長さ115mm)に入れて遠心分離を行い、イオン交換水を用いて3回以上洗浄を繰り返した。
遠心分離にて得られた固相150mg(酸を除いた乾燥原料換算)に水及び100mM酢酸緩衝液0.3mLを添加して3mLスケールとし、pHが5.0となるように調整した。
(工程(2))
洗浄工程後の粉砕処理物(酸を除いた乾燥原料換算で150mg相当)に対して、酵素タンパク量が1.5mgとなるようにセルラーゼ酵素標品「セルクラスト1.5L」(ノボザイムズ社製)を加えて、振とう攪拌しながら50℃で糖化処理を行った。
糖化処理を24時間及び72時間行った後、遠心分離によって沈殿物と上清液を分離し、上清液に遊離した還元糖量を上述したDNS法によって定量して、生成糖量濃度(g/L)を求めた。結果を表1に示す。
なお、表1の実施例1〜9及び比較例1〜5における「生成糖量相対比(%)」とは、酸を添加せずに工程(1)を行った比較例1の生成糖量濃度(g/L)を100%とした場合の、生成糖量濃度の相対比(%)を示す。
実施例1
(乾燥処理)
針葉樹松チップ(ホロセルロース含有量71.2質量%、結晶化度52%、水分量10.0質量%)を減圧乾燥機「VO−320」(アドバンテック東洋株式会社製)の中に入れ、窒素流通下の条件で12時間減圧乾燥し、ホロセルロース含有量71.2質量%、水分量0.5〜2.1質量%の乾燥針葉樹松チップを得た。
(工程(1))
得られた乾燥針葉樹松チップを乾燥重量で100g、及び塩酸(濃度35質量%)0.29g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し0.1質量%相当量)を、バッチ式振動ミル「MB−1」(中央化工機株式会社製、容器全容積3.5L、ロッドとして、φ30mm、長さ218mm、断面形状が円形のSUS304製ロッドを13本使用、充填率:57%)に投入し、30分間粉砕処理して、平均粒子径38μm、結晶化度0%の粉砕処理物を得た。なお、粉砕処理時の水分量を表1に示す。
(洗浄工程)
得られた粉砕処理物2gを、遠沈管(IWAKI製、容量:50mL、φ29mm×長さ115mm)に入れて遠心分離を行い、イオン交換水を用いて3回以上洗浄を繰り返した。
遠心分離にて得られた固相150mg(酸を除いた乾燥原料換算)に水及び100mM酢酸緩衝液0.3mLを添加して3mLスケールとし、pHが5.0となるように調整した。
(工程(2))
洗浄工程後の粉砕処理物(酸を除いた乾燥原料換算で150mg相当)に対して、酵素タンパク量が1.5mgとなるようにセルラーゼ酵素標品「セルクラスト1.5L」(ノボザイムズ社製)を加えて、振とう攪拌しながら50℃で糖化処理を行った。
糖化処理を24時間及び72時間行った後、遠心分離によって沈殿物と上清液を分離し、上清液に遊離した還元糖量を上述したDNS法によって定量して、生成糖量濃度(g/L)を求めた。結果を表1に示す。
なお、表1の実施例1〜9及び比較例1〜5における「生成糖量相対比(%)」とは、酸を添加せずに工程(1)を行った比較例1の生成糖量濃度(g/L)を100%とした場合の、生成糖量濃度の相対比(%)を示す。
実施例2
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を2.86g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し1質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は43μm、結晶化度は0%であった。
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を2.86g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し1質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は43μm、結晶化度は0%であった。
実施例3
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を5.70g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し2質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は51μm、結晶化度は4%であった。
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を5.70g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し2質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は51μm、結晶化度は4%であった。
実施例4
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を14.26g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し5質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は73μm、結晶化度は12%であった。
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を14.26g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し5質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は73μm、結晶化度は12%であった。
実施例5
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を28.57g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し10質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は150μm、結晶化度は33%であった。
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を28.57g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し10質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は150μm、結晶化度は33%であった。
実施例6
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を57.14g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し20質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は182μm、結晶化度は32%であった。
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を57.14g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し20質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は182μm、結晶化度は32%であった。
実施例7
工程(1)において、塩酸の代わりにリン酸(濃度85質量%)11.76g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し10質量%相当量)を用い、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は50μm、結晶化度は25%であった。
工程(1)において、塩酸の代わりにリン酸(濃度85質量%)11.76g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し10質量%相当量)を用い、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は50μm、結晶化度は25%であった。
実施例8
(乾燥処理)
実施例1と同様の方法で行った。
(工程(1))
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を14.26g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し5質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で工程(1)を行った。なお、粉砕処理物の平均粒子径は73μm、結晶化度は12%であった。
(中和工程)
工程(1)で得られた粉砕処理物150mgを蓋つきスクリュー管に入れ、8N−水酸化ナトリウム水溶液25μLで中和した。
さらに、水及び100mM酢酸緩衝液0.3mLを添加して3mLスケールとし、pHが5.0となるように調整した。
(工程(2))
実施例1と同様の方法で工程(2)を行い、糖の製造を行った。結果を表1に示す。
(乾燥処理)
実施例1と同様の方法で行った。
(工程(1))
工程(1)における塩酸(濃度35質量%)の使用量を14.26g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し5質量%相当量)とし、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で工程(1)を行った。なお、粉砕処理物の平均粒子径は73μm、結晶化度は12%であった。
(中和工程)
工程(1)で得られた粉砕処理物150mgを蓋つきスクリュー管に入れ、8N−水酸化ナトリウム水溶液25μLで中和した。
さらに、水及び100mM酢酸緩衝液0.3mLを添加して3mLスケールとし、pHが5.0となるように調整した。
(工程(2))
実施例1と同様の方法で工程(2)を行い、糖の製造を行った。結果を表1に示す。
実施例9
工程(1)において、塩酸の代わりにリン酸(濃度85質量%)11.76g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し10質量%相当量)を用い、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと、及び、中和工程において8N−水酸化ナトリウム水溶液を40μL用いたこと以外は、実施例8と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は50μm、結晶化度は25%であった。
工程(1)において、塩酸の代わりにリン酸(濃度85質量%)11.76g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し10質量%相当量)を用い、粉砕処理時の水分量を表1に示す量としたこと、及び、中和工程において8N−水酸化ナトリウム水溶液を40μL用いたこと以外は、実施例8と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は50μm、結晶化度は25%であった。
比較例1
酸を添加せずに工程(1)を行い、また洗浄工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は48μm、結晶化度は0%であった。
酸を添加せずに工程(1)を行い、また洗浄工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は48μm、結晶化度は0%であった。
比較例2
工程(1)において、塩酸の代わりに有機酸であるクエン酸10.00g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
工程(1)において、塩酸の代わりに有機酸であるクエン酸10.00g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
比較例3
工程(1)において、塩酸の代わりにミリスチン酸(花王株式会社製、製品名「MY−98」)10.00g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
工程(1)において、塩酸の代わりにミリスチン酸(花王株式会社製、製品名「MY−98」)10.00g(乾燥針葉樹松チップ100gに対し10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
比較例4
(乾燥処理)
実施例1と同様の方法で行った。
(水熱処理)
工程(1)の代わりに、特許文献5(特開2010−279305号公報)を参考に水熱処理工程を行った。乾燥針葉樹松チップ1.5gにリン酸(濃度85質量%)15.9mg、アセトン0.675g、及びイオン交換水12.83gを添加し、マイクロウェーブ合成装置「Initiator」(Biotage社製)にて160℃で2分間処理を行った。反応中、特に加圧処理は行わなかった。処理物の平均粒子径は1000μm以上であった。なお、水熱処理時の水分量を表1に示す。
(中和工程)
上記水熱処理工程で得られた処理物1.5gを蓋つきスクリュー管に入れ、8N−水酸化ナトリウム水溶液2μLで中和した。
さらに、水及び100mM酢酸緩衝液0.3mLを添加して3mLスケールとし、pHが5.0となるように調整した。
(工程(2))
実施例1と同様の方法で工程(2)を行い、糖の製造を行った。結果を表1に示す。
(乾燥処理)
実施例1と同様の方法で行った。
(水熱処理)
工程(1)の代わりに、特許文献5(特開2010−279305号公報)を参考に水熱処理工程を行った。乾燥針葉樹松チップ1.5gにリン酸(濃度85質量%)15.9mg、アセトン0.675g、及びイオン交換水12.83gを添加し、マイクロウェーブ合成装置「Initiator」(Biotage社製)にて160℃で2分間処理を行った。反応中、特に加圧処理は行わなかった。処理物の平均粒子径は1000μm以上であった。なお、水熱処理時の水分量を表1に示す。
(中和工程)
上記水熱処理工程で得られた処理物1.5gを蓋つきスクリュー管に入れ、8N−水酸化ナトリウム水溶液2μLで中和した。
さらに、水及び100mM酢酸緩衝液0.3mLを添加して3mLスケールとし、pHが5.0となるように調整した。
(工程(2))
実施例1と同様の方法で工程(2)を行い、糖の製造を行った。結果を表1に示す。
比較例5
(乾燥処理)
実施例1と同様の方法で行った。
(水熱処理)
工程(1)の代わりに、特許文献6(特開2009−22239号公報)を参考に水熱処理工程を行った。乾燥針葉樹松チップ1.5gにリン酸(濃度85質量%)0.124g及びイオン交換水14.88gを添加し、マイクロウェーブ合成装置「Initiator」(Biotage社製)にて140℃で2分間処理を行った。処理物の平均粒子径は1000μm以上であった。なお、水熱処理時の水分量を表1に示す。
(中和工程)
上記水熱処理工程で得られた処理物1.67gを蓋つきスクリュー管に入れ、8N−水酸化ナトリウム水溶液16μLで中和した。
さらに、水及び100mM酢酸緩衝液0.3mLを添加して3mLスケールとし、pHが5.0となるように調整した。
(工程(2))
実施例1と同様の方法で工程(2)を行い、糖の製造を行った。結果を表1に示す。
(乾燥処理)
実施例1と同様の方法で行った。
(水熱処理)
工程(1)の代わりに、特許文献6(特開2009−22239号公報)を参考に水熱処理工程を行った。乾燥針葉樹松チップ1.5gにリン酸(濃度85質量%)0.124g及びイオン交換水14.88gを添加し、マイクロウェーブ合成装置「Initiator」(Biotage社製)にて140℃で2分間処理を行った。処理物の平均粒子径は1000μm以上であった。なお、水熱処理時の水分量を表1に示す。
(中和工程)
上記水熱処理工程で得られた処理物1.67gを蓋つきスクリュー管に入れ、8N−水酸化ナトリウム水溶液16μLで中和した。
さらに、水及び100mM酢酸緩衝液0.3mLを添加して3mLスケールとし、pHが5.0となるように調整した。
(工程(2))
実施例1と同様の方法で工程(2)を行い、糖の製造を行った。結果を表1に示す。
[実施例10及び比較例6(セルロース原料:バガス)]
実施例10
セルロース原料をバガス(ホロセルロース含有量68.3質量%、結晶化度29%、水分量7.0質量%)に変更したこと以外は実施例4と同様の方法で糖の製造を行った。なお、粉砕処理物の平均粒子径は55μm、結晶化度は26%であった。結果を表2に示す。なお、表2の実施例10及び比較例6における「生成糖量相対比(%)」とは、酸を添加せずに工程(1)を行った比較例6の生成糖量濃度(g/L)を100%とした場合の、生成糖量濃度の相対比(%)を示す。
実施例10
セルロース原料をバガス(ホロセルロース含有量68.3質量%、結晶化度29%、水分量7.0質量%)に変更したこと以外は実施例4と同様の方法で糖の製造を行った。なお、粉砕処理物の平均粒子径は55μm、結晶化度は26%であった。結果を表2に示す。なお、表2の実施例10及び比較例6における「生成糖量相対比(%)」とは、酸を添加せずに工程(1)を行った比較例6の生成糖量濃度(g/L)を100%とした場合の、生成糖量濃度の相対比(%)を示す。
比較例6
セルロース原料をバガス(ホロセルロース含有量68.3質量%、結晶化度29%、水分量7.0質量%)に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表2に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は38μm、結晶化度は23%であった。
セルロース原料をバガス(ホロセルロース含有量68.3質量%、結晶化度29%、水分量7.0質量%)に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表2に示す。なお、粉砕処理物の平均粒子径は38μm、結晶化度は23%であった。
[実施例11及び比較例7(セルロース原料:パーム空果房)]
実施例11
セルロース原料をパーム空果房(ホロセルロース含有量61.4質量%、結晶化度36%、水分量10.0質量%)に変更したこと以外は、実施例4と同様の方法で糖の製造を行った。なお、粉砕処理物の平均粒子径は45μm、結晶化度は34%であった。結果を表3に示す。なお、表3の実施例11及び比較例7における「生成糖量相対比(%)」とは、酸を添加せずに工程(1)を行った比較例7の生成糖量濃度(g/L)を100%とした場合の、生成糖量濃度の相対比(%)を示す。
実施例11
セルロース原料をパーム空果房(ホロセルロース含有量61.4質量%、結晶化度36%、水分量10.0質量%)に変更したこと以外は、実施例4と同様の方法で糖の製造を行った。なお、粉砕処理物の平均粒子径は45μm、結晶化度は34%であった。結果を表3に示す。なお、表3の実施例11及び比較例7における「生成糖量相対比(%)」とは、酸を添加せずに工程(1)を行った比較例7の生成糖量濃度(g/L)を100%とした場合の、生成糖量濃度の相対比(%)を示す。
比較例7
セルロース原料をパーム空果房(ホロセルロース含有量61.4質量%、結晶化度36%、水分量10.0質量%)に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法で糖の製造を行った。なお、粉砕処理物の平均粒子径は51μm、結晶化度は18%であった。結果を表3に示す。
セルロース原料をパーム空果房(ホロセルロース含有量61.4質量%、結晶化度36%、水分量10.0質量%)に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法で糖の製造を行った。なお、粉砕処理物の平均粒子径は51μm、結晶化度は18%であった。結果を表3に示す。
本発明の糖の製造方法は、生産性に優れ、セルロース原料から糖を効率的に得ることができる。得られた糖はエタノールや乳酸などの発酵生産などに有用である。
Claims (7)
- 下記工程(1)及び工程(2)を有する、糖の製造方法。
工程(1):セルロース原料を、無機酸の存在下で粉砕処理して粉砕処理物を得る工程
工程(2):前記粉砕処理物を、酵素を用いて糖化処理する工程 - 工程(1)における粉砕処理時の水分量が、セルロース原料の乾燥重量に対して40質量%以下である、請求項1に記載の糖の製造方法。
- 工程(1)における無機酸の使用量が、セルロース原料の乾燥重量に対して0.1〜20質量%である、請求項1又は2に記載の糖の製造方法。
- 無機酸が、塩酸及びリン酸からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の糖の製造方法。
- 粉砕処理物の平均粒子径が500μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の糖の製造方法。
- 工程(1)における粉砕処理時間が、0.1分〜2時間である、請求項1〜5のいずれかに記載の糖の製造方法。
- 工程(1)の後に、粉砕処理物を洗浄及び/又は中和する工程を更に有する、請求項1〜6のいずれかに記載の糖の製造方法。
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